幻影@メインヒロイン型が倫也にせまる。
ゴクリッとツバを飲み込む。
その時、窓に ボコンッと何かが派手にぶつかる。
二人が見ると、英梨々が張り付いていて、そのまま下に落ちていった。
恵が倫也の方へ向いて、親指を立てる。
「防弾仕様のガラスに変えてみた」
「あのなぁ・・・」
窓を開けて、下を見下ろす。
「英梨々、大丈夫?」
おでこ抑えている英梨々は、泣くの我慢して上を見上げた。
英梨々が指をバチンッと鳴らすと、外に階段ができて窓までつながり、上へ上がってくる。
「なんで、ガラス割れないのよ・・・」
「ああいうアクション用のガラスは特殊な飴ででてきているんだけど、シリアスすぎてもつまらないかなって・・・」
「リハではそうだったでしょ」
「ほら・・・ね?」
「ね?じゃないわよ!」
英梨々が怒っている。恵は楽しそうに謝る。
「ちょっとふたり!まずはこの幻影なんとかしてよ!」
倫也が幻影の手を抑えて必死に抵抗している。
恵が幻影を睨んで、指をバチンッと鳴らすと幻影が消え失せる。
英梨々が口を開けて目を丸くする。
「ちょっと・・・恵・・・わたしの仕事取らないでよ・・・」
「どっちが消しても同じだと思うんだけどな」
「ぜんぜん違うわよ!」
「細かいなぁ・・・」
もう一度、恵が指を鳴らすと幻影がでてくる。
「はい、これでいい?」
「うん」
英梨々が半泣きになりながらうなずく。
指をパチンッと弱く弾くと幻影が消えた。
「よしよし、よくできました」
恵が英梨々の頭をなでる。
※※※
倫也は『何見せられてんだこれ?』と考えんながらチロルチョコを剥いた。
外装からして完璧な質感と仕上がりである。が、重要なのは中身だ。外装だけなら本物を剥いて再包装する手もあるにはある・・・。
倫也はチロルチョコを口にいれる・・・『これは!』 どこからどう考えてもチロルチョコであった。感触、質感、香り、味・・・後味までもがチロルチョコそのものだった。さすが恵だ、ここまで完全再現するとは・・・
いや、まてよ・・・今、幻影をつけたり消したりしていたな・・・これは幻影が恵の思い通りになるということ・・・『はっ!』そういうことか・・・だとすると先ほどの『絶望の歌』は恵の自演ということを考慮しないといけない・・・するとどうだ、この完全再現のチロルチョコはただのチロルチョコということになる・・・おかしい、なにかがおかしい、考えろ俺・・・わざわざ幻影スイッチを見せている・・・これを推測させることでチロルチョコの真贋が問われることになった・・・そう・・・これは『偽物・・・フェイク』だ。本当に恵が隠したいもの・・・それは、いくら同人パチモン恵だからって、こんな馬鹿らしいことはできるわけないという恥じらい。それを示すための幻影。・・・すなわちこのチロルチョコは完全再現されたものだ!
俺は恵を見る。恵と目があう。
「勘のいい子は嫌いだよ」
「ふふん・・・」
恵は思った。『勝った』っと。今の目は完全に私を信じた目だ。あとはこのレシートを燃やしてしまえば真相は闇の中。恵はコートの中のレシートを握る。
「ふふっ」
思わず笑みがこぼれる。が、倫也はその口角が少しあがるのを見逃さなかった。
「・・・恵。そのコートの中のもの・・・見せてみろ」
「な・・・なにを・・いってるのかなぁ?」
恵の目が泳ぐ。
「英梨々、恵を抑えろ」
英梨々がわけもわからず恵の手を抑える。
倫也も恵にとびかかる。
その瞬間、恵の手からレシートが宙に舞い上がった・・・!
倫也がそれを拾いあげ読み上げる。
「チロルチョコBOX 5セット。日付は・・・プロットが配布された冬休みのものだ!」
「やめてぇ・・・」
恵が慌てる。
倫也はこんな努力して可愛いやつめ・・・と思った。
恵はこれこそが二重のトリック。そのうちの一個を使えばいいだけ・・・心の中で笑った。
英梨々は二人を見て言う。
「ねぇ、あんたたち、キャラ崩壊はともかく、いつからバカになったの?」
・・・昨夜、一線を超えてからじゃないかな。よくわからんけど。
(つづく)