1、もう、プリキュアにはなれない・・・
調べの館に戻った一同を待っていたのは、祈里だけでは無かった・・・
深刻な顔をした、大切な仲間達がそこには居た・・・
「ラブ、せつな、何であたし達に直ぐ連絡しなかったの?」
「のぞみも、くるみもだよ・・・あんた達、無茶しすぎだよ!!」
「ひかりも!あんた達の事、みんな心配してたんだよ?・・・でも、響と奏は無事に助け出せたんだね」
美希が、りんが、そしてなぎさや他の一同が、無事な響と奏の姿を見て、ホッと安堵の表情を浮かべた。
ラブ、せつな、のぞみ、くるみ、ひかりは、申し訳無さそうに一同に謝ると、慌てて響が言葉を挟み、
「みんな、違うの!みんなは、敵に浚われた私達の為に、危険を承知で駆けつけてくれた・・・悪いのは私達なの!!私達の所為で・・・不幸のメロディが、不幸のメロディが完成しちゃったの!どんなに謝っても許されないけど・・・ゴメン、本当に・・・」
止め処なく涙が響と奏から溢れる・・・
何度謝っても許される事では無いと、二人は泣きながら謝り続ける・・・
そんな二人をえりかが遮ると、
「スト~~プ!!あたし達、誰も響や奏を責めてないよ!悪いのはあいつら何だしさ」
「えりかの言う通りです!響さんや奏さんが気に病む事何てありません!!こんな非道な行ないをするなんて・・・私、堪忍袋の緒が・・・切れましたぁぁ!!」
えりかが、つぼみが、一同に泣きながら謝り続ける響と奏を庇い、目に炎を灯らせて悪いのはハウリングとノイズだと文句を言い、いつきは苦笑を浮かべるも、直ぐに真顔になり一同を見ると、
「みんな揃ったし、これからマイナーランドに乗り込みますか?」
いつきの言葉に反応し、慌てて響が申し訳なそうに、
「みんな、私と奏、エレンとアコは・・・ハウリングにト音記号を奪われた事で・・・もう、プリキュアになる事は出来ないの・・・」
響の言葉にざわめく一同、ゆりは険しい顔で、
「それは本当なの!?なのに、ハウリングが現われないのは何故かしら?」
「そうね・・・不幸のメロディが完成したのなら、音吉さんのオルガンを忌み嫌うノイズの事、真っ先に襲ってきそうな気もするけれど・・・」
ゆりの言葉にほのかも同意し、何故襲って来ないのか疑問が沸き起っていた。
「ハウリングはこんな事を言っていました。最早このマイナーランドも無用の長物、不幸のメロディに相応しいステージで、全世界に響かせてくれるって」
ひかりの言葉を聞き考え込む一同、ほのかの脳裏を、ある催しが思い描かれる。
「クリスマス・・・そうよ、クリスマス何だわ!」
「ほのか、どう言う事?」
「不幸のメロディに相応しいステージとは・・・加音町で開かれるクリスマスコンサートの事じゃないかしら?」
ほのかの思い付いた事がイマイチ理解出来ず、なぎさが問い返すと、不幸のメロディを、幸せの絶頂であるクリスマスの日に歌えば、幸せから不幸に、人々の悲しみの心は一層深まるだろうと語る。
ほのかの予想に、ゆりもかれんも同意する。
「ノイズ、ハウリングとの決戦は・・・加音町のクリスマスコンサート!!」
ほのかの言葉に頷く一同、響は、自分達はプリキュアにはなれないが、みんなのサポートをする事を心の中で誓った・・・
2、それぞれの思い
そして、加音町クリスマスコンサート当日を迎えた・・・
少女達は今・・・
美墨なぎさ・・・
「メリークリスマァァス!!」
24日、朝からテンションの高いなぎさに、父岳、母理恵、弟亮太は顔を見合わせキョトンとした顔をする。
「なぎさ、浮かれるのは良いけど、勉強の方、大丈夫何でしょうね?」
「アハハハ、ほのかとちゃんとしてるし、大丈夫・・・かな?」
「まあまあ、お母さん、なぎさもクリスマスくらい、苦しみますから解放されたいよなぁ?」
「お父さんったら、クリスマスと苦しみますを掛け合わせるなんて・・・最高!!」
「何処が?」
笑い合う岳と理恵に、亮太は冷めた視線を浴びせる。なぎさはそんな光景を胸に焼き付けるようにジッと見つめていた。
本来なら、センター試験間近で大変な時期である。受験生に取ってはクリスマス所では無いであろう・・・
だがなぎさは、ほのかとゆりと共に、プリキュアとしての使命を優先する事を選んだ・・・
部屋に戻ると、心配そうにメップルが話し掛けてくる。
「なぎさ、何か変メポ・・・」
「しょうが無いじゃない!これから、私達にはしなければならない事があるんだよ!」
響達四人の分まで、自分達が戦って見せると、なぎさは心に誓いを立てた・・・
月影ゆり・・・
ゆりは朝早くから起き、父の写真の前にご飯を盛りつけ拝んでいた。
(こんな時に、ダークプリキュア!あなたが居てくれたら・・・)
不安な心がそう思わせたのか、ゆりは思わずダークプリキュアの事を思い出した。ダークプリキュアが居てくれれば心強い、そう思った時、ゆりの母春菜がゆりに声を掛けた。
「ゆりちゃん、おはよう!早いのね?あらぁ、お父さんにご飯の用意をして・・・そうね、クリスマスぐらいは良いわよね」
「お母さん、おはよう!ゴメンなさい、ちょっとお父さんと話したくて・・・」
「ううん、良いのよ!じゃあ、朝ご飯にしましょう!!」
春菜が台所へと向かうと、先程中断した父、そしてダークプリキュアへの報告をする為、ゆりはもう一度父の写真を拝み、
(お父さん、あの時交わしたお父さんとの約束・・・お母さんを頼む!もしかしたら、果たせないかも知れません・・・でも私達は、プリキュアとしてこれから決戦の地へと向かいます!・・・駄目ね、こんな弱気になる何て・・・お父さん、ダークプリキュア、私達を見守って下さい!!)
ゆりはキッと目を開けると、母の手伝いをする為台所へと向かった・・・
九条ひかり・・・
「ゴメンなさい、アカネさん・・・クリスマスなのに・・・」
「いいって!どうせクリスマスに、たこ焼き買う人何てそんなに居ないからさ、毎年この時期は忙しくないし、息抜きしておいで!!」
「お姉ちゃんの分も、僕が手伝うから大丈夫だよ!」
「ありがとう・・・アカネさん、ひかる」
ひかりは、二人に満面の笑顔を浮かべた・・・
この平和な一時を奪う事はさせない・・・
ひかりは固い決意を胸に秘めた・・・
美翔舞・・・
朝の美翔家の食卓、自分の夢への思いを果たす為、毎日欠かさない牛乳を飲みながら朝食を取る和也、新聞を読みながらコーヒーを啜る父弘一郎、夕べも遅くまで仕事をしていたのか、まだ眠たそうに時折欠伸をする母可奈子、そんな家族の様子を、舞はスケッチブックに描き続けていた。
「何だ、舞!?熱心に描いて・・・何時も見慣れている光景だろう?」
「そうだけど・・・ちょっとね!」
和也が首を捻りながら舞に訪ねると、舞は恥ずかしそうにしながらも、再び熱心に家族の姿をスケッチし続けた。まるで、家族との思い出を胸に焼き付けるように・・・
「舞、熱心に描き続けるのは良いけど・・・咲ちゃん達と約束してるんじゃないの?早く食べないと、待ち合わせに遅れるんじゃないの?」
可奈子に注意された舞が時計を見ると、舞は慌ててパンをかじり、咲の家へと出掛けて行った・・・
日向咲、霧生満、霧生薫・・・
「ゴメンなさい!本当に、ゴメンなさい!!」
「其処まで必死に頼まれちゃしょうがないなぁ・・・」
「そうね、舞ちゃんや霧生さん達も一緒なのかい?」
「うん、此処で待ち合わせしてるから・・・みんな揃ったら出掛ける!」
咲の両親が営むベーカリーPANPAKAパンは、ケーキも販売していて、クリスマスの23日~25日は特に大忙しで、咲も本来なら手伝いをしなければならないのだが、咲は、父大介、母沙織に必死に頼み込み、今年は免除してもらっていた。
「「おはようございます!」」
「この声は、薫お姉ちゃんと満お姉ちゃんだぁ!」
嬉しそうな咲の妹みのりが、咲より早く飛び出し、薫に抱きつき出迎えた。薫も満もみのりを見てニッコリ微笑み、
「「みのりちゃん、メリークリスマス!」」
「メリークリスマス!!ねえ、薫お姉ちゃん、みのりも一緒に行って良いでしょう?」
「エッ!?それは・・・」
みのりの言葉に顔を見合わせ戸惑う満と薫、遅れてやって来た咲は、そんなみのりを窘めた。
「こら、みのり!お姉ちゃん達は、大切な用事があるから出掛けるんだよ!みのりは私の分まで、お父さんやお母さんを手伝って上げなきゃ駄目じゃない!!さあ、向こうに行った、行った!!」
「ブゥゥゥ!お姉ちゃんのケチ!!」
みのりは、頬を大きく膨らましながら奥へと引っ込んだ。満と薫は、微笑みながらその後ろ姿を見つめると、
「みんなの大切な日を・・・守らなきゃ」
「ええ、世界に不幸のメロディを響かせる何て・・・絶対にさせない!!」
満と薫、二人の思いに咲も同意し、
「うん、私達プリキュアが・・・」
「「「守って見せる!!」」」
咲、満、薫は胸に闘志を浮かべた・・・
夢原のぞみ・・・
「はいはい、今日は私が朝ご飯作ったんだよ!食べて、食べて!」
満面の笑顔を浮かべたのぞみ、その顔には卵の黄身が所々付いていた。母恵美と童話作家の父勉は、
「ほう、のぞみの手料理なんて・・・」
「のぞみ・・・全部卵焼き何だけど?」
「アハハハ、エェと、まだこれぐらいしか上手く出来なくて・・・」
のぞみが進んで手料理を作った事に驚くも、おかずは卵焼きスペシャルとでも言うべき、卵焼きのフルコースに苦笑を浮かべる。
「のぞみもそろそろ、もうちょっとお料理を覚えないとね・・・」
「そうだね、お母さんの親友の、料理上手な和代さん見たいに、のぞみにはりんちゃんが居るんだから、教わると良いよ!」
「お、お父さん!!」
勉は、りんの母、和代から料理を教わって覚えた恵美の事を思い出し、のぞみもりんに習うと良いと微笑むと、娘の前で暴露され、恵美は慌てふためく、
「エッ!?りんちゃんに習って卵焼き覚えたんだよ!!」
のぞみの言葉に、顔を見合わせ無言になる恵美と勉、
(のぞみ、ゴメンね・・・お母さんに似ちゃったのね・・・)
トホホ顔でのぞみの頭を無言で撫でる恵美であった。
のぞみは二人に笑顔を向けると、
「私、もっと、もっと、上手になって、お父さんやお母さん、将来のお婿さんに手料理を御馳走するんだぁ!!」
のぞみの脳裏に、人間姿のココに手料理を振る舞う姿が思い描かれ、ウットリするのぞみ、だが直ぐに表情を引き締めると、
(その為にも・・・私達は負けない!!)
のぞみの瞳に、闘志が燃え上がった・・・
夏木りん・・・
「ゆう、あい、クリスマスイブだからって浮かれてないで、さっさと片付けしちゃいなさい!お父さんも、お母さんも忙しいんだからね!お姉ちゃんも出掛けなきゃならないんだから、あんた達、自分の事は自分でするようにしなきゃ駄目だよ!!」
朝からりんに小言を言われ、弟ゆう、妹あいは、りんに舌を出しアカンベェをすると、コノォとばかりに怒ったりんに追い回される。
「りん、朝から何騒いでるの?お母さん達、これから配達に行くから、悪いけど、出掛ける前にお店の前掃いといてくれない?」
「分かった!ほら、あんた達もちゃんと片付けるんだよ!!」
母和代に頼まれ、エプロンをしたりんが店先の清掃を始める。ごく有り触れた何時もの日常、この平和を壊すわけには行かない。りんはこの平和を守る為に戦う事を改めて心の中に誓った・・・
春日野うらら・・・
「は~い、お父さん、お爺ちゃん、うらら特製カレー出来たよぉぉ!!」
「おお、これは美味そうじゃ!」
「本当ですねぇ・・・うららのカレーは絶品ですからねぇ・・・いただきま~す!!」
朝早くから、母親の残したレシピで作り上げたカレーを作ったうらら、祖父平三、父ミシェルが、美味しそうにガツガツ食べ始める姿を見つめ、うららは微笑みを向けた。
「私の友達のお母さんの名前も、まりあって言うの!最初聞いた時は、驚いちゃったなぁ・・・」
うららは、響の母で、かれんの両親と同じく世界的なバイオリスト、北条まりあの事を二人に語って聞かせると、ミシェルはまりあの事を薄々知っているようで、
「北条まりあ?うん、耳にした事があるね!のぞみちゃんのお父さんは童話作家、かれんちゃんのご両親も音楽家、そして、亡くなったまりあは舞台女優!うららは才ある人と出会う運命なのかも知れないねぇ・・・」
ミシェルはウンウン頷きながら感動するも、直ぐさま再びカレーをガツガツ食べ始める。
うららは二人の食べっぷりを、ニコニコしながら見守り、
(そう、私はのぞみさんと出会えた事で、沢山の人と知り合う事が出来た!もっと、もっと、私は色々な人と出会って見たい!!そして、自分の夢を叶えたい!!その為にも・・・)
うららは、心の中で戦い抜く覚悟を改めて誓った・・・
秋元こまち・・・
「こまち、どういう風の吹き回しだい?何か小説の題材でも思い付いたのかい!?」
「ううん、そうじゃないの!でも、私もたまにはお姉ちゃんのお手伝いをしたいと思って・・・」
こまちの実家の和菓子屋小町は、老舗で美味しいと評判だった。こまちの姉まどかは、和菓子屋の後を継ぐ事を決め、大学に通いながらも、熱心に和菓子作りを覚えようと必死だった。そんなまどかを、こまちの両親も口には出さないが、嬉しそうに仕込みの仕方を教えて居た。
(お姉ちゃんの夢は、和菓子を通じてみんなを幸せにする事、私は、小説を通して、みんなに感動を与えるような作品を書く事、道は違うけど、思いは同じ!私達の思いは・・・)
不幸のメロディなど歌わせてはいけない・・・
こまちの瞳に強い意志が宿る・・・
水無月かれん・・・
「お母様、いえ、特に用事と言う訳ではないんですけれど、久しぶりにお声を聞きたいと思いまして・・・はい、エッ!?日本に!?本当ですか?」
決戦を前に、両親の声を聞きたいと思ったかれんは、悪いと思いながらも両親の下に電話を掛けると、かれんの母は、正月公演を日本で行うから、年内に日本に帰ってくる事を伝えると、かれんの表情が輝く、電話を切ったかれんの嬉しそうな表情を見て、執事である坂本も、自分の事のように笑顔を向けた。
「よろしゅうございましたねぇ、お嬢様?」
「ええ、ありがとう・・・お父様とお母様が帰ってらっしゃる!!」
満面の笑顔を浮かべるかれんだったが、一口紅茶を口に含むと表情を改め、
(その為にも・・・ノイズの、ハウリングの、好きにはさせないわ!!)
かれんの瞳に、正義の炎が燃え上がった・・・
美々野くるみとダークプリキュア5・・・
「ココ様とナッツ様まで来て頂けるなんて光栄です!」
「気にする事は無いココ!」
「そうナツ、決戦が起こるこの日に、暢気に何かしていられないナツ」
「そうロプ、何が起こるか分からないロプ!シロップ達も、プリキュアの側に居るロプ」
決戦を前にナッツハウスにやって来たココ、ナッツ、シロップ、ナッツは会話をしながらも、小型の懐中電灯のような物を懸命に弄っていた。
「ナッツ様、それは一体!?」
不思議そうに見つめるくるみに、ナッツは組み立て途中の物体を渡すと、受け取ったくるみが色々弄くり回すも、何に使うかは理解出来なかった。
「それは、ミラクルガイドライト・・・このアイテムを使えば、邪悪な者が現われた時、先端のハートマークが点滅し、異変を知らせるナツ!そして、このスイッチを押すと・・・このアイテムを持っている他の者達に、光の道標を示してくれるナツ」
「それは凄いですねぇ・・・これがあれば、仮に誰かが邪悪な何者かと戦って居る場所まで、知らせてくれる・・・と、言う事ですか?」
くるみの言葉に頷くナッツ、だが、その表情は何処か冴えなかった・・・
「理論的にはそうナツ・・・でも、まだ何かが足りないナツ」
ナッツは、アイテム作りに行き詰まっているようだった。ココは、そんなナッツを心配そうに見つめるも、話題を変えて、少しナッツの気も晴らしてやろうと考えると、
「所で、ダークプリキュア5はどうしてるココ?」
「ええ、彼女達も、此処での生活にすっかり慣れ親しんだみたいです。ああして見ると、普通の人と同じに見えますね・・・」
りんのように、ナッツハウスにある花に水をやり労るダークルージュ、この世界の知識を得るように、ナッツハウスに置いてあった本を読み耽るダークアクア、ナッツハウスの周りを清掃するダークミント、洗濯をするダークレモネード、そして・・・
「はい、くるみに教わって作ってみたの!ホットケーキよ、良かったらどうぞ!!」
ダークドリームは、くるみに教わったと言いながら、今焼き上がったホットケーキを持ってくるとテーブルに置いた。テーブルに置かれた沢山のホットケーキに、シロップは人間姿に変化すると、
「ホットケーキ!!美味そうだなぁ・・・頂きまぁぁす」
口に放り込み、モグモグ頬張るシロップの表情が輝く、
「美味い!ココ、ナッツ、お前らも食って見ろよ!!ダークドリーム、お前料理のセンスあるなぁ!!」
そう言いながら美味しそうに食べ続けるシロップ、褒められて少し頬を赤くするダークドリームに、
「本当、誰かさんと違って教え甲斐あるわ!!」
名前は出さずとも、ココ、ナッツ、シロップの脳裏に真っ先に浮かぶ人物、のぞみ!!
「く、くるみ、そう言う事は・・・」
「言わない方がいいナツ」
「そう言うお前らも、真っ先にのぞみの事思い浮かべただろう?」
シロップに図星を指され、ココとナッツは狼狽えた。一同が笑顔を向ける中、他の四人も戻って来ると、くるみは表情を引き締め、
「こんな日常を無くさない為にも・・・」
「ええ、その為に私達は帰って来たんだから!!」
六人の少女達は、この世界を守る事を誓い合った・・・
蒼乃美希・・・
「美希ちゃん、最近忙しそうだけど、大丈夫なの?ママ心配よ!」
「大丈夫よ、ママ!これくらいで音を上げてたら、一流モデル何て夢のまた夢!そうでしょう、ママ?」
「それはそうだけど・・・何かあったら、さくらさんの所のももかちゃんに相談するのよ?」
「はいはい、ママは心配性何だから・・・」
「だってぇぇ・・・和ちゃんも最近あまり会いに来てくれないし、美希ちゃんも忙しいし・・・ママ寂しいわ!!
「もう、ママったら、和希にも時々は会いに来るように言っとくから、今日はクリスマスイブだし、和希もきっと顔を出すわよ!ねっ!!」
美希の母レミは、最近忙しい美希の事を心配するも、これぐらいで根を上げていては、一流モデルの道は厳しいと美希は思う。子供達がどんどん自分の手から離れていくようで、レミは不安を募らせていた。そんなレミを美希が励ます。まるでどっちが母親だか分からない光景であった。
「それじゃ、出掛ける準備があるから!」
美希は自分の部屋に戻ると、大好きな香水をアレンジし、テンションを高めた。
「あたし、完璧!!待ってなさい、ノイズ!ハウリング!あなた達の好きなようにはさせないんだから!!」
美希の瞳に気合いがこもった・・・
山吹祈里・・・
クリスマスイブのこの日も、祈里の家は賑やかな朝を迎えていた。預かっている動物達がある者は吠え、ある者は鳴く、
「みんな、おはよう!昨日はちゃんと眠れた?」
そんな入院している動物達に挨拶して回る祈里、祈里の側にはキルンが飛び回り、動物の話す言葉が祈里の耳に入ってくる。祈里はウンウン頷きながら、動物達との会話を楽しんでいた。
「祈里、朝ご飯出来たわよ!」
「ハァイ!今行きます!!」
母尚子に呼ばれ、祈里は手を洗い朝食を食べ始める。体格の良い、髭もじゃの祈里の父正は、豆腐の味噌汁を啜りながら、
「祈里、今日は遅くなるのかい?」
「うん、もしかしたら・・・泊まりになるかも!?」
祈里の言葉に、思わず飲んでいた味噌汁が器官に入り咽せる正と、不安そうな表情で祈里を見る尚子、祈里は慌てて首を振ると、
「お父さんもお母さんも、勘違いしてるでしょう?ラブちゃん、美希ちゃん、せつなちゃんも一緒だから安心して!!前に遊びに来た事がある女の子の友達ばかりだから・・・」
「な、何だそうか!?祈里、脅かさないでくれよ!!ハハハハハハ」
豪快に笑い飛ばす正と、ラブ達が一緒ならとホッと安堵する尚子、祈里はゴメンなさいと苦笑を浮かべると自分の部屋へと戻った。
「さあ、支度しなくちゃ・・・響ちゃん達の分まで、私達が頑張らなくちゃ!!」
プリキュアになれない響、奏、エレン、アコの分まで、頑張る覚悟をする祈里であった・・・
桃園ラブと東せつな・・・
「いやぁ、夕べからせっちゃんが来てくれる何て・・・嬉しくて、嬉しくて!」
「本当、前もって知らせてくれたら、せっちゃんの好きな料理でも用意して待ってたのに・・・」
「ゴ、ゴメンなさい!急に来て迷惑でした?」
「何言ってるの!ここはせっちゃんの家何だから、好きな時に帰って来てくれれば良いのよ!!」
「そうだぞ、せっちゃん!」
「はい!!」
せつなが帰って来た事で、ラブの父圭太郎、母あゆみも大いに喜んでいた。せつなも嬉しそうにあゆみが用意した朝食を食べ始める。そんなやり取りを微笑ましく見守っていたラブは、足下の二人に視線を移すと、
「アハハハ、あのぅ、タルトやシフォンも居るんだけどぉぉ?」
「エェンや・・・わいら何て、所詮オマケ何や・・・」
「ブゥゥゥゥ」
拗ねるタルトとシフォンの頭を撫でたあゆみは、
「オマケ何て思う筈が無いでしょう?タルトちゃんも、シフォンちゃんも・・・せっちゃんと同じ、家の大事な家族何ですから!!」
そう言ってあゆみが微笑むと、シフォンとタルトは感動してあゆみの胸に飛び込んだ。
「アハハハ、タルトもシフォンも意外と単純だね・・・」
「ピーチはんには言われたくないわ・・・隙ありやぁぁ!!」
ラブが最後に取っていたコロッケを奪い取り、代わりに人参を置いたタルトを追いかけ回すラブ、
「タルトぉぉ、私のコロッケ返せぇぇ!!」
「もう食べてしもうたわぁ!代わりに人参を置いて上げたやろう?」
「私が人参嫌いなの知っててやったなぁぁ!!」
ドタバタ追いかけっこを続けるラブとタルトに、あゆみはシフォンの名を呼ぶと、シフォンの力によって、二人は強制的にテーブルに引き戻され、あゆみにゴメンなさいをする。
そんな二人を見て、せつなが、あゆみが、圭太郎が笑いだすと、ラブとタルトも笑い合った。何気ない日常かも知れないが、ラブとせつなは、こんな光景を失わさせないようにしなければと、決意を新たにするのだった・・・
来海えりか・・・
「えりか、珍しいわねぇ!?あんたが早く起きる何て・・・雪でも降るんじゃないかしら?」
「もう、いいじゃん!やりかけた衣装が残ってたから作ってたの!!そうだ、もも姉ぇ!美希姉ぇが感謝してたよ!」
「エッ!?美希ちゃんが?・・・何かしら?」
「ほら、美希姉ぇに急用が出来たから、その穴埋めにもも姉ぇが出てくれた事があったじゃない!」
「ああ、先週の事?それなら美希ちゃんに直接電話でお礼言われたわよ!」
「本当は直接お礼に行きたいんだけどって・・・」
ももかが美希の代わりを勤めたのは、ちょうど響と奏がハウリングに浚われた時である。美希は、スタッフに無理に頼み込んであの場に駆けつけていた。別のスタジオで撮影を終えていたももかは、その事を知ると美希の代りを引き受け、その場を乗り切った事があった。
「もも姉ぇ、完成したら着てみてくれない?」
「エッ、私が!?」
「そう、あたしがデザインした服を、もも姉ぇに着て貰いたかったんだ・・・」
「フゥン・・・」
ももかも、えりかのファッションの才能を認めていた。前に文化祭でゆりと共に特別出演した時、妹ながら、えりかのデザインは抜きん出ていると感じていた。
「えりか、そろそろ朝ご飯食べちゃってよ!」
下から母さくらに大声で呼ばれるえりか、ももかは思い出したのか、
「あっ、いけない!えりかを呼びに来てすっかり忘れてた・・・ほら、えりか行くよ!!」
「分かった!さてと・・・」
えりかは自分の夢の為にも、今日の決戦、必ず勝つぞと気合いを入れた・・・
明堂院いつき・・・
「熊本さん、一手お願いします!」
「分かりました・・・デヤァァ!!」
「タァァ!」
何処か砂漠の使徒の幹部、クモジャキーに似た赤髪の青年に、組み手を頼んだいつきが鍛錬を行っていた。ただ黙って時を待つより、身体を動かす方がかえって落ち着ける状態だった。
「いつきも髪を伸ばし出したりして、大分本当の気持ちを表面に出し始めたわねぇ・・・」
「そうですね・・・私がもっと早く手術を決断していればと悔やまれます」
「さつき、気に病む事は無いのですよ!」
いつきの母つばき、いつきの兄さつきが、そんないつきの稽古の様子を見守る。さつきは手術のお陰もあって、再び明堂院流の稽古を出来るほど回復していた。元々さつきも才あるものだったのであろう。今ではいつきをも上回る技量を身に付けていた。
(僕達プリキュアが取り戻した平和を・・・再び闇の好きにはさせない!!)
自己の鍛錬をし、今日の決戦に備えるいつきだった・・・
花咲つぼみ・・・
背中に背負った妹ふたばと共に、庭の花壇に水をやるつぼみ、ふたばはまだ起きるのは早かったのか、つぼみの背でスヤスヤ眠っていた。
「ふたば、どうですか?綺麗でしょう!お花は心を和ませてくれるんですよ!きっとふたばも好きに・・・って、寝てるし!」
「しょうがないですぅ!まだまだ赤ちゃんですぅ!!」
「そうですね、ちょっと早く起こしすぎましたね・・・私も本当はもっと寝ていたかったですけど・・・」
パートナー妖精のシプレと会話するつぼみに、出勤前の薫子が声を掛けると、
「つぼみ、みんなに油断しないように伝えて頂戴!私も力になりたいのだけれど・・・」
「大丈夫です!お婆ちゃん、みんなの力を合わせれば・・・きっと勝てる筈です!!」
薫子は、心に一抹の不安が過ぎっていたが、あまり不安がらせるのも不味いと思うと、
「そうね、ゆりちゃん達も参加してくれるし・・・つぼみ、世界を頼んだわよ!!」
「はい!!」
つぼみは薫子に返事を返すと、薫子は満足気に頼もしい孫に微笑みを向けた。
「つぼみ、まだ早いから、ふたばはもう少し寝かせて上げて!」
「はい!今戻ります!!じゃあ、お婆ちゃん行ってらっしゃい!!」
つぼみは、薫子を見送ると、母みずきに言われたように、ふたばを再び寝かす為、家に戻ると、
(ふたば、お姉ちゃん頑張ってくるからね!)
スヤスヤ気持ち良さそうに眠るふたばのおでこにキスをし、つぼみは気持ちを新たに引き締めた・・・
調辺アコ・・・
アコは不安だった・・・
プリキュアになれない自分達は、一体どうしたらいいのか?朝食の支度を終えた音吉に、その不安な心を打ち明けると、
「アコ、闇雲に不安がっていては、勝てる戦いも勝てなくなってしまうぞぉ?お前達には、頼もしい仲間達が付いておるじゃろう・・・違うか?」
「ううん!お爺ちゃんの言う通り、私達には・・・大勢のプリキュアの仲間達が居てくれる!!」
アコは音吉に微笑むと、朝食を食べ始めた。例え、自分達がプリキュアにはなれなくても、みんなならきっと何とかしてくれると信じて・・・
北条響と南野奏・・・
Lucky Spoonでは、クリスマスコンサートで配るカップケーキ作りにてんてこ舞いだった。奏の父奏介、母美空、そして奏がカップケーキを作り、弟の奏太も出来上がったカップケーキを袋詰めしていた。
「おはようございまぁす!何か手伝う事あれば、手伝いますけど?」
「響、おはよう!」
響は、決戦の今日、中々熟睡する事が出来ず、だったら奏の店の手伝いをしていた方が気が紛れると、Lucky Spoonへとやって来た。出迎えた南野家の面々、奏は、響の顔を見るや、自分と同じように、ただ黙って時を待つより、何かをして気を紛らわしたいんだろうと理解して、思わずクスリと笑んだ。
「じゃあ、響には・・・奏太と一緒に出来上がったカップケーキに、ラッピングでも頼もうかしら?」
「OK!任せて!!」
腕まくりをすると、早速ラッピングを始める響、奏介も美空も、人手が増えるのは心底嬉しかったが、
「響ちゃん、良いのかい?」
「数ヶ月振りにお母さんも帰ってるのに、悪いわぁ・・・」
「いやぁ、家はまだ二人共寝てるし、ちょっと身体を動かしたい気分だったから・・・」
テレ笑いを浮かべた響に、奏は、作り終えたカップケーキをお盆に乗せ、響の下に持ってくると、
「それは助かるわ・・・ハイ!追加!!」
「ウッ!?本当に扱き使う気でしょう?」
「まあね!ところで、ハミィは!?」
「ハミィなら、エレンの所に先に行ってるってさ!」
響、奏、エレン、アコは、加音町クリスマスコンサートの関係者として、夕方からのコンサート準備に行く事になっていた。着替えは、調べの館の一室を借りているエレンの部屋でする事を決めた四人、ハミィは、エレンを心配し、先に調べの館に出掛けていた。
「このカップケーキを・・・大勢の人達に笑顔で食べて貰いたいよね?」
「ええ、今の私達じゃ、みんなの役には立てないかも知れないけど・・・」
「私達は、今出来る事をしよう!」
「ええ、みんなを信じて!!」
見つめ合った響と奏、二人は仲間を信じ、再びカップケーキ作りに精を出した。
黒川エレン・・・
「ハミィ、外は寒かったでしょう?こたつで暖まって!」
「セイレーン・・・昨夜は眠れなかったのかニャ!?」
心配そうにエレンの顔を見つめるハミィ、エレンの目の下には隈が出来ていた。エレンはコクリと頷くと、
「何時、ノイズとハウリングが襲ってくるかと思うとねぇ・・・」
心配げな表情を浮かべるエレンに、ハミィはエレンの隣に移動すると、
「セイレーン、他のプリキュアのみんなを信じるニャ!今は、ゆっくり休むのも大切ニャ!!」
「ありがとう、ハミィ!そうよね・・・みんなが来てくれれば!」
ハミィの言葉に元気づけられたエレンは、ハミィと一緒に顔だけこたつから出すと、二人は楽しげに会話をし、やがて眠りに付いた・・・
雪城ほのか・・・
「お婆ちゃま、お肩を揉ませて下さい!」
「おやおや、急にどうしたのかしら?じゃあ、お願いしましょうかねぇ・・・」
ほのかは頷き、労るように祖母さなえの肩を揉み始める。外では、愛犬忠太郎がさなえの部屋の前で眠っていた。
「これからなぎささん達と出掛けるんでしょう?」
「うん!今日は遅くなるかも知れないけど・・・」
「ええ、気をつけて行ってらっしゃい!ほのか・・・あまり思い詰めては良い結果は得られませんよ?何時もの通りが一番です!!自分が、自分がなどと思わず、何時もの通りにね・・・ああ、ありがとう!お陰で楽になりましたよ!!」
まるで全てを知っているようなさなえの言葉に、ほのかはハッとするも、さなえはほのかに微笑みながら、肩を揉んでくれた事を感謝する。ほのかの脳裏に今のさなえの言葉が思い出される。
(何時もの通りに・・・確かにお婆ちゃまのいう通りね!でも、響さん達の事を思うと・・・)
さなえの言う事は分かる・・・
だが、プリキュアになりたくてもなれない響達の事を思うと、ほのかはやはり、自分達がしっかりしなければと表情を引き締めた。
そんなそれぞれの思いを胸に、少女達は今、決戦の地加音町へと旅立つ・・・
必ず世界を救うと誓いながら!!
第三十六話:決戦の朝!
完