ベッドの上に恵、床の布団に倫也。イベントトークがはじまる。
「それで、これからどうするの?」
「まずは、次のプロットの作成からだな」
「出海ちゃん、短編のあとでも一緒にやってくれるかな」
「とりあえず、真剣に答えるしかないかな」
「それって告白するってこと?」
「もう寝てください、か・・・恵さん」
「それに、英梨々のポンコツとはどう向き合うの?」
「そっちは・・・時間をかけていくしかないかな・・・」
「本当に時間が解決してくれると思ってる?」
「わかんないけど、他にどうしたらいいのかもわかんないし」
「わかんないくせに、こうしてわたしにエピローグ任せてていいのかなぁ」
「やっぱ寝ろ」
恵が枕に顔をうずめる。
「しーらないよ安芸くん」
「じゃあ、他にどうしたらいいんだよ?」
恵が足をバタバタさせる。
「わたしもしーらない」
「・・・たくっ、この話の恵、キャラ滅茶苦茶だぞ・・・」
恵が顔をあげて、寂しそうな目をする。
「そうだね、ねぇ安芸くん?」
「なんだよ?」
「次の負け犬6が始まったら、今のわたし・・・忘れて・・・ね」
「ああ・・・やなこった(小声)」
恵が顔を伏せて布団を頭にかぶる。
「やだっ(小声)」
「・・・恵っ」
「今回のわたしも忘れないで欲しい。わがままで怒りっぽいわたしも忘れないで欲しい・・・ぜんぜん加藤恵っぽくないわたしを・・・覚えててくれる?」
「ああ・・・わかってる」
恵が鞄をごそごそして何かを探している。
「ん?今度はなんだよ」
カメラは恵を前から捉えるがコート着て真冬のフル装備なので、まったく谷間が拝めない。なんてこった。ここの描写のためにがんばってきたのに。
「はい、安芸くん・・・誰でも義理だってわかるし、一応ね」
チロルチョコに、『ぶらっくさんだー』と殴り書きしたノートの切れ端がはってある。
「そりゃどうも」
倫也が受け取った瞬間・・・
『The curse of the main heroine』が鳴った。
「やった!」
恵が喜んで飛び上がる。
「ちょっと恵?どういうこと・・・?」
倫也が起き上がり恵に問い詰める。
「どうもこうもないよ安芸くん・・・」
「まさかお前・・・」
「ちょっと、プロット読んでみてくれるかな?」
『あの時、恵が渡したブラックサンダーは、実は恵が完全再現したものだった』
「ほら、わたし・・・そんな恥ずかしいことしたくないし・・・」
「やり遂げたのか!」
恵がうなずく。倫也はチロルチョコを見つめていた。
その時、恵の部屋のドアが音もなく開いた。
そして・・・幻影のような透き通った加藤恵@メインヒロイン型が現われる。鈍い錆びたナタを手に持って。
「きたよ。安芸くん」
「ああ・・・きたな」
「安芸くんまた殺されるの?」
「いや、同じオチは使わない、それに言ったろ、ハッピーエンドで終わるって」
(つづく)