店に入ってきた二人組はいかにもバウンティ・ハンターという格好をしていた。
オビ=ワンは厄介ごとに巻き込まれそうな気がして身構えたが普通に席に座ったのを見て安心した。そして彼はこの店に入ってからまだ一度も店主を見かけていない事に気がついた。
すると店の裏口が開く音が聞こえ、中に店主らしき人物が姿を現した。
「よお!ジャンゴにザムじゃねえか、いらっしゃい。遅くなってすまねえなちょいと買い出しに手間どっちまって」
この店の店主、ベサリスクの男性、デクスター・ジェットスターが二人の賞金稼ぎに声をかけた。
「やあデックス、ベラに誘われて来たんだが。今日は貸切って言ってなかったか?」
そう言いながらマンダロリアンアーマーに身を包んだジャンゴがガルとオビ=ワンの方を向く。
「おお、そういえばそうだったな。そちらのお客さん、どなたかの招待で?」
そう聞かれたガルは直ぐに立ち上がり自己紹介を始めた。
「はい。ディルに誘われて来ました。どうもガル・アーラです」
「同じく、オビ=ワン・ケノービです」
「おお!君がサバックの天才ガルか。よろしくな。俺はジャンゴ・フェットだ」
「ザム・ウェセルよ。ジャンゴの親友で一緒に賞金稼ぎをやってるわ」
ガルとオビ=ワンは二人と固い握手を交わして四人で並んでカウンター席に座る事にした。
「そうだワシも自己紹介しねえとな。デクスター・ジェットスターだ。デックスで構わない。飯は今から作るからちょいと時間かかるが話でもして時間を潰しててくれ」
デックスが厨房の奥に消えるとジャンゴがヘルメットを脱いでテーブルの上に置いた。
「それでディルは?」
「ディルならさっき奥さんのベラに引っ張られてどっかに行きましたよ」
「ああ、怒られてるのか」
ガルの返答にジャンゴはやっぱりなというリアクションをした。
「それはそうでしょ。だってあのバカはベラとの結婚記念のブラスターまで賭けたんだから」
ザムは当然だという顔をしながらジャンゴにそう言った。
「本当に相手が君で良かったよ」
「ガル?お前もしかして任務先のライロスでサバックしてたのか?」
「い、いや?そ、そんなことするわけ」
「だからさっきあんなにクレジットを持ってたのか」
オビ=ワンが心底呆れながら納得しているとWA-7ウェイトレス・ドロイドのFLOが四人分のアルディーズを持ってきた。
「それでどれぐらい勝ったんだ?」
ジャンゴはアルディーズを飲みながらガルに聞く。
「ざっと10万クレジットは」
そう言いながらガルもアルディーズを恐る恐る舐めてみた。初めて飲むアルディーズは普通に美味しかった。
一方隣で飲んでいたオビ=ワンは口に含んでいたアルディーズをガルの儲かった金額を聞いた瞬間に吹き出していた。それはそれはもう綺麗な吹き出し方でアメリカで人気の王道シットコムでもここまで綺麗な吹き出し方はできないだろう。
「うわーおフラーハウスみたいだね」
ガルはそう言いながら笑った。
しかしオビ=ワンは笑えないようだった。
「鼻に入った」
そう言いながら物凄く痛そうにしていた。
その間、ジャンゴとザムは天才だなとガルの事を褒めていた。
褒められて嬉しくなったガルはジャンゴ達に相手のプレイヤーの表情をどうやって読み取るかなど細かい説明をしていた。
すると店の厨房からげっそりと痩せ細って生気が失われているディルをベラが引きずりながら出てきた。
「あらジャンゴとザム、もう来てたのね」
「ああ、予定より仕事が早く片付いてな。そこの死にかけのバカは大丈夫か?もう許してもらえたのか?」
「はい……なんとか……」
弱々しい声でディルが返答する。
「そうだディル、さっきジャンゴさん達にサバックの必勝法を教えてたんだけど聞きたい?」
ガルがニヤニヤしながらそんな事を言う。
「えっ?聞きたい聞きたい!」
さっきまで死んでいたはずのディルの目は急に息を吹き返し、懇願する眼差しでガルを見つめた。
しかしそんなディルをベラが許すはずもなく。ディルはすぐにベラに耳たぶを掴まれて強く引っ張られた。
「あんたさっきもうギャンブルは二度としないって言ったでしょうが!」
「はっはいいいい!」
ディルは怯えながらそう答えた。
そしてその様子を見ながらガル達は笑っていた。もう既にガルにとってこの場にいるメンバーとの過ごす時間がとても有意義で楽しかった。
しかし、それを横から見ていたオビ=ワンは楽しみながらも自分の親友が賞金稼ぎ達とどんどん仲良くなっていくのを不安に思っていた。ガルがジェダイでいる事にあまり意味を感じていないと気がついてしまったからこそ彼は不安だった。ガルがいつかジェダイオーダーをやめると言うのではないのかと……
一方ジェダイ聖堂ではアイラをジェダイ・イニシエイトにする事が正式決定されようとしていた。
「マスターヨーダ、私はあまり気乗りがしませんな」
ウィンドゥは顎に手を当てながら悩んでいる。
「何が問題だというのじゃマスターウィンドゥよ」
「いえ、彼女自体に問題はありません。私が言っているのは彼女とガル・アーラの繋がりの事です」
「ガルが何か悪い事をしたとでも?」
彼の発言にドゥークーが質問する。
「私が言っているのは彼の能力と彼女の証言だ。彼女は彼が暴走したと言っていた。しかし、それを知っているのは彼女だけだった」
「何が言いたい?」
「今朝、彼と話した時に彼は普通にしていた。まるで暴走などしなかったかのように」
「しかし、彼女の証言が嘘だとは思えないとな?」
「はい、マスターヨーダ。彼女は彼の暴走を彼とフォースで深く繋がる事で抑えたと言っていました」
「となると」
「彼は力をコントロールできていない可能性が高い」
このウィンドゥの発言を聞いた全員が同じ事を考えた。ガルは予定よりも早く誰かのパダワンにしなければいけないと。
「その彼が暴走した時に一番被害に遭うのは繋がりの強い彼女本人だろう」
「確かにマスターウィンドゥの言う通りじゃの。しかし今回は繋がりの強い彼女がいたからこそ、ガルの暴走は止まったのじゃ。その彼女が修行を積んで立派なジェダイになれば彼を支える良き存在になってくれるとは思わぬか?」
ヨーダの問いにウィンドゥは直ぐには答えなかった。
少しの間ウィンドゥは自分の中で注意深く考えてから口を開いた。
「アイラセキュラの件に関しては賛成しましょう。ガルの件に関してはまた後日ということで」
そんな事を知りもしないガルはデックスが作ったご飯を物凄い勢いで食べていた。
「何これ!美味すぎる!」
スターウォーズの世界で食べる初めての家庭的料理は信じられないほど美味しかった。材料は正直なところ怖くて聞けないのがガルの本心だったが、美味しければそんなものは関係ないと考えるようにした。
そんな中隣に座っているオビ=ワンも黙々とデックスの手料理を食べていた。
「凄い勢いで食べるな二人とも」
ジャンゴは二人の様子に驚いていた。
「子供は沢山食べないとね」
ザムがお酒を飲みながら優しくそう言う。
ディルとベラも二人の様子を微笑みながら眺めていた。
賞金稼ぎの四人にとって子供とこうやって普通に触れ合う瞬間などほとんど存在しないのだ。
ジャンゴ達は密かに自分達も普通の生活ができて家庭が持てたらなと考えてしまっていたのだった。
ガルはふと地球の頃の自分の家族について考えた。しかし、存在していたはずのその記憶は彼の頭の中には浮かばなかった。ただ心に幸せな気持ちと孤独、悲しみ、憎しみが同時に訪れただけだった。
彼の中で地球にいた頃の記憶はほぼ全てと言っていいほど消えていた。ただ覚えているのはスターウォーズに関する記憶だけ。その記憶でさえ、徐々に歳を重ねる事に怪しくなってきているというのに。
だから彼はデータメモリにできる限り覚えている事を記録しておいた。誰かに見られる可能性もあるためセキュリティロックは頑丈にし、そのメモリはどのデバイスにもアクセスできない。簡単に言えばWi-Fiにすら繋げられない様に設定されているのだ。そのためそのデータを見るにはガルがコルサントにいる時は肌身離さず持っている薄型データパッドを使わなければいけない。逆に言えばそれが壊れたりすればそのデータは一瞬にして失われるわけだが……
いずれパルパティーンに勘付かれるのを恐れた彼はエピソード1の時代になる頃には全てのデータを消すつもりでいる。まあどうせ見られても理解できないのがオチだ。彼のデータは英語と日本語、スペイン語の三つに分けられて記録されている。この世界にとったら解読不可能の文字だ。
そんな中ガルは密かにダソミアに帰りたいとも思っていた。親友のメリダの事が心配だったのだ。
一方で彼が生きている事なんて知る由もないメリダはダソミアで一番の戦士になろうとタルジンの元で奮闘しているのだった。今の彼女は大人のナイトシスター達と同じぐらいの強さになっていた。
二度と大切な存在を失わないために。
そういえばThe Bad Patchの新しい予告編が公開されましたね!
レックスやエコーの再登場はもちろん凄く嬉しいんですけど個人的にはフェネックの登場がめちゃくちゃ嬉しいです。自分はMandalorianの中でフェネックが一番好きなキャラなので(笑)
最近調子がいいので五日に一度の投稿ぐらいできそうかな?って感じです。本当に気分屋ですいません……
それではまた次回の投稿で。フォースと共にあらん事を。