プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第四十一話:新たなる五つの光!

1、少女と妖精

 

 横浜の街で、プリキュアオールスターズの面々が、クライナーと戦ってから二週間になろうとしていた・・・

 

 薫子が言っていたように、二週間も経つと、人々の関心は次第にプリキュアから離れていった・・・

 

 そして、少女達も新たなる生活を向かえていた・・・

 

 大学一年生となったのは、美墨なぎさ、雪城ほのか、月影ゆり

 

 高校三年生になったのは、水無月かれんと秋元こまち

 

 高校二年生になったのは、九条ひかり、日向咲、美翔舞、霧生満、霧生薫、夢原のぞみ、夏木りん、桃園ラブ、蒼乃美希、山吹祈里

 

 高校一年生になったのは、春日野うらら、花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつき

 

 中学三年生になったのは、北条響と南野奏

 

 小学四年生になったのは、調辺アコ

 

 進級した少女達だったが、新たなる戦いが待っている事をまだ知らない・・・

 

 

 

 

 メルヘンランド・・・

 

 石化したように眠り続けるロイヤルクイーンの前に、ポップとキャンディが佇んで居た。発光し続けるロイヤルクイーンの身体から、ピンク、赤、黄、緑、青の五つの光が浮かび上がると、五色の光は、何かに導かれるようにメルヘンランドを飛び出して行った・・・

 

「ロイヤルクイーン様は、バッドエンド王国に何か動きがあるのを感じたのかも知れないでござるなぁ・・・五色の光が飛び去ったと言う事は、メルヘンランドに伝わる伝説の戦士プリキュア、その復活も近いのかも知れぬでござる!あわよくば、他の国のプリキュア達にも力を貸して貰えれば幸いでござるが・・・キャンディ、本当に大丈夫でござるか?」

 

「お兄ちゃん、任せてクル!」

 

 キャンディはポンと胸を叩くと、安心してと兄ポップに宣言する。ポップは、自信満々のキャンディを見ると、

 

(その自信がちと不安でござるが・・・)

 

 だが、ロイヤルクイーン不在の今、責任者である自分が長期間宮殿を離れる訳にも行かず、妹キャンディに託し、信じるしかないと思うポップであった。

 

 バッドエンド王国の野望、そして、復活した邪悪な者を阻止する為には、闇と戦い続けるプリキュア達、若しくはメルヘンランドに伝わる伝説の戦士、五人のプリキュア達の力が必須、まだ幼く羊に似た妖精妹キャンディを送るだけでは不安なポップだったが、キャンディに託す以外方法は無かった・・・

 

 別れが近付いて来ると、キャンディの心に寂しさが沸き起り、思わず涙を零すと、ポップはキャンディの涙を拭ってやり、

 

「キャンディ・・・お別れする時は、笑顔でござるぞ!さあ、拙者と約束するでござる!!」

 

 微笑みながらキャンディの頭を撫でるポップに、キャンディは涙を堪え笑顔を浮かべると、ポップは微笑みながら何度も頷いた。

 

 キャンディは、兄ポップに別れを告げ本の中に入ると、本はまるで翼のように羽ばたき、メルヘンランドを飛び出して行った・・・

 

「キャンディ、頼むでござるぞ!アンデとルセンは、拙者が何とか見付けるでござる!!」

 

 ポップは、キャンディの消えた方角を見送り続けた・・・

 

 

 

 プリキュアが居るとされる世界に向けて進むキャンディだったが、妙な笑い声が耳に入ってくる。

 

「ウルッフッフッフ!子羊ちゃん、何処に行こうとしてるのかなぁ?」

 

「逃がさないオニ!!」

 

「イィヒッヒッヒッヒ、何を企んでいるのか知らないけど、あたし達が気付かないと思ったかい?」

 

 羽ばたくキャンディが入った絵本を取り囲むのは、バッドエンド王国の三幹部、狼のようなウルフルン、巨体に棍棒を持った赤鬼アカオーニ、そして、緑色のフードを被った老婆マジョリーナ、三人に道を塞がれ、絵本の中のキャンディは、今にも泣きそうな表情を浮かべる。

 

 その時・・・

 

「キュゥゥゥン」

 

「何だ!?何の音だ?」

 

 妙な音にキョロキョロするウルフルンは、白く発光した物体がこちらに迫ってくるのを見付ける。他の二人も気付き、アカオーニは棍棒を振りかぶると、

 

「邪魔オニ!俺様が叩き潰すオニ!!」

 

 こちらに向かってくる物体を棍棒で叩き潰そうとする。だが、白い物体は巧みに攻撃をかいくぐり続け、疲れたアカオーニがその場でハァハァ荒い呼吸を繰り返した。

 

「何やってやがる!このぉぉ!!」

 

 変わったウルフルンが白い物体を捕まえようとするも、物体はこれまた躱し続けウルフルンを疲れさせる。

 

「さっきから何やってるだわさ!今度は・・・おや?」

 

「アァン、どうした?」

 

「しまった!この隙に妖精に逃げられただわさぁぁ!!」

 

「「何ぃぃぃぃ!!」」

 

 白い物体に三人が気を取られている隙に、キャンディはこの場を大急ぎで離れるのだった。

 

 キャンディを逃がしたのは、白いクライナーに変えられたルセンだった・・・

 

 ルセンは、キャンディがメルヘンランドを旅立ったのを知ると、アンデの消息も気になり、覚悟を決めてキャンディの後を追ったのだった。

 

 キャンディが無事に逃れたのを見届けたルセンも、キャンディの後を追うも、トランプの舞いが目の前に現われると、一人の人物が姿を現わし、ルセンを楽々捕まえた。

 

(これは・・・確かクライナー!?成る程、メルヘンランドに妙な気配が漂っていたのは、こういう事ですか・・・)

 

 赤、青、黄、三色の髪をし、何処かピエロを思わせる派手な姿の人物、その名はジョーカー、不気味さ漂わすジョーカーを見て、三幹部は微妙な表情を浮かべる。

 

「三幹部のみなさん、ご機嫌よう!どう致しました?こんな所でこんな者を相手にするより、ピエーロ様にバッドエナジーを捧げて欲しいんですけどねぇ?」

 

 捕まえたルセンを三人に見せ、口元に笑みを浮かべるジョーカー、三人はムッとしながら不満そうな表情を浮かべると、

 

「そんな事、お前に言われるまでもねぇ!!」

 

 ウルフルンは不機嫌そうに姿を消し、キャンディの後を追った。アカオーニ、マジョリーナも、不機嫌そうにしてバッドエンド王国へと戻って行った。

 

 三人が消え去った後、ジョーカーは捕らえたクライナーを見つめ口元に笑みを浮かべると、

 

「クライナーですか・・・これは利用出来るかも知れませんねぇ?」

 

 ジョーカーは、含み笑いを浮かべながらその姿を消した・・・

 

 

 

「遅刻ぅ~~!!」

 

 懸命に走り続ける少女、星空みゆきは、転校初日から寝坊し、大急ぎで学校目掛け走り続けていた。

 

「もう、お母さんももっと早く起こしてくれれば良いのにぃぃ・・・ハップップ~~」

 

 口を尖らせ、変顔を浮かべながら走り続けるみゆきだったが、新しく自分が住むこの街の青空を見て思わず心が和んだ。

 

「初日からこの青空!私は元気だし・・・何かウルトラハッピーな事が起こりそうだなぁ!!」

 

 みゆきは遅刻しそうなのも忘れたように、その場でスキップを始める。スキップを続けていると、川沿いの道の直角な曲がり角が目に飛び込んでくる。みゆきは目を輝かせると、

 

「絵本なら・・・こんな場面で素敵な出会いがあるのになぁ・・・」

 

 期待を込めて曲がり角を曲がって見るも、そこには何も無かった。絵本の通りには行かないよねとペロっと舌を出し、再びスキップを始めたみゆきは、上空から何かがこちらに向かって飛んでくるのを目にする。

 

「何だろう!?鳥?」

 

 ジッと見つめるみゆき目掛け飛んでくる物体、避けようとした時には遅く、みゆきは物体と顔面衝突すると転倒する。

 

「イタタタタ・・・あれぇ?」

 

 みゆきの側に縫いぐるみのような物体が落ちていた。こんなのあったかなぁと思ったみゆきだが、縫いぐるみを手に持ってみると、縫いぐるみは目をグルングルンさせると我に返り、動き出してみゆきを驚かせる。だが、その可愛らしい容姿に目を輝かせたみゆきは、

 

「可愛い縫いぐるみ!!ましてや動く何て・・・」

 

 頬擦りするみゆきに、縫いぐるみは嫌そうな表情を浮かべると、みゆきの手を振り解き目の前に降り立つと、

 

「縫いぐるみじゃないクル!名前はキャンディ!絵本の国、メルヘンランドの妖精クル!!」

 

「え、絵本の国!?本当にそんな所あるの?」

 

「あるクル!!」

 

 みゆきの目の前に現われたのはキャンディ、何とかウルフルンの追撃を逃れ、何かに導かれたかのように、ここ七色々丘まで逃げてきたのだった・・・

 

 みゆきは、目の前に現われた絵本の妖精を見て目をキラキラ輝かせると、再びキャンディを抱きしめ、

 

「絵本が好きな私が、絵本の国の妖精さんと出会える何て・・・ウルトラハッピ~~!!」

 

「離すクル!キャンディは忙しいクル」

 

 再びみゆきから離れると、キャンディはその姿を消した・・・

 

 呆然としていたみゆきは我に返り、

 

「夢・・・じゃないよね!?あれぇ?」

 

 みゆきは、キャンディが入って来た絵本を拾うと、やはり夢じゃないと分かり表情を輝かせた。期待に胸躍らせ絵本を開いて見るも、中は真っ白で、みゆきは小首を傾げる。だが、みゆきを現実に引き戻す、学校のチャイムが聞こえると、大慌てで走り出すも、その表情には満面の笑みが浮かんでいた。

 

「これから・・・とびっきりハッピーな事が、始まる気がする!!!」

 

 みゆきは、嬉しそうに絵本を抱えながら走り続けた・・・

 

 

 七色ヶ丘中学校、2年2組・・・

 

「エェ、本当は今日からみんなと一緒に勉強をする、新しい仲間を紹介する筈でしたが、まだ来ていないようですので、このままホームルームを始めます!では、出席を取ります!!」

 

 2年2組の担任教師、佐々木なみえ先生、担当は英語を受け持っていて、髪形はポニーテイルで、上下クリーム色のジャケットを着こなすキャリアウーマンのようで、生徒達からの人気も高かった。

 

 佐々木先生の話を聞いた生徒達はザワザワし、窓側の席の後ろから二番目に座る、赤髪の少女日野あかねは、紙に何かを書いて丸めると、真ん中の席に座る大きな黄色いリボンで、髪をポニーテイルにしている緑髪の少女、緑川なおにコツンと当てた。なおはキッとあかねを睨むも、あかねのジェスチャーを見て、渋々丸まった紙を拾って読んでみると、

 

「転入生やて!どんな子やろうなぁ?」

 

 紙にはそう書かれていた。なおも本心では気になるようで、隣の席に座るなおの幼馴染みで、このクラスの委員長、青木れいかにあかねの紙を見せながら、

 

「ねぇ、れいかは何か聞いてるの?」

 

「さあ!?私も今初めて聞きましたし・・・でも、転校初日からいらっしゃらないのは、少し気になりますねぇ?」

 

 小声で話し合うなおとれいか、その時、廊下をバタバタ走る足音が聞こえてきて、怪訝な表情を浮かべた佐々木先生が、ドアを開けて廊下を覗いてみると、

 

「ウエェェン!私のクラスは何所ぉぉぉぉ!?」

 

 佐々木先生は、半泣きしながら廊下を走るみゆきを見ると溜息を付き、

 

「あなたが星空さんね!?全く、転校初日に遅刻してくる何て・・・あなたのクラスは此処よ!みんなに紹介するから、中に入りなさい!!」

 

 呆れながら、みゆきをクラスの中に手招いた佐々木先生、みゆきは緊張しながら中に入ると、

 

「あんたぁ、転校初日に遅刻とは・・・大物やないのぉ?」

 

 笑いながらあかねにからかわれ、みゆきはエへへへと頭を掻くと、クラス中からドッと笑い声が響いた。

 

「気にしないでね!あかねちゃんって・・・ああいう子だから!!」

 

 教壇の目の前に座る、白いカチューシャを付けた黄色髪の少女、黄瀬やよいに話し掛けられる。

 

「皆さん、お静かに!」

 

 クラス委員のれいかが場を静め、緊張しながらみゆきが自己紹介を始めると、再びあかねが合いの手を入れ笑いを誘い、みゆきはクラスの人々から受け入れられていった・・・

 

 

 

 転校初日とはいえ、みゆきは、同じクラスでバレー部の日野あかねと仲良くなった。あかねはクラスでも中心的一人だったようで、あかねは、ちょっと泣き虫だが、絵を描くのが大好きな黄瀬やよい、スポーツ万能のサッカー少女緑川なお、クラス委員長で弓道部、且つ生徒会副会長の青木れいかを紹介してくれて、みゆきは三人とも仲良くなり、四人が放課後、学校を案内してくれる事となった。

 

「転校初日に、一杯友達が出来る何て・・・ウルトラハッピ~~!!」

 

 大喜びなみゆきであった・・・

 

 

 

 放課後になり、部活などで学校に残った仲間達の帰りを待つ為、みゆきは学校の図書室に立ち寄った。図書室には図書委員しかおらず、みゆきは興味がありそうな本を探し始める。みゆきが本を物色している内、図書委員は用でも出来たのか、その場を離れた。

 

 本を探すみゆきは、本棚の一角が光っている事に気付くと、不思議そうに首を捻り、本を取り出して見る。本を取り出すと、棚の奥が光って居るのに気付き、本を手で避けると、カチリとスイッチが入るような音が聞こえてくる。

 

「あれぇ!?何の音だろう?」

 

 みゆきは小首を傾げながらも、右、左、左、右と本を動かしていくと、偶然なのか、何かの意図があったのか、本棚全体が光出すと、みゆきはその中へと吸い込まれて行った・・・

 

 

 一方、プリキュアを探し続けるキャンディであったが、それらしき人物を見付ける事は出来なかった。なぎさ達一同が、バッドエンド王国の事など、まだこの時知る由も無かった。キャンディの心の中に不安が沸き上がると、寂しさが沸き上がり、思わず涙ぐみ、兄ポップの名を呟くのだった・・・

 

「ウルッフッフッフ!さぁて、何奴からバッドエナジーを集めるとするか・・・」

 

 その時、上空から響き渡る笑い声に、キャンディが気付き見上げると、そこにはウルフルンが浮かんでいた。ウルフルンは、獲物を見付けるように周囲を見渡すと、賑やかな声が響き渡る、七色ヶ丘中学校に目を付けた。

 

「ウルッフッフッフ!よし、あの場所でバッドエナジーを集めるとするか!!」

 

「あれは、ウルフルンクル・・・大変クル!!」

 

 キャンディは、ウルフルンに見つからないように柱の陰に隠れると、今は落ち込んでいる場合じゃ無いと、再びプリキュアを探しに向かった・・・

 

 

「キャァァァァ!!」

 

 スカートを抑えながら、光のトンネルを落ちていくみゆきは、妙な場所へと導かれた。キョロキョロ辺りを見渡したみゆきの表情が輝く、それもその筈で、この場所には沢山の本が置かれていたのだから・・・

 

 近づいたみゆきは、本棚の本を見てある事に気づき、朝拾った本を鞄から取り出すと見比べてみる。

 

「うん、やっぱりそうだ!この本・・・ここに置いてある本と同じ種類何だね」

 

 そう言うと、みゆきは手に持っていた拾った本を棚に戻す。すると棚が光り出し始めた。みゆきは不思議そうに光輝く棚に近付くと、本のすき間から奥を覗いてみた。

 

 スペースが狭くてよくは見えなかったが、光の中に浮かび上がった映像には、朝に出会った妖精キャンディが映っていた。

 

「う~ん、見にくいなぁ・・・」

 

 映像が見にくかったのか、みゆきは本を何冊か動かすと、カチリと再びスイッチが入り、みゆきは光に包まれ、再び光のトンネルに吸い込まれた。光が止んだ時、目を開けたみゆきは、再び学校の図書室にワープして来た事を悟り驚愕する。

 

「ま、また戻って来たの!?そうだ!キャンディは!?」

 

 慌てて校庭に飛び出し、辺りをキョロキョロ見回すと、生徒達に見つからないように、チョコチョコ駈けて居るキャンディを発見し、みゆきは後を追うと、キャンディを捕まえた。

 

「妖精さん、また会えたね!」

 

 みゆきがキャンディにニッコリ微笑むも、キャンディはそれどころじゃないと言い、みゆきにも逃げろと伝える。首を捻るみゆきの前に、笑い声が聞こえてくる。

 

「ウルッフッフッフ!こんな所に居たのかい、子羊ちゃん?」

 

「エッ!?狼さん?こんにちは!私は星空みゆき!!」

 

 ウルフルンは、自分の姿を見ても動じず、自己紹介を始めるみゆきを見て呆気に取られるも、

 

「何で俺様を見て驚かないんだ!?まあいい、お前も含めて、ここらに居る人間共からバッドエナジーを吸い取るとするか・・・世界よ!最悪の結末、バッドエンドに染まれ!白紙の未来を黒く塗りつぶすのだ!!」

 

 ウルフルンは、闇の絵本とでも呼ぶべき本を開くと、白紙のページに、黒い闇の絵の具を叩き付け塗りつぶすと、空には白い満月が浮かび上がり、淀んだ空気が流れる不気味な姿を現わした。生徒達はその場にしゃがみ込み、ネガティブな言葉を発した。人々から発せられたネガティブな感情は、バッドエナジーとなって闇の絵本に吸い込まれていった。その中には、部活動や用事を終え、みゆきの下に向かおうとしてた、あかね、やよい、なお、れいかの姿もあった・・・

 

「そんなぁ・・・あかねちゃん達まで!?」

 

「ウルッフッフッフ!人間共が発したバッドエナジーが、悪の皇帝ピエーロ様を呼び覚ますのだ!!」

 

 高笑いを浮かべるウルフルンと対照的に、みゆきとキャンディの表情が引き攣る。周りの生徒達はどうなってしまったのか?

 

「人間共のネガティブな感情からは、バッドエナジーと呼ぶ力が照射される。それをこの本が吸収し、ピエーロ様に送られる!封印されているピエーロ様の前に置かれた目盛りが一周したその時・・・ピエーロ様は復活し、全宇宙はバッドエンドな世界へと変わるのだ!!ウルッフッフッフ!!!」

 

 ウルフルンの高笑いが響き続けると、みゆきとキャンディの表情が益々驚愕の表情を浮かべた。

 

「ど、どうしよう!?あの狼さん、悪い人なの?」

 

 キャンディはみゆきに頷くと、ウルフルンの前にチョコチョコ歩いて行くと、

 

「止めるクル!世界をバッドエンドに何かしちゃいけないクル!!」

 

「アァァン!?この俺様に説教か?ケッ!お前が何を言おうと、未来は全てバッドエンドになる。頑張っても無駄なだけだ!バッドエンドに染まるんだよ!!」

 

 キャンディの説得に耳を貸さず、逆に威嚇を始めるウルフルン、みゆきの脳裏に絵本の話が浮かんでくる。最後には退治される狼の話が・・・

 

(それは、狼さんの事なの?狼さんが絵本の中で必ず負け、虐げられ、悪者にされる未来の事?)

 

「そんな事ないクル!頑張ったら、未来はきっとハッピーエンドになるクル!!」

 

 キャンディの言葉を聞き、みゆきはハッとすると、キャンディを抱き上げ、ウルフルンを見つめると、

 

「キャンディの言う通りだよ!私、今日転校初日なのに遅刻しちゃって・・・でも、そんな私を、あかねちゃんや、クラスのみんなが励ましてくれた!頑張り続ければ、何時かハッピーになるんだよ!!」

 

 ウルフルンは困惑した表情を浮かべるも、みゆきを見てある事を思い出し驚愕する。

 

「そ、そういえばお前・・・何でバッドエンド空間で自在に動けるんだ?バッドエンド空間に取り込まれた者は、ネガティブな感情に支配され、動ける筈が無いのに・・・」

 

「エッ!?そんな事言われても・・・」

 

「まあいい、邪魔なお前達を・・・食ってやろうか?」

 

 ウルフルンは口を大きく開け、鋭い牙でみゆきとキャンディを威嚇すると、キャンディは震え、みゆきはジィとウルフルンを見つめると、

 

「お、狼さんって・・・変態さんだったの?」

 

「変態だと!?そりゃあ、確かに赤ずきんを食べる為に婆さんに化けた事は・・・って、そうじゃねぇぇ!!お前達を、ガブリと食べてやるって事だ!!!」

 

 口を大きく開け閉めすると、ウルフルンの真意に気付き、キャンディを抱いたまま逃げ出すみゆき、執拗に追ってくるウルフルンに、思わずキャンディは涙ぐみ、

 

「プリキュア!何処クル?プリキュアァァ!!」

 

「エッ!?プリキュアって言ったら・・・」

 

 プリキュアの名前を叫ぶキャンディ、プリキュアという名を聞き、みゆきの脳裏に、横浜の街を救った少女達の事が思い出されてくる。キャンディは、みゆきがプリキュアを知っているような様子を見て目を輝かせると、

 

「プリキュアを知ってるクル?」

 

「うん、名前だけは・・・TVでチラッと姿も見たけど!キャンディは、プリキュアを捜しているの?」

 

 みゆきがTVで見た事を伝えると、キャンディは、直接みゆきが知っている訳では無いと知り、ガッカリした表情を浮かべる。みゆきは申し訳無さそうな表情を浮かべるも、

 

「私も一緒に捜してあげるよ!さっきキャンディも言ってたじゃない!頑張れば・・・必ず見付けられるよ!!」

 

「そいつはどうかなぁ!?お前達は・・・此処でバッドエンドな結末を向かえるのさ!!」

 

 一緒にプリキュアを捜すと言ったみゆきだったが、追いついたウルフルンの一撃を受け、転倒するみゆき、ウルフルンは勝ち誇ったようにゆっくり近付いて来る。

 

「諦めない!私、頑張るって決めた事は・・・絶対に、絶対に、最後までやるんだもん!!それが私の・・・それが私の・・・ハッピー何だからぁぁぁぁ!!!」

 

 ウルフルンの鋭い爪がみゆきに伸びたその時、みゆきの叫びに感応したように、みゆきの身体をピンクの光の柱が覆った・・・

 

「な、何だ、これは!?」

 

 驚愕するウルフルンの目の前で、光に包まれるみゆきとキャンディ、みゆきの目の前にコンパクトが現われると、キャンディの目が輝く、

 

「ちみが伝説の戦士・・・プリキュアだったクル!!」

 

「エッ!?ち、違うよ、私じゃなくて・・・」

 

 みゆきの事をプリキュアだというキャンディに、みゆきは自分じゃなくて他に居ると伝えるも、

 

「そのスマイルパクトが何よりの証クル!ちみは、メルヘンランドに伝わる・・・伝説の戦士プリキュアクル!!」

 

「私が・・・プリキュアァァァ!?」

 

 憧れては居た・・・

 

 だが、実際に自分がプリキュアだとキャンディに伝えられるも、みゆきには信じられなかった。尚もキャンディは言う、スマイルパクトを開き、キュアデコルをセットし、プリキュアスマイルチャージと叫べと・・・

 

「何だか良く分からないけど・・・私、やってみる!!」

 

 みゆきは頷くと、スマイルパクトを開き、キュアデコルをスマイルパクトにセットすると、

 

「プリキュア!スマイルチャ~~ジ!」

 

 みゆきはそう叫ぶと、スマイルパクトのパフを、身体の光輝く場所に付けていく。みゆきの身体を光の衣装が纏っていった。頭のカチューシャの両脇には翼のような飾りが付き、ピンクの衣装が全身を覆った。光が収まり、変身を終えたみゆきが、再びウルフルンの前に現われると、ウルフルンは呆気に取られる。

 

「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!!」

 

 名乗りを上げた新たなるプリキュア、キュアハッピー!

 

「プリキュアだとぉぉ!?そう言えば、前にジョーカーの奴が言ってたな・・・面白ぇ!!」

 

 ウルフルンは、目の前に現われたハッピーを見て闘士を漲らせるものの、ハッピーはキャンディに対し、

 

「戦へって言われたって・・・怖いよぉぉ!!」

 

「ちみは伝説の戦士クル~!しっかりするクル!!」

 

「そんな事言われたってぇ・・・」

 

 やる気満々だったウルフルンは、戦いに消極的なハッピーを見て、思わず目を点にしながらハッピーを見つめると、

 

「だったら、俺様が楽にしてやるよ!!」

 

 再び鋭い爪で突進してくるウルフルン、ハッピーは、キャンディを抱いて人気の無い方に逃げ出す。執拗に追いかけるウルフルンであったが、逃げてばかりのハッピーに呆れ返り、

 

「何だかバカバカしくなってきたぜ・・・お前らに俺様のもう一つの力を見せてやる・・・いでよ、アカンベェ!!」

 

 ウルフルンは、自分自身で戦うのがバカらしくなり、赤い玉を持った右手を上げ闇の力を召喚すると、グラウンドを囲うブロック塀の一角は、赤い鼻を付けた怪物へとその姿を変えた。

 

「このアカンベェは、キュアデコルの力をバッドエナジーで変えて生み出した存在・・・さあ、行けぇ!!」

 

 ウルフルンの指示を受け、ハッピーにパンチを繰り出すアカンベェ、ハッピーは、キャンディを抱いたまま大ジャンプで躱すと、大空高く飛び上がった。

 

「す、凄いジャンプ力・・・だけどこの後、私達どうなるのぉぉぉぉぉぉ!?」

 

「そんなの・・・落ちるだけクルゥゥゥゥゥゥゥ!!」

 

 ハッピー、そしてキャンディの叫びと共に、上空から地上に落下していくハッピーとキャンディ、幸か不幸か、ハッピーとキャンディは、アカンベェの上に落下する。思わずお互い無事な姿を見て笑い合うハッピーとキャンディだが、猛ダッシュでアカンベェから逃げ出し、それを見たウルフルンは、

 

「な、何なんだ、あいつら!?」

 

 半ば呆然とするも我に返り、アカンベェに止めをさせと命令する。アカンベェは命令通りハッピーに向けて動き出すと、ハッピーがどうしたらいいのか戸惑い始める。

 

「ハッピー!ハッピーシャワーで、アカンベェを浄化するクル!」

 

「何だか良く分からないけど・・・やってみる!!ハッピーハッピー、ハッピーシャワー!!」

 

 しかし、何も起こらなかった・・・

 

 色々なポーズを取りながら、ハッピーシャワーをアカンベェとウルフルンに放ったハッピーだったが、攻撃した筈のハッピーも、攻撃を受けた筈のウルフルンとアカンベェも、皆目をパチクリして小首を傾げた。

 

「ダァァァァ!さっきから何なんだあいつは!?アカンベェ、怯むな!やっちまえぇ!!」

 

 再び指令を出すウルフルンの言葉通り、攻撃を始めるアカンベェ、技を出せず動揺するハッピーは、キャンディに抗議するように問い掛けると、キャンディは気合いが足りないからだと告げる。

 

「嘘ぉぉ!?私、超やる気だったもん!だから、技が出なくて超恥ずかしかったもん!!」

 

 頬を赤くしながら、不満そうにキャンディに文句を言うハッピーだったが、目の前に迫るアカンベェを見てそれどころでは無いと悟り、

 

「こうなったら・・・気合いだ!気合いだ!気合いだー!!」

 

 力を込めるハッピー、スマイルパクトは、ハッピーの力を吸い取るように、その力を吸収していく。キャンディは、もっと気合いを込めるようにハッピーに言うと、ハッピーが更に気合いを込める。スマイルパクトの輝きが増すと、キャンディが今だと叫ぶ、それに合わせるように、

 

「プリキュア!ハッピ~~・・・シャワ~~!!」

 

 両手で組んだ腕を前に突き出すと、ハッピーの手からピンク色の光の輝きがアカンベェ目掛け飛ぶ、アカンベェは為す術もなく、光の輝きの中でその身は浄化された・・・

 

 赤鼻が浄化されると、元のブロック塀に戻り、浄化された時に、キュアデコルが降ってきてキャンディが大喜びする。

 

「チッ!プリキュアか・・・覚えてろよ!!」

 

 姿を消すウルフルン、すると街も元通りになり、ハッピーはホッと胸を撫で下ろした。だが、必殺技を放った後、荒い呼吸をするハッピーに、キャンディはハッピーシャワーを放つには、気合いを溜めなければならないと伝え、技を放った後は、疲れてしまい、次に放つには休息が必要だと告げる。

 

 ウルフルンを追い返したハッピーを見て、改めて目を輝かせるキャンディは、大喜びでハッピーに抱きつくと、

 

「やったクル!ハッピー、その力でキュアデコルを集め、メルヘンランドを救って欲しいクル!!」

 

「何だかまだ全然分かんないけど・・・面白そう!何だろう、とびっきりハッピーな事が、始まっちゃったかも知れない!!」

 

 ハッピーは、キャンディの頭を優しく撫で、嬉しそうに微笑んだ・・・

 

 変身を解いたみゆきは、キャンディに縫いぐるみの振りをしているように伝え、あかね達の下へと駆け付けた。

 

「みんなぁ!大丈夫?」

 

「アレェ!?ウチ、何でここに倒れてたんやろう?」

 

「私達・・・星空さんの下に向かおうとしてたら・・・」

 

「何だか急に空が暗くなって・・・」

 

「眠ってしまったみたいですねぇ?」

 

 キョトンとしながら顔を見合わせた四人だったが、四人はプリキュアのような姿をした少女を見た気がしていた。みゆきの声に似た少女を・・・

 

 あれは、夢だったのだろうか!?

 

 あかね達は、ルンルン気分で前を歩くみゆきを、不思議そうに見つめていた・・・

 

 

 

 時を同じくして・・・

 

 横浜みなとみらいの地を、俯きながらトボトボ歩く一人の少女の姿があった・・・

 

 少女の名は坂上あゆみ・・・

 

 あゆみは、横浜の学校に転入したのだが、この学校の生徒達とは、微妙に距離感があるような気があゆみにはしていた・・・

 

(前の学校は楽しかったなぁ・・・)

 

 みゆき同様、転校初日のこの日、最初こそ何人かのクラスメイトが話し掛けてはくれたのだが、あゆみの反応を見て、次第に興味が無くなったようにあゆみには感じられていた。

 

 授業中も孤独感を感じたあゆみ、あゆみは授業終了後、まるで逃げるように足早に学校を出て行った。真っ直ぐ帰る気にならなかったあゆみは、TVで見たプリキュアの事を思い出し、このみなとみらいの地へと歩みを向けた。

 

(あの観覧車の上に居たんだよねぇ・・・プリキュアかぁ)

 

 あゆみは観覧車を見上げると、プリキュア達に混じり、観覧車の上で楽しそうに微笑む自分の姿を見た気がして涙が浮かんできた。

 

(私も・・・プリキュアになれたらなぁ)

 

 溜息を付いたあゆみは、そろそろ帰らなければお母さんが心配すると、再び歩き出す。一度は通った筈だったのだが、あゆみは道を間違えたのか、ランドマークタワーの裏側の通りに出て困惑する。

 

(あれぇ、確か此処を曲がれば・・・まあ、大丈夫よね!)

 

 道は間違えたものの、きっと大通りに繋がっている筈だとそのまま歩み続けたあゆみは、足下に何かが蠢くのを見付けて小首を傾げる。

 

 しゃがみ込み覗いてみると、スーパーのビニール袋に絡まって藻搔いている生き物を見付けた。あゆみは、そっと右手を出してビニールを退かすと、そこには黄色いなまこのような生き物がピョンピョン飛び跳ねていた。あゆみはその仕草を見ると笑みを浮かべ、掌を差し出すと、なまこのような生き物はピョンとあゆみの掌の上に乗っかり、ピョンピョン飛び跳ね続ける。

 

「ひょっとして・・・私にお礼をしているの?」

 

 黄色いなまこのような生き物は、まるでそうだと言っているようにコクコク身体を曲げる仕草は、人間の言葉が分かるかのようだった・・・

 

「どう致しまして!私は坂上あゆみって言うの・・・あなたは?」

 

「キュゥゥゥ!」

 

 なにかを訴え掛けるような言葉を発するも、あゆみに分かる筈も無く、あゆみはこの生き物にキューちゃんと名付け、そのままキューちゃんを連れ家路に着くのだった・・・

 

 

 

2、新米プリキュアの戦い

 

 キャンディは、初めて会った人間、星空みゆき事キュアハッピーと共に、日野あかね事キュアサニー、黄瀬やよい事キュアピース、緑川なお事キュアマーチ、青木れいか事キュアビューティを見つけ出し、メルヘンランドに伝わる伝説の戦士プリキュアを全て集めた。

 

 転校早々仲良くしてくれたあかね、やよい、なお、れいかが、同じプリキュアの仲間だと知り、みゆきの心はウルトラハッピーであった・・・

 

 五人のプリキュアは、人間達のバッドエナジーを集め、悪の皇帝ピエーロを復活させようと企むバッドエンド王国の三幹部、ウルフルン、アカオーニ、マジョリーナと戦い続ける。

 

 だがこの五人、歴戦の戦士達に比べ、何処か戦士としての自覚に欠けた面があった・・・

 

 

 

 この日も、バッドエナジーを集めに来たアカオーニと対峙する五人、アカオーニは、みゆき達の学校、七色ヶ丘中学校の校庭に現われると、この前のウルフルン同様、部活をしていた生徒達からバッドエナジーを集めていた。アカオーニが発したバッドエンド空間は、まるで燃えるように赤く染まって居た。

 

 ハッピー達五人は、五人揃った事で、チーム名をスマイルプリキュア!と決め張り切って戦いに出たのだが・・・

 

 

「気合いだ!気合いだ!気合いだ~!プリキュア!ハッピ~~・シャワ~~~!!」

 

 気合いを込めたハッピーシャワーが炸裂するも、野球バットが変化したアカンベェは、ハッピーの攻撃を転がりながら躱した。

 

「ガァ~~ン!?そ、そんなぁ・・・避けちゃった」

 

 必殺技が外れたハッピーは、力を使い過ぎた為、その場に跪き荒い呼吸をする。

 

「でかしたオニ!そのままプリキュアを倒すオニ!!」

 

 アカオーニは大喜びしながら踊り、その勢いで他のプリキュア達も倒せと命令を与える。ハッピーを庇うように前に出たサニーは、

 

「そんなら、次はウチの番や・・・プリキュア!サニーファイヤー!!」

 

 続いてアカンベェに攻撃を仕掛けるのは、日野あかねが変身したキュアサニー!!

 

 赤髪のお団子頭をしていて、衣装はオレンジが主体で、赤いラインが入っていた。イメージカラーは赤!バレー部に所属しているあかねを現わすように、サニーの必殺技は、炎のバレーボールとでもいうように燃えさかり、それをサニーがスパイクする荒々しい技であった。

 

 アカンベェは起き上がると、向かってくるサニーファイヤーをカキィーンと打ち返した。打ち返されたサニーファイヤーが脇を通り過ぎ、サニーの表情が呆気に取られる。

 

「アホォォ!野球とちゃうわぁぁぁ!!」

 

 打ち返されて悔しがるサニーもまた、力を使いすぎ荒い呼吸をする。

 

「こ、今度は私が・・・プリキュア!ヒィィィ」

 

 次にアカンベェに攻撃しようとするのは、黄瀬やよいが変身したキュアピース、黄色を主体とした衣装を身に着けていた。イメージカラーは黄!ピースは、雷を両手の人差し指と中指に蓄えようとするも、その衝撃にビビリ、涙目になる。何とか泣くのを堪えたピースは、

 

「プリキュア!ピース・・・サンダー!!」

 

 ピースサンダーをアカンベェに放とうとした瞬間、アカオーニとアカンベェに怖い顔で睨まれ、ビビッたピースは誤って四人の仲間を雷で攻撃してしまう。

 

「「「「キャァァァァ」」」」

 

 ピースサンダーを浴びて感電する四人から悲鳴が漏れると、ピースは涙目になりながら、四人に頭を下げ謝り続ける。

 

「ゴメンなさい!ゴメンなさい!ゴメンなさい!」

 

「アホかぁ!味方を攻撃してどないすんねん!!」

 

「だってぇぇ・・・あの人達、怖い顔で睨むんだもん」

 

 サニーに怒られ、益々泣きそうになるピースを見て、アカオーニは腹を抱えて大笑いする。

 

 冷静に状況を分析した青木れいかが変身したキュアビューティ、高貴な雰囲気を醸し出すビューティは、青の衣装を身に着けていた。イメージカラーは青!

 

 ビューティは、隣に居る緑川なおが変身した、キュアマーチをチラッと見ると、

 

「どうやら、闇雲に攻撃しても・・・ってマーチ!?」

 

 闇雲に攻撃しても、攻撃を躱されるかも知れないと、ビューティがマーチに慎重に戦おうと言おうとしたのも束の間、マーチは漲る闘志を隠さず、

 

「今度はあたしの番だ!直球勝負!!プリキュア!マーチシュートォォ!!」

 

 マーチは、緑の衣装に身を包んでいて、髪のボリュームは、五人の中で一番あった。イメージカラーは緑!ハッピー同様、五人のプリキュアの頭には、天使の羽のような飾りが付いていた。

 

 サッカー部に入っているなおを現わすように、マーチの叫びと共に、緑色に輝く球体をアカンベェ目掛け蹴り飛ばす。球体は、唸りを上げてアカンベェ目掛け飛んでいく、アカンベェはサニーにしたように身構えると、

 

「行けぇぇ!!」

 

 マーチの思いと共に突き進むマーチシュート、アカンベェがバットを振って勝負してくると思いきや、アカンベェはマーチシュートをそのまま見送り、マーチシュートは空しく彼方に飛び去り、マーチは目を点にしながら呆然とする。

 

「直球勝負って言ったじゃない!?何で勝負しないのよぉぉ?」

 

 悔しがるマーチを見下すように、踊るアカンベェとアカオーニ、

 

「良いぞ、アカンベェ!後一人!後一人オニ!!」

 

 必殺技を使い果たし、ハァハァ荒い呼吸を繰り返すハッピー、サニー、ピース、マーチは、アカンベェが放つ、まるで野球のノックのように飛び交うボールを避けきれず、次々にダメージを負う。

 

「このままでは・・・こっちです!!」

 

 ビューティは、仲間に攻撃させないようにアカンベェを誘導する。アカンベェは、釣られたようにビューティの後を追い攻撃を放つも、何とか躱し続けるビューティ、だが、中々攻撃に転じる事は出来なかった。

 

(私が攻撃を外せば・・・全てが終わってしまう!それだけは・・・)

 

 何とかアカンベェの隙を作ろうと戦い続けるビューティ、その時・・・

 

 

 ビューティとアカンベェの戦いを不安そうに見つめるキャンディの視線に、羽ばたきながら近付いて来る物体が見えてくる。キャンディは不思議そうに小首を捻るも、本の中から現われた人物を見て、キャンディの目が輝いた。

 

「あれは・・・お兄ちゃんクル!!」

 

 本の中から現われたのはキャンディの兄ポップ、ポップは瞬時に状況を理解したのか、

 

「援護するでござる!ドロンでござる!!」

 

 何か巻物のような物を口に咥え、煙に包まれたポップが再び姿を現わすと、ポップは巨大な手に変化し、アカンベェを捕らえ振り回すと、アカンベェは目を回し動きが鈍る。

 

「今でござる!!」

 

「プリキュア!ビューティ・ブリザ~~ド!!」

 

 ポップの合図に頷いたビューティは、右手に冷気を球状に凝縮し、左手で空中に雪の結晶を作った後、雪の結晶と氷の球を合わせてアカンベェ目掛け冷気の技を繰り出した。目を回して居たアカンベェは、ビューティブリザードを避ける事が出来ず浄化される。

 

「「「「ヤッタ~!」」」」

 

 喜ぶハッピー、サニー、ピース、マーチに微笑み掛けるビューティ、アカンベェを浄化し、また一つキュアデコルを取返した少女達から笑顔が溢れた。

 

「ウ~、でも面白かったから・・・満足オニ!!」

 

 アカオーニは、先程のプリキュア達の無様な姿を見れて、満足そうに帰って行った・・・

 

 アカオーニが撤退した事で、グラウンドに張られたバッドエンド空間は解除され、元の景観を取り戻した。

 

 

 

「この方に手助けして頂かなければ、危なかったですねぇ・・・感謝致します!!」

 

 ポップに深々と頭を下げるれいかに、ポップは礼には及ばないと告げる。そのポップ目掛け大喜びのキャンディが体当たりし、ポップは後頭部から地面に倒れ苦悶の表情を浮かべた。

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃ~ん!!」

 

 今にも泣きそうな顔でポップに抱きつくキャンディを、起き上がったポップは優しく頭を撫でて上げた。みゆき達五人は、そんな二人を微笑みながら見つめた。ポップはみゆき達五人の顔をじっくり見つめると、

 

「この五人が、メルヘンランドに伝わる伝説の戦士プリキュアでござるな・・・キャンディ、良く頑張って見付けてくれたでござる!」

 

「ござるって・・・何や時代がかっとるなぁ!でも、可愛いやん!!」

 

 あかねの言葉を聞いていたポップの顔色が変わり、あかねがポップの頭を撫でようとした手を払いのけると、

 

「無礼でござろう!拙者は武士(もののふ)・・・その拙者に可愛いなどとは、失礼千万でござる!!」

 

「そ、そないに怒らんでもええやん!」

 

 ポップが怒った事で、あかねが少し動揺を見せると、ポップを見ていたやよいがポツリとカッコイイと言うと、ポップは顔を赤らめ、

 

「せ、拙者が・・・カッコイイと!?」

 

「うん、男らしくて!」

 

「勇敢で!」

 

「妹思いで」

 

「とても頼りがいがあるお方ですわ!」

 

 やよい、なお、みゆき、れいか、四人が次々ポップを褒め称えると、益々動揺したポップは二、三歩後退り転んだ。まだまだ、修行が足りないと言うポップに、一同は苦笑を見せるのだった・・・

 

                第四十一話:新たなる五つの光!

                      完

 

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