それでは新章をお楽しみください。
全ての始まり
50 BBYーークエライ宙域ーーダソミア
銀河系のアウター・リム・テリトリー、クエライ宙域、ダソミア星系に属すダソミアは、太陽の光を反射して赤く光り輝く惑星で、大陸には森林や深い湿原が広がっていた。森林地帯の草木はしおれ、常に霧が立ち込めていた。ダソミリアンと呼ばれる惑星の住民は、女性のナイトシスターと男性のナイトブラザーに別れて生活していた。ナイトシスターは魔法を使うことができ、マザーのリーダーシップのもと、惑星の男たちを支配していた。ダソミリアン・ザブラクの男たちは、女たちから隔離された村で生活を送った。
そしてこの日、ダソミア史上初の奇妙な事件が起こった。
「マザーこれはいったいどういう事でしょう」
「私にも分からぬ」
そう話すのは一人のナイトシスターとマザーのタルジンだ。二人の目の前には一人の産まれたばかりの人間の赤ん坊がいた。
「人間の子供が産まれるなんて……」
「どういう事であったにせよこの子は私の息子よの」
タルジンはそう言いながらその赤ちゃんを優しく抱き上げた。
「大切に育て上げなければ……」
タルジンはこの出来事に困惑していたが彼にはどこか特別な力があると彼女はもう既に感じ取っていた。
一方で赤ん坊として生まれた彼はただただ混乱し、そして衝撃と恐怖を感じているのだった…………
さて、自己紹介をしようか、俺の名前はアレックス・ガルシアどこにでもいる普通の青年だ。特に何の特技も無い。いわゆる普通の人間だ。
まあ異常なまでにスターウォーズオタクだったが別にそれは問題じゃないだろう。それがどうしたものか突然気がついたら目の前にテレビで見たことのある顔が目の前にあったんだ。
目を開けたらマザータルジンだよ?まじでビックリしたわ本当に。
俺はその瞬間にすぐに理解した。
物凄くリアルな夢を見ているのだと。
だって映画の世界に転生とか聞いた事ないでしょ?え?聞いた事ないよね?
ある?
よし、なら詳しくその話教えてもらおうじゃないか?
はあ……取り乱してすまない。
とにかく俺はリアルな夢を見ているらしい。
てことだからじゃあなみんな。おやすみ〜
「うわあ!」
そう言いながらアレックス・ガルシア、もといガル・アーラは叫び声を上げながら目を覚ました。
「はあはあ……くっそ悪い夢を見た気がす…………」
そう言いかけて彼は自分の置かれている状況を改めて理解した。
『ああ、そうだった。夢じゃないんだったわ。現実を見なきゃ……』
そんな事を思いながら彼はタルジンの腕の中でまた眠りについた。
あれから一年が経った。あれほどまでにジェダイ達に嫌われていたはずの惑星ダソミア。しかしそこでの生活は特に苦でもなかった。彼はどうにかして自分が転生するに至った経緯を思い出そうとしたが何故かそれに関する記憶やそれより少し前の記憶は靄がかかったかのように見えないのだった。
ガル・アーラ、現在1歳。
それから一年が経ち、2歳になったガルはダソミアでそこそこ幸せに暮らしていた。
「ガル〜今日も一緒に遊ぼ!」
そう言いながらガルの元を訪れたのは同じく2歳になるナイトシスターの娘のメリダだった。
「はあ、そんなに毎日来なくても……」
ガルはそんな彼女の誘いを渋々ながらも一緒に遊ぶのだった。
ダソミア初の人間の男の子供が産まれたという話は直ぐに部族内に広がった。
その事をよく思わないナイトシスターやナイトブラザーが多くいるのはスターウォーズオタクだったガル自身もよく知っていた。しかしそれはガルが異常なまでのフォースの才能があると分かるまでの話だ。彼は言葉の話せないうちから自分の欲しいものをフォースで遠くから引き寄せることができた。まあ本人としては動きたくなかったというのが本心だったが。
そしてタルジンは何故かガルをナイトブラザーの一員として育てるのではなくナイトシスターと一緒に育てると決めたのだった。
それはガルにとって良いものであり、少し辛いものでもあった。部族の長であり、母でもあるタルジンから直々にダークサイドのフォースに関する知識や魔術などを学べることはガルにとってとても有意義な時間だった。でもナイトシスターと一緒に育てられるということは周りは全て女性。ましてや同世代の男友達や頼れる兄貴分なんかもいない。そんな彼に優しく接してくれるのは彼が生まれた時に立ち会ったナイトシスターの娘のメリダだけだった。他の同世代の女子はガルの事をあまり良くは思っておらず、彼は孤立していくいっぽうだった。
また、唯一頼れるのは自分の兄だと教えられたモールとサヴァージだけだった。しかしガルは一度も会うことができないままでいた。タルジンがそれを許さなかったからだ。この時既にタルジンは気が付き始めていた。ガルの中でライトサイドのフォースも一緒に強くなっている事を…………
ガル・アーラ、現在3歳。
ガルはもうこの年には他の同世代のナイトシスターやナイトブラザーを遥かに凌ぐ能力と知識を手に入れていた。元々スターウォーズオタクだった彼にとってフォースというものは知っているようで実態を感じられない神秘的な物だった。しかし、それは地球にいた時の話だ。今では実態を感じることができる。それにより彼のオタク心は発狂し、彼は毎日毎日フォースや魔術に関する勉強を熱心にしてきた。
また、フォースの強い惑星ダソミアに生まれた影響からか彼のフォースの才能はとてつもない物だった。しかも、魔術の才能もピカイチという素晴らしいチート性能だったのだ。
その頃、同じく3歳になったメリダはあまり魔術に関する才能があまりなく、ずっとガルと一緒にいたせいか同世代の女子とも交れずに一人でいる事が多かった。そんな時に彼女を助けたのはガルだった。ガルは自分と一緒にタルジンから直接教えてもらおうと彼女を誘い、たまには彼自身が先生にもなりながら彼女の能力向上に手を貸すのだった。二人は同世代の中では嫌われていても大人達からの評価は最高であった。
ガル・アーラ、4歳になりました。
そんなある日、ガルはメリダとの魔術の訓練中に彼女の中にフォースの才能が目覚め始めている事に気がついた。
「なあメリダ?」
「ん?どしたの?」
「いや、最近新しい力に目覚めてこないか?」
「新しい力って?フォースの力とか?」
「そうそう」
「うーん……特に感じないかな。でも……最近ガルと一緒にいるとガルのフォースとの繋がりを感じる、かな?」
「うーんやっぱりメリダにもフォースを使える日が来るのかもな」
そんな話をしながらも二人は今日も真面目に魔術の訓練に挑むのだった。
そして二人の中の繋がりは日に日に強くなっていく。
ガル・アーラ、5歳です。
この歳になるともう既にメリダの魔術の才能が開花し、ガルよりも全然優秀な魔女になりつつあった。
「やっぱり魔術は女子の専売特許なのかな〜」
ガルはそんな事をボソッと訓練中に呟く。
「それはそうに決まっておろう。この銀河で魔術を使えるのは今のところナイトシスターとお前だけなのだから」
タルジンがガルの頭を優しく撫でながら言う。
「それでも充分凄い事だって。男子で使えるのはガルだけなんだよ?」
「天才のお前に言われるとなんか腹立つ」
「そ、そんなこと言わないでよ。ガルにはフォースもあるんだからさ。ね?」
ガルはフォースを極め、メリダは魔術を極める。そんな構図がいつしか出来上がっていた。
この日、ガルとメリダはいつものように二人でダソミアの森の中を探索していた。
「ねえ、やっぱり私もフォース感じるかも」
メリダはそんな事を言いながらテンションを上げる。
「そう?じゃあ瞑想でもしてみる?」
ガルがそういうとメリダは大きく頷いた。
二人は向かい合ったまま座り、あぐらを組んだ。
二人は目を瞑り、ガルが伸ばした両手をメリダが握った。
二人の間にフォースが流れ始める。メリダはまだフォースの使い方を理解できていないのでガルがメリダの体にフォースを流し込む形を試した。
「そうだなとりあえずフォースが見せてくれるビジョンでも見ようか」
ガルはこの世界で起こる未来を知っているせいからか未来のビジョンを見るのがとても得意だった。
「分かった」
二人はその後、一切話さなくなった。
ガルとメリダの二人にビジョンが見え始める。
『ん?ビジョンに写ってるのはこの森だ。これって未来のビジョンだよな?』
ガルはそんな事を思いながらビジョンを見続ける。
そのビジョンはあまりにも鮮明にハッキリと見えた。
森の中を歩く人。
近づいてくる音。
手にはブラスターを持っている。
ブラスター?
よそものか。
どこに向かってる?
男だ!
何の用だこの森に。
これはいつの未来だ?
そんな事を考えながらもビジョンはどんどんと進んでいく。
そのブラスターを持った男は森の中を歩き続けてふと立ち止まり、ブラスターを構えた。
誰を狙っていやがる?
ガルはビジョンを見る視点をその男の視点と同じ場所に変えた。
嘘だ。
メリダ?
そこには地面に目を瞑って座る自分とメリダがいた。
これは全く今の状況と同じ……
男はブラスターの引き金を引き、メリダを撃った。
メリダの苦しむ声が上がり、彼女の意識が段々と遠のいていくのが分かる。
マズい!
ガルは急いで目を開き、全身にフォースを集めて目にも止まらぬ速さで動き、ビジョンで見た男がブラスターを構えていた射線に入ってメリダを庇うように抱きついた。
「ごめん、メリダ」
その直後、ブラスターの音が森の中に鳴り響いたと思えばガルは自分の体が燃えるように熱くなった事に気がついた。メリダから離れて熱い部分を確認すると自分の腹に綺麗な丸い穴が開いていた。
「ダンクファリック」
ガルはそう言いながら直ぐにフォースに手を伸ばし、自分を撃った男をフォースチョークで締め上げて殺した。しかし、ガルの意識も直ぐに遠のき始め、何が起きたのかやっと理解ができたメリダが彼の名前を叫ぶ声はもうガルには聞こえなくなっていた。ガルは朦朧とする意識の中でたとえライトサイドのフォースでなくとも訓練をずっとしてきた事に感謝するのだった。大切な人を守れた事がとても嬉しかった。地球にいた頃の自分の過去とは違い…………
「ガル!ねえ、ガル!起きてってばガル!」
そんな彼を抱きかかえていたメリダはただただ彼の名前を必死に呼び続けた…………
オリジナルのストーリーを書くのって難しいですね。普通に自分の想像力が無くて虚しくなります。
そういえば最近WandaVisionというドラマにハマっているんですがあの脚本を考えたりしてる人は凄いですね。どうやったらあんなストーリー展開を考えられるんでしょうか。
まあこれからも地道に頑張っていきます。
それではまた次回の投稿で。フォースと共にあらん事を