時攫い編   作:らふ

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番外編編をバラバラに散りばめていると読みづらいと感じる方もいそうなので、ちゃんと区切りをつけることにしました。週に一回は整理しようと思います。




本編
其の壱


"独断専行は良い結果を生まない。他者と悩みを打ち明け協力することが大切だ"

 

と親からいつもいつも言われてきた。

 

それこそ何度も何度も飽きるくらいに。

 

鬼気迫った様子で、なぜか悲しそうな視線を向けながら。言ってきた。

 

俺自身両親とあまり話すことがなく、会って少し会話するくらいなんだが、その話をすることは妙に多い。

 

だけどなんでそんな話をしてくるのか、理由は一向に話してくれなかった。いつか話すと言われたが話してくれる気配はない。

 

俺には信用していないんだとも考えた。俺に対して愛想尽かしたのかとも考えた。

 

何度も何度も何度も考え抜いた結果。

 

理解できる日は来ないのだろう。

 

まだ

 

 

 

小鳥の囀りが聞こえ、遮光カーテンの隙間からキラキラと輝く朝日が覗かせ、俺に朝が来たと伝える。

 

「ふぁあああああ」

 

軽く伸びをし、欠伸をする。

まだぼやける視界の中で見えるのは時計の短針。それが指しているのは8だ。

 

「あ、あれ、これって………」

 

そう、8時40分HR開始の学校に通っているおれにとってその数字はデッドライン。既に長針は死を指していた。

 

「おいおいおい。俺死んだ?死んだよな。ッベーわ、それこそこんな朝早くから戸部るくらいッベーわ」

 

戸部る必要は全くないのだが、今の状況を誤魔化すには最適で、徐々に頭が冴えてきた。

 

「うん。やべ遅刻だわ」

 

遅刻が確定した今急ぐ必要など全くない。平塚先生が面倒だが、なんとか誤魔化そう。うん。そうしよう。

 

小町が作ってくれた。愛情たっぷりの朝御飯を食べ、ゆっくりと家から出る。それこそ、今の時間帯と行動速度が比例しないくらいゆっくりと。

 

今日はどうも学校に行きたくないようだ。普段から働きたくないと言っているが、学校に行きたくないと思う時もあるよな。と、自分の中で色々と考え、古めかしい家々が軒並み並ぶ住宅街を歩く。

 

 

気づけば、知らない道に出ていた。何か考えているときに、道を間違えることは結構あるのだが、ここはまだ家の近くのはずだ。そうそう間違えることはないはずだ。少し、いや結構古い店が見えてくるのだが、あれは何だろうか。

 

あぁ、歩いていたら見えてきたぞ、あれは古本屋っぽいな。ちょっと入ってみるか。

 

「いらっしゃいませ。」

 

どうやら定員はこの老婆1人のようだ。やはりこの老婆も古めかしく着物も古着のようで見ただけで時代を生きてきたのだと分かる。

 

だが、それまでだ。たまたま古い住宅街に入ってたまたま古本屋があってたまたまそこに歳を重ねた老婆がいても全然不自然じゃない。むしろ自然すぎて俺が浮くまである。

 

つまり、興味が失せた。

 

そして、新たな興味をそそるものが目についた。と言うより目が注がれた。

 

その瞬間。その一点にしか見えなくなる。

 

昔、本当に昔、特番で見たことがある。それも再放送だったはずだが、妙に興味をそそられた。

 

雛見沢大災害

 

何分子供の頃だったので、あまり覚えていないが、確か、硫化水素等の火山性ガス流出で大の話題になったはずだ。

 

それでも、事件が起きたのは俺が生まれていない頃のことだったので、その話をする人はいなかった。

 

その少しの記憶が今蘇ってきた。

 

懐かしい。

 

これは、自然にそう思った。

 

「…………ほぅ、お客さん。雛見沢に興味があるのかい」

 

「…え、どうしてですか」

 

「そりゃ、今あんたが見ているのが当時の雛見沢についての記事だからさ。……そうとう興味があるようだね」

 

「い、いやそう言うわけでは」

 

この老婆。できる。と思うほどに重苦しい空気を放っていた。これが、プレッシャーか!?

 

「いいや、相当興味があるね。だって視線が離せてないよ。私の目はごまかせないからね。ほれ、とって見てごらん。」

 

言われる通り、さっととってみる。適当にパラパラとページをめくるが、ろくに内容が頭に入ってこない。

 

なんだこれ、頭がクラクラする。

 

突如として訪れたわけではない。家を出る前から少し頭が痛かった。徐々に少しずつ慣らすように痛くなってきたのだ。

 

脳味噌がかき乱されたような。それでいて、心臓の鼓動はバクバクとなり、視界がぼやけてくる。

 

それはあれだ。熱の時の症状に似ている。

 

頭が痛く何も考えられない。

 

あれ?

 

「君なら………を…………える。行ってきな………八幡」

 

おばさん、一体何を……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから俺はどうしたのだろうか。

あれから俺は何があったのだろうか。

あれから俺は………………

 

考えれば考えるほど、少しずつ記憶と、意識とが混同され一つになっていく。

 

朝目覚めるのとは訳が違う。一瞬気を失ってでもいたのだろうか?手と足とが動かすのに相当時間がかかった。

 

「変なおばさんと話して、それからの記憶がないな。あれからどうしたんだろうか………」

 

 

深く深く考える。だが、何も浮かんでこない。疲れているのだろうか。だが、疲れるも何も寝てただけなのに…………

 

あ、

 

「あぁ、そうか。寝てただけなんだ。変な住宅街に入って、変な古本屋に入って、変な老婆と話したのは全部夢のカナの出来事なんだ。はぁーーこれで万事解決だわ。いやー俺冴えてルゥ」

 

「何が冴えてるのかな?」

 

ん?

 

「うぉっ、おまっ、誰だ!!」

 

ひゃっ、と可愛らしい声をあげたのは誰か。

 

「お、驚かさないでほしいな。びっくりしたよ」

 

オロオロとした雰囲気を醸し出すのは誰か。

 

後ろに行くにつれ髪が短くなっていくような髪型のオレンジのボブカットの少女は誰か。

 

知るはずもなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は竜宮礼奈。レナって呼んで」

 

んんっ、一瞬戸惑ったが、それまでだ。万年ぼっちやっていた俺は出来が違うぞ!!えとえと、こんな時は道を聞くんだよな………

 

「そうか、竜宮教えてくれ」

 

あれ、自分の自己紹介は?とか思ってないけど、俺は空気を読んだんだ。うん。そうだ。

 

✓ 「ん?レナってよんでほしいって言ったんだけど、聞こえてなかったのかな。かな」

◦ 「ん?竜宮?おーーい」

 

なんだなんだ?自分の世界に入ったか?俺も時々あるけど、本読んでる時くらいだぞ?こんなの

 

「んんんんんんんんんぁあああ〜……………レナって呼べ」

 

「え?怖い怖い怖い怖い怖い怖い」

 

普通に恐怖だろ今の。目のハイライトが仕事してなかったぞ?ちゃんと明かりをともしてね?

 

「あーーーーーーーーレナって呼んでーーーーーーーー!!」

 

「うっせぇし、やだよ。だって自分で渾名つけて呼んでって言うやつって大体〇〇のアイドルとかそんなだろ?あと、美人局。あ、これ俺ソース。」

 

美人局には気をつけろって言われて育ったからな。

 

「そーす?………ねぇ、あなたには私はどう見えてるの?」

 

「うーーん。マスコット」

 

「…………チーン」

 

「とりあえず、うちこよっか。レナがお持ち帰りしてあげる」

 

ひょ、表情が…………狩る側の目だっ!!?

 

「わ、わーい、嬉しいな〜ぁ…………じゃねえよ!!」

 

「じゃっ、俺帰「らせるわけないよね、よね」」

 

「う、うわーん帰らせてーーー!」

 

この人怖いよー。あっ警察ですか?僕じゃないです。僕を捕まえないでください。目ですか目ですよね?!この人なんです!!誰かぁーー!

 

脳内でも俺が捕まるってどうよ。俺の過去黒歴史すぎね?

 

「はぁ、レナ思うんだけど、ここの人じゃないよね君。」

 

「ここが、どこかわからないんだが………」

 

言われて見て、ようやく景色が見えてくる。見たこともないゴミ捨て場があり、多くのスクラップが山積みになっていた。

 

その近くに崖があり、奥には森が広がっている。

 

そして空には満天に広がる星々と、月明かりで辛うじて見えるここの地形。

 

うん。どこだここ。少なくとも半径10kmの間には俺の家なんぞないな。これは確定的だ。千葉にこんな広大な森はない。

 

よってここは千葉ではない。

 

俺、寝てる間にどんだけ歩いたんだ?!

 

「…………うん。そうだな」

 

「この時間にここにいて、ここの人間じゃない。そして目が腐っている」

 

「おう、目が腐っているは余計だな。絶対にいらないな。うん。100いらん。すぐに取り消せ」

 

「う、うん。すっごく根に持っていることだけは分かったよ。」

 

そういや、こいつ俺の目見ても最初驚かなかったよな。なんでだ?

 

「とりあえず、帰る場所ないよね?」

 

なんで断言できるんだろう。まぁいいか、ここは乗ってやろう。

 

「おう」

 

「どこいくの?」

 

「ンァ、そりゃあまず、現在地の把握をしてだな……」

 

「そ、そこからなんだ。じゃあレナが教えてあげるよ。此処は雛見沢なんだよ。」

 

「あざとい」

 

いや、これはあざといというより可愛いな。

この前に踏み出して上目遣いしてくる仕草がなんとも、男慣れしていない女の子感が半端ない。

 

「うぅん、ひどいなぁもう。私あざとくなんかないよぅ」

 

「そのセリフがもう、な?」

 

「ぶぅーい、いじめないで…拗ねるよ?」

 

「おう、例えばどんな風に拗ねるんだ?」

 

「もう、あなたのことなんて知らないっ」

 

◦ ふんっ、と顔を逸らす。え、演技感が…………

 

「ぶふっ、あはははは」

 

「笑わないでよ〜」

 

あははははと笑っていると、レナもつられて笑い出す。こう言うの久しぶりだな。となんとなく思いながら。

 

 

ずっとこうしていたいとも思った。

 

 

 

 

 

 

悟史の今後について

  • L5発症回避
  • L5発症回避不可
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