以前書いていたポケモンをリメイクした作品です。前作品を見てくれていた方も初めての方も読んでくださるとありがたいです。
では、本編をどうぞ
旅立ち〜前編〜
ガイア地方の、南西に位置するヘラタウン。
ヘラタウンのある家の自室で、1人の青色の髪をした少女が髪をとかしながらテレビを真剣な眼差しで見つめていた。
そのテレビに写っているのは、2人のトレーナーがポケモンバトルをしているシーンだった。しかし、ただのバトルではない。ガイアのトレーナーであればほとんどが目指すであろうチャンピオンチャレンジ・バトルである。
『勝者 チャンピオン・エリュート!またも、防衛に成功!』
「やっぱりエリュートさん強いわね。長い間チャンピオンの座を譲ってないようだし。私もこんなになりたいなぁ……」
バトルの結果を呟くと、後ろのドアが開く音が聞こえた。
少女が振り向くと、ピンク色の身体に小さな羽の生えた『ようせいポケモン』の ピッピが廊下から顔を覗かせていた。
「ピッピ……どうしたの?」
「ピッ〜♪」
気づいて貰えたと思った、ピッピは笑いながら駆け寄ったと思うと迷うことなく膝に座る。
「ピッピ……見えないよ。どいてくれない?」
「ピ〜?」
ピッピはなんの事?と言わんばかりに、頑なにどこうとしない。
少女の目線の先には、ピッピの小さい羽しか見えず身支度が終わらないと困り果てていた。
「ピッピ〜」
「これが終わったら遊んであげるから……ね?」
「ピッ!」
少女は何とか諭そうとするが、ピッピは一向に降りる気配はない。逆に、少女の机に足をひっかけ立てないようにしてる。
ピッピは分かっているのだ。この少女が今日トレーナーとして旅立つことに。
ピッピにとって、妹のような存在だった少女が旅に出るのは寂しいようだ。
「どうしよう……時間に遅れちゃう……」
少女が打つ手無しに嘆いていると
「メリア、準備は終わった?そろそろポケモン貰いに行く時間になるわよ」
「お母さん……荷物は終わったけどピッピが」
少女 メリアの母親が準備を終えたの確認するために部屋に顔を出してきた。
母親の顔を見るなり、ピッピはヤバいと言わんばかりに顔を真っ正面に背けた。
「もう、ピッピ。そうやって昨日も同じことしてたでしょ。ほら、メリアの邪魔しないの。お姉ちゃんでしょ?」
「ピ〜っ!」
そのままピッピは母親に抱かれながら、部屋を後にする。
「これでやっと再開出来る。時間はまだあるけどのんびりしてる余裕もないわね。ちゃっちゃと終わらせないと」
ピッピが居なくなってから、数分後メリアは身支度を終えた。
「よし、タウンマップよし……忘れ物なしっと。さて……」
メリアは、前日のうちに物を詰めていたカバンを腕にかけると壁にかけてある帽子を被り部屋を出ていき下の階へと降りていく。
「お母さん、準備終わったよ」
「お疲れ様。早いようで短かったわね。っとこんな話をしてたら時間が過ぎちゃうわね。セイジ博士には粗相のないようにね?」
「分かってるよ。それじゃ行ってきます」
メリアは、そう告げると家を出てこの街に研究所を持つセイジ博士の元へと向かう。
家から差程距離はなく、歩くこと数分で研究所に着いた。
(やっと……やっとだ。スクールに通うこと6年……遂に念願の自分のポケモンを持つことができるんだ。よーし……)
彼女は、自分の頬を優しく叩くと研究所の扉を開け
「おはよう、セイ姉。メリア来ました!」
「おはよう、メリア。メリアの指定時間ピッタリだね。てか、セイ姉じゃなくてセイジ博士と呼べと言ってるでしょ?」
メリアの掛け声に、白衣を纏った若い女性が振り向きながら、メリアの呼び方を軽く注意した。
この女性は、20代にして博士の称号を獲得した稀代の天才を自称するセイジ。
仕事で帰りが遅い母親の代わりに、幼いメリアの相手をしていたため彼女から姉と呼び慕われている。そのせいか、未だにメリアはセイ姉という呼び方が抜けないでいる。
「はーい、ごめんなさい。セイジ博士……ところであの子は?」
「今か今かと待っていたわよ。リオル〜!」
セイジが後ろの扉に向かって叫ぶと、ゆっくりとそのドアが開き青い体毛に二足歩行の『はもんポケモン』リオルが顔を出す。
リオルは、メリアを見るなり駆け寄ってくる。
「昨日ぶり、リオル!」
「リオっ!」
「相変わらず仲良いわね……毎日飽きないの?」
リオルはセイジのポケモンではない。幼い頃にメリアによって助けられたポケモンである。
当時こそは懐かれていなかったが、今では唯一無二の親友とばかりに仲が良い。
「あ、そうだ。セイジ博士……私のポケモンって」
「あ〜うん。メリアのポケモンねぇ……うん」
セイジは問いかけに対して何かを隠すように、顔を背けると窓をジッと見つめる。
それにつられてメリアもジッと窓を見つめていると窓が開き、青く細長いカメレオンのようなポケモン インテレオンが入ってくる。このインテレオンは、セイジのパートナーにあたるポケモンで良く彼女の手伝いをしている。
「インテレオン、見つかった?」
セイジの問いかけにインテレオンは、無言で首を横に振る。
「……セイ姉?なにか無くしたの?」
「……実は……メリア用に残ってたポケモン。逃げちゃったの!」
突然のセイジの告白にメリアは、思わず何を言っているだこの人はと心の中で思ってしまった。
「昨日ポケモン達のメディカルチェックをしてたんだけど、他のポケモン達が喧嘩してる時に逃げちゃったみたい。昨日からインテレオンに探してもらってるけど見つからなくて」
「え、という事は私はポケモン無しで旅に出るの?」
「そうはならないように今からスクールに連絡して新しいポケモンを送って貰うしかないわね。でも、それだといつになるか分からない。貴女も知っている通りスクール卒業生に与えられるポケモンは原則人に慣れたポケモンじゃないとダメなのよね。初心者にいきなり懐いてないポケモンを渡すのは酷なことよ」
「……なら待つしかないのかな」
メリアの悲しそうな表情に、罪悪感を抱いているとメリアを心配そうに見ているリオルが目に入った。
そして、ある考えがセイジの頭に浮かぶ。
「リオルを連れて行くのはどうかしら?人に慣れたポケモンだもの、条件はクリアしてるわ」
「でも、いいのかな……スクールから渡されたポケモンじゃないのに。何か言われたりしない?」
「スクールやリーグの関係者には私から伝えておくわ。それに、初心者用のポケモンを持っていないとトレーナーになれないなんて記載は無いし。もちろんどうするかは、貴女とリオル次第よ」
セイジの言葉にメリアは、ジッと足元にいるリオルを見つめる。
そのリオルの表情は、答えは決まっているとばかりに力強いものだった。
「……ずっと思ってたんだ。リオルと一緒に旅に出たいって。リオルが良いなら私はリオルと旅に出たい」
「決まりね。使ってないモンスターボールをあげるからリオルを入れてあげて」
ボールを受け取ったメリアは、リオルの方を見て頷くとしゃがみボールをリオルに向ける。
リオルもそのまま頷くと、ボールの開閉スイッチに手を触れそのままボールの中に入っていく。
ボールは、しばらく揺れたあとゆっくりと動きを止める。
「リオル……最初の仲間。よし、リオル出ておいで!」
「リオっ!」
優しくメリアはボールを投げると、リオルが元気よく出てきてはメリアの肩によじ登る。
「先は上々ね。とりあえずメリアにコレを渡しておくわ」
セイジは、机の上にあった赤い端末と空のモンスターボールを手渡す。渡されたメリアは、首を傾げながら端末とボールを見ていたのでセイジが説明すべく口を開く。
「それは、ポケモン図鑑。出会ったポケモンのことを教えてくれるスグレモノよ。スクールでポケモンについて学んだとは思うけどメリアの知らないポケモンは沢山いるわ。ポケモンの知識を深める事もトレーナーとしては強くなる為に必要なことよ」
「なるほど……。それでこのモンスターボールは?」
「それは、貴女のここで本来出会うはずだったポケモンのボールよ。旅に出て貴女の手でボールに戻してあげて。どんなポケモンかは図鑑が教えてくれるわ」
メリアは頷くと、図鑑とボールをカバンに詰めていく。
「さて……私からの説明は終わり。ここからは先輩トレーナーとしてのアドバイス」
いつになく真剣なセイジの表情に、メリアは固唾を飲んで彼女の言葉を待つ。
「負けることは恥ずかしい事じゃない。つまづくことは悪い事じゃない。人間ってのはそれを繰り返して成長していくの。挫折したって貴女は1人じゃない。ポケモン達が傍にいてくれるわ」
真剣な表情からいつもの優しいセイジの表情になると、メリアとリオルの頭を優しく撫でる。
「さーて。メリアの事だから安心だけど、ちゃんと旅立つ時はお母さんに言うのよ?」
「分かってるよ、セイ姉。リオルを紹介しないといけないしね」
「ふふ、ならいいわ。それじゃ頑張りなさいね」
セイジの言葉と共に、インテレオンが出入口の扉を開けメリア達を待つ。
セイジとインテレオンの顔は、優しく応援してくれるようにメリアは感じた。
「はい、行ってきます!」
「リオっ!」
メリアとリオルは力強く頷くと、研究所の扉をくぐっていく。
〜To be continued〜
いかがでしたか?
リメイク元を知っている方であれば、アルスをメリアという女の子に変えただけになります。
ですが、先の展開は変わっていきますので展開を楽しみにしながら更新を待っていてくださるとありがたいです。
今回は、旅立ちの前編です。次回でメリアはリオルと共にヘラタウンを出発します。
次回から簡易的なあらすじを書こうと思っています。更新が長引いた時に一々読み直す手間を省こうと思ったからです。
では、次回をお楽しみに