このシリーズで珍しく暗くない明るくハートフルな回だと思います。是非楽しんでいってくだい♪
Merry Christmas!!
大量の血反吐を吐いたガルはクワイ=ガン達と共に直ぐにディルの船に運ばれ、彼はその後すぐに意識を取り戻した。
また、クワイ=ガンとタールの容態は回復したものの未だに意識が戻らず、ディルの船の寝室で寝かせて様子を見ることとなった。
意識を取り戻したガルはディルからその後の報告を聞くためコックピットに来ていた。
「それで、何で血を吐いたんだ?」
ディルが操縦席から聞いてくる。
「さあな。でもほら、ピンピンしてるし大丈夫だろ」
そう言いながらガルは軽く踊ってみせた。
「ならいいけど。驚かせるのはやめてよね」
「そんなつもりは全くなかったんだが……すまない」
「そうだそこに置いてある食事を食べるといい」
ディルの言葉を聞いたガルは目の前に置いてあった食事を直ぐに手に取り、口にかきこんだ。
「それで現状の説明なんだが……」
「ん?どうした?」
ガルがご飯を食べる手を止めて聞く。
「いや、あの後の報告と悪いニュースがあってな。どっちが聞きたい?」
「先に報告からで頼む。その間に飯を食べるから」
「了解。あの後、俺たち二人で施設を隈なく調べたが、生存者は残っていなかった。それにシス・ホロクロンを厳重に保管していたと思われる部屋には何も残っていなかった。恐らくはジェナに持ち去られたんだろう」
「そうか…まあ今手に入れたところでジェダイに没収されるのがオチだ。逆に持ち去ってくれたなら感謝だな」
ガルは口に入った食べ物を飲み込んでからそう答える。
「それで……悪いニュースの方なんだが」
「ホロクロンが置いてあったと思われる部屋のデバイスにこんなものが残ってた」
ディルはそう言いながらガルの前にデータパッドを置く。そこには多くの名前が載っており、名簿になっていた。
「これは?」
「どうやらジェダイを攫う前にあの研究所では多くの孤児が連れてこられて実験されていたみたいだ」
「おいおい……」
ガルは手に持っていた皿を置いてデータパッドを直ぐに触り始めた。データパッドに載っている名前は下にスクロールすればするほど新しい名前が沢山出てきた。
「ざっと百人弱ってところか?」
ガルは名簿を見ながら聞く。
「分からない。まあだがそんなとこだろう」
それを聞いたガルは特に何も答えなかった。
「この広い銀河に孤児なんて数えられないほどいるのは分かってるでしょう?だから自分を責めたって何の意味も無いわよ?」
ベラがデータパッドの画面に釘付けになっているガルの背中をさすりながら慰める。
「分かってる。そういえばあの怪我してた研究員は?」
確かにそうだと思い、ガルはなんとか割り切ることにした。そして新たな疑問を投げかける。
「あれ?そういえば彼女を見なかったわね」
ベラが今ままで忘れていたという様な返答をする。
「俺も見てないな」
「そうか。なあ、あの研究員の特徴覚えてるか?」
「特徴?髪の長い女性だったな。だが、顔はあんまり良く覚えてないな」
「えっ?髪はショートだったわよ?」
ベラがディルの言葉に驚きながら反論する。
「やっぱりか……」
「やっぱりってどう言うことだ。ガル?」
「俺も顔を思い出せない。それに彼女の髪は長くてドレッドが混じっていた」
「全員の記憶が違っているなんて変ね…」
「これでハッキリしたな。恐らくあの研究員がジェナ・ザン・アーバー本人だったんだろう」
「なんだって?」
「どうしてそうなるの?」
確信を持った様子のガルを見て、二人は困惑していた。
「彼女はヴォイド(空虚)だったんだ」
「「ヴォイド??」」
ガルの言葉の意味を理解できないといった表情を二人はした。
「ヴォイドという者たちは、見た目には実際のエネルギーを発していない様に見える。ちょうどホログラムの様に」
彼は二人が理解しやすい様にホログラムを起動してみせる。
「だが、本当に少数の強力な者になると、ジェダイの知覚を持ってしても、たんにうつろだという印象しか与えないのだという。ゆえに、ハッキリとフォースの暗黒面が脈打って感じられる者よりも、危険だと言える。ヴォイド達は、暗黒面を隠せるほど狡猾で集中力がある。しかも、その隠し方は完璧に近く、ジェダイからもしばらくは正体を隠し通せるんだ」
「そんなのが存在するのね」
そう反応するベラと同時にディルの船の通信機が鳴った。
「そろそろ帰るか。一応マスタージェダイが無事って事だけは報告済みだから、残りの報告はお前が頼むぜ?」
「私達、あの頭の硬い人達苦手なの」
「ははっ、了解した。やっぱりそう思うのかみんな」
ガルは少し笑顔になりながらジェダイ聖堂からの通信に応じるのであった。
ガルがジェダイ聖堂と通信していた頃、ディルの船の寝室ではクワイ=ガンが悪夢にうなされていた。
『助けてクワイ=ガン!!』
夢の中ではタールがそう叫ぶ声が繰り返され、自分の腕の中で彼女の生命の光が失われる最悪の瞬間が何度も目の前に映し出される。
その映像は彼にとって耐え難いものだった。目を瞑って耳を塞ごうが何も変わらない。彼の腕の中で愛する彼女が息を引き取ったのは紛れもない事実だった。
クワイ=ガンはあの時何故彼女を助けられなかったのかと、何度も何度も自分を責めた。
そして何年も昔に封印したはずの感情が溢れ出てきた。いや、封印などしていない、ただ見て見ぬふりをしていただけだ。彼は常に彼女の側にいて離れなかった。それは紛れもない愛の証だった。
タールを愛していたのだ。
その事実から常に目を背けて生きてきた彼は今になってとてつもない後悔をした。
『はあ……なぜずっと側にいたのに少しも伝えなかったのだろうか』
彼は夢の中で静かに呟いた。
『長い間共に生きてきたのに一度も思いを伝えられずにこの人生を終えてしまうなんて……』
『自分は死んだのだろうか……いや、私もあの傷で生きていられるはずがない』
『ああ、タールよ。こんな不甲斐ない私を許して欲しい。この歳になっても愛する者に気持ちを伝えられないなんて……ジェダイの道ではいけないと分かっていても、君を心から愛していたのだ。心から』
クワイ=ガンはタールの事を思いながら静かに涙を流した。
『どうしても君に伝えたかった…………この気持ちを』
そう言いながら彼は静かに目を閉じた。
次の瞬間、彼は目を覚まし、自分がまだ生きている事を悟った。
「生き残ってしまったか…」
彼はそう呟きながら目からこぼれ落ちていた大量の涙を手で拭った。痛む上半身をゆっくりと起こしながら彼は目の前の壁をただ見つめていた。
「君を何としてでも守ると誓ったはずなのに……」
そう呟いた直後、
「どうやら私も生き残ったみたいね」
クワイ=ガンのベッドの反対側にあるもう一つのベッドから聞き覚えのある声が響く。
その声は優しく、そして絶望していた彼の心を温かくした。部屋は暗く、姿を確認することはできなかったが、そこには紛れもなくタールのフォースが存在していた。
「まさか……」
クワイ=ガンは体が痛むのも気にせず、ベッドから這い出てタールの元へと向かった。
「タール、タール……」
彼は何度も彼女の名前を呼びながらもう一つのベッドへと近づく。そしてベッドで体を起こそうとしている彼女に抱きついた。
「ちょっ、ちょっとクワイ=ガン痛いわよ」
彼女は驚いてそう言ったが抱きついてくるクワイ=ガンを止めはしなかった。
「ああ……タール。すまない、許してくれ。君を守れなくて」
あのクワイ=ガンが泣きながら彼女に謝る。
「良いのよ、気にしないで。本当に」
そんな彼を見ながら彼女は笑顔になった。そして彼女の目からも自然に涙が流れてくる。
「長い間一緒にいて一度も言わなかった事を伝えようと思う。いや、伝えなければいけない事だ」
クワイ=ガンはタールから離れて彼女の目を真っ直ぐ見つめる。二人共泣いていて顔はぐちゃぐちゃになっていたが、どこか幸せそうな表情をしていた。
「タール、結婚しよう。君を愛している。心から」
覚悟を決めた彼の目には一点の曇りもなく、愛する彼女の綺麗な目だけを見つめていた。
「ええ、ええ。私もよクワイ=ガン。あなたを心から愛してる。結婚しましょう」
彼女は何度も頷きながらクワイ=ガンのプロポーズを承諾した。彼女は今まで彼が見たどの笑顔よりも美しく笑った。
「は、はは。今私は君と婚約したのか?」
「ええそうよクワイ=ガン。私達婚約したのよ!」
そして見つめ合った二人はキスをした。
「私を離さないでね」
「ああ、君を決して離さない」
その後、二人は抱き合いながら再びキスをした。
(一週間後)
コルサントーーココ・タウン
今日もここ、デックス・ダイナーは貸切の予約が入っていた。店の中は派手な飾り付けがされ、完全なお祝いモードだ。厨房ではデクスターが大慌てで何かを作っていた。
「ガル、シャアクは来たか?」
店の様子を外から覗くガルに対してオビ=ワンが声をかける。また、店先で話す二人は珍しくチュニックとローブではなく、正装だった。
「いや……自分の中で気持ちの整理ができるまでは祝えないって言ってた」
「そうか…まあ難しい事だしな」
オビ=ワンは納得しながら答える。
「逆にお前は何であんなに簡単に受け入れられたんだ?」
「何で……か。元々勘づいてはいたし、考え方も変わったんだ」
「マジで言ってるのか?」
ガルはあのお堅いオビ=ワンが今言った言葉を信じられなかった。
「ああ。それもこれも全部お前の影響だけどな。はあ、ジェダイの掟に疑問を持つことになるなんて……」
「ふふっそうか。それなら良いんだ。疑問を持つ事は自然なことだぞ親友」
「よせよ。お前に親友とか呼ばれるとなにかまた悪影響を及ぼされそうな気がする」
オビ=ワンはそう言いながらニヤッと笑った。
「あ!二人共そこにいたんですね。マスタークワイ=ガンが結婚指輪が無い無いって大騒ぎしてるんで手伝ってください!」
アイラが立ち話をしていた二人を連れ戻しにやってきた。
「えー勘弁してくれよ」
「何でこうも私のマスターは結婚直前に色々やらかすのだろうか」
ガルとオビ=ワンはグダグダ言いながらもアイラに連れられて店内へと戻っていく。
クワイ=ガンとタールがディルの船内で婚約したあの日からもう一週間が経っていた。その後、コルサントに着いた一向はジェダイ聖堂へと一番に向かうのではなく、デックス・ダイナーへと向かった。しかし、ガルだけはジェダイ聖堂へ先に帰る様にとクワイ=ガンに言われ、聖堂のプラットフォームで降ろされた。そしてガルはたった一人で評議会の前で現状報告と今回の行動に対する責任を負わされることになったのだ。
だがガルが去った後、評議会メンバーのマスターヨーダ、ドゥークー、プロ・クーン、キ=アディ=ムンディの四人が今回の件に関しては非難すべきではなく、称賛すべきだとの意見を出した。その後四人の説得により、最後まで不服そうな顔をしていたマスターウィンドゥもそれを承諾し、ガルのナイト昇格を早めるという結果になった。ドゥークーはしっかりとした状況を判断をした上で仲間を決して見捨てずに希望を持つガルの姿勢に我々ジェダイも見習うべきだと言った。しかし、多くのジェダイはそれに難色を示した。
次の日、クワイ=ガンとタールに呼ばれ、五人のジェダイはデックス・ダイナーへと向かった。そして五人は正式にクワイ=ガンとタールが秘密裏にここデックス・ダイナーで結婚すると伝えられた。ドゥークーはそれを聞き、すぐに祝福した。オビ=ワンとガル、アイラも二人の結婚を喜んだ。だが何故かシャアクは気持ちの整理ができないと言いダイナーを飛び出してしまった。彼女の後をガルは追いかけたが、特に状況が変わる事はなかった。
そして現在、デックス・ダイナーには神父さんの前で向かい合うクワイ=ガンとタールの姿があった。
そんな二人を見守るのはドゥークー、ガル、オビ=ワン、アイラ、ディル、ベラ、ジャンゴ、ザム、デクスターの九人だった。たった九人だけの参列者でも二人の結婚には充分だった。
「フォースの繋がりが消えてもお互いを愛し続ける事を誓いますか?」
「はい。誓います」
「ええ、私も誓います」
二人は神父さんの言葉に即答し、熱いキスをした。
その瞬間、九人は起立して、大盛り上がり。
「おめでとう!パダワンよ」
「おめでとうございますマスター!」
各々が祝福の言葉を述べ、クワイ=ガンとタールの二人は抱き合いながら終始とても幸せそうだった。
「さあ!ケーキの登場だぞ」
デクスターが厨房から大きなウエディングケーキを運んでくる。
「沢山食べてくれよ俺も手伝ったんだ」
「えっジャンゴが?」
「なんだガル、気にいらないか?せっかくエプロンまでつけて本気で作ったのに」
ジャンゴが笑いながら聞く。
「いやそうじゃなくてキャラじゃないというか、エプロンしてケーキ作りをしてるところが想像できない」
「私もだ」
ガルにオビ=ワンも賛同する。
「それなら二人にも見せたかったわ。彼が私の持ってる可愛いエプロンを着てケーキ作りを一生懸命頑張っているところ」
「ザム?その話はしない約束のはずだが?」
「あれ?そうだっけ忘れちゃってた。アハハ」
ザムはイタズラっぽく笑う。
「そこまでしてくれた事に本当に感謝するよ」
「いや、気にしないでくれマスタークワイ=ガン・ジン」
「クワイ=ガンで良い」
「そうか。とにかく結婚おめでとうクワイ=ガン」
「ああ、ありがとう」
その後、クワイ=ガンとジャンゴは軽くハグをした。
デックス・ダイナーでは今、クワイ=ガンとタールがディルとベラから結婚生活のアドバイスを聞き、ジャンゴとザムはドゥークーと銀河の情勢を話しつつ二人の関係の進展を聞いたりし、アイラはオビ=ワンにイジられながらもデクスターから料理の仕方を教わっている。
こんな光景が信じられるだろうか。
そう、今目の前に広がる全てのものはガルが思い描いていたそのものだった。たとえこれから乗り越えなければならない困難がいくらあろうとも頑張っていけそうなほど、この瞬間は素晴らしいものだった。ただじっと少し離れた場所から見ているだけでも泣きそうになってしまいそうなほど美しく平和で完璧だった。しかし彼は、それと同時に寂しさも覚えた。皆が笑っている中やはり自分だけはどこか違うのだと思い知らされているようだったからだ。
一人だけ彼らの本当の関係性を知っている人間。それは彼らを救うためには大事な事だが、それが故にガルは完全に彼らと打ち解けることができないのだ。彼らを心から信頼し、愛している気持ちは変わらない。だがやはり心の片隅には自分はただの傍観者であるという思いは消えなかった。まるで自分がスターウォーズというストーリーを書くライターであるかの様に。
ガルはこの完璧な瞬間を忘れないように記憶しようと思った。一人で少し距離の離れたカウンター席から彼らの声、笑顔を見て彼は胸が一杯になった。
「さあ!ガル考案のスカイランタンをやってみましょ!」
「そうね外も良い具合に暗くなってきたわ」
そんなみんなの会話が聞こえ、ガルは急いで準備に取り掛かった。
デックス・ダイナーの外に出た一行はそれぞれのランタンに火をつける。
そして順番に空へ向かって手を離す。最後にクワイ=ガンとタールが二人で一つのランタンを空に放った。
たとえランタンの数は少なくても、夜のコルサント上空に上がっていくランタンはとても幻想的だった。
「綺麗…」
「ああ」
その場の全員が上空のランタンから目が離せないでいるようだった。
そんな全員の背中を見ながらガルはやる気に満ちていた。
彼にとって遂に自分の力でこの世界の未来を変える事ができたという事実はとても大きな成果だった。未来はいい方向に向かっている。そう信じて彼はまた新たな一歩を踏み出していく。今日見たこの素晴らしい関係を壊さないためにも。
そして彼は思った。
『さあ、準備しよう。次はマンダロアだ』
こうやって書いていて思うんですけど全然ファントム・メナスに行かなくないですか?w
そろそろ飽きてきている人もいるかもしれませんがどうか今後ともお付き合いください。予定ではマンダロア編でSeason2が終わり、Season3前半でファントム・メナス前日話を書こうと思っています。まあこの後season4と5があってまた長〜い道のりですクローンの攻撃までは……
というわけで皆様、Merry Christmasです。年内にマンダロア編をできる限り進めたいと思います!
それではまた次回の投稿でお会いしましょう〜フォースと共にあらんことを!