STARWARSーWHAT IF   作:AlexGarcia

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ターニングポイント

マンダロア滞在七日目の夜、アカデミー内の訓練場ではガルによる訓練が今日も行われていた。

 

「Solus. T’ad. Ehn」

 

ガルのカウントと同時に訓練場内にはライトセーバーとベスカー金属がぶつかり合う時に発生する澄んだ衝撃音がこだましていた。

 

彼の黄色く光る光刃はコスカが一番防ぎやすい場所を狙って打ち込まれる。そしてコスカは当然のように光刃をベスカーの槍で光刃を受け止めに動く。しかし、ガルはもうひとつの光刃で彼女の死角から攻撃を繰り出す。彼の作戦に気がついたコスカは急いで腕の個人用エネルギーシールドを起動させ光刃を防ごうとした。だが、彼女のシールドが起動するよりもガルの光刃が彼女のガントレットに到達する方が速かった。そしてエネルギーシールドの起動に気を取られていたコスカは、最初に防ごうとしていた光刃がもう既に自分の脇腹近くで止められている事に少しの時間が経ってから気がついた。ガルは悔しそうにする彼女の顔を見て軽く笑うとライトセーバーの光刃を消した。

 

「はあはあ……流石にキツすぎます」

 

コスカが肩で息をしながら話す。

 

「まだはじめて二十分程しか経ってないぞ?」

 

「でもこの槍でその二本のライトセーバーの力に勝てるわけないじゃん」

 

「なら一本でやってみるか?」

 

「本当に?それなら楽勝!」

 

さっきまで死にそうな顔をしていたコスカが急に元気を取り戻す。

 

「その余裕いつまで続くかな?」

 

ガルは微笑みながらライトセーバーを一本だけ起動させる。

 

そして、そんな二人を遠くからアイラとカイルが観察していた。

 

「あれならコスカが勝てるんじゃない?」

 

「まさか!ガルは素手でも彼女よりもっと強いよ。それに私なんかよりもね」

 

「へえ、そうなんだ」

 

「うん。だからいつも色んな事を率先してやるんだ。一番危険な事をね……」

 

アイラはそう言いながら悲しそうな顔をする。

 

そんな彼女の表情を見たカイルは自然とアイラの側に寄り添っていた。

 

「大丈夫?」

 

しかし、カイルの問いにアイラは何も答えず、その場を立ち去った。

 

「あーあもう少しだったのにな」

 

アイラの後ろ姿を見ながらカイルは静かにそう呟いた。

 

そんな事を全く知らないガルとコスカはまだ訓練に没頭していた。

 

「Solus. T’ad. Ehn」

 

「ぐ…………」

 

「コスカ、力で対抗しようとするな。上手く槍の特性を活かすんだ」

 

「そんな事言ったってやっぱりライトセーバー重すぎ」

 

「もう一度行くぞ。Solus. T’ad. Ehn」

 

今度は容赦なくコスカの防ぎにくい場所を選んでガルは攻撃していく。

 

「Solus. T’ad. Ehn. Cuir」

 

ガルはコスカの持つベスカーの槍をライトセーバーで弾くと直ぐに彼女に首元に光刃を近づけた。

 

「はい!そこで終了」

 

突然訓練場にシャアクの声が響く。

 

「なんだよシャアク、良いとこだったのに」

 

「どこが良いところよガル。コスカの事ボコボコにしてたくせに」

 

「いやそれはな…」

 

「まあとりあえずコスカと私は夜の見回りがあるからもう行かなきゃ」

 

「そうか。じゃあ、お疲れ様コスカ。また明日な」

 

「え……明日もこの訓練ですか?」

 

コスカが物凄く嫌そうな顔をする。

 

「大丈夫、明日は私もアイラも一緒だからガルの好きにはさせないわ」

 

その言葉を聞いたコスカは心底安心した様子だった。

 

 

シャアクとコスカが去った後、ガルは一人訓練場内で瞑想をする事にした。何故ならここ数日、アカデミー付近でフォースの暗黒面を感じる事が多々あったからだ。オビ=ワンも同じく感じ取っており、いつでもサティーンを連れて逃げられる様に準備をすると言っていた。

 

「まあ、ダメ元だが……メリダを救えた時の様に未来のビジョンを見れる事を祈ろう」

 

そう独り言を言いながらガルは瞑想を始める。

 

彼は周囲に存在するフォースを集め、次第に自分の体の中へ循環させる。呼吸の数をコントロールし、フォースと一体化する事に努める。すると、自然に彼の体は地面から離れ、浮かび上がり始める。彼の集中力が最高に高まった時、竜巻の様に力強く、しかし穏やかに吹くフォースの渦の中に何かしらの映像が写された。

 

そこでガルは変わり果てた王立アカデミーの建物を目にした。衝撃で固まっている彼をよそにビジョンは次に王立アカデミー内の映像へと移動する。

 

外と変わらず、建物内もひどい有様だった。あちこちから火の手が上がり、アカデミー内は何かが焦げる匂いと血の匂いで充満していた。アカデミーの廊下へとビジョンは進んでいく。そこではライトセーバーを手に必死に何かを守りながら戦っている自分の姿があった。

 

『ああ………マズい。最悪のビジョンだ』

 

そうガルが思ったのは自分が守っている人物達の惨状を見たからだった。

 

シャアクとアイラは変わり果てた姿で床に倒れており、重傷を負ったコスカが必死に二人の名前を呼び続けていた。しかし、二人はもう既に息をしていない様子だった。自分はそんな中でも必死に戦い続けていた。そして、彼の手に握られていたのはシャアクとアイラのライトセーバーだった。

 

『クソ…またこんなビジョンを見なきゃいけないなんて……』

 

シャアクとアイラの死を目の当たりにしたガルの心は酷く荒れていた。

 

ガルはこの惨劇の首謀者を探そうと更にフォースを無理に集め、ビジョンの先を見ようとする。彼の心は怒り、泣き叫んでいた。

 

そして立ち上がる煙の中に一人の人影が映る。そしてその人影はこちらに向かって歩いてくる。

 

『よし、良いぞ。もう少し!こいつの顔さえわかれば後は殺すだけだ』

 

徐々にその人影は煙の中から出てくる。

 

『もう少し!もう少し!もう少し!こいつの正体を知らなければ!こいつを殺さなければ!』

 

『ガル!』

 

突如、どこからともなく、彼の名前を呼ぶ声が響く。

 

『ガル!ガル!』

 

彼の名を呼ぶ声に気を取られている隙にビジョンは薄く靄が掛かり始め、見えなくなってしまった。

 

「ダンクファリック!」

 

ガルは目を開けるとそう悪態ついた。ゆっくりと地面に降りながら彼は自分の名を呼んだ人物の顔を見た。

 

そこには完全武装したディルとベラが立っていた。二人の武器は真っ直ぐガルへと向けられていた。

 

「何でそんな格好をしてる?」

 

ガルは腰のライトセーバーへと徐々に手を伸ばしながら聞く。

 

「それはこっちが聞きたい」

 

「自分の武器に手を伸ばす前に周りの惨状を見てから言いなさい」

 

ディルとベラの声から彼を警戒しているという事がよく分かった。

 

ガルは手を止めて辺りを見回す。

 

「これは………」

 

言葉を失うガル。

 

「お前がやったんだ全て」

 

ディルはそう言いながらやっと警戒を解き、ヘルメットを脱いだ。

 

訓練場内の武器や防具が全てぐちゃぐちゃになっていたのである。またなかには強い力で握り潰されたかの様な物、無理に捻じ曲げられた様な物もあり、より一層異様な雰囲気を醸し出していた。訓練場の壁には凹みなどが更に増えていた。

 

「パドメがあなたの異変に気がついたのよ」

 

ベラはそう言いながらコムリンクを取り、パドメに彼が無事であると通信した。

 

「それで、ここで何してた?」

 

「未来のビジョンを見るための瞑想を……」

 

「これが瞑想?はっそれでここまでする価値のある未来は見えたのか?お前はベラの事をフォースで弾き飛ばしたんだぞ!」

 

珍しくディルがガルに詰め寄る。

 

「ディル、今はよして。とりあえず私達の部屋でゆっくり話しましょ」

 

ベラの提案にガルは黙って頷いた。

 

「はあ……分かった。じゃあついてこいガル」

 

そう言うとディルは歩き出し、ガルは二人が使っている宿泊用部屋に案内された。部屋に入ると、中ではアイラとパドメが座りながら喋っていた。そして二人はガルの顔を見ると心配そうな顔をした。

 

「やあ、二人とも。心配かけたみたいでごめんな」

 

ガルはそう一言告げると近くにあったソファに座る。そんな彼の頭にベラは優しくキスをしてアイラとパドメの近くに座った。

 

「まあ、水でも飲め」

 

ディルがガルに水の入ったコップを渡してくる。

 

「あ、ありがとう」

 

ガルはゆっくりと水を飲んでいく。

 

「なあガル、ジェダイでいる事ってそんなに大事なのか?」

 

ディルは自然な雰囲気で突然そんな事を言い出す。

 

その言葉にガルもアイラも驚いた様子を見せる。

 

「俺の親戚にもジェダイだったやつがいるんだ」

 

ディルは遠くを見ながら話し続ける。

 

「そいつは俺の弟みたいなやつだった」

 

「でもジェダイは……」

 

アイラが何か言いかけたところでガルは彼女に対して何も喋るなという合図を送る。

 

「幼い頃に一族から離され、テンプルに連れて行かれたからもう会えないだろうと思っていた。でもアイツは戻ってきた。ここマンダロアに」

 

話し続けるディルの顔はとても寂しそうで今にも泣きそうだった。

 

「ガル、今のお前にソックリだったんだ。自由奔放で仲間の事を思い続ける優しいやつで……」

 

「ディル………何が言いたい」

 

ガルは慎重に問いかける。

 

「分からない…………ただお前を見ているとアイツと同じ末路を辿る気がするんだ」

 

「どう言う事だ」

 

ガルのその問いにディルは答えなかった。

 

そして長い沈黙が訪れる。

 

 

 

 

 

 

「彼は私達を守るために死んだのよ」

 

なかなか口を開かないディルの代わりにベラが答えたのは数分が経った頃だろうか。

 

その言葉を聞いたガルとアイラは何も言えなくなってしまう。

 

「…………俺が昔アイツにした質問を、ガル、お前にもするぞ」

 

「………何だ?」

 

「ジェダイを辞める気はないのか?」

 

そうゆっくりと発言したディルの目は本気だった。

 

少しの間沈黙が続き、やっとガルが口を開く。

 

「分からない。分からない……」

 

「本気なの?ガル……」

 

彼の返答を聞いたアイラが何故か絶句しながらガルに問いかける。

 

彼女はガルがジェダイを辞める気はないとキッパリ回答するものだと思っていたのだ。彼女にジェダイというあたらしい世界を教え、ジェダイとして成長しながら活躍する彼に憧れていた彼女にとって先ほどのガルの言葉は耳を疑うものだった。

 

これまで見てきた完璧なガルという理想像はここにきて彼女の中で大きな音を立てながらどんどんと崩れていく。

 

今、彼女の目の前にいるのは優秀なジェダイナイトのガル・アーラではなかった。

 

何がここまで彼女を苦しくするのかは理解できなかった。憧れていた彼に対する失望なのか、それとも彼の悩みに気がつけなかった後悔なのか。それとも全く別のものなのか……

 

彼女は気がつくと部屋を飛び出してシャアクの部屋に向かっていた。

 

「追いかけなくて良いの?」

 

ベラが優しくガルに聞く。

 

「いいんだ。いずれ俺はジェダイを辞めようと思っていたから」

 

「本当なのか?」

 

ディルが驚いて聞き返す。

 

「ああ、本当だ。俺がいる事によって全員が弱くなってる」

 

「弱くなる?」

 

「戦闘面や多くの面ではみんなが強力になったと言える。だが彼女達の内面を弱くしてしまった……」

 

ガルは下を向きがら話す。

 

そう、今彼が一番後悔していたのはこれだった。最初はオビ=ワンの堅物キャラを崩して、マスター達の考えにも少し柔軟性をもたらすのが目的だった。だが、想定外の問題が起こった。それはシャアクとアイラの事だった。二人とも映画やアニメでは強力で内面もかなり柔軟ながらジェダイとしてしっかりとしていたイメージがある。しかし、彼自身でも理解できないほど彼女達の内面は変わり果ててしまった気がして仕方がなかった。

 

それは彼にとっては凄く良い結果であり、嬉しいことでもあった。だが、彼女達の内面が弱る事によって彼の知らないうちに暗黒面に囚われてしまわないかが気掛かりだった。さらに彼が先程みたビジョンでもそうだったように、シャアク、アイラの二人が余計な事件に巻き込まれる件数が明らかに増えていた。

 

ガルは二人と過ごした時間とその間に自分が抱いてしまった気持ちに蓋をしなければいけない日が近いのだと悟っていた。

 

所詮自分はこの世界の住人ではないのだからと……

 

「なあもし俺がジェダイを辞めたら……」

 

そう言いながらガルはディルとベラを見つめる。

 

「ああ、お前の帰る場所はここにある」

 

ディルはガルの目を真っ直ぐ見つめながら答えた。

 

その言葉を聞いてガルは呆気に取られた。

 

優しく微笑むディルとベラの目はガルの心を見透かしているかの様に見えた。




いやーちょうど今日配信のムーンナイトを見たんですけどやっぱりオスカーアイザック良いですね。彼は正直なところMCUでもエンサバヌールとして出てきて欲しかったのが本音ですが………とはいえ面白かったですよ〜ムーンナイト。

ところで!Transformers What Ifに関してなんですがthis winterとか言っときながら四月中に投稿スタートの予定です!もしかするともしかしてTransformersの方が予定話数がStarWarsより少ないので先に話が終わる可能性がありますと言っておきます……

という事で次回の投稿は4月8日の金曜日です!
それでは次回の投稿でお会いしましょう。
フォースと共にあらん事を!
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