プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第十五話:闇・・・蠢く

                第十五話:闇・・・蠢く

 

1、闇の囁き

 

 4月29日、九条ひかりは、午前中に美墨なぎさを見送り、午後に雪城ほのかの出発を見送っていた。その日の夜、ひかりはぼんやり窓から夜空を見ていた。ひかりの様子を心配したポルンとルルンが、妖精姿に変化し、ひかりの側にチョコチョコ寄ってくる。

 

「ひかり・・・元気ないポポ?」

 

「なぎさ達が居ないからルル?」

 

 ひかりの事を心配しているポルンとルルンの頭を撫でながら、ひかりは何でもないのと微笑み返す。だが、ポルンの表情も何かを感じているように不安気であった。

 

「ひかり・・・闇が迫ってるポポ・・・怖いポポ」

 

 耳で目を塞ぎ、怖がるポルンを見て、ルルンも何かに怯えたように泣き出す。ひかりは、二人を抱きしめ、大丈夫よとあやし、二人が眠りに付くまで見守った。

 

(なぎささんや、ほのかさんが居ない今・・・何事もありませんように!!)

 

 夜空の星に、月に、ひかりは願いを込めると、電気を消し寝床に付いた。

 

 だが、ひかりのこの不安は的中してしまう・・・

 

 

 4月29日、霧生満と霧生薫は、日向咲、美翔舞と一緒にショッピングを楽しみ、5月1日には、のぞみ達に内緒で、彼女達の街に遊びに行く計画を立てたりしていた。自分達の家に戻った満と薫は、この日の出来事を二人で振り返る。側では疲れたのか、ムープとフープが気持ち良さそうに寝ていて、満と薫はその寝顔を見て微笑む、

 

「咲や舞、そして、ムープやフープと一緒に居ると、心が安らぐわ」

 

「ええ、そして、あの日以来、私達には沢山の仲間が出来た。プリキュアの絆で結ばれた、大切な仲間達に!彼女達にまた会えるのね!!」

 

 満、薫にとって、プリキュアの仲間達は、学校のクラスメイトや咲と舞の身内以外で出来た、初めての友とも呼べる大切な存在になっていた。出会った期間は短いものの、彼女達と過ごしていると、心に安らぎを覚える二人だった。

 

 夜になり満と薫は、フープ、ムープと共に、満は薄い黄色のパジャマ、薫は薄い青のパジャマ姿で就寝していた。どれくらい経ったのだろうか、二人は妙な息苦しさに目が覚めた。側でフープとムープが、何かを見て怯えているのが分った。

 

「ムープ、フープ、どうかしたの?」

 

「何か見えるの?」

 

 満と薫が妖精達に訪ねるが、異変を直ぐに理解した。黒い霧が部屋中を多い、中は一切の光のない暗闇と化していた。直感的にムープとフープを逃がそうとした満と薫だったが、闇は妖精達をもしっかり捕らえていた。満と薫は、ムープとフープに声を掛け、怯える二人を励まし続けるも、闇の中に身体を引き込まれていった・・・

 

 闇に飲み込まれた満と薫の耳元に、聞き慣れた声が聞こえてくる。

 

「満殿!薫殿!闇に生まれし者は、闇に帰りなさい!さあ、闇の世界に帰るのです!!」

 

「お、お前は・・・」

 

「そんなバカな!?」

 

 闇は徐々に満、薫、ムープとフープを完全に取り込み、そして、消滅した・・・

 

 残された満と薫の部屋は、時が止まったように静寂する。

 

 この日から、満、薫、ムープ、フープは消息不明となった・・・

 

 

 

 ラビリンスでは東せつなが、夏木りん、花咲つぼみからプレゼントされた花の種を一杯捲き、その花が今では綺麗に成長して、せつなの心を和ませていた。そんな幸せそうなせつなを見て、ウエスターも嬉しそうにその様子を見守っていた。

 

「戻って来てからのイースは、大分生き生きしているな?」

 

「そうだな、プリキュア達に再会して、リフレッシュしたのだろう」

 

 サウラーも同意するが、

 

「しかし、プリキュアがあんなに沢山居たとは・・・僕達と戦って居た頃には、想像だにしなかったな・・・」

 

「確かになぁ・・・」

 

 自分達がラブ達と敵対していた時に、彼女達に出会っていたらどうなっただろうと思うと、二人は互いを見てフッと笑むのだった。

 

 その時、せつなが悲鳴を上げる・・・

 

 咄嗟に表情を変え、せつなの方を振り向いたウエスターとサウラーは、花畑を一面の闇が覆おうとしている事に気付き驚愕した。

 

「な、何だ、これは?」

 

「イース、大丈夫か!?」

 

 せつなを心配し側に行こうとした二人だったが、闇はウエスターとサウラーの足下にまで絡みついてくる。闇に引きずられ、せつなの側にまで二人は連れて来られた。

 

「ウエスター、サウラー、あれを見て!」

 

 闇に絡まれたせつなの表情は険しかった。ある一点を見つめながら、何とか右手で正面の闇を指さすと、闇の中には、三人の見知った顔が浮かんでいた。思わずウエスターとサウラーは驚愕する。

 

「お、お前達は・・・ノーザ!そして、クライン!何故お前達が此処に居る!?」

 

 かつて、ピーチ、ベリー、パイン、パッションに倒された筈の、ノーザとクラインが目の前に現われた事に驚くサウラー、ウエスター信じられないといった表情を浮かべていた。せつなは、ノーザをキッと睨み付けると、

 

「ノーザ、何の真似?私達を離しなさい!!」

 

 そんなせつなの言葉を、ノーザが低い声で嘲る。

 

「フフフ、離す?何故!?あなた達も・・・闇に帰るのよ!嘗ては私達と同じ、闇の虜になったあなた達もね!!」

 

 ノーザの言葉通り、闇が三人を飲み込もうとするが、せつなは渾身の力で、ウエスターとサウラーを捕らえていた闇に蹴りを放ち、二人は闇から解放される。二人はせつなを助けようとするが、闇は、せつなの顔近くまで飲み込もうとしていた。

 

「ふ、二人共、この事をラブ達に知らせて・・・おね・・が・・・」

 

 せつなの言葉が終わる前に、闇はせつなを完全に飲み込んだ!

 

 ノーザ達と戦おうとするウエスターを制止し、今はプリキュア達に知らせる方が先だと告げるサウラー、ノーザは、闇の意志に反するなら、容赦しないと二人に攻撃を始める。ノーザとクライン、二人からの攻撃を受けたウエスターとサウラーは、深手を負いつつも、辛くもノーザ達の手から逃れ、二人はラブ達の居る世界へと向かった・・・

 

 

 

2、月光、パリの闇に冴える

 

 月影ゆりは、現地時間16時過ぎにパリに到着した。日本との時差は8時間、飛行機の中で睡眠を取っていたゆりは、現地に到着後、来海えりかの母、来海さくらが出店したフェアリードロップ2号店の関係者が迎えに来てくれて居た。

 

 ゆりは、パリに所用があって行くと、えりかの姉、来海ももかに話していたが、ももかはゆりを心配し、母さくらに頼み、ゆりのパリ滞在中のお世話を、店の関係者に頼んでいてくれた。前に皆と来た時に顔なじみであった為、ゆりは少し気が楽になっていた。

 

 ホテルに着いたゆりは荷物を置くと、行きたい所があると言い、関係者と別れ、一人パリ市内を散策する。

 

(この地で、お父さんは研究に行き詰まり・・・)

 

 一人彷徨いながらも、ゆりの心の中に、父の事が浮かんで来た。ゆりは、父の事を思い出し眉根が曇る。

 

 相談したいと言ってきた相手との待ち合わせ時間は19時、まだ待ち合わせ迄に時間があったが、ゆりは、待ち合わせ場所の20区にあるベルヴィル公園へと歩を進めた。

 

 パリは、1区~20区の行政区に別れていて、1区を中心に時計回りに構築されていた。

 

 有名なエッフェル塔は6区に、凱旋門のあるエトワール広場と、パリ中心部のコンコルド広場を結ぶ、パリで有名なシャンゼリゼ通りは8区に、パリを見渡せるモンマルトルは18区にそれぞれあったが、ゆりが向かうベルヴィル公園は高台にあり、街の景色を一望出来る場所にあった。この時期の気温は14~15℃、夜は少し薄着では肌冷えするようで、ゆりも一枚多く上着を着込んでいた。

 

 ベルヴィル公園へ向かっていたゆりは、妙な感覚を覚えていた。人と全く出会わないのである。元々、有名な観光地では無いにせよ、此処まで人と出会わない事に、ゆりは不信感を持った。

 

(どういう事かしら?これも彼の差し金!?)

 

 ゆりは警戒しながら更に高台を登って行く・・・

 

 だが、途中でゆりの歩みが止まり、辺りを警戒する。日が完全に暮れた訳ではない・・・

 

 目的地の筈のベルヴィル公園は、完全なる闇に覆われていた。

 

 ゆりは辺りの気配を探ると、前方で言い争う声が聞こえてくる。意を決し、闇に向かい再び歩を進めるゆりは、闇の中、待ち合わせの相手であるサラマンダー男爵を見付ける。

 

 サラマンダー男爵とは、嘗てパリにおいて、ゆり、つぼみ、えりか、いつきが戦った相手であったが、死闘の末にサラマンダー男爵を浄化し、サラマンダー男爵は、息子同然のオリヴィエを連れて、世界中を旅に出掛けた筈であった。だが、新学年になって直ぐ、サラマンダー男爵からフェアリードロップ2号店を通じ、えりかの下に連絡が来た。四人のプリキュアに話があると・・・

 

 四人で行くより、万が一に備え、ゆりは自分が一人で行ってみると皆に告げる。当初は反対した他の三人も、ゆりの強い意志を尊重し、ゆりは一人でパリに来た。

 

「何度も言わせるな!お前達に与するつもりは無い!!」

 

 サラマンダーはきっぱり拒絶するも、相手は強引にでも連れて行こうと必死であった。

 

「我らも手ぶらで帰る訳にはいかんのだよ・・・」

 

「そういう事よ・・・確かもう一人、あなたの他に坊やが居た筈だけど?」

 

 サラマンダーを襲撃しに来たのは、嘗てプリキュア5と戦った、ナイトメアのギリンマとアラクネアの二人であった。復活した二人が、何者かの指示の下、サラマンダーとオリヴィエを狙っているらしい事にゆりも気付く、

 

「残念だったな・・・ルー・ガルーは、もうパリには居らんよ!この私が、貴様らの気配に気付かなかったとでも思ったか?」

 

 サラマンダーは、ステッキをクルクル回し二人を挑発する。コケにされた事に怒り、ギリンマがカマキリの姿の怪人へと変化する。

 

「きさまだけでも・・・闇に連れ帰る!!」

 

 砂漠の使徒としての力を失って居るサラマンダーだったが、ギリンマの攻撃をステッキで巧みに躱し続けるが、ギリンマの後ろで、アラクネアが何かを企んでいそうにゆりの目には見えた。

 

「お待ちなさい!!」

 

 思わず声がした方を振り向く三人の前で、ゆりが身構える。ゆりの姿を見てサラマンダーはフッと笑み、

 

「どうやら、待ち人来たりだ・・・お前達では彼女に勝てまい?さっさと退散する事をお勧めするが・・・」

 

 サラマンダーの忠告に、益々激高するギリンマは、小娘如きに何が出来るかとゆりを睨み付ける。

 

(まさか、再びパリで変身する事になるとは思わなかったわ・・・)

 

 ゆりは、ココロポットを構え、表情を引き締め叫ぶ、

 

「プリキュア!オープンマイハート!!」

 

 ゆりの身体を光が照らし、純白のワンピース姿になり、光がその姿を一瞬でキュアムーンライトへと変貌させた。

 

「月光に冴える一輪の花・キュアム~~ンライト!!」

 

 ムーンライトの側の闇が払拭され、ムーンライトの姿を露わにする。

 

 ギリンマとアラクネアの二人は、思わず呆然とプリキュアを名乗るムーンライトを見た。

 

「こ、この娘(むすめ)もプリキュアだと!?」

 

「あの五人の小娘共以外にも、プリキュアが居たのか?」

 

 ギリンマ、アラクネアに取って、プリキュアとはドリーム達五人以外居るとは思っても見なかった。ムーンライトは、プリキュアの事を知っている様子の二人を見つめながら、

 

(五人の小娘?ドリーム達の事かしら!?)

 

 ドリーム達プリキュア5の事を思い出し、一瞬穏やかな表情になるムーンライトだったが、二人を無視するようにサラマンダーを見た。後でキチンと話して貰うわよと言うと、ギリンマ、アラクネアを睨み付ける。その迫力の前に、アラクネアも本性であるクモの姿を露わにする。

 

 ギリンマ、アラクネアが、ムーンライトに突進して鎌やパンチを繰り出すも、ムーンライトは、二人の攻撃を片手で捌き、強烈な蹴りをギリンマに浴びせ吹き飛ばす。アラクネアは咄嗟に後ろに大きくジャンプし躱すも、ムーンライトの強さを知り、歯軋りする。ヨロヨロ立ち上がったギリンマが、雄叫びを上げ再びムーンライトに突進するも、ムーンライトは華麗に身を躱し、ギリンマに対し怒濤のパンチを連打で浴びせ続ける。

 

(こいつ・・・強い!!)

 

 強張った表情を浮かべ、アラクネアもムーンライトの動きを封じようとクモの糸を出すも、ムーンライトは攻撃を楽々躱し、美術館の上に降り立つと、

 

「集まれ、花のパワー!」

 

 ムーンタクトを取り出し、勝負に出たムーンライトは、突進してきたギリンマに対し、

 

「花よ、輝け!プリキュア!シルバーフォルテウェイブ!!」

 

 銀色に輝く、花の形をしたエネルギー弾がギリンマに直撃すると、ムーンライトがタクトを回し、ギリンマを浄化させ闇に返す。

 

「クッ・・・この借りは必ず返すよ!覚えておいで!!」

 

 アラクネアが撤退すると共に、ベルヴィル公園は元の姿を取り戻す。ムーンライトがサラマンダーの側に降り立つと、サラマンダーは、口元に笑みを浮かべながら、ムーンライトを見つめ、

 

「流石だな!私を苦戦させただけはある!!」

 

「お世辞かしら!?さあ、私を呼んだ理由を説明して貰うわよ?」

 

「ああ、その為に呼んだのだからね」

 

 サラマンダーは、ムーンライトに、闇が動き出した事を伝え始めるのであった・・・

 

 

3、オリヴィエと新プリキュア

 

 音楽活動が盛んな街、その名を加音町!

 

 この街では最近、おかしな事件が頻発していた・・・

 

 世界に不幸のメロディを奏でて、世の中を悲しみの世界にしようと企むメフィスト一味と、幸せのメロディを奏でて、人々を幸せにしようとする、メイジャーランドのアフロディテの対立に巻き込まれ、この街に住む北条響と南野奏は、妖精ハミィによって、メイジャーランドに伝わる伝説の戦士プリキュア、キュアメロディ、キュアリズムとして、この世界に散らばった、伝説の音符を求めながらメフィスト一味と戦っていた。

 

 彼女達二人が、プリキュアになる事をあっさり承諾したのには理由があった・・・

 

 四ヶ月前、中学一年だった二人は、砂漠化した世界の中で、心の花を奪われ、結晶化していた。心の花を枯らした原因は、響と奏、小学生の頃まで親友だった二人が、とある理由から仲違いをしていた事だった。両者とも仲直りしたいと思っていても、顔を見合わせるとつい言い合いになってしまう・・・

 

 そんな状態で心の花を枯らしていた時に、砂漠の使徒の攻撃を受けたのだった。

 

 加音町も例外なく砂漠に埋もれた・・・

 

 地球が再生された時、元に戻った二人は、ネット上で話題になっていた、この世界を救った英雄、プリキュアという名を聞いていたからだった。無論彼女達も全てを信用していた訳ではなかったが、いざ自分達がプリキュアになった時、この世界を救ったプリキュアに、自分達もなれた感動があった事は言うまでもない。

 

 だが、仲直りした筈のこのコンビ、どこかしっくりいっていないようだった・・・

 

 

 4月30日、この日の午前中、響は女子サッカー部の助っ人として試合に参加し、響の活躍もあって見事に勝利する。試合が終わり、応援に来ていた奏とハミィの側に来た響は、奏が持ってきてくれた手作りスイーツを見て上機嫌だった。

 

「ウッヒャア、こんなに作ってきてくれたんだぁ?さっすが奏!!」

 

「まあね、誰かさんのお腹じゃ、これぐらい無いと文句言われそうだから!」

 

「チェッ、一言多いんだよな・・・でも、感謝してますって!」

 

 互いに笑い合いながら、響がケーキに手を伸ばそうとしたその時、グラウンドが騒がしくなり、思わず響と奏、すでにカップケーキを食べていたハミィがグラウンドを見ると、マイナーランドの歌姫黒猫のセイレーンと、バスドラ、バリトン、ファルセットの、トリオ・ザ・マイナーの三人が、サッカーボールをネガトーンに変え、不幸のメロディを響かせて要るのを発見する。

 

(セイレーン・・・)

 

 嘗て仲が良かったセイレーンの姿を見付けると、ハミィは思わず顔が綻ぶ、一方、デザートタイムを邪魔され、不満気な表情の響だった・・・

 

 メフィスト一味の重鎮、セイレーンは、元々メイジャーランドの歌姫として、人々の幸せを祈る妖精であった。しかし、友人であるハミィにその座を奪われ妬み、メフィストの下へ去っていたのだった。だがハミィは、今でもセイレーンを友人と思い、出会う度に親しく声を掛け、天然ボケ振りを発揮し、今は敵である筈なのに、セイレーンもつい昔のように突っ込みを入れてしまうという、不思議な関係でもあった。

 

 セイレーンは配下の三人、トリオ・ザ・マイナーを従え、人間世界に散らばった伝説の音符を集めるべく、加音町でネガトーンを操り、人々を悲しみに暮れさせようとしていた。

 

 それを阻止すべくやってきた響と奏が、キュアモジューレにそれぞれのパートナーのフェアリートーンをセットし叫ぶ

 

「「レッツプレイ!プリキュア!モジュレーション!!」」

 

 二人の全身を光が纏いプリキュアへと変えていく、響は髪がピンク色へと変化し、頭部にピンクの大きなリボンが付き、ツインテールになる。服装は基本色にピンク、おへそ周りに着衣が無い所は、嘗てのブラックやドリームを彷彿させるデザインで、フリルが多数付いているのが特徴であった。

 

 一方の奏は、髪が金髪へと変化し、頭部に白い大きなリボンが付く、服装は白を基準として奏の清純さ?を現わすようで、響同様多数のフリルが付いていた。

 

「爪弾くは、荒ぶる調べ!キュアメロディ!!」

 

「爪弾くは、たおやかな調べ!キュアリズム!!」

 

「「届け、二人の組曲!スイートプリキュア!!」」

 

 響と奏は、それぞれ、キュアメロディ、キュアリズムへと変身を完了させる。

 

 この二人も、なぎさとほのか、咲と舞、満と薫のように、二人揃わなければプリキュアへと変身出来ないプリキュアであった。

 

 しかも、なぎさ達や咲達と違い、喧嘩状態ではプリキュアになれず、二人の心のハーモニーが揃わないと、変身する事も、必殺技を出す事も出来ず、そこをセイレーンに狙われた事もあった・・・

 

「全く、運動後に奏のカップケーキ食べようとしてたのに、邪魔しに来て・・・絶対ゆるさないからねぇ!!」

 

 メロディは、デザートを食べるのを邪魔され、お冠状態であった。二人は、メロディの合図で正面からサッカーボールのネガトーンに攻撃を仕掛けるが、セイレーンの指示の下、ネガトーンは、メロディ&リズムの攻撃を回転しながら巧みに躱し続け、二人を苛立たせる。

 

「ちょっとメロディ、動きが読まれてるわよ?」

 

「うるさいなぁ、これから、これから!」

 

 言い合いしながらも、再びコンビで攻撃をするが、躱されてしまう二人だった。

 

(アハハ、あんた達の攻撃のリズムは、完全に読めてるのさ!)

 

 セイレーンは不適に笑い、ネガトーンに指示を出していたが、何時の間にか、ひょっこり隣に居て、プリキュアを応援しているハミィに気付き仰天し、ペースを崩される。

 

「ゲッ!ハミィ!?・・・あんた、何時からそこに居るのよ?」

 

「ニャプ?そうだニャァ・・・セイレーンの姿が見えたから、一緒にプリキュア応援しようと思ってさっき来たニャ」

 

「何で敵のあたしが、あんたと一緒にプリキュア応援しなきゃいけないのよ?このボケ猫!!」

 

 ハミィとセイレーンが漫才をしている間に、プリキュアの攻撃が当たり出し、攻勢へと転じる。

 

「今よ、メロディ!」

 

 リズムの合図に頷き、メロディとリズムは互いの手を叩き合い、二人で踊るように舞うと、両手を繋ぎ、

 

「「プリキュア!パッショナート・ハーモニー!!」」

 

 二人の叫びと共に、手から金色の光が発せられ、まるで癒しのメロディを奏でるように、ネガトーンを浄化する。元に戻った伝説の音符の一つを回収し、勝負は付いた・・・

 

 筈だった・・・

 

 ハミィと、撤退しようとしたセイレーンは、互いに上空を見上げると、黒雲が加音町を包み込むように集まって来る。思わず顔を顰(しか)めるハミィとセイレーン、

 

「セ、セイレーン、これは何だニャ?」

 

「あ、あたしに聞くなぁ!こっちが聞きたいわよ・・・何やら、邪悪な気配がするのは確かだけどさ・・・こんな所に居たら、巻き添え食らいそうだわ!引き上げるよ!!」

 

 セイレーンは、トリオ・ザ・マイナーを従えその場を離れた。残されたハミィは、名残惜しそうにしていたが、メロディとリズムの側に戻る。メロディとリズムの二人も訳が分からず、

 

「な、何よ、敵は倒した筈なのに・・・」

 

「え、ええ」

 

 戸惑う二人の視界に、前方から何かから逃げるように、銀髪の子供が、右足を庇いながら走って来る。何かに追われていると分った二人は、子供の側へと駆けつける。

 

「き、君、どうしたの?」

 

「大変、足に怪我をしているじゃない!」

 

 メロディが少年の両肩に手を掛け、何があったか訪ねると、少年は顔を上げ二人をジッと見ると、

 

「僕に構わないで!君達まで巻き添えになっちゃう!」

 

 少年の名はオリヴィエ・・・

 

 嘗て、フランスのパリでつぼみ達と交流を持った少年であった!

 

 サラマンダーは、闇が動き出したのをキャッチし、つぼみ達四人のプリキュアにオリヴィエを託そうと、彼女達をパリに招こうとして居たのだが、プリキュアからの返事で、来るのはムーンライトのみだと知る。ムーンライトにオリヴィエを託そうと考えたものの、闇の動きは彼の予想より早かった為、サラマンダーは、日本に残ったつぼみ達の下にオリヴィエを避難させ、自らを囮としていた。

 

 だが、闇はその動きをキャッチし、新たなる刺客が動き出した!!

 

 オリヴィエは日本に着いたもの、闇の襲撃を何度も受け逃げ続ける間に、目的の場所である、つぼみ達が暮らす希望ヶ花市から遠のいてしまい、偶然にも此処加音町に逃げ込んで来たのだった。

 

「構わないでって言ったって、そうもいかないわ!ハミィ、この子と一緒に、何処かに隠れていて!メロディ!!」

 

 リズムの言葉に、ハミィは分ったニャと頷き何処かに隠れる。それを見て安堵し、リズムはメロディを見ると、メロディも頷き、目の前に迫ってくる敵を待った。二人にも、今まで味わった事のない力を感じ、緊張感が漂う。ゆっくり、ゆっくり、威圧感を伴い接近する男、その者の風貌は、何処か歌舞伎役者に通じる雰囲気を持っていた・・・

 

「何だ、貴様らは!?ここに子供が来ただろう?素直に教えれば、手荒な真似はせんが・・・」

 

「子供?知らないねぇ・・・例え知ってても、あんた見たいなのに教える筈無いでしょうが!」

 

 男の言葉を、メロディがきっぱり断ると、男は不敵に笑い、

 

「そうか、まあいい・・・どうもお前らを見ていると、あの小娘共を思いだしてな・・・我が名はピーサード!貴様らは?」

 

 男の名は、ピーサード!

 

 嘗て、プリキュアに成り立ての、なぎさとほのかを苦しめた最初の強敵だった。

 

 メロディとリズムがプリキュアだと名乗ると、ピーサードは憎らしげに二人を見るや、いきなり衝撃波を二人に浴びせて吹き飛ばす。

 

「貴様らに恨みはないが、プリキュアを名乗るのなら・・・消えて貰おう!!」

 

 ピーサードの目付きが変わり、メロディとリズムに嘗て無い危機が迫ろうとしていた・・・

 

 

 

4、完敗・・・そして、意外な助っ人!

 

 ピーサードの猛攻の前に、為す術もなくやられ続けるメロディとリズム

 

「な、何なの此奴・・・つ、強い!」

 

「え、ええ・・・私達じゃ全然相手になってないわ」

 

 メロディもリズムも、ピーサードの強さに驚き、自分達が全く相手になってない事に焦りが生じる。余裕の表情のピーサードが、二人を挑発する。

 

「どうした?その程度が貴様らの実力なのか!?」

 

 ピーサードの挑発に、メロディが唇を噛み悔しがる。自分達も日は浅いとはいえ、プリキュアとして頑張って来たつもりであった。此処でへこたれている訳には行かなかった。メロディはリズムを見ると、

 

「リズム、こうなったら一か八か・・・」

 

「そうね、パッショナートハーモニーで対抗するしか無いわね・・・」

 

 リズムも同じ事を考えて居たようで、二人の口元に笑みが浮かぶ、メロディとリズムが頷き合い、先程ネガトーンを倒した二人の必殺技、パッショナートハーモニーで勝負に出る。踊るように手を叩き合い、互いの手を握り合い二人が叫ぶ、

 

「「プリキュア!パッショナートハーモニー!!」」

 

 二人の合わさった手から、金色に輝く光がピーサード向けて発射されるも、ピーサードも手から黒いエネルギー波を二人に向けて発射する。互いにぶつかり合う技と技だったが、パッショナートハーモニーは、脆くもピーサードに破られ、二人は地面に叩き付けられ呻き声を上げる。ピーサードは、見下すようにメロディとリズムを見つめると、

 

「もう終わりか?プリキュアを名乗るなら、もう少し出来ると思ったのだがな・・・さて、あの小僧を・・・ン?」

 

 オリヴィエを捜しに向かおうとしていたピーサードだったが、二人はヨロヨロ立ち上がった。

 

「ま、まだまだ、ここで決めなきゃ女がすたる!」

 

「そうよ、まだ私の気合いのレシピは見せてないわ!!」

 

 二人の闘争心は、まだ失せては居なかった。その瞳には、燃える闘志が宿っていた。その姿を見たオリヴィエは、メロディとリズムの姿を、つぼみ達に重ねるのだった・・・

 

「あの子達も、プリキュア?」

 

「そうニャ!キュアメロディに、キュアリズムニャ!!」

 

 ハミィの言葉を聞き、改めて二人の姿をジッと見つめるオリヴィエ、ピーサードも、二人が此処までのダメージを受けながらも立ち上がる事に驚愕し、

 

「ほう、その心意気は良し!俺の攻撃を此処まで受けて立ち上がる姿は、素直に評価しよう・・・だが、威勢が良いだけでは、勝負には勝てんよ!!」

 

 瞬時に動いたピーサードの右肘が、リズムを吹き飛ばし、助けようとしたメロディに、左肘を当てて吹き飛ばす、それでも必死に立ち上がろうとする二人に、ピーサードが止めの一撃を放とうとするのを見てオリヴィエが飛び出す。

 

「僕は此処だ!その人達に、これ以上手出ししないで!!」

 

 オリヴィエを見付け、ニヤリとしたピーサードは、ゆっくりオリヴィエに近づいて行く。だが、その間にメロディとリズムが立ち塞がる。

 

「ま、まだ、勝負は付いてないよ!」

 

「この子の下には行かせない!!」

 

 必死の形相で、二人が両腕を広げて阻止しようとする姿に、ピーサードはイライラしたようで、

 

「最早貴様らと遊んでいる暇は無い!!」

 

 ピーサードの目が怪しく光と、メロディとリズムの身体が、徐々に石化を始めた。

 

「な、何、これは!?」

 

「身体が・・・動かなく・・・ハ、ハミィ~~、その子を連れて逃げてぇぇ!!」

 

「私達の事はいいから・・・その子をお願い・・・」

 

 二人は、自分達の事よりも、ハミィにオリヴィエと共に逃げてと叫んだ。メロディとリズムは、その言葉を最後に、完全に石化した。パニックになったハミィは、二人の名を叫び、駆け寄ろうとするも、ピーサードの衝撃波を受けて吹き飛ばされる。

 

(ハミィ!!)

 

 時計台から、この戦いを双眼鏡で覗いていた人間姿のセイレーンは、嘗ての親友ハミィがいたぶられる姿に、心の奥で何かが痛み出していた・・・

 

「これで、プリキュア達も終わりですなぁ・・・」

 

「「「終わりだぁ~~~!!」」」

 

 コーラスのようにハモる、バスドラ、バリトン、ファルセットのトリオ・ザ・マイナーを、セイレーンは、やかましいわと黙らせ、

 

「あんた達、一先ずメフィスト様の下にお戻りよ!此処に居ると・・・何か、何か得体の知れない事に巻き込まれそうだからさ・・・こっちの世界は、あたしが見張っておくから!メフィスト様にも、今は静観するように伝えておいて!!」

 

 セイレーンの言葉に頷き、三人が去った後も、セイレーンは、ハミィの姿を目で追っていた。ハミィは、自分が痛めつけられながらも、メロディとリズムに言われたように、オリヴィエを守ろうと必死だった。双眼鏡を覗く手が、ワナワナ震えてくるセイレーンは、

 

「ハミィ・・・そんな子供見捨てて、さっさと逃げれば良いじゃないか!アァァ!?全く、あのボケ猫~~!!」

 

 プリキュアの頼みを聞き入れ、必死にオリヴィエを守ろうとして、ピーサードに痛めつけられるハミィの姿を、セイレーンは見るに堪えなくなったのか、時計台から姿を消した・・・

 

 

「妖精風情に何が出来る?止めをさされたくなければ・・・そこを退け!!」

 

「嫌ニャ!メロディを、リズムを、元に戻すニャ~~!!この子に近寄るニャ!!」

 

 ピーサードから必死にオリヴィエを庇い続けるハミィに、表情を強張らせたピーサードが、止めの一撃を放とうとした時、上空から一陣の風を伴い、人間姿のセイレーンが現われ、ハミィ、オリヴィエを小脇に抱え逃亡する。

 

「な、何者だ!?ま、待て!!」

 

 一瞬呆気に取られたピーサードに振り返りもせず、セイレーンは、一目散に加音町から逃げ出し走り続ける。フェアリートーン達は、戸惑いながらもその後を追った・・・

 

「セ、セイレ~~ン!助けてくれたのニャッ?ありがとニャ!でも、メロディとリズムが・・・」

 

 セイレーンが窮地を助けてくれた事に、ハミィは嬉し涙を浮かべるも、メロディとリズムを置き去りにした事に心が咎めていた。セイレーンは戸惑いながらも、

 

「うっさいわねぇ!あんな奴に、今のあたし達でどうやって勝てるって言うのよ?助けてやっただけでも感謝しなさいよね!!ハミィ、一先ず休戦よ!!!」

 

 ハミィは、嬉しそうに何度も何度も頷いた。突然現われたセイレーンに驚いたオリヴィエだったが、ハミィとの会話を聞く限り、セイレーンが一応味方だと知り、ホッとして話し始める。

 

「ありがとう・・・僕はルー・ガルー!言いにくかったら、大切な友達が付けてくれた、オリヴィエと呼んでくれても良い!僕の為に彼女達は・・・お願い!僕をつぼみ達の所に連れて行って!!つぼみ達なら、プリキュアなら、きっと彼女達を助けてくれる!!」

 

 オリヴィエの言葉に、思わず互いに顔を見合わせたハミィとセイレーンは、

 

「だから、プリキュアならあそこで石にされて・・・エッ?今あんたプリキュアならって・・・もしかして、そのつぼみとかいうのもプリキュアなの!?」

 

 セイレーンは、恐る恐るオリヴィエに問うと、オリヴィエは首を縦に振り、つぼみ達の事を話し始める。メロディとリズム以外にもプリキュアが居る事を聞き、ハミィの顔は綻び、セイレーンの顔は驚愕の表情を浮かべる。

 

「そのつぼみっていうプリキュアは、何処に居るのニャ?」

 

 ハミィの問いかけに、オリヴィエは、ポケットの中からサラマンダーに貰った紙を見せる。そこには、希望ヶ花市に向かい、そこでプリキュアに助けを求めろと書かれていた。

 

「任せるニャ!オリヴィエを必ず連れて行くニャ!!」

 

 ハミィは胸をポンと叩き、自信満々な態度を取り、それを見たオリヴィエも安堵の表情を浮かべる。ハミィはセイレーンを見つめると、

 

「という事で、セイレーン!ハミィとオリヴィエを、希望ヶ花市に連れて行って欲しいのニャ!」

 

「ハァ!?あんた、何言ってんのよ?自分で行きなさいよ!!」

 

「だって、ハミィは希望ヶ花市って、どこにあるのか知らないニャ!」

 

「あたしだって知らないわよ!大体、何であたしがそんな事しなきゃいけないの・・・うっ」

 

 ハミィが、目をウルウルさせ、オリヴィエは恨めしそうにセイレーンを見つめる。セイレーンは深い溜息を付くと、

 

「分ったわよ!探せばいいんでしょう・・・まったく、このボケ猫と知り合ったのが、あたしの運の尽きだわ・・・」

 

 ハミィ、オリヴィエ、そして、セイレーンという奇妙なトリオが、つぼみ達の居る希望ヶ花市を探しに向かう・・・

 

 オリヴィエに逃げられ、怒り心頭のピーサードだったが、闇の中から声が響いてくる。

 

「ピーサードよ、あの小僧に逃げられたのは失態だったな?だが、プリキュアを倒した功績は評価に値する。あのような小僧を仲間に加えずとも、我ら闇の軍勢は、十分な戦力を要する。これより、光の戦士が眠るこの地を闇の拠点とし、我らが闇の創造主様の復活の地としよう!!我が闇の軍勢共よ、この地に光の戦士とその妖精共を集め、この地に光の最期と共に、闇の世界の復活を・・・行け!!!」

 

 闇が加音町を飲み込んでいく・・・

 

 加音町の人々は、闇の中に沈み込んでいく・・・

 

 音楽の栄えた街、加音町は、不気味な闇の街へと変貌してしまった・・・

 

 その闇の中では、ピーサードだけではなく、歴代のプリキュア達が倒してきた強敵達が復活し、雄叫びを上げ散らばって行った・・・

 

 

 

5、強襲!パルミエ王国!!

 

 パルミエ王国は、謎の敵からの攻撃を受けていた。ココとナッツ、そして、遊びに来ていたシロップは、住民達を避難させていたのだが、ナッツは、襲撃して来た者が見覚えのある顔だった事に驚く、ココは気付いて居ないようで、

 

「パルミエ王国を襲ってくる何て・・・一体何者ココ!?」

 

「ココ、あれを見るナツ!」

 

 ナッツの指さす方を見たココも、見覚えのある顔を発見する。

 

「あ、あれは、ナイトメアにエターナルの奴らまで居るココ!」

 

 パルミエ王国を襲ってきたのは、嘗てナイトメアでプリキュア5を苦しめた、鳥をモチーフにした怪女ハデーニャと、イカやタコを連想させる、エターナルのネバタコスであった。

 

「一体どういう事ロプ?」

 

「あいつらは、プリキュア達に倒された筈ナツ・・・どうして!?」

 

 倒した敵の復活と、パルミエ王国への攻撃に、ココとナッツ、シロップに不安が募る。そこにお世話役のミルクがやって来る。

 

「ココ様、ナッツ様、お下がり下さいミル!ミルクがあいつらと戦うミル!!シロップ、ココ様、ナッツ様を頼んだミル」

 

 シロップは頷き、ココとナッツの手を取り避難しようとする。ココとナッツは心配そうにミルクを見ると、

 

「ミルク、頼んだココ!」

 

「無理しないようにナツ」

 

 ココとナッツの言葉に頷き、ミルクは人間界での姿、美々野くるみの姿に変身すると、

 

「スカイローズ・トランスレイト!」

 

 変身アイテムであるミルキィパレットを取り出し、タッチペンでボタンを押し、ミルキーローズへと変身した。

 

「青いバラは秘密のしるし!ミルキーローズ!!」

 

 名乗りを終えると同時に、ローズはハデーニャ、ネバタコスの下に突撃する。

 

「おやおや、誰かと思えば、あの妖精ちゃんが、プリキュア擬きに変身するとはねぇ?」

 

「おいおい、俺達は忙しいんだ!遊び相手なら他を辺りな!!」

 

 ローズを小馬鹿にするような態度を取る二人に、ローズは少しムッとしながらも、

 

「それはこっちのセリフよ!さっさとパルミエ王国から出ていって頂戴!!ハァ!!!」

 

 ローズがハデーニャに右肘を当てて吹き飛ばすも、さしたるダメージは与えてはいないようだった。吹き飛ばされたハデーニャは、口元に笑みを浮かべながら、

 

「やれやれ、良いのかい!?あたし達と遊んでて・・・あんた、あいつらのお目付役何だろう?」

 

 二人がニヤニヤする態度に、違和感を持つローズだったが、

 

「だからこそ、此処であなた達を倒すのよ!!」

 

 ローズが怒濤の攻撃を開始した・・・

 

 

 避難していたココ達の前に、頼もしい戦士達が姿を現わした。思わず顔が綻ぶココとナッツ、

 

「せつな、満に薫も!良い所に来てくれたココ!!パルミエ王国が、敵の襲撃を受けているココ」

 

「今、ローズが一人で戦っているナツ!力を貸して欲しいナツ!!」

 

 普段の彼らならば、今までパルミエ王国に来た事が無いせつな達が、パルミエ王国に居る事に疑問を持ったであろうが、この危急に対し、その考えが浮かぶ事は無かった。

 

 三人は無言で頷くと、せつなはシロップを、ココを満が、ナッツを薫が抱き上げ、ローズの下に向かい歩き出す。ホッと安堵するココとナッツと対照的に、シロップは、三人に妙な違和感を感じるのだった・・・

 

 ハデーニャ、ネバタコスと激闘を続けるローズに、ココ達が声を掛ける。

 

「ローズ!せつな、満と薫が助けに来てくれたココ!」

 

「協力して敵と戦うナツ」

 

 ココとナッツの声に振り向いたローズも、せつな達の姿を見て、思わず安堵の表情を浮かべる。プリキュアの大切な仲間達が、パルミエ王国の危機に現われてくれた。ローズの心に余裕が生まれた。

 

「応援に来てくれたの?助かったわ・・・さあ、これで形成逆転ね!私達は4人、あなた達は2人、まあ、あなた達ぐらい、私一人でも倒せるけど?」

 

 何時もの調子に戻り、二人を見下すローズに対し、何故かハデーニャ、ネバタコスの二人は余裕の表情を浮かべ、ローズを苛立たせる。

 

「何ニヤニヤ笑ってるのよ?これでも食らいなさい!邪悪な力を包み込む、バラの吹雪を咲かせましょう!」

 

 ローズが二人に対し、必殺技のミルキィローズ・ブリザードを放とうとすると、さしもの二人からも余裕の表情が消える。口元に笑みを浮かべたローズだったが、その瞬間、背後から攻撃を食らい、ミルキィローズ・ブリザードは不発に終わった。

 

「クッ、伏兵が居たとは油断したわ・・・一体何処から!?」

 

 ローズが辺りを見回した時、思わずローズは我が目を疑った。それもそうであろう、ローズを攻撃したのは、プリキュアの絆で結ばれている筈の、せつな、満、薫だったのだから・・・

 

「あ、あなた達!?これは一体何の真似よ?」

 

 信じられないといった表情で呆然としながらも、ローズが三人を問い詰めるも、せつな、満、薫の三人は、そんなローズに興味無さそうに、背後のハデーニャ、ネバタコスに話し掛ける。

 

「こっちの目的は果したわ!私達は妖精共を連れ帰る!!」

 

「後はあなた達の好きにすれば?」

 

「さあ、お前達、大人しく付いてきて貰うわよ!!」

 

 信じられないといった表情のココ、ナッツ、シロップだったが、せつな達の背後から現われた闇が、ココ達をも飲み込んでいく・・・

 

「や、止めるココ!」

 

「何で君達が・・・」

 

「離すロプ!」

 

 闇が完全に覆い、せつな達三人と、ココ達の姿が、完全にパルミエ王国から消え失せた。

 

 呆然とするローズに、背後の二人が嘲笑を浴びせる。

 

「あらあら、お世話係のくせに、王様を目の前で浚われる何てねぇ?」

 

「とんだお笑いぐさだな!!」

 

 茫然自失したローズは、ハデーニャ、ネバタコスの二人に散々痛めつけられ解放された。

 

「ハハハ、いい様だなぁ?せいぜいプリキュア共に泣きつくこったな!私じゃ、主(あるじ)を守れませんでしたってな!!」

 

「王の居ないこんな国を、滅ぼす迄もない!いずれ我ら闇に飲み込まれるんだからねぇ・・・」

 

 二人は、ローズに再び嘲笑を浴びせ、姿を消した・・・

 

(守れなかった・・・ココ様を、ナッツ様を、シロップを・・・せつな!満!薫!どうして?どうしてよ~~~!!)

 

 ローズは変身が解け、ミルクの姿に戻ってしまった・・・

 

 傷心のミルクの心に、のぞみ達の顔が浮かぶ、ハデーニャやネバタコスの言うように動くのは癪だったが、今のミルクには、のぞみ達に頼るしか方法は無かった・・・

 

                第十五話:闇・・・蠢く

                     完

 

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