ホールに帰ってきた順番はシャアク、オビ=ワン、ガルの順番だった。
シャアクは他人に頼らずに一人でも一人前に戦える様になりたいと思い。
オビ=ワンは大切な物を守る事、そしてそれを失った時の対処法を学ぼうと思った。
一方のガルは自分の存在意義についてと記憶の修復に力を注ごうと考えるのだった。
ホールにガルが戻ってきた時、シャアクとオビ=ワンは彼に直ぐに抱きついた。二人の抱きつく力はいつもより強かった。
「二人とも大丈夫だ。俺はここにいる」
「ああ、知っている。いなくなってくれるなよ親友」
「ええ、あなたはここにいる。しっかりと私達の腕の中にね」
ガルには二人がどれほど恐ろしい幻影を見たのか想像ができなかった。三人が抱き合っているところにドゥークー達がやってくる。
「どうやら三人とも成功した様だな」
「よくやったぞオビ=ワン」
「あなたも偉いわシャアク」
「ガル、どうやら君はまた一段と成長した様だな」
「ええマスター、何があったかは言えませんが自分の目の色が変わった事だけ言っておきますね」
ガルの発言にドゥークーは返答はしなかったが、明らかに動揺しているのが分かった。
「目の色が変わった?それはどういう……」
クワイ=ガンが顔を顰める。
「まさか黄色なんて言わないわよね」
そう言いながらタールがガルの元に駆け寄る。彼女は彼の目を覗き込むと安堵の声をもらした。
「はあ〜ビックリした。綺麗な緑色になったのね。良いと思うわ私は。それにあなたに似合っているしね」
「なんだ。それなら安心したぞ」
クワイ=ガンも表情が和らぐ。
「ガル、クリスタルの色は何色だ」
ドゥークーの低い声がホールに響き渡る。
「色は………………黄色です。しかも二つ」
彼の言葉を聞いたマスター達は揃って動きを止めた。大方ガルの想像通りの反応だった。
「あなたって…」
「凄すぎるな…」
「良くやったぞガル。帰って評議会の無能どもの度肝を抜いてやろう」
そう言いながらガルの頭を撫でるドゥークー。
船に乗った三人は今回の早期昇格についての経緯を説明された。その中で評議会のメンバーの殆どがこの件に反対だったと明かされた。彼らの見解ではシャアクとオビ=ワンはおろか、ガルでさえもライトセーバークリスタルを手に入れられないだろうという物だった。
それを聞いた三人は自分たちの手に入れたクリスタルを評議会のメンバーの前で見せびらかすのがとても楽しみになるのであった。
ガルが今回のギャザリングで得た物は大きかった。自分の前に現れたテレパシーの使える人物、マルチバースを教えてくれた女性、自分の事を探している何か……これらの謎を彼は今すぐにでも解明したくて仕方がなかった。そして何故自分は無理をしてまでこの世界に訪れたのかを知る必要があった。しかし、それは途方もなく先の見えない物だった。
彼はライトセーバーの製作を始めるまでの空き時間に船の中でアストラルディメンションに入り、自分の記憶を修復しようと頑張った。ところが全く成果がでなかったのだ。アストラルディメンションで自分の記憶を遡り、修復を試みるが、その記憶の情景すら現れなかった。彼は酷く落ち込み、深いため息をついた。
「どうしたのだ?パダワンよ」
いつのまにか部屋に入ってきていたドゥークーが壁に寄り掛かりながら声をかけてくる。
「マスターですか。ノックぐらいしてくださいよ」
「すまない。瞑想の邪魔をしないようにしていたのだが」
「そういう事でしたか………って普通そういう時は部屋の外で待つか後で来ますよね?」
「はっはっはっ、そうだったな。次からはそうしよう。ところで、ライトセーバーを作る時間だぞガル」
「分かりました」
そう返答したガルは立ち上がり、ドゥークーと共に部屋を出てシャアクとオビ=ワン元へ向かった。
部屋に着くとそこには既にシャアクとオビ=ワンが待っていた。
「これで全員揃ったかな?」
「「はい、マスター」」
オビ=ワンとシャアクが返答する。
「では全員クリスタルをテーブルにおけ。これからレッスンを開始する」
三人は直ぐに自分のクリスタルをテーブルの上に優しく置いた。
「よし、紹介しよう。ライトセーバーの設計製作技師ヒュイヤン教授だ」
「この子らか。珍しいなここまで若いのは中々いないぞ。ちゃんとギャザリングは通ったのか?」
「もちろんです」
「確かだろうな?私がこの船でこれまでに教えたジェダイは数知れず。この先もまだまだ続くはず。私のメモリーバンクにはこれまでに作ったライトセーバーの記録が漏れなく詰まっている」
そう言いながらヒュイヤンは制御パネルのボタンを押し、彼らが置いたテーブルの中心から沢山のライトセーバーのヒルトのホログラムが映し出される。
「好みはどれかな?ストレートタイプ?それともカーブタイプか?象嵌細工を施すか?他にもいっぱい種類があるぞ。どうだ?」
「太古の戦いからジェダイの唯一の頼りはライトセーバーだった。まて、君がダソミア出身の人間か?」
「はい。そうです」
「なんと珍しい。それにクリスタルの色も黄色。君は特別な何かがありそうだな。ライトセーバーもユニークな物にしないとな。よろしい手を出して。どんなセーバーが欲しいか形を見せてくれんか?」
「…………旧共和国時代のライトセーバー」
「なるほど……ユニークだな。ちょっと待ちなさい」
そう言いながらヒュイヤン教授は沢山の棚がある場所に入っていく。
「どこにしまってあったかな……そうだこの長らく開けてない棚の中だな」
ヒュイヤン教授が開けた引き出しはガタガタと音を立てていた。相当長い間この船の中で保存されていた証拠だろう。
「これだこれだ!この材料達なら君の求めるものにぴったりだろう」
ヒュイヤンはガルの前に箱を置くとシャアクとオビ=ワンにもライトセーバーのイメージについて聞き始めた。ガルの前に置かれた箱には綺麗な装飾を施した部品が沢山入っていた。そしてその全ての部品が歴史を感じられる物だった。
「凄い……オールドリパブリックのやつみたいだ…」
彼は小さな声で喜びの反応をする。
その間にシャアクとオビ=ワンも自分のイメージにあった部品を揃えてもらい歓喜していた。
「では、始めよう。やるべきことは山ほどある」
それを聞いたガル達は部品を箱から出してテーブルに広げる。
「さて、最初は自分のイメージに合った組み合わせを探すとこからだ。フォースを使い、沢山の部品の中からこれだというものを探し当ててくれ。そうしたら次のステップだ」
ガルは言われた通りにフォースを集中させ、沢山の部品の中から自分のイメージに合うものを探す。沢山の乱雑に広げられた部品の中からいくつかの部品が徐々に浮き上がってくる。三人共ほぼ同じタイミングで部品決めは終わり、ヒュイヤンは驚いていた。
「では次はフォースを使いながら部品をいかにズレなく組み立てるのかが重要だ。バッテリーの向きなどを間違えるなよ?それでは始め」
三人は両手を自分の部品に向けて伸ばし、フォースを使い始めた。少しすると部屋にはヒュイヤンが動くときの機械音しか聞こえなくなった。
三人はここでお互いのフォースと繋がっていた。そしてドゥークー達は別室で彼らの大きな一体化したフォースを感じ取っていた。
「彼らは優秀ですね」
「そうだな」
「だが……誰か一人がいなくなれば実力はガクッと下がるであろうな」
「それはどうでしょうドゥークー。少なくとも私のパダワンはガルから受けた恩恵でもうすでにかなり個人としての能力が格段に上がっているわ。下手すれば普通のジェダイナイトじゃ今の彼女に勝てないかもしれないわね」
「それは私のパダワンにも言えます。オビ=ワンと木刀で手合わせをしたさいに彼の防御体制を崩すのにかなりの工夫が必要でした」
「なら彼らは本当に優秀なのであろうな。私のパダワンが一番優秀なのだがな」
「何それ自慢?シャアクが一番に決まっているわ」
「マスターには失礼ですがオビ=ワンが一番だと思います」
「ははは、どうかな?」
ガル達の中が深まる一方でドゥークー達三人の関係も深まっていくのだった。
「よし!できた」
ガルは自分の目の前に浮かぶ綺麗な装飾の二本のライトセーバーヒルトがあった。
彼のヒルトはオールドリパブリックに出てくる皇帝ヴァルコリオンのパダワンの兄弟が使っていた物に酷似していた。派手な見た目で、左右全く違うデザインというのはガルのこだわりだった。
「うむ!上出来だな。それに、とてもユニークな機能が付いているな?」
「はい」
ガルは答えながら目の前のライトセーバーヒルトをフォースで動かして二本を一本に結合した。
「ほお、興味深い。ダブルブレードライトセーバーにもなるのか。本当に君は変わっているな」
ヒュイヤンは感心しながら彼のライトセーバーをマジマジと隅々まで見ていた。
「ここまで完璧なものは本当に旧共和国時代以来だな。君は彼らのように強いフォースを持っているのだろう。少し試しに振ってみると良いぞ」
そう言い終えたヒュイヤンはシャアクの元へと向かうのだった。
ダブルブレードから二本のライトセーバーに戻したガルは自分のライトセーバーを両手に握り締め、起動させた。綺麗な起動音が部屋に響き、美しい黄色の光刃が二本姿を表した。
そして遅れてシャアクとオビ=ワンも彼の近くに来てライトセーバーを起動させる。二人は映画の時と全く同じヒルトを作っていた。
四本のライトセーバーが薄暗い部屋を明るく照らしていた。
「これでジェダイ・マスターへ一歩前進したな」
「ええ」
「………そうだな」
三人はお互いを見つめ合い、改めて信頼し合うのだった。
お久しぶりですAlexです。
本当は5月4日のフォースの日にこの回を投稿したかったのですが中々書けずに結局今日になってしまいました…………本当にすいません。
それでは次回の投稿でお会いしましょう。フォースと共にあらんことを!