負け犬ヒロインの育て方 5   作:きりぼー

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もうね・・・


エピローグ⑧

「で、英梨々は人の家の窓から侵入してきて何の用なの?」

「・・・あなたたちのピンチにかっこよく参上するはずだったのよ!」

「窓を破って?」

「・・・そうよ」

「それが英梨々のやり方なの?」

「そうね」

「頭、大丈夫?」

「ぶつけたとこ痛い・・・」

「よしよし」

 

※※※

 

「で、英梨々・・・用件をお願い」

「えっと、ちょっともう少し二人はくっついて床に座ってくれる?」

 

倫也と恵がくっついて座る。

英梨々がベッドの上に立って二人を指さす。

 

「ちょっと、あたしの倫也から離れなさいよ!」

 

英梨々が二人を引き離す。

 

「・・・英梨々?何がしたいの?」

「恵・・・あんたは大きな勘違いをしているわ・・・この物語の主役はあたし、澤村・スペンサー・英梨々なのよ」

「そう」

「そして、この安芸倫也は・・・あたしのフィアンセなの!」

「そうなんだー、よかったねぇ」

「あの?ちょっと?」

「続けててくれる?」

 

恵は立ち上がって、マウラーを巻く、倫也にもマフラーを渡す。

 

「いい?倫也はあたしにプロポーズしたのよ」

「倫也くん、マフラーそんな巻き方じゃだめだよ」

恵が倫也のマフラーを結ぶ。

「だからね、本来の正妻候補筆頭はあたしなのよ」

「あっ、悪いな恵。どうもこういうの苦手で」

倫也の顔が赤くなる。

「だから、波島出海も氷堂美智留も、あたしに対して宣戦布告するのが筋なのよ」

「ねぇ安芸くん、今度手編みのマフラーとかチャレンジしてみようか?ベタな話になるかなぁ」

「いいんじゃね?」

「・・・あの、聞いてるのかしら?」

「うんうん聞いてるよ?で結論は?」

「恵、手袋はいるかな?」

「えっと、だから、恵が倫也といちゃいちゃするなら・・・」

「そうだねぇー手袋もあったほうがいいと思うけど、手をつなぐかもしれないし、ポケットにいれておいてくれるかな」

「OK」

「ねぇ英梨々、そんな話はどうでもいいのだけど・・・、ランタン出せる?」

「ランタン?」

「持ち運びができそうな少し暖かい火が欲しいのだけど」

「うーん、ちょっとまってね」

 

英梨々が指をバチンッと鳴らす。

鳥籠に入った小さな火蜥蜴(サラマンダー)を出す。

「こんな感じでどうかな?」

「あっ、いいねぇー、暖かくて。ありがとう英梨々。で、結論だけいってくれる?」

 

英梨々は息を吸ってから恵に言った。

 

「正妻戦争に参加宣言すべきは、恵のほうじゃないかしら?」

「まとめると、英梨々は小学校の約束を根拠に主張しているのよね?それを安芸くんは認めているのかな?」

「認めているわよ?」

「どこに証拠があるのかしら?」

「これよ・・・『負け犬4』結婚式イベントで、倫也が認めたわ」

「・・・これ・・・どういうこと安芸くん?」

「落ち着け恵・・・それは負け犬4の安芸倫也であって俺じゃない。俺は・・・恵だけを愛している・・・」

 

英梨々が白く固まる。

恵もさすがに驚く。

 

「文字通り、心も体も『負け犬5』の加藤恵だけを・・・」

「か・・・体もなんてぇー、もう安芸くんったら~」

 

恵が倫也を軽く叩かく、視覚化できるハートがあふれでる。

 

「あのぉ・・・どういうこと?恵?」

「なんでもないよ?英梨々?」

「こっちの話だ、英梨々。プロポーズの件はわかった。だけど小学校の頃の話だろ?」

「それでも、あたしはその言葉を頼りに10年間想ってきた」

「それはお前の主張であって、俺の気持ちはどうなるんだよ?」

「・・・今はいいの、倫也はちょっと黙ってなさいよ」

「だって、思いっきり被弾しているんですけど!?」

「わかったわ英梨々。で、わたしに何を望むの?」

「望むものは恵からの宣戦布告よ!あたしからじゃかっこつかない」

「英梨々の気持ちはわかった。それが英梨々の出した答えなの?」

「そうよ」

 

「わかった」

 

恵の目が黒く塗りつぶされる。外に雷鳴が鳴り響いた。そして、『絶望の歌』が鳴ったが、恵は指を鳴らしてそれを消した。

 

「英梨々・・・絶交する。二度と声をわたしにかけないで。それから・・・正妻戦争にわたしも参加する。倫也くんはわたしのだから、絶対に渡さないから。っというより、勝手にわたしの夫を過去に巻き戻して『if』シナリオ書いて、英梨々のフィアンセって言われても、ただの『不倫』だから。覚えておいて」

 

恵からとんでもないワードがでてきた。

倫也が固まる。英梨々も固まる。関係者も不穏な空気に固まった。

 

(つづく)

 

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