STARWARSーWHAT IF   作:AlexGarcia

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今回からSeason2が始まります!是非楽しんでいってください〜


Season2
ラグーン6での訓練


ディープスペースから見ると、惑星ラグーン6は微細な星々の中にあって、青白くきらめく星間物質の霧の背後にその姿を隠している。輸送船が下降するにつれ、霧はビュースクリーンの上を縦横に飛び回るキラキラ輝く粒子となって晴れていき、やがて船は惑星の大気圏に突入する。大気は澄んで美しく、水を思わせる透明感に満ち溢れている。眼下に輝くのは、緑の光を放つ宝石のような惑星本体だ。

 

そんな景色を12歳になったばかりのガルは覗き込みながらおもわず息をのんだ。それはシャアクとオビ=ワンも同じで、これほどまでに美しい惑星へ訪れるのは、初めての経験だった。

 

ドゥークーもガルの肩に手を置きながら、同じように前に乗り出した。

 

「こんなに美しいとはな……長らく忘れていたよ」

 

同行しているジェダイのパイロット、ウィンゾ・バイカートも頷いた。

 

「私も毎回ここを離れると忘れてしまうが、次に来たとき、改めて驚き直すよ。いつ見ても、息を呑むほどに美しい物だな」

 

「星外から誰も移住していないというのは驚きだな……」

 

「政府が元老院に惑星の運営を信託しているからだ」

 

オビ=ワンの発言にクワイ=ガンが返答する。

 

「ここに住んでいるのは、この星に古くからいる少数の部族だけね。星の訪問に関しては元老院が部会を作って対応しているし。星外からの訪問が許されるのはジェダイだけで、どんな時でも、一度に沢山の人数で訪れることは許されていないの。それに惑星外からのアクセスは厳重な管理下にある。これだけの手立てを講じて初めて、ラグーン6は惑星政府の望むような形で、外からの影響を受けずに昔のままの姿を保っていられるのでしょうね。だから船の通る航空路も、工場も、都市も、何一つないのよ」

 

「ラグーン人は、けっして外からの入植者を許してこなかったのさ。おっロスト山脈が見えてきたぞ。あそこに着陸したらお別れだな」

 

ウィンゾは肩越しに、ガル達に笑いかけた。

 

今回の訓練で、ガル達は荒野の中でウィンゾを追跡する。この訓練はマスターとパダワンの信頼と絆をより強くする事が主な目的だ。ラグーン6で、ウィンゾを追いながら岩だらけの荒れた土地を進むときに、信頼できるのはお互いしかいない。

 

「一日もたたないうちに見つけてみせますね」

 

ウィンゾに対してシャアクはニヤリと笑いながら話す。

 

「おや、たったの一日というんだな。自惚れが強いな。他の二人も心の中ではそう思っているのが分かるぞ?」

 

「いえ、そんなつもりは…」

 

すぐにオビ=ワンが反応する。

 

「君はどうなんだい?」

 

「自分としては速さよりも、どこまでマスターや仲間と協力できるかを重要視しています」

 

「おお、素晴らしい答えだ。予習済みか?ははっ、まあいいこれで私の残す手がかりはもっと難しくなったぞ。自身満々なパダワンの鼻をあかして教訓を与えるのは、いつでも楽しいものだ」

 

船は花が咲き乱れ丈の高い緑の草がざわめく原野をかすめて飛んだ。草原の上には雪を積らせた山々が広がり、その懐には小さな草地が抱かれている。

 

ウィンゾは慣れた手つきで、船を山肌に囲まれて外からは見えない、ある地点におろした。そして昇降板(ランプ)を出すと彼らの方へ向き直る。

 

「よし、以下を確認してほしい。コムリンクを船に置いていくこと。ホーミング・デバイスやドロイドは使用できない。頼るべきは、お互いとフォースだけだ」

 

六人はほぼ同時に頷く。全員が今言われた事は充分承知していたが、これもウィンゾの訓練の恒例行事の一部だった。ウィンゾは渡されたコムリンクを、安全な保存用容器の中にしまった。

 

「もし、私を見つけられなかった場合には十日後にここに戻ることにしよう」

 

サバイバル・パックを肩にひょいと乗せて言葉をきると、ウィンゾは別れを告げる代わりに一つ頷いた。

 

「フォースが共にあらんことを」

 

ウィンゾの目がイタズラっぽく輝く。

 

「恐らく、君たちにはたっぷり必要だろうからな」

 

ウィンゾは軽々とした足取りでランプを降り、あっという間に移動し、姿を消した。

 

「ウィンゾは私達を迷わすのを楽しみにしているな」

 

「そうですねマスター。完全にシャアクの発言のせいでしょうね」

 

「ちょっとガル?」

 

「いや、どちらにせよ今一番期待値の高いパダワン三人と優秀なマスター三人がいれば彼も本気を出すだろう」

 

「しれっとあなたってそういう事言うわよね」

 

「うるさいぞタール」

 

「それで、どれぐらいの時間の余裕を与えるんですか?」

 

「そうだな二、三時間というところだ。それだけあればこの周囲の様子も少し探れるし、食事もできる。どうだ、嬉しいだろう。一旦出発したら携帯食とタンパクキューブでしのがなくてはならなくなるが、今はまだ船の厨房を荒らしに行けるぞ」

 

クワイ=ガンはオビ=ワンに射抜くような視線を投げた。

 

「この訓練は私達が学ぶ事を目的としている。だが同時に楽しい物でもあるのだ」

 

「そうなれば料理担当はおのずと決まってくるわね」

 

タールの発言によってその場の全員の視線がとある人物へと移る。

 

少しの沈黙がその場に流れ、彼は渋々承諾した。

 

「分かりましたって。作れば良いんでしょ?作れば」

 

「やった!ガルの美味しい料理が食べれるなんて!」

 

シャアクは両手でガッツポーズをしながら喜んだ。

 

そんな彼女の反応を横目で見ながらガルは厨房へと向かっていった。

 

六人はガルが作った食事を、花々に囲まれながら草地に座って食べた。朝の太陽は美しく輝き、ガルは肌に降り注ぐ確かな暖かさを感じていた。全員が彼の料理に夢中になっている間、ガルは皆より早く食事を済ませてまた船に入って行った。

 

厨房でガルは皿を片付けながら考え事をしていた。

 

夢にまでみたライトセーバーを作ったあの日からもう五年という月日が流れていた。この五年間でガルは最高の生活を送ってきていた。特に誰かの命が危険に晒される事もなく、ただただ自分の力を増やすことにだけ集中する事ができた。ドゥークーと一緒に派遣された任務はどれも刺激的で彼にとって良い勉強になっただろう。時にはソルメ、クインラン、アイラと組んで一緒に任務に出たりもした。

 

彼にとってタールに起こるはずだった悲劇が起こらなかった事はとても意外だった。もう既にここ数年の出来事に変化が起こっているのは明らかだった。しかし、この銀河が徐々に変化し、あちこちで戦争の火種になりえる出来事が多発しているのも事実だった。ガルは頭の中で色々な事を考えながらシャアク達の楽しそうな声がする外へデザートのケーキを持ちながら戻っていく。

 

「お!ベストタイミングだよ」

 

オビ=ワンは直ぐに立ち上がって皿を受け取りに来る。

 

「デザートまで食べられるなんてこれ本当に訓練かしら?私達がこの訓練をした時ここまで贅沢は出来なかったのだけど」

 

「ケーキは用意しておきました。皆さんが喜ぶと思って」

 

ガルはそう言いながら一人一人にケーキののった皿を配っていく。このケーキは久しぶりにこの六人で一緒にテンプルの外で訓練ができると知った彼がデックスのダイナーでウッキウキで作った物だ。

 

「では、自分は厨房にいます。食べ終わったら呼んでください。片付けはやりますんで」

 

ガルは空になったお盆を抱えながら船へと戻っていった。

 

シャアクはガルと一緒にデザートを食べられない事を残念に思いながら、一番最初に食べ終えて彼の元に行って少しでも一緒に話をしていたいと思っていた。

 

彼女の中には大きな不安があった。二人が初めて出会ったあの日、コルサントの朝日に照らされながらキスをしたあの日、それは彼女にとってつい最近の事のような物だった。しかし、ギャザリングを行ったあの日以来、ガルは日に日に笑顔を見せなくなり、常に何かを悩むようになってしまった。一番の問題は彼が嘘をつくことに関して、上手くなってしまった事だった。今の彼女では彼の嘘を見破るのは難しいだろう。それに、ライトセーバー製作を終え、三人が一緒に誓い合った時に彼が放ったあの言葉、今のシャアクにはそれも同じくとても気がかりだった。

 

『ジェダイマスターか……ならなくてもいいかなあ』

 

と彼はボソッと言ったのだ。

 

彼は誰にも聞こえていないと思っていたのだろうが彼女にはハッキリと聞こえていた。当時の彼女にはその言葉の意味が分かっていなかった。しかし、今の彼女には分かる。ガルはどこかのタイミングでジェダイオーダーを去ろうとしているのではないかと。そんな彼を彼女は少しでも長く引き留めたかった。だから彼女は最近、カウンセラーに関する勉強も始めた。少しでも彼の心の支えになりたかったのだ。

 

彼女はケーキを誰よりも早く食べ終わると厨房へすぐ向かった。

 

そこではガルが地面から30センチメートル程浮いた状態で座禅を組んで瞑想をしていた。彼の周りにはいつくもの小さな石が不規則に彼の体を中心に円を描くように回っていた。

 

「ガル?」

 

シャアクは恐る恐る声をかけてみる。しかし、返答はなかった。彼女はガルの正面に座り込み、座禅を組んだ。そして瞑想を始める。

 

少しの時間が空き、彼女の体も浮き始める。そしてガルと同じ高さの場所で止まる。すると、先程までガルを中心に回っていた石達が二人の周りを回り始める。

 

『何か用かい?』

 

シャアクの頭にガルの声が響く。

 

『特には無いわ。ただあなたが心配なだけ』

 

『心配ね…………俺はいつも元気さ』

 

彼は優しくそう答えた。

 

『目を開けてごらん?』

 

シャアクは頭に直接聞こえる彼の声に従って目を開けた。

 

「これって……」

 

シャアクは思わず息を呑んだ。何故なら彼女の目の前にはあの日のコルサントの朝日が広がっていたからだ。

 

「俺達の記憶だ」

 

彼はただそう言ってコルサントの朝日を見つめていた。彼の目には若干の涙が溜まっているような気がしたがシャアクには確かめる術が無かった。

 

少しの時間が流れ、彼らはゆっくりと床に降りてゆく。徐々に周りにあった石も床に落ちてゆく。そして二人はゆっくりと目を開いた。

 

ちょうど良いタイミングでオビ=ワンとマスター達が皿を片付けに厨房に来ようとする音が聞こえてきた。ガルは立ち上がりシャアクの手を取って立ちあがらせた。

 

「心は落ち着いたか?」

 

「ちょっとはね」

 

「それなら良かった」

 

「ねえ」

 

「ん?」

 

「一人でどっかに行ったりしないよね?」

 

シャアクのその質問にガルはジッと動かなくなり一瞬何かを考える素振りを見せた。しかし、すぐに優しく微笑みながら答えた。

 

「さあね。でもそうだとしても帰ってくるよ必ず」

 

「それってどういう……」

 

「さあ!パダワン、行くぞ。出発だ」

 

シャアクの声は厨房に訪れたクワイ=ガンの声にかき消されてガルの元には届かないのだった。




今回のシーズンではファントム・メナス直前まで続いていきます。
そういえばディズニーがもうほぼ本物に近いライトセーバーを開発しましたね!あの映像を見た時は本当にビックリしました。あれでなんでも斬る事ができたらもう最高ですね。まあ絶対凶器になるんで免許とか必要になりそうですけどねww
それではまたお会いしましょう。フォースと共にあらんことを!

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