STARWARSーWHAT IF   作:AlexGarcia

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コルサント・ナイト・ディナー

オビ=ワンの自室を訪れたガルは夜飯を外に食べに行こうと誘い、その後は夜になるまで病室で大人しくしていた。

 

夜になり、二人は人の気配が無い聖堂のプラットフォームに来ていた。

 

「なんでプラットフォームなんかに?」

 

オビ=ワンは訳が分からないと言った表情でガルを見つめる。

 

「今日はいつもと違うとこで食べたくてな」

 

「それはいいな。でもプラットフォームで飯は勘弁してくれよ?」

 

「そんな訳あるか。ほら、やっぱりまだあった」

 

ガルが指をさす方にはディルの船がタラップを下ろした状態で止まっていた。船内の光が暗いプラットフォームを若干明るくしている。

 

船を見つけたガルは船に乗り込み、ディルを探した。

 

「ディル?まだいる?」

 

ガルがそう声をかけると

 

「人の船に勝手に忍び込むなんてよっぽどのワルだな」

 

後ろからディルの声が聞こえてくる。

 

二人が振り返るとそこにはどこから現れたのか分からないがとにかくディルがいた。

 

「ディル、命を救ってくれてありがとう」

 

ガルはそう言いながら頭を下げた。

 

「は?いやいやそんなに凄い事はしてないって。それで何の用?こんな夜遅くに感謝の話だけをしに来たようには見えないけど」

 

「もし良かったらコルサントの美味しい店を教えてくれないか?」

 

「あーいいよ。俺もこれからちょうど飯食べに行くとこだったし」

 

「ありがとう。今日は俺の奢りで」

 

ガルはそう言いながらクレジットの入った袋をディルに見せた。

 

「お前って嫌味な奴だな」

 

「ガル、そんな大金一体どこで?」

 

「まあまあ、それはディルのオススメのお店に着いてからな」

 

ガルはそう言ってオビ=ワンをあしらった。

 

「それじゃあディル様オススメのオシャレなコルサント・ナイト・ディナーに向かいますか!」

 

ディルは胸を張ってそう言った。

 

 

コルサントーーココ・タウン

 

 

エアタクシーを降りた三人はディルの後ろを離れずに進んだ。

 

「ディルまさかとは思うが……」

 

ガルは嫌な予感がしたため確認をしようとする。

 

しかしその予感は的中する。

 

「ようこそ!デックス・ダイナーへ!」

 

ディルが胸を張って紹介したそこはエピソード2でオビ=ワンがパドメの暗殺をしようとした賞金稼ぎの手がかりを探しにやってきた場所だった。

 

「ここってダイナーだよな?」

 

「そうだけど?でもここの飯はすごく美味しいから」

 

「分かったよディル、信じるよ」

 

「よし、じゃあ行こう」

 

ディルが先頭に立ってダイナーに入って行く。

 

ガルとオビ=ワンはフォースでダイナーの中で自分達が店に入ってくるのを待っている人物がいる事に気がついた。

 

「オビ=ワン」

 

「ああ」

 

二人は顔を見合わせて頷き合い、こっそりと訓練用のライトセーバーに手を伸ばした。

 

三人が店の中に入ると店内の明かりが明らかに暗めにしてあった。

 

「デックスいるか?」

 

ディルが大きな声で店主のデックスを呼ぶ。

 

しかしその声で店の厨房から出てきたのは一人の女性だった。しかしその女性から一切の敵意を感じ取れなかったガルとオビ=ワンはライトセーバーから手を離した。

 

「あんたどのツラ下げて帰ってきたの?」

 

女性が強めの口調でディルに話しかける。

 

「うっ……」

 

ディルは急に後ろに立っているガルとオビ=ワンの間に入り込もうと後ろに下がりながら体をねじ込んでくる。

 

「えっとこちらの方は?」

 

ガルがディルに説明しろといった視線を向ける。

 

「えーっとその〜この人が前にバーで話したうちの奥さんです」

 

それを聞いたガルとオビ=ワンは面倒な夫婦喧嘩に巻き込まれるのを瞬時に察した。

 

「えっとそっちの二人は?」

 

ディルの奥さんは旦那以外の人物が一緒にいたのに気がついていなかったらしく恥ずかしそうにしながら声をかけてきた。

 

「どうも、自分はガル・アーラです。あなたの旦那さんに命を救われたものです」

 

ガルはそう言いながらしっかりと頭を下げた。

 

「私はオビ=ワン・ケノービです。ガルの親友です。そちらのお名前を伺っても?」

 

オビ=ワンもガルに続いてお辞儀をした。

 

「私はリオ=ベラ・トリスです。ベラって呼んでください」

 

一通りの自己紹介が終わり、店内のムードは最初の時と同じムードに戻った。ガルとオビ=ワンは何も言わずにありえないスピードで二人から一番遠いテーブル席に座った。

 

「ちょっ!」

 

ディルは二人が逃げた事に気がつき助けを求めようとするも、もう既に遅かった。

 

「ディル、あんたはこっちに来なさい話があります」

 

ベラはディルの耳を掴んで厨房の奥に引っ張っていった。

 

ガル達は誰もいない薄暗い店内でじっと外の街の様子を見ていた。少しするとオビ=ワンがゆっくりと口を開いた。

 

「なあ、ガル?一つ聞いていいか?」

 

「なんだ?」

 

「どうしてあのトワイレックの少女……いや、アイラ・セキュラをあそこまでしてでも助けたんだ?」

 

「助けたかった。だから助けた。それじゃダメか?」

 

「ダメじゃ無いが……どうしてそこまで自分を犠牲にできる?」

 

オビ=ワンのその問いにガルは正直に答えるべきかどうか悩んだ。

 

しかし、オビ=ワンに嘘をつく理由がなかったガルは正直に答える事を選んだ。

 

「自分の命を賭けてでも救える命があるなら救いたい。俺はそう思ってる」

 

そう言いながらもガルは自分が何故そこまでしてこの世界のキャラ達を死なせたく無いのかは理解できていなかった。それは彼の過去に関係があるのかもしれないが、その時の記憶はもう既に彼の中からは消えてしまっていた。

 

「じゃあ残された人間はどうする?お前が瀕死の重傷を負った瞬間、私とシャアクとシーリにはあり得ないほどの苦痛が走ったんだぞ!全員がその苦痛の理由が分からずにただ困惑していたというのに」

 

珍しくオビ=ワンが感情的になったのを見たガルはその迫力に圧倒されて答える事ができなかった。

 

「ジェダイは執着心を捨てなきゃいけない。そんなの分かっている。でもそれができるほど私達はまだ大人じゃ無い。だからもうせめて大人になるまでは無茶な事はしないでくれ」

 

「いやオビ=ワン…………執着心を捨てる必要はない。というか捨てられないだろう。俺はそう思う。それにジェダイはジェダイの掟に執着しすぎてるしな」

 

「でもそれは……」

 

オビ=ワンは言い返せなかった。ガルの言う事も一理あると思ってしまったからだ。

 

「それに悲しくならないか?本当の意味で執着心を捨てたら仲間が死のうが誰が死のうが悲しむ事は無い。感情を失うのと同じ事だぞ?そんな風になるならジェダイを辞める方がましだ。古くからの由緒正しい掟に従うのを悪い事だとは思わないが、時代は変わったんだ。時代に沿った新しいジェダイのあり方があると俺は思ってる」

 

オビ=ワンはガルの言葉を真面目に聞いていた。今までこんな考えを持っていた人間に出会ってこなかったからであろう。彼の中には今までジェダイに対して抱いた事のなかった疑問が生まれていた。

 

「俺はお前、シャアク、シーリ、アイラの身に何かあったら平静でいられないだろう。絶対に俺は復讐を誓う」

 

「ガル…………」

 

「それがジェダイの道を外れていようが関係ない。どのみち…………俺はジェダイにはなれないさ」

 

ガルはこの時既に気がついていた自分にはライトサイドのフォースとダークサイドのフォースが仲良く存在する事に。それに彼にとってもうジェダイでいる事の意味はほぼ無くなっていた。シディアスの上を行くならずっとジェダイ聖堂にいただけでは達成できない。

 

ジェダイという称号はただの足枷でしかなかった。

 

「なんでそんな事」

 

「俺は感情を抑える気もない。何故なら俺は強くならなきゃいけないからだ」

 

ガルの力強い答えを聞いてオビ=ワンは何も言えなくなった。

 

オビ=ワンにはガルの考えが手に取る様に分かった。彼が考えているのは周りのことだけなのだと。彼にとって自分自身の心配をするより他人の方が大事なのだと。

 

「大丈夫だオビ=ワン。俺を信じろ。俺はこう見えても色々考えてやっているんだ」

 

オビ=ワンの不安を感じたガルが彼の心を見透かしたような顔で言ってくる。しかしそれよりもオビ=ワンはガルのいつもと違った雰囲気を感じとっていた。

 

「今日何か合ったのか?」

 

「何かって?」

 

「いや、それは分からないがいつもと違う何かを感じる」

 

オビ=ワンの鋭い発言にガルはビクッとした。

 

「い、いや特に何もない」

 

「本当か?」

 

オビ=ワンはガルの目をジッと見つめる。

 

ガルもジッとオビ=ワンの目を見つめる。

 

少しの時間が流れてついにガルが観念して白状した。

 

「シャアクとアイラと…………キスしました」

 

急に縮こまって話し始めるガル。

 

「は?」

 

オビ=ワンは口を開けたまま炭素冷凍でもされたかの様に一切動かなくなってしまった。

 

「おーい大丈夫か?」

 

ガルがオビ=ワンの顔の前で手を振っても彼は微動だにしなかった。

 

少ししてもオビ=ワンが動かなかったためガルは最終手段に出る事にした。

 

「お前がシーリの事好きなの知ってるぞ」

 

ガルがそう言うとオビ=ワンは急に動いた。

 

「そ、そんな事はない」

 

「否定できてないぞ」

 

まったくガルの言う通りでその時オビ=ワンの顔はもう既に赤くなっていた。

 

「私の話はいいんだ何でそんな事?どこでしたんだ?」

 

「聖堂の最上階のバルコニーと病室」

 

「本気か??誰かに見られたら追放されてもおかしくないんだぞ?」

 

「急だったから止めることもできなくて」

 

「それでこれからどうするんだ?」

 

「いや特にいつも通り過ごしていくつもりかな。まあ何とかなるっしょ」

 

いつものしっかりとした雰囲気と違いガルはなんとなく戸惑っている様な雰囲気だった。

 

オビ=ワンがガルの二人に対する気持ちを確かめようとした時、店の入り口が開いて中に二人の人物が入ってきた。オビ=ワンにはただの客が来たようにしか見えなかったが、その二人を見たガルの目はいつになく輝いていた。




今の自分だと一週間に一度の投稿が限度な気がする……
まあでも頑張ります。本当に。
話を書いていて伏線を沢山散りばめようとしているんですけど全部回収できる自信がありません(笑笑)
それでは次回の投稿でお会いしましょう。フォースと共にあらん事を。

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