プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第百十五話:お仕事再開

1、嫌み

 

 夏休みも終り、バッドエンド王国で再び過ごすバッドエンドプリキュア達を、ジョーカーは室内に集合させた。ジョーカーは、薄暗い部屋の中を行ったり来たりしながら、バッドエンドプリキュア達に嫌みをタップリと聞かせ、

 

「バッドエンドプリキュアの皆さん、遊び歩いて、さぞかし有意義な時間を過ごされたんでしょうねぇ?ですが・・・遊びの時間は終りですよ!今日からは、あなた方がさぼったバッドエナジーの回収を、ちゃんとやって貰いますよ!」

 

「エェェ!?私、夏休みの時も少しは回収したよぉ?」

 

 ジョーカーに注意されると、バッドエンドピースは不満そうに頬を膨らませた。ジョーカーは、何かを思い出したように両手を一度叩き、

 

「はいはい、確かにそうでしたねぇ?珍しく、バッドエンドピースだけは集めてらっしゃいましたねぇ」

 

「「「「ピースの裏切り者ぉぉ!」」」」

 

 バッドエンドハッピー、サニー、マーチ、ビューティは、夏休みの間は仕事しないと決めたのに、一人抜け駆けしたピースをジト目で見つめ、バッドエンドピースは、そんな四人を見て小悪魔的な笑みを浮かべた。

 

「エへへへ、たまたま良いタイミングに居たからねぇ」

 

 バッドエンドピースは、真琴に漫画原稿を駄目にされて落ち込んでいたやよい、コミケに居た人々からバッドエナジーを回収していた。ジョーカーは口元をニヤリとさせると、

 

「ですがあなた・・・キュアピースと仲良くなって、コンビを組んだとか?」

 

(ギクッ!?)

 

 バッドエンドピースは、ジョーカーにやよいと漫画コンビを組んだ事がバレているのを知り、思わず動揺を見せるも、直ぐに愛想笑いを浮かべると、

 

「アハハハ、ほ、ほら、仲良くなったと見せかけておけば、後で裏切られた絶望も大きいでしょう?」

 

「ほう・・・では、キュアピースとコンビを組んだのは、彼女を絶望させる為の演技だと?」

 

「そ、そうなのぉぉ!」

 

((((嘘だぁ!))))

 

 動揺しながら何とか誤魔化そうとするバッドエンドピースを、他のバッドエンドプリキュア達は、再びジト目で見つめた。ジョーカーはニヤニヤしながら、

 

「まっ、よろしいでしょう・・・では皆さん、お願い致しましたよ?」

 

 ジョーカーに念を押されたバッドエンドプリキュア達は、ジョーカーがこの場を去った後、どうするか相談を始めた。バッドエンドマーチは現状を思い返すと、スマイルプリキュアを始めとした、プリキュア達と馴れ合う事もあった事を思い出し、

 

「そういや最近、あいつらと馴れ合い過ぎたからなぁ・・・ここらでガツンと挨拶に行くか?」

 

 バッドエンドマーチに問われると、一同も確かに馴れ合い過ぎた事を自覚していた。バツドエンドサニーはコクリと頷き、

 

「せやなぁ・・・で、どないする?」

 

 バッドエンドサニーに聞かれた、バッドエンドピースとビューティは、

 

「スマイルプリキュアとソードには、何時でも会えるから、他のプリキュアにしておこうよ」

 

「では、誰の所に行くか決めましょう?」

 

「「「「ブラック先輩の所以外なら、何所でも良い」」」」

 

 バッドエンドビューティに問われた四人は、ブラックの所じゃ無ければ何所でも良いと話し、バッドエンドビューティを困惑させた。バッドエンドビューティは首を傾げながら、

 

「どうして、ブラックの所は嫌なの?」

 

「だってぇ・・・ブラック先輩の前で悪さすると、もう奢ってくれないもん」

 

「何や感や、ブラック先輩には親近感湧いとるしなぁ?」

 

「ウンウン!私、エッチな同人誌買って貰ったよ」

 

「同じ黒の衣装だしさ」

 

「「「「ねぇ?」」」」

 

 バッドエンドハッピー、サニー、ピース、マーチは、思わず顔を見合わせ合いながら頷いた。バッドエンドビューティは溜息を付き、

 

「ハァ・・・仕方無いわねぇ、ブラック、ホワイト、ルミナスの所には、私が行くわ」

 

「「「「どうぞ!どうぞ!」」」」

 

「あなた達ねぇ・・・」

 

 バッドエンドビューティは、呆れたようにそんな四人の仲間達を見つめた・・・

 

 

2、のぞみとバッドエンドハッピー

 

 ナッツハウス・・・

 

 学校から帰ったくるみは、家の中を掃除して居ると、のぞみとりんが遊びに来た為、掃除を中断して三人で談笑して居た。飲み物を持って再びリビングに戻って来たくるみは、徐に窓の外を覗くと、チラチラ見える人影がみゆきに見えた。くるみは、のぞみとりんに話し掛けると、

 

「のぞみ、りん、外にみゆきが来ているみたいよ?」

 

「エッ!?みゆきちゃんが?鍵は開いているから、入ってくれば良いのにねぇ?」

 

「まあチャイムも無いし、入りにくいのかも知れないわね・・・のぞみ、迎えに行ってあげれば?」

 

「分かった!」

 

 のぞみは立ち上がると、軽いステップで階段を駆け下り、入り口のドアを開けた。

 

「みゆきちゃん、いらっ・・・アレェ!?あなたは・・・」

 

「ヤッホ~!」

 

 ドアを開けたのぞみは、ドアの前に居たのが、両手を振るバッドエンドハッピーだった事で思わず驚き、

 

「バッドエンドプリキュア!?・・・アレェ、あなた一人なのぉ?他のみんなは?」

 

「エへへへ、今日はプリキュア達に挨拶に来たから、他のみんなは、違うプリキュア達の所に行ってるよ」

 

 他のバッドエンドプリキュア達は、他のプリキュアの所に挨拶に行ったと聞いたのぞみは、思わず不思議そうに首を傾げた。

 

「挨拶!?まあ、何の用事か分からないけど、知らない間柄じゃないし、立ち話も何だから中に入れば?」

 

「本当!?じゃあ、お邪魔・・・じゃなくて!私達、最近あなた達と馴れ合い過ぎたなぁって反省して、今まで通り、バッドエナジーを集めるお仕事再開するから」

 

「エェェ!?しなくて良いよぉ」

 

「ジョーカーにも怒られちゃったしぃ・・・って事で、また次に会う時は敵同士だからねぇ・・・じゃあ、バイバイ!」

 

「アッ!?ちょとぉ?・・・・何か調子狂っちゃうなぁ」

 

 のぞみは、両手を振りながら去っていたバッドエンドハッピーを、苦笑混じりに見つめた。何所か憎めない、妹のような気がするのぞみだった・・・

 

 

3、キュアピーチとバッドエンドビューティ

 

 四つ葉町・・・

 

 カオルちゃんのドーナツ屋に現われたのはバッドエンドビューティ、彼女はこの後、ひかりが居るであろうTAKO CAFEにも行かねばならず、ラブ達が現われるのを、今か今かと待って居た・・・

 

(キュアピーチ達は、よくこの店に来てるってマーチに聞いて来てみれば、どうやら今日は来てないようねぇ?)

 

 バッドエンドビューティは、ベンチに座りながら、公園に設置されている時計をチラチラ見た。このままラブ達を待つべきか、先にTAKO CAFEに行くべきかどうかを考えた。

 

(さて、このまま時間を無駄に使うのは、賢い選択では無いわねぇ・・・)

 

 そんな悩めるバッドエンドビューティを見たカオルちゃんは、ドーナツを持って近づくと、

 

「お嬢ちゃん、悩み事かなぁ?ドーナツを食べれば、そんな悩み何てドーナツても良い気分になるから・・・はい、お一つどうぞ!」

 

「エッ!?あ、ありがとう・・・」

 

(な、何なのかしら!?)

 

 バッドエンドビューティは、突然話し掛けて来て、ニンマリとしながらドーナツを差し出すカオルちゃんに思わず動揺するも、カオルちゃんに貰ったドーナツを一口食べると、見る見るバッドエンドビューティの目が思わず見開き、

 

「お、美味しい!?そう言えば、前にマーチがお土産に買って帰って来た事があったわね」

 

 バッドエンドビューティは、以前バッドエンドマーチのお土産を食べた時の事を思い出した。バッドエンドビューティは、もう一口美味しそうに口の中に頬張った。ちょうどその時、学校帰りのラブとせつなが、バッドエンドビューティに気付いた。

 

「バッドエンドビューティ、何しに来たんだろう?」

 

「他の四人はともかく、彼女がドーナツを食べに来るとは考えられないわねぇ?」

 

「バッドエンド空間も発生させてないから、悪さをしに来たんじゃないようだけど・・・」

 

 ラブとせつなは困惑しながらも、ベンチに座るバッドエンドビューティに近付いた。ラブは、困惑気味に話し掛けると、

 

「バッドエンドビューティ、どうしてカオルちゃんの店に?」

 

「フフフ、ようやく現われたわね!今日は、あなた達に挨拶しに来ただけよ」

 

「「挨拶!?」」

 

「そう・・・遊びの時間は終りよ!また私達は、これからバッドエナジーを集めるわ・・・次に会う時は敵同士よ!!」

 

 バッドエンドビューティが、次に会った時は敵同士だと告げた瞬間、ラブとせつなの周囲に冷気が漂った。ラブは表情を険しくすると、

 

「そんな事・・・させない!せつな、行くよ!!」

 

「エッ!?待ってラブ!まだ彼女は何も・・・」

 

 ラブがプリキュアに変身しようとしているのに気付き、まだバッドエンドビューティが何もしていないのに、変身しなくても良いのではないかと思ったせつなは、ラブを止めようとしたものの、ラブはリンクルンを手に持ち身構え、

 

「チェインジ・プリキュア!ビートアップ!!」

 

「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!!」

 

「後の二人にも伝えて、私は他にも行かなくてはならないから・・・」

 

 ラブはピーチに変身したのも束の間、バッドエンドビューティは、時計を見ると慌ててその姿を消した。せっかく変身したものの、あっさりバッドエンドビューティが去った事で、ピーチは変顔浮かべながら呆然とした。せつなは溜息を付き、

 

「ピーチ、前に私も、バッドエンドマーチと同じような事があったから、せっかく忠告してあげたのに・・・」

 

「ウゥゥゥ・・・カオルちゃん!ドーナツ一杯持って来てぇぇ!」

 

「ピーチ・・・やけ食いする気なら、せめて変身を解いたら?」

 

 せつなは、ドーナツをやけ食いしようとするピーチを諫め、ちょうどその場に通りかかった知念大輔は、

 

「お~い・・・プリキュアの姿になって、何騒いでるんだ?」

 

「大輔には関係なぁぁい!」

 

 ピーチはそう言うと、カオルちゃんが持って来たドーナツを、両手に持って口の中に交互に頬張り、思わずせつなと大輔は顔を見合わせた。二人は再びピーチを見つめると、

 

「プリキュアの姿で、みっともない真似は止めとけよ!」

 

「私もそう思う・・・」

 

 大輔とせつなにダメ出しされ、ピーチはトホホ顔を浮かべながらラブの姿に戻った・・・

 

 

4、満とバッドエンドサニー

 

 海原市夕凪町・・・

 

 満は、アルバイトをしている咲の家でもあるPANPAKAパンで、休憩時間を利用して、庭先に出てテーブル席に座り、オリジナルメニューを考えて居た。その時、満は誰かの気配を感じて視線を向けると、そこにはニヤニヤしたバッドエンドサニーが立って居たが、満はさして気にも止めなかった。バッドエンドサニーは、自分を見ても驚かない満を見て、思わず首を傾げながら、

 

「何や!?ウチが現われても驚かんのかぁ?」

 

「別に・・・あなた達、何度かこの街に来ているし、さして驚く事も無いわね」

 

「へぇ・・・あんたどことなく、ウチのビューティに似とるわ」

 

「そんな事より、今日は何の用かしら!?今ここには、私しか居ないわよ?」

 

「アッ、エエねん。今日は挨拶に来ただけやから」

 

「挨拶!?」

 

 バッドエンドサニーが挨拶に来ただけだと聞き、満は思わず首を傾げた。何の挨拶に来たのか満は考えると、どうやら夏休みが終わった事と関係がありそうな気がしてきた。

 

「確かあなた達・・・夏の間は仕事しないような事言っていたそうね?なら、夏休みも終り、二学期も始まったから、さしずめまた、バッドエナジーを集めると宣言にでも来たのかしら?」

 

「な、何で分かるんや?怖いやっちゃなぁ・・・その通りや」

 

 バッドエンドサニーは、満に自分の考えが読まれた事で、満を油断出来ない相手だと認識した。

 

「まっ、説明する手間は省けるよってエエか・・・って事で、仲間のブルーム、イーグレット、ウィンディにも伝えておいてやぁ」

 

「なぎさが知ったら嘆くわよ?」

 

「ギクッ!?アッ・・・エェェと、ブラック先輩には、ウチらのビューティが伝えに言った筈やから・・・」

 

「そう・・・あなた達とは色々あったけど、出来ればもう戦いたくは無かったけどね」

 

「次に会うた時は・・・再び敵同士やでぇ」

 

「仕方が無いわね・・・薫や咲、舞には一応伝えて置くわ」

 

「ほな、頼んだでぇ!」

 

 満に手を上げ帰ろうとしたバッドエンドサニーだったが、何かを思い出したのか、慌てて満を振り返り、

 

「なぁなぁ、この店のチョココロネって美味いんやろぅ?」

 

「エエ、美味しいわよ」

 

「前から気にはなってたんや・・・まだ残っとるの?」

 

「欲しいの?バッドエンドマーチには、この間の借りがあるし・・・」

 

「ハァ!?マーチと何かあったん?」

 

 バッドエンドサニーは、バッドエンドマーチがなおの家族の窮地を救った事を、バッドエンドマーチから聞いては居ないようで、満は余計な事は言わない方が賢明だと判断した。

 

「何でも無いわ!今日は特別に、私からあなた達にお土産としてプレゼントするわ」

 

「ホンマかぁ!?いやぁ、あんたも只者や無いとは前々から思ってたんやぁ」

 

(この乗り・・・本当にあかねとそっくりねぇ)

 

 満はクスリと笑みを浮かべ、店内に戻ってチョココロネを五個、バッドエンドサニーへのお土産で渡し、バッドエンドサニーは嬉しそうに帰って行った。

 

「出来れば、本当に彼女達とは、もう戦いたくは無いわね・・・」

 

 満はそう思いながら、休憩を終えて店内へと戻って行った・・・

 

 

5、つぼみ、えりか、いつきとバッドエンドマーチ

 

 希望ヶ花・・・

 

 バッドエンドマーチは、渋い表情を浮かべていた・・・

 

(そう言えば、ビューティからこの街の美味しい食べ物の情報聞くのを忘れてた)

 

 さてどうしたものかと歩いて居ると、何処かで見た二人組の妖精が、フワフワ飛んでいる事に気付いた。

 

「あいつらの後を付ければ、きっとプリキュアの所に・・・」

 

 シプレとコフレは、バッドエンドマーチに尾行されている事に気付かず、薫子が所長を務める植物園にやって来た。二人が中に入ると、バッドエンドマーチも二人の後を追うように、コソコソ中に入ると、木々の間に隠れながら中の様子を伺った。

 

「「コッペ様ぁぁ!」」

 

 シプレとコフレは、薫子のパートナー妖精の、巨大なコッペに抱き付き、そのモフモフ具合に悦の表情を浮かべて癒されていた。バッドエンドマーチは、コッペを見たのは初めてで、二人に抱き付かれても、置物のように微動だにしないコッペを見て、思わず呆然とした。

 

(何だ!?あれも妖精なのか?置物じゃないのか?)

 

 首を傾げたバッドエンドマーチだったが、楽しげに会話をする声が聞こえて、そちらを見てみると、薫子が入れてくれた紅茶を飲みながら、ティータイムをしているつぼみ、えりか、いつきの姿を目にした。バッドエンドマーチは木々から立ち上がり、

 

「捜したぞ!」

 

「「「バッドエンドマーチ!?」」」

 

 突然現われたバッドエンドマーチに、つぼみ達三人も驚いた。バッドエンドマーチは口元に笑みを浮かべ、

 

「お前らに挨拶に・・・」

 

 バッドエンドマーチは、バッドエナジーを集める事を再開したと、つぼみ達に告げようとしたものの、つぼみ達三人の表情は明るかった。つぼみはニコニコしながら話し掛け、

 

「いらっしゃい、良くここが分かりましたねぇ?」

 

「エッ!?ああ、あの妖精達の後を・・・」

 

「オオ、成る程成る程」

 

「そんなところに立ってないで、こっちに座ったら?今お茶でも入れてくるよ」

 

「・・・・・」

 

 つぼみ、えりか、いつきの自分に対するおかしな態度に、バッドエンドマーチは困惑した。

 

「な、なぁ、あたし達は敵同士だぞ?何でそんなに親しげに・・・」

 

 敵である自分に親しげに話し掛けてくるつぼみ、えりか、いつきに、バッドエンドマーチは戸惑うも、つぼみ達は笑み混じりに、

 

「もう私達、お仲間みたいなものじゃないですか!」

 

「何!?」

 

「そうそう、なおの家族を助けに現われた時のあんたの姿・・・最高!」

 

「あれは・・・」

 

「本当にあの時はどうなるかと、僕達ヒヤヒヤしてたんだよ」

 

「いや、あの時も言ったが、あたしはマーチの弟と遊ぶ約束をしてたから、助けただけだからな」

 

「「「またまたご謙遜を」」」

 

 つぼみ達三人は、同じような表情と仕草でバッドエンドマーチを称え、バッドエンドマーチは困惑した。

 

(調子狂う奴らだなぁ・・・)

 

「バッドエンドマーチは・・・以外と幼児に好かれるタイプなのかなぁ?」

 

「そうですね、保母さんとか似合ってそうですよ」

 

「ほ、保母さんだとぉ!?」

 

 つぼみに保母さん姿が似合っていると言われ、思わず変顔浮かべたバッドエンドマーチは、そんな自分の姿を一瞬思い浮かべて、激しく頭を横に振った。えりかは腕を組んで何かを思い出し、

 

「幼児に好かれると言えばさぁ、ゆりさんと一緒だぁ、ゆりさんもぉ・・・ラブレター貰っちゃったりしてたしぃぃ」

 

「保母さんのお仕事手伝った時も、子供達に懐かれてましたねぇ?」

 

「そんな事もあったねぇ」

 

「ゆりさんったら、意外と年下キラー何じゃないの?」

 

(年下キラー!?何だ、それは?ムーンライトは、年下の男の子を・・・)

 

 バッドエンドマーチの脳裏には、ムーンライトが笑みを浮かべながら、小さな男の子に躙り寄る姿が浮かんだ。

 

「「「羨ましいぃぃぃ」」」

 

 つぼみ達三人は、顔を近づけてキャッキャとハシャギ、益々バッドエンドマーチは困惑した。

 

(な、何を勝手に盛り上がってるんだ・・・こいつらは!?)

 

 バッドエンドマーチは、このまま此処に居たら拙いと考え、軽く咳払いすると、

 

「ゴホッ・・・アア、盛り上がってる所悪いが、今日あたしが此処に来たのは・・・あたし達バッドエンドプリキュアは、またバッドエナジーを集める事にしたから、次に会う時はまた敵同士だと伝えに来ただけだ!じゃあ、ムーンライトにも知らせて置いてくれ」

 

「「「エェェェ!?」」」

 

「じゃ、じゃあなぁ!」

 

(あいつらの側に居ると、こっちまでおかしくなりそうだからなぁ・・・さっさと帰ろう)

 

 バッドエンドマーチは、驚くつぼみ達から逃げるように植物園を後にした・・・

 

 

6、響、奏とバッドエンドピース

 

 バッドエンドピースは、奏の店で生クリームがタップリ入ったカップケーキを購入し、響達が居るであろう調べの館へとやって来た。ドアを開けて中の様子を伺おうとするも、中からは激しく言い合う声が聞こえてきて、バッドエンドピースは、恐る恐る扉をゆっくり開けてみた。

 

「何それ!?そんな話し、今初めて聞いたんですけどぉ?」

 

「だから、今初めてみんなに話をしているの」

 

「そんな大事な話・・・今まで黙ってる何て酷いよ!」

 

「私だって散々悩んだわよ・・・でも、決めた事なの!」

 

 言い合いをするのは響と奏、エレンとアコ、そしてハミィは、戸惑いの表情を浮かべながら、響と奏の側に居た。バッドエンドピースは、気づかれないように姿勢を低くして中に入ると、

 

(何々!?喧嘩してるのかなぁ?・・・エへへへ、挨拶する前に、漫画のネタになるかも知れないから見物しようっとぉ)

 

 バッドエンドピースは、目をキラキラ輝かせながらメモを取り出して聞き耳を立てた。響と奏は、そんな事とは知らず言い合いを続けた。二人の言い合いが始まった切っ掛けは、奏が、響、エレン、アコに言った一言から始まった・・・

 

「響、エレン、アコ、実は私、中学を卒業したら・・・パティシエ専門の高校に進学しようと思っているの」

 

「「「エッ!?パティシエ専門の高校?」

 

「エエ・・・加音町から通うには遠いから、学校の寮にでも入って・・・」

 

 響は慌てて奏の話を遮り、心の中に浮かんだ不安を口にした。

 

「ちょっ、ちょっと待ってよ!それじゃあ、プリキュアはどうするの?現にバッドエンド王国や、魔界と戦ってる真っ最中じゃない」

 

「分かってる!それは分かってるわ・・・仮に私達が高校になっても戦いが続いたとしても、以前みゆきに教わった、不思議図書館を経由すれば、直ぐに駆け付けられると思うの」

 

「何それ!?そんな話し、今初めて聞いたんですけどぉ?」

 

 こうして始まった響と奏の口論・・・

 

 響は、高校生になってもみんなと過ごしたい思いから、母であるまりあの誘いを断り、このままアリア学園の高等部に通おうと考えて居たのに、奏はそんな自分の心を嘲笑うかのように思え、響は苛立った。

 

「私は、みんなと同じ高校に通いたいから、ママの申し出を断ろうと思ってたのにぃぃ」

 

「「「エッ!?響、どういう意味?」」」

 

「私はママに、知り合いが居る海外にある音楽学校に、通って見ないかって誘われて・・・でも、私は断ろうと思ってた!奏やエレン、アコと、せめて高校を卒業するまでは、一緒に居たかったから・・・」

 

「響・・・」

 

「なのに、酷いよぉ!」

 

「待って、響!」

 

 響は目から涙を零しながら、奏を恨めしそうに見つめ、奏も響の真意を知り押し黙った。そんな響を止めたエレンは、

 

「響・・・奏を責めるのは、筋違いじゃないかしら?」

 

「何で!?私は・・・」

 

「響、聞いて!響は、私や奏やアコと、せめて高校出るまでは一緒に居たいって言ってくれるのは、本当に嬉しい・・・でもね、私やハミィだって、何時まで加音町に居られるのか分からないの」

 

「・・・・・・・」

 

「私達は、新たに動き出したバッドエンド王国と戦う為に、またこっちの世界にやって来た。当然戦いが終われば、私もハミィも、またメイジャーランドに戻らなければならない」

 

「それは・・・」

 

「奏もさっき、散々悩んだって言ってたでしょう?それは、奏の本心だと私は思う」

 

 エレンに諭された響も、少し冷静になって考えれば、それは奏の気持ちを無視して、自分の願望を奏に押しつけようとしているエゴだと悟った。エレンは、響が気付いてくれたと知り目を細めると、

 

「響、辛い事かも知れないけど、奏が決断したのなら、喜んで送りだしてあげよう?」

 

「響、もっと早く話すべきだったね・・・ゴメンね」

 

「ううん、私もついカッとなって言い過ぎちゃった・・・ゴメン」

 

「まっ、今直ぐ別れる訳でも無いんだし」

 

「「「そうね」」」

 

 眼鏡の位置を直したアコの言葉に三人も同意した時、突然四人に声が掛かり、

 

「何だぁ、もう仲直りしちゃったんだぁ?」

 

「「「「バッドエンドピース!?」」」」

 

「ねぇねぇ、今のが痴話喧嘩って言うんでしょう?」

 

「「ち、痴話喧嘩!?」」

 

 バッドエンドピースに痴話喧嘩と言われ、思わず顔を見合わせた響と奏は、慌てて頭を左右に振った。バッドエンドピースは、小悪魔的な表情で二人を見ると、

 

「そっ、良いネタを見れたよ、次回のミラクルピースのネタで使えるかもねぇ?」

 

「「ミ、ミラクルピース!?止めてぇぇ!」」

 

 響と奏は、ミラクルピースと聞いて、この間雑誌に載った、自分達の少しエッチなイラストを思い出して変顔を浮かべた。エレンとアコは、少し首を傾げると、

 

「あなた、此処に何しに来たの?」

 

「響と奏をからかいに来たの?」

 

「「エェェ!?何よそれぇ?」」

 

「ブッブブゥ!残念でしたぁ!!私は、お仕事再開した事を、あなた達に知らせに来たの」

 

「「「「お仕事!?」」」」

 

「そっ、バッドエナジー集め!また次からは敵同士だからね・・・バイバイ!!」

 

 バッドエンドピースは、そう言い残しながらルンルン気分で帰って行った。さっきまでの重い空気が嘘のように、四人は顔を見合わせながら呆然としていた・・・

 

 

7、なぎさ、ひかりとバッドエンドビューティ

 

 TAKO CAFE・・・

 

 学校から帰ったひかりは、何時ものように車の中で制服から着替えると、エプロン姿で接客をしていた。高校生になったひかりは益々美人になり、ひかり目当ての男性客も増え、TAKO CAFEは賑わいを見せていた。30分位経つと一段落し、

 

「ひかり、お疲れぇ!休憩入っちゃってぇ」

 

「分かりましたぁ」

 

 ひかりは、お世話になっているアカネに言われた通り、ベンチに座って休憩を入れていると、そこになぎさが現われた。

 

「ひかりぃ、今休憩?」

 

「なぎささん、いらっしゃい」

 

 なぎさはひかりが座るテーブル席に腰を下ろし、アカネにたこ焼きを頼むと、

 

「いやぁ、休みが多かったから、授業久々に聞いたら眠くなっちゃった・・・」

 

「アハハハハ、なぎさぁ、それは何時もの事じゃない?ハイ、たこ焼きお待たせぇ!」

 

「アカネさん、一言多いよぉ・・・」

 

 アカネにからかわれ、なぎさは熱々のたこ焼きに楊枝を差し、息をフゥフゥ掛けて冷ますと、口の中に入れてモグモグ味わった。そんな二人の周辺に、冷気が漂いだした。

 

「アレェ!?急に冷えてきたような?」

 

「そうですね、まだ9月も序盤何ですけど・・・」

 

 なぎさとひかりは思わず空を見上げるも、日が落ち掛けた太陽からは、まだ熱い日射しが届いて居て、風も南風のようで、何故寒く感じたのか不思議だった。

 

「フフフ、ブラック、ルミナス、揃ってるわね・・・ン!?ホワイトの姿が見当らないようね?」

 

「「バッドエンドビューティ!?」」

 

 ゆっくり現われたバッドエンドビューティを見たなぎさは、慌てて立ち上がるとバッドエンドビューティの手を取って木陰に移動させた。バッドエンドビューティは、少し渋い表情を浮かべ、

 

「ブラック、何の真似!?」

 

「それはこっちのセリフだよ・・・そんな格好じゃ目立つでしょうがぁ?」

 

「これが私達バッドエンドプリキュアの姿何だから仕方無いわ?あなただって、黒い衣装着て居るでしょう?」

 

 バッドエンドビューティに反論され、思わずなぎさが言葉に詰まると、後を追ってきたひかりが説明し、

 

「なぎささんは、その衣装じゃ目立つから、なるべく人目を避けようとしただけだと思います」

 

「そうそう・・・で、あんたもたこ焼き買いに来たの?」

 

「そういう事なら此処に持って来ますけど?」

 

 なぎさとひかりは、バッドエンドビューティがたこ焼きを買いに来たのかと思ったのか、気を効かせたつもりで話し掛けるも、バッドエンドビューティは狼狽へ、

 

「わ、私を他の四人と一緒にしないで!私がここに来たのは・・・私達バッドエンドプリキュアは、またバッドエナジー集めを再開するわ!私達の邪魔をするなら、次に会う時容赦はしない・・・それをあなた達に伝えに来ただけよ」

 

「「エッ!?」」

 

「ホワイトにも伝えて、それじゃ」

 

 バッドエンドビューティが立ち上がると、なぎさは慌てて引き留め、

 

「アッ!?じゃあ他の四人にも伝えてくれる?」

 

「何を?」

 

「私は・・・あんた達を信じてるって」

 

「どういう意味!?」

 

「あんた達五人が・・・バッドエンド王国から離れてくれるのを、私は待ってるから!」

 

 なぎさの発言を、こっちの世界に来たばかりのバッドエンドビューティならば、一笑に付して居た。でも、こちらで生活する間に、バッドエンドビューティも様々な事を学んでいた。思わず口元に笑みを浮かべると、

 

「・・・・・・フフ、一応伝えておくわ」

 

「ウン!」

 

「全く、あなた達はお節介ね?」

 

「かもね?」

 

 バッドエンドビューティは、踵を返すとこの場から去って行った。その後ろ姿を、なぎさは消えるまで見つめて居た。ひかりは、そんななぎさを見ながら不安気に話し掛け、

 

「彼女達・・・本当にバッドエンド王国から離れてくれるんでしょうか?」

 

「きっと一緒に戦ってくれる日が来るよ!」

 

「そうですね・・・そう信じたいですね」

 

 なぎさとひかりは、その時を信じながら、TAKO CAFEへと戻って行った。

 

 

 魔界・・・

 

 双児宮に居るカインは、黒い水晶を使って何者かと交信をしていた・・・

 

「ほう、断ると言うのだな?」

 

「当たり前じゃ!大事な生徒達を、お前達の手駒になどさせる筈無かろう!!」

 

「ならば・・・魔法界も敵と見なすぞ?」

 

「何と卑劣な・・・そんな脅しになど屈指はせぬ!」

 

 カインの話していた相手は、憮然としながら通信を絶った。カインは口元に笑みを浮かべ、そのやり取りを見て居たアベルは、

 

「魔法学校の校長とは、頭の固い奴のようだな?」

 

「プリキュアを誘き出す餌に、奴らを利用出来るかも知れぬと思ったのだがなぁ?」

 

「俺が出向いて壊滅させてやろうか?」

 

「いや、奴はベレルと親しい・・・それは得策では無いな」

 

「ならどうする!?」

 

「フフフ、魔法界の奴らは、人間界・・・いや、奴らはナシマホウカイと呼んで居たか?そのナシマホウカイに密かに憧れを抱いている者も少なくないという。どちらにしろ、餌を上手く誘導すれば、餌の方で勝手に獲物を誘き寄せてくれるかも知れんぞ?」

 

 カインの黒い水晶に、魔法界と人間界を結ぶカタツムリに似た列車を、興味深げに見つめる、あどけなさの残る一人の少女の姿を映し出して居た・・・

 

 

              第百十五話:お仕事再開

                    完

 




 遅くなりましたが、本年もよろしくお願い致します!
 第百十五話投稿致しました。
 今回は、お仕事再開を告げに行くバッドエンドプリキュア達で、丸々一話使ってしまいました。何故遅くなったかといえば、とあるキャラを前倒して登場させたくなりまして、加えて大丈夫かどうか頭の中で試してたら色々・・・まだ曖昧ですが、大丈夫だろうと判断し、今回の最後で伏線を張ってみました。

 魔法つかい・・・
もう、良い最終回でした。涙流しちゃいましたよ・・・
大学生まで進んでいるのは予想の斜め上でした。実際にはもう1話あるんですけど、事実上のまほプリ最終回は今話では無いかなぁなどと思ってます。多分50話は、ライダーみたいに、次作のキラキラとのコラボか、春の劇場版とのコラボ企画を含めた番外編みたいな感じな気がします・・・あくまで予想ですけどw
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