プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第十八話:プリキュアVSプリキュア(後編)

            第十八話:プリキュアVSプリキュア(後編)

 

 

1、VSピーサード、ゲキドラーゴ

 

 ナッツハウスの前で戦い続けるプリキュア達、拳と拳が、蹴りと蹴りが、互いの身体を痛めつけていった。その姿を笑いながら見続けるフリーズンとフローズンに、闇の中から指令が下る・・・

 

「フリーズン、フローズン、良い余興を見せてくれた!今、愚かにもこちらに向かっているプリキュア共が居るようだ。そこで、やつらにこの姿を見せつけてやりたいのだが・・・どうだ?こ奴らを、我ら闇の本拠地に連れて来ては?お前達が植え付けた氷の心に、更に闇の力を加えればより一層、プリキュア共の最期と、我ら闇の根源、カオス様の復活に華を添えるというもの」

 

「なるほど、それも一興ですな!」

 

「分かりました!こ奴らをあなた様の元に連れ帰ります!」

 

 フリーズン、フローズンの背後から闇が広がると、闇は、戦い続けるプリキュア達を飲み込み徐々に消えていった・・・

 

 

 

 九条ひかりは妙な胸騒ぎを感じ、店の手伝い所では無くなっていた。

 

(何だろう!?何か、何か嫌な予感がする・・・)

 

 ひかりの心を不安が蝕んでいく・・・

 

 一体何が起こっているのだろうか?・・・

 

 呆然として、動きの止まったひかりを見たアカネは首を捻り、

 

「どうしたの、ひかり?さっきからボーとしちゃってさ・・・何か顔色も悪いし!今日はもういいから、早めに帰って良いよ!!」

 

 従姉妹?の藤田アカネの言葉に素直に従い、先に家路に向かうひかりに、ポルン、ルルンが騒ぎ始める。

 

「ひかり、嫌な気配が広まってるポポ」

 

「怖いルル」

 

 捕らえたプリキュア達を得た闇は、力を増し、加音町から闇が全世界に向けて広がって行く。闇に飲み込まれた街では、人々や生き物が眠りに付き、光は一切消え失せていった・・・

 

(これは・・・嫌な予感が・・・当たってしまったの?)

 

 ひかりは家路に向かわず、闇の気配が強く漂う場所に向かうのだが、ひかりの目の前に立ち塞がる影があった。思わずたじろぐひかりだったが、

 

「誰!?そこを退いて下さい!私、急いでいるんです!!」

 

「仲間のプリキュアの所か?それとも、我らが支配する闇の所か?もっとも、両方同じ場所だがな・・・貴様がシャイニールミナスだな?我が名はイルクーボ!お前をこのまますんなり闇の拠点に通す訳には行かないな!!」

 

 イルクーボ・・・

 

 嘗てなぎさとほのかが戦ったダークファイブ最強の戦士で、ブラックとホワイトは、彼の前では為す術もなくやられた強敵である。

 

「ひかり・・・変身するポポ」

 

 ポルンの言葉に頷き、ひかりは変身アイテム、タッチコミューンに手をかざして叫ぶ、

 

「ルミナス!シャイニングストリーム!!」

 

「輝く命シャイニールミナス!光の心と光の意志、全てを一つにする為に!!」

 

 変身したルミナスを見て、イルクーボは、ルミナスから放たれる光の力を強く感じた。

 

(これが噂に聞くシャイニールミナスか?あなどれんな・・・)

 

 ルミナスもまた、イルクーボから放たれる、圧倒的な威圧感を感じたじろぐも、

 

(こんな所でモタモタしていられない・・・みんなもきっと向かっている筈!みんなの所に行かなきゃ!!)

 

 ルミナスとイルクーボ、睨み合いが続いた・・・

 

 

 雲の園に居た鳳凰は、ルミナスの危機を感知したのか、突然雄叫びを上げ羽ばたき、何処かに飛び去った。

 

「長老、鳳凰はどうしたのでしょうか?」

 

「さあのう・・・虹の園に広がる、邪悪な気配を察知したのかも知れんのう」

 

 雲の園の住人で、ムササビ姿の妖精と、雲の園の長老は、鳳凰の飛び去った方角を心配そうに見つめていた・・・

 

 

 一方、加音町に着いた花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつきだったが、邪悪な気配が強くなった事を、妖精達は敏感に感じ取り、三人に注意を促す。

 

「みんな、気をつけるですぅ!」

 

 シプレの言葉に三人は頷き、用心深く、更に闇に覆われた加音町の中を進んで行くと、ハミィが何かに気付き、突然走り出すと、墓標のように佇む二つの物に縋りつき、叫び続けた。

 

「メロディ、リズム、ハミィニャ!プリキュア達を連れて来たニャ!!きっと元に戻してあげるからニャ!!」

 

 縋り付いて叫ぶハミィに近づいた三人は、これが石にされたメロディとリズムだと知り驚く、

 

「こ、これが石にされたお二人の姿!?・・・酷い、酷すぎます!!」

 

「僕達が、きっと、きっと元に戻して上げるからね!!」

 

 つぼみ、いつきが、石化したメロディ、リズムに約束を交わす。

 

「何かが近づいてくるですっ!」

 

 コフレの言葉を聞き頷く三人、ハミィとセイレーンは、前にこの感じを感じていた。メロディとリズムを石にした張本人であるピーサード、奴が近づいていると・・・

 

「セ、セイレーン・・・」

 

「ああ、これはあの時の・・・あんた達、せいぜい気をつける事ね!これから現われる敵が、プリキュア達を石にした奴だから!!」

 

 セイレーンは、思わずつぼみ達三人に忠告し、つぼみは微笑みながら感謝すると、

 

「ご忠告ありがとうございます!敵が近づいていますが、他の皆さんは間に合わなかったようですねぇ?」

 

「まあ、しゃあないね!あたしらの実力、見せつけてやろうじゃん!!」

 

「えりかは、こんな時でもえりからしいや!」

 

 三人の前にゆっくり、ゆっくり、近づいて来る相手、ハミィやセイレーンが言う通り、それはピーサードであった。

 

「ン?お前はあの時の妖精か!?そうか、仲間を助けに、助っ人を連れて戻って来た訳か・・・もっとも、そんな弱そうな助っ人を連れてきた所で、意味は無いがな!!」

 

 ピーサードは、つぼみとえりかを見て鼻で笑うと、思わず笑われた事に抗議するつぼみとえりかであった。

 

「アッタマ来た!つぼみ、いつき、行くよ!!」

 

「はい!」

 

「分かった!!」

 

 三人がココロパフュームを取り出すと、三匹の妖精達がプリキュアの種を三人に与える。

 

「「「プリキュア! オープンマイハート!!」」」

 

「大地に咲く、一輪の花、キュアブロッサム!」

 

「海風に揺れる一輪の花、キュアマリン!」

 

「陽の光浴びる一輪の花、キュアサンシャイン!」

 

「「「ハートキャッチプリキュア!!」」」

 

 三人が名乗りを上げてポーズを決め、ピーサードと対峙する。プリキュアを名乗る三人に、ピーサードは不愉快そうにしていきなり衝撃派を放つも、三人は三方に散り攻撃を回避した。

 

「全く、伝説の戦士と聞くわりには、やけにプリキュアが居るものだな・・・目障りだ!貴様らも始末してやる!!」

 

「やれるものならやってみな!あたしらは、そうそう簡単にはやられないからさ!!たぁ!!」

 

 マリンが大きくジャンプし、マリンダイブで降下しながら両足で蹴りを放ちピーサードに攻撃するのを、ピーサードは身を翻し避ける、その背後からブロッサムが、ブロッサムシュートを放ち、何発かの光弾をピーサードに当てる。大きくジャンプしたピーサードが、ブロッサム目掛け衝撃派を放つが、サンシャインがサンフラワー・イージスで攻撃を防ぐ、

 

「なるほど、少しはやるようだが・・・」

 

「ピーサード、苦戦してるウガ!?手伝う・・・ウガ」

 

「ゲキドラーゴか?余計な手出しは無用!」

 

 ピーサードの助っ人にもう一名現われる。ブロッサムとサンシャインは辺りを見渡すが、それらしき人影は見当たらなかった。

 

「何、新手?一体何処に!?」

 

 キョロキョロするマリンのうしろの石像らしき物体が動き出し、変顔になって大慌てでマリンに知らせようとするブロッサムは、

 

「マリン、後ろ、後ろです!」

 

「エッ?後ろ・・・わぁ!!」

 

 ブロッサムの忠告で後ろを振り向いたマリンは、石像とばかり思っていた巨大な物体が、動き出した事に思わず驚くのだった。

 

 まるで、体操選手が着ているような、白い衣装を着たモヒカン刈りの大男、その風貌から、とても頭が良さそうには見えないが、パワーファイターなのは目に見えて分かる。ゲキドラーゴもまた、ピーサードの後に、なぎさとほのかと戦った何処か憎めない強敵だった。

 

 新手の出現に、思わず石像化したメロディとリズムの背後に隠れる妖精達、

 

「あらぁ、また何か来ちゃったわねぇ・・・どこか間抜けそうだけどさ」

 

 セイレーンは、ゲキドラーゴの容姿を見て思わず呟く、ゲキドラーゴは、自慢の筋肉をプリキュア達に見せつけ唖然とさせる。

 

「何、このゴツイの?ちょっと、あんた!か弱い女の子を背後から脅かす何て最低だよ!!今、あいつと先に戦ってるんだからさ、邪魔しないでよね!!あんたまで戦ったら、石にされた仲間が壊れちゃうでしょうが!!あんたも戦うんだったら、仲間の石を安全な場所に移動させるか、元に戻してからにしてよね!!」

 

「ウガ?」

 

 膨れっ面をしたマリンに注意され、思わず首を捻り考え込むゲキドラーゴだったが、暫くすると頷き、妖精達が隠れていた石にされたメロディ、リズムを抱え安全な場所まで移動させると、ご丁寧に、二人の為にバリケードまで作るのだった。

 

「これで、俺も戦って良いか?」

 

「へ!?あぁ・・・良いけどさ・・・何か調子狂っちゃうなぁ?」

 

 何処か憎めないゲキドラーゴの行為に、すっかり調子を崩すマリンだった。

 

「何か、以外に素直な方ですねぇ?」

 

「素直と言うか・・・何と言うか・・・でも、これならメロディやリズムの事を気に掛けながら戦わなくて済むね!」

 

 ブロッサムとサンシャインは頷くと、

 

「マリン、その方のお相手はお任せします!こっちは私達が引き受けました!!」

 

「えっ!?あたしがこいつと戦うの?・・・まあ、良いけどさ!」

 

 ブツブツ言いながらも承諾するマリンにクスリと笑い、ブロッサムとサンシャインが再びピーサードと対峙する。

 

「ゲキドラーゴの奴、俺の応援に来たのか、邪魔をしにきたのか・・・全く相変わらず何処か抜けてる奴だな!まあ、いい・・・貴様ら、この俺に勝てると思うなよ!!」

 

 ピーサードが二人に突撃し、肉弾戦を仕掛けてくる。肉弾戦ではブロッサムが押され始めるものの、入れ替わったサンシャインが、今度はピーサードを押し返す。距離を取ったピーサードが、手に力を込めると強力なエネルギー弾を二人に向けて発射する。サンフラワー・イージスで攻撃を防ぐも、ひびが入り破られ、二人は爆風に吹き飛ばされ、壁に激突する。

 

「ブロッサム!サンシャイン!」

 

 思わず余所見をしてしまったマリンは、ゲキドラーゴの強烈なパンチを食らい吹き飛ばされる。

 

「クッ、まだです!私達は彼女達を救うんです!」

 

 ヨロヨロ立ち上がるブロッサムに、ピーサードが言葉を掛ける。

 

「分からんなぁ・・・石にされたそいつらと、知り合いでも無いのだろう?自ら傷ついてまで庇う必要があるのか?」

 

「彼女達は、自らを犠牲にしてまで、オリヴィエを助けてくれました。プリキュアとして、同じ絆を持った彼女達を守るのは・・・当たり前です!!今度は、私達が彼女達を・・・絶対守って見せます!!」

 

 ブロッサムの言葉を受け立ち上がるサンシャイン、そしてマリン、ブロッサムとサンシャインが再びピーサードに攻撃を仕掛ける。突進した二人に、ピーサードが右拳を繰り出すも、二人は身を屈めて躱しながら、

 

「「プリキュア!ダブルインパクト!!」」

 

 ブロッサムとサンシャインの合体技がピーサードに炸裂する。咽せながら弾き飛ばされるピーサード、一方のマリンも、ゲキドラーゴ相手に俊敏に動き回り攪乱したまでは良かったが、思わずマリンダイナマイトで、ゲキドラーゴが折角作ったバリケード事、ゲキドラーゴ、メロディ、リズムの石像を吹き飛ばしてしまう。

 

「マリン、何やってるですっ!!」

 

「アッ、ごめん・・・つい!!」

 

 吹き飛ばされながらもさっきのマリンの言葉を思い出し、思わずメロディとリズムをキャッチすると、逆さまながら静かに壁に立てかけるゲキドラーゴの行為を見て思わず感嘆の声をあげるマリン、

 

「オオッ!あんた、良いとこあるじゃん!!」

 

「ウガ!?」

 

 何でマリンに感謝されたのか良く分からず、首を捻るゲキドラーゴであった。マリンの戦い方を見て、ブロッサムとサンシャインは目が点になりながらも、

 

「集まれ! 花のパワー!!」

 

 ブロッサム、サンシャインが、それぞれブロッサムタクト、シャイニータンバリンを取り出し、勝負に出る。

 

「「集まれ、二つの花の力よ!プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

 

 ブロッサムとサンシャインが、合体技のフォルテッシモを使い上昇する。ピンクと金色の合わさった光がピーサード目掛け炸裂する。ピーサードも反撃するものの弾き飛ばされ、地面に叩き落とされる。そのピーサード目掛け、フォルテッシモが貫き、ブロッサムとサンシャインが姿を現わすと、

 

「「ハ~~トキャッチ!!」」

 

 二人の合図と共に爆発が起こり、二人はブロッサムタクト、シャイニータンバリンをクルクル回し、ピーサードを浄化する。

 

「こんな奴らに、この俺がぁぁ・・・」

 

 光に包まれピーサードは消滅した・・・

 

 

「痛ぇ・・・あれ!?私、どうして逆さまに?」

 

「ちょっ、ちょっとメロディ、重いから退いてよ!」

 

 慌ててスカートを押さえながら座り直す二人は、キョロキョロ辺りを見回すと、メロディとリズムに大喜びのハミィが抱きついてくる。

 

「メロディ!リズム!良かったニャ!!」

 

「ハミィ!?私達・・・そうだ!私達あいつに負けて・・・」

 

「ええ・・・ハミィ、あの子は無事なの?」

 

 目の前に現われたハミィを見て驚くメロディとリズム、混乱していた記憶が、徐々に繋がってくると、メロディとリズムは顔を見合わせ合い、

 

「大丈夫ニャ!セイレーンが助けに来てくれたお陰で、無事に逃げきれたニャ!!」

 

「「セイレーンが!?」」

 

 セイレーンがハミィ達を助けてくれたと聞き、思わず二人はセイレーンを見ると、一瞬照れたセイレーンはソッポを向きながら、

 

「フン、別に助けた訳じゃないわよ・・・偶々利害が一致しただけよ!ちなみに、今は休戦協定中だから、あたしに攻撃して来ないでよね!!」

 

 セイレーンの言葉を聞き、苦笑するメロディとリズムだったが、ある疑問が頭を過ぎった。

 

「でも私達、どうして元に戻れたのかしら?」

 

「そうだよねぇ・・・確かあいつに石にされたような?」

 

 元に戻れた事が不思議でしょうがないリズムの言葉に、メロディも同意して頷くも、

 

「プリキュアニャ!オリヴィエの知り合いのプリキュアが・・・助けに来てくれたニャ!!」

 

「「エッ?プリキュアが!?」」

 

 メロディとリズムが、ハミィが指さす方向を見ると、マリンに合流したブロッサムとサンシャインが、今まさに、ゲキドラーゴとの戦いに終息を迎えようとする所だった。

 

「「集まれ、二つの花の力よ!プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」」

 

 今度はブロッサムとマリンが、フォルテッシモをしてピンクと青の光が上昇する。

 

「花よ、舞い踊れ!プリキュア!ゴールドフォルテバースト!!」

 

 サンシャインが、ゴールドフォルテバーストの力で、太陽のような光のゲートを空中に作り出すと、それ目掛けて突入するフォルテッシモ状態のブロッサムとマリン、二人の身体が金色に輝いた。

 

「プリキュア!シャイニング」

 

 サンシャインが言葉を発し、

 

「「フォルテッシモォォ!!!」」

 

 ブロッサムとマリンが続くように叫ぶ!

 

 三人の合体技、シャイニングフォルテッシモが、ゲキドラーゴ目掛け炸裂する。三人がタクトとタンバリンを回し、ゲキドラーゴもまた、ピーサード同様に浄化され消滅した。

 

「何かあいつは、悪い奴じゃ無さそうだったんだけどさ・・・」

 

「そうですね、誰かさんのせいで、危うくメロディとリズムまで助けそこなりそうになりましたもんね!」

 

「もう、ブロッサム、それは言いっこ無しでしょうが!!」

 

 笑い合った三人が、元に戻ったメロディとリズムの側に近づいてくる。メロディとリズムは、憧れのプリキュアを見て目を輝かせるのだった・・・

 

「大丈夫ですか?立てますか!?」

 

 ブロッサムがメロディに右手を差し伸べ、サンシャインがリズムに右手を差し出すと、顔を見つめ合ったメロディとリズムは、満面の笑みを浮かべながら、

 

「「はい、ありがとうございます!!」」

 

 その手をしっかり掴み立ち上がった。その光景を妖精達は嬉しそうに眺めるのだった。ただ一匹、セイレーンは興味が無さそうにしていたのだが・・・

 

 一方、先輩として自慢気にしていたマリンだったが、メロディはマリンをジッと見つめると、

 

「へぇ、プリキュアって、小学生でもなれるんだ?」

 

「な、しょ、小学生!?誰の事よ、誰の!」

 

 メロディの言葉を聞き、頬を膨らませて不機嫌になるマリン、

 

「えっ、あなたの事だけど?」

 

「あたしは中学生だ!!」

 

 変顔になりながらメロディに文句を言うマリン、ブロッサムとサンシャイン、リズムが

 

「マ、マリン、落ち着いて下さい!」

 

「マリン、冷静になりなよ」

 

「メ、メロディも、先輩に対して・・・ちゃんと謝って!」

 

 ブロッサムとサンシャイン、そしてリズムがお互いのパートナーを窘めるも、メロディは申し訳無さそうな表情を浮かべるも、

 

「ゴメン!・・・でも、しょうがないじゃん、小学生に見えたんだもん・・・」

 

 マリンが更に文句を言おうとするのを、慌てて押さえるブロッサムとサンシャインだったが、闇は、この二人の光景を見逃しては居なかった・・・

 

 

2、マリンVSメロディ、リズム

 

 海外に居るほのかの下にも、闇は広がりを見せていた。側に居た人々が次々に地面に倒れていく姿を見て、ほのかの表情が険しくなる。ミップルは、少し不安そうにほのかに話し掛け、

 

「ほのか、邪悪な気配が、虹の園中に広まっているミポ」

 

「じゃあこれは、ミップルが言ってた、闇の根源と何か関係があるの?」

 

「それは分からないミポ!でも、その可能性は大いにあるミポ!ほのか・・・なぎさとメップルの下に行って欲しいミポ・・・」

 

「そ、そんな事言われたって、無理よ・・・」

 

 闇の広がりは世界を飲み込み、世界の都市機能は、嘗ての砂漠化の時のように麻痺していた。ほのかは、日本に戻りたくても戻れない状態であった。

 

(一体、何が起きているの!?私も、なぎさも、今のままじゃ何の力にもなれない!パリに居るゆりも恐らく・・・ひかりさん!咲さん、舞さん、満さん、薫さん、のぞみさん

 りんさん、うららさん、こまちさん、かれんさん、ラブさん、美希さん、祈里さん、つぼみさん、えりかさん、いつきさん・・・願わくわ、くるみさんやせつなさんが居てくれれば、尚更心強いけど・・・みんな、みんな頑張って!!)

 

 今のほのかには、仲間のプリキュアを信じるしか手段は無かった。

 

 だが、その時・・・

 

 

 

 そして闇は、希望ヶ花市をも飲み込もうとしていた。植物園の周りに結界を張ったコッペのお陰で、植物園は無事であったが、薫子に不安が過ぎる。

 

(これは・・・何か嫌な予感がするわ)

 

 不安がる薫子の心に話し掛けてくる者が居た。薫子は、その聞き覚えのある声に驚き、思わず声を上げる。

 

「あなたは・・・デューン!?」

 

(そう、僕さ!キュアフラワー、君に一つ忠告して上げようと思ってね)

 

「忠告?」

 

(そう、世界が闇に覆われたのは、闇の救世主を名乗る者の仕業さ!彼は愚かにも、この僕にまで再び生を与えてやるから、我に従えと語り掛けた。勿論、僕は即座に断ったがね!我ら砂漠の使徒は、誇り高き種族、そのような戯れ言を聞き入れる者など居ない!!だが、闇はさまざまな場所に存在する。僕の邪魔をしたプリキュア達が、今まで倒した敵の中にも、奴の戯れ言を聞き入れた者が居るかも知れない!用心する事だね!!)

 

 デューンの言葉を聞き、加音町に向かったつぼみ達の身を心配する薫子に不安が過ぎる。デューンは更に言葉を続けると、

 

(奴は、プリキュア達を捕らえ、互いに争わせる事で闇の力を増大化させた。光の戦士が争い合う事で、今、闇の根源がこの地に引き寄せられている。奴は、闇の根源であるカオスを降臨させ、再び全宇宙を闇に返そうとしているようだよ!さて、忠告はした・・・後は君達しだいさ!)

 

 プリキュア達が捕らわれ、互いに争わされていると聞き、薫子の表情に哀しみが宿る。だが薫子には、何故敵である自分に、デューンがその事を伝えるのか、真意が理解出来なかった。

 

「待って!何故私にその事を教えてくれたの?」

 

(フッ、見てみたくなったのさ!嘗て僕に言った、キュアブロッサムの言葉の行く末をね!!光と闇が、本当に共存出来るのか・・・)

 

 デューンは、それだけ薫子の心に語り終えると、存在が辺りから消えた。急に呆然とした薫子の様子を見て、コッペも、オリヴィエも心配そうに見つめる。我に返った薫子は、コッペを見つめると、

 

「コッペ、あなたに頼みたい事があるの・・・」

 

 薫子からの言葉を聞いたコッペは、何処かにテレポートして消え失せた・・・

 

 

 石化していたメロディとリズムが元に戻り、ブロッサム達は当初の目標を無事に果した。だが、自分達の住む街、加音町のあまりの変わりように、メロディも、リズムも、哀しげに街中を見渡すのだった。

 

「酷い、一体どうしてこんな目に・・・」

 

「私達にも、詳しい事は分らないんですが・・・とにかくもっと調べてみましょう!」

 

 ブロッサムの言葉に一同が頷き、闇の街と化した加音町を探索する。

 

 一同がある場所に着いた時、妖精達が騒ぎ出す。

 

「みんな、この中から何か嫌な気配を感じるですっ」

 

「用心するですぅ」

 

 シプレ、コフレの言葉を聞いたメロディとリズムは、呆然としながら、

 

「こ、此処は、私達の学校じゃない!?」

 

「こ、この中に一体何があるっていうの?」

 

 闇に包まれては居たが、自分達の通う学校を見間違える筈も無く、メロディ、リズムの表情に戸惑いが浮かぶ、何故こんな事に!?二人が今にも先走って中に入りそうな状態に気付いたブロッサムは、

 

「二人共、落ち着いて下さい!皆さん、何が起こるか分かりません・・・慎重に行きましょう!!」

 

 ブロッサムの言葉に頷く一同、メロディとリズムがこの学校の生徒ということで、先頭を歩いてブロッサム達を案内する。慎重に歩くメロディとリズムだったが、突然メロディが叫び声を上げて転倒する。思わずビクリとして辺りを伺うブロッサム、サンシャイン、リズム、妖精達は互いに引っ付き狼狽えていると、

 

「あっゴメン、ゴメン!あんまりメロディがゆっくり歩いてるから、引っかけちゃった!!テヘ」

 

 マリンが自己申告して、みんなに謝ったのを受け、何だとホッとする一同に反し、立ち上がったメロディが、マリンに振り向くと、

 

「あんた、さっき私が小学生って言った事根に持って、わざとやったでしょう?」

 

「ハァ!?そんな事する訳ないじゃん!」

 

「嘘!!」

 

 マリンに食って掛かるメロディを見て、慌てて両者の間に入り宥めるブロッサム、

 

「メ、メロディ、落ち着いて下さい!マリンは、そんな事で根に持つタイプじゃありませんから!ほら、マリンもちゃんとメロディに謝って下さい!!」

 

「ゴ、ゴメン・・・」

 

 ブロッサムに間に入られ、メロディも渋々納得し、再び歩き始める。校庭の方で激しく戦いあうような気配を感じた一同は、そちらの方に歩を進める。

 

「もしかしたら、のぞみさん達が先に着いていたのかも知れませんね?」

 

 もしかしたら、のぞみ達が先に来いるのではと思うブロッサムに対し、サンシャインは首を捻ると、

 

「う~ん、それはどうかなぁ!?それだったら連絡してあったんだから、誰かメロディやリズムの側に居てくれてただろうし・・・」

 

「それもそうですね・・・じゃあ、誰が戦ってるんでしょう?」

 

 サンシャインの言葉を受け、それもそうだと納得するブロッサム、

 

「もしかして、キュアミューズかも!?」

 

「ありえるわね!」

 

「「「キュアミューズ!?」」」

 

 メロディとリズムは、自分達を助けてくれる覆面の戦士、キュアミューズなのではと思うも、ブロッサム達は初めて聞く名前に首を捻った。大体の説明をメロディとリズムに聞いた一同は、確認する為更に歩を進めるが、一同は、闇のドームらしき物体の近くで、思わず立ち止まり呆然としてしまう。

 

「あ、あれは、プリキュアのみんな!?何でみんなが、プリキュア同士で戦っているんですかぁ?」

 

「一体どういう事?」

 

 驚愕するブロッサムとサンシャイン、マリンは大声を出し、みんなに声を掛け止めさせようとする。だが、マリンの声など聞こえないように、戦い続ける一同だった・・・

 

「みんな、一体どうしちゃったのさ?」

 

 闇のドームの中で、互いに争い続けるプリキュア達を見て困惑する三人と、シプレ、コフレ、ポプリの妖精達、セイレーンは思わず目を輝かせると、興味深そうに身を乗り出し、

 

「何々、プリキュア同士って仲悪いわけ!?そういえば、こいつらもよく喧嘩してるっけ?」

 

「メロディとリズムのは・・・痴話喧嘩ニャ!」

 

 セイレーンとハミィの言葉に、メロディは思わず変顔になりながら五月蠅いなとボヤくも、憧れていたプリキュア達の今の姿を見て、思わずメロディは落胆の声を上げてしまう。それを聞いたマリンが、目の色を変えてメロディに噛みつく、

 

「ちょっとあんた!みんなの事何も知らない癖に、何言ってんのよ!!」

 

「こんな姿見せられれば、しょうがないでしょう?」

 

 再び言い合いになるマリンとメロディに困惑し、それぞれのパートナー、ブロッサムとリズムが間に入って止めようとした時、メロディの様子がおかしくなる。

 

「メ、メロディ!?どうしたの?」

 

 思わず心配して声を掛けるリズムを、メロディは突き飛ばし、メロディがマリンに攻撃してくる。マリンは、何すんのよと攻撃を躱し続けるも、メロディの様子は、前方で戦っているドリーム達のようだった。

 

「お、おかしいよ、これは・・・み、みんな、気をつけて!」

 

 サンシャインが一同に忠告するも、マリンの背後にフリーズンが現われ、氷の心を植え付けてしまう。不意を突かれたマリンの心に、氷の心が芽生えてくる・・・

 

「マ、マリン!?しっかりしてください!!」

 

 ブロッサムの言葉を聞き、一瞬ブロッサムの方を見たマリンは、最後の自我を振り絞って、逃げてと呟くも、マリンの瞳からも光が消え失せるのだった。

 

「さあ、お前もあいつと戦うのだ!!」

 

「はい・・・」

 

 無表情なマリンが、メロディに怒濤の攻撃を開始する。マリンの連続パンチを食らいメロディは吹き飛ばされ、起き上がりにマリンの跳び蹴りを食らいよろめく、マリンとメロディでは、今までの経験の差か、メロディは一方的にマリンにやられていた。顔を真っ青にし、マリンに痛めつけられるメロディの姿に、悲鳴を上げたリズムは、縋るような目でブロッサムとサンシャインを見つめると、

 

「メロディ!!ブロッサム、サンシャイン、マリンを、マリンを止めて下さい!!」

 

 リズムに言われる迄もなく、必死にマリンを止めようとする二人だったが、自我を失っているマリンを止めるのは難しかった・・・

 

「マリン!しっかりして下さい!!」

 

「クッ・・・みんなに何をしたの?」

 

 ブロッサムは必死にマリンを正気に返そうとするも、マリンの自我が元に戻る事は無かった。マリンに氷の心を植え付けたフリーズンを、険しい表情で問いただすサンシャインだったが、更に違う方向から声が掛かり、

 

「これでは話にならんなぁ・・・お前、あいつの相棒なんだろう?さあ、お前も行け!!」

 

「エッ!?」

 

 不意を突き、リズムの背後に現われたフローズンは、リズムにも氷の心を植え付けた!不意を突かれ、後手に回ったサンシャインとブロッサムは、

 

「しまった!?」

 

「リズム!しっかりして下さい!!」

 

 そんな声も届かず、リズムの瞳からも光が消え、メロディの隣に並ぶと、メロディと共に、マリンに攻撃を開始した。無表情のメロディ、リズムの攻撃は、バラバラのようだが、時折良いコンビネーションを見せ、マリンに攻撃をあてる事もあった。メロディとリズムが、コンビでマリンを攻撃する事で、ようやくマリンと戦いらしい戦いになった・・

 

 困惑したハミィは、メロディとリズムを必死に止めようとするのだが、

 

「メロディ、リズム、どうしたニャ?しっかりするニャ!!」

 

「無駄よ!よく分からないけど、そいつらも向こうのプリキュア達同様、あいつらに操られている見たい・・・やれやれ、これじゃお手上げね!!ハミィ、此処に居たら、あんたも巻き添え食うわよ!!」

 

 逃げようとするセイレーンに抱きつき、一緒にプリキュア達と居るニャと泣きつくハミィだったが、

 

「その方の言う通りです!シプレ、コフレ、ポプリ、あなた達も、少し離れていて下さい!!」

 

 ブロッサムとサンシャインの表情が、いつにもまして深刻なのを見て、シプレ、コフレ、セイレーンは、嫌がるポプリとハミィを、強引に少し離れた場所に連れて行く。

 

 それを見たブロッサムとサンシャインが、フリーズン、フローズンと対峙する。

 

「ほう、俺達と戦おうと言うのか?」

 

「最強のコンビである、この俺達と戦うと言うのか?」

 

「「面白い!!!」」

 

 フリーズンとフローズンは、笑いながらブロッサムとサンシャインに攻撃を仕掛けるのだった・・・

 

 

3、嘲笑

 

 闇は、九州熊本で合宿していた美墨なぎさの所にも広がっていた。練習の最中、急に倒れて眠ったようになる仲間達に戸惑うなぎさだった。

 

「一体、どうなってるのよ!?こんなの、ありえな~い!」

 

「なぎさ、邪悪な気配が漂ってるメポ!」

 

「エッ!?」

 

 メップルの忠告を聞き、辺りを見回すなぎさだが、ほのかの居ない今は、プリキュアになれない事に焦りが生じる。なぎさは不安そうな表情で、

 

「こんな所で敵に襲われても、ほのかの居ない今じゃ、プリキュアになれないし・・・」

 

「そうね、今襲われたら、一溜まりも無いわよね?」

 

「エッ!?」

 

 思わず声がした方を見たなぎさは、驚愕の声を上げる。それもその筈で、目の前には、海外に行った筈のほのかが立って居たのだから・・・

 

 ほのかが居る事に、呆気に取られていたなぎさが我に返ると、

 

「エッ?ほのか!?海外に行ったんじゃなかったの?」

 

「そう・・・私は今海外に居るの?フ~ン、知らなかったわ」

 

 ほのかの返事を聞くと、なぎさの表情が険しくなっていった。容姿こそほのかであったが、その中身は別人であるとなぎさは見破り、

 

「ち、違う・・・ほのかじゃない!ちょっとあんた、一体誰よ!?何でほのかに化けてるのよ?」

 

 ほのか・・・の姿をした何者かがニヤリと笑うと、正体を露わにする。その見知った容姿を見ると、なぎさは指を指しながら驚愕し、

 

「あ、あんたは・・・ポイズニー!?何であんたが?」

 

 ポイズニー・・・

 

 嘗てダークファイブの紅一点として、ゲキドラーゴの次になぎさとほのかが戦った相手で、ほのかと心の交流を持った、キリヤの姉でもある。紫色のボディースーツに黒いマント姿という、少し変わった格好で活動していた。

 

 人に化けるのが得意で、その変装術には、なぎさとほのかも何度も騙された。しかし、何処か憎めない性格で、弟キリヤに、駅のホームで会いに来た時は、人間と同じ大きさの二足歩行した犬に化け、弟キリヤを唖然とさせたり、家族旅行に来ていたなぎさとほのかの後を追い、旅館のタンスに隠れたり、ポイ子と名乗って仲居に化けたりと、お茶目な性格をしていた。

 

「別にあたしは、あんたに会いに来る気は更々無かったんだけどぉ、どっちかと言えば、あんた達には恨みがあるのよねぇ・・・けど、キリヤに頼まれちゃってさぁ」

 

「エッ、キリヤくんに!?」

 

「そう、あの子は私達と違って、あんた達光の力に憧れ、闇の力を失った訳、その所為で、今回闇の力で甦る事は出来なかった!そのキリヤが、しつこくあたしの心に頼み込むのよ、虹の園の危機を、プリキュアに知らせてくれって・・・もちろんあたしも断ったんだけどねぇ!そんな事したら、あたしの身がマジヤバじゃん?まっ、もう二度と会わない弟の最後の頼みくらいは、叶えてあげようとこうして来た訳だけど・・・そう、あんたの相棒は居ないんだ?とんだ無駄足だったわ・・・じゃあねぇ!」

 

「あっ、ちょ、ちょっと待って・・・お願い、もっと詳しく教えて?」

 

 立ち去ろうとしたポイズニーを、慌てて引き留めるなぎさに、ポイズニーは口元に笑みを浮かべながら、

 

「そうね、折角来たんだし・・・で、お客様にお茶のお持てなしぐらい無いわけ?」

 

「うっ・・・は、はい、ただ今お持ち致しますので、あちらの部屋でお待ち下さい・・・って何で私が!トホホ」

 

 ポイズニーから情報を得る為、なぎさは変顔になりながら、渋々ポイズニーを合宿所の食堂に案内するのだった・・・

 

 

 

 ブロッサムとサンシャインは、最強のコンビを自負するフリーズン、フローズンと対峙する。最強を名乗るだけあり、二人の連携はスムーズで、ブロッサムの攻撃も、サンシャインの攻撃も、共に有効打を放つには至らなかった。連戦の疲れもあってか、次第に押されるブロッサムとサンシャイン、

 

「サンシャイン、このままでは・・・」

 

「クッ、確かにまずいね・・・」

 

 アイコンタクトで頷き合う二人は、

 

「「集まれ! 花のパワー!!」」

 

 ブロッサムタクト、シャイニータンバリンを取り出すと、

 

「花よ、輝け!!プリキュア!ピンクフォルテウェイブ!!」

 

「花よ、舞い踊れ!!プリキュア!ゴールドフォルテバースト!!」

 

 ピンク色の花の形のエネルギー弾と、ひまわり形のエネルギー弾が、フリーズン、フローズン目掛け炸裂する。

 

「ほう、中々の威力のようだな?」

 

「ああ、そうだな・・・だが、我らの敵では無い!!」

 

「「我ら、最強のコンビの技を受けて見ろ!フリージング・・・ブリザ~~ド!!!」」

 

 フリーズン、フローズンの合体攻撃、フリージングブリザードが炸裂する。その威力は凄まじく、フォルテウェイブ、フォルテバーストを圧倒し、ブロッサム、サンシャインを吹き飛ばした。

 

「キャアァァ」

 

「ウワァァ」

 

 吹き飛ばされ激しく地面に叩き付けられた二人に、ゆっくり近づいて来るフリーズン、フローズンの二人、何とか立ち上がろうとするブロッサムとサンシャインだったが、

 

「「さあ、お前達も仲間と戦うがいい!!」」

 

 無情にも、フリーズン、フローズンによって、ブロッサムとサンシャインも氷の心を植え付けられてしまう・・・

 

 ブロッサムとサンシャインも、氷の心を植え付けられ、二人もまた闇のドームの中に無表情のまま入ると、プリキュア同士の戦いに参加し、戦い始めた・・・

 

「ご覧下さい、バロム様!もはやプリキュアは、互いに仲間と殺し合う愚かな戦士、仲間に殺されるのが先か、闇に身体を蝕まれ消滅するのが先か・・・」

 

「見物でございましょう?」

 

「「ハハハハハハハハ!!」」

 

 フリーズンとフローズンの嘲笑が辺りに響き渡った・・・

 

 妖精達は、言葉を発するのを我慢しながら、その目からは大粒の涙を零し続けた・・・

 

 闇のドームの中で、プリキュア同士の戦いは続く・・・

 

 

4、私は諦めない!!

 

 美墨なぎさを見送ったポイズニーは、のんびりなぎさの合宿所でティータイムを満喫していた。

 

「不思議ねぇ・・・プリキュアっていうのは、奇跡を可能にする力でもあるのかしらねぇ?」

 

 なぎさが去っていた方角を見ながら、紅茶を飲むポイズニー、

 

「キリヤ・・・これで約束は守ってやったからね!さて・・・と、う~ん、中々美味しいじゃない!虹の園も、中々捨てたもんじゃないわね・・・ん?」

 

 寛ぐポイズニーの下に、時空が歪み、イルクーボが姿を現わした。ポイズニーはチラリと見ると、

 

「あ~らら、見つかっちゃったみたいね・・・どうせ殺されるなら、知らない奴よりは、あんたの方がマシかしらねぇ?」

 

「勘違いするな、別に俺は、お前を殺しに来た訳では無い・・・」

 

「へぇ~・・・」

 

 闇を裏切った末路を知っているポイズニーは、殺される覚悟を決めていたのだが、意外にもイルクーボは否定した。イルクーボは、ポイズニーが飲んでいる物に目を向けると、

 

「俺にも一杯貰おうか?」

 

「ハァ!?虹の園の飲み物飲む何て・・・あんたも変わったわねぇ、イルクーボ?」

 

「俺も、貴様と同じだ・・・光も満更悪くは無いな!キリヤの気持ちが、少しは分かったようだ・・・」

 

 嘗て絶対的な主、ジャアクキングの下に使えた二人だったが、ポイズニーは弟キリヤや虹の園の文化に触れ、知らぬ間に感化されたようだった。一方のイルクーボも、ブラック、ホワイトのプリキュアや、キリヤ、そして、ルミナスと出会い、知らぬ内に何かに惹かれていた。

 

「光のクイーンの分身とも呼べる、シャイニールミナスと会って理解したよ・・・キリヤが光の力に憧れたのも、今更だが少しは理解出来た・・・」

 

 ルミナスと接触したイルクーボは、当初は命令通りルミナスを倒そうとしたのだが、ルミナスと接触している内に、光の存在に興味を持ち始める。イルクーボは、ルミナスに現状を教えてやり、ルミナスをそのまま行かせたのだった・・・

 

「あ~らら、それじゃあ、あたしと一緒で、マジヤバじゃん?」

 

「ああ、どうせ一度は失った肉体だ、惜しくはない!!」

 

 二人の危惧する通り、次元を引き裂き、白髪の老体、サラリーマン風の男、どこか地味な感じの女が姿を現わした。

 

「お前達、覚悟は出来ているな?」

 

「我々が出向いたのだ!」

 

「・・・・・・・・・」

 

 最後の女が何と言ったのか聞こえず、思わず聞き返す一同、再度何か言うものの、やはり何を言ってるのか聞こえず、イライラしたポイズニーが再度大声で聞き返す、

 

「ハァ!?もっと大声で喋ってくれるぅ?何言ってんだか分からないわよ!!」

 

「だから、覚悟しろって言ってんだろうがぁぁ!!!!」

 

 急にデカイ声を出され、思わず、カップを落として割ってしまうポイズニーとイルクーボ、そして、思わず怯む連れの二人、

 

「ま、まあいい・・・では、お前達の処刑を始めよう・・・」

 

 三人が雄叫びを上げ変身を遂げた!

 

 三人の名は、ベルゼイ、ジュナ、そして紅一点のレギーネ、嘗て、ジャアクキングの分身として仕えていたが、プリズムストーンを手に入れ三人は合体し、ジャアクキングに反旗を翻したが、最終的には吸収されてしまう。

 

 最期まで、ジャアクキングの為に行動したポイズニーとイルクーボ、自らの為にジャアクキングに反旗を翻した三人、今度は互いが違う立場になるとは・・・

 

 ポイズニーとイルクーボ、二人は何ら抵抗を見せず、闇と共に完全に消え失せた。だが消える直前、二人の顔は何処か満足気だった・・・

 

 

 

 夜になり、ルミナスは、闇の拠点加音町に遂に到着した・・・

 

 邪悪な気配が多数蠢く、不気味な街に・・・

 

 妖精、ポルンとルルンは無性に怯え、恐怖するのだった・・・

 

(あの人の話では、みんなが此処に・・・みんな、待っていて下さい!なぎささん、ほのかさんの分まで、私が、私が・・・)

 

 なぎさとほのか、二人の分まで頑張る決意のルミナスだが、闇は不気味に静まりかえっていた。

 

(これは、まるで私を誘き寄せているような!?)

 

「ひかり・・・あっちの方から何か嫌な感じがするポポ」

 

「ルルンも感じるルル」

 

 涙目の妖精達の言葉に頷き、その方角に進むルミナスは、巨大な闇のドームの前に辿り着き驚愕する。ルミナスの姿を見付け、泣きながら縋り付いてくるシプレ、コフレ、ポプリ、そして、ルミナスが初めて会った泣き顔のハミィと、不思議そうな表情を浮かべるセイレーン、

 

「ルミナスぅ、みんなを、みんなを、助けてですっ!」

 

 ルミナスは、妖精達に頷くと、妖精達に何処かに隠れているように伝えた。闇のドームの中で、互いに戦い合うプリキュアの仲間達を見て、険しい表情に変わった。

 

「こ、これは・・・あの人が言っていたのは、この事だったの?そんな・・・プリキュアのみんなが、味方通しで戦っている何て・・・みなさん、しっかりして下さい!目を覚まして下さい!!」

 

 ルミナスが皆に声を掛けるも、ドームの中でプリキュア達は戦い続ける。自らの身体が、闇に蝕まれ始めているのにも気付かずに・・・

 

「このままでは、みんなは・・・」

 

 どうすればみんなを助けられるか思案するルミナスに、闇の中から声を掛ける者があった。

 

「良く来たな、シャイニールミナスとやら・・・我が名はバロム!闇の救世主なり!!」

 

 闇深くに覆われ、声の主の姿を確認出来ないものの、ルミナスは、今回の首謀者らしきバロムの出現に危機感を覚える。

 

「あなたがみんなを!?みんなを元に戻して!!」

 

「元に戻す?このような楽しき余興を、何故止めねばならぬ!?見よ、光の戦士共の無様な姿を、我ら闇の軍勢を、幾度も闇に返してきたプリキュアの最期と共に、この地に我らが創造主を迎えて、全宇宙は再び闇に帰る時が来たのだ!!!」

 

「そんな事は、させません!!」

 

 必死の表情で、バロムの言葉を否定するルミナス、

 

「お前一人で、この軍勢に勝てると言うのか?」

 

 バロムが指をパチリとならすと、ドームの周りに、歴代のプリキュア達が倒した敵達が現われる。ポイズニー、イルクーボを処刑し、舞い戻ったベルゼイ、ジュナ、レギーネ、ナイトメアのアラクネア、ハデーニャ、カワリーノ、ブラッディ、エターナルのスコルプ、ネバタコス、シビレッタ、イソーギン、ヤドカーン、ムカーディア、そして、魔女、フリーズン、フローズン、サーロイン、シャドウが姿を現わす・・・

 

「貴様一人で、これだけの人数を相手に勝てるとは思えんがなぁ?お望みとあれば、ドームの中に居るプリキュア共も、貴様の相手にさせてやるが・・・ハハハハ!」

 

 バロムの言葉を受け、フリーズン、フローズンが頷き、プリキュア達の戦いを止めさせると、ドーム内に居るプリキュア達全員が、無表情のままルミナスを見つめる。変わり果てた仲間の姿を見たルミナスは、一同の身体が闇に蝕まれ、身体の一部分が消えかけている箇所があるのに気付く、

 

(こ、この闇のドームを何とかしなければ・・・)

 

 意を決したルミナスは、

 

「光の意思よ!私に勇気を!希望と力を!!」

 

 ハーティエルバトンを発動させたルミナスは、

 

「ルミナス!ハーティエル・アンクション!!」

 

 ハーティエルバトンが、闇のドームを貫き、闇を中和して収縮減少を一時止めた間に、ルミナスは、プリキュア達が居るドーム内に突入する。

 

「ほう、自ら死を選ぶか?その闇のドームが収縮を完了した時、プリキュア達の肉体は消滅し、闇の一部と成り果てる。貴様もその死を選ぶか?シャイニールミナス!!」

 

「違う・・・私は、諦めない!みんなを必ず元に戻し、此処からみんなと出る為に、私はこの中に入った!!私は、私は、絶対に諦めない!!!」

 

 ルミナスの心に感応したのか、ハーティエルブローチェは凄まじい光の輝きを放つと、

 

「・・・・ス、ルミナス!?・・・」

 

「・・・し達は、一体何を?」

 

 氷の心を植え付けられていたプリキュア達の心から、光の暖かさにより、氷の心が溶け始める。ドリーム達が、ピーチ達が、ブルーム達が、そして、ブロッサム達、メロディ達も、自我を取り戻し始める。思わず動揺するフリーズンとフローズンは、

 

「な、何だと!?」

 

「我らの氷の心を溶かしたのか?だが、まだ身体の自由は効くまい・・・貴様ら、ルミナスを先に殺せ!!」

 

 自我を取り戻しつつあるものの、身体の自由はプリキュア達の意思に反し、ルミナスに攻撃を与えてしまう。

 

「キャァァ!」

 

 攻撃されてもバリアーを張り続け、闇の収縮を止めようとするルミナス、

 

「ウゥゥゥ・・・ウゥゥオオ!!!」

 

 何かを振り切るように、雄叫びを上げたドリームの瞳に、光が完全に戻る。

 

「ルミナス・・・ありがとう!あなたの思い、私達に伝わったよ!!」

 

「もう、あんた達の思い通りにはならない!!もう、もう、プリキュア同士で戦うのは、絶対嫌・・・」

 

 ピーチの瞳にも光が戻る、皆の瞳に光が戻った・・・

 

 徐々に意識を取り戻していく仲間の姿に、思わずルミナスから笑みが溢れた。だが、ルミナスは敏感に仲間達の異変を感じ取っていた・・・

 

(みんな、どうしたんだろう?)

 

 互いに距離を取り、視線を避けるドリーム達とピーチ達、ブルームとイーグレットの間に、微妙な距離感を感じ、思わずルミナスは戸惑うのだった・・・

 

「私達は、もうあんた達の思い通りには絶対にならない!!!」

 

 ピーチの宣言と共に、16人のプリキュア達がフリーズン、フローズンを睨み付ける。その迫力に思わずたじろぐフリーズンとフローズンだったが、

 

「狼狽えるな!闇に蝕まれたプリキュアが、闇の意思に反し動く事など不可能!プリキュア同士で自滅させる事は敵わなかったが、所詮、闇に飲み込まれる運命は変わらんよ!!フフフフ」

 

 バロムはフリーズンとフローズンを窘め、自我を取り戻したプリキュア達を嘲笑う、バロムの言葉通り、思うように身体を動かせないプリキュア達に焦りが起こる。

 

「さあ、自分の身体を良く見て見ろ!!!」

 

 バロムの言葉を受け、プリキュア達は自らの身体を調べ始めるが、

 

「な、何ですかこれは?手、手が、消えかけてます!?」

 

「そんな、足が・・・」

 

 自らの身体が消失しかけているのを見て、ブロッサムが、メロディが驚愕し、他のプリキュア達も少しパニックを起こした。

 

「当然だ・・・貴様らの身体は、闇に蝕まれて居るのだからなぁ?ジワジワと消え去る自分を眺めるが良い!!

 

 バロムの言葉を受け、闇の軍勢からプリキュア達を嘲笑し、罵る声が浴びせられる。

 

 その時・・・

 

「花よ、輝け!プリキュア!シルバーフォルテウェイブ!!」

 

 意表を突いた攻撃を、咄嗟に闇の中に居たバロムが強大なエネルギー波で相殺すると、

 

「何者だ!?」

 

 バロムは、不快そうに攻撃した者を問い詰める。

 

「月光に冴える一輪の花、キュアム~~ンライト!!」

 

 ムーンライトが姿を現わすと、ルミナスが、ブロッサム達が驚愕しながらも感嘆の声を上げる。

 

「ムーンライト!来てくれたのですね?でも、パリに居た筈では!?」

 

 ルミナスの疑問に、ムーンライトが答え始める。

 

「ええ、日本に帰る手段を失った私だったけれど、薫子さんが、コッペ様を迎えに寄越してくれたの!それで、サラマンダー男爵と一緒に日本に戻って来たわ・・・サラマンダー男爵も、今回私達に協力してくれている。薫子さんとオリヴィエの側には、コッペ様と男爵が居てくれる。だから私は、みんなの加勢に来たのだけれど・・・みんな、油断したようね?ルミナス、あなたの光の導きが、みんなを元に戻す切っ掛けを作ったのよ!」

 

 ムーンライトは、口元に笑みを浮かべながら、ルミナスを称えるも、直ぐに表情を引き締め、

 

「ルミナス、時間を稼いで!此奴らは・・・私が倒す!!!」

 

 闇の軍勢を睨み付けるムーンライトだが、敵の強大な軍勢を前に、たった一人でどう戦うのか・・・

 

             第十八話:プリキュアVSプリキュア(後編)

                      完

 

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