プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第四十話:伝説の戦士プリキュア!

1、謎の少女達

 

 横浜中華街から程近い場所にある横浜みなとみらい・・・

 

 ランドマークタワーや、日本丸パーク、赤レンガ倉庫、コスモワールド、クイーンズスクエアなどで有名な近代都市で、毎年7月と8月には花火大会が行われることでも有名で、山下公園も直ぐ側にあり、更なる発展を期待される大型都市である。

 

 この日も家族連れや、カップル、仲間同士など、多くの人々が訪れていた・・・

 

 道行く人々からは楽しげに笑顔が溢れていた・・・

 

 

 そんなみなとみらいに、ゆっくり、ゆっくり下降してくる物体があった。物体は、ランドマークタワーの天辺に降りると、景色を一望するかのように眼下の景色を眺めた。楽しそうな人々の声が頭の中に響いてくる。

 

(ボクガコンナニクルシンデイルノニ・・・ナニガタノシインダァァァ!!)

 

 降り立ったのは、クライナーと化したアンデであった。アンデは、まるで憎しみの虜になったかのように、黄色い身体が徐々に黒ずんで行った・・・

 

(コンナマチ・・・キエチャエェェェ!!)

 

 まるでアンデの意思を吸い取ったかのように、クライナーが無数に分裂すると、みなとみらいに降り注いでいった・・・

 

 ポトリ、ポトリと落ちてくる無数の物体・・・

 

 当初、人々は雨かと思い上空を見つめるも、肌に触れる物体を見て人々は悲鳴を上げた・・・

 

「な、何だこれは・・・う、動いてるぞぉぉ!?」

 

「キャアァァァ!誰か、誰か、これ取ってぇぇ!!」

 

 悲鳴を上げながら逃げ始める人々、黒い物体はそんな人々を気にせず、みなとみらいの地を蠢く・・・

 

(コンナマチ・・・スベテクイツクセ!)

 

 アンデの意思が伝わったかのように、クライナーは辺りの物体を体内に取り込み始める。建築物、木々、昆虫など、次々に体内に取り込んでいく・・・

 

 その中には、シンボル的な存在、日本丸も含まれていた・・・

 

「見て・・・何か大きくなってない?」

 

 何人かの人が、クライナーが大きくなっている事に気付く、クライナーは不気味にモゾモゾ動くと、融合してどんどん巨大化していった・・・

 

「コンナマチ・・・ボクガアトカタモナクコワシテヤル!!」

 

 アンデの意思を更に汲み取ったかのように、クライナーはモゾモゾ更に巨大になると、何処か船を思わせる容姿に変化した。黒い船のような出で立ちは、まるで、横浜開港150周年記念のマスコットキャラであった、ペリー・テイトくんを更に凶暴そうにしたようでもあった。

 

 船の形の両脇から腕を生やし、下方に二本の足を生やし、逃げ惑う人々を追いかけるクライナー、アンデの理性は完全に崩壊した・・・

 

 

 

「ひかり・・・何か妙な気配を感じるポポ」

 

「ルルンも・・・感じるルル」

 

「二人共、妙な気配って?」

 

「分からないポポ・・・でも悲しくて暴れてるポポ」

 

 ポルンとルルンは、妙な気配を感じひかりに知らせると、ひかり、側に居た満と薫の顔色も変わる。二人の妖精は何を感じたのか・・・

 

 

 最早自棄気味に、自らも中華まんを頬張るなぎさであったが、ほのかとゆりに、店の迷惑になるから、場所を変えましょうと促され、移動しようとした矢先、山下公園方面から人々が逃げ惑う姿が飛び込んでくる。

 

「何だろう!?何かあったのかなぁ?」

 

「いちゅきぃ・・・向こうの方で、何か嫌な感じがするでしゅ!」

 

 逃げ惑う人々を見たいつきが小首を傾げると、ポプリがいつきに抱きつき、何か嫌な感じがすると伝える。さっきのポルンとルルン、そして、ピーちゃんの忠告もあって、咄嗟に顔色を変える少女達は、

 

「気になるわね・・・さっきのピーちゃんの忠告もあるし、行ってみましょう!!」

 

 ゆりの言葉に頷く一同、のぞみは手に持っていった中華まんを一気に頬張り、喉に詰まらせ、りんに背中を叩いて貰う。

 

「全く・・・ほら、お茶でも飲みなさい!!」

 

 のぞみは、りんから貰ったペットボトルのお茶を飲み干すと、

 

「あ、ありがとう、りんちゃん・・・おじさん、また後で食べに来るからねぇ!!」

 

 店員に手を振りながら、のぞみが一同の後を追った・・・

 

 

 

 巨大な船のような姿になったクライナーは、汽笛部分から黒煙を吐き、横浜の空を黒く覆っていく。逃げ惑う人々が悲鳴を上げる。楽しい一時は終りを告げ、非現実的な事態が目の前で起こっていた。

 

「一体、何が起こっているの?」

 

 不安そうに、黒煙に覆われていく横浜の空を見上げる女性が呟く、泣きじゃくる子供が母親に縋り付く、

 

「に、逃げろ!津波だぁ!!黒い津波が・・・」

 

 バイクに乗った男が、大声を張り上げながら逃げ惑う人々に、津波が来るから逃げろと知らせる。更なるパニックが一同を襲う・・・

 

 

 

「な、何!?あれは・・・空が!?」

 

「なぎさ!闇の気配がするメポ」

 

「みんな、嫌な気配がするラピ」

 

 驚くなぎさにメップルが、一同に忠告するようにフラッピが、闇の気配を感じると告げると、少女達は無言で頷き合い、人の少ない場所に向かい走って行き、辺りに人気が無いのを確認すると、

 

「「デュアル・オーロラウェーブ!!」」

 

「ルミナス、シャイニングストリーム!!」

 

「「「「デュアル・スピリチュアルパワー!!」」」」

 

「「「「「プリキュア!メタモルフォーゼ!!」」」」」

 

「「「チェインジ・プリキュア!ビートアップ!!」」」

 

「「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」」

 

「「「レッツプレイ!プリキュア!モジュレーション!!」」」

 

 少女達の身体が、忽ち光の中に包まれていった・・・

 

 

 

(スベテノミコンジャエ!!)

 

 クライナーから吐き出された黒いオイルのような物体が、みなとみらいを津波のように飲み込んで行った・・・

 

「ママ!怖いよぉぉぉ!!」

 

「大丈夫、ママが、ママが付いてるからねぇ!!」

 

 しがみつく幼女を抱きしめる母親、このままでは黒い波に飲み込まれる!

 

 そう思った母親は、思わずギュっと娘を抱きしめるも、波に飲み込まれる事は無かった・・・

 

 幼女が恐る恐る目を開けた時、幼女の目の前で、黄色い髪の少女が、バリアーを張って黒い波を止めていた。少女は背後を振り向き、母子に声を掛け、

 

「大丈夫ですか?今の内に此処から離れて下さい!!」

 

「は、はい・・・ありがとうございます!!」

 

 母親は驚くも、素早く立ち上がると、一目さんに走り出し、幼女は手を振って少女にありがとうと笑顔を向けた。

 

「これ以上、この街を滅茶苦茶に何てさせません!!ハァァァ!!」

 

 母娘を救ったのはシャイニールミナス!

 

 ルミナスが更なる気を高めると、光のバリアーが輝きを増し、黒い波を押し返して行った。それを見届けたルミナスは、上空高くジャンプした。

 

 

「俺達、助かったのか?」

 

 逃げ惑っていた人々は、黒い波が押し戻されていく様子を見て呆然として思わず立ち止まった。何故助かったのか、理解出来なかった・・・

 

「お、おい、あの化け物・・・またこっちに向かってくるぞ!!」

 

「警察・・・いや、自衛隊はまだ来ないのか?」

 

「い、いや、待て・・・おい、見ろ!観覧車の上に・・・誰か居るぞ!?」

 

 逃げ惑っていた人々は、向かってくるクライナーの前にある、観覧車の上に佇む少女達を見付けた。少女達は、向かってくるクライナーに怯みもせず、観覧車の上で迎え撃とうとするかのように佇んで居た・・・

 

 その数、一人、二人、五人、十人、いや、それ以上の少女達の姿が・・・

 

 総勢22人の少女達が、観覧車の上で佇んで居た・・・

 

 

「あの後ろ姿・・・見覚えがある!俺が幼い頃に見た少女に・・・」

 

「おじさん・・・あの子達を知ってるんですか?」

 

 少女達の姿に見覚えがあると言った60前後の茶色いジャケット姿の男性に、側に居たカメラを首に提げた下は赤いスキニーパンツ、上はブラウン系のロングブラウスを着た眼鏡の少女が問い掛けると、男性は少女を見て頷き、

 

「ああ、似たような少女を知っている!最も、50年ぐらい前の話だが・・・俺が子供の頃、俺は一度化け物になったような夢を見た・・・」

 

 男性が語った内容は大体こうであった・・・

 

 幼い頃、彼は夢の中で化け物になったような気がした。目の前のクライナーのように暴れ回る彼の前に、一人の少女が立ち塞がった。ピンク色の衣装を纏った少女は、圧倒的強さで化け物となった彼を弱らせると、花の輝きを放った。その光に包まれた時、非常に安らいだ心になったのを覚えて居ると語った。

 

「目を開けた俺に、目の前に居た少女は、微笑みながらこう言ったんだ・・・大丈夫、あなたのこころの花は枯れて居ないわ・・・とね」

 

 その当時、彼を救ったのは、つぼみの祖母である花咲薫子、キュアフラワーであった!!

 

 薫子は、砂漠の使徒によってこころの花を奪われ、デザトリアンにされた彼を救ったのだった・・・

 

「そんな事が・・・私もあの中の5人に救われた事があるんです!彼女達はこう言ってました・・・プリキュア!プリキュア5って!!」

 

 眼鏡の少女がカメラのファインダー越しに、自分を救ってくれた五人のプリキュア達を見つめ、シャッターを押しながら男性に語った。

 

 少女の名前は、増子美香!

 

 のぞみ達と同じ、サンクルミエール学園高等部の生徒である。高校生になった彼女は、高等部でもサンクルミエール通信を発行していた。美香は、みなとみらいで開催されていた写真展を見に来ていて、この場面に遭遇していた。こんな状況にあっても、写真を撮りまくるのは、流石と言えば流石であった・・・

 

「プリキュア?私も聞いた事ある!確か、世界が砂漠になった時、世界を救ってくれたのがプリキュアだって、ネットで見た気がするわ!!」

 

「私が知り合いから聞いた噂は・・・四つ葉町って街の危機に、必ず現われた少女達がプリキュアって聞いたけど?」

 

 プリキュアと言う名を聞き、美香の周りの人々からざわめきが巻き起こった。都市伝説で聞いた事がある、世界を救った英雄、プリキュアという名が、今現実に目の前に現われたのだから・・・

 

 プリキュアの伝説・・・

 

 それは本当の事だったのか?人々の視線が、目の前の観覧車の上で佇む謎の少女達に向けられた・・・

 

 

 

「やれやれ、たまたま来ていた横浜で、プリキュアになるとは思わなかったね?」

 

「ええ、でも私達が来た以上・・・これ以上好きにさせない!!」

 

「み、皆さん・・・何故観覧車の上に陣取るんですか?」

 

「そう言えば、ブロッサムは高い所苦手だったっけ?」

 

 ブラックとホワイトの会話に、ビビリ顔のブロッサムが一同に尋ねると、マリンはブロッサムが高い場所は苦手だったと思い出し、ポンと手を叩いた。

 

「みんな・・・行くわよ!!」

 

「エェェ!?」

 

 ムーンライトは口元に笑みを浮かべると、一同に合図を送った。合図と共に観覧車から飛び出した一同、置いて行かれたブロッサムは動揺するも、直ぐに一同の後を追った。

 

「お、おい、あの子達・・・あの怪物と戦う気だぞ!?」

 

 プリキュア達がクライナーに対し攻撃を開始すると、人々から響(どよ)めきが沸き起った。

 

 

 

「ヒカリノチカラ・・・ナゼボクヲイジメル!!」

 

 ランドマークタワーの天辺に居るアンデは、自分の分身とも言えるクライナーを攻撃してくるプリキュア達に苛立ちを覚えて居た。苛立ちを鎮めるかのように、クライナーが益々暴れ始めると、

 

「ピィィィィ!!」

 

 何かを感じたのか、観覧車の上に止まっていたピーちゃんは、上空に飛び上がるとランドマークタワー目掛け羽ばたいた。

 

「ピーちゃん!?一人で行ったら危ないよ!!」

 

 羽ばたくピーちゃんの後を追うミューズを見て、メロディとリズムもその後に続いた。

 

 ランドマークタワーの天辺に居るアンデ目掛け、懸命に羽ばたくピーちゃんであったが、アンデの意思はそれを拒み、ピーちゃんは、クライナーが放った、散弾銃のような黒い塊の攻撃を受けそうになるも、顔色変えたミューズが、咄嗟にピーちゃんを庇うように、錠盤のバリアーを放ち、何とか攻撃を防いだ。

 

「ミューズ、ピーちゃん、大丈夫!?」

 

「ええ、何とかね!よくもピーちゃんを・・・」

 

 メロディの言葉に大丈夫と応えるミューズと、ピィィと一鳴きしたピーちゃんを見て、メロディとリズムはホッと安堵する。

 

 ピーちゃんに危ないから離れているように伝えた三人は、クライナーが再び吐き出した黒い塊を、パンチやキックで弾き返し、援護に来た他の一同と共に、クライナーに再び総攻撃を開始した。

 

 ピーちゃんは、名残惜しそうにランドマークタワーを見上げるも、ミューズに言われたように、少し離れたビルの屋上から、プリキュア達の戦いを見守るのだった・・・

 

 

 

「このまま街中で戦わせるのは、得策じゃないわ!海に追い込みましょう!!」

 

「分かりました!ブロッサムゥゥ・シャワー!!」

 

 ホワイトの提案に同意し、ブロッサムがブロッサムシャワー、マリンがマリンシュート、サンシャインがサンシャインフラッシュで牽制し、アクアとルージュが、サファイアアローとファイヤーストライクを放ち、レモネードがクライナーの足をプリズムチェーンで絡め取る。

 

 不愉快そうに奇声を発しながら、クライナーが再び散弾銃のように黒い塊を放出すると、ミントがエメラルドソーサーを、サンシャインがサンシャインイージスを、ブルーム達四人が手を繋ぎ合い、バリアーを放ち防御する。逸れた攻撃にはルミナスが対処に辺り、クライナーの攻撃が、みなとみらいにダメージを与える事は無かった・・・

 

「ルミナス、後をお願い!」

 

 守りをルミナスに託すと、ブルーム、イーグレット、ブライト、ウィンディの四人が、足下に力を溜め、上空高く飛ぶ、それを見たクライナーが、四人に対し汽笛から大砲のように黒い光球を発すると、四人は手を握り合い、バリアーを張りながら降下してくる。攻撃を全て受けきると、両端に居たウィンディとブライトが、ブルームとイーグレットから手を離し、

 

「風よ!吹き荒れよ!!」

 

「光よ!闇を打ち消せ!!」

 

 ウィンディとブライトが、下降しながら風の力と光の力でクライナーを怯ませると、見つめ合ったブルームとイーグレットは頷き合い、

 

「精霊の光よ!命の輝きよ!」

 

 イーグレットが叫べば、

 

「希望へ導け!二つの心!」

 

 ブルームが叫ぶ、

 

「「プリキュア!スパイラル・ハート・・・」」

 

「「スプラ~~ッシュ!!!!」」

 

 更なる下降を始めたブルームとイーグレットが、スパイラルハートスプラッシュを空中から浴びせると、クライナーは、その威力に海辺に押し出されて行った。

 

 

「もう一息!行くよ、ベリー!パイン!悪いの、悪いの、飛んでいけぇ!プリキュア!ラブサンシャイン!!」

 

「悪いの、悪いの、飛んでいけ!プリキュア!エスポワールシャワー!!」

 

「悪いの、悪いの、飛んでいけ!プリキュア!ヒーリングプレア~!!」

 

 ピーチ、ベリー、パインが必殺技を放てば、それに合わせるように、メロディ、リズム、ミューズの三人が手を繋ぎ合い、

 

「私達も続くよ!」

 

「「「プリキュア!パッショナートハーモニー!!!」」」

 

 六人のプリキュアの攻撃で蹌踉めいたクライナーの隙を逃さず、ブラック、ホワイト、ムーンライト、ドリームがクライナーに突っ込むと、

 

「ダダダダダダダダ!!」

 

「ヤァァァァァ!!」

 

「プリキュア!フローラルパワー・フォルテッシモ!!」

 

「プリキュア!シューティングスター!!」

 

 ブラックとホワイトの怒濤のパンチとキックの連打が、ムーンライトのフォルテッシモが、そして、ドリームのシューティングスターがクライナーに炸裂する。

 

 四人の波状攻撃を受け、クライナーは完全に海中に押し出され、水飛沫が巻き起こるのを見た人々から、大歓声が湧き上がった・・・

 

「良いぞ!プリキュアァァァ!!」

 

「プリキュア!プリキュア!プリキュア!!」

 

 鳴り響くプリキュアコールに応えるかのように、少女達が埠頭に集結すると、

 

「みんな、これで決めるよ!!」

 

 ブラックの合図に頷く一同、

 

 ルミナスから発せられた虹の光が、ブラックとホワイトを包み込む。

 

「漲る勇気!」

 

 手を回転させながらブラックが構え、

 

「溢れる希望!」

 

 ブラックと同じように手を回転させホワイトが構えた。

 

「光輝く絆とともに!」

 

 ハーティエルバトンを構えたルミナスが、そして足を広げ踏ん張るブラックとホワイトが気合いを込め、ブラックとホワイトの前方に巨大なハートが浮かび上がると、

 

「「エキストリーム!!」」

 

「ルミナリオォォ!!」

 

 ブラックとホワイトの叫び声がハモリ、気合いを込めたルミナスの叫びが響き渡る・・・

 

 

 ブルームはベルトに、イーグレットは左手に付いているハート形の中心部分にリングを装着し、ブライトはベルトに、ウィンディは左手に付く星形の中心部分にリングを装着する。

 

「「精霊の光よ!命の輝きよ!」」

 

 イーグレットとウィンディが叫べば、

 

「「希望へ導け!二つの心!」」

 

 ブルームとブライトが叫ぶ、

 

「「プリキュア!スパイラル・ハート・・・」」

 

「「プリキュア!スパイラル・スター・・・」」

 

「「「「スプラ~~ッシュ!!!!」」」」

 

 四人のプリキュアから発射された強大な光が、クライナー目掛け突き進む・・・

 

 

 ブロッサムが、ブロッサムタクトを、マリンがマリンタクトを取り出し、サンシャインがシャイニータンバリンを、ムーンライトがムーンタクトを取り出し、勝負に出る。

 

「花よ、輝け!プリキュア!ピンクフォルテウェ~イブ!!」

 

「花よ、煌け!プリキュア!ブルーフォルテウェ~イブ!!」

 

「花よ、舞い踊れ!プリキュア!ゴールドフォルテバースト!!」

 

「花よ、輝け!プリキュア!シルバーフォルテウェ~~イブ!!」

 

 四人から放たれたフォルテウェイブが、クライナー目掛け飛ぶ、

 

 

「ベリー!パイン!」

 

 ピーチの合図にベリーとパインが頷く、ピーチがピーチロッドを、ベリーがベリーソードを、パインがパインフルートを取り出し、

 

「「「悪いの、悪いの、飛んでいけ!」」」

 

「プリキュア!ラブサンシャイン・・・」

 

「プリキュア!エスポワールシャワー・・・」

 

「プリキュア!ヒーリングプレアー・・・」

 

「「「フレ~~ッシュ!!!」」」

 

 ピーチから桃色のハート型の光弾が、ベリーから青いスペード型光弾が、パインから黄色いダイヤ型の光弾が同時に発射される。三人の合体技プリキュアトリプルフレッシュが放たれる。

 

 

「リズム、ミューズ、私達も続くよ!翔けめぐれ、トーンのリング!プリキュア!ミュージックロンド!!」

 

「翔けめぐれ、トーンのリング!プリキュア!ミュージックロンド!!」

 

「シ、の音符のシャイニングメロディ!プリキュア!スパークリングシャワー!!」

 

 メロディ、リズムのミュージックロンドが、ミューズのスパークリングシャワーがクライナー目掛け飛んでいく。

 

 

「ルージュ、私達も援護しましょう!プリキュア!サファイア・アロー!!」

 

「了解!プリキュア!ファイヤーストライク!!」

 

 ココがこの場に居ない為、フルーレを出せないプリキュア5、アクアとルージュが、一同の援護にと技を繰り出す。

 

 プリキュア達の必殺技が合わさり、光となってクライナーを覆い尽くした・・・

 

 

「チカラガ・・・ボクノチカラガ・・・ヌケテイク!?」

 

 縮小していくアンデの身体に合わせるように、クライナーは光に交わり分裂し、横浜の海底に沈んでいった。そしてアンデは、クライナーの姿のまま地上に落下し、その姿を横浜の地へと消した・・・

 

 プリキュア達の背後で、人々の歓声が響き渡る・・・

 

 

 

「どうやら終わったみたい・・・さあ、戻って中華まんの続きを・・・」

 

 笑顔を浮かべたドリームが、戻って中華まんを食べようよと言おうとしたのを遮ったブラックは、

 

「みんな、こんなに人が居たら、誰かに見られるとも限らない!今日はお開きにして、横浜から離れるよ!!」

 

「エェェ!?そんなぁぁ・・・」

 

 ブラックの言葉に、今にも泣き出しそうな表情のドリームが、ブラックに泣きつくも、

 

「ゴチャゴチャ言わない!さあ、みんな行くよ!!」

 

「まだまだ、食べれるのにぃぃぃぃ!!」

 

 ドリームの絶叫を残し、プリキュア達は横浜の街から姿を消した・・・

 

 

 

2、スクープ

 

 翌日・・・

 

 少女達一同は、そのニュースを目にする事になる・・・

 

 横浜の街に怪物出現!?

 

 テロ!?それとも・・・

 

 謎の少女達、横浜を救う!!

 

 新聞、TVで、トップニュースで紹介される内容に、少女達は皆驚き、仲間と連絡を取り合った・・・

 

 

 

「ほ、ほのか、今朝の新聞見た?」

 

「え、ええ・・・まさか、あの戦いを写真に撮られていた何て・・・」

 

 ハッキリとは写っていないものの、自分達が戦って居る姿を写真に撮られた事に、電話口で会話するなぎさとほのかは、激しく動揺していた・・・

 

 

「ヘェ、この子達がねぇ・・・プリキュアかぁ、何処かで聞いた事あるような?確か、ブラックとかホワイトとか居たような・・・さっさとお家に帰りなさぁぁい!とか言ってたような!?」

 

「ア、アハハハハ・・・そ、そうですか?私は・・・初めて聞きましたよ!」

 

 朝食を取りながらニュースを見るアカネとひかり、ひかるはまだ眠っているようで食卓には二人が座っていた。嘗て、なぎさとほのかのクラスメートだった越野夏子、森京子が、ブラックとホワイトの衣装を作り、プリキュアだと名乗ったのを目撃したのを思い出したアカネが、その時の言葉を思い出し真似すると、ひかりは苦笑を浮かべながら惚けて見せるも、内心激しい動揺をしていた・・・

 

 

「やっと繋がった・・・ラブ、おはよう!今直ぐTV付けてみて!多分何処のチャンネルでもやってると思うけど・・・」

 

「ウ~ン・・・美希たんおはよう・・・って、まだ6時半だよ!TVって・・・」

 

 不満そうに美希と電話しながら下に降りたラブに、母あゆみと、父圭太郎はTVを指差しながら、

 

「ラブ、おはよう!ねえ、あなた達、昨日横浜に行くって言ってたけど、また危険な事を・・・」

 

「ラブ、ビックリしたぞ!それより、このナレーターの女性、せっちゃんの声に似てないか?」

 

「あらヤダ、本当!せっちゃんの声に似てるわね?」

 

「本当、せつなそっくりだね!・・・せつな、今どうしてるかなぁ?」

 

 電話口で聞いていた美希は、何故桃園家でせつなの話題が出ているのか首を捻るも、

 

「せつなって!?まあ良いけど・・・それより、さっきブッキーとも話したんだけど、どうやらあたし達が昨日戦って居る姿、誰かに撮られてたみたいなのよ!」

 

「エェェ!?本当、美希たん?アッ!本当だ、みなとみらいが映ってる・・・」

 

 

 画面に映る黒い巨大な船のような怪物、それと戦う少女達の姿・・・

 

 少女達が光のエネルギーをぶつけると、化け物は光と共に消え去った・・・

 

「TVをご覧の皆様、これは特撮ではありません!現実に、昨日起こった事なのです!!」

 

 司会者が視聴者に対してこれは真実だと告げると、レポーターが横浜の街から昨日の戦いの模様をレポートする。

 

 

「お、お爺ちゃん、どうしよう?」

 

「フム、まあこんな事もあるじゃろう・・・慌てる事もない」

 

「でもぉ・・・」

 

 不安がるアコが音吉にどうしようと相談するも、音吉はさして気にも止めず、朝ご飯を食べ続けた。ピーちゃんは、横浜からの中継画面をジッと見つめると、首を捻ってピッ?と一鳴きするのだった。

 

 

 北条家・・・

 

 響はまだ寝ているだろうと思った奏は、響の家に朝早くから来て響を無理矢理起こすと、二人でTV画面を見つめて呆然としていた・・・

 

「こんな大騒ぎになってるなんて・・・」

 

「ええ・・・でも、ハッキリとは映ってないし・・・」

 

 響と奏も、アコ同様画面に映る自分達の姿に驚愕する。響の父、団は、まだ眠っているのかその場には居なかった・・・

 

 

 咲は眠っていた・・・

 

 昨日の疲れもあってか、グッスリと眠っていた。その側では丸くなったコロネと、コミューン姿のフラッピも気持ち良さそうに眠っている。

 

「咲、咲!舞ちゃんと、満ちゃん、薫ちゃんが来てるわよ!咲!!」

 

 下から母沙織に名前を呼ばれた咲だが、まだ寝ぼけているのか目を擦りながら大あくびをする。咲の妹みのりは,大好きな薫が来ているのに気付かず、スヤスヤ眠り続ける。咲が起きた為、コロネも飛び起きると、部屋から出て行った。寝ぼけ顔の咲が玄関に現われると、舞、満、薫は思わず苦笑を浮かべる。

 

「ゴ、ゴメンね、朝早くに・・・咲、大変よ!昨日の私達が戦ってた姿、誰かに撮られてたみたいで、大騒ぎになってるの!!」

 

「ドヒャァァ!本当なの、舞?」

 

 舞から聞き、慌てた咲が一旦引っ込み、新聞を持って再び現われると、

 

「し、新聞にも載ってるね・・・私達、有名人になっちゃった?」

 

「もう・・・咲ったら!」

 

「あまり目立つのもどうかと思うけど?」

 

「そうね・・・」

 

 変顔しながら有名人になっちゃったと驚く咲に、舞、満、薫は呆れながら思わず呟いた・・・

 

 

 

「そして、我々の下に、彼女達の正体を知っている方が駆けつけてくれました!彼女達は、こう呼ばれているそうです・・・この世に邪悪が蔓延(はびこ)る時、必ずや現われると言われる希望の戦士!伝説の戦士プリキュア!!」

 

 司会者の男が、大げさなジェスチャーを交えてプリキュアの名を告げるも、照れくさかったのか、右手で口を隠し、笑いを堪えた表情を見せる。

 

「さあ、8時またぎのコーナーに登場して頂きましょう!プリキュア達のリーダーに!!!」

 

 司会者の合図と共に番組はCMへと変わった・・・

 

 

 フェアリードロップ・・・

 

「「エッ!?エェェェ!??」」

 

 えりかの家でTVを見ていたつぼみは、思わずえりかと一緒に大声を出して驚くと、側に居たももかがコーヒーを飲みながら、

 

「えりか、つぼみちゃんも、何驚いてるのよ?あなた達もプリキュアは見てるんでしょう?思い出すわねぇ・・・砂漠化した地球を救う為、私達の前から飛び立ったプリキュア達を見送ったのを・・・」

 

 ももかはそう言うと、もう一口コーヒーを啜った。つぼみとえりかはヒソヒソ話を始めると、

 

「プリキュアのリーダーと言えば・・・やっぱりゆりさん、なぎささん、ほのかさんですかねぇ?」

 

「普通に考えればそうだよねぇ・・・」

 

 二人は興味深げにTVを見続けていた・・・

 

 

 ゆり、いつきもTVや新聞でこの事を知り、内心穏やかでは無かった。ゆりは薫子に電話し助言を求めるも、この騒ぎは一時的なものだろうから、あまり心配しなくても大丈夫でしょうと返答される。

 

 そうあってくれれば良いんだけど、そう思うゆりであった・・・

 

 

 一方、プリキュア5の五人、のぞみ、りん、うらら、こまちは、8時近くになりかれんの家に集合していた。執事の坂本から紅茶を入れてもらい、一同は大型TVに釘付けになっていた・・・

 

「プリキュアのリーダーって・・・まさか、なぎささん、ほのかさん、ゆりさん!?」

 

「でも、TVに出るような事するかしら?」

 

 うららの言葉にこまちは小首を傾げると、りんも頷きながら、

 

「そうですねぇ・・・なぎささんなら有り得なくは無い気もしますけど」

 

「いくらなぎささんでも、そんな事は・・・しないと思うわよ?」

 

 りんの言葉にかれんは苦笑を浮かべながらやんわり否定する。のぞみは人差し指を立ててシッっとジェスチャーすると、

 

「みんな、いよいよ登場するよ!!」

 

 五人の視線が画面に釘付けになった・・・

 

 

「さあ、登場して頂きましょう!プリキュアのリーダーは・・・この方です!!」

 

 司会者の合図と共に中に入ってくる人物、満面の笑みを浮かべながら一人一人に頭を下げる。黒いスーツに身を包み、胸元のポケットからは白いハンカチがチラリと見える。金髪の髪をオールバックで固めたその人物・・・

 

「あっ、どうも!私がプリキュア達のリーダー・・・文尾(ぶんび)です!!!」

 

 

 

(((((あんたかぁぁぁ)))))

 

 TVの画面にドアップで登場した文尾と名乗ったブンビーを見て、のぞみ達は思わず心の中で叫び、前のめりになりずっこける。

 

「な、何で、ブンビーが出てるのよぉぉ!?」

 

「有り得ないわ!!」

 

 りんとかれんが変顔を浮かべながら、ブンビーがプリキュアのリーダーを名乗る事を不愉快そうに話すと、こまちは小首を傾げ、

 

「前にもこんな事があったような?」

 

「はい!エターナルで嫌な事があったらしく、私達のリーダーになってあげるとか言ってました」

 

「うんうん、あった、あった!何言ってるんだろう、この人?とか思ったよねぇ」

 

 うらら、のぞみも、前にブンビーがプリキュア5のリーダーになってやっても良いと言っていたのを思い出すと、かれん、りんも、あった、あったと頷いた。

 

 

 ブンビーが更に饒舌に語り続ける・・・

 

「いえねぇ、私は遠慮したんですよ!でも、必死になってお願いする彼女達を見てたら、断れなくてねぇ・・・リーダーを承諾した訳何ですよ!!」

 

 

「「「「「嘘よぉぉぉぉ!!」」」」」

 

 思わず見ていたTVに突っ込みを入れるのぞみ達五人、だが画面上では、饒舌にブンビーが話し続けていた・・・

 

 

「どうやら・・・キッチリ話を聞く必要がありそうね!!」

 

「そうですね・・・とっちめてやらないと!」

 

 放送後、かれんとりんは険しい表情を浮かべると、のぞみは苦笑を浮かべながら、

 

「まあまあ、りんちゃんも、かれんさんも・・・後でブンビーさんの所に行ってみようよ!」

 

「ええ・・・二度とこんな真似しないように・・・懲らしめてやりましょう!!」

 

「アハハハ・・・話し合いに行くんですけど・・・」

 

 更に気色張るかれんとりん、のぞみは、うらら、こまちと顔を見合わせ苦笑を浮かべた。

 

 

 この後、戻って来たブンビーが、五人に平謝りしたのは語る迄もない・・・

 

 

 

「プリキュア・・・格好良いなぁぁ!!」

 

「あゆみ、TVばかり見てないで、荷造り早く終わらせちゃいなさい!明日から荷物向こうに送るんだから!」

 

 少女の名前は坂上あゆみ・・・

 

 あゆみは、画面に映るプリキュア達の勇姿を見て目を輝かせて居た・・・

 

 自分とそれほど変わらない年頃の少女達が、色とりどりのドレスのような衣装に身を包み、怪物と戦う姿を見て目を輝かせて居た。

 

 怪物に怯む事なく立ち向かう姿を見て、あゆみの胸はときめく・・・

 

 自分も、あの子達のようになれたらなぁ・・・そう現実離れした妄想をしていたのも束の間、母親に現実に引き戻された。

 

「お母さん・・・本当に引っ越さなきゃ駄目なの?ほら、私達が今度引っ越す横浜には、怪物も出るようだし・・・」

 

「何言ってるの!?お父さんの転勤の都合何だから仕方がないでしょう?それに、日本には警察も自衛隊も居るの!だから安心しなさい・・・さあ、荷造りしちゃって!!」

 

 母に訴えたものの、母は、お父さんの転勤なんだから仕方がないとあゆみを諭し、荷造りをするように伝えると、あゆみは渋々自分の部屋に戻った。

 

(嫌だなぁ・・・引っ越し何てしたくないよ!!)

 

 あゆみは溜息を付くと、渋々荷造りを再開した・・・

 

 

 

「へぇ、プリキュアかぁぁ・・・どんな人達何だろう?」

 

「画面を見る限り、みゆきとそうは違わなさそうね!」

 

「そうだね!さてと、引っ越しの準備続けなきゃ!!ねぇ、お母さん、お婆ちゃんは本当に一緒に暮らさないの?」

 

「ええ、声は掛けたんだけど・・・また落ち着いたら声を掛けてみましょう!」

 

「うん!!」

 

 少女の名前は星空みゆき・・・

 

 居間でテレビを見ていたみゆきが、母育代との会話を終えると、自分の部屋に戻り荷造りを始める。既に粗方片付いていたものの、本棚にはまだ絵本が沢山入ったままだった。

 

 みゆきにとって、一日一冊、絵本を読むのが習慣になっていた。

 

「七色ヶ丘中学校かぁぁ・・・素敵な出会いがあると良いなぁぁ!楽しみだなぁ!!!」

 

 みゆきはウキウキしながら荷造りを再開すると、まだ見ぬ学校を想像し、目を輝かせて居た。

 

 

 みゆきとあゆみ、共に転校する身でありながら、違う感情を持つ二人・・・

 

 二人の出会いが、プリキュアオールスターズに何をもたらすのか、まだ誰も知らなかった・・・

 

 

               第四十話:伝説の戦士プリキュア!

                      完

 

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