STARWARSーWHAT IF   作:AlexGarcia

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ウィンゾの痕跡をたどれ

六人はウィンゾの姿が消えた方向へと出発した。

 

最初のうち、追跡は簡単だった。ジェダイなら察知できる程の手掛かりを、わざわざ隠した様子もなかった。簡単なもので言えば、森の地面に積もった落ち葉の乱れだとか、かすかな靴跡の窪みとかだ。約二時間後、初めて彼の向かった方角を特定できなくなって、しばし途方に暮れそうになったが、ガルが木の葉から彼の綺麗な銀髪を見つけた。

 

「こっちですね」

 

満足げな声でガルは言った。

 

その後ろでドゥークーは自慢げな顔をしながらクワイ=ガンとタールを交互に見た。ドゥークーはそんな事をしながらも、もうガルに教えなければならない事はほとんど残っていないと感じる事が多くなってきたと思うようになっていた。ドゥークーでさえ、ガルのフォースを自在に使う腕に驚かされる事がよくあるのだ。

 

「ウィンゾは知恵を振り絞って最高の目眩しをかけるがいい。さもないと、ガルは夜になる前に彼を捕まえるだろう」

 

遠くを見ながら言うドゥークーを見てガルはしっかりとフラグが立った事を感じ取った。

 

案の定、日も半ばを過ぎると、六人全員が迷ってしまったと認めざるをえなくなった。ウィンゾの残す手掛かりはますます難しくなり、シャアクの自信満々の余裕も、今では何がなんでも見つけ出すといった頑強な決意へと変わり始めていた。

 

いらだったシャアクは突然、ピタリと足を止め、足元にあった石をさっと拾い上げると、森の中に力任せに投げ込んだ。石は木にぶつかって大きな音を出した。

 

「気分が良くなったか?」

 

オビ=ワンがシャアクに尋ねる。

 

「ちっとも」

 

「そうでしょうね。苛立ちもこの訓練の一部よ、ヤングパダワン」

 

「分かってますって」

 

シャアクは呟く。

 

「苛立ちを呼吸と共に飲み込んで、そして心から去らせるんでしょ?」

 

「その通りよ」

 

タールは静かに答えた。そしてしばらくシャアクをジッと見ていた。

 

「それで?」

 

「それで…なんですか?」

 

「あなたが息を吸い込んだようには見えなかったけど?」

 

タールの発言がシャアクの忍耐をピリピリ刺激しているのがガルとオビ=ワンにも簡単に伝わった。しかし、これも小さなテストの内だと分かっていた彼らはシャアクが息を吸う前にわざとらしく大きな音で深呼吸をしてシャアクに息が吸いやすい環境を作った。

 

それに気がついたシャアクは目を閉じて、大きな深呼吸をした。

 

「来た道を引き返しましょ」

 

タールが今来た道を向きながら提案する。

 

「そうですねマスター。まだ一日は終わっていませんし」

 

「恐らくどこかで間違って曲がったのだろう」

 

ドゥークーはそう言いながらガルの元に近づき、その後耳元で何かを少し囁いた。

 

頭上の暑く重なる葉を通して、木漏れ日が筋になって差し込んでいる。六人は眩しい陽だまりから陰へ、そしてまた陽光の中へと移動した。太陽の光は肌に暖かく、陰はひんやりと心地よかった。大気は清々しく、呼吸を何度もしたくさせるレベルだった。こんな日には、道に迷うのも悪くないと全員が思っていた。

 

突然、シャアクはしゃがみ込み、そこにある跡をじっくりと眺めた。

 

「ウィンゾはここで立ち止まったみたいです」

 

そう言いながら何かが通ってできた道の土を指した。

 

タールも同じようにかがみ込む。

 

「恐らくそうね」

 

「間違いないです!」

 

シャアクの声は興奮で大きくなる。

 

「それから、ここの草地を通っていったと思います。こっちの方へ」

 

シャアクは踏みならされた道を外れて森の中へと進んでいく。他のメンバーも彼女の後を追っていく。午前中いっぱいかけて地面や木の葉に僅かな手掛かりを探させた後で、ハッキリとした手掛かりを残す。それがウィンゾの作戦の一部なのだろうかとガルは悩んでいた。それに先程、ドゥークーと確認しあった事もあるため彼はより一層警戒を強めていた。

 

シャアクは深い森を抜けて道をたどった。ウィンゾの跡をつけるのはずっと楽になっていた。地面は柔らかく、踏まれた木の葉はまだ湿っている。ドゥークー達はガル達を先に立って歩かせた。ドゥークー達は森の香りを楽しみながらゆっくりとついていった。

 

一番先頭のシャアクが足を止めて振り返る。

 

「前方に空き地があるわ」

 

ウィンゾにバレないようにするために声をひそめながら彼女は言った。

 

「それに洞窟もいくつか。もうそろそろウィンゾに追いついたと思います。残った跡がまだ新しいですし」

 

「いや、シャアク、焦るな」

 

ガルは彼女の肩に手を置き、先に行くのを止める。

 

「何かが変だ。マスター?」

 

「ガルの言う通りだ。まずい事になったぞ」

 

ドゥークーが自分たちがどこにいるか知った時には遅かった。彼らはマリアの縄張りに踏み込んでしまったのだ。マリアは三列になった歯を持つ獰猛な肉食獣で、動きは早く、身軽で油断ならない生き物だ。

 

「……あれは何?ガル」

 

シャアクはすぐ近くの影の中に溶けこんでいる灰色の体毛を見ながらささやく。

 

「何もせずにゆっくりと……後退するぞ」

 

ガルも小声で答える。

 

しかし、二人が数歩しか退かないうちに、一頭がみじろぎするのが見えた。そして次の瞬間、長く尾を引く叫びが上がった。二個のギラリとした目が開き、マリアの喉の奥から聞こえる低い唸り声がしたと同時に六人全員がライトセーバーを起動していた。

 

ドゥークーとマリアが飛び出したのは同時だった。ドゥークーは空中を飛ぶ獣を素早く、鋭く切りつけた。マリアは咆哮をあげてドサリと地面に落ちた。

 

群れの残りが咆哮のせいで一斉に体を起こした。クワイ=ガンは素早く目でマリアを数えた。二十四頭。だが、巣穴にもっといる可能性がある。マリアは細身で手足が長い動物だ。一頭が前に進んで鼻をひくつかせた。三列になった黄色みを帯びた歯を剥き出すと、獰猛な目が光った。

 

「中々魅力的なやつらね」

 

そう言いながらもシャアクはライトセーバーを油断なく構えている。

 

「一緒にゆっくり後退するぞシャアク。こっちは六人もいるから襲っては来ないと思うけど、かかってきた時には油断するなよ」

 

ガルは早口に言った。

 

「マスターヨーダと共に、こいつらと戦った事がある。恐ろしいほど反射神経が鋭いぞ」

 

「私もタールと一緒に戦った事があります。戦いになれば恐らく木の上からも襲ってくるだろう。こちらをバラバラにして、周りを囲もうとするぞ」

 

ガルとシャアクは用心しながら他の四人の元まで下がった。

 

「その時はどうやってやっつけたんですか?」

 

オビ=ワンが尋ねる。

 

「なんとか逃げるので精一杯だった」

 

「私達はできなかったわ。先住民に助けてもらったの」

 

「マスター達でも?」

 

シャアクの顔に一瞬不安な様子が走った。

 

「そうだ…気を抜くなよ」

 

ドゥークーの掛け声で六人はまた一歩後ろに下がる。

 

すると突然唸り声を上げながら群れはざっと前に広がった。タールの目に、いくつかの青い影が群れからさっと離れて木の方へ移動するのが見えた。それに二頭が巧みに左側からガルとシャアクに向かってきていた。

 

「シャアク、ガル」

 

「見えてますマスター」

 

「大丈夫です」

 

マリアがシャアクを急襲した。突発的なスピードに驚いてシャアクはあやうくつまずきそうになりながらも、彼女はなんとか自分のスピードをフォースで向上させ、ライトセーバーをあげて獣の首めがけて切りつけた。

 

次に攻撃を受けたガルは自分に向かって綺麗に一直線に飛び込んでくるマリアに向けて片方のライトセーバーを投げつけた。彼のライトセーバーは縦に円を描きながら飛んでいき、マリアの鼻先から光刃が入り込み、続いて胴体へと進み、尻尾の先から出てきた。要するに綺麗な二枚おろしにしたということだ。ガルは勢い余って飛んでくる片方のマリアの胴体を避けながら投げたライトセーバーをフォースで引き寄せ、手の中に戻した。

 

タールは左側から回り込んで近づいてくる別の一頭に気を配りながらも、シャアクとガルに二人が上手くマリアを始末したのをたしかめた。クワイ=ガンの視線は木々を抜け目なく探っている。そこでは、四頭のマリアが枝から枝へと飛び移っている。

 

「なにをしても、絶対に後ろを取られるなよ」

 

ドゥークーはライトセーバーを振り回してマリアに飛びかかりながら、全員に声をかけた。

 

マリアは唸り声をあげて暗闇の中へと後退りする。目だけがギラついている。

 

オビ=ワンはクルリと後ろを向くと、背後にいつの間にか回ってきていた三頭をフォースプッシュで払いのけた。別の四頭が木から飛び降りてきたのは、まさにその時だった。

 

一番最初に気が付いたガルは跳躍すると、オビ=ワンの助けに入った。二人は背中合わせになって、歯を剥き出す獣達と戦った。他の四人も直ぐに助けに入ろうと動いたが残りのマリア達がそれを許してはくれなかった。

 

周囲は、どの方角を見ても空気中を飛び回る青い毛と、尖った黄色い牙でいっぱいになったように見えた。マリアは激怒して攻撃してきた。

 

ガルとオビ=ワンはとにかく不意を突かれないように気をつけながらカウンター攻撃を繰り返していた。マリア達が間合いを取るために二人から多めに距離をとった瞬間にガルは二本のライトセーバーを一瞬でダブルブレードライトセーバーに変え、勢いよくブーメランの要領で投げた。彼の黄色の光刃は横向きに綺麗な円を描きながら飛んでいく。彼は飛んでいくライトセーバーをフォースを使って巧みに操っていた。彼のライトセーバーはあっという間に二人の周りにいたマリアを黄色の残像を描きながら切り刻んでいった。その後ガルは自分の手の中に引き戻したライトセーバーをまた二本に分割した。

 

ドゥークーとシャアクは隙を見て攻撃に転じた。二人の青い光刃は影の中で青い残像を描き、全身を一つの武器へと変える。跳躍し、蹴り、踏みつけ、優雅に回避した。シャアクは絶妙のタイミングで気管に手刀を深々と打ち込んで、マリアの体を宙に飛ばした。くぐもった唸り声は、後ろ向きに、木の尖った太い枝に突き刺さると、甲高い悲鳴に変わった。ドゥークーは左手を伸ばして数頭のマリアを軽々と中に弾き飛ばした。

 

クワイ=ガンとタールは群れの中で明らかに強さが違う六匹と戦っていた。そのマリア達はまるでジェダイの動きを知っているかのようだった。素早い回避行動で光刃を華麗に避けていく。しかし、そんな獣達よりもクワイ=ガンとタールの方が遥かに速かった。六匹のマリア達は余裕を持って二人の斬撃を避けていたはずが、急に彼らの体に二人の光刃が入り込んだ。二人はわざと攻撃のスピードを遅くしてマリア達の目をそのスピードにならしたのだった。彼らの目は遅めのスピードの攻撃に慣れてしまっていたため、二人のフォースで増幅したハイスピードの攻撃には対応できなかったのだ。最後にタールに切られたマリアは命尽きる最後まで二人の事を睨んでいた。

 

そして六人はなんとか合流した。マリアの群れは最初の半分以下に減ったかと思われたが、気が付かないうちに新しいマリアが巣穴から出てきていた。それでも残りは十五頭だった。彼らの一番近くにいる集団のうち数頭は足に怪我をして引きずっていた。あとは唸りながら丸く固まっている。まだ歯を剥き出して六人に吠えているものの、攻撃が散発的になってきているのに全員が気がついていた。相手も、これほどの反撃に合うとは思ってもいなかったのだろう。

 

「後退を続けるんだ」

 

クワイ=ガンは小声で言った。

 

「ゆっくりと直接彼らを見ないように」

 

マリアは後退する六人を追ってきたが、数メートルの距離を保っていた。ガルはマリアが攻撃してきたのを責めるつもりはなかった。むしろ、ジェダイの方が彼らの縄張りに足を踏み入れてしまったからだ。彼はそれだけの事で一つの群れを全滅させてしまいたくなかった。

 

六人は後退のスピードを少し上げた。するともうマリアはついて来なかった。ひとかたまりになって後退していく六人に向かって、怒りを込めて吠え立てている。陰が徐々にマリアの姿を飲み込み、やがて六人に聞こえるのは猛々しい唸り声だけになった。

 

シャアクはライトセーバーの光刃を収めながら、胸を撫で下ろした。

 

「あの声だけでも充分恐ろしいですね。私達をつけてくると思いますか?」

 

「どうでしょう。彼らはずる賢いけど元々単純な生き物だから」

 

タールの言葉にクワイ=ガンが続ける。

 

「あいつらは自分のねぐらを守っていたいだけさ。真昼間で幸運だったな。まだ狩りをする気分じゃなかったのだろう」

 

「じゃあもっと凄い攻撃を仕掛けてきたかもしれないと?」

 

オビ=ワンは信じられないといった顔をしながら聞く。

 

「それに、もっと長時間にわたっていたであろうな」

 

ドゥークーがライトセーバーをベルトに戻しながら答える。

 

「諦めることもないだろうし」

 

ガルも付け加える。

 

「ここは平和な惑星だと思ってたのに」

 

シャアクがふてくされながら言う。

 

「どうしてウィンゾは私達をマリアの巣に誘い込んだんでしょう?いくらなんでもやりすぎですよ」

 

オビ=ワンが納得がいかないといった顔をしながらマスター達に聞く。

 

「ウィンゾのせいじゃない。俺たちが手掛かりを読み間違えたんだ。とりあえずもう一度戻って別の手掛かりを探そう」

 

そこへガルが割り込んで回答した。

 

六人は急いで自分たちの足跡を逆にたどって森を抜け、先程の手掛かりの場所に屈み込んだのだった。




最近寝たのに眠い日々が続いていて死にそうです。というかもう雨の日が多くなってきてて頭痛が何回も来そうで怖い……できる限り五日に一回の投稿ペースを守ろうと思いますがもしかしたら遅れてしまうかもです。

それではまた次回の投稿でお会いしましょう!フォースと共にあらんことを
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