バカが魔法少女になった話   作:わらしべいべー

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感想がある…やと…!?
小説書くのは初めてだから心臓バクバク。

※本作ではアプリケーションのマギアレコードを基準に物語を構成していますが、時系列やキャラの年齢などが異なる場合があります。その時はこの物語ではこうであると割り切っていただけるとありがたいです。




魔法少女の服装ってエロいけど、そこから感じる幼さが良い

 

 魔法少女は基本的にキュウベェと契約し、その契約で得た力で魔女と戦うことができるようになる。その際、契約のためにはキュウベェに願い事を言って、それを叶えてもらい、その願いに基づいた力を得られるそうな。

 願いも叶えられて、力のみならず、太りもしない体(なぎさ談)を得られると言う得しかないこの魔法少女だが、しかし悲しきかな魔法少女は少女であり、なおかつ魔法少女としての素質がないとなれないそうだ(キュウベェ談)。マジかよ、ロリコン最低だな。

 

 そんないいことづくしの魔法少女だが、そんな魔法少女のあり方に異議を唱えるものが1人。

 本作の主人公、雪野だいりである。

 彼もとい彼女はキュウベェと直接契約をしたわけではない。が、それはそれ。歪ながら結果的に彼女も魔法少女になっているわけなので、自分だけ他の魔法少女とは違い、願いが叶えられていない現状に不満を持ったのだ!だいりの願いを叶えるための戦いがいま始まる!

 

 

 

 

 だいりのなんか楽しい冒険 序章 ー始まりー

 

 

 

「というわけで、ロリコン。願い叶えてくれ」

 

「いや、無理だよ」

 

 

 

 だいりのなんか楽しい冒険 ー完ー

 〜本日までご愛読ありがとうございました〜

 

 

 

 

 

 

「なんでぇ!?」

 

「だっても何も、キミは既に契約した魔法少女の肉体と魂の入れ物の中にいるんだから、その体で契約するのは不可能だよ」

 

「えー叶えてくれよー願いー。打ち切りはねーよ編集ちょー」

 

「誰が編集長だよ。無理なものは無理だ。魔法少女の契約は契約の際に放たれる願いのエネルギーで魂を物質化することで、初めて願いを叶えることができるんだ。既に魂が物質化してソウルジェムに入り込んでるキミが契約することは不可能だよ」

 

 先ほどと変わらない様子で事実を述べるキュウベェ。

 どうやら本当にだいりでは願いを叶えることは不可能のようだ。

 

「えー!やだー!願いかなえたいー!俺っちだけ不公平だー!」

 

 そうだいりは床に倒れ込み駄々をこねる。身長が高めの目つきの悪い金髪JKが白いイタチに対して駄々をこねている。側から見ればかなり奇妙で滑稽な絵面である。

 キュウベェは魔法少女の素質がある人間以外には見えないので一般人からは一人芝居に見えるわけだが。

 

「駄々をこねるんじゃない。何歳なんだいキミは」

 

 珍しくキュウベェは呆れた雰囲気をあらわにし小さくため息をつく。

 そして少し考える素振りを見せるとうつ伏せになって呻き声を出しているだいりに首を向ける。

 

「一つだけあるよ。願いを叶える方法」

「マジで!?」

 

 即答である。

 さっきまでの落ち込み具合はどこえやら。よほど嬉しいのかキュウベェを両手掴みにしてぐわんぐわんと頭を揺らしている。キュウベェは喋りづらそうだ。

 

「わかったから手を離してくれ。内容が伝えにくくなる」

 

「イエッサーボス!!」

 

「ボクはボスではないよ」

 

 キュウベェは無機質に答えはするが、若干だいりのペースに呑まれつつあることを自覚する。何でもかんでもテンションやノリで押し切ってしまうところが彼女の恐ろしい所なのかもしれないと、内心キュウベェは思う。

 解放されたキュウベェは改めて目の前のバカと向き合う。

 

「それでそれで!その方法って?!玉を7つ集めればいいの?!それともなんちゃら戦争に勝てばいいのか!?」

 

「落ち着くんだ。焦らなくても今から話すよ」

 

 相変わらずよくわからない例えを出しているだいりだが、それをスルーしキュウベェは話し始める。

 

「いいかいさっき言ったように、魂が既に具現化しているキミが願いを叶えることは不可能だ。けど、キミ以外の人間なら叶えられるだろう?」

 

「えーと、つまり?」

 

「キミ以外の素質のある人間に頼んでキミの願いを叶えてもらえれば」

「却下」

 

 即答である。

 キュウベェは理由がわからないと言わんばかりに首を傾げ、問う。

 

「何故だい?キミは駄々をこねるほど願いを叶えたいんだろう?だっら迷う必要なんてないじゃないか」

 

「ばっかあんた、それって他人の願う権利を奪うってことでしょ?そんなやり方で願い叶えてもおれっちなーんにも嬉しくないもんねー。そんな他人の金奪って欲しいもの買うような真似したくないわ」

 

 当然のようにだいりは答える。

 この主人公、人並みの倫理観は持ち合わせていたようだ。

 

「そうかい。でも本当にそれ以外に願いを叶える方法はないよ」

 

「別にそうとは限らないだろ?もしかしたら探したら見つかるかもしれない!」

 

 そう高らかに宣言し、だいりは自分の部屋にある引き出しから何かを出しながら、それを側にあるリュックに入れていく。

 

「なんの準備をしているんだい?」

 

「探しにいくんだよ!願いを叶える方法を!」

 

「ないよそんな方法」

 

 

 きっぱりと事実を突きつけるキュウベェだが、それに対してだいりは不敵な笑みを浮かべている。

 

 「いいかロリコン、この世に絶対はないんだ。絶対に見つからないとか、絶対できないとか、そういうのはな、言った奴の中でそうであっても、そいつ以外の中ではそうじゃない!」

 

 

 だいりはリュックのチャックを閉め、つばつき帽子を被るとそのままさっさと部屋を出て階段を降りてしまった。

 

『わっ、どうしたのです、だいり!?』

 

『丁度いい、なぎっちも一緒にこい!』

 

『えっ?!ちょっと?!なぎさはまだチーズを作ってる途中…』

 

 

 バタン!

 

 そのままだいりはなぎさを連れて家を出てしまったようだ。

 彼女がいなくなった部屋は奇妙なほど静かで、急いで準備をしたからか机の周りはかなり散らかっている。まるで嵐が通り過ぎたようだ。

 1人だいりの自室に残されたキュウベェは再び小さくため息をついた。

 

 

 

 

 「全く、訳がわからないよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 7月の下旬、夏真っ只中。俗に言う夏休みを学生は満喫している時期である。都心部はかなり一通りが多く、見ているだけで蒸し暑さがうつりそうな人混みで溢れている。

 

 そんな中、Tシャツとジーパンを足し着用した少し背の高い女性一人と、夏らしい通気性の良さそうなワンピースと麦わら帽子をつけた幼女が1人。

 

「…だいり、なんなのですその格好、側から見たら完全に不審者なのです。通行人の視線が痛いのです。やっぱだいりはバカなのです」

 

「俺っちはバカではない」

 

 だいりの格好はお世辞にも、一般人とは言い難いものだった。帽子の下に掛けている厳ついサングラスに、マスクを着用している。まさに不審者のテンプレートとでも言うべき姿だった。

 

「ふっ、これは世を忍ぶ雪野だいりのもう一つの姿よ。このマスクとサングラスでその秘めたる正体を隠しているのだ!」

 

「ぜんっぜん忍んでないのです。寧ろ怪しさが溢れんばかりなのです」

 

 こんな格好では通報されるのも時間の問題だろう。

 

「でも俺っちサングラスとかつけてなくても大して変わらないと思うぞ」

 

 

 だいりの顔つきはかなり悪い。特に目つきが。

 ぱっと見柄の悪い不良と勘違いされても無理はないのだ。事実だいりは何度か通報されたことがあるし、本物の不良に絡まれたこともある。警察はともかく893関係に巻き込まれるのは勘弁であった。きっとこの体の持ち主はマフィアか何かだったに違いない。

 無駄なトラブルを避けるためにも顔を隠す必要があったのだ。

 

 

 しかし顔を隠す必要がある理由はもう一つある。

 それはこの元の体の持ち主を知っている人に会ってしまうということだ。

 

 この本来の彼女と知り合ってる人は彼女が既に死んでいるか、行方不明になっていることを知っているだろう。

 考えても見てほしい。いきなり目の前に死んだはずの人間が現れたらどうなるか。普通なら腰を抜かしてしまうだろう。話もややこしくなる。

 何よりこの体の彼女は命をかけて魔女と戦っていた魔法少女なのだ。一緒に戦う仲間もいたのかもしれない。そんな仲間が今のこの彼女と会って、中身が別人だと知ったらショックだろう。きっと怒る。そしてそれが迷いや悩みになってしまうかもしれない。

 だからだいりはこの彼女が目覚めるまで極力知り合いに会うのは避けたかった。

 

 

 実の所だいりは既にこの身体の持ち主の知り合いっぽい人に会ったことがある。

 出会ったのは、白髪で背が低い少女だった。向こうは確実に自分を知っている様子だったので、その場から即退散した。

 

 いやー、魔法少女になったからといって遠出なんてするもんじゃないね。

 

 それ以来、だいりは外出の際は顔を隠しながら行動するようになった。

 だがこの変装をするようになって今まで職質された回数は数知れず。既にこの辺りのお巡りさんには顔を認知されつつあった。

 どちらにせよ通報はされる運命なのはご愁傷である。

 

 ちなみになぎさはだいりが魔法少女になった事情を知らない。

 キュウベェ曰く、自分は他の世界から来た可能性があるとか何とか、とのことなので、そんな存在であるだいりが自分の存在について誰かに深く認知されようものなら世界にどんな影響が出てくるかわからないそうなのだ。正直その辺りはだいりはさっぱりであるが。

 

 よってだいりはなぎさに自身が記憶喪失になっているというふうに伝えており、両親も既に死去しているという事にしている。

 

 

「そもそも何しに外に出たのですか?なぎさが一緒に来る必要はあったのですか?無いならチーズ作りに戻りたいのです」

 

 はっと考えていた意識を戻し、なぎさの疑問に答える。

 

「なぎっちまた新作チーズ作ってたの?あれキッチンがとてつもなくチーズ臭くなるからやめて欲しいのだけれど」

 

 まぁそれは置いといて、と一息つくと。

 

「今回連れてきたのはこの俺っちが魔法少女としての願いを叶える方法を探すためさぁ!一人より二人の方が探しやすいでしょ?」

 

「解散なのです」

 

 高らかに言い放っただいりに対して、それだけ告げると回れ右で自宅に帰ろうとする。

 

「まってまってまってえぇー!俺っち一人だとすごく寂しいんだよー!お願いだよーキュウベェには変に啖呵切っちゃったし協力できないしさー」

 

 泣きつきながらだいりはなぎさに縋る。実に情けない姿である。

 

「自業自得なのです。というかそもそも願いを叶えたいってなんなのです?魔法少女になったからには願い事は叶えてもらったんじゃ無いのですか?」

 

「ほら、前になぎっちにも言ったじゃん。俺っち願い叶えてもらってないって」

 

「…確かにそんなこと言ってたけど、そんなだいり1人の事情になぎさを巻き込まないでほしいのです」

「ふふっ、それはどうかな?なぎっちだってお願いがもう一回叶えられるかも知れないんだぞ」

 

 少し気圧されたなぎさはそのまま不審者セットに顔を包んだだいりに詰め寄られる。

 

「お願いがもう一回叶ったら、今度はチーズ一年分とか頼めるかも知れないんだぞ!」

 

「チ、チーズ100年分!?」

 

 なぎさはだいぶ過大解釈したようだが、そんなことお構いなしにだいりはさらに詰め寄る。

 

「そうだ!しかもあらゆる国のあらゆる種類のチーズが頼める!」

 

「全宇宙のあらゆる銀河のチーズが!?」

 

 チーズのことになると周りが見えなくなるなぎさはあっさりだいりの言葉に呑み込まれる。

 だいりの言ったお願いはなぎさにとっては魅力的なものだったようであり、なぎさは目を回しながら涎を垂らしている。「それだけのチーズがあればだいりを…」などと小さく呟いており、その様はどこか狂気すら感じる。

 

 よし!あと一息だ!そうだいりが確信した瞬間ー、

 

 「あのー、キミ」

 

 おもむろに誰かに肩を叩かれる。

 

 

(何だ?あと少しなのに…)

 

 

 「通報を受けた警察のものなのだが…、少し署まで来てもらってもいいかな?」

 

 

 

 

 

 あ、あー……

 

 

 はい。

 

 

 不審者セットを身につけて男装っぽい姿で何か呟きながら幼女に迫る。

 しかも肝心の幼女の様子がおかしいとなればいくら同性でも通報されない訳がない。連行までの黄金コンボは既に成立していたのだ!

 

 

 

 

 悲しきかな主人公は警察に捕まってしまった!

 

 

 

 

  ー終わりー

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

「いや終わってたまるかーー!!」

 

 終わってなかった

 

「なんなのです急に、びっくりするのです」

 

 

 あの後、なぎさの証言もあり無事警察の魔の手から解放されただいり一行は、願いを叶える方法を探して都内近辺を散策していた。また君か、と警察に言われた時のなぎさの視線はしばらく忘れられないだろう。

 しかし既にあたりは暗くなり始めており、夕日が美しく見える時間帯になっていた。

 

「いやー、ありがとねなぎっち。手伝ってくれて」

 

「別にいいのです。それに思い出したのです。なぎさはチーズのためならどんなに可能性が低くても、そこに向かって行動するべきと言うことを!なのです!」

 

 高らかにそう宣言するなぎさ。

 

「そのいきだぞ!なぎっち!今のなぎっちは発酵菌の神様に愛されている!」

 

 

 よくわからないことを言うだいりは相変わらずだが、そんなだいりを見てなぎさは問う。

 

「それよりもどうやって願いを叶える方法なんか探すのです?心当たりとかあるのですか?」

 

 なぎさの疑問は当然だ。願いは魔法少女の一人につき一度きりが基本的なルールである。だいりの場合も、キュウベェが言った通り、本来は魂が具現化してしまった魔法少女が、再度願いを叶えることは不可能である。何かしら方法があるのではないかとなぎさは思った。これで考えなしならよほどの馬鹿である。

 

 

「心当たり?そんなのはない!」

 

 

 残念!この主人公はよほどの馬鹿であった!

 

 

「心当たりはないから、まずは俺っちたち以外の魔法少女を探してみよう!俺っちたちは知らなくても他の魔法少女は知ってるかも知れないからな!」

 

 バカではあるが、ある程度理性的な考えができるのがこの雪野だいりである。ある偉人はは言った。理性的なバカほど、手に負えないものはないと。

 

「はあー、そんなこったろうと思ったのです。」

 

 しかしそこは伊達にだいりと一ヶ月一つ屋根の下で暮らしてはいない。考えなしなのは想定済みだったようだ。そしてなぎさは指にはめてある指輪をチラリと目をやる。

 

 

「ここから真っ直ぐ行った少し先に魔女の気配がするのです。一緒に魔法少女の魔力も感じるのです。多分交戦中なのです。」

 

「おっしゃ!じゃあ早速そこに行くぞ!」

 

 なぎさの言葉を聞くと、だいりは一目散になぎさの指さした方角に走り出した。それを見たなぎさは慌ててだいりの跡を追いかける。

 

「ちょっといきなり走らないでなのです!というかそろそろ魔力感知の一つできるようになったらどうなのです!」

 

「ごめん、無理!」

 

 だいりは未だにソウルジェムを利用しての魔力の感知ができない。

 これもキュウベェ曰くソウルジェムにだいりの魂がなじみ切っていないからのことなので、そのうち使えるようになるのこと。

 

「なぎさは魔法少女になった瞬間に感知できたのにほんとにだいりはセンスがないのです!」

 

 戦闘もよわっちぃのです!と付け加える。同じ理由で魔力の使用量も少ない。よってこの主人公は現在戦闘面ではほとんど役に立たないのだ。

 

「誰が役立たずだー!最近はある程度倒せるようになってきたからなー!」

 

「役立たずとは言ってないのです!?このバカ!」

 

「俺っちはバカではない!」

 

 そんな冗談混じりを交えながらしばらく走っていると、

 

 

「……あったのです!結界の入り口!」

 

 路地裏の行き止まりに不自然に空間に空いた穴があった。

 

 中からは、結界内の様子がぼんやりと見え、僅かな銃声のようなものが聞こえる。そんな結界内を覗きながらだいりは呟く。

 

「あいも変わらず悪趣味な見た目ですなーおい。なんだかアメリカン風味と現代アートを足して割らずにぶちまけたみたいな見た目だな!後ちょっとくさい!」

 

「ぼさっとしたないでさっさと変身するのです」

 

 はーいという返事と共にだいりはソウルジェムの指輪を指から外し、水玉のような宝石の見た目に変化させる。そしてソウルジェムから眩い光が放たれ、数瞬では光は収まり、収まった頃にはだいりの変身は完了していた。

 

 その見た目は全体的に黒く、上半身はフードの付いた黒いパーカーだが、肩から先の布がなく、脇が丸見えになっている。そしてそこから少々豊満な横胸が見えるような衣服になっており、少しはだけてしまえば、大変なものが見えてしまいそうである。

 下半身は黒いダメージジーンズのようなものを履いており、一見大丈夫なように見えるが、ジーンズのダメージ部分がかなりまずいところが破けており、これも一部の層には受け付けそうな見た目である。そしてついでのようにパーカのフード部分や、裾部分などに所々、モフモフな真っ白な毛がついている。

 変身が完了すると、既に変身をしていたなぎさが顔を赤くしながらこちらをじっと見つめている。主に胸を。

 

「やっぱりえっちぃのです…」

 

「うっさいわ!好きでこんなエロい格好したないっての!」

 

 だいりはあまりこの格好が好きではなかった。というかそもそもの話魔法少女の格好は必ずと言っていいほど、際どい部分があるのだ。

 

 今までも魔法少女に何人か会ってきたが、その全員と言っていいほどどこかしら露出していたり、一定の層には受けそうな格好ばかりだったのだ。

 要するにエロい!なぎさなどまだマシな方である。パンイチで魔女退治をしていた魔法少女を見た時はだいりは己の目を疑った。マジであのロリコン許すまじ。

 未だになぎさは鋭い目つきでだいりの胸を見つめていた。

 

「ふーん、まぁいいのです。なぎさもそのうちボンッキュッボカーン!になるのです!」

 

 最後爆発しとるやないか。

 

 少々フラグ気味ななぎさの発言に対してそう内心呟きながら、再び結界と向き合う。

 

「あっ、そうだ忘れてた。お面つけとかなきゃ」

 

 そういうとだいりはリュックの中からひょっとこのお面を取り出し、顔に装備する。流石に魔女との戦闘中に不審者セットをつけながらでは戦いづらいのだ。

 

「毎度思っているけど、いい加減お面変えないのです?時々戦ってる時に笑っちゃうのです」

 

「いやー、俺っちも途中で変えようと思ったたんだけど、何か変な愛着湧いちゃって、変えるに変えられないんだよねー」

 

 このお面はだいりが100円ショップで適当に買ったものだ。それを魔法で改造して丈夫にしている。

 

 

 また戦闘中に笑わない自分のツボに祈りながら、なぎさはだいりと共に結界の中に飛び込んでいった。

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

『8+〆>°○4〆24〆6?76=+々→〒°\〇ーー!!』

 

「くっ…」

 

 

 魔女が自身の身体の一部であろうバイクのような物体が二つ眼前の魔法少女目掛けて射出される。

 辛うじて横にかわしはするが、かわしたバイクはそのまま綺麗なカーブを描き再び魔法少女に迫る。今度は挟み撃ちの形だ。

 

「はっ!」

 

 しかし、その攻撃もその少女は上に飛び上がることで華麗にかわす。が、その行動を読んでいたのか、挟み撃ちの形でぶつかったバイクが不自然な形に爆散し、その鋭いパーツが少女を襲う。少女なす術なくその攻撃を浴びてしまった。

 

 見るに耐えないほどズタズタにされた少女に対して、トドメと言わんばかりに魔女本体は自身の電子チューブにも似た腕を少女の胸辺りに突き刺す。

 

 鮮やかな鮮血が辺りに飛び散り、一人の魔法少女は絶命した。

 

 

 …と思われた。

 

 魔女はすぐに異変に気づいた。その瞬間、魔女の全身に大量の弾丸がヒットする。飛び散った鮮血だと思っていたものは全て銃弾だったのだ。

 

 魔女は遅れながら気づいた。ならばあの女はどこへ?その思考に至った瞬間、魔女の視界はひっくり返った。

 

「残念だったわね。貴方が私だと思って突き刺したのはリボンで象った私の人形よ」

 

 そう、この少女は自身の魔法で作り出したリボンを使い人形を作り出し、中に魔法のリボンで作ったマスケット銃を数本入れ、それを囮として使った。そして魔女が突き刺したと同時に、マスケット銃から銃弾が発射。魔女が混乱しているうちに人形を象っていたリボンが魔女を拘束し、逆さ吊りにしたのだ。

 今魔女は隙だらけである。

 

 

「これで決めさせてもらうわ!」

 

 

 そういうと、少女の手から大量の黄色いリボンが現れ、それがあっという間に巨大な大砲に変化した。そしてそれを拘束されている魔女に向け、一言。

 

 

 

『ティロ・フィナーレ!!』

 

 

 

 瞬間、大砲から巨大な魔力弾が発射され、魔女に直撃する。

 

 けたたましい爆音と、大量の煙が当たりを包み、爆風が当たりを支配する。

煙が晴れると、そこには結界内の壁にに大穴が空いており、そこに魔女の気配はない。

 

 

「ふぅ…」

 

 

 魔女を倒した安心感からか、緊張を吐き出すように思わずため息をつく。

 

 今回の魔女は彼女、巴マミから見ても、かなりの強敵であった。マミはここ見滝原で最も魔法少女歴が長い魔法少女で、その実力は先程の通り折り紙付きである。

 

 といっても、現在見滝原で戦える魔法少女はマミの知る限り、自身の弟子を除いて彼女しかいないし、魔法少女歴も最近一年目を迎えたばかりだ。

 それでも今日までマミが魔女を倒し続けられたのは、魔法少女としての才能と、戦闘センスが高かったからだろう。

 

 そんな時、マミはある異変に気づく。

 

 

「魔女の結界が消えない…?」

 

 

 魔女の結界は魔女そのものと言っても過言ではない。本来魔女がその場から逃げるか、消滅すれば、あたりの結界は消滅はずである。その結界が消えていないということは、つまり。

 

 

 はっと上を向くと、先ほど倒したはずの魔女が自身の手であろう電子チューブを結界の天井内に貼り付けて、頭部と思わしき部分から、今まさに魔力弾を撃ち込もうとしている瞬間だった。

 

 何故?そう思った時、足元の自分が創り出したリボン不自然な焼き切れ方をしていることに気づいた。

 

(まさか!)

 

 この魔女はマミの必殺が撃たれる前に自身の体のオイルに火をつけ、リボンを焼き切り、間一髪脱出したのだ。

 そして天井に張り付き、気配を消しながら、マミが油断する瞬間を待っていたのだ。

 

(リボンでガードを …ダメ、間に合わない!)

 

 

 そう考え至り、自分の死が頭をよぎりかけたその時。

 

 

 

 ガッシャーーーーーン!!!!

 

「いぇぇぇーーーーーーいっ!!!!!」

「ぎゃあああああああああなのですーーーーっ!!!」

 

 

 

 結界の壁から突き破って出てきた何かが魔女の胴体に直撃した。

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

「結界に侵入成功!…って、くっさ!めっちゃオイル臭い!」

 

「確かに、まるでガソリンスタンドなのです。それに使い魔の姿も全く見えないのです」

 

 魔女の結界内に入っただいりとなぎさだが、結界内はかなりきついオイルの匂いで充満しており、結界内の見た目もバイクらしきもののタイヤや、備品などが散乱していた。そして、そこらじゅうから相当数のバイクのエンジン音が絶え間なく響いている。

 思わずだいりは鼻をつまもうとするが仮面をつけているので、その行為はひょっとこの鼻部分を抑えるだけに終わった。

 

 使い魔の姿ひとつも見えないことからどうやら、ここに来た魔法少女があらかた倒してしまったようだ。

 

 

「先にきた奴が倒したんじゃないのー?じゃあラッキーじゃん!楽に進めるしー。そんなことよりも臭い!なぎさのチーズ料理みたいだぞ!」

 

「なぎさの料理はこんな臭くないのです!こんな油臭い結界と一緒にするなです!」

 

 

 なぎさが猛烈に抗議するが、だいりはそれをスルーし、さっさと結界の奥に進んでいく。

 

 少し進み開けた場所に出る。何故かオイル臭いきつい匂いは少しおさまったが、うるさいエンジン音は変わらない。かなり広いドームのような形の部屋だ。

 

「しかし、思ったより広い結界だなー。この前行ったコミケってやつの会場みたいだ。また行きたいなー」

 

「確かに今まで見てきた魔女の結界の中でも頭ひとつ抜けいるのです」

 

 なぎさのツッコミをまたしてもスルーしただいりは突然その場で立ち止まり、少し様子を見るそぶりをすると一目散に視線の先に走り出した。

 

「どうしたのです?」

 

「なぎっち、これ見ろよ!」

 

「?」

 

 だいりが立ち止まり、それに指を刺す。その先には無数のバイクの残骸があったのだが、その中に一つだけ妙に綺麗なバイクが立てかけてあった。使い魔のように襲いかかって来る様子はない。

 

 

「しっかり手入れもされてるぞ!いやー、一回バイク乗ってみたかったんだよなー」

 

「…まさかそれに乗るのです!?バカなのです!?」

 

「俺っちはバカではない!」

 

 なぎさは慌てて静止しようとする。当然である。遊んでいる暇がないというのももちろんだが、魔女の中には結界内の物体には触れることで対象の魔力を乱したり、ソウルジェムの汚れが溜まりやすくなる状態異常にかかるようなものもあるのだ。

 魔女退治をする上で基本結界内のものは触らないがルールである。というか普通触らん。

 

 しかし、目の前にいるのは稀代のバカである。そんな常識一つで止まるはずがない。

 

 

 ヴゥーーーン ヴゥゥーーーーーン!

 

 

「おっ、ちゃんとエンジンかかるじゃん。いい子いい子」

 

「やーめーるーのーでーすー!」

 

 

 なぎさは必死にだいりのパーカーの襟を掴んで止めようとするが、その抵抗虚しくエンジンのついたバイクになんの抵抗も無しに跨った。

 

 

「お前はなんか見た目が白っぽいから、今日からお前の名前はペ●パーくん3号だ!」

 

「なんでそのチョイスにしたのです!?というか、1号2号どこ行ったのです!?」

 

 ツッコミむなぎさ。拾ったバイクに一昔前に流行った稼働機に似た名前をつけただいりはそのままなぎさの服の襟を掴み持ち上げ、バイクの後方座席に乗せた。

 そしてそのまま正面を向き、バイクのアクセルを鳴らす。

 

「問題ない!魔力を使ってある程度頑丈にしてある!魔女が自爆しようと、バイクが壊れることはない!」

 

「そういう問題じゃないのです!下手したらなぎさたちが壊れるのです!」

 

「よし!準備オーケー!いつでも行けるぜ!まずはあの爆発音がする壁目掛けてゴールインだ!」

 

「こっちは全然オーケーじゃないのです!というかそもそもこのバイクに乗りたくないのです!おーろーすーのーでーす!」

 

「バイクを相手の顔面にシューーーーッ!!!」

 

「いゃああああああああああ!!!」

 

 

 人生初めてのバイクにテンションがおかしなことになっているだいりはそのまま爆発音がなる壁目掛けてバイクを走らせアクセルを全開まで回して突撃するのだった。

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 ガッシャーーーーーーン!!!!

 

 

「イェェェーーーーーーイ!!!!!」

「ぎゃあああああああああなのですーーーー!!!」

 

 

 

 壁を突き破って現れたのは白いバイクに乗った魔法少女らしき少女が二人だった。彼女たちの乗ったバイクは魔女の胴体にあたり、そのまま魔女を結界の壁際まで吹っ飛ばしてしまった。

 

 そして少女らの乗ったバイクはマミの目の前に自由落下してくる。

 ズドン!と大きな音が立ち、少し煙が立つ。マミは思わず咳き込むが、すぐに目の前のバイクに視線を向ける。

 

「いやー楽しかったー。まさか壁を抜けたら目の前に魔女がいるなんてなぁ。こんな楽しかったのはめっちゃ久しぶりだわ〜」

 

 わははーと何故かひょっとこのお面をつけた少し背の高い黒いパーカーを着た少女が言う。

 

「こっちは全然楽しくなかったのです…!目の前に魔女が出てきた時なんて生きた心地がしなかったのです…!二度とごめんなのです…!」

 

 真っ青な顔で、嗚咽を吐くように可愛らしい猫耳のようなカチューシャが特徴的な少女が言った。

 

 マミは突然の出来事にかなり混乱しており、先程の衝撃で腰を抜かしてしまっていた。しかしすぐに彼女ら二人が魔法少女と認識したマミは若干言い争いになっている二人に話しかける。

 

「あの…あなたたちは?」

 

「あ、なぎさたちは見ての通りあなたと同じ魔法少女なのです。この魔女とあなたの気配を感じて助太刀に来たのです!」

 

 その答えにマミは納得し、同時に少し安心した。

 今回の魔女はかなりの強敵で一人では苦戦を強いられると言う理由もあったが、現在ここ見滝原にいるまともに戦える魔法少女は自身の弟子を除いて自分一人しかいないと思っていたので、そういう意味でも目の前の二人は少し頼もしい存在に見えた。

 

 

「そうだったの、ありがとう。危ないところを助けられてしまったわね。私は巴マミ。この見滝原で魔法少女をしているわ」

 

「巴マミか、じゃあマミっちだな!」

 

「ま、マミっち…?」

 

「このバカ言うことは気にしないで欲しいのです。なぎさは百江なぎさ、隣のバカは雪野だいりなのです」

 

「俺っちはバカではない」

 

 戸惑うマミに自己紹介を含めあっさり言うなぎさを横目にだいりはあっと、何かを思い出したような素振りを見せ、マミに話しかけようとする。

 バイクを運転したテンションで忘れ気味だったが、今回魔女の結界に来たのは自分たち以外の魔法少女から願いを叶える方法を聞きに来たと言う目的を思い出したのだ。

 

 

「なぁ、マミっちひとつ聞きたいんだけ、」

『+>98$×>÷8♪€35$€>58♪÷88÷$4〆$¥18÷°$4〆>ーーーーーーーーーーーー!!!!』

 

 

 だいりが問いを投げかけている途中、遮るように魔女の咆哮が聞こえてきた。どうやらまだピンピンしているようだ。その身体は燃えるているように赤くなっている。というか実際に燃えている。背中が火事状態だ。だが、弱るどころか怒って凶暴性が増しているようにも見える。

 凄まじい熱風が辺りを支配する。

 

 

「げぇ!こいつ生きてたの!ていうかあっついのです!」

 

「えぇ、この魔女は普通の魔女より強い上に、想像以上に頭も切れるわ」

 

 

 マミが簡潔に魔女の厄介さを説明し、リボンでマスケット銃を生成し、魔女に向けて構える。

 なぎさも結界の大きさなどからこの魔女の強さを認識したうえで武器のラッパのようなものを構えて戦闘態勢になっている。

 だいりはペ●パーくん3号の後部座席部分あたりをいじっている。

 

「ってこんな時に何やってるのです!?バカなのです!?」

 

「俺っちはバカではない」

 

 なぎさがだいりに対して疑問を飛ばす。マミもだいりが何をしているのかがわからない様子だ。

 

「2人とも!今からペ●パーくん3号を改造してそれで三人で全速力で逃げる!あいつの体見てみろ」

 

 そうだいりは魔女を指さす。マミとなぎさは怒りで真っ赤になっている魔女に目を向ける。すると魔女の身体から何か液体のようなものが垂れているのが見えた。

 

「あれは…」

 

「溶けてる?」

 

「多分あの魔女、怒りまくってるせいでその熱で自分の体を溶かしてるみたい。おまけにオイルまでダダ漏れだ。いや、なんであんなに怒ってんのかは知んないけど」

 

 急所にあたっちゃったのかな?とつぶやくだいりだが、ともかくあの様子だと勝手に自分の熱で爆散するのも時間の問題だとだいりは感じたのだ。

 どの道あの状態では正攻法で倒すのは難しいだろう。などとだいりが考えていると、そうこうしているうちに魔女は自分の手足にであろう部分にタイヤを展開し、こちらを睨んでいる。間違いなく突撃3秒前である。

 

「あり?結構難しいな…」

 

「や、やばいのです!」

 

「くっ!」

 

 マミが無数のマスケット銃を周囲に展開し迎撃の準備を取る。

 

 

 

 

 

「よし!できた!」

 

 

 

 

 

 

 結界内は大爆発した。

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 あたりは凄まじい量の黒い煙が当たりを支配しており、火の粉と砂塵が大量に舞っている。壁の至る所が燃えており、近くにあるバイクの残骸を溶かしている。

 まさに地獄絵図。こんな環境で生命が存在できるはずがないと思わずにはいられないが、そんな中、煙の中から迫る影が一つ。

 

 

「よっしゃぁぁぁ!!抜けたぁぁ!」

 

 

 ペ●パーくん3号である。どうやらマミが機転を利かしリボンを駆使して、間一髪魔女の突撃をかわし、爆発の中を無事脱出できたようだ。

 

 そのままペ●パーくん3号は走り続ける。いや、最早あのバイクはペ●パーくん3号ではない。だいりが今回の逃亡用だけに改造したペ●パーくん3号MK-2である。バイクのマフラー部分が異様にデカくなっており、そこから青い炎が出ている。

 

 この主人公、魔力の操作だけはピカイチで、ソウルジェムに魂が馴染きっていない今の状態でもちょっとした改造なら朝飯前である。

 そんなペ●パーくん3号MK-2は後頭部座席が少し伸び三人乗りになっており、マミとなぎさはそこに乗り込んでいた。

 

「げっほ、げっほ!あー、死ぬかと思ったのです…。今日だけで二回も死にかける目に合うなんて、ツイてないのです…」

 

「でもなんとかあの場からは脱出できたわ…。今のあの魔女は私の攻撃ですら燃やし尽くしそうな勢いだったもの。仮に倒せはしても、あの大爆発に巻き込まれていたでしょうね」

 

「なぁ、二人とも。良いニュースと悪いニュースがあるんだがどっちから聞きたい?じゃあ、悪い方から言うぞ」

 

 じゃあ最初から言うなとなぎさは思う。二人から返事を聞く気などゼロな質問をしただいりは言葉を続けて、

 

 

「魔女、生きてるわ」

 

「は?」

 

 

 瞬間、だいりたちの後ろの煙の中から、炎を身に纏った魔女が飛び出してきた。その目ははっきりとだいりたちを捉えている。

 

 

「ぎゃあ!生きてるのです!」

 

「おーすげー。最近見たゴーストライダーみたいだな!」

 

「うっさいのです!このバカ!」

 

「俺っちはバカではない!」

 

「軽口叩いている暇はないわ!来るわよ!」

 

 

 炎の中から見える顔が歪むと、魔女は一気に速度を上げ、だいりたちとの距離を縮める。

 それをマミは空中に展開しておいたマスケット銃で迎撃しようとする。

 

 

「届く前に全部燃え尽きてるのです!」

 

「どうやら魔力そのものを燃やしているようね…」

 

「あいつめちゃくちゃ怒ってんな。しっかり牛乳飲んでるんだろうか…」

 

 そうこう言っている間にも魔女とのの距離はじわじわと縮んでいく。

 

「なぎさちゃん、足元よ!一緒に足元を攻撃するわよ!」

 

「わかったのです!」

 

 なぎさが返事をするとマミは展開した無数のマスケット銃を、なぎさは片手に持ったラッパを魔女の足元に構え、魔力弾とシャボン玉で同時に攻撃した。

 

 

 『×○8:=¥4¥☆4€>5*$#5;÷〆…+*€3+*€6〆°5*€÷€ーーーーー!!!』

 

 

 魔女の足元が派手に壊れ、そのまま魔女は虚空に落ちていった。そしてトドメと言わんばかりにマミは虚空に向けて大砲を打ち込む。

 

 すると下から爆発音と、魔女の悲鳴が聞こえてきた。

 だいりは一旦バイクを止める。

 

「はぁ〜、なんとかなったのです」

 

「いえ、まだよ」

 

 そうマミが言うと、派手に開いた大穴から先程落ちた魔女の咆哮が聞こえてきた。

 その声は心なしか更にドスが効いているように聞こえる。

 

 

「まだ生きてるのです!?」

 

「本当にタフね…」

 

「あれじゃ這い上がってくるのも時間の問題だな」

 

 あまりの魔女のタフさに3人は半ば呆れている。

 

「そういえば、良いニュースって結局何なのです?」

 

 

 

「へっへーん、実は俺っちあの魔女倒す方法思いついちゃったんだよね!」

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

「よし!じゃあ準備はいいか?」

 

「私はいいけれど、だいりさんは本当に大丈夫なの?下手すれば貴方の身が危ないわ」

 

「諦めるのです。だいりはこうなったらテコでも動かないのです。本物のバカなのです」

 

「俺っちはバカではない」

 

 何度もだいりの無茶振りに付き合わされているなぎさは諦め気味にそう言う。一方だいりは心なしかその目を輝かせている。だいりはこれからの結末がどうなるかわからない未知の感覚に気分が高まっているのだ。それを見て雪野だいりはこういう未知に対する冒険心が高い人物なのだと理解する。同時に少し子供っぽいとも感じた。

 どの道あの魔女を倒す手段はこれ以外思いつかないのだ。腹を括るしかない。

 

 その時、地面が大きく揺れ、だいりたちの真下からものすごい速度で何かが這い上がってくる音が聞こえる。

 

「グッドタイミング!」

 

 そうだいりが言うと、だいり1人だけを乗せたペ●パーくん3号MK-2を走らせる。アクセルは全開だ。走らせた直後に先ほどまでだいりたちがいた床を突き破り、魔女が飛び出してきた。

 

「きたのです!マミ!」

 

「わかってるわ!」

 

 なぎさの言葉に応えるとマミは予め展開しておいたリボンを引っ張り、その先に結んである巨大な柱を2本魔女目掛けて倒す。柱が倒壊し、一瞬だけ魔女の周りの火力が弱まる。その隙に、なぎさは魔女の真上から手に持ったラッパから出したシャボン玉で攻撃する。攻撃自体は魔女に無事当たった。ある程度のダメージも与えられている。

 

 

『+$#=○♪$=|**$°\\<→×4×÷6|°$4」€>\…°2・€#=1・→#>ーーーーーーーーー!!!』

 

 

 しかし、魔女はその攻撃を意にも介さず、だいりのバイクに向かって突撃していく。

 

 

「やっぱりあの魔女の狙いはだいりの言った通りあの白いバイクなのです!」

 

 どうやら魔女の狙いはだいりの乗っている白バイクもといペ●パーくん3号MK-2のようだ。確かに魔女の視線はだいりというより、乗っているバイクに向いている。

 

 

「うおっ、あぶねーな!もっと安全運転心がけろや!」

 

 魔女は自身の胴体に装填されている炎上しているタイヤをだいり目掛けて放ってきた。だいりは魔女の攻撃に対して文句を言うが、そもそも無免許で運転しているだいりに魔女のことを言える立場ではないのだが。文句を垂れながらタイヤをかわしていく。

 かわしきれない攻撃はバイクで並走してるマミとなぎさが撃ち落としていく。

 

「あった、あそこだ!」

 

 だいりの目線の先にあるのは結界の壁にある入り口のような穴だ。その穴目掛けてだいりはアクセルを振り切る。

 

 だいりが猛スピードで穴に入ると、魔女も入り口の穴を突き破って中に入ってくる。

 

 

「やっと着いたぜぃ!ここがお前の死に場所だ!べいべぇ!」

 

 

 そこはだいりとなぎさが結界内に最初に入ってきた場所だった。先ほどと変わらず使い魔の残骸が散乱していて、きつい匂いが充満していた。そしておもむろにだいりはパーカーのポケットから何かを取り出すと、一気にそれは展開した。マミのリボンだ。

 予め作ってあったものをマミからもらっていたものだ。

 

 そしてその展開したリボンの先は空間の上に続いており、その先には、大量のガソリンがびっしりと並んでいた。

 

 そのガソリンのほぼ全てにリボンが繋がれている。

 

「この結界に入ってさ、この部屋だけ変にガソリン臭かったんだよな。お前がいた場所も結構きつかったが、ここほどじゃなかった。やっとその謎が解けたぜ」

 

 それを見た魔女は目の前の人間が何をするのかを理解し、慌てて来た道を戻ろうとする。しかし、穴があったはずの場所には黄色いリボンのようなものがびっしりと貼り付けられてしまっていた。

 

「お、どーした?血の気が引いて火の気も引いたか?けど悪いな。ここ一方通行なんだわ」

 

 付けてるお面のせいで表情こそ見えないが、きっと今だいりはとても良い笑みを浮かべていることだろう。そして自身の手に持っているリボンにぎゅうと力を少しずつ入れていく。

 

 

 それに気づいた魔女は慌ててだいりの元にタイヤを走らせる。

 

 

 

 「おっそいわ、ばーか」

 

 

 

 そう言うと、だいりは思いっきりリボンを引っ張り、それに繋がれた大量のガソリンの入った容器が魔女に叩きつけられた。

 

 そしてすかさず自身が生成した鉄パイプを思いっきりぶん投げ魔女のガソリンが垂れ流されている部分に突き刺す。すると突き刺した衝撃で火花が散る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、今日この結界内で1番の爆発が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー死ぬかと思ったわ」

 

「むしろ今のでよく生きてたのです」

 

「いくら私のリボンとなぎさちゃんのシャボン玉があったからって、あれで軽傷で済んでいるのは幸運ね」

 

 

 雪野だいりは生きていた。今回のだいりが考えた作戦ではほぼ確実に代だいりが爆発に巻き込まれるので、なぎさとマミがそれぞれ身を守るためのシャボン玉とガソリンを落とすのに使ったものとは別のリボンを預けられていたのだ。

 爆発の寸前、だいりは物陰に隠れつつそれらを使いあの爆発を凌いだというわけだ。それでも身体中に軽い火傷を負ってしまっているが、むしろそれだけで済んでいるのが幸運なくらいだろう。

 しかし、魔女を倒したというのにだいりのテンションは低い。むしろどん底だ。何故なら、

 

 

「ペ●パーくん3号MK-2…。何で壊れちまったんだよぉ〜」

 

 

 この結界内で連れ添ってきた相棒であるペ●パーくん3号MK-2がハンドルだけの無惨な姿になっているからである。いくらだいりが魔力で強化したものでも、流石にあの爆発で無事である道理はなかったらしい。

 だいりは相当落ち込んでるのか両手両膝を地面につけてしまっている。

 

「仕方ないのです。命があるだけマシなのです」

 

「だってさぁ、初めてのソウルメイトだったんだぞ!なぎっちは俺っちがいつもどんな気持ちでバイクの特集雑誌を見ているかわかってるのか!?」

 

「そんなの知るかなのです!そもそもバイク一つでそこまで悲しむ理由がわからないのです!時間の無駄なのです!やっぱりバカなのです!」

 

「言ったななぎっち!今この瞬間全銀河にいるバイク好きとドライブ好きを敵に回したからな!あと俺っちはバカではない!!」

 

 2人の不毛な言い争いが行われようとしているところをマミが静止する。いつもこんなことをしているのかしらと内心呆れ気味ではあるが…。

 

「こら喧嘩しないの。それよりも早くこの結界から出ましょう。お話はそれからよ」

 

「むー、わかったのです。まずは結界内から出て…」

「はーい。なぎっち覚えてろよ!結界から出たら…」

 

 

 

 

 

 

 『ん?』

 

 

 

 

 

 

 

 魔女を倒した達成感で今まで気づかなかったが、未だ魔女の結界は解けていないのだ。

 魔女と結界は一心同体。つまり。

 

 

 

 

 

 

 

 ごろん

 

 

 

 

 

 

 

 だいりたちの目の前に何かが転がってきた。

 先ほど倒した魔女の頭部である。

 物の見事に丸焦げではあるがだいりたちと魔女の頭部と視線が合う。

 

 

 そしてその頭部がチカチカと光り、そしてー、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だいりは何か冷たい感触で目が覚めた。全身の火傷から冷たい水が染みる感覚に顔を少し顰めながら、妙な浮遊感を背中に感じている。ふと視線を横に向けてみれば目を回した私服姿のなぎさがぷかぷかと水の上に浮かんでいるのが見えた。反対側を見ると同じく気を失っている私服姿のマミもいる。そしてだいりの手元にはグリーフシードが。

 

 

 どうやら結界から出たところが偶々、この見滝原の市民プールだったようだ。

 視線を真上にあげると市民プールのドーム状の天井が見え、そこからすっかり暗くなった夜空と綺麗なお月様が見えた。

 

 数人の駆けつけてくる足音を聞きながら目を細め、だいりは小さくつぶやいた。

 

 

 

 

「爆発オチってマジか…」

 

 

 

 

 

 次の日見滝原の町内新聞にて『夜中の市民プールへ学生三名不法侵入!』という見出しで小さく掲載されたとか。

 

 

 

 




補足

雪野だいり:頑張ったけど結局爆発オチにまとめられた主人公。今回の一件で警察にこっ酷く叱られたので暫く願い事探しはしないだろう。キュウベェ作の偽造証明書がなければ即死だった…。かなりのバイク好きで毎月バイクの特集雑誌を集めて熟読しているほど。そのおかげで今回、ペ●パーくん3号をバージョンアップさせるだけの技量を発揮することができた。

百江なぎさ:爆発オチの被害者①。多分今回一番酷い目にあっている。次の日、願い事探しに付き合ったお礼とお詫びに、だいりにたくさんチーズを買ってもらった。許してやらないこともないのです!ちょろい。尚、そのチーズ代が自身の家の経費から引かれていることに気づいていない模様。

巴マミ:爆発オチの被害者②。ピカピカの中学1年生。夏休みの宿題も終わりるんるん気分でスイーツでも食べに行こうかと思えば、帰りにめっちゃ強い魔女と遭遇。途中、助けてもらった魔法少女2人とともに魔女とバイクレースを楽しむが、最後気が抜けてしまい、爆発オチに巻き込まれる。当たり前だが、願いを叶える方法は知らない。後日、だいりの目つきの悪い顔を見て、内心ガクブルになったのはクラスのみんなには内緒だよ?。なぎさちゃんとは意気投合し、メアドを交換した。今回一番得をして、内心喜んでる人。やったね、マミちゃん!友達ができたよ!

キュウベェ:たまに感情ありませんよムーヴをするロリコン。最近はだいりのノリに少しずつのってくれるようになった。しかし、油断するな!こいつは年甲斐のない少女を願いという餌で釣り、エロい格好にしてしまう生粋の変態(主人公視点)だ!

バイクの魔女:愛する人と趣味を合わせるために何よりもかっこいいバイクを願った魔法少女が、愛する人との恋愛に失敗して、その後引いたソシャゲで大爆死をかましたことで魔女化した存在。魔女化前の少女はかなり頭が良かったので、魔女自体もかなり頭が切れる。結界内のどこかにある彼氏の白いバイクを模した使い魔を壊すことで実はあっさり倒せたりする。ただし魔女は彼氏のバイクを守るために文字どうり身を溶かしながら追いかけてくるぞ☆今回のラストの爆発オチはイタチの最後っ屁。
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