そんなある日、響と奏から、みんなに紹介したい人が居ると言われたなぎさ達は、新たなる仲間では?と目を輝かせて居たのだが・・・
第二十九話:その名はビート!(前編)
第二十九話:その名はビート!(前編)
ダークプリキュア5達が、ダーククイーンと共に、宇宙の果てに旅立ってから2週間が過ぎた・・・
それぞれ夏休みを堪能していた少女達だったが、ある日、北条響と南野奏から、みんなに会わせたい人が居るので、会えないかと一同に連絡が入った。当然一同に断る理由も無く、一同は集合場所をナッツハウスと決め、響と奏にOKの連絡を入れるのだった。
それから数日が経った約束の日・・・・・
賑やかな話し声が聞こえてくるナッツハウスで、まだ来ていない仲間達を待つのは、夢原のぞみ、夏木りん、春日野うらら、秋元こまち、水無月かれん、そして、早めにナッツハウスにやって来た、美墨なぎさ、雪城ほのか、九条ひかり、日向咲、美翔舞、霧生満、霧生薫、一同は、他のメンバーがやってくるのを団欒しながら待っていた・・・
「ココ達にも連絡入れたし、ラブちゃん達も、せつなちゃんに連絡付けてくれたみたいだから、またみんなに会えるね!」
のぞみは、集合場所のナッツハウスでウキウキしていた。響と奏から会わせたい人が居ると聞き、期待でワクワクするのぞみを見て、苦笑を浮かべるかれんとこまち、のぞみと一緒にはしゃぐうらら、
「全く、あんた達ははしゃぎすぎ・・・」
そんな二人を、呆れながらも突っ込みを入れるりんだったが、のぞみは少し不満そうに、
「エェ!?だってぇ、また私達の仲間が増えるかも知れないんだよ?」
「そうですよ!私、凄く楽しみです!!」
「そりゃあ、そうかも知れないけど・・・」
のぞみがりんに抗議すると、うららもウンウン頷きながらのぞみに加勢する。思わずりんは苦笑を浮かべていた。かれんとこまちが入れてくれた、紅茶を飲んでいたなぎさも会話に加わり、
「まあ、のぞみの気持ちも分からないでも無いよね!私達に会わせたい人かぁ・・・そういえば、前に響達が言ってた覆面のプリキュア、キュアレスラーの事かも知れないね?」
「なぎさ・・・それを言うならキュアレスラーじゃなくて、キュアミューズでしょう!」
「アレェ!?そうだっけ?覆面と聞くと、ついレスラーを想像しちゃって・・・アハハハハ!」
なぎさのボケに、間髪入れず突っ込みを入れるほのかと、二人を見て苦笑するひかり、大笑いする咲、ナッツハウスから見える景色をスケッチしている舞と、その様子を眺める薫、咲の家、ベーカリーPANPAKAパンで貰った、お土産のメロンパンを食べながら一同の話を聞く満、そして、メップル達、フラッピ達がナッツハウスに集まっていた。
「そう言えば、満は今、咲の家でバイトしてるんでしょう?」
りんの問いかけに頷いた満は、
「ええ、前に響達の住む街に、みんなでボランティアに行ったでしょう?あの時、PANPAKAパンが出張したんだけど、好評だったようで、最近お客さんが増えたらしくて・・・」
「それで人手が足りなくてさぁ・・・私はソフトボール部があるから手伝えなくて・・・そんな話を舞、満、薫に話したら、満が手伝ってくれるって言ってくれてさ!舞も手が空いた時には手伝ってくれるし、薫もみのりの事見てくれてるから、家の両親も大助かりで喜んでるんだぁ!!」
咲がニコニコしながら一同に語ると、舞はニコニコしながら、
「咲ったら、私達友達じゃない!困った時はお互い様でしょう!ねぇ?満さん、薫さん!」
「ええ、咲、気にする必要は無いわ!」
「私も、みのりちゃんとお喋り出来て充実しているわ」
「舞、満、薫・・・ありがとう!!」
舞、満、薫の言葉を聞き、咲は心から嬉しそうに満面の笑みを見せた。
「へぇ、咲、良かったじゃない!そう言えばひかり、アカネさんも遠くから買いに来てくれるお客さんが増えたとか、喜んでたよねぇ?」
「はい、最近売り上げが好調だって、アカネさんも喜んでました!」
なぎさに聞かれたひかりも、嬉しそうに答えていた。りんは、アルバイトの話題で何かを思い出したのか、
「そう言えば、誰かさんもブンビーの所にアルバイトに行って、初日でクビになったのが居たっけ?」
少し意地悪そうな視線を、のぞみに向けながらりんが言うと、のぞみは思わず変顔を浮かべると、
「だってぇ、ブンビーさんったら、あんな大きな犬を、私一人で散歩させてきてって言うんだもん・・・」
その時を思い出したのか、のぞみが頬を膨らませた。
のぞみが散歩させた犬とは、セントバーナード・・・
セントバーナードと聞くと、多くの人は、雪山での遭難救助犬を想像すると思うが、大きな体格な割りには、優しい性格で、普通にペットとして飼う家も居る。ブンビーカンパニーに入った依頼は、最近運動不足のセントバーナードを、思う存分遊ばせてやって欲しいという事だった。ブンビーは、相変わらず社長より偉そうなカワリーノに似た社員に頼みづらく、バイトに来たのぞみにこの仕事を押しつけた。
意気揚々と散歩に出掛けたまでは良かったが、セントバーナードの体格を支えきれず、手から綱が放れてしまい、セントバーナードは、久々の自由を満喫し、何処かへとその姿を消した・・・
のぞみが半べそになった事は語る迄もない・・・
「そう言えば、のぞみに泣きつかれて、みんなで逃げた犬を探し回った事があったわね!」
「あの時は大変だったわね?ラブさんと祈里さんにも協力して貰って、何とか見つかったのよねぇ?」
かれんも思い出したのかクスリと笑い、こまちも相槌を打ちながら、当時の事を思い浮かべて居た。あの時、半ばパニックになっていたのぞみは、祈里が獣医を目指している事を思い出し、シロップに頼み込み、祈里を迎えに行った。偶々一緒に居たラブも加え、祈里は嫌な顔せず、キルンを巧みに利用しながら、セントバーナードを見付け話し相手にもなり、無事に戻ったものの、飼い主から、中々戻ってこない事でブンビーカンパニーにクレームが入り、哀れのぞみは初日でクビになった・・・
りんもウンウン頷き、
「いやぁ、実際祈里が居てくれて良かったですよ!あの子、獣医を目指してるから、動物の扱いにも慣れてたし・・・それに引き替え」
りん、かれん、こまちの視線が、再びのぞみに向けられると、
「もう、りんちゃん!かれんさんやこまちさんまでぇ・・・みんなの意地悪ぅぅ!!」
再び変顔になりながら膨れっ面になるのぞみに、一同から笑い声が漏れた・・・
少しすると表の方が騒がしくなり、外に出た一同は、シロップの背から飛び降りたココ、ナッツ、ミルクと再会する。
「全く、いちいち呼ばないで欲しいミル!ココ様やナッツ様は忙しいミル!!」
「何よ、せっかく教えてあげたのに・・・そんな態度取るなら、ミルクにだけは今度から教えてあげないんだから!」
ツンとした態度でのぞみに接するミルクに、のぞみは変顔になりながら文句を言い、頬を膨らます。
「まあまあ、のぞみもミルクも喧嘩しないココ!」
「そうナツ!ナッツも、新たなるプリキュアに出会えるかも知れないと思うと、楽しみナツ!!」
「コ、ココ様やナッツ様がそう言われるなら・・・で、響達はまだ来てないミル?」
忙しなく辺りをキョロキョロするミルクに、りんは呆れながら、
「ミルク、あんたが一番楽しみにしてそう何だけど?」
「そうロプ、来る途中一番会えるのを楽しみにしてたのは、ミルクロプ!」
りんに突っ込まれ、シロップに暴露され、のぞみはジト目でミルクを見つめると、
「ほ~ら、ミルクだって楽しみにしてたじゃない?残念でした!まだ、響ちゃん達来てないよ!!」
「う、うるさいミル!」
顔を赤くしながら狼狽えるミルクの姿に、一同から笑い声が漏れる。
「後はラブちゃん達、つぼみちゃん達、響ちゃん達かぁ・・・」
「ゆりの話によれば、ゆり達はラブ達と待ち合わせて一緒に来るって言って・・・ワァァァ!!」
のぞみの言葉を受け、なぎさが一同にゆり達がラブ達と一緒に来ると話していた最中、一同の目の前が光輝いたかと思った時、桃園ラブ、蒼乃美希、山吹祈里、東せつな、花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつき、月影ゆりの8名と、シフォン、タルト、シプレ、コフレ、ポプリの妖精達が一斉に現われた。
「アイタタ・・・もう、せつな!ちゃんと連れて来てよね?」
「何言ってるのよ!転んでるのはラブぐらいな・・・アッ!?」
「す、すいません・・・此処にも居ますぅ・・・」
転んでせつなに文句を言うラブ、言い返すせつな、そして、申し訳なさそうにしながら転倒していたつぼみだった。他のメンバーはその様子を苦笑しながら見ていた。
「そうか、せつなの妖精の力で瞬間移動してきたんだ・・・いきなり現われたから驚いたじゃない!」
「ウフフ、ごめんなさい!ところで、私達で最後かしら?」
後退さっていたなぎさが照れ笑いを浮かべながらせつなに話し掛けると、せつなも笑みを浮かべながら、自分達が最後か確認する。こまちが、まだ響達が来てないと言うと、
「言い出しっぺの割には、響達遅いねぇ・・・此処は先輩として、ビシッと注意しなきゃね!!」
鼻の穴を広げ、えりかが得意気にすると、
「えりか、私達が遅くなった理由・・・忘れて無いわよね?」
「人の事、注意出来る立場じゃ無いんじゃないかなぁ?」
「ウッ・・・ゆりさん、いつき、その事は勘弁してぇ!!」
変顔になりながら両手で拝むようにゆり、いつきに頼み込むえりかだった。
暑さでだらけきっていたえりかは、今日の事をすっかり忘れていて、朝から涼みに出掛け、待ち合わせ時刻に遅刻していた。
「でも、確かに遅いわね・・・」
かれんがナッツハウスに掛かっている壁時計を見ると、待ち合わせ時間はとっくに過ぎていた。美希の脳裏に最悪な出来事が過ぎり、少し顔色を変えると、
「ねぇ!響達は、昔のあたし達みたいに、今でも敵と戦ってるんでしょう?ひょっとして・・・」
「うん、そうだね・・・響さん達の事だから、大丈夫だとは思うけど・・・」
二人の身を案じる美希と祈里の言葉を受け、一同の顔付きが変わる。確かに響と奏は、今でもマイナーランドとの音符争奪戦を繰り広げている筈だと思い浮かべる。もしや、何かあったのでは無いか?
「そうだね・・・あの娘達の事だから大丈夫だとは思うけど、連絡が無いのはちょっと気になるよね?」
「そうね・・・ここで待ってるくらいなら・・・」
「私達で加音町まで迎えに行っちゃおうか?」
なぎさ、ほのか、そしてラブの言葉に頷いた一同がせつなを見ると、せつなも頷きアカルンを呼び出すと、もしもの時は、響達に加勢すべく、一同は光に包まれナッツハウスから消え去った・・・
なぎさ達一同が案じていたように、響と奏は、キュアメロディとキュアリズムに変身し、バスドラ、バリトン、ファルセットのトリオ・ザ・マイナー、そして、バスドラが呼び出した風鈴のネガトーンと対峙していた。
だが、バスドラ達の策略で、ハミィを猫質に取られ、おまけにネガトーンが発した不幸のメロディを聞いた人々が、近くで悲しみに囚われ、抵抗すれば攻撃を加えると脅され、二人は苦戦していた。
「セイレーン!何処かで見ているのだろう?お前も見ての通りだ!貴様が姿を見せ、我らに今一度忠誠を誓わねば、この猫、そして、悲しみに暮れているこいつらがどうなるか・・・分かって居るだろうなぁ?」
勝ち誇ったバスドラの脅しに、物陰で様子を伺うセイレーン事、黒川エレンに焦りが生じる。当初は真っ先に出て行こうとしたエレンを、エレンが出て行っては敵の思う壺だと制止した響と奏が、エレンに代わってバスドラ達と対峙したのだが、状況は最悪だった。
迂闊に攻撃できないメロディとリズムを、容赦なくネガトーンの攻撃が襲う。ネガトーンは、強烈な風を吹かせて二人を何度も壁に激突させ、メロディとリズムはダメージを負った。
「メロディ!リズム!クッ、このままじゃ二人は・・・」
翻弄される二人を見続ける、エレンの心は今にも張り裂けそうだった。二人は、自分の身代わりとなって、ネガトーンに痛めつけられているのも同然だとエレンは思った。このまま二人を、自分の目の前でむざむざ倒させはしない。エレンは覚悟を決め、飛び出そうとしたその時、なぎさ達一同がエレンの近くにテレポ-トして来た。
「な、何!?あなた達は一体?」
突然目の前に現われた一同を見て、驚いたエレンが思わず一同に声を掛けると、声を掛けられた一同は、エレンを見て不味い所を見られたと思ったものの、つぼみ、えりか、いつきの三人は、エレンを見て何処かで見たようなぁと首を捻り、せつなはニッコリ微笑み、エレンに話し掛けた。
「セイレーン、あの時以来ね!」
「あなたは・・・あの時の!?」
エレンも、自分がまだマイナーランドの歌姫だった時に、自分を訪ねてきた二人の内の一人がせつなだと悟る。
「エェ!?この娘、セイレーンなの?」
なぎさが驚き思わず声を出し、何かを思い出したのか、つぼみもポンと手を叩くと、
「思い出しました!オリヴィエを連れて来てくれた時、確かにこの姿でした!!」
「そういえば、そうだね!」
「あたしも思い出した!!」
いつきとえりかも、エレンと出会っていた事を思い出す。呆気に取られていたラブは我に返り、せつなを見つめると、
「せつなったら、セイレーンが人間姿になれるの、知ってたんだ?」
「ええ、この間ダークドリームと一緒に、彼女を訪ねた時に知ったの!」
ラブの問いかけに、せつなが苦笑混じりに答える。ダークドリームの名前が出た事で、のぞみは彼女の事を思い出したのか、
「彼女達も連れて来たかったなぁ・・・」
少し寂しげな表情を浮かべるのぞみに、くるみ、うらら、かれんは顔を見合わせると、のぞみに話し掛け、
「仕方無いでしょう!彼女達は、宇宙の果てに旅立っちゃったんだからぁ」
「連絡のしようもありませんしね!」
「のぞみ、彼女達にはまた必ず会えるわ!」
のぞみも、彼女達には必ず再会出来るような気がしていた。
「うん!そうだね!!」
のぞみがかれんの言葉に頷いたその時、メロディとリズムの悲鳴が一同に聞こえてくる。事情が分からない一同は顔色を変え、エレンに現状を問うと、エレンは簡潔に一同に説明した・・・
「今言った通りよ!待ち合わせ場所に行けなくて悪かったけど、今はそれどころじゃ無いの・・・私は、彼女達を、ハミィを、悲しみに暮れる人達を・・・助ける!!レッツプレイ!プリキュア!モジュレーション!!」
エレンの身体を、リボンのような光の衣が覆っていくと、徐々にエレンの身体がプリキュアへと変身していく。
「爪弾くは、魂の調べ!キュアビート!!」
エレンがキュアビートへと変身した姿を見て、一同から感動の声が上がった。響達が紹介したがっていたのは、新しいプリキュアの仲間であるセイレーンの事だったのかと・・・
「キュアビート!?」
「まさか、セイレーンがプリキュアになったなんて・・・」
「ダークドリームが言った通りだったわ!」
ラブ、なぎさ、せつなが、そして一同が驚愕の表情を浮かべながら、変身した新たなる仲間、ビートを見つめた。
ビートの髪は、紫色をしていて、左側には、白い羽毛、青いハートとリボンがついた髪飾りで束ねた、淡い紫色の長いサイドポニーに変わり、その毛先はカールしていた。瞳の色は、エレンの時とあまり変化が無かった。
ビートのコスチュームの基本色は、紫に近い青色で、袖が半袖になっている。後ろの腰付近には、細長い水色のリボンが付いていた。腕のカバーは、手の甲を覆うデザインとなっていて、メロディとリズムのようなリボンは付いていない。スラリと伸びた足には、青いニーハイブーツを履いていて、足首に白いリボンが巻かれていた。ビートのスカートのフリルは、メロディとリズムより多い、6層となっている。アクセサリーとしては、イメージカラーと同色のハートのイヤリングを付けている。ビートがプリキュアになった容姿は、エレンの時より大人びた印象を与える。
「みんな、悪いけど・・・今後はセイレーンと呼ぶのは止めて欲しいの!今の私は、黒川エレン!キュアビートよ!!」
ビートは、セイレーンと呼ばれる事に不安を覚えていた・・・
加音町の人々を、ネガトーンを操り、悲しみに沈ませて来たマイナーランドの歌姫セイレーン、まだプリキュアに成り立てのビートでは、洗脳されていたとはいえ、過去の過ちを犯した自分を、まだ見つめ直す事は出来なかった・・・
少し悲しげな視線を一同に送ったビートを見て、特にせつなは、昔の自分を見ているようで、少し涙ぐむのだった・・・
せつなはビートを呼び止めると、
「待って、ビート!このまま敵の前に出て行っても、敵の思う壺だわ!!」
「それはそうだけど・・・でも、このままじゃメロディとリズムが・・・」
せつなの言葉に、メロディ達が心配なビートが焦れったそうにしていると、何かを思案していた美希が顔を上げると、
「ビート、あたしに考えがあるわ!みんなも聞いて!!」
美希が一同に語った作戦とは・・・
一同は、美希の作戦に同意すると、
「OK!じゃあみんな、お先に!チェインジ・プリキュア!ビートアップ!!」
変身したベリーは、ビートの右肩をポンと叩くとウインクし、ベリーは素早く行動に移るのだった・・・
バスドラは、中々姿を見せないセイレーンに苛立っていた。このままでは、再びメフィストに叱責されてしまうと感じ、バスドラに焦りが生まれた。
「おのれ、セイレーンめ・・・いいだろう、ネガトーン!プリキュア共に止めをさしてやれぇぇ!!」
我慢の限界を迎えたバスドラは、ネガトーンにプリキュアを倒せと指示を出した。風鈴姿のネガトーンが、メロディとリズムを葬るべく動き出す。
その時・・・
「待ちなさい!!」
バスドラ達から、少し離れた場所に現われた戦士を見て、バスドラがニヤリとし、メロディとリズムは、何故出てきたのかと困惑した表情を浮かべた。
「ようやく現われたか、セイレーン!」
「ビート、何で出て来たの?これじゃあいつらの思う・・・・・あれぇ!?」
「どうしたの、メロディ?」
「いや、あれってビートじゃ無くて・・・ベリーだよね!?」
「エッ!?・・・ほ、本当だわ!でも、どうして?」
二人がビートだと思って話し掛けた人物、良く目を凝らせば、それはプリキュアの先輩であるベリーであった。
何故ベリーが此処に居るのか?
訳が分からず、呆然とするメロディとリズムの二人に、ビートに扮したベリーが、メロディとリズムにウインクすると、メロディとリズムも、ベリーに何か考えがあるのだろうと悟ると頷き、芝居を始めた。
「ビート、何で来たんだよ?」
「そうよ、これじゃ敵の思う壺じゃない?」
二人の演技、だがそれは、見るに堪えない棒読み演技であった・・・
ベリーは思わず変顔になり戸惑うと、
(あの娘達ったら・・・これじゃ、あたしの考えた完璧な作戦がパーになるじゃない!?しょうがない、此処は時間を稼いで・・・)
「オーホホホ!そんな脅迫に屈するあたしじゃなくってよ?」
口に手を置き、トリオ・ザ・マイナーを挑発するベリー、なるべく時間を稼ぎ、相手の油断を誘おうとする。
だが・・・
「ちょっとぉぉ!私は、あんな変な笑い方しないわよ!!!」
「お、落ち着いてビート!ベリーも、あなたの笑い方まではわからなかったんだから」
「そうだよ!ねっ、もう少しだからぁ」
「もう・・・分かったわ」
ベリーの作戦通り、ジッと我慢して成り行きを見守っていてビートであったが、ベリーに変な笑い方をされ、不機嫌な表情を浮かべると、今にもベリーに抗議に向かいそうな勢いだった。慌ててビートを必死に押さえつけるせつなとラブ、ビートは渋々その場を耐えた。そんなビートを見たなぎさは、苦笑を浮かべながら、
「でもさぁ、普通、あんな笑い方思い付かないよねぇ?」
「うんうん、かれんさんぐらいですかねぇ!?」
「りん!何ですってぇ?」
なぎさの言葉で思い出したのか、りんは頷きながらかれんの名を出すと、キッとかれんがりんを一睨みする。即座に二人の相棒のぞみとこまちが、半笑いしながら二人を宥めた。
作戦が上手くって居るようで、ベリーの事をビートと思い込んでいるような、トリオ・ザ・マイナーに隙が出来たのを見たゆりは、
「じゃあみんな、そろそろ行動に移りましょう!」
「私とほのかとゆりは、あそこに居る人達を避難されるわ!」
「ひかりさん、万が一に備えて、私達と一緒に来て!」
ゆり、なぎさ、ほのかが行動を開始する。ほのかに頼まれたひかりは頷くと、
「分かりました!ルミナス!シャイニングストリーム!!」
ひかりがルミナスに変身すると、なぎさ、ほのか、ゆりと共に移動を開始した。それを見届けたのぞみは、
「みんな、私達も行くよ!」
のぞみの言葉に残ったメンバーが頷くと、
「「「「デュアル・スピリチュアルパワー!!」」」」
咲、舞、満、薫が、
「「「「「プリキュア!メタモルフォーゼ!!」」」」」
のぞみ、りん、うらら、こまち、かれんが、
「スカイローズ!トランスレイト!!」
くるみが、
「「「チェインジ・プリキュア!ビートアップ!!」」」
ラブ、祈里、せつなが、
「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」
つぼみ、えりか、いつきが、
一同がプリキュアへと変身を完了する。
「ビート、行くよ!」
「分かったわ!待ってて、ハミィ!今助けるから!!」
ドリームの言葉に頷いたビートは、俊敏に動き始めた。
今、一同が行動を開始した・・・
第二十九話:その名はビート!(前編)
完