バカが魔法少女になった話   作:わらしべいべー

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やはり水着姿の魔法少女はスバラシィッ‼︎
限定水着の推しなら桜子ちゃんですね。kawaii…kawaii….
ですがやっぱり一番はかなえちゃんなので、かなえちゃんの水着衣装実装はよ。




プール・パーリィ

 

 8月の下旬、真夏の快晴の日。アスファルトの地面がフライパンの上だと錯覚するほど暑くなる時期だ。外に出るのも億劫になってしまうが、今日ばかりはここにいる人たちも水という心強い味方を得ることで大いに楽しげな声をあげている。

 

 だいりたちは今見滝原の市民プールに来ていた。

 目の前のプールで楽しげに遊んでいるなぎさとマミを見ながら、だいりは買ったジュースのストローに口をつけてぶどう味の炭酸を味わっている。

 

「ぷはぁー! 何でこんなに汗をかいた後の炭酸飲料って美味いんだろ…」

 

 今は夏休みも終盤に差し掛かった時期。多くの学生が絶望に叩き落とされる逢魔時でもある。

 だがなぎさはしっかりと宿題を終わらせており、だいりに至ってはそもそも学校に行ってないため、こうして夏休み最後の思い出作りに市民プールに来ているわけだ。

 

 ここは市民プールと言うにはかなり大きく、レジャー施設ほどの広さはある。プールやウォータースライダーも複数台あるし、たこ焼きなどの屋台まである。それ故に小学生以下の子供が来るときは保護者同伴が必須であり、その保護者役としてだいりは来ているわけだ。

 

 そんな保護者役のだいりは日陰用のパラソルを設備するために1人せっせと動いていたわけで、先程ようのやっとパラソルを組み立て終わり、買った飲み物をで喉を潤しながら一休みしているところだった。

 

 飲み干したジュースの缶を捨てようと席を立とうとした時、プールからなぎさが戻って来た。場所取りを全く手伝ってくれなかったなぎさに対してだいりは不満増し増しである。

 

「あ、だいり。場所取り終わったのです?」

 

「終わったー。ってかなにちゃっかり遊んじゃってんの?ちょっとぐらい手伝ってくれてもよかったじゃん!」

 

「子供は遊ぶのが仕事なのです。こういうのはちゃんとした大人のだいりがするべきなのです。ほら、かき氷買ってきたのです」

 

「やった!かき氷!」

 

(信じられないくらいチョロいのです)

 

 美味しそうにかき氷を食べるだいりを見ながらなぎさはだいりの思考回路の単純さに呆れる。するとなぎさの後ろから一緒に遊んでいたマミも来た。白のレースが印象的な綺麗な水着を着ている。

 

「おはようだいりさん。場所取りご苦労様」

 

「おっはーマミっち。そっちも場所取りできた?」

 

「えぇ、佐倉さんが一人でやってくれているわ。私も手伝おうと思ったのだけれど、"マミさんの手を煩わせるわけにはいきません!"って言って聞かなくて…」

 

「ヤクザの舎弟みたいだな」

 

「ところでだいりは泳がないのですか?」

 

 他二人はしっかりと水着を着ているが、だいりだけは何故かいつも通りの普段着だ。

 

「あー…、俺っちはいいわ」

 

「え、何でなのです?」

 

「いや、今はそういう気分じゃないんだよねー…」

 

 珍しいと2人はは思った。いつもならばなぎさが言うまでもなく水着を着て先にプールで暴れているぐらいはしてるというのに。

 

「一回泳いでみましょうよ。きっと楽しくなるわ」

 

「大丈夫だって、それに俺っち今日水着持って来てないし」

 

「それならなぎさが持って来てるのです」

 

「嘘!?俺っち自分の持ってなかったと思うんだけど!」

 

「昨日マミと一緒に選んだのです」

「えぇ、きっと似合うわ」

 

「いつの間に…」

 

 そう言ってマミは荷物から取り出した水着を持ってこちらににじり寄ってくる。だいりはそれに合わせて後ろに身を引く。

 

「い、いや本当に大丈夫だって…。泳がなくても俺っち楽しいからさ」

 

「だいりさんがいないと私たちが寂しいわ。だから一緒に遊びましょう?」

 

「ちょっ…それを持ってこっちに来ないで……お願いだから」

 

 そう顔を引き攣らせながら言うがマミは止まらない。否が応でもだいりに水着を着せる気だ。マミからいつもの加虐的なオーラが現れ始める。

 マミの蠱惑的な笑顔を見てだいりは一度ここから逃げた方が良いと判断し、そのまま回れ右で走り出そうとする。

 

「逃がさないのです」

 

「げっ!」

 

 なぎさが背後に回り込んでガッチリとだいりを腕ごとホールドした。しっかり魔力がこめてあるので抜け出すことができない。

 

「ぐわーっ、裏切ったな!なぎっち!」

 

「日頃の仕返しなのです。というか元々味方じゃないのです」

 

「さぁ、更衣室に行きましょう」

 

「ウワーッ!いやだーーっ!!」

 

 抵抗虚しく、だいりは2人に引きずられながら女子更衣室に連れて行かれた。

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

「おぉ!凄く似合ってるのです!」

 

「とっても素敵よ、だいりさん」

 

 

「ぐうぅ…、屈辱的だ…!」

 

 だいりは黒いビキニに、膝丈ほどのスカートがついた水着に着替えさせられていた。髪も花の飾りがついているヘアゴムで一纏めに結ばれている。

 2人の手によって水着に着替えさせられただいりは顔を真っ赤にして体の露出部分を腕で隠している。当然隠れ切ってはないが。

 

「そんなに恥ずかしがることはないのです、もっと自信を持って良いのです」

 

「そういう問題じゃない!!」

 

 元々だいりは女性が着るような際どい格好が苦手である。ただでさえ自分の魔法少女姿も未だに恥ずかしいと思ってしまうというのに、ビキニなどもっての他だった。おまけに2人に服を脱がされ着せられたので、色々と大事なものを失った気分になっていて、かなり傷心気味だ。

 こんな恥ずかしい格好をましてや男である自分が着るのはだいりの精神的に良くない。つまるところ、だいりはウブだった。

 

「それにしてもだいりさんのこういう格好を見るのは中々新鮮ね」

 

「だいりはいつもシャツとズボンだったのです」

 

 思い返してみれば何故かだいりは常に男らしい格好をして、スカートやワンピースなどの可愛らしい服を着ているところを見たことがなかった。着せようと思っても露骨に嫌がるのだ。今回だいりに内緒に買ったのもそのためだ。

 

「せ、せめて何か羽織るものを、羽織るものが欲しい!」

 

「今から泳ぐのに必要ないでしょう?それに、恥ずかしさなんて遊んでいたら忘れるわよ。佐倉さん!」

 

「はいマミさん!!」

 

 マミの呼び声と共にどこからか現れた水着を着た杏子がだいりを担いでそのままプールに走り出す。

 

「うわっ、ちょ、やめてあんこちゃん!」

 

「あんこじゃねぇ、杏子だ!いつかの仕返しだよ!あんたもマミさんの弟子ならマミさんと一緒に遊びやがれ!」

 

「やめろーー!!」

 

 だいりの叫びを無視してそのまま杏子はだいりごと派手にプールに飛び込んだ。水飛沫が大量に飛び、大きめの波ができる。水面の中から杏子が出てきた。

 

「ぷはぁ!ははっ、楽しー!」

 

「うわー、派手に飛び込んだのです」

 

「ありがとう佐倉さん。でも少しやりすぎよ、他の人に迷惑だわ」

 

「あっ、すみませんっ」

 

 杏子を追いかける形でプールになぎさとマミが入ってきた。そしてマミは杏子に注意を促す。偶々周りに人がいなかったから良かったものの人が多い市民プールでは中々危険な行為だ。マミは少しだいりの安否を気にする。

 

「ところでだいりさんは何処かしら…」

 

「え、多分その辺りだと思いますよ」

 

 そう杏子が指さす辺りにはボコボコと気泡が浮き出ていた。恐らくだいりのものだろう。下にはそれらしき影も見える。しかし当のだいりは一向に水面から姿を現さない。

 

「…なに遊んでんだあいつ、潜水か?」

 

「全然動かないのです。まだ恥ずかしがってるのです?」

 

 「いえ、何か様子が変よ…」

 

 3人は出てこないだいりのことを不思議に思う。いつもならばすぐに仕返しと言わんばかりに手痛い反撃をしてくるはずだ。3人は不思議に思う。

 すると、水面から出ていた気泡がピタリと止んだ。

 

「「「!?」」」

 

 3人は嫌な予感がした。

 

「おいっ、あいつまさか…!」

 

「や、やばいのです!」

 

「私が行くわ!」

 

 マミは急いで水に潜り深く潜水する。すると仰向けで青い顔をして白目を剥いているだいりを見つけた。完全に気を失っている。マミは急いでだいりの元に向かった。

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

「カナヅチ?」

 

「げっほ!げっほ!……そう、泳げないんだよ俺っち」

 

「だから嫌がってたのか…」

 

「それは普通に水着着たくなかったから」

 

 あの後無事マミに救出されただいりは運良くあまり水を飲んでいなかったようですぐに意識を取り戻した。だいりは俗に言うカナヅチで、生前から泳げなかった。というか泳げる以前に水中で体を動かせないのだ。

 

「何でそんな大事なこと言ってくれなかったのです?」

 

「いやだって…、この中で一番年上なのに泳げないとか恥ずかしいじゃん…」

 

「まぁ、気持ちはわかるんだが…」

 

「ま、バレちゃったものは仕方ない。遊ぶときは浮き輪なりなんなりつければいいし、泳げないからってプールで遊べないってわけじゃない!」

 

 開き直った様子で言うだいり。しかしそれに対してマミと杏子の表情は暗い。

 

「ごめんなさい、だいりさん。知らなかったとはいえこんなことを…」

 

「……わりぃ」

 

「あーいや、いいって。言わなかった俺っちが悪いし。それにほら、飛び込んだ時は楽しかったしな!」

 

 申し訳なさそうにするマミと杏子だが、別段だいりは気にしている様子は無かった。

 元々プールに行こうと誘ったのはマミと杏子だ。だいりはこのプールに遊びに行くこと自体あまり乗り気では無かったのだ。そんなだいりを意図していないとはいえ、無視してしまったことに対しても2人は自責の念を感じていた。

 しかしだいりは暗い空気が苦手なので何とか明るくしようと努める。

 

「それにしても泳げないなんて不便なのです」

 

「そうだな、この中で1人だけ泳げねぇってのもな…」

 

「…そうね。良かったら泳ぐ練習をしてみないかしら?」

 

「え、いいの?大丈夫だぞ、気使わなくて」

 

「やっぱりみんなで泳いで遊べる方が楽しいでしょう?」

 

「いい考えなのです!この際カナヅチを克服するのです!」

 

「でも俺っちまともに泳げたこと一回もないし……」

 

 珍しく気落ちしながらそうだいりは呟く。だいりは別に水が苦手なわけではない。単に水中で身動きが取れないだけである。できるならば自分も泳ぎたいと思っている。

 そのためにだいりは過去、自分のカナヅチを克服しようと何度も練習したが、ついぞ泳ぐことは叶わなかった。水中で体を動かせずバタ足すらままならないのだ。そんな自分が本当に泳げるようになるのか疑問に思う。

 

「やってみないとわかんないだろそんなこと。それに、あたしだって元々泳げなかったんだぜ」

 

「え、そうなの?」

 

「ああ、マミさんのしg…特訓のおかげでもうすっかり泳げるんだぜ!」

 

「そうなのです。それに、そんな弱気なのはだいりらしく無いのです」

 

「私も協力するわ!」

 

「…そーだよな、じゃあ、ちょっと頑張ってみようかな!」

 

「そのいきなのです!」

 

 そんなこんなでだいりの水泳訓練が始まった。

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 3人は施設の競泳プールコーナーに来ていた。人もあまりいないのでここなら心置きなく練習できるだろう。基礎的な練習をするにももってこいだ。プールの深さ自体もかなり浅めで小学校のプール程度だ。これなら溺れる心配もないだろう。

 

 

 

「がぼがぼごぼぼボボbbbb……」

 

 このバカ以外は。

 

「だいりさん!?」

 

「おいおい、ここ子供用だぞ…」

 

「なぎさの足もつくのです…」

 

 だいりは泳ぎの基本であるバタ足の練習をするためにプールに体を入れた。しかしプールに入るなりそのまま鉛のように沈んでいった。

 溺れる要素が全く無いのに溺れてしまうだいりを見てなぎさと杏子は相当だいりのカナヅチが重症であることを認識する。マミはだいりを用意してあった浮き輪につかませる。

 

「…はぁ、はぁ、ごめん、マミっち」

 

「いえ、こちらこそごめんなさい。まさかこんな浅いプールで沈むなんて…」

 

「いや大丈夫。いつものことだし」

 

「むしろどうやったら溺れるのです」

 

「いやー、俺っち水中だと何でかわかんないけど力が入らないんだよね…。おかげで水中で立つこともできない」

 

「悪魔の実の能力者かあんたは…」

 

 つまりだいりは水中に入った瞬間から沈む以外の選択肢がないということだ。もがくことすら許されない。このままでは練習すらままならなかった。

 

 

「……ところで僕はいつまでこうしていたら良いのかな?」

 

「とりあえず今日いっぱいはそのままで」

 

 突如浮き輪が喋った。キュウベェだ。

 

「暫くは浮き輪代わりを頼むのです」

「誰も持ってこないとは思わなかったな」

「仕方ないわ、みんな泳げるものだと思っていたもの…」

 

「訳がわからないよ」

 

 今回、プールに行く前に各々で遊び道具を持ってくるようにお互いに共有していたのだが、この市民プールはそれほど深いプールがないこともあって誰も浮き輪を持ってきていなかった。そこでだいりが偶々いたキュウベェを得意の魔力操作で改造して浮き輪にしたという訳だ。

 

「まさか浮き輪に改造されるとは思わなかったよ。やはり君の魔力操作は侮れないね。というより浮き輪なら購買で買えば良かったんじゃないのかい?」

 

「こういう施設の商品は高いから却下なのです」

 

「費用削減のためだ。我慢してくれ」

 

「さ、練習の続きをしましょう。その状態なら少なくとも沈む心配はないわ」

 

「しかし隊長、足が動きません!」

 

「そこはアタシが何とかする」

 

 杏子はだいりの後ろに回って両足を掴む。どうやらこのまま足を動かさせてバタ足の動作を覚えさせようとしているようだ。

 そしてそのままマミに両腕を引っ張ってもらいながら、杏子に足を動かしてもらう。だいりは何もかもを誰かに手伝ってもらわないと動くことすらままならないこの状況に不甲斐なさと恥ずかしさの板挟みになり、顔を赤くする。

 

「……なんか、こう、介護施設のおじいちゃんになった気分だよ…」

 

「恥ずかしいならさっさと泳げるようになるんだな。…よし、一旦離すぞ。また沈むんじゃないぞ」

 

「はガボボボボボ」

 

「「……」」

 

 杏子が足を離した瞬間、だいりは浮き輪から手だけを出して沈んでいく。先程まで動かされていた足はピクリとも動いていない。急いでマミはだいりの手を持って引き上げる。

 

「はぁ、はぁ…」

 

「くっ、もう一回だ!マミさん!」

 

「わかってるわ、同時に行くわよ佐倉さん」

 

「ちょ…、まっ、」

 

 

 それからマミと杏子はできる限りの方法を片っ端から試して行った。

 バタ足、息継ぎ、蹴伸び、水中じゃんけん、長時間潜水、バタフライ、首をリボンで無理矢理引っ張ってみるなど、様々な方法で泳げるようになるか試してみたがどれもだいりには効果が無かった。というより後半は2人が無理矢理だいりの体を動かしてやらせていた。

 幾度とない強制遊泳にだいりは既にグロッキーだ。

 

 ( ゚д゚)〈ウボァ

 

「やばいなこりゃ、本格的に」

「そうね…。正直佐倉さんの比じゃないわ。体に大きな重りでもついてるみたい…」

「君たちは鬼か何かかい?」

 

 ドン引きしているキュゥベェを無視して3人は一度プールから上がる。しかし困ったことになった。このままでは練習もクソもない。

 

 マミと杏子にはだいりが水に嫌われているとしか思えなかった。それほどにだいりは水中で動けなかったのだ。

 

「マミさんどうします?本当にだいりの奴水の中動けませんよ」

 

「……正直私たちではこれ以上、打てる手が無いわ…」

 

「なら次はなぎさの番なのです!」

 

 今まで見ていただけのなぎさが名乗りを上げる。

 

「…なんか良い案があるのか?」

 

「ふふーん、なぎさにどーんと任せておくのです!じゃあ、少しだいりを借りるのです」

 

「大丈夫かこれ…」

 

 そう自信ありげに言うなぎさを見て杏子は一抹の不安を抱いた。

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

「よーし、行くのです!だいり!」

 

「無理!死んじゃう!」

 

 現在だいりはなぎさにウォータースライダーの滑り口にまで来ていた。なぎさはだいりをそこから滑り落とそうとしている。このウォータースライダーの高さはかなりのものでここから見ればゴール地点のプールが小さく見えるほどだ。無論泳げないだいりがそこから滑ればどうなるのかは言わずもがなである。

 

「そもそもなんでスライダーなの!?今までのやりとりを見ていなかったの!?」

 

「だいり、人間は危機感を覚えることが大事なのです。火事場の馬鹿力っていう言葉があるみたいにだいりも危機的状況になればきっと泳げるようになるのです!」

 

「無理無理無理!!何その超絶脳筋理論!?そういうのができるのは少年雑誌の主人公くらいなんだよ!」

 

「えーい!つべこべ言うなのです!さっさと行けー!」

 

「ぎゃあ!?」

 

 なぎさはだいりの背中を蹴り込み、スライダーに落とす。だいりはそのまま猛スピードでスライダーを下っていく。いつものだいりならば喜んでいる場面であるが、下は文字通り絶望がお前のゴールだ。

 

 焦るだいりはどうにかしようともがくが、流れ出ている水でスライダーをうまく掴めないので止まる様子もなく、むしろ傾斜が激しくなり速度はどんどん上がっている。だいりは再び溺れ沈む己を幻視する。

 

「く、くそっ、こうなったらアレしかない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし無茶苦茶やりますね、なぎさの奴も。100パー溺れるぞあいつ」

 

「でもそのために私たちがいるでしょう?だいりさんが来たら直ぐにスライダーの出口に向かいましょう」

 

「……あ、来ましたよだいりのやつ」

 

 見上げた杏子の視線の先には絶叫マシーンさながらの声を上げて滑り落ちているだいりがいた。

 

「そろそろ行きましょう、佐倉さん」

 

「はい、そうですね……

 …うん?ちょっと待ってください、だいりの様子が…」

 

 

『く、くそっ、こうなったらアレしかない!」

 

 

『秘技!跳ぶ‼︎』

 

「「はぁ!?」」

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

「うぉぉぉぉぁぁあああ!!」

 

 だいりは現在落下していた。スライダーから飛び降りたからである。この高さから落ちるとか正気の沙汰では無い。

 しかしこのバカとしか言えない異常行動にはきちんと理由が

 

 

 「……やっべ、着地どうしよ」

 

 

 ある訳がなかった。

 

 この女(男)は自らの危機回避本能に任せて飛び降りただけである。そもそも雪野だいりの異常な行動は全て『バカだから』の一言で説明がつく。

 

 だいりの真下はバッチリ地面である。このままでは人体ミンチは免れない。仕方なしに魔法少女に変身して着地しようとしたその時、

 

「うぉっ!?」

 

 だいりは何者かに優しく受け止められた。首裏と膝裏を抱え込まれる形で持ちかかえられており、俗に言うお姫様だっこ状態である。

 

 

「ーー大丈夫かしら?」

 

「お、おぉ…、ありがと…」

 

 だいりは困惑しながらも自身が抱っこされているというこの状況に対して少し羞恥心を覚え、思わず真上の誰かの顔から目を逸らす。

 

「あら、恥ずかしがってるのかしら?意外だわ」

 

「いや普通は恥ずかしい……ってあれ、その声もしかして、おりっち?」

 

「えぇ、貴方の美国織莉子よ」

 

 そう言って織莉子は優しい笑顔をだいりに向けた。

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

「いゃあ、助かったわ。危うくあの破廉恥な魔法少女姿を公衆の面前に晒すところだった」

 

「私はだいりの魔法少女姿結構好きよ。あのむっつり感が良くないかしら?」

 

「全く良くない!」

 

 織莉子に無事救出された後、だいりはスライダーの出口付近にまで来ていた。織莉子曰く、どうやらいつもの悪者退治でここにきていたらしく、偶々だいりと出会ったのだとか。

 まぁそれは勿論嘘で実際はずっとだいりを追いかけて危険が起きないか見張っていたのだ。というかだいりが外出する際は大体後ろからついている。随分ストーカー気質なセコムもいたものである。しっかり水着も着ての参戦だ。

 織莉子と話しているとプールから焦った様子のマミと杏子が近づいてきた。

 

「だいりさん、大丈夫!?」

 

「スライダーから飛び降りるとかほんとバカだろお前!」

 

「俺っちはバカではない!」

 

「でも本当、何もなくて良かったわ…」

 

「…はぁ、でかいガキでも見てる気分だよ」

 

「ふふっ、小学生に言われるなんて相当ね」

 

「うっさい!」

 

 取り敢えず2人はだいりの無事を確認する。するとスライダーからなぎさが滑り落ちてきた。

 

「ぷはぁー!あ、だいり。無事だったのです?」

 

「無事だったのです?じゃないよ!おかげで大惨事になるところだったんだからな!恨むぞなぎっち!」

 

「あれは完全に自業自得なのです」

 

「なんだとぉ!」

 

「そもそもなぎさはだいりが泳げるように最大限協力しただけなのです。それで恨まれるなんてお門違いもいいところなのです」

 

「ぐぬぬ…、えーいもう我慢の限界だぁ!!」

 

「うわっ!」

 

 反省の色の見えないなぎさに痺れを切らしたのかだいりは怒りに任せてなぎさに飛びかかった。無論今なぎさはプールに入っていて、水から顔だけを出している状態だ。

 

 バッシャーーン!!

 

「「あ」」

 

「ガボボボ…」

 

 だいりの跳躍はなぎさに一歩届かず、そのまま着水しただいりはいつも通りもがきもできずに沈んでいく。

 

「バカもここまで来ると末期なのです」

 

「だいりさん!?」

 

「うおぉ!やばい!」

 

 

「……もしかしてだいりは泳げないのかしら?」

 

「そうだね、だいりは超がつくほどのカナヅチだ。さっきまで泳げるようになる練習をしていたんだ」

 

 織莉子のこぼした言葉に浮き輪となっているキュウベェが答える。

 

「……ふぅん。ところで貴方はどうして浮き輪に?いえ、原因は大体分かるけれども」

 

「多分キミの想像通りで合っているよ」

 

 だいりは相変わらず面白い事をしているようだ。マミとなぎさに救出されているだいりを見ながら織莉子は静かに目を細める。こんな面白そうな気配を、ましてやだいり絡みのイベントを織莉子が見逃すはずがなかった。

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

「次は私の番よ!だいり、私が貴方をバッチリ泳がせて見せるわ!!」

 

「えぇ…、不安しかないんだけど…」

 

 次の方法を考えているときに織莉子が自信満々にそんなことを言ってきた。

 正直、織莉子はゴミ拾いでの前科があるため、任せるのはかなり不安だ。

 

「でもどうやって泳がせるのです?だいりは水中で体を動かせないのです」

 

「ふふ、任せてちょうだい!」

 

 すると織莉子はどこからか白い鞄を取り出す。

 

「うわ出た」

 

 ゴソゴソと鞄の中を漁り、そこから何かを取り出し、そのままだいりにそれを差し出す。

 

「さぁだいり!これを使うのよ!」

 

「…これボンベ?」

 

 織莉子の手にあったのは白いボンベだった。相変わらず洋風の装飾がつけられており謎の高級感を醸し出している。

 

「そうよ、これを使えばこのボンベに込められた魔力が使用者の遊泳をサポートしてくれる優れものよ!」

 

「おぉ!今回は凄く便利じゃん!」

 

「ただし魔法少女以外が使えばボンベの魔力に耐えられずに体内から爆散四散するわ」

 

「やっぱ危険だ!!」

 

「だいりが使う上では問題はないわ。さぁ、使ってみて。コツは強く咥えることよ」

 

 そう言われてひとまずだいりはボンベを口に咥えてみる。付けてみた感じでは特に体の方に何か変化や違和感を感じるわけではなかった。他の3人は興味深そうにボンベを見ている。

 

「ほぉー、便利な道具もあったもんだな…」

「魔法的効果を付与された道具は基本的に魔道具と呼ぶのよ」

「へぇー、知らなかったのです」

 

「…僕から見ればそこまで複雑に作られているように見えないね。それにこれは魔力を供給するというより、」

 

「さぁだいり!それを使ってバッチリ泳いでみなさい!」

 

「むっがー!もごむがぁ!(よっしゃー!やってやるぞぉ!)」

 

 そうだいりは勢いまかせにすぐ側のプールに飛び込む。プールに入っただいりはボンベのおかげで水中で息はできていた。しかし変わらず身体は動かすことができない。

 

 効果がなかったのか?と思ったその時、咥えているボンベが何やらブルブルと動き出した。するとボンベの酸素供給機らしき両横の小さなタンクから小さな穴の空いた棒が出てきた。そこからシュゴォーと何やら機械音がそこから聞こえる。ふとそういえばこの前見たアニメにこんな感じで飛ぶ飛行機があったなと、だいりは思い出す。

 

 その瞬間、だいりの視界はとてつもない何かに押し潰された。

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

「あれは……泳げてるのです?」

 

「泳げているわ」

 

「あれのどこが泳げてるんだ!!?どう見てもあのボンベに引っ張られてんだろ!」

 

 だいりは猛スピードでプールのあちこち駆け回っている。確実に自分の力で泳いでいない。あの様子では自力で制御もできていないだろう。

 

「どーなってんだあのボンベ!魔力で泳げるような体になるんじゃなかったのか!?」

 

「そんなこと一言も言ってないわ。あれはボンベ内に込められた魔力を放出してその推進力で泳ぐものよ。そんな高度なものは私には作れないわ」

 

「最初からそれを言え!なんつーおっかないもん渡してんだ!くそっ、早く助けねぇと…!」

 

「でもどうするのです?あれじゃあなぎさたちが助けに入っても轢かれるだけなのです」

 

「私に任せて!」

 

 マミは魔力でリボンを生成する。リボンでだいりを捕まえて動きを止めようとしているようだ。そのままリボンを高速で移動しているだいりに放ち、見事縛り付けて捕まえることに成功する。だが、

 

「きゃっ!と、止まらない……!」

 

「マミさん!」

「マミ!」

 

 杏子となぎさが体を持っていかれそうになるマミを押さえる。しかし、

 

「強っ!何だこれ!魔女でも引っ張ってるみてぇだ…!」

 

「当然よ、そのボンベに込められてる魔力は普段使っている『織莉子ちゃん☆バズーカ』三つ分なのよ。そう簡単には止まらないわ」

 

「基準が分からないのです!というか、そんな自信満々に言うななのです!腹立つ!」

 

「うぎぎ…!だ、ダメだ、持っていかれる!!」

 

「頑張って皆んな!もう少しで魔力が切れると思うわ!」

 

「おめーも手伝えなのです!!」

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

「ガボボボばぁばばぁばボばばばbbbbb」

 

 だいりは超ジェットボンベに振り回されながらも何とか意識を保っていた。しかしこのままではボンベから口が離れて壁にぶつかってミンチコースだ。

 何とかしたいが勢いを殺す術が見つからない。万事休すかと思った時、突然首に何かが巻きついた。

 

「グェェェ!?」

 

『マミさん!』

『マミ!』

 

(まさかマミっちのリボン!?有難いけど巻き付く場所が!)

 

 ボンベの推進力とリボンの引き合いの力の板挟みとなり首が強く締まる。どうにか解こうともがくがあまり効果が無い。

 

(やばばば!?)

 

 するともがいて動かしている腕がボンベに当たり、魔力の気泡を発射している棒の向きが変わった。その瞬間にリボンが千切れる。

 

「がばぁ!?」

 

「わっ!」

「うわっ!」

「な、何なのです!?」

 

 派手にプールから飛び出して、そのままだいりはボンベの推進力で上空に飛んでいく。

 

「むががががあぁぁぁ!」

 

 施設内のウォータースライダーを越え、隣にある高層ビルを越え、そしてついには雲を越える。そしてようやく勢いが止まった頃には視界いっぱいに青空が広がっていた。

 

 

「……おそらきれい」

 

 

 そしてボンベのガスも切れ、だいりは遥か上空で色々と諦めた。

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

 「はぁ、結局ダメだったのです…」

 

 なんとか無事にだいりが上空から帰還した後も色々と試してみたが、結局だいりが泳ぐことは叶わなかった。

 

 _:(´ཀ`」 ∠):〈ウボァ…

 

「だいりさん、しっかり!顔が絵文字みたいになってるわ!」

 

「まぁあれだけ溺ればこうなるわな…」

 

 だいりは幾度とない溺死体験で精神的にかなり参っていた。

 

「ここまでやってもダメとなると、いよいよ手の打ちようがないわ…」

 

「正直僕は早々に見切りはつけていたけどね。僕から見てもあれはどうやっても泳げないよ」

 

「黙りなさい浮き輪」

 

「むぎゅいっ」

 

 

「……そういえばさっきから全く他の人を見かけないのです」

 

 周りを見渡してみると先程まで沢山いたはずの来客が異常に少なくなっていた。よくよく考えなくてもあれだけ騒いだのにも関わらず周囲で騒ぎ一つ起きていないのは妙だ。

 

「確かに、まだ時間的に帰るには早いし…」

 

「……あっ、また1人帰るみたいなのです」

 

「少し話を聞いてみましょうか」

 

 荷物をまとめてプールを去ろうとする客を1人見つけ、マミとなぎさは事情を聞こうと試みる。しかし話を聞こうと声をかけても目の前の女性客は無反応だ。それを見てマミはその客から違和感を感じ取る。

 

(目の焦点があってない?)

 

「おーい、聞こえてるのです?」

 

「…ッ!! なぎさちゃん!」

 

「え?」

 

 

 するとなぎさとマミのいる地面が突然陥没し、巨大な何かが現れた。陥没した穴は巨大な口のようだった。

 そしてそれは2人を飲み込まんと眼前に迫る。突然の出来事になぎさは反応できていない。

 

「くっ」

 

 魔法少女に変身しても間に合わない。そう悟ったマミはせめてなぎさを逃がそうと手を伸ばす。しかしその瞬間、

 

「わっ!」

「きゃっ」

 

 2人は何かに引っ張られて後ろに大きく飛んだ。おかげで2人は何とか難を逃れる。だが、

 

「だいりっ!」

「だいりさんっ!」

 

 だいりはいち早く突然の襲来に反応してマミとなぎさ、そして一般客を逃した。

 

 だが大口はもう目の前だ。

 

「ごめん、後はお願い!」

 

 

 その一言を最後にだいりは魔女の大口に飲み込まれた。

 

 

 

 

 ーーーーーー

 

 ーーー

 

 

 

 

 

「くそっ!何やってんだだいりの奴…!」

 

 悔しそうに杏子が声を上げる。あの後襲撃者はだいりを飲み込んだ後結界内の湖を潜って何処かに消えてしまった。

 完全な不意打ちだったとは言え、杏子は何も出来なかった自分に対しての不甲斐なさと後悔で表情を歪める。

 

「……悔しがっても仕方ないわ。今はどうやってだいりさんを救出するかが先決よ」

 

「……こんなことを言うのもアレですけど、だいりは生きてるんですか?さっきからあいつの魔力を一切感じませんし…」

 

「それを言うなら魔女も同じよ。ここにいる全員があの魔女の襲撃はおろか存在にすら気づかなかった。つまりあの魔女は何らかの方法で魔力を隠匿できる手段を持っていると考えられるわ」

 

「つまりだいりはそれに一緒に隠れてるだけってことですか?」

 

「その可能性が高いわ。…けどそれも時間の問題よ。早く助けないといけないことには変わりないわ」

 

「でもあんだけ派手に食われたんですよ!いくら魔法少女でも無事じゃあ、」

 

「だいりは死んでないのです」

 

 突然そう言うなぎさにここにいる全員がなぎさに顔を向ける。

 

「…何で分かるんだよそんなこと」

 

「だいりはなぎさと大事な約束したのです。ここで死んだらその約束を破ることになるのです。だからだいりはこんなところで死なないのです」

 

「その通りね。だいりはバカだけれど約束は破らないわ」

 

 なぎさの言葉に織莉子も頷く。杏子は納得できなかったが、なぎさの強い意志のこもった目に思わず口籠もる。

 

「それはそれとしてあの魔女は確実に消すけれど」

 

「……」

 

 実のことろ織莉子は自身の固有魔法でこの出来事が起こることは認知していた。だがそれを知ったのはマミとなぎさが襲われる直前だ。

 織莉子の固有魔法『予知』は稀に織莉子の意思とは関係なく勝手に発動することがある。今回見たのはそれだったが、織莉子がだいりを制止する前にだいりは既にマミたちの元に駆けていた。

 

 予め予知を使っていれば防げるはずだっただいりの危機を防げなかった自分とだいりを攫った魔女に強い怒りを感じている。平静を保っているように見えるが、その目つきは壮絶だ。

 そんな織莉子の様子を見てマミは思わず固唾を飲む。

 

「にしてもどうやってあの魔女を探すんだ?魔力を感じれないならどうしてもこっちが後手に回っちまうぞ」

 

 おそらくだいりは今もあの魔女の胃の中だ。時は一刻を争った。

 

「それは私が何とかするわ。私があの魔女をあそこから引きずり出すから貴方達はその隙にだいりを救出して」

 

 魔女の誘き寄せ役を織莉子が名乗り出る。3人はそれを受け入れるが、杏子とマミは織莉子の様子が少し変なことに気づく。

 

「…おい、大丈夫か?」

 

「大丈夫よ。無理矢理にでも引きずり出すわ」

 

 その織莉子の言葉からは強い殺意が感じられる。本当に彼女はさっきと同一人物なのか?そう二人が思うほど今の織莉子は殺気立っている。

 理由はわからないが、織莉子は異常なほどにだいりに執着している。その事実を織莉子に出会って間もないマミと杏子も理解した。今の彼女の様子を見ればそれは明らかだ。

 

(だいりの奴一体何したんだ?)

 

 杏子はその答えを聞くことができなかった。

 

 

 4人は簡単に作戦を立てるとそれぞれが所定の場所に行き、待機する。

 織莉子はその手に自らの武器の白い水晶を手に魔女がいるであろう真下の水面に目を向ける。

 光を失っているその虚な瞳はしかし魔女への純粋な殺意とだいりを必ず助け出すという意志に満ちていた。

 

 

 

(魔女ごときに絶対に渡さない。私の世界でたった一つの居場所)

 

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 

 水だ。

 

 

 自分が水の中にいる実感をする。いつものように体に力は入らない。だが呼吸はできている。おりっちがまた溺れたらって渡してくれた予備のボンベを咄嗟につけたからだ。ありがとうおりっち。

 

 というか多分これ魔女の腹の中だよね。ぱっと見魚みたいだったし…。

 にしてもどうしよ…。水中だから俺っち動けないし、ボンベの空気が無くなるのも時間の問題。完全に俺っち1人だと詰みだ。

 

 なぎっちたちの助けを待つしかないけど正直今この状況が続くとも思えない。この魔女最初から食うこと目的でマミっちたちに襲いかかってたみたいだし、このまま何もしないのは考えにくい。

 

 

 そう例えば酸的なものとかが出てきたり……

 

 って、あづぁづぁづぁぁぁぁぁーー!!?

 

 

 あっづ!?あっづ!!?やっぱ出てきたよ胃酸ぽい奴!

 あ、これやっばい!このままだとあっという間に溶かされる!やめて!俺っち特撮は好きだけどリアルバイオライダーにはなりたくないんだい!

 どちらかと言うとバイクアクションの多い初代派……ってちょい!服溶かすな!やめろ!スケベ!!ヘンタイ!!

 

 ちくしょう!男の俺っちが言っても気持ち悪いだけだわ!バーカ!!(自虐)

 

 やばいやばい!このままだとマジで死ぬ!

 えぇい!こんなところで死ねるか!こちとらなぎっちやおりっちとの約束もあるんじゃ!!よし、あのいい感じのでっぱりに掴まろう!

 

 こんなところで死んでたまるかぁーーー!!

 うごけぇー!!俺っちの腕ーーー!俺っちのソウルーーー!!燃え尽きるほどヒーーートォーーーー!!!

 

 よっしゃ!届いた!

 うぉっ!あぶねっ!あと少しでゲル状だよ!こわっ!

 よーし、このまま耐えとけば何とか………ん?あれ、なんか…、

 

 

 

 あばばばばばばばばばばばばばばばば!!!??!!?

 

 

 

 ななななんか急に痺れたんだがぁ…?

 あ、やべっ、手離れた。

 

 うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!?胃酸が目の前にいぃぃぃ!!?いきなりのピンチぃぃ!?

 いやぁぁぁぁ!死ぬぅぅぅぅーーー!?

 

 

 

「ぐぼぇ!?」

 

『いたのです!!』

 

『よっしゃ!そのまま引きずり出せ!!』

 

 ちょ、まって!首が、首がしまって…!てかまた首かよ!!

 

『せーーの!!』

 

 ぐえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?

 

 

 

 ザバーーーン!!!

 

 

 

「ぶはぁ!!?」

 

 

 

 

 

 ***

 

 

 

 

 

 

『で、どうやってあの魔女を誘き出すんだ?』

 

『簡単よ、出てこないのならば無理矢理出せば良いのよ』

 

 すると織莉子はいつもの鞄の中を漁って白い玉のようなものを取り出して3人に見せる。

 

『これは?』

 

『これは電気爆弾よ。スイッチを押して5秒後にゴム人間もびっくりの放電が発生する。これを湖に放り込むわ』

 

『………え、これ使って大丈夫なのか?下手したらだいりも巻き込むだろコレ』

 

『大丈夫よ、前にコレの試作品をまともに受けて無事だったから、彼女』

 

『そう言う問題じゃないだろ!』

 

『とにかく、あの水の中は不純物がたくさん入ってたから電気をよく通すはずよ。堪らず水中から出てきた魔女からだいりを救出してちょうだい』

 

『…分かったわ。時間もないし今はこれしか方法がないわ』

 

【まぁ、だいりにはいつも痛い目に遭わされてるのです。偶には痛い目を見るべきなのです』

 

『今日だけで大分痛い目見てるけどな、アイツ』

 

 

 

 

 ***

 

 

 

「出たのです!マミ!」

 

「分かってるわ!」

 

 なぎさの手により魔女の口から出てきただいりをすかさずリボンでつくったネットでキャッチする。

 そしてそのままマミは優しく体を受け止めた。

 

「大丈夫だいりさん!」

 

「お、おっふ…、何とか…」

 

「よしっ!後は魔女だけだ!」

 

『×○♪|々+*÷\=…=+*×ーー!!!』

 

 魔女は自身の住処である湖に電流を流されてかなりご立腹だ。だいりの無事を確認した杏子は残った魔女を退治しようと槍を構え、一気に仕留めようと姿勢を低くする。

 だがその時織莉子となぎさが杏子の前に立って制止させた。

 

「佐倉さん、この魔女は私が仕留めるわ。貴方はだいりのところに行ってちょうだい」

 

「杏子、こいつはなぎさが倒さないと気が済まないのです。悪いけどここは譲って欲しいのです」

 

「……お、おう」

 

 2人の有無を言わせない気迫に思わず返事をしてしまう杏子。杏子が去った後、静かに、だが確かな殺気を魔女に飛ばす2人。気のせいか魔女も体を後ろに下がっている。

 

「百江さん、貴方も先に戻っていてちょうだい。うっかり巻き込んじゃうかもしれない。そしたらだいりに顔向けできないわ」

 

「甘く見るな、そこまでなぎさは弱くないのです。それにだいりを食われて怒ってるのは織莉子だけじゃないのです」

 

「あら、意外ね。いつも喧嘩ばっかりしてるから仲も悪いとばかり思っていたわ」

 

「……あんなのでも今はなぎさのたった1人の家族なのです。やられたら怒るのは当然なのです」

 

「そう奇遇ね、私もそんなところよ」

 

 

「……お前にだいりは絶対に渡さないのです」

 

 なぎさは恐ろしい眼光で織莉子を睨みつける。そんななぎさの瞳にもまた確かな執着の色が見えた。

 

「……百江さん、貴方相当拗らせてるわね」

 

「お前にだけは言われたくないのです」

 

『〆×*$=|…=+$=ーーー!!!』

 

 魔女は大口を開けて勢いよく2人に突撃してきた。しかしそれを2人はあっさり避け、織莉子はすれ違いざまに魔女の口に水晶爆弾を入れた。

 勢いよく魔女の口内が爆発して、魔女は苦悶の声をあげて悶える。

 

 

「さて、悪いけれど死んでもらうわ。できるだけ長く苦しんで、ね」

 

「とっととくたばれなのです」

 

 

 2人はその一言を皮切りに凄まじい猛攻を魔女に浴びせた。今回の魔女はそれなりの巨体を誇っているがそれをものともせずに攻撃を放ち続けている。特になぎさに至ってはマミが見たこともないほどの荒々しい攻め方だ。たった2人でもここまで来ると最早リンチである。

 

 

「なぎさの奴、めちゃくちゃ怒ってますね」

 

「…それ程なぎさちゃんにとってだいりさんは大切な存在なのよ」

 

「おーい、どーなってんの?俺っち痺れて体動かせないから見えないんだけど!」

 

「あまり見ない方が良いよ。とても怖いからね」

 

 この結界には陸地がないので、だいりは今浮き輪となっているキュウベェに乗せられている。

 

「そんなこと言われたら余計気になるってのー!ロリコンもそういう時あるだろー?」

 

「残念だけど僕に人間の心理は理解できないよ。ほら、そう言っているうちに終わったみたいだよ」

 

 魔女の甲高い断末魔が結界内に響き、そして魔女はそのまま水の中に沈み、泥のように体を溶かしていく。結界が消滅し、さっきまでいたプールサイドに戻る。するとグリーフシードを片手に織莉子となぎさが戻ってきた。

 

「ありがとう2人とも、助かったわ」

 

「いえ、私もストレスが溜まっていたから丁度よかったわ。それよりも」

「それよりもだいりは大丈夫なのです?」

 

「あぁ、魔女の胃酸っぽい火傷が何箇所かあったが、それ以外は無事だ」

 

「ブジダヨー」

 

「……そっか、なら良かったのです」

 

 

「だいりーっ!」

 

「ひでぶっ!」

 

 突然織莉子がだいりに飛びかかった。未だ電撃のせいで体が動かないだいりは大の字の状態で織莉子の体重をモロに受ける。

 

「心配したのよ!本当に!前からそうやって無茶することはやめてって言ってるでしょ!」

 

「無理、性分。てか苦しい。ど、どいて…」

 

「やだっ!離したくないっ!!」

 

 織莉子はだいりにがっちりホールドを決めてその場から動きそうにない。

 生きていると信じていたとはいえ、普通ならば死んでもおかしくない様な状況だった上に魔力も一切感じられなかったのだ。織莉子は強い不安に駆られていた。

 元々織莉子はそれ程強い人間ではない。今の織莉子の心の支えはだいりしかいないのだ。織莉子にとってそれを失うことは何よりも恐ろしいことだった。

 

「お、お願い…い、息ができな…」

 

「やだ!」

 

〈ナンダナンダ?

〈ケンカカ?

〈ホウ、GLデスカ、タイシタモノデスネ。

 

 騒いでることに気づかれ一般客が集まってきた。

 どうやら結界に入る直前の客の減少は魔女が結界内の景色をカモフラージュしたもの、つまり幻覚だったようで、実際のプールにさほど影響はなかった様だ。

 

 流石にこれ以上はだいりが危険だし、人目もつくのでマミが制止をかけようとする。しかしその前になぎさが織莉子の元に向かい、織莉子の水着の襟を引っ張り、だいりから剥がしとる。

 

「きゃっ!」

 

「……」

 

「や、やっと解放された。ありがとなぎっち…って、ぐえぇぇ!?」

 

 なぎさはすかさずだいりの顔に思いっきり抱きつく。本人は抱きついているつもりだろうが、側からみれば完全に首が決まっていた。

 本日何度目かとわからない首への被害にだいりの意識が遠のく。

 

「……何のつもりかしら百江さん」

 

「…」

 

 織莉子の問いには答えずに黙ってだいりの胸に顔を埋めるなぎさ。

 だいりの谷間から見える視線だけをこちらに飛ばしてきている。その目は話すことはないと言わんばかりだ。

 それを見て織莉子はだいりの背中に回り込み、そのまめだいりに抱きつく。さらに締まるだいりの首。

 

「……ッ」

「ふふっ」

 

「う、げ…げ……、りくで…おぼれ、る…」

 

 だいりを挟んでガンを飛ばし合う2人。お互いが見るも恐ろしい目つきで睨み合っており、その場に面白半分で見ていた一般客はその恐ろしさに蜘蛛の巣を散らす様にどこかへ逃げた。

 お互いに譲る気がないことが第三者にもひしひしと伝わってくる。今にも争いが起きるような一触即発な状況になったその時。

 

「はい、そこまで」

 

「「!」」

 

「2人とも、これ以上は他の人の迷惑になるわ。それに…」

 

 

 (^o^)

 

 

「だいりさんがもう限界よ…」

 

「「あ」」

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

 

「今までで一番命の危機を感じた…」

 

「…まぁご苦労様」

 

 一通りプールで遊び終えた5人は帰路についていた。

 魔女を撃退してからは何事もなく普通にプールで遊び過ごした。結局だいりが泳げることはなかったが、それでもだいり個人としては楽しいと感じられる1日だった。しかし、

 

「……」

「……」

 

 織莉子となぎさは3人と少し距離を取って歩いているが、2人の間には異様な空気が流れている。

 この2人はあれからずっとこんな調子だ。事あるごとに何故かお互いを睨み合って威嚇し合う。そのせいでマミと杏子はリアルファイトが始まるのではないかと気が気でならなかった。

 その場合、大体だいりを放り込めば解決したが。その度にだいりの呼吸器系が再起不能になりかけたのは余談である。

 

「どうしたんだろうな2人とも。プールにいた時もやたら襲いかかってきたし…。やっぱさっきのこと怒ってるのかな〜」

 

「まぁ、なんだ、ちょっとした喧嘩だよ。あんた絡みで」

「そうね」

 

「やっぱり?」

 

 既にマミと杏子は織莉子となぎさがだいりに特別な感情を寄せていることに気がついていた。特に織莉子は顕著だ。

 しかし当のだいりは超がつくほどのウブで鈍チンなバカなので、気づいている様子はない。

 

「……よしっ、だったら責任持って俺っちが2人をいい感じにしてくる!」

 

 そう言ってだいりは前の2人の元に走っていく。

 

「あっ、だいりさん!」

 

「いいじゃないですか。あれで解決するかもしれませんし。まぁ、痛い目は見そうですけど…」

 

 

 

 

 

 ーーー

 

 

 

 

 

 織莉子となぎさ。一見ただ歩いているだけの二人の周囲の空気は驚くほど張り詰めている。

 

「……織莉子、一つ聞きたいことがあるのです」

 

「何かしら?」

 

「お前はだいりをどうするつもりなのです」

 

「…どうするとは?」

 

 なぎさの突然の疑問に織莉子は目を細めて言を返す。

 

「前にお前はこの見滝原から悪い奴を無くすためにここに来たって言ってたのです。でも、それにしてはお前はだいりに執着しすぎなのです。本当に街を守ろうとしているのですか?」

 

「えぇ、当然よ。大切なお友達だもの」

 

「本当にそうなのです? お前と初めて会ったゴミ拾いの時から、お前はだいりしか見てないのです。だいり以外にはあまりに淡白に振る舞っているのです」

 

「……」

 

「お前は街を守るって名義を持ってるにしてはあまりにもこの街を見ていないのです。お前の目にはだいり以外は興味がないか、嫌悪しか写っていないのです」

 

「……」

 

「もう一度聞くのです。お前はだいりをどうするつもりなのです」

 

 なぎさは最初に会った時から織莉子に違和感を感じていた。そしてその違和感から出てくる疑惑は今回の織莉子の態度を見て確信に変わった。

 

「………はぁ、初めて会った時から思っていたけれど中々厄介ね、貴方」

 

「……」

 

 観念したように織莉子は両手を上げる。そしてなぎさに向けてその黄金色の瞳を向けて、言葉を綴った。

 

「…さっきも言ったけど私はね、だいりが大切なの、何よりも。だいりは私にとってたった一つの居場所。家庭や学校と同じよ。自分の居場所は自分で守るものでしょう?だから私はこの街に住んでいるだいりを守り続けるわ」

 

「逆にそれ以外はどうでも良いってことなのです」

 

「極端に言えばそうなるわね」

 

「…」

 

「あなたの質問の答えを言うなら"どうするつもりもないわ"。少なくとも今はね」

 

「今は…」

 

「何度も言うけれど私にとってはだいりが全てよ。彼女に危険が迫るのならば私はどんなことをしたって守り通してみせるわ。…そう、場合によっては貴方から奪ってでも、ね」

 

 その瞬間、なぎさの目が殺意に満ちたものに変貌した。悍ましい量の魔力が周囲を支配し、電線に溜まっていたカラスが音を立てて一斉に飛び去る。

 

「お前にだいりは渡さないのです…!」

 

「単純ね、百江さん。じゃあ逆に聞くけれど、あなたは何故そこまでだいりに固執するのかしら。一緒に住んでるから?それとも、貴方の言う家族だから?」

 

「……だいりは、約束してくれたのです。なぎさの家族になって幸せにしてみせるって。することは突拍子もなくてバカだけど、人を幸せにできるのです。だから今なぎさは幸せなのです」

 

「……」

 

「だいりはなぎさの家族なのです。だからお前なんかに渡さない」

 

「言ってなさい。私は私とだいりが交わした約束のために動くだけよ」

 

「………」

「………」

 

 結局のところこの2人はお互いに1人になりたくないだけだった。

 互いに孤独の苦しみを味わったことがあるからこそ、それに寄り添った2人にとっての唯一の本物であるだいりに固執するのだ。

 

 お互いにそれを理解した上で譲れないのだ。

 失うのはもう嫌だから。

 

 

 だが、

 

 

 

「そっっれぇーーっ!!」

 

「きゃっ!?」

「わっ!?」

 

 突然後ろから飛びかかってきただいりに2人は驚いてそのまま倒れてしまう。なぎさはそのままアスファルトに頭をぶつける。

 

 

「どうだっ、仲直りしたかっ!」

 

「……えぇ、お陰様で」

 

「おめーに怒りが向いてるのです」

 

「…あり?」

 

 その瞬間だいりの顎に2人の見事な蹴りが炸裂した。だいりは数メートル飛び上がり、そのまま重力に沿って地面に激突する。

 

「ぐはぁ!?」

 

「…はぁ、やっぱりだいりはだいりなのです。ちょっとでも心配したなぎさがバカだったのです」

 

「や、やーい、なぎっちのおバカたんぽー」

「あ?」

 

「あだだだだ!!ちょ、やめて!そこはらめぇぇぇぇぇ!!」

 

 だいりは小学生以下の挑発をしてなぎさに制裁を加えられている。

 そんな様子を見て織莉子はすっかり気が抜けてしまった。さっきまでの険悪な空気は既にどこかに飛んでいっている。

 

「ふふっ、そうね。…確かに幸せを運んでくれるわね」

 

「あっ、おりっち!助けて!なぎっちが酷いんだ!」

 

「えぇ、勿論よ。貴方の美国織莉子が助けてあげるわ」

 

「お前は来んななのです!」

 

「ぎゃーーっ!!さらに締まりが強くーーっ!!?」

 

 

 

「ほら、やっぱこうなってる」

 

「いつものなぎさちゃんに戻ったみたいね、良かったわ」

 

「2人とも見てないで助けてぇーーー!!?」

 

 

 

 

 ●●●

 

 

 

 

 

「今はまだ貴方に譲ってあげる」

 

「…」

 

「でも勘違いしないでほしいわ。私は貴方と事を交えるつもりはないし、むしろ協力していきたいと思っている」

 

 

「私はだいりを守りたいだけだもの。それは貴方だって同じでしょう?」

 

 

 そう言って織莉子はどこかへ去ってしまい、なぎさは1人だけになる。

 

 

 

「……大嘘つき、結局お前もだいりと一緒にいたいだけなのです」

 

 

 

 

 

 

 




補足

雪野だいり:今回日頃の仕返しといわんばかりにたっぷり酷い目にあった。超がつくほどのカナヅチ。こいつは浅瀬でも溺れるので海やプールに遊びに行くときはかなり警戒が必要だぞ!因みに水着を着た感想は『二度とごめん』だそうな。そんなこと作者が許すと思っているのか!

百江なぎさ:だいりに対して普段は酷いことを言ったり、辛辣だが、いざ死にかけるとベタベタ引っ付いてくる。俗に言うツンデレ。kawaii!しかし若干依存気味。こいつぁくせぇ!トラブルの匂いがプンプンするぜぇ〜!

美国織莉子:いつも通りのはっちゃけぷりを見せたと思いきやこいつもばっちりだいりに依存しちゃってる。実はなぎさのいないところでわりかしイチャイチャ(織莉子視点)してる。あわよくばなぎさから奪い取って家族になってほしいと思っている。せ、戦争じゃあ…、戦争が起きるんじゃあ…!

巴マミ:今回のレスキューMVP。実は溺れているだいりを見てこっそり昂っていたりしていたとか…。

佐倉杏子:なんだかんだで泳げないだいりを一番心配していた元祖ツンデレ。だいりと会う前からちょくちょくマミに遊泳の訓練という名の拷問を受けていたので、ある程度は泳げる。マミとの訓練中に何度も臨死体験をしたので、正直だいりには同情してたりする。

キュウベェ:浮き輪。

大魚の魔女:でっかいメガマウスみたいな魔女。水中では全く魔力を感じ取ることができなくなる特性を持っている。カモフラージュした自身の結界に誘い込んで一気に飲み込む戦法を取っている。電気に弱いので電気系の魔法が使えれば遠慮なく結界の水に流し込んでやろう。ビチビチ跳ねながら浮上してくるぞ。

魔道具:魔法効果を付与された道具の総称。魔女に対する決定打になり得ないので、基本織莉子かだいりぐらいしか使わない。因みに織莉子の白い鞄の中身は全て魔道具。

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