STARWARSーWHAT IF   作:AlexGarcia

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昇格は突然に

あれから月日が流れ、もう半年が経とうとしていた。

 

それぞれが日々、成長していた。

 

ガルは前回の暴走以来、特に問題は起こらなかったがあの日以来異常なまでの能力の向上が見られた。一度に放出できるフォースの波の大きさが増し、彼と共に戦う者に起こる能力向上も格段にレベルが上がっていた。

 

ガルと共に戦うことの多いシャアクはその恩恵を一番受けていた。彼女の動きは更に俊敏になり、彼女のフォースダッシュはジェダイマスター達にも負けない程になっていた。

 

オビ=ワンはシーリとの繋がりが強くなり、彼女の事を大切に思う気持ちが強くなりつつあった。しかし、この後はどうせサティーンに恋をするのだが。

 

彼はムンディのように一夫多妻でもするつもりなのだろうか。とガルは心の中で密かにほくそ笑みながら考えていた。

 

どの口が言えたものだろうか。

 

ガルとシャアクの関係は特に今までと変わらなかった。可もなく不可もなくといったところだ。あのキスによるプライベートの変化は全くなく、そんな事すら無かったかのようだ。

 

ただ一つあげるとすればシャアクが明らかにアイラに対して対抗心を抱くようになったこと。しかしアイラは年上のシャアクを全く意識する様子も無く、ただひたすらにガルの隣にいようとするだけだった。

 

また、ディルやジャンゴ達との交流の回数は増え、今ではガル一人で会う時もあればシャアクを連れて一緒に聖堂を抜け出すこともしばしばだった。

 

ディルやジャンゴはガルの事を歳の離れた弟のように思っていた。二人はいつか必要になった時のためにジェダイでは嫌う者が多いブラスターの練習をガルに薦めた。二人は断られるのを覚悟していたが意外にも、ガルは喜んで二人に教わると答えた。一流の賞金稼ぎ達の下でのブラスター練習はガルの新境地を開いた。今ではそこらの二流賞金稼ぎよりも腕が良くなっている。ベラやザムも賞金稼ぎを差別しないガルをとても気に入っていた。

 

アイラは小さいながらにも先輩のガルやオビ=ワンに追いつこうと毎日必死にトレーニングをしていた。

 

そんな中、彼女はガル以外にも強いフォースの繋がりを持てる人間を見つけた。それはもちろんクインランだった。二人の間にはガルとの繋がりとまでとは言えなかったが確かな物があった。彼女は次第にクインランが自分の師匠になるのではないかと考えるようになった。一方でガルに対しては何とも言えない複雑な感情を抱くようになってしまったのだった。

 

 

コルサントーーココ・タウン

 

 

今日はガルとオビ=ワン、シャアクの三人でデックスダイナーに訪れていた。ディル達は本業が忙しくていなかったが、夜ご飯はどこよりも美味しいこのダイナーが良いとガルがうるさかったため他の二人は半ば強引に連れてこられたのだった。

 

三人はテーブル席で他の客を観察しながらご飯を食べていた。

 

すると突然ガルのコムリンクが鳴り出した。

 

きっとマスターの誰かからだと思い、焦ったガルは口の中の食べ物を急いで飲み込んでから一人外へ出て人通りの少ない場所で通信を受けた。

 

「はい、ガルです」

 

「ドゥークーだ。明日の朝に大事な話がある。オビ=ワン、シャアクを連れて一緒に広場に来てくれ」

 

「分かりました。それじゃあおやすみなさい」

 

「ああ、おやすみ。それと明日は早いんだから早めに帰ってくるんだぞ?」

 

ドゥークーの言葉にドキッとしながらガルは通信を切った。

 

ガルは直ぐにダイナーに戻り、話の内容を二人に伝えたのだった。

 

 

 

次の日、朝早くに起きた三人は言われた通りに広場に集まっていた。

 

コルサントの朝日が三人の姿を照らす。オビ=ワンは清々しい顔をしていたが、ガルとシャアクの二人はどうもあの日のキスの事を思い出してしまうようでお互いに恥ずかしそうな顔をしていた。

 

少しするとヨーダを先頭にドゥークー、クワイ=ガン、タールが三人に向かって歩いてきた。

 

それを見た三人は背筋を伸ばし、綺麗な姿勢でマスター達の話を聞く準備をした。

 

「うむ、全員揃っておるの」

 

そう言いながらヨーダはドゥークーの方を向く。

 

「今日から君たち三人をパダワン見習いに昇格する事が決定された。君たち三人のマスターは私を含めたクワイ=ガンとタールの三人だ」

 

その発言にガル達は歓喜する。

 

「ガル、君のマスターはこの私ドゥークーが務めよう」

 

「オビ=ワン、君のマスターは私だ」

 

「これからよろしくねシャアク」

 

それぞれがお互いのマスターと固い握手を交わす。

 

彼ら全員がいずれこうなる事を予想していただろう。

 

だから誰一人として不安の表情を見せたりしなかった。全員が自信に溢れた顔をしていた。

 

「悪くない組み合わせじゃ。それでは最初の訓練といこうかの。そなた達三人は異例の進級速度の為まだ自分のライトセーバーを作っておらんじゃろう?」

 

ガル達三人は頷く。

 

「氷の惑星イラムに行ってギャザリングを行ってくるのじゃ」

 

ヨーダの言葉を聞いたガルは喜びと不安の感情の両方が自分の中で大きくなっていることに気がついていた。

 

ギャザリングはジェダイ・オーダーの訓練生に課せられる通過儀礼だ。惑星イラムの洞窟において、各々のライトセーバー制作に必要なカイバー・クリスタルを見つけ出す試練であり、フォースを使い、個人が抱える恐怖や過ちを克服しなければクリスタルを手に入れることはできなかった。

 

ギャザリング修了後、訓練生たちはヒュイヤン教授のもとでライトセーバーの制作方法を学ぶ事になる。

 

ギャザリングの伝統はジェダイ・オーダーの夜明けまで遡り、クローン戦争の時代まで数世紀にわたって受け継がれていた。この通過儀礼は若きジェダイ・イニシエイトたちがそれぞれの内面にある恐怖や過ちを乗り越え、ライトセーバーの製作に必要なカイバー・クリスタルを見つけ出すことを目的としており、氷の惑星イラムにあるジェダイ・テンプルで執り行われた。ギャザリングに参加するイニシエイトは、旧共和国時代から1,000年以上にわたって使用されている宇宙船<クルーシブル>でイラムへ運ばれている。

 

オビ=ワンやシャアクは自信に満ちた顔をしていたが、ガルだけはそんな顔をする事はできなかった。

 

彼は自分の内にある恐怖が何か理解できていたからだ。そしてイラムの洞窟ではそれが確実に彼自身の目の前に形になって現れるだろう。過去からは決して逃れられないとでも言うかのように……

 

ヨーダからの説明を受けたガル達はマスター達三人と一緒に直ぐにイラムに旅立つ事が決定された。

 

 

「ねえねえ、ガル?あなたは何色だと思う?」

 

シャアクがガルの隣を歩きながらクリスタルの色の予想を聞いてくる。

 

「さあ?無難に青とかじゃない?」

 

「お前なら変わった色が手に入りそうな気がするけどな」

 

「みんな揃って青の方がいいだろ?」

 

「それもいいけど全員同じ色っていうのもなんかね…」

 

「確かにあんまりだな」

 

「ならやっぱりガルだけ違う色だな」

 

「何でそうなるんだよ!」

 

三人のやりとりを後ろから見ていた彼らのマスター達は彼らのパダワン達がこのテストを合格すると確信していた。

 

 

未知領域ーー惑星イラム

 

 

六人のジェダイを乗せたクルーシブルがイラムに着陸する。

 

イラムに降りたガルはいつものように目を輝かせていた。彼はクローンウォーズでのイラムの回とフォールンオーダーでのイラム探索が大好きだったのだ。

 

オビ=ワンやシャアクも美しい雪と氷のコントラストを見て興奮していた。

 

「懐かしいですねマスター」

 

「そうだな。我が弟子よ」

 

「イニシエイトの頃を思い出すわね」

 

三人のマスター達も幼い頃の思い出に浸っているのだった。

 

ガル達はテンプルの前まで案内された。

 

テンプルの入り口は氷で閉ざされていた。

 

その場の全員が何も言わずにフォースを使い、協力してその氷を動かして道を切り開いた。

 

開いた入り口から中に入っていく。階段を降りるとそこにはホールがあり、そこでマスター達の案内は終了になった。

 

「特に注意することなどは無いが、日が沈む前までに戻ってくるようにしてくれると助かる」

 

ドゥークーがガル達に向かって言う。

 

「マスター、そんないい加減でいいんですか?」

 

「別に今回は正式な訓練でも無いんだし大丈夫よクワイ=ガン。それにこの子達ならやれるわ」

 

「はい!私達はすぐにこの洞窟から出てきてこの訓練の最速記録を更新すると思います」

 

「それには私も賛成です」

 

シャアクとオビ=ワンが食い気味で答える。

 

「あなたは?ガル」

 

タールがガルの事を見つめる。

 

「自分はじっくり時間をかけて自分と向き合いたいと思います」

 

ガルのその返答は彼の心の奥底から湧き出たのかと思うくらい重く、説得力のあるものだった。

 

「うん!良いわね、あなたらしいわ。あなたならきっと良いジェダイになれるわ」

 

そう言いながらタールは彼の頭を優しく撫でた。

 

「私の自慢のパダワンに色目を使わないでくれるかな?タールよ」

 

それを見たドゥークーがすかさず反応する。

 

「二人とも良い加減にしてください。さあ、三人はもう行くといい。己と向き合って自分に合った色のクリスタルを見つけてくるんだ」

 

「「「はい!」」」

 

三人の元気な返事がホールに響き渡る。

 

三人は小走りでホールから続く洞窟へと入っていくのだった。




投稿が遅れた言い訳をさせてください。先週友達に誘われてAPEXを始めました。そうしたらどハマりしてしまってここのところ毎日やってしまっていました。本当に申し訳なく思っています。
それでは次回の投稿でお会いしましょう。フォースと共にあらん事を!

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