「二人は援護しやすい場所で援護を。周りの賞金稼ぎの対処を頼む。ウィンゾの救出は我々だけで対処する」
「了解」
ディルはベラを連れて見晴らしのいい場所に向かって行った。
「奴らの狙いは、我々を原野に誘き出す事だ」
ドゥークーは三人に小声で話す。
「我々がウィンゾに駆け寄り本物ではないと分かって、また別のウィンゾに走る、そうさせたがっているのだ。だから、それはやるまい」
四人はその場から一切動かなかった。フォースを使うのだ。
四人は心を澄まして手を伸ばし、自分たちの周囲にフォースを集めた。仲間のジェダイが危機にある。その思いと緊迫感がフォースとの繋がりを更に強めて、フォースを集める力を緊急に引き上げた。四人のフォースはガルを軸に一つに繋がり更に強さを増した。
ドゥークーはガルがフォースを掴む力を感じた。いつものように、その強大さにたじろぐ思いだった。
全員がもう一度、草地を走査する。今度はどの像が幻影か、どの像が本物のウィンゾかが見えた。真っ直ぐに本物のウィンゾを見つめると、それに答えるようにフォースの高まりを感じた。
彼らのライトセーバーがベルトから離れる音は、ほんの微かなささやきにも似た音にすぎなかった。すっと移動する気配は、空気の揺らぎほどの動きでしかなかった。そう、次の瞬間四人全員が先程までいた場所から姿を消していたのだ。流石のディルとベラも目の前で起こった出来事に混乱していた。ドゥークーはすぐ後ろに三人のパダワンがついてきているのを感じていた。耳が捉えるよりも、感覚が先に捉えていた。
突然、ウィンゾの体が空中に跳ね上がった。心臓が口へせりあがってくるような気持ちで、オビ=ワンはウィンゾが木の梢から宙吊りになるのを見守っていた。体を麻痺させる薬品か何かを使われているに違いないという考えが、ガルの心に浮かんだ。まるで操り人形のごとく、力無く垂れ下がる手足の骨が抜けたような動きがその証拠だった。
怒りがガルの胸の底に芽生えた。そして、ガルの放出するフォースが一気に増加する。
攻撃がやってくる前からガルは予期していた。賞金稼ぎ達が自分たちを誘き寄せようとしているのは明らかだったが、小細工は気にもとめなかった。賞金稼ぎ達と相対する準備はできていた。
攻撃が上からくる。ガルは完全に予測していたが、他の三人は別だった。立ち並ぶ木の上から、毒のついた矢が雨のようにバラバラと降ってきたのだ。
「フレシェット榴散弾だ」
ガルがフォースで全てを払い除けながら他の三人に素早く報告する。ドゥークーはすぐさま頭上に広がる枝に注意を向けた。二人の賞金稼ぎの姿を捉えた。その二人の賞金稼ぎの四肢は長く、先端には鉤爪のようになった指がついている。巧妙に気に登ったり、枝からぶら下がって木々の間を移動するのに適した体だ。さらに、枝にとまる一匹の鳥に目に入った。羽は木の花と同じ色で、周囲に溶け込んで見えにくい。大きな翼を脇にたたんでいても、全長はゆうにガルと同じぐらいある。
二人の賞金稼ぎは枝を渡って移動すると、鳥は腹立たしげに鳴き声を上げた。ドゥークーは頭上の高い枝目掛けて跳躍し、片手で枝を掴んで反動を利用して、更に高く飛び上がった。鳥が怒ってドゥークーを攻撃しようとしたがガルのフォースで体を拘束された。鳥はガルの方を瞬時に見て睨んだが、彼の顔を見て少しの時間が経ち、睨むのをやめた。ガルは鳥の敵意が消えたことを確認するとフォースの拘束をといた。鳥はすぐさま先程の賞金稼ぎ達二人を追って飛んでいった。
「流石だなガル」
「ありがとう。動物との繋がり方を教えてくれたのはお前だけどな」
「二人共あれ見て!」
シャアクが別の方向からくる凄く綺麗な物に注意を促す。
「避けろ!ストクリ・スプレー・スティックだ!」
ガルは細かい青色の霧がこちらへ向かってくるのを見て叫んだ。
三人の反射神経は寸分の遅れもなかった。逡巡も無くさっと横に飛んで、霧を避けた。青い飛沫は、ちょうど今まで三人が立っていた場所を直撃した。
「マズいな。止まらないで動き続けろよ?失神はしたく無いだろ?」
オビ=ワンが言う。
「絶対に当たらないから」
シャアクが嫌そうな顔をしながら答える。
そして三人の前に新たな噴射がどっと押し寄せた。三人は再び跳躍した。その間にも攻撃者の位置を正確に割り出そうと、周囲の観察を怠らない。
「あの木の方へ進む間に、誰かが岩を迂回して奇襲をかけられるかどうか見てみよう」
「私が行く」
シャアクがガルの作戦に賛同する。
「ダメだ。危なすぎるぞシャアク。ストクリ・スティックは二百メートルの射程があるんだぞ?」
「心配するな今の俺たちならやれる」
そう言いながらガルは二人の顔を交互に見た。
「絶対だ」
「ええ、できるわ」
「はあ……そこまで言うなら私も賛成しよう」
シャアクは岩陰からさっと走り出した。シャアクはフォースに乗って思いきり跳躍する。彼女の反射神経とタイミングは、それは並はずれて素晴らしいものだった。噴射が当たり損なうように、しかし、ほんの少しの差で外れて、攻撃してくる相手に今度こそはと、もう一度攻撃したいと思わせるように計算した動きをしている。攻撃者の全ての注意は、シャアクに向けられていた。
ガルは精神を集中すると、自分の周囲の自然と一体になるために、フォースに心の手を伸ばした。森の音が遠くなった。もはやガルの耳には、風にそよぐ木の葉のざわめきも、時折密やかに動き回る小動物の立てる音も、枝と枝が触れ合って立てる音も聞こえなかった。聞こえるのは、ただストクリ・スティックの立てるかすかなシイーッという音だけだった。
右前方三十度。
ガルはX-MENのクイックシルバーかと思う程の速度で走る。彼の動きはあまりの速さで周りの時間の流れが遅くなっているのかと思うほどだった。ガルは割り出した位置に急接近する。地面を踏みしめて走るブーツは、音を立てない。完全にコントロールされた呼吸は、乱れ一つ聞こえない。
敵の姿が前方に見えた。ターシャ人の男だった。ターシャ人の特徴的な何本ものくくった短い髪と、ストクリ・スティックを軽く構えた十一本の指がある手がハッキリ見えた。男は一列に並んだ木の後ろに立って逆方向にいるシャアクを狙っている。
ガルは二本のライトセーバーを起動させるとジャンプした。しかし、ターシャ人の男は彼に気がつかないのか全くの反応を起こさなかった。ガルはライトセーバーで攻撃するのをやめて、ターシャ人の男を真後ろから蹴ることにした。
だが、ここにきてガルは初めて気がついた。自分の動きが早すぎて周りの動きが物凄くスローになっている事に。だが、それに気がついたときにはもう遅かった。ターシャ人の男を蹴ると彼の体は通常の蹴りで飛ばされるよりも遥かに何倍も早い速度でその場から吹き飛ばされ、落下先の柔らかい地面を一メートル程抉ってやっと止まった。そして、ガルが地面に降り立つと周りの時間の流れが通常に戻った。
オビ=ワンはただただ驚愕していた。気がつくと姿を消していたガル。しかし、彼がこの場を物凄いスピードで走ったというのが瞬時に理解できた。彼がありえないほどのスピードで走った証拠があったのだ。そこには今までになかったはずのものができていた。地面から生えていたはずの草が綺麗に無くなっている新しい一本の道が彼の前に存在したのだ。
一方でドゥークーは二人の賞金稼ぎをジックリと確実に追い詰めていた。鳥の援護もあり、彼らは木から木へと移動するのが困難になっているのだ。二人の内一人が我慢できずに狙いをドゥークーから鳥へと移す。ドゥークーはこの瞬間を狙っていた。彼は大きく跳躍してあっという間に彼らがいる木に接近する。彼は自分のライトセーバーをガルの様にブーメランの要領で投げ、鳥の方に集中している賞金稼ぎをあっという間に切り刻んだ。もう一人の賞金稼ぎの顔に怒りの表情と悲しみの表情が入り混じったものをしっかりと見届けたあと、空中でフォースを引き寄せ、残った方の賞金稼ぎをフォースで拘束した。木の枝へと綺麗な着地をしたドゥークーは賞金稼ぎに問いかけた。
「ウィンゾに何をした?」
「俺の妹を殺したな!!」
「ウィンゾに何をしたのか聞いている。彼の周りに他に何か罠はあるか?」
「答えるわけないだろ!」
「はあ……まあならいい。後は好きにしていいぞ」
ドゥークーはそう言いながら近くの枝に止まって待っていた鳥の方を向いた。鳥はドゥークーに答えるように翼を広げた。
「ま、待ってくれ。あなたはジェダイだろ?ジェダイは抵抗しない物に対しては攻撃しないんじゃなかったか?」
自分が死ぬかもしれないと悟った彼は急に態度を変える。その様子をドゥークーは何も言わずにじっと見ていた。
「わ、分かった!あのジェダイの下に塹壕がある。あとその木のいくつかの枝を一度切ってまた繋げた。どうだ、これでいいだろ?」
「そうか、ありがとう」
ドゥークーはそう言いながら賞金稼ぎをフォースで拘束しながら木を降りる。それに従って鳥も地面に降りた。
「お、おい?あんたが欲しがった情報は話したはずだ。助けてくれるよな?ジェダイなんだろ?」
「ああ、ジェダイならそうだな。だが彼はジェダイじゃない。君達に巣を荒らされたことを相当怒っているみたいだぞ?」
ドゥークーは自分のライトセーバーをフォースで引き寄せてベルトに収めるとその場から立ち去ってゆく。
「やっやめろおおおお!」
彼の叫び声は少しすると急に聞こえなくなった。恐らくあの大きな鳥が彼の喉元に鉤爪を突き立てたのだろう。
ドゥークーはウィンゾの元に戻ると彼を拘束から解放した。注意深く地面に寝かせ、全身を隈なくチェックした。片足に長い切り傷があり、腕には打ち身があるように見えた。肩にブラスター光弾による傷もあり、きっとかなりの痛みに耐えているのだろう。ドゥークーは自分のキットからバクタを取り出すと、ウィンゾに与えた。
その頃、ディルとベラの元に戻ったガル達はお互いの無事を知って安心していた。ディル達は四人の賞金稼ぎを倒していた。揃ってウィンゾの元へ向かおうとしたその時だ、ガルの耳に、かすかな笛のような音が届いた。小さな金属製の球体が唸りをあげて耳の側を飛びすぎ、空中に弧を描くのが光って見えた。
「地面に伏せろ!!」
ガルは大声で叫ぶが早いか振り返り、球体が飛んでいった方に跳躍して、フォースをものすごい勢いで集めて、目に見えないフォースでできた大きな壁を作り上げた。それとほぼ同時のタイミングで爆発が起こる。
サーマル・デトネーターが十メートル程離れた地点で爆発したのだ。デトネーターは、半径二十メートルの破壊領域を持つ。後一歩フォースを集めるのが遅ければ全員が危なかった。
そして少し離れた木々の陰から十五体のアタック・ドロイドがこちらに向かってくる。リパルサーリフト・エンジンを搭載しているため、地面の少し上を滑るように移動してくる。
木の多い場所から離れてしまったため、防御に使えるものは何もない。戦いを避けたくても避けようがなかった。ガルは正直なところ賞金稼ぎに少しウンザリしていた。
「ガル、ドロイドの相手は我々でする。お前はドロイドの持ち主と戦ってくれ」
「了解した」
三人の手には既にライトセーバーが輝いていた。ガルの合図でオビ=ワンとシャアクは進んできたドロイドに向かって、ブラスター光弾を弾きながら徐々に前進した。その後ろでディルとベラがタイミング良く援護射撃をしてドロイドを倒していく。
ガルはデトネーターが飛んできた方向に走り出す。少し進むと攻撃者の姿がハッキリと見えた。プラストイド製の装甲をつけた、痩せて上背がある男だ。さまざまな武器を吊るした二本のハーネスを互い違いに体にかけている。ベルトには、まだ沢山のサーマル・デトネーターが装着してある。
男は、ガル目掛けてデトネーターの一つを軽く投げつけた。ガルはライトセーバーで弾き飛ばせなかった。落ちたデトネーターまで充分に近づけなかったのだ。爆発はかっきり六秒後、それまでに破壊領域から脱出しなければいけない。
ガルはベルトのケーブル線を引き出すと、投げ輪にしてデトネーターを引っ掛けた。そのままぐいと引くと反動をつけて、攻撃者の方向に飛ばし返した。敵は素手を伸ばしてデトネーターを受け止めようとしながら、やるな、といわんばかりに、ニヤリと笑った。ガルは男の口元から白い歯が溢れるのを見た。男は受け止めたデトネーターを後方に投げた。そこで爆発が起こったが、誰にも影響は無かった。
男の動きは今までの賞金稼ぎ達とは明らかにレベルが違い、洗礼されていた。それに加えて、ジェダイの苦手である遠距離戦を狙ってくるあたり、彼は最初からこの惑星でジェダイと戦うことを想定していたのだろう。
しかし、今回の依頼でディル達を含む賞金稼ぎは獲物の詳細を偽って知らされていた。となると導き出される答えは自ずと一つだった。
「お前、賞金稼ぎじゃないな?」
ガルは二本のライトセーバーを構えながら男に問いかけるのだった。
前回のアンケートに回答してくださった皆様本当にありがとうございました。結果としては作者に任せるが一番多かったのでこれからも自分の好きにやっていこうと思います。笑
という事でこれからもStarWars What Ifをよろしくお願いします。
それではまた次回の投稿でお会いしましょう。フォースと共にあらんことを!