三人が洞窟を進んでいくと目の前には三つに分かれた別々の道が存在していた。
「さてと俺達が一緒なのもここまでなのかな?」
ガルの発言によって他の二人も改めて気合を入れ直した。
「じゃあまた後で」
オビ=ワンがそう言いながら一番右の洞窟へと進んでいく。
「そうね」
シャアクは一番左の洞窟へ。
「じゃあ数分後に」
ガルはそう言いながらも二人の姿が見えなくなるまでその場から一歩も動かなかった……
オビ=ワンはゆっくりと洞窟の中を進んでいく。
この後何が起きて、何を見るのかは誰にも予測ができない。オビ=ワンは正直なところもう既に自分がこの状況に恐怖を抱いている事が分かった。
慎重に一歩ずつ確実に歩いていく。すると少しドーム状になった開けた場所に出た。
異常な緊張のせいで疲れたオビ=ワンは一瞬だけここで休む事にした。洞窟の壁にもたれかかり楽な姿勢をとる。
すると彼は自分が通ってきた道から足音が聞こえるのに気がついた。彼は直ぐにこれから訪れる出来事に対処しようとした。しかし、そこに現れたのは先程別の道に進んだはずのガルだった。
「ガル?ここで何してる?」
オビ=ワンがガルに近づこうとすると彼は焦った様子で話しかけてきた。
「今すぐ逃げろ!この洞窟には邪悪な奴が住んでる!」
意味のわからない事を言うガルにオビ=ワンは混乱した。ところが次の瞬間、こちらに向かってきていたガルの腹から赤い光刃が姿を表した。オビ=ワンが状況を理解する前にガルからは苦しみの声が上がる。オビ=ワンは目の前で起こっている事が幻影であると分かっていても恐怖を感じられずにはいられなかった。
ガルが致命傷を負った時と同じ苦しみが彼を襲う。
最後の力を振り絞って逃げろと叫ぶガルを尻目に、オビ=ワンは全速力で洞窟の先へと走りだした。
オビ=ワンは振り返らずにどんどんと洞窟を走り抜けていく。親友を殺した正体不明の人物の気配が感じられなくなるまで……
気がつくと彼はジェダイ聖堂の中にいた。
いつもと変わらない光景が彼の目の前では起こっていた。しかし、いつもと違う事もあった。みんなが大人になっていたのだ。
そしてオビ=ワンは何故かジェダイ公文書館へと向かおうと思った。
公文書館に着いた彼はそこに置いてある銅像をゆっくりと見ながら歩いていた。するとその内の一つに見覚えのある顔を見つけた。急いで銅像に駆け寄り、そこに記されている名前を確認する。
そこにはハッキリとこう書いてあった。
『脱退した優秀なジェダイナイト・ガル・アーラの功績をここに記す』
その文字を読んだ彼は自分の恐れていた事態が起きてしまったと錯覚した。ガルはジェダイを辞めたという情報がオビ=ワンの頭の中で渦巻いた。
「あら?オビ=ワンじゃあないですか。どうしたんですか?古き友の顔が見たくなりましたかな?」
優しく声をかけてきたのはジェダイマスターのジョカスタ・ヌーだった。
「え、ええそうですね。彼の事を思い出してしまって」
「そうでしたか。もう何年になりますかね。彼がここを去ってから……」
彼女の目には寂しさと悲しみの両方が混じっていた。
「彼のマスターも元気にしていますかね。まさかマスターとパダワンの二人ともがジェダイを辞めるなんて思ってもいませんでしたからねえ」
「えっマスタードゥークーもやめたんですか?」
「そうですよ。ガルがここを辞めてから数年後に。覚えてらっしゃらないんですか?」
「い、いやあ覚えているさ」
その後、オビ=ワンは公文書館を後にして自分の自室に帰る事にした。
彼は自室のドアを閉めながら今の自分の状況を理解しようとしたが、何一つ理解できる事が無かった。オビ=ワンは頭を抱えながら目を瞑る。
そしてもう一度目を開くとまた違う景色に変わっていた。そこではガルを含めた大勢のジェダイ達が一本の大きな木の前で立ち、おしゃべりをしていた。
ガルやシャアク、シーリがこっちを見ながら笑顔で手を振っている。
その光景はもはや異様としか言いようがなく、どうにも気持ちが悪かった。
状況を理解できていない彼に向かって一人の女性が話しかけてくる。
「これが今のあなたの望んでいる物よ。平和。あなたは自分にとって大切な人を失ってしまうのを心の底から恐れているのね」
「そんな事はない」
「あら、認めないの?まあそれでも良いけどクリスタルが手に入らないわよ?」
その女性はイタズラな目つきでオビ=ワンが見つめる。
「はあ……分かった。私は家族同然の親友を失うのを恐れている」
「そう、やっぱりね。じゃあその恐怖に打ち勝ってみる?」
「ああ。やってみようと思う」
「まあどうせ彼がいればあなたがそんな思いをする事は無いんだけどね……」
「それはどういう?」
オビ=ワンが女性の気になる発言に質問をした瞬間に目の前が光に包まれてしまった。
次に彼が立っていたのは闘技場の観客席のような場所だった。困惑しながらもオビ=ワンは闘技場で戦っている人間がいる事に気がついた。そこで戦っている者の姿を確認するために観客席の一番前に行くと歳をとった自分とフードを被った何者かが戦っているのが見えた。
そしてオビ=ワンはその場で立ち竦んでしまった。
何故なら歳をとった自分が握っていたライトセーバーの光刃の色が血のような赤色をしていたからだ。
「あれは一種のあなたの未来の姿ね。でもその恐怖を克服できればあなたも強くなれるわ」
いつのまにか現れていたさっきの女性がオビ=ワンの隣でお菓子を食べながらくつろいでいる。
「あれが私の未来なのか??」
「そうね、未来っていうか別のタイムライン?まあ面倒な話は省くね。あそこにいるあなたは仲間や親友が何人も死んじゃってああなっちゃったのよ」
「そ、そうなのか……」
オビ=ワンは困惑の表情をする。彼は全く予想もしていなかった。まさか自分が一人前のジェダイになる前に、暗黒面に堕ちた自分の姿を目撃するなんて。
「じゃあとっとと未来のあんたを倒してきなさい!」
女性がそう言ったかと思うと、オビ=ワンの体は歳をとった自分の前に移動していた。
「お前は誰だ」
未来の自分はゆっくりと近づきながら声をかけてくる。
「私は過去のお前だ」
オビ=ワンはそう答えながらも腰にかかっている訓練用のライトセーバーを手に取ろうとはしなかった。
「俺を殺しに来たのか?」
「いや、私は自分の未来を、そしてこれから起こる事を受け止めに来た」
「受け止めにきた?冗談言うなよ。若くて弱い今のお前に何ができる?ならせいぜい受け止めてみな」
そう言いながら彼はフォースを貯めて若き自分に放った。
そして若きオビ=ワンの体は闘技場の壁に叩きつけられた。彼は口の中に滲む血の味を感じながらもしっかりと前を見据えて立つ。
「受け止めると言う意味をお前は分かっているのか?全員の死を受け入れられるのか?生き残ったのは俺だけなんだぞ!」
「それでも私は精一杯大切な者を失わないために動く!」
「そんな言葉……誰が信じるか」
歳をとったオビ=ワンは冷たい目をしながら赤い光刃を光らせ、若いオビ=ワンの腹に付き刺そうとした。
しかし、光刃は彼の腹に刺さる事はなく、刺さる寸前で止まったのだった。若いオビ=ワンがゆっくりと歳をとった自分の顔を見ると彼の目からは雫が流れていた。
「お、おかしいな……どうせ同じ事の繰り返しだって分かっていても期待せざるにはいられないのかな」
そう言いながら彼のライトセーバーを握る手は小刻みに震えていた。
「どうして……?」
「お前、本気で運命に抗ってくれるな?」
歳のとったオビ=ワンは若き自分にそう強く聞いた。
「ええ」
そう言いながら若きオビ=ワンは頷く。
「分かった。ならいいか、今から言う事をよく覚えておくんだ」
そう言いながら歳のとったオビ=ワンはライトセーバーを消した。
「………………ガルを信じろ」
長い沈黙の後に彼の口から放たれた言葉はその一言だった。
彼の言葉の意味が今のオビ=ワンには理解ができなかった。自分がガルを信じなくなる瞬間など訪れるのだろうかと。
「それとお前にはこれを渡そう」
そう言いながら彼がベルトのパックから取り出したのはブルーのライトセーバークリスタルだった。
「これがあればお前は優秀なジェダイマスターになれる」
そう言い残して歳のとったオビ=ワンはその場から去っていってしまった。
オビ=ワンが渡されたライトセーバークリスタルを握りしめていると女性が声をかけてきた。
「私からも一言。ガル、ううん、アレックスの事を信じて。彼ならきっとこの銀河も救ってくれるわ。いつもみたいにね」
彼女がそう言い終えるとオビ=ワンの目の前はまた光に包まれるのだった。
今回から謎が残る回が続きますのでご承知の程よろしくお願いします。
そういえばマーベルの話になっちゃいますけどマドリプールの公式サイトができましたね。存在しない街の公式サイトを作る辺りやっぱり流石ですよね。なんというかマーベルの脚本家とか制作の人ってどんな頭してるんだろうって思います。天才すぎますよね。
それでは次回の投稿でお会いしましょう。フォースと共にあらん事を!