ガルがバーの外に出ると明らかに外が騒がしくなっていた。ガルは急いで歩いている人の中の一人の人を呼び止めて何があったのかと質問した。
「どうやらハットの飼っていた野獣が暴れてるらしい。場所は離れてはいるが一応ここも危ない。あんちゃんも早く避難したほうがいいぜ」
「それはどこですか?」
「広場だよ」
「ありがとう助かります」
「ちょっと!そっちは広場だぜ?」
ガルが広場に向かって走っていくのを見た男はそう叫んだがガルの姿はもう既に見えなくなっていた。
ガルは全速力で広場に走っていた。クインランの居場所がわからない以上この事態に対処しなくてはいけないのは自分だと分かっていたからだ。ガルが広場に着くとそこにはもう既に数人が倒れていた。暴れ回っているのは一匹のワンパと一匹のガンダークだった。
「おいおいワンパだけならまだしも」
ガルは正直この場を対処できる自信がなかった。
しかし一人のトワイレックの少女に向かってガンダークが走っているのを見てガルは全力のフォースプッシュをガンダークにぶつけるしかなかった。ガンダークの全身は簡単に吹き飛ばされ、広場の壁に直撃した。ワンパを他の大人達が相手にしてる内にガルは彼女の元に向かった。
「大丈夫?」
ガルが優しく彼女に話しかけると少女は泣きながらもガルに優しく抱きついた。
「よしよし」
彼女の頭を撫でながらガルはどこか安全な場所に逃げる様にと言って直ぐにワンパの対処に向かった。
訓練用のライトセーバーを起動してみたのは良いものの訓練用という事で出力が低いせいでワンパの腕を切り落とす事は叶わなかった。ワンパの攻撃はかなり大振りな物が多かったが、未だに打開策を見つけられないガルは徐々に防戦一方になってしまっていた。それにワンパの様な大型野獣の攻撃を何発も受け止められるほどガルの腕は成長していなかったのである。ガルが押されている所をトワイレックの少女は逃げる事も忘れて彼を心配そうに見つめていた。
「ガル!もう少し耐えろ!」
どこからともなくクインランの声が聞こえてくる。
「分かった!」
ガルはそう答えながらももう既に彼の腕の限界が近づいていることに気がついていた。
少し経つとガルの頭上からクインランのフォースが感じられる様になる。ガルはそれを感じた瞬間に後ろに飛び退き、上から降りてくるクインランのために場所を開けた。
ワンパがガルの動きに驚いている間に真上から降りてきたクインランがライトセーバーでやつの頭目掛けて降り下ろす。クインランのライトセーバーはワンパの体を綺麗に左右に分かれる程に一刀両断した。
ガルはその光景を見てかなり気持ちが悪くなった。
しかしそんなことを思っている暇も無く、ガルが倒したと思っていたガンダークが崩れた壁の瓦礫の中から起き上がってきた。ガンダークはガルとクインランには目もくれずに先程仕留め損ねた獲物に向かって一直線で突進する。
ガルとクインランが振り返るとガンダークの向かう先にはさっき逃げたと思っていたトワイレックの少女が立ちすくんでいた。
それを見た二人はすぐにフォースを使って周りの時間を引き伸ばし、全速力でフォースダッシュをして彼女を助けようとした。
しかし二人の今いる場所からでは彼女の元に辿り着いたときにはもう間に合わない事がガルには分かってしまった。このままではまずいと思った彼はどうにかして打開策を考えようとした。そして唯一思いついたのがガンダークの射線に自分が入って代わりに攻撃されることだった。ガルの中で何がそこまでさせるのかを本人は分かっていた。恐らく彼女はアイラ・セキュラだろう。そして彼女はかつての彼の推しキャラの一人なのだから。そしてここは彼女の死ぬ場所ではない。死んではいけない。
ガルは何の合図もせずにクインランが向かう場所とは全く違う、ガンダークの目の前に移動した。それに気がついたクインランは彼を止めようとしたが間に合わなかった。
ガンダークは突然目の前に現れたガルに一瞬驚いた様子を見せたが、次の瞬間にはガルに対して片方の手で薙ぎ払うかの様に攻撃をした。ガルもできる限りの防御をしたものの、ガンダークの大きな手と鋭い爪を完全に防ぎ切る事はできなかった。鋭い爪はガルの右半身の腕や脇腹に深く刺さり、彼の体はそのまま広場の壁まで一気に吹き飛ばされた。
「ガル!!」
クインランが名前を叫ぶ。しかしその時にはもう彼の目の前にガンダークが迫ってきていた。
クインランは覚悟を決めてライトセーバーを構えた……
アイラセキュラにとって同族のトワイレック以外の生物はあまり良いイメージがなかった。
何故なら彼女は自分の同族が他の生物達の奴隷にされている所を何度も見てきていたからだ。それを見るたびに彼女は悔しい気持ちに襲われた。
そんな中彼女はセキュラ一族としての身分を隠して生活を始める事になる。それは彼女が一番嫌いなものだった。ハットの奴隷としての生活である。奴隷としての生活は今の所問題が一切無かったがこの日は違った。いつも大人しくて人の言う事を聞くワンパとガンダークが突然暴れ出したのだ。そんな緊急事態の状態で真っ先に切り捨てられるのは奴隷である事も彼女は理解していた。
これから起きる自分の未来を受け入れようとしたが幼い彼女にとってそれはかなり難しかった。彼女は気がつくと涙を流して泣いていた。周りの大人達は殆どが自分を置いて逃げた事、残っている大人も自分を助けることをする気がないと彼女は気がついてしまった。だからガンダークが一直線に向かってきた時も逃げる素振りも見せずに死を覚悟した。しかしガンダークは彼女の近くまで来ると急に真横に吹っ飛んだ。
一瞬何が起きたのか理解が出来なかったがそれは自分を助けるために誰かが行った攻撃だと分かった。そして近くまで寄ってきて心配をしてくれたその人にアイラは感謝も覚えたがどうせ名声のために助けに来たのだろうという思いが出てきてしまった。そんな彼は優しく逃げろと言ってくれたにも関わらずあまり強いようではなかった。ワンパの攻撃にかなり押されている様子だった。彼女も何か助けたかったが何もできることが無く、ただずっと静かに応援し続けることしかできなかった。
少しするとどこからともなく現れたもう一人の男の手によってワンパは倒された。彼女は助けてくれた青年に感謝を言おうと思ったがその前にさっき倒したと思ったガンダークが復活し、また自分の事を狙っている事に気がついた。あの距離からじゃ絶対に間に合わない。
今度の今度こそ自分の死を悟った。しかしあの青年は自分の体を囮にしてワザと時間を稼いだ。絶対に重傷を負うと知っていたはずなのに。
アイラは分からなかった。そこまで彼が命をかけてまで自分を守る理由があるのかと。
クインランの額を一筋の汗が流れる。この時、彼は今まで感じた事の無いほどの恐怖を感じていた。仲間の一人をやられ、自分もどこまで保つか分からない状況で恐怖を感じない者がいないはずがない。
ガンダークといえばあの全盛期のオビワンとアナキンでさえ手こずる様なクリーチャーなのだ。そんな生き物をパダワン見習いのクインランとイニシエイトのガルの二人で対処できるはずがない。
クインランは今までにないほどの集中力を持ってガンダークに挑んだ。目まぐるしく光刃が動き、攻撃をいなしていく。しかしワンパとは全く比べ物にならない攻撃の速さや正確さにただただやられていくだけだった。どれだけ防御をしようとしても四本もある腕から繰り出される攻撃は予想をするのがとても難しく、避けるので精一杯だ。加えて後ろには守らなければいけない少女いるとくれば下手な動きもできない。クインランの体には防ぎきれなかった攻撃による浅い傷が増えてきていた。
クインランは一瞬できたガンダークの隙を突き、四本の内の一本の腕を切り落とす事に成功した。しかし大振りな攻撃をしてしまったためにクインラン自身にも隙が生まれてしまった。その隙をガンダークは見逃さなかった。大きなクリーチャーは切られたのとは反対の手で正確にクインランの手元を狙った攻撃をした。彼の手は鋭い爪で引っ掻かれ、ライトセーバーは遠くの方に飛んでいってしまった。
この時クインランは自分の死を確信した。確信した途端彼の体は今まで感じた事のないほどの恐怖を感じた。そして彼は目を閉じて恐怖に打ち勝とうとした。しかし実際は恐怖の元はガンダークによって殺される事ではない事に彼は気がつけなかった。
いつまでもトドメを刺してこないガンダークに違和感を覚えたクインランは恐る恐る目を開ける。すると目の前ではあの巨体のガンダークが中に浮き、苦しみ悶えていた。
クインランがガルの飛ばされた方向を見るともうほぼ瀕死に近いはずのガルが血だらけの右半身を引きずる様にしながらゆっくりと歩いてくる。しかし、彼の目は今までとは違った色をしていた。少し黄色になっていたのだ。彼の顔は怖いほどに無表情で何を考えているのかも分からなかった。
彼のフォースは大きな渦の様にあたり一面に充満していた。
すると突然さっきまで何の反応も見せていなかったアイラが走り出して急にガルに抱きつく。
「ダメ!お兄ちゃん戻ってきて!」
アイラの突然の行動にクインランは全く理解が出来なかった。しかし彼女が小さい体から持てる力を全て使ってガルの何かを止めようとしているのは彼にも理解が出来た。彼女はガルの凄まじい勢いで暴れるフォースの中に自分のフォースを流して彼との強い繋がりを実感した。ガルとアイラのフォースが完全に一体化するとガルのフォースは徐々に大人しくなっていった。そして彼の目の色も前のものに戻っていた。
我に帰り、ガンダークを拘束しておける程の力を失ったガルはもう一度ガンダークが襲ってくるのではないかと思い最後の力を振り絞ってアイラを庇おうとした。しかし、ガンダークは暴走したガルの力に怖気付いたのか急に大人しくなり、その場に静かに座り込んで何もしてこなくなった。
「おーいガル?お礼にたまたまだけど例のディーラー捕まえたけどどうする?って大丈夫か!?」
何も知らずに広場に意気揚々と現れたディルは広場で倒れている人達や瀕死の状態のガルをみて驚きの声を上げた。
「良く……見つけてくれたな。助かるよディル……」
ガルはそう言い残して意識を失った。
コルスカ宙域ーー首都惑星コルサントーージェダイテンプル
ガルが目を覚ますと目の前には見た事のある天井があった。
「また病室生活に逆戻りか」
ため息混じりにそう言いながら上半身を起こすと右半身に鋭い激痛が走った。
「痛っ!今回はしっかり傷も残ってるのか」
ガルはやれやれといったリアクションをしてこれから少しの間は安静にしておこうと決めたのだった。
暗い部屋から外を見るとコルサントの綺麗な夜景が見えた。辺りを見回すと自分の足元に誰かが突っ伏して寝ているのが見える。
「シャアクか?」
ガルがそう聞くと寝ていた誰かは体を起こして顔が見えるところまで近寄ってきた。
「元気なった?ガルさん?」
そこにいたのはトワイレックの少女。アイラセキュラだった。
「何で君がここに?」
「えへへ、ガルさんを助けるときにフォースを使ったのが分かったらしくて私もジェダイになるためにここに来たの」
「そ、そうなんだ。てかそのさん付けやめてほしいな。ガルって気軽に呼んで」
「ガルね!分かった!」
そんな反応をする彼女を見てガルは妹ができた様な気持ちになった。
「でねでね、私ガルの弟子になりたいの!」
「俺の弟子?それは無理だよ」
「えーダメなの?」
「ダメっていうか急すぎるっていうか……」
ガルがそう答えると彼女は明らかにシュンとしていじけ始めた。
「はあ……まあ訓練が再開するまでは面倒を見るよ」
「本当?やったあ!」
それを聞いた彼女は大喜びし、ガルのベッドにダイブした。
「痛ったあ!」
彼女がダイブした事による衝撃でガルの怪我が少し悪化したのは彼の中だけでの秘密である。
この回から何話かは疲れてヤバかった時期に書いた回なので正直なところお蔵入りにするか悩みました。でもまあWhat Ifだしいいかな〜って思って投稿してます。
あまりにも批判が多かったりしたら編集するかもです!笑
それではまた次回の投稿でお会いしましょう。フォースと共にあらん事を。