STARWARSーWHAT IF   作:AlexGarcia

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誘拐事件の真相

コルスカ宙域ーー首都惑星コルサント

 

 

「お久しぶりです。キール提督」

 

そう言いながらナブー選出の議員、パドメ・アミダラはキールからの通信を受けていた。

 

「ガルからの伝言がある。今回のジャバの息子誘拐にはコルサントにいるズィロ・ザ・ハットが関わっている可能性が高い。コマンダーフォックス達を連れて調査に向かってくれ」

 

「それは本当ですか?」

 

「ああ、ガルが言うんだから間違いないだろう」

 

「分かりました。一応フォックス達には準備をさせておきます」

 

「それとガルの仲間のエンボがもう既に極秘で潜入している。もし困った事があれば彼を頼ってくれ」

 

「承知しました。アナキンとガルにはくれぐれも気をつけてとお伝えください」

 

「了解ですアミダラ議員」

 

そう言いながらキールは通信を切った。

 

「ああ、パドメ様、最高議長がお呼びです」

 

「3PO、最高議長には今は手が離せないと伝えておいてください」

 

 

バクセル宙域ーー惑星テス

 

 

オビ=ワンとヴェントレスは修道院内で長い戦いを続けていた。

 

「ジェダイを陥れようというドゥークーの企み、思い通りには行かんぞ」

 

「貴様が死ねば真相は闇」

 

ヴェントレスは今まで二本で使っていたライトセーバーを繋げてダブルブレードライトセーバーにした。

 

「そこまで似てるのか」

 

オビ=ワンは思わずそう口に出してしまう。

 

「何の事だ」

 

ヴェントレスは分からないといった顔をしながらオビ=ワンに襲いかかった。

 

一方でガルとアナキン達はハイパースペースにジャンプしようとしていた。

 

「よし、ハイパースペースにジャンプだ。R2、ナビゲーションプログラム。座標、ロックでき次第ジャンプする。ガル、そっちは?」

 

「既にロック済みだ。そっちのタイミングに合わせる」

 

「了解」

 

R2が電子音を鳴らして座標がロック出来たことを知らせる。

 

「よしハイパースペースにジャンプする」

 

「了解」

 

「遅れるなよ?」

 

「はっ遅れるとするならそっちのオンボロに決まってる」

 

そんな冗談を言いながらガルの乗るAウイングとアナキン達を乗せたトワイライトはタトゥイーンへ向けてハイパースペースにジャンプした。

 

そんな中、修道院外の橋の様な場所でオビ=ワンと対峙していたヴェントレスは突然上空に目を向ける。

 

「私も感じた。アナキン達は去った。お前の負けだヴェントレス」

 

オビ=ワンがそう言うとヴェントレスは今までよりももっと攻撃的な動きをするようになる。それは彼女の心の中の焦りを表しているのだった。

 

「ドゥークーのご機嫌が悪くなるな」

 

オビ=ワンは余裕の表情でヴェントレスを焚き付ける。さらに彼女を焦らせて彼女の動きに隙を作るためだ。

 

「ジェダイのクズが!」

 

ヴェントレスはそう言いながらオビ=ワンに見えないように一度下がり左手首を触る。

 

「ハットの子は無事だ。もう戦う意味は無くなった。諦めて武器を捨てるんだな」

 

オビ=ワンが降伏を促す。しかしヴェントレスはドロイドスターファイターを逃走用に呼んでいた。ドロイドスターファイターが橋の近くまで来ると彼女はフォースを使って大きく跳躍し、ドロイドスターファイターの上に着地してその場から逃げ去った。

 

飛び去っていくスターファイターを眺めながらオビ=ワンはライトセーバーを消した。

 

 

アケニン宙域ーー惑星タトゥイーン

 

 

ジャバの宮殿では今この瞬間にヴェントレスからの連絡が来たドゥークーがジャバの目の前で通信を受けていた。

 

「共和国はクローンの大軍を動員。ジャバの御子息を見つけた時にはもうスカイウォーカーに殺された後でした」

 

ヴェントレスの発言で宮殿内の空気が一気に変わる。

 

「可哀想な事を……そこまでやるとは予想できなかった。せめてジェダイは倒し、仇は取ったか?」

 

「いえマスター、ジェダイは今タトゥイーンに向かっています」

 

「重ね重ね残念だのう。後程じっくり事情を聞こう」

 

ドゥークーは弟子の失態に苛立ちを隠せなかった。

 

「はい、マスター」

 

ヴェントレスはそれを感じ、強ばった表情になりながらそう答えて通信を切った。

 

「ムタジェダイマタアマタトゥイーン」

 

「偉大なるジャバは何故ジェダイがタトゥイーンに来るのかとお尋ねです」

 

「陛下を殺めるためです。これでジェダイの企みは明らか、御子息の救出を請け負ったのは陛下の信頼を得んが為。今スカイウォーカーは真の目的を果たしにまいります。すなわちハット一族の抹殺であります」

 

「ジェダイスリモ!」

 

「もし陛下のお許しさえあれば、わたくし自らスカイウォーカーの相手をいたしましょう」

 

ドゥークーがそう言い終えると彼の後ろに四体のIG-100マグナガードが姿を表した。

 

一方でガル達はハイパースペースから抜けてタトゥイーンのすぐ近くまで来ていた。

 

「はあ……この砂の塊、ひさしぶりだな」

 

アナキンが独り言のように呟く。

 

「この任務が終わったら実家に寄って飯でも食べていくとするか」

 

しかし通信がオンになったままだったようでガルがそう答える。

 

「じゃあ二人で行くか。そうだ、チビの具合はどうだ?」

 

「まだ薬の効果でぐっすり眠ってる。寝てる姿ぐらいはかわいいって認めるでしょ?」

 

「静かなだけマシだとは認めるが、可愛くはないね」

 

アナキンは笑いながらそう答える。

 

「アナキン、どうやらお迎えが来たようだぞ」

 

ガルが通信でそう伝える。

 

「本当だ。攻撃機接近!」

 

彼らの背後にはローグ級スターファイター、別名マグナガード・ファイターが四機付いてきていた。

 

「こっちは俺に任せろ。ボバ、もし危なかったら頼んだぞ」

 

「分かってるよ」

 

「ガルの愛用のファイターがどれほどのものか観察してやる」

 

「いいぞ。Aウイングが何故一番か見せてあげよう」

 

ガルはそう言いながら速度を思いっきり上げてUターンをした。そしてものの数秒の間にガルは前方に見える四機のファイターを破壊したのだった。

 

「おい、嘘だろ?」

 

「何あれ?すっごいね」

 

「やっぱりガルの操縦は親父と同じぐらい凄いな」

 

トワイライトに乗っていた三人からは驚きの声が上がる。しかし喜んでいられたのもつかの間で今度は八機のマグナガードファイターがレーダーに現れた。

 

「おいおいこんなに多かったか?」

 

ガルは思わずそんな言葉を発する。

 

「R2、着陸の準備を」

 

アナキンは急いで逃げる準備をする。

 

「残りは全部倒す。ドゥークーには気をつけろよ」

 

「了解!」

 

アナキンはそう答えて回避飛行をしながらタトゥイーンへ降下を始めた。

 

「さあ、ショータイムと行こうか!」

 

ガルはAウイングの船内で一人そう叫びながら誰も見ていない宇宙空間で八機のファイターを相手に楽しむのだった。

 

地上ではスカイウォーカーを取り逃がし、もう既に宮殿近くまで彼がきているという報告をドゥークーが受けていた。

 

「これは困った事になったの……」

 

ドゥークーは次にどうするか考えていた。しかし、マグナガードから未確認のファイターも存在していたとの報告を受けて彼は一旦宮殿から離れる事を決めたのだった。

 

「懐かしいフォースを感じるわい…………」

 

ドゥークーはそう呟きながら一人で上空を見上げた。

 

「アソーカ、着陸に備えろ」

 

「分かってるよマスター」

 

「ボバも準備してくれ」

 

「言われなくても分かってる」

 

三人を乗せたトワイライトはジャバの宮殿付近にゆっくりと着陸した。三人はジャバの息子を連れて宮殿へゆっくりと向かっていった。

 

一方でガルはマグナガード・ファイターを全て倒してアナキン達の着陸予定場所に向かおうとしていた。しかし、急に彼のコムリンクが鳴り始める。

 

「こちらガル。要件をどうぞ」

 

「まだこのチャンネルを使っているとは驚きだな」

 

ガルのコムリンクからは懐かしのマスターの声が響いた。

 

「このチャンネルの存在を覚えてるマスターにもですけどね。今どちらです?」

 

「今はジャバの宮殿から離れた場所にいる。して要件はなにかな?」

 

「久しぶりに顔でも見に行きますよ。少し待っててください」

 

「そうか……楽しみにしておこう我が弟子よ」

 

コムリンクから聞こえる彼のマスターの声はドゥークー伯爵ではなく、彼がよく知るマスタードゥークーのものだった…………

 

アナキン達三人はジャバの宮殿の入り口で待たされていた。

 

「もう長すぎるよ」

 

「忍耐も訓練の内の一つだぞ?お調子者」

 

二人がそんなやりとりをしていると入り口が開き、中からブラスターを構えた護衛とプロトコルドロイドが出てきた。

 

「こちらへどうぞ。おっと武器をお預かりします」

 

プロトコルドロイドがそう告げるとアナキンとアソーカは素直にライトセーバーを渡そうとする。

 

「いや、二人とも渡さなくていい。おいドロイド、ガルとボバが来たと伝えてくれ」

 

ボバがプロトコルドロイドにそう告げる。

 

「かしこまりました。ボバ様でしたか。失礼いたしました。お二人は武器はそのままで大丈夫です」

 

ドロイドはそう言って宮殿内へ歩き出した。アナキン達三人はジャバの目の前まで案内され、横一列に並んだ。

 

「ジェダイの騎士アナキンスカイウォーカーとそのパダワンです。それとガル様の仲間のボバフェット様です。伯爵が仰った事とは違い、御子息をお連れです。それにボバ様が一緒にいる時点で伯爵が我々を騙していた可能性が高いと思われます」

 

ドロイドはそう説明してジャバの反応を待つのだった。

 

その頃ガルはAウイングをドゥークーの目の前に着陸させて外に出ようとしていた。

 

「久しぶりだな我が一番弟子よ」

 

ドゥークーがガルにそう声をかける。

 

「元気そうな顔が見れて嬉しいですよマスター」

 

ガルはAウイングを飛び降りながらそう答える。

 

「久しぶりに手合わせといこうかね?」

 

ドゥークーがそう聞くとガルはライトセーバーを一本だけ起動してフォームIIマカシの体制に入った。その後ドゥークーは何も言わずに自分のライトセーバーを起動した。

 

何も無い砂漠の中で黄色と赤の光刃が重なり合う。二人の戦いは鮮やかでまるでショーのようだった。お互い敵同士のはずなのに二人の動きはお互いの動きに合わせているかのように見えた。

 

「腕を上げたな我が弟子よ」

 

「あなたの教えのおかげですよ」

 

「そろそろこの私と組む気になったかね?」

 

「逆に俺と組む気にはなりましたか?」

 

「それはまだ考え中と言ったところかな?」

 

そう言いながらドゥークーはガルに優しい笑みを見せる。ガルは彼がこんな風に笑うのは今となっては自分といる時だけだという事を知っている。

 

「久しぶりに見ましたその笑顔」

 

「どうやらそなたといると何もかも忘れてただの師としていられるようだ」

 

ドゥークーはそう言いながら師として弟子に教え込むようにライトセーバーを動かし始めた。ガルとドゥークーはジェダイとシスではなく、師と弟子としてライトセーバーを交えた。それはまるで親子でもあるかのように……

 

宮殿内でアナキン達と現状の確認と説明をしていたジャバの元に突然通信が入る。

 

「ズィロ叔父上からの連絡です」

 

そう言いながらプロトコルドロイドはホログラム通信を受ける。するとアナキン達とジャバの間に見知った人物のホログラムが現れた。

 

「初めましてジャバ陛下。私は銀河元老院のアミダラ議員。あなたを陥れた陰謀を暴きました。ドゥークー伯爵と共謀して御子息を誘拐し、罪をジェダイに被せたのは」

 

そう言ってパドメのホログラムからズィロ・ザ・ハットのホログラムへと変わる。

 

「ズィロタジャムジースカ!」

 

「ウニータマボムジャバ」

 

「ヲタコイワ」

 

「ノモタジャバ。悪いのはドゥークーよ!」

 

「ワー!イナタズィロキース」

 

ジャバが怒鳴り終えるとズィロのホログラムからパドメのホログラムへと戻る。

 

「ズィロはハット一族の手で厳しい処分を受けるでしょう」

 

「これで敵対行為はやめ、共和国の交易路通過を認めてくださいますね?」

 

「グトゥババダンブア」

 

「ジャバ様は協定締結に同意なさいました」

 

「決して後悔はさせません」

 

「グンウィトリパブリカハトブーキ」

 

「クローン軍のジャバ領域通過を認めます」

 

「議員、感謝の言葉もございません」

 

「いいえ、マスタースカイウォーカー。共和国と私こそあなたに礼を言わねば」

 

パドメはそう言い残して通信を終えた。

 

「ハット一族に対する犯罪でドゥークーを裁きの場に引き出してくれたら、ジャバ様は喜ばれます」

 

「ああ、約束しよう」

 

アナキンはお辞儀をしてジャバの前から去り、ガルに通信を始めた。

 

その頃ガルとドゥークーは砂の上に座り、世間話をしていた。

 

「おっとアナキンから通信です。そろそろ戻らないと怪しまれます」

 

「私もマスターに今回の作戦が失敗した事を知らせなければ。それではまたな。我が一番弟子、ガル・アーラよ」

 

「ええ、またいつか。マスタードゥークー」

 

二人はお互いの専用ファイターに乗り込み、それぞれのいるべき場所に帰っていった。

 

ファイターに乗り込み、タトゥイーンから去ろうとするドゥークーは彼のマスターであるダースシディアスに連絡を始めた。

 

「残念でしたマスター。これでジェダイ軍は外縁部への補給ルートを確保します。我らの戦い、ますます困難になりましょう」

 

「小さな勝利はジェダイにくれてやれ。この戦いの勝ち目、我らの方にでた」

 

ジャバとの協定締結を終えたガル達はヨーダとオビ=ワンが来るのを宮殿の入り口で待っていた。少しするとガンシップがこちらにきているのが見えて来る。

 

「やっとお迎えだ」

 

「長い一日だったな」

 

「そう?私は割と楽しかったけど」

 

「僕も戦闘に参加したかったな」

 

「それでガル、飯はどうする?」

 

「一回お互いのクルーザーに帰ってからお互いの専用機でモスアイズリーまで行こう。手土産も買いたい」

 

「そこは気にしなくても」

 

「なら私はボバと一緒にクルーザーで食べるね」

 

「は?誰がお前なんかと一緒に食べるか」

 

「おい、ボバ。歳も近いんだし仲良くしておくに越したことは無いぞ?お互いを信頼できるようになれば俺とジャンゴみたいな関係にだってなれる」

 

「分かったよガル」

 

「なら決まりね!一緒に美味しいもの食べに行こ」

 

四人が楽しそうに話しているところをガンシップ内から見ていたヨーダとオビ=ワンはお互いに顔を見合わせて、ガルが戻ってきた事による周りの雰囲気の良い変化を感じ取っていた。

 

 

ーーアーラ艦隊〈メインクルーザー〉

 

 

ジャバとの細かい協定に関する話や今後の話などはヨーダとオビ=ワンに丸投げしたガルは一人クルーザーに帰ってきていた。ガルは船内の自室でアナキンの実家に行く準備をしていた。

 

「はあ、これからは本格的にクローン戦争か。一瞬ですら気が抜けないな……」

 

ガルはそう言いながらおもむろに隠し扉のような場所を開け、中からジェダイホロクロンを取り出した。ガルはそのホロクロンを部屋の中心に置き、側で瞑想を始めた。

 

少しするとホロクロンが空中に浮き始め、立方体の八つの角が外れてホロクロンから映像が流れ始めた。

 

 

 

「私はマスターオビ=ワン・ケノービ。残念な報告だ。帝国の邪悪な暗闇に我々ジェダイも、共和国も飲み込まれてしまった。これは粛清を生き延びたジェダイへの警告と励ましだ。フォースを信じよ。聖堂に戻ってはいけない。時代は変わった。今未来は不確かな物となった。全員が試されている。我らの信念、信頼、そして友情。だが耐え抜かねばならない。耐えればいつか新しい希望が生まれてくる…………フォースと共にあらんことを」

 

 

 

映像が終わり、ガルは自分の拳を床に叩きつけた。

 

「ここまでやっても何も変わらないのか…………」

 

その日、ガル・アーラは何を犠牲にしてでも未来を変えてみせると改めて誓った。




これでプロローグが終了になります。
次回からはガルの出生や幼少期の話になります〜
EP1前の話はレジェンズのストーリーとオリジナルのストーリーの混合になっていきますのでできる限り面白くできるように頑張ります!

それではまた次回の投稿で。フォースと共にあらんことを

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