STARWARSーWHAT IF   作:AlexGarcia

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悪化する状況

「ほう、よく分かったな。まあ流石ジェダイと言ったところか」

 

男は感心した様子を見せる。

 

「お前が黒幕か?」

 

「さあ?もしお前が俺に勝てたらヒントをやろう」

 

「戦う前から勝てると信じているのか。慢心は後に己を滅ぼすことになるぞ?」

 

「それはどうかな?」

 

男はまたニヤリと笑いながら新しいデトネーターに手をかけた。

 

彼は動く必要がない。何故なら彼の武器は、距離があっても発射できるものばかりだった。一方でガルは敵に近づこうと画策しなければいけなかった。

 

デトネーターが猛烈な勢いで飛来する。時には石を投げてそらし、ケーブル線の投げ輪で捕まえる物もあった。だが、ほとんどは走って逃げ切らなければならなかった。

 

ガルの足は柔らかい地面と所々にある雪との格闘で疲れを覚え始めた。あとどれぐらいこれを続けられるかという疑念がガルの頭によぎった。

 

その時だ。攻撃者の男の側の雪面から湯気が上がっているのが見えた。目を凝らすと、水が反射して光るのが見える。温泉だ、ガルは瞬時に悟った。その後ガルはわずかに男の右寄りに移動した。動くたびに、少しづつ男を泉の方へ誘導していく。

 

男のベルトには、まだ十個のデトネーターが残っている。ガルはチャンスを見つけて跳躍した。頭を低くして、すかさず飛んでくるデトネーターを避ける。爆発。ガルは衝撃波が押し寄せてくるのを皮膚に直に感じた。着地が乱れ、雪の上に危なっかしく降りると、ズルズルと斜面を攻撃者の方に滑り落ちていく。そこへ、二個のデトネーターが飛んでくる。ガルはやけくそになりながら片手を大きく振り、フォースでデトネーターを空中で薙ぎ払った。

 

男までかなり近くまで迫った時、ガルは危険を承知で真っ直ぐ男に向かって跳躍した。彼を後退させるのが狙いだった。そして、男は後退した。その拍子に、氷で滑って後ろ向きに倒れ、泉の中につっこんだ。

 

男は足を滑らせて水面下に沈み、ふたたび姿を表して立ち泳ぎをした。頭を振って目の前にかかる髪を払うと、ガルを尊敬のこもった目で見つめた。

 

ガルは泉の縁に立って、手を差し伸べた。

 

「後十五秒だぞ?」

 

「その通りだ」

 

攻撃者の男も、高すぎる熱は誘導反応を引き起こすことを知っていた。サーマル・デトネーターが暴発するのだ。

 

男の目は、銀とライラックの中間の鮮やかな色だ。上唇に傷がある。長い髪は銀色の紐を使い、後ろで一つに束ねてあった。

 

「こっちへ来い。危害は加えない」

 

手を伸ばしたままガルは言った。

 

「お前がやらなくても他のやつがやるんだ」

 

男は言った。

 

「俺は元々この場所で賞金稼ぎどもと一緒に彼女に殺される予定だったらしい。俺はこの楽な死を選ぶ。お前は彼女の恐ろしさを知らないんだ。ピラミッド自体から来る力をな」

 

男の言葉を聞いてガルはこの事件の黒幕を確信した。当たって欲しくなかった予想が的中してしまったのだ。

 

「ジェナからお前を守ってやる」

 

ガルは黒幕の名前をだして説得しようとした。男はガルの口から放たれた名前を聞いて動揺した様子を見せた。

 

「大丈夫だ。彼女の目的は知っている。俺ならお前を助けられる」

 

「ああ、だが彼女が真実を知ればお前よりも遥かに強くなるだろう。それに彼女はもう既に二人のジェダイを手に入れたという連絡を受けている。助けたければ彼女の研究所に行け。フッまあ助けられればの話だがな。」

 

男は観念したように目を閉じた。

 

「今すぐこっちに来い!」

 

ガルは泉の上で手を伸ばした。

 

「ダメだ、できない」

 

男は答えた。

 

「最後に、一つだけ言わせてくれ。お前のような強き者に最後を見届けてもらえて嬉しいよ。俺を救おうとしてくれた事に感謝する。じゃあな、ジェダイ」

 

「よせ!!」

 

ガルは泉に飛び込んだ。だが、既に手遅れだった。サーマル・デトネーターが爆発した。水がぐうっと盛り上がって、ガルの顔を打った。息が詰まって足が滑り、水面の下へ沈んだ。爆発の煽りで押し寄せる大波と格闘しながら浮上した。煙が渦巻いて広がってきた。

 

やがて煙が晴れると、濁りがおさまった水の表面からずっと下に、あの男の体が底のない深みへと、渦に巻き込まれて沈んでいくのが見えた。

 

 

オビ=ワンは温泉へ急いだ。ガルは、もう既に自力で水から上がって泉の縁に立っていた。湯気の立つ水が足元にたまり、雪を溶かしている。

 

煙と水蒸気を透かして、オビ=ワンは友の顔に浮かんでいる悲しみを見てとることができた。周囲には嵐の様な強いフォースが渦巻いていた。ガルはまるで身に纏って暖をとるかの様にフォースに心の手を伸ばし、自分の周りに集めていた。彼の目は遠いところをジッと眺めている。

 

「ガル…………大丈夫か?」

 

「知り合うこともなかった男に、別れを告げているんだ」

 

ガルはそっと言った。言葉の端に見える相手への敬意に、オビ=ワンは驚いた。

 

「あいつはお前を殺していたのかもしれないんだぞ?」

 

「だが、そういう結果にはならなかった。彼の目に残っていた善良な光を俺は救ってやれなかった……」

 

「そ、そうか…」

 

オビ=ワンは言葉では肯定していながらも、ガルの行動を理解できなかった。

 

「それと最悪のニュースがある」

 

「それは?」

 

「マスタークワイ=ガンとマスタータールが奴らに捕まった。この事件の黒幕は科学者、ジェナ・ザン・アーバーだ」

 

ガルはハッキリとそう口にした。

 

ジェナ・ザン・アーバーとはレジェンズに出てくる科学者でガルがよく知っている人物だった。かつて彼女はフォースの謎を解き明かすために任務中のクワイ=ガンを襲って監禁し、彼を殺すギリギリまで実験を行ったのだ。だが今のところその事件は起こっていなかったため、ガルは彼女の存在をほぼ忘れかけていたのだ。そして、今のところタールが死んでいない事に安心していたガルだったが、その考えは消えて無くなった。この事件で彼女が死の危機に直面する確率は高いだろう。

 

ガルの発言を聞いたオビ=ワンは衝撃のあまり言葉を失った。

 

「大丈夫かオビ=ワン」

 

「…………大丈夫なわけないだろうガル」

 

「だよな。とりあえずみんなの元に戻ろう」

 

ガルの発言にオビ=ワンは黙って頷くと一人で先に走って行ってしまった。

 

ガルも彼を追って歩き出そうとする。しかし、突然訪れた急激な鋭い頭痛によって彼は膝から綴れ落ちた。

 

次の瞬間彼の頭にはクワイ=ガンとタールの苦しむ姿が映し出された。それがフォースの見せる未来のビジョンなのか現在の映像なのかそれは分からなかった。ただ言えるのは一刻の猶予も許されない状況だということだった。ガルは痛みを堪えながら立ち上がり、オビ=ワンの後を追った。

 

全員が初めにいた場所に集合したのはガルが到着した直後だった。

 

「状況を説明してくれガル」

 

ドゥークーが真剣な目で聞く。

 

「今回の一連の事件の裏にいるのは科学者のジェナ・ザン・アーバーです。彼女はフォースの謎を解き明かすためだけに我々ジェダイを狙ったんです。そして彼女はマスタークワイ=ガンとマスタータールを攫いました。今すぐにでも二人を助けに行かないとマズイです」

 

「そんな……」

 

シャアクが顔を手で覆う。

 

オビ=ワンも岩に腰をかけながら目を瞑っていて、平静を保とうと努力しているのが分かった。

 

「何故そんなに詳細を知っている?」

 

「恐らく彼女の護衛を努めていたであろう男から聞きました。彼を助けることはできませんでしたが……」

 

「護衛?」

 

ディルが聞き返す。

 

「彼は賞金稼ぎ達に紛れて恐らく全員を監視していたんです。それに今回、集合地点に集まった全員がその場で殺されていた可能性があります」

 

「そうなの…?」

 

ベラの顔がこわばる。

 

「マスター、今すぐ全員で助けに行きましょう!」

 

ガルが焦りながら言う。しかし、ドゥークーはウィンゾの様子を確認しながら首を振った。

 

「ダメだ。ウィンゾの容態が想像以上に悪い。今すぐコルサントに向かって適切な治療を受けさせねば」

 

「なら俺一人でも行きます」

 

「それは許可できないパダワン」

 

「許可は取りません。今回の件の原因は自分にあります。最悪の場合、責任は自分でとります」

 

ガルはハッキリとした口調でそう述べた。彼のその言葉を聞いたドゥークーは何も答えなかった。しかし、止めることもしなかった。

 

「俺達なら一緒にいけるぞガル」

 

ディルとベラが彼の近くに来て肩に手を置く。

 

「ありがとう二人とも」

 

「なら今すぐにでも出発するか。俺達の船ならちょうど集合地点の近くに止めてある」

 

「よし、今すぐ行こう」

 

ガルはそう言ってディル、ベラと共に歩き出した。

 

その姿を後ろで見ていたオビ=ワンとシャアクは彼に行かないで欲しいと伝えることができなかった。その場を去って行く三人の姿があまりにもしっくりときすぎていたのだ。

 

「あいつは今回の事でジェダイを辞める気なのかもな」

 

「そうね………」

 

シャアクは最悪の事態を想定して自分の目から涙が流れている事に気がついた。

 

「二人共、大丈夫だ。あいつなら上手くやってみせるさ」

 

ドゥークーは三人の後ろ姿を見ながら言った。彼の顔は確信に満ちていた。

 

「さあ、我々も先ほど見つけた船に乗ってコルサントまで行かねば」

 

ドゥークーはそう言いながらウィンゾを優しく抱え上げて歩き出した。




お久しぶりです。更新が遅くなって申し訳ないです……
現在定期テストが近いのと偏頭痛が酷かったので話を書く時間がありませんでした。
次回の投稿は一週間以内に一回できれば良いかなと思っています。少しの辛抱をお願いいたします。
それでは次回の投稿でお会いしましょう。フォースと共にあらんことを!
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