第十七話:プリキュアVSプリキュア(前編)
1、ドリームVSピーチ
せつな、満、薫の三人に、目の前でココ、ナッツ、シロップを浚われていたくるみを、もうこれ以上抑えるのは無理だと感じたのぞみは、満と薫を止める為、プリキュアになって二人の後を追った、ブルームとイーグレットの行動に刺激されたかのように、そして、他の者達にこれ以上嫌な気持ちにさせないように、自分がドリームとなって、力尽くでもせつなを止めようと決意した。
例え、それがラブ達に恨まれる事になろうとも・・・
一方のラブも、のぞみの強い意志を感じて居た・・・
もう、のぞみを止めるのは無理だと悟るも、せつな達が、ナッツやシロップを殺したとはとても信じられず、ラブもまた、強い意志でせつなを守り、自らの手でせつなを元に戻し、真相を明らかにしようと考えた。
互いに変身を終えた、キュアドリームとキュアピーチの二人が見つめ合う、お互いの気持ちは、痛い程理解出来る二人ではあったのだが・・・
「ピーチ、そこを退いて!私は・・・せつなを、止める!!」
「嫌、絶対に退かない!せつなは私の大切な仲間だもん!!きっと、きっと、元に戻して見せるから・・・ドリーム、せつなと戦うのは止めて!!」
ドリームは悲しげな表情を浮かべながら首を振り、ピーチの表情が険しくなる。
「ドリーム・・・どうしてもせつなと戦うと言うのなら・・・私が、せつなを守る!!!」
拳を握ったピーチが、意を決しドリーム目掛け突撃した。ピーチは苦悩の表情を浮かべながらも、先にドリームにパンチを繰り出すと、ドリームは何故か避けようとはせず、ピーチのパンチを受けて吹き飛ばされるものの、直ぐに体勢を整える。攻撃を避けないドリームの行動を見て、ピーチは瞬時にドリームの思いを理解した。
ドリームが続いてパンチを繰り出すと、ピーチも避けずドリームの攻撃を受け続ける。うららが、祈里が悲鳴を上げ、二人に戦いを止めるように叫ぶも、二人は戦いを続けた。
互いに攻撃を避けないドリームとピーチの姿に、くるみは呆然とし、
「あの二人・・・互いの攻撃も避けず、一体何を!?」
「分らない?あたしたちに知らしめてるのよ!プリキュア同士で戦う事の愚かしさを・・・お互いの身を持ってね!」
くるみの疑問に、のぞみとは、物心付いた頃から幼なじみのりんが答える。
(拳が・・・痛い・・・)
(殴られているのに・・・ドリームの哀しみが伝わってくる)
互いに相手の深い哀しみが伝わるも、やりきれない思いで戦い続けるドリームとピーチ、美希は目に涙を浮かべながら、押さえつけているせつなを諭すように、
「見なさい、せつな!あなたはあれを見て何とも思わないの?二人の気持ちが分らないの?お願いだから目を覚まして!!」
「せつなちゃん・・・お願い、元のせつなちゃんに戻って!!」
いたたまれない気持ちで二人の戦いを見守りながらも、必死でせつなを説得し続ける美希と祈里、悲しき戦いの姿に、かれんもこまちも沈痛な表情で、
「ドリーム、ピーチ・・・何て、何て哀しい戦いなの」
「でも、私達にはあの戦いを・・・止められないわ」
かれんとこまちも、憂いを帯びた表情で、哀しみの戦いを見守り続ける・・・
そんな二人の戦いを見ていたココは、イライラしたように、
「何をやっている、ドリーム!?邪魔する者は一緒に殺してしまえ!!モタモタしやがって・・・くるみ、お前も行け!!!」
「コ、ココ・・・様!?」
ココの過剰な反応に困惑するくるみ、くるみが知る限り、ココからそのような言葉が漏れる筈は無かった。戸惑うくるみの背後で、邪悪な声が聞こえてくる。
「そうだ、お前も行くんだ!」
「エッ!?」
背後を振り向こうとしたくるみの背中に、激しい衝撃が加わると、くるみの瞳から光が消える。
「さあ、ミルキィローズとやらに変身して・・・あいつを殺すんだ!!」
「はい・・・」
くるみは、無表情のまま声の主に返事を返すと、ミルキィパレットを取り出し、
「スカイローズ・トランスレイト!」
くるみがミルキィローズに変身した事に困惑するりん、かれん達、
「ローズ?どうしたの一体!?」
変身を遂げたローズの姿を見て、思わず戦いを中断し、ローズの方を見るドリームとピーチ、だがローズは無表情のまませつなに向かい突撃すると、側に居た美希、祈里を弾き飛ばし、
「ウォォォ!!」
雄叫びを上げたローズの必殺技、ミルキィローズ・ブリザードが、せつなに向かい炸裂する。
気付いたピーチは、ローズの攻撃からせつなを守ろうと走り出す。必死に手を伸ばして救おうとするピーチと、ローズの行動に呆然とするドリーム、
「ロ~~ズ!や、止めてぇぇ~~!!せつなぁぁ、逃げてぇぇぇ!!」
「キャァァァァ~~」
ピーチの叫びも空しく、せつなは断末魔の悲鳴を上げ、青い薔薇の吹雪の中で消失した・・・
ピーチは、跡形もなく消え去ったせつなの姿に呆然とし、その場に膝から崩れ落ちた。せつなを消滅させたローズの姿を見て、ドリームは信じられないといった表情で、
「せ、せつなが・・・ローズ・・・何て事を!?」
「ウワァァァァァ!せつなぁぁ!!」
驚愕の表情を浮かべるドリーム、感情剥き出しで激しく泣き叫ぶピーチだったが、
「ローズゥゥゥゥゥ!!」
怒りと悲しみが入り交じった、険しい表情を浮かべたピーチが顔を上げると、ローズを睨み付ける。だが、ローズはその場に無表情のまま立ち尽くしていた。
「せつな~~!!」
「せつなちゃん!!」
消滅したせつなの下に駆け寄ろうとした美希と祈里の背後で、先程くるみが聞いた声とは別な邪悪な声が聞こえてくる。
「さあ、お前達も敵を取って来い!!」
「「エッ?」」
背後を振り向こうとした美希、祈里の背中にも、先程くるみが受けた衝撃が加えられる。美希と祈里の目からも光が消える・・・
「さあ、変身して敵を取って来い!!」
「「はい!!」」
背後の声の言う通り、美希と祈里は無表情のまま変身アイテム、リンクルンを取り出すと、
「「チェインジ・プリキュア!ビートアップ!!」」
無表情なままそれぞれキュアベリー、キュアパインに変身した二人が、ココ目掛け突撃する。ローズに続き、ベリーとパインまでプリキュアになった事に、号泣しながら、ローズに今にも襲いかかりそうな勢いだったピーチが、思わずたじろぎ二人を見ると、
「ベリー?パイン?二人共・・・一体!?」
美希と祈里が変身した事に困惑するピーチ、こまちとかれんもさっきから起こる出来事に困惑していた。
「一体、一体さっきから何が起きてるの?」
「二人共、どうしたの?や、止めなさい!」
二人からココを守ろうとした、かれんとこまちは吹き飛ばされる。無表情のベリーとパインがココの目の前に立つと、二人は感情を見せず、一方的にココを殴りつけた。
「ココォォ!ベリー!パイン!止めてぇぇぇ!!!」
ドリームの絶叫も聞こえ無いかのように、ベリーとパインは、
「プリキュア!エスポワールシャワー!!」
「プリキュア!ヒーリングプレアー!!」
ベリー、パインが互いの必殺技をココに向かって炸裂させる。今度はドリームが二人を止めようと必死にココの下に向かうも、二人の技はココを飲みこもうとしていた・・・
「駄目ぇぇ!!ココォォ!逃げてぇぇ~~!!!」
ドリームの悲鳴空しく、ココは断末魔の悲鳴を上げ、光の中で消滅した。ローズ同様、何の感触もなさげにその場に佇むベリーとパイン、ワナワナ身体を震わせたかれんは、ベリーとパインを険しい顔で見ると、
「ふ、二人共・・・な、何て事を!!いくらあなた達でも・・・許せない!!!」
かれんの側に集まるこまち、りん、うらら、四人の表情は険しかった。四人の背後で先程と同じ声が聞こえてくる。
「そうだ、憎め!お前達にもそいつらと同じように、氷の心を植え付けてやる!!」
不意を突かれて振り返った四人の前に、笑いながらフリーズン、フローズンの二人が、四人にも氷の心を植え付けた。
フリーズンとフローズン・・・
嘗てなぎさとほのか、ひかりが、ひかりが保護していた鳳凰を巡る攻防で戦った相手であった。ブラックとホワイトも、この二人によって氷の心を植え付けられ、互いに戦い合った事があった強敵である・・・
「さあ、お前達も変身しろ!そして、殺し合うのだ!!」
「「「「はい・・・」」」」
瞳から光が消えた四人も、変身アイテム、キュアモを取り出すと、
「「「「プリキュア!メタモルフォーゼ!!」」」」
四人もそれぞれ、キュアルージュ、キュアレモネード、キュアミント、キュアアクアへと変身する。フリーズンとフローズンは愉快そうな表情を浮かべると、
「さあ、お前達!殺し合いを始めるのだ!!!」
「互いに傷つけ、殺し合うがいい!!」
「「「「はい・・・」」」」
フリーズンとフローズンの合図を受け、雄叫びを上げ戦い合うプリキュア達、ローズとベリー、パインが、ルージュとレモネードが、アクアとミントがまるで互いを憎しみ遭っているように戦い始める。
仲間通しで戦い始めた一同は、ドリームとピーチと違い、まるで互いを憎み合っているように攻撃し合っていた。
夢なら覚めて欲しかった・・・
ドリームとピーチ、二人の大切な者達は消滅し、そして、大切な仲間達は、仲間通しで争い続ける光景が信じられなかった。
呆然と、仲間通しが戦う姿を見たドリームとピーチが叫ぶ!
「みんな、止めてぇぇ!!」
「ベリー!パイン!みんな!!・・・みんな、一体どうしちゃったの!?」
二人の声も、仲間達には届かなかった・・・
まるで周りなど眼中に入らず、ローズは全力のパンチをベリー、パインに放つも、二人は辛くも躱し、背後の木々が吹き飛んだ。ルージュは、レモネードの首をへし折らんばかりに締め付けるも、レモネードがもがきながらも、ルージュを投げ飛ばす。親友同士のアクア、ミントも命令には逆らえず、アクアとミントが互いに空中にジャンプし、飛び蹴りを放つも相殺し、両者弾き飛ばされる。
呆然としながらも、諦めず必死に仲間に呼びかけるドリームとピーチ、せつなとココを失った悲しみで、何時もの力を出せない二人の背後にも、フリーズン、フローズンが現われる。険しい表情を浮かべたドリームがフローズンを、ピーチがフリーズンを相手にすると、
「お前達の仕業か~~!!」
ピーチの右パンチを、左手で受け止めニヤリとするフリーズン、
「みんなを元に戻してよ!!」
ドリームの右蹴りを、左手で受け止めニヤリとするフローズン、
「「さあ、お前達も殺し合うがいい・・・」」
二人の力の前に、ドリームとピーチは背中から、氷の心を植え付けられた!
心の中に沸き上がってくる、氷のように冷たい心、消えゆく意識の中で、二人は何とか抗おうとするも、身体は言う通りに動かなくなってきた。
(嫌・・・こんなの嫌だ・・・よ)
(もう・・・仲間同士で戦うのは・・・)
ドリームとピーチ、二人の瞳からも光が消え失せると、ドリームとピーチも無表情になり、その場に立ち続けていた・・・
「さあ、お前達も殺し合いを始めるが良い!!」
「「はい・・・」」
フリーズン、フローズンの命令を受け、先程とは違う本気の戦いを始めるドリームとピーチ、雄叫びを上げたピーチのパンチと、ドリームの蹴りが相打ちとなり、両者激しく吹き飛ぶも、まるでダメージを感じないかのように立ち上がり、攻撃を繰り返す両者、他のプリキュア達も同じであった・・・
プリキュア同士の戦いを、笑いながら見続けるフリーズン、フローズンは、
「さあ、あっちの二人にも氷の心を植え付けてやるか?」
「ああ、今頃あいつらが罠に嵌めている頃だろうからな」
フリーズン、フローズンが姿を消した後も、プリキュア達は、凄惨な戦いを繰り広げ続けるのだった・・・
2、ブルームVSイーグレット
キュアブルームとキュアイーグレットは、元の霧生満、霧生薫に戻そうと、必死に二人に声を掛け続け、二人の攻撃からはバリアーを張って耐え続けて居た。
「お願いだから、元に戻って・・・満~~!!」
「薫さん!!」
必死に元に戻そうとする二人とは対照的に、満と薫は、時折笑みさえ浮かべながら二人を攻撃していた。
「ブルーム、イーグレット、ナッツハウスの方から闇の気配が漂ってるラピ」
「嫌な感じがするチョピ・・・」
「エッ!?でも、満や薫をこのままにしておけないよ・・・向こうにはみんなも居るし、きっと何とかしてくれるよ!!」
「だと良いラピ・・・」
不安げにするフラッピとチョッピだったが、今のブルームとイーグレットの頭の中は、満と薫を元に戻すことで一杯だった。だが、一向に状況が変わる気配は無く、二人に焦りが生じる。満と薫からの攻撃から、二人が距離を取って離れた時、二人の間に突然濃い霧が発生し、二人は動揺する。
「な、何?この霧は・・・大丈夫イーグレット!?」
「ええ、大丈夫よ!!」
イーグレットの声が聞こえ、ホッとするブルームに、イーグレットから声が掛かる。
「ブルーム、このままでは埒があかないわ!プリキュアツインストリームスプラッシュを仕掛けてみましょう!」
「エッ、二人に攻撃を!?それは・・・」
「でも、このままじゃ埒があかないわ!精霊の力を浴びせれば、二人を元に戻せるかも・・・」
戸惑っていたブルームも少し考えると、イーグレットの案に同意する。
一方のイーグレットには、別の声が聞こえていた。
「イーグレット、このままじゃ意味が無いよ!プリキュアツインストリームスプラッシュを、二人に浴びせてみよう!きっと上手くいくよ!!」
「でも、上手くいくかしら・・・不安だわ!?」
「大丈夫、きっと精霊が満と薫を導いてくれるよ!」
「そ、そうよね・・・分ったわ、ブルーム!!」
霧が晴れ、二人の姿を確認出来るようになると、イーグレットがブルームの側に近寄り、二人は頷き合うと、
「大地の精霊よ!」
「大空の精霊よ!」
「今、プリキュアと共に!」
「奇跡の力を解き放て!」
「「プリキュア!ツイン・ストリーム・・・スプラッシュ!!」」
精霊の力を借りた二人の必殺技、プリキュアツインストリーム・スプラッシュが、満と薫目掛け炸裂した。二人は、満と薫を元に戻せると信じてこの技を放ったのだが、精霊の光は満と薫を飲み込み、二人は断末魔の悲鳴を上げ消滅した・・・
満と薫を助ける所か、自分達の手で倒してしまった現実に、呆然とするブルームとイーグレットの二人は、共に膝を付き地面に崩れ落ちた・・・
「そんなぁ・・・満と薫を救う所か・・・私達の手で」
「嫌・・・こんなの信じられない・・・どうして!?どうして?」
「どうしてって、舞が精霊の力を借りればって・・・」
「それは咲の方から言ってきた事じゃない!」
互いに違う事を言い合う二人は、つい感情的になり、変身前の互いの名前で言い合いを始めてしまう。フラッピとチョッピは大慌てで二人を宥めながら、
「ま、待つラピ、これは少し変ラピ」
「そ、そうチョピ、二人とも落ち着くチョピ」
フラッピもチョッピも、互いにブルーム、イーグレットが言っている通りの言葉を聞いていた。つまり、二人は嘘を言っていないのである。
「何か嫌な感じがするラピ・・・」
「その通り!!」
フラッピの言葉を肯定するように、フリーズンが姿を現わしブルームの背後に立つと、
「だが、気付くのが遅かったな?」
フローズンが姿を現わし、イーグレットの背後に立つ、不意を突かれた二人は、為す術もなく、二人によって氷の心を植え付けられてしまった。
「そうだ、お前は悪くない・・・悪いのはイーグレットだ!!」
「そうだ、お前は悪くない・・・悪いのはブルームだ!!」
「「さあ、目の前の敵を倒すのだ!!!」」
フリーズン、フローズンの言葉に、目の輝きを失った二人が、無表情のまま頷くと、
「「はい・・・」」
「ハァァァ!!」
「イヤァァ!!」
ブルームとイーグレットもまた、ドリームやピーチ達と同じように、戦いを始めてしまうのだった。ブルームの渾身のパンチを受け、イーグレットが吹き飛び、体勢を立て直したイーグレットが宙に飛び、上空からブルーム目掛け急降下したイーグレットは、蹴りを放ってブルームが吹き飛ぶ、木々にぶつかりながらも、直ぐに反撃に転じたブルームと、受けて立ったイーグレットが、激しく殴り合いを始める。
「ふ、二人共、止めるラピ!!」
「お願いチョピ・・もう、もう止めてチョピ」
フラッピ、チョッピの言葉が耳に入らないのか、無表情の二人は、互いを憎むように攻撃を続けるのだった・・・
3、真相
プリキュアVSプリキュアという、光の戦士同士の戦いを、闇の拠点と化した加音町で、闇の軍勢が眺める。その一角より一層の深い闇の中で、その戦いを見続けさせられる者達が居た・・・
闇の牢獄のような場所に囚われていたのは、満、薫、せつな、そして彼女達とは別な檻に捕らえられた妖精達、ココ、ナッツ、シロップ、ムープ、フープ、そして、スウィーツ王国から連れ浚われた、タルトやシフォンもその中に居た。せつな、満、薫の闇の檻の周りには、何故か等身大程の鏡が三つ立てられて居た。
せつな、満、薫の三人は、沈痛な表情を浮かべながら、大切な仲間達が、仲間同士で戦い合う姿を見せつけられ、涙ぐんでいた・・・
「ああ、もう、もう止めてぇぇ!みんな・・・私達のせいで」
涙を流しドリームとピーチ、ローズとベリー、パイン、ルージュとレモネード、アクアとミントの戦いを見せつけられるせつなは、時折見ていられないとばかりに顔を覆い、目を背けた。満と薫も同じような思いを抱いていた・・・
「止めて、咲!舞!・・・二人の戦う姿何て、見たくない・・・」
「みんなを元に戻しなさい!!」
満が悲鳴を上げ、薫が檻の側に居る、キントレスキー、ミズ・シタターレに訴え掛ける。キントレスキーとミズ・シタターレは、思わず顔を見合わせると、
「それは出来んな!だが、お前達が言う事も理解出来る!私とて、このような場面を見せられるよりは、自らプリキュア達と戦いたいからな!!」
「そうね、あたくしもどうせなら、あの小生意気なブルームは、このあたくしの手で倒したいんだけど・・・そうもいかないのよねぇ?」
「うむ、甦った我らは、あのお方に逆らう訳にはいかぬからな・・・」
キントレスキー、ミズ・シタターレの二人も、このやり方を気に入ってはいないようであったが、彼ら二人を甦らせた人物に逆らう事を、半ば恐れているようだった。そんな二人とは対照的に、プリキュア同士が戦う姿を、心底愉快そうに眺めている者が居た・・・
ノーザである!
ノーザは、せつなを見て微笑みながら、
「そう!?私はこういうの好きよ!!どうかしら、イース?かつての仲間が殺し合う姿は?ワクワクしてこない?」
「ノ~~ザァァァ!!」
ノーザの挑発に、拳を震わせるせつなだった・・・
悔しい・・・
みんなを助けたい・・・
だが、捕らわれているせつなは、闇の結界の加護を受けた牢獄の中で、アカルンを使えず途方に暮れる。
「どう、私の力も役にたったでしょう?闇の力は偉大よねぇ・・・嘗て私が苦労して得た鏡の国のクリスタルの力を、こうもあっさり具現化出来る何てね。そして、前にそこの妖精の人型時の姿をコピーしたのも役だったようで幸いだわ」
「そうね、シャドウ!あなたのこの力と闇の力で、ここに居る三人のクローンを作り上げ、ハデーニャ達と共にパルミエ王国を襲わせ、わざとミルキィローズとやらを見逃し、プリキュア同士の絆を崩壊させ、弱まった所で倒すつもりだったけれど、フリーズン、フローズンが、良い余興を思い付いてくれたわ!!もっとも、本来はそこに居る本物の三人を、闇の軍勢に引き入れる筈が、光に守られたこの娘達を従わすのは、容易では無かったからの苦肉の策だったけど」
ノーザが呼んだシャドウとは、嘗てプリキュア5が、鏡の国で戦った相手である。5人のプリキュアのデータを元に、5人以上の力を得たダークプリキュア達を作り出したのも、シャドウであった・・・
「あの~、皆さん・・・お茶が入りましたけど?」
そこに、間の抜けた声で、お茶を入れた作業着姿の人物が入ってくる。その姿を見たココ達が驚きの声を上げる。何度も戦い合った事があるその顔を・・・
「お前は、エターナルの・・・!何で此処に居るココ?」
「あれぇ!?お前達こそ何で此処に?」
ブンビー・・・
嘗て、ナイトメア、エターナルに所属し、プリキュア5やミルキーローズと戦った敵だったが、エターナル館長の非情な姿を見て改心し、石にされたプリキュア5の居場所に、ローズとシロップを案内して、彼女達を救う切っ掛けを作り和解、その後、オフィスビルの屋上の掘っ建て小屋に、ブンビーカンパニーを創設、カワリーノに似た小生意気な部下と二人で、会社を盛り立てて居た筈であったのだが・・・
「下っ端が、何を騒いでいるの!?」
(おお、怖・・・まるでアナコンディさん見たいな人だなぁ?)
ノーザの人睨みを受け、思わずエターナルに居た頃の上司、アナコンディを思い出すブンビーだったが、闇の集団に睨まれ、思わず後退りしてココ達の檻の側に来ると、
「君達、私の立場も考えてくれるかな?折角上手く行きかけてた会社から、むりやり連れて来られたかと思ったら、また雑用やらされてる私が、君達と知り合いだと知れたら・・・ああ、恐ろしい」
「頼むココ・・・ココ達やせつな達を、此処から出して欲しいココ」
小声で会話し合うココとブンビーだが、ココの頼みを聞いて、一応辺りを見回すと、そこには、キントレスキー、ミズ・シタターレ、ノーザ、シャドウの他に、クラインと更に深い闇の中に、もう一人居るようにブンビーには見えた。
「いやいや、無理無理、絶対無理、こっちの命が幾つあっても無理だってば!!」
即座に首を振り拒否するブンビーに、ココはしょんぼりするが諦めず、
「出してくれたら、きっとお礼するココ!」
「そうナツ、ナッツも約束するナツ!」
ナッツも加わり、ブンビーに必死に頼み込む、ブンビーは迷いながらも、
「いや、そう言われてもねぇ・・・」
交渉が難航しているのを見かねたタルトが、三人の会話に加わってくると、
「見た所、あんさんは商売人見たいやなぁ・・・どうやろ?わいらをここから出してくれたら、あんさんの商売に協力したる!」
「協力?具体的に言うと!?」
「せやなぁ、わいは曲芸が出来るし、ココやナッツ、シロップは、イケメンの人間に化けれるさかい、女性達の心をハートキャッチ出来るやろう・・・そうや!きっとわいらを助けてくれたと分ったら、プリキュアはん達も、きっとあんさんに力を貸してくれるわぁ!!」
タルトの言葉に、興味深げになったブンビーが身を乗り出し、
「プリキュアが・・・ねぇ?」
「そうや!もうそれは、ウッフ~ンのアッハ~ンも何でもOKで、男性陣を悩殺KO間違いなしやでぇ!!」
「ええ!?ウッフ~ンやアッハ~ンもありなの?」
こういう交渉事には、天性の才能を持っているタルトだったが、どんどんエスカレートしていくタルトの暴走に、ココとナッツは呆れるのであった。交渉成立したのか、ブンビーとタルトが握手を交わす、ココとナッツは顔を見合わせると、
「こんな事、のぞみ達にばれたら・・・」
「どんな目に遭わされるか、分からないナツ」
思わず溜息を付くココとナッツであった・・・
「じゃあ、交渉成立と言うことで・・・でも、もうちょっと待ってくれる?今直ぐって分けには・・・」
状況が状況なので、ココ達も手筈はブンビーに任せた・・・
だが、そんな現状を嘲笑うかのように、プリキュア達は戦い続ける・・・
第十七話:プリキュアVSプリキュア(前編)
完