プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第五十一話:修学旅行(中編)

1、八人のプリキュア

 

 翌朝、バッドエンド王国・・・

 

「アァ・・・退屈オニ!」

 

 アカオーニは、暇そうにしながら横になってテレビを見ていると、そこにスキンヘッドのベガが現われる。

 

「おい、アカオーニとか言ったな・・・その箱に映ってる物は何だ?」

 

「これオニ?これはテレビオニ!人間共が暇な時に見る物オニ!!」

 

「ほう・・・」

 

 ベガは、テレビに興味を持ったのか、アカオーニの背後で一緒に見て居ると、ゴールデンウィークの旅行情報をやっていた。

 

「人間とは不思議な者だなぁ・・・態々こんな人混みに出掛けるとは・・・ン!?」

 

 ベガの視線が一点に凝視された・・・

 

 ジッと目を懲らすベガ、そこには観光客に混じって、嵐山を歩いて居たみゆき達の姿を見付けた。

 

(あいつは・・・確か、キュアハッピーとか言ったな!)

 

 ベガの口元がニヤリと笑むと、アカオーニを見つめ、

 

「おい、あのテレビって物に映っている場所は・・・何処だ!?」

 

「オニ!?あれは京都オニ!京都と言えば・・・この本にも沢山の鬼達が居る筈オニ!!」

 

 アカオーニは側に置いてあった絵本を閉じると、

 

「そうだ!京都に行くオニ!!」

 

「フッ、面白そうだな・・・俺も付き合うぜ!!」

 

 アカオーニとベガ・・・

 

 二人の意外なコンビが、みゆき達の居る京都へと向かった・・・

 

 

 

 

 ほへと旅館・・・

 

 佐々木先生に呼ばれたみゆきは、二人でバスガイドの到着を今か今かと二階のロビーで待っていた。

 

「みゆきと佐々木先生・・・何してんやろう?」

 

「何でも、昨日池に落ちて濡れた二人の服を、バスガイドさんがクリーニングに出してくれたそうで、朝に届けに来るらしいですけど」

 

 あかねが不思議そうに小首を傾げると、れいかがみゆきと佐々木先生の会話を思い出し、一同に伝える。

 

「だからあんなに嬉しそう何だ!」

 

「二日目も体操服何て、嫌だもんね」

 

 なおとやよいも嬉しそうな二人を見て頷き合うと、四人は顔を見合わせ微笑んだ。

 

「おはようございます!本日もよろしくお願い致します!!」

 

 やって来たバスガイドを見るや、目をキラキラさせながら駆け寄る二人、バスガイドは、苦笑を浮かべながら持って来た二人の服を手渡すと、

 

「ありがとうございます!!」

 

「ガイドさん・・・ありがとう!!」

 

「どう致しまして!」

 

 みゆきは嬉しそうに踊りながら四人の側に来ると、四人も笑みを浮かべながら部屋へと戻って行った。佐々木先生は領収書を貰い、二人分の代金を払うと、嬉しそうに自分の部屋へと戻って行った。

 

 

 

 嬉しそうに制服に着替えたみゆきに、あかね、やよい、なお、れいかもホッと安堵し、まだ少し早いから、この辺を散歩しましょうというれいかの提案を聞き入れ、一同は外へと外出した。

 

 空はこの日も快晴だった・・・

 

 みゆきは、昨日の不運を吹き払うように大きく深呼吸すると、口の中に虫が飛び込み、思わずペッペッと唾を吐き咳き込む、心配したなおがみゆきの背を摩りながら、

 

「み、みゆきちゃん・・・大丈夫?」

 

「大丈夫、大丈夫!」

 

 昨日と打って変わり、まるでウルトラハッピーなような笑顔を浮かべるみゆきに、思わずあかね達四人は首を捻るのだった。

 

 五人は周辺を少し散歩すると、旅館へと戻って行った・・・

 

 

 

 ほへと旅館で朝食バイキングを食べた一行は、荷物を持って外へ出ると、

 

「じゃあ、出発するわよ!」

 

 佐々木先生に促され、バスに乗った一同は二日目最初の観光地、清水寺へと向かった・・・

 

 清水寺・・・

 

 誰もが京都に旅行したら、一度は観光に行くと言われる程有名な場所である。近年、年末になると今年の世相を、漢字一文字に現わした今年の漢字は、耳にした事がある人は多いと思う・・・

 

「世界文化遺産にも登録されている清水寺は、奈良時代末期、778年に僧延鎮が開山し、平安建都間もない延暦17年(798年)坂上田村麻呂が仏殿を建立したと伝えられています。現在の建物の多くは、寛永8年~10年(1631年から1633年)、徳川家光の寄進によって再建されたものです」

 

 本当はれいかも知っていて、仲間達に話したそうにしていたが、昨日の反省をし、グッと堪え、バスガイドの話を聞くれいかの姿を見て、あかねとなおが苦笑する。

 

 本堂から眼下の景色を見渡し、その見晴らしに興味を持つ生徒も居れば、つまらなさそうにする男子生徒の姿もチラホラ見られた。

 

「清水の舞台って、傾いてるんだね?」

 

「コケたら・・・転げ落ちそうやなぁ」

 

 しゃがみ込み、傾いている床を見ていたあかねとなおの背後で、キャァァと悲鳴が聞こえ、振り向いた二人は、ゴロゴロ転がるみゆきを見て顔面蒼白になり、素早くなおが行動を起こし、何とかみゆきを受け止める。

 

「アハハハ・・・転んじゃったぁ!」

 

 苦笑を浮かべながらも、みゆきは笑みを浮かべ、一同はみゆきが何処も怪我をしていないようでホッと安堵するのだった。佐々木先生も顔色を変えると、あかね達四人を呼び、

 

「私も注意するけど、あなた達もしっかり星空さんの事見ていてあげて!何だか・・・昨日の不運が続いているようだから・・・」

 

「そのようですね・・・」

 

 れいかも頷き、四人と佐々木先生は、他の生徒達にからかわれ、苦笑を浮かべているみゆきをジッと見つめた。

 

 一同の不安は的中し、みゆきは、産寧坂(三年坂)で、散歩していた犬が逃げ出し追いかけられたり、排水溝に落ちたり、土産物屋の置物の下敷きになったり、不運は続いていた・・・

 

「みゆきちゃん・・・京都に来てるし、お祓いでも頼む?」

 

 心配して声を掛けるなおに、あかね、やよい、れいかも思わずその方が良いかも知れないと声を掛けるも、

 

「大丈夫!大丈夫!」

 

 みゆきはニッコリ微笑み、一同に大丈夫だと伝えると、先頭きって歩き出す。四人は顔を見合わせ、大丈夫だろうかと不安そうにみゆきの背を見つめた・・・

 

 

 

 続いて一行がやって来たのは祇園・・・

 

 祇園は、八坂神社の門前町として鴨川から東大路通、八坂神社までの四条通の南北に発展し、京都有数の舞妓が居る事でも有名である。

 

「では、此処からは班ごとの自由行動にします!」

 

 佐々木先生の言葉でちりぢりに散っていく生徒達、佐々木先生はれいかを呼ぶと、

 

「星空さんの事・・・お願いね!」

 

「はい!では、行って参ります!!」

 

 れいかは佐々木先生に一礼し、五人も祇園見学に出掛けた。

 

 

 やよいは、舞妓に会うのを楽しみにしているようで、何時出会ってもいいように、黄色いデジタルカメラを手に持ち準備を整えた。だが、祇園の街を歩き回るも、一向に舞妓に出会う気配は無かった・・・

 

「さっきの舞妓さん、超キレイだったよねぇ!」

 

 すれ違う生徒達の声を聞き駆けつけるも、既に舞妓さんは居なくなっていて、一同は落胆する。

 

「まあ、必ず会える訳じゃ無いしね!」

 

「せやな・・・まぁ、気楽にこの辺散策しようや!」

 

「そうですね!見る所は沢山ありますから!!」

 

「うん!」

 

 なおが、あかねが、れいかが、やよいが、舞妓に会えるのは運だろうから、気にせず散策しようと歩き出す中、みゆきの足が止まった・・・

 

「ゴメン・・・やっぱ、無理!」

 

 思わず小声でポツリと呟くみゆき、ジワッと目に涙が浮かんでくる・・・

 

 みゆきは、昨日の出来事を反省し、一同が楽しく修学旅行を送れるように、自分の不幸な出来事にも堪えていたが、自分が一緒に居ては、みんなが楽しみにしている舞妓さんには会えないと思い、堪えていた思いが溢れ、みゆきは一同から離れるように走り去った・・・

 

 四人がみゆきの異変に気付き、振り返った時には、みゆきの姿は観光客に遮られ、視界から見えなくなる間際だった。

 

「みゆきぃぃぃ!」

 

「「みゆきちゃ~ん!!」」

 

「みゆきさぁぁん!・・・なお、追いかけて!!荷物は私が!!」

 

「うん!れいか、お願い!!」

 

 なおは荷物をれいかに渡すと、みゆきの後を追って走り出す。だが、観光客が多く、みゆきの姿を見失い途方に暮れている所に、あかね、やよい、れいかと合流し、四人はみゆきの身を案じ、不安そうな表情を浮かべながら辺りを見渡し続けた・・・

 

 

 

 

 祇園のお土産屋では、新撰組のハッピを着た一人の少女が注目を浴びていた・・・

 

「エレン・・・何も此処でも着なくて良いじゃない!」

 

 奏は、自分達が周りの観光客からクスクス笑われ、思わず頬を染めながらエレンに文句を言うも、

 

「エェ!?だってぇ、折角昨日買ったし・・・京都らしくて良いでしょう?京都に居る時は、この姿で過ごそうかと思ってるんだけど」

 

「京都は京都でも、祇園は舞妓さんで有名なの!」

 

 響、奏、エレンの三人は、祇園の商店街の扇子などの小物を扱う土産物屋で、家族やアコ、音吉へのお土産を捜していた。響は入り口付近の商品を物色していると、

 

「いよっ!日本一!!」

 

 エレンと奏の視線が、店先で見本の扇子を開き、ポーズを決める響へと向けられる。思わず溜息を付く奏は、もう一人問題児が居るのを改めて思い知らされ、ガクッと項垂れる。響は扇子を気に入ったのか、色々手に取り構えていると、視線の先に見た事のある少女の姿を見て思わず驚き、

 

「あれ!?あの子、もしかしてみゆきちゃん!?」

 

「「エッ!?」」

 

 響が見つめる方を見た奏とエレン、確かにみゆきに似た子が、泣きながら店先を走って行くのが見えた。三人は咄嗟に表情を変えると、響は持って居た扇子を戻し、みゆきの後を追って走り出した。

 

「響!・・・行っちゃった」

 

「私達も追いかけましょう!!」

 

 少し経って、手に持っていた土産の会計をしたエレンと奏が外に出ると、みゆきを探しに来たあかね達と合流する。互いに驚く両者達は、

 

「アレ!?奏さん、エレンさん、どうして此処に?」

 

「あなた達こそ・・・私達は昨日から修学旅行で来てるんだけど、もしかしてあなた達も?」

 

「はい!私達も昨日から修学旅行で京都に・・・あのぉ、みゆきさんを見掛けませんでしたか?」

 

 奏とエレンを見付けたなおが驚きの声を上げると、奏も一同が居る事に驚きつつも、修学旅行で来た事を教えると、れいかが自分達も修学旅行で来ていると教える。れいかは、みゆきを見なかったか二人に問うと、奏とエレンは渋い表情を浮かべ、

 

「あなた達・・・みゆきと喧嘩でもしたの?」

 

「さっき泣きながら、店の前を走り去って行ったわよ!」

 

 エレンと奏の報告を聞き、四人の表情が強張る・・・

 

 何かみゆきの気に触る事をしたのだろうか?と思ったものの、心の中に思い浮かぶ事は無かった。あかねはブルブル首を振ると、

 

「喧嘩!?滅相もない!ウチら、みんなで舞妓さん探ししながら、祇園を歩いてたら・・・」

 

「突然みゆきちゃんが走り去っちゃって・・・」

 

 やよいも心配そうな表情で、奏とエレンに訴える。二人は顔を見合わせると、

 

「ねぇ、良かったら何があったか・・・詳しく私達に話してみて」

 

「みゆきちゃんの後を、直ぐ響が追いかけて行ったから、今頃追いついていると思うわ」

 

 エレンと奏から、響がみゆきの後を追いかけてくれたと聞き、思わずホッと安堵する一同、あかね達は、昨日からの出来事を奏とエレンに話すと、

 

「なるほどね・・・」

 

「エッ!?エレン、何か分かったの?」

 

 ウンウン頷くエレンを見て、奏は何か分かったかエレンに問うと、エレンは一同を見渡しながら、

 

「ええ!みゆきは・・・あなたたちに心配させまいとして強がってたのよ!自分が落ち込んでいたら、あかね達が旅行を楽しめないんじゃないかと思ってね・・・」

 

「そんな事思ってないのに・・・」

 

 エレンの推測に、なおは悲しそうな表情を浮かべると、

 

「私はまだ、みゆきの事をそれ程詳しく知ってる訳じゃ無いけど、あの子は優しい子よ!運が無い自分が一緒に居たら、みんなが舞妓さんに会えないんじゃないかと思ったのね・・・」

 

「だから、あの時みゆきさんは・・・」

 

 エレンの推測に、れいかは納得いく面があるようで、困惑の表情を浮かべる。

 

 トラブルに見舞われても、笑顔を浮かべていたみゆき・・・

 

 それは、自分達を心配させまいとするみゆきの優しさだったと気付く・・・

 

「心配だろうけど、此処は響に任せましょう!何か連絡がある筈だし、かえって動かない方が良いかも知れない」

 

 奏の忠告を聞いた四人だったが、みゆきの事が心配でならなかった・・・

 

 

 

 

 みゆきは、白川に掛かる巽橋(たつみばし)の上で、ぼんやり流れる白川を見つめていた・・・

 

 巽橋・・・

 

 祇園の北側を流れる、白川に掛かった巽橋を中心とした地区は、伝統的建造物群保存地区に指定されていて、古き美しい街並みが佇んだ場所である・・・

 

「みゆき・・・どうしたクル?」

 

「みゆき殿・・・」

 

 みゆきの事を心配したキャンディとポップも、みゆきのリュックから顔を出し話し掛ける。

 

「二人にも迷惑掛けちゃったね・・・ゴメン」

 

 そう言うと、再び白川をぼんやり見つめるみゆき、不意に右隣に誰かが立ち、みゆきが視線を向けると、横に立った人物を見て思わず驚く、

 

「エッ!?響さん?どうして此処に!?」

 

 驚くみゆきに、響は優しく微笑み掛け、

 

「修学旅行で京都に来ててね・・・みゆきちゃんもそうなの?」

 

「は、はい・・・」

 

「そっかぁ・・・あれ、キャンディ!それと、もしかしてあなたがキャンディのお兄さんの?」

 

 響は、みゆきを労っていると、背中のリュックから顔を出しているキャンディと、見た事が無い妖精に驚くも、ハミィから聞いていたキャンディの兄ではないかと声を掛けると、

 

「如何にも、拙者はキャンディの兄ポップでござる!拙者を見ても驚かないそなたは・・・プリキュア殿でござるか?」

 

「うん!私は、北条響事、キュアメロディ!ポップ、よろしくね!!」

 

「オオ!響殿と言えば、エレン殿とお仲間の・・・お会い出来て光栄でござる!!」

 

「響・・・ハミィやピーちゃんはどうしてるクル?」

 

「ハミィなら、エレンのリュックの中に居るよ!ピーちゃんは・・・あたし達と一緒に来る?って誘ったんだけど、アコが絶対駄目ってむくれちゃったから、加音町でお留守番してるよ!」

 

 響がニッコリしながら、キャンディとポップと会話する。その様子をボンヤリしながら見ていたみゆきを見た響は、

 

「ねぇ、みゆきちゃん!お友達と・・・喧嘩でもしたの?」

 

「エッ!?ち、違います!」

 

 響の突然の問い掛けに、ブルブル首を振るみゆき、響はホッと安堵したようで、

 

「そっかぁ、なら良かった!みゆきちゃんが、泣きながら走ってたから気になって」

 

「み、見てたんですか・・・」

 

 みゆきは恥ずかしくなり俯き、視線を白川に向けた。響も白川の流れを見つめると、

 

「心が和む良い景色だよねぇ!ねぇ、みゆきちゃん・・・私で良ければ、何があったか話してくれない?」

 

 まるでみゆきの心を優しく包み込むように聞く響の言葉に、みゆきは昨日からの自分の身に起こる不運振りを伝え、自分と一緒では、あかね達が修学旅行を楽しめないんじゃないかと思った事を告げた・・・

 

「それは違うよ、みゆきちゃん!」

 

「エッ!?」

 

 自分の言葉を、響は優しく否定し、

 

「あかねちゃんも、やよいちゃんも、なおちゃんも、れいかちゃんも、みんな、みゆきちゃんも含めた、五人一緒に行動出来る修学旅行だから楽しいんだよ!私もそう・・・奏やエレン、クラスのみんなや、学校のみんな、みんなと一緒に来たから楽しいんだと思う」

 

「・・・・・・・」

 

「それに、もしみゆきちゃんが逆の立場だったらどうする!?その子が笑顔になるようにして上げるんじゃないかなぁ?」

 

 響の言葉を聞いて、昨夜の事を思い出すみゆき、落ち込むみゆきを励ますように、枕投げを始めたあかねとなお、布団に潜りながら、色々な話で気持ちを和ませてくれたやよいやれいかの事を思い出し、目に涙が浮かんでくるみゆき、

 

「私、私、私が居ると、みんなが舞妓さんに会えないと思った・・・私が居なければ、みんなは舞妓さんに会えて、ハッピーになれると思ってた・・・」

 

「みゆきちゃんは優しいね・・・でもみんなは、みゆきちゃんも含めた全員で、舞妓さんに会える事が楽しみ何だよ!誰か一人掛けた状態で舞妓さんに出会っても・・・四人はきっと喜べないと思う!!」

 

「・・・・・・・」

 

「みゆきちゃん・・・帰ろう!きっとみんなも心配して探し回ってるよ!!」

 

「は・・・い」

 

 ポロポロ涙が零れてくる・・・

 

 響はみゆきを引き寄せ、みゆきの頭を自分の胸で支えると、みゆきは響の胸の中で涙を流した・・・

 

 自分の軽率な行動が、逆にあかね達に嫌な思いをさせたと気付き、みゆきは泣いた・・・

 

 響は、みゆきが落ち着きを取り戻すまで、黙ってみゆきの頭を優しく撫でるのだった・・・

 

 響は、嘗て母まりあがしてくれた行為を、無意識の内にみゆきへと行っていた・・・

 

 

 みゆきも落ち着きを取り戻し、ホッと安堵する響とキャンディ、ポップ、いざ戻ろうとした時、響の額から汗が滴り落ちると、

 

「ところでみゆきちゃん!私達・・・どっちから来たっけ?」

 

「エェェ!?私は夢中で走ってたもので・・・分かりません」

 

「私も、夢中でみゆきちゃんを追いかけてたから・・・分からないや」

 

 思わず顔を見合わせ困惑する響とみゆき、響は何かを思い付くと、指笛を鳴らした。すると、何処から現われたのか、アリア学園の制服を着た短髪の青い髪の少女が、笑みを浮かべながら二人に駆け寄って来ると、

 

「響!呼んだ?」

 

「和音!ねぇ・・・奏とエレンに会わなかった?」

 

「う~ん、会わなかったけど・・・捜して来ようか?」

 

「お願い、和音!まだ、扇子売ってるお土産屋の前に居ると思うけど・・・私達、巽橋に居るって言ってくれれば、奏は分かると思う」

 

「OK!響の頼みとあらば・・・ちょっと待っててね!!」

 

 少女の名前は西島和音・・・

 

 響と同じくスポーツが得意で、和音は今でも部活の助っ人を続けて居る。響とは、同じスポーツ好き、共に勉強が苦手という共通点が合って気が合うのか、仲が良かった。

 

 和音はそう言い残し、奏とエレンを求め、祇園の街中へと消えて行った・・・

 

 指笛で現われ、爽やかな笑顔を浮かべながら去って行った和音を見て、呆然とするみゆき、和音が去った方角を指差しながら、

 

「響さん・・・今の方は?」

 

「私の友達!和音に頼んだから、奏やエレンが迎えに来てくれる。それまで此処で待ってよう!その後、あかねちゃん達を探しに行こう!!」

 

「はい!」

 

 響の言葉に頷くみゆき、早く戻って四人に謝りたいと思うみゆきであったが、

 

「そいつは残念だったなぁ・・・お前達は、此処でこの俺に消されるのさ!!」

 

「「!?」」

 

 突然野太い男の声が辺りに響き渡り、響とみゆきが辺りを伺っていると、

 

「みゆき殿、響殿、上、上でござる!!」

 

 リュックの中からポップが上空を指差し、上空に居る人物を見てキャンディが震えた。

 

 上空から、響とみゆきを見つめるスキンヘッドの男ベガ!

 

 アンデとルセンを消滅させた張本人を見て、キャンディは怯えた。みゆきは、怯えるキャンディに、

 

「キャンディ、大丈夫!私があなたとポップを守るから!!」

 

 スマイルパクトを手に持ち身構えるみゆき、響は困惑しながら、

 

「みゆきちゃん、ゴメン・・・私は、奏が一緒じゃないとプリキュアには・・・」

 

「エッ!?・・・分かりました!私が奏さんとエレンさんが来るまで時間を稼ぎます!!プリキュア!スマイルチャージ!!」

 

 みゆきの身体が光に包まれキュアハッピーへと変化していく・・・

 

「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!!」

 

 ハッピーに変身し、上空に居るベガに身構えるハッピー、ベガは口元に笑みを浮かべるも、一緒に来た筈のアカオーニの姿が見当たらず、上空からキョロキョロ辺りを捜すと、アカオーニは、辰巳大明神の鳥居の前で、七色ヶ丘中学の男子生徒のリクエストを聞き、様々なポーズを取って、写真撮影に興じていた・・・

 

「バカか、お前は!?プリキュアが現われたんだぞ!さっさとこっちに来い!!」

 

 上空からベガに怒られたアカオーニは、

 

「プリキュアオニ!?こんな事してる場合じゃ無いオニ・・・世界よ!最悪の結末、バッドエンドに染まるオニ!白紙の未来を黒く塗りつぶすオニ!!」

 

 アカオーニは、写真を撮っていた生徒達からバッドエナジーを吸収すると、巽橋へとやって来た。

 

(この場所で戦ったら・・・)

 

「ハッピー、場所を変えよう!この場所を滅茶苦茶にさせる訳にはいかない!!」

 

「はい、分かりました!!」

 

 このキレイな街並みを、戦いで汚すわけにはいかない。響は、みゆきのリュックを背負うと、場所を変えようとハッピーに進言し、アカオーニとベガを誘導するように白川沿いを走り出した・・・

 

 逃げ続ける響とハッピーだったが、白川南通で前方にベガ、後方にアカオーニに挟み撃ちにされた・・・

 

「此処は私に任せて下さい!!」

 

「ハッピー、頑張るクル!」

 

「キャンディ、危ないよ!!」

 

 顔を出したキャンディに、響は危ないからリュックの中に隠れているように伝えるも、リュックからヒラヒラ何かが舞い上がり、アカオーニの側に落ちた。アカオーニは不思議そうに落ちた紙を拾うと、それを見たハッピーは動揺し、

 

「あれは・・・返してぇぇ!!」

 

「これは、おみくじオニ!?・・・プッハハハハハハ!プリキュアが・・・大凶オニ?これは傑作オニ!!」

 

 アカオーニは腹を抱えて笑いだすと、ハッピーは俯き、戦意を喪失する。

 

(折角ハッピーが立ち直り掛けたのにぃぃ・・・あのバカオニィィ!!)

 

 響は、余計な事をしたアカオーニを見て、頬を膨らませながら睨み付けた。アカオーニはそんな事にはお構いなく、

 

「丁度良いオニ!これをアカンベェに変えるオニ!!出でよ!アカンベェ!!」

 

 アカオーニは、みゆきの大凶くじを青鼻のアカンベェに変えた。ハッピーは激しく動揺し、ベガはそんなハッピーを、容赦なく背後から蹴り飛ばし、ハッピーを白川に叩き落とした。

 

「ハッピー!!クッ、このままじゃハッピーが・・・奏!エレン!お願い、早く、早く来て!!」

 

 キュアモジューレを手に持つも、変身出来ない響は苦悶の表情を浮かべた・・・

 

 

 

「セイレーン!何かミラクルガイドライトが激しく点滅してるニャ!」

 

 突然リュックからハミィの声が聞こえ、エレンは道端に張り付くような格好をしながら、

 

「ハミィ、突然喋らないで!所で・・・どうしたの?」

 

 リュックから顔を出したハミィが、ミラクルガイドライトを取り出すと、虹の輝きが赤く染まった上空に向かって輝いた。

 

「まさか、響達の身に何か!?」

 

 動揺する奏とエレン、あかね達四人は顔を見合わせ合うと、一目散に虹の輝き目指して駈け出した。奏とエレンも向かおうとした所に和音が現われ、響からの言伝を聞いた二人は、やはり響達の身に何か危険が迫っている事を察した。

 

「ありがとう!」

 

 二人は和音に礼を述べると、走り出した・・・

 

 

 

「ハッピー、大丈夫!?」

 

 白川に落とされヨロヨロ立ち上がったハッピーに響が声を掛けると、

 

「響さん・・・ゴメンなさい!私と一緒に居たから響さんまで・・・」

 

「何言ってるの!?そんなの関係無い!!」

 

 戦意を失ったハッピーに、容赦ないベガの攻撃が加えられる。爆風で上に吹き飛ばされゴロゴロ転がるハッピー、ベガは勝ち誇ったようにハッピーにゆっくり近づいていくと、

 

「痛いか?苦しいか?今楽にしてやるよ!ダークネス・・・ボンバー!!」

 

 負のオ-ラがベガの身体に集まると、ベガはハッピー目掛けショルダータックルを仕掛けるも、

 

「させんでござる!」

 

 ポップは巨大な盾に変化し、ハッピーを庇うも、ダークネスボンバーの威力の前に吹き飛ばされるが、響がジャンプしポップを受け止める。おみくじアカンベェが背後から近づくと、今度はキャンディが象デコルを使い、象の鼻からアカンベェ目掛け水を撒き散らす、

 

「ポップ・・・キャンディ・・・」

 

 懸命に自分の事を守ろうとしてくれるポップとキャンディ、響もハッピーを庇うように前に出てベガを睨み付けると、

 

「あんた達・・・いい加減にして!!」

 

「それはこちらのセリフ・・・面倒だ、全員纏めてくたばれ!ダークネス・・・ボン・・・何ぃぃ!?」

 

 響とハッピーに止めを刺そうとしたベガの足下が凍り付き、ベガの動きが封じられると、一筋の疾風がベガを横切り蹴り飛ばした。背後から襲うアカンベェに対し、紅蓮の炎がその行く手を遮り、たじろいだアカンベェ目掛け雷が降り注ぐ、険しい視線をベガ、アカンベェ、アカオーニに向けるサニー、ピース、マーチ、ビューティ、響は、現われた四人を見てホッと安堵を浮かべた。

 

「ビューティ・・・マーチ・・・サニー・・・ピース」

 

 ハッピーの視線に四人の仲間達の姿が目に写る・・・

 

「私、みんなが一緒に居てくれるから、大凶でも頑張れた。でも、私が一緒に居たせいで、みんなや響さんまで大凶に巻き込んじゃった・・・」

 

「ハッピー・・・ちゃうでぇ!!」

 

「あたし達・・・巻き込まれて何てないよ!!」

 

 ハッピーの言葉を、サニーとマーチが否定する。

 

「私達・・・ハッピーと一緒だから、楽しんだよ!!」

 

「それに・・・こんな事、大凶に入りませんわ!!」

 

 ピースもビューティもハッピーを励まし、

 

「「「「五人が揃えば、大凶なんて・・・吹き飛ばせる!!」」」」

 

「みんなぁ・・・」

 

 四人からの励ましを受け、ハッピーは目から流れる涙をゴシゴシ擦り

 

「うん!みんなぁ・・・ありがとう!!」

 

 満面の笑みを浮かべるハッピーに、仲間達も頷き返した。それを見た響も、キャンディも、ポップも笑みを浮かべる。だが・・・

 

「小賢しい真似しやがって・・・ヌゥゥオオオオ!!」

 

 ベガが咆哮を上げ、身構える五人のプリキュアを制した響は、

 

「あなた達は、アカンベェをお願い!ハッピーエンドの邪魔は・・・させない!!」

 

 変身出来ない響の言葉に動揺する五人だったが、響に言われた通りアカンベェ、そしてアカオーニと対峙した。

 

「フッ・・・変身出来ない貴様が、この俺に適うと思ってるのか?」

 

「勘違いしないで!私達だって、ハッピー達に負けないぐらいの・・・ハーモニーパワーを持って居るんだからぁぁ!!」

 

 響の言葉を頷けるように、エレンが、奏が、響の名を呼びながら駆け寄って来ると、

 

「奏、エレン、行くよ!ハッピーエンドの邪魔をしようだなんて・・・」

 

「「「絶対に許さない!」」」

 

 奏とエレンもキュアモジューレを手に持ち、ドリー、レリー、ラリーが三人の下に飛んでくると、

 

「「「レッツプレイ!プリキュア!モジュレーション!!」」」

 

「爪弾くは、荒ぶる調べ!キュアメロディ!!」

 

「爪弾くは、たおやかな調べ!キュアリズム!!」

 

「爪弾くは、魂の調べ!キュアビート!!」

 

「「「届け!三人の組曲!!スイートプリキュア!!!」」」

 

「「「ハァァァ!!」」」

 

 三人のプリキュアが、まるでハモるように雄叫びを上げながら、ベガへと立ち向かった・・・

 

 

2、疑惑

 

 みゆきの事を心配していた佐々木先生は、生徒達の様子を見守りながら、みゆき達を捜して祇園を歩いて居た・・・

 

「青木さん達が一緒だから、大丈夫だとは思うけど・・・」

 

 キョロキョロ辺りを見渡していた佐々木先生は、白川の辺りの上空が、赤く素まって居る事に気付き、小首を傾げた。

 

(変ねぇ?日が暮れるには早すぎるし・・・)

 

 佐々木先生は、みゆきを捜す傍ら、空が赤く染まって居る白川南通へと歩き出した・・・

 

 

 

「プリキュア!サニー・ファイヤ~~!!」

 

 アカンベェ目掛けサニーのサニーファイヤーが飛ぶ、だが、アカンベェは攻撃に怯む事無く再び向かってきた。

 

「やはり私達の技は、あの青い鼻のアカンベェには効かないようですねぇ・・・」

 

 サニーの必殺技が効かない、やはりこの青い鼻のアカンベェは自分達の技が効かないように改良されているようだというビューティの言葉を受け、五人はキャンディを見つめると、マーチが、

 

「だったら、あの時のように・・・」

 

「うん!キャンディ、私達に力を貸して!!」

 

 そしてハッピーが、キャンディに力を貸して欲しいと頼むと、キャンディは大きく頷き、キャンディから発せられた光から、レインボーキュアデコルを使用し、プリンセスティアラを装着した五人は手を重ね合わせ、虹色の光波を放って敵を浄化する合体技レインボーヒーリングを放った。

 

(この力!キャンディ、そなたは・・・)

 

 ポップは、初めて見たプリキュアの新たなる力を、キャンディが生み出している事に気づき、驚愕の表情を浮かべた・・・

 

 レインボーヒーリングの輝きは、アカンベェを浄化し、消滅させた。

 

「クゥゥ・・・次こそは負けないオニ!!」

 

 アカオーニが撤退すると、バッドエンド空間は消滅した・・・

 

 

 

(あら、空が元に戻ったわ・・・一体さっきのは何だったのかしら!?)

 

 徐々に白川南通に近づいた佐々木先生は、遠くの方で聞こえる震動に眉根を曇らせる。何の音なのか?少し早足で歩く佐々木先生の視線に、嘗てニュースで見た少女達の姿が目に飛び込んできた。

 

(あれは、前に横浜に現われた怪物と戦ったっていう・・・プリキュア!?)

 

 佐々木先生は思わず驚き、立ち止まって呆然とした・・・

 

 何故プリキュアが京都に居るのだろうか?

 

 佐々木先生の頭の中は混乱する・・・

 

 

 

 

 メロディ、リズム、ビートの三人と肉弾戦をするベガ、三人のハーモニーパワーの前に、ベガが押され始める。

 

「クッ!調子に乗りやがってぇぇ・・・」

 

「さあ、後はあんた一人だよ!」

 

「今度こそ、アンデとルセンの無念・・・私達が晴らして見せる!!」

 

 メロディが、リズムが、アンデとルセンの無念を晴らすべく、ベガと決着を付けようと身構える。ビートはハミィを見ると、

 

「ハミィ、今よ!ヒーリングチェストを!!」

 

「合点ニャ!!」

 

 ヒーリングチェストを使い、クレッシェンドトーンの力を借りて、勝負を付けようとしたメロディ、リズム、ビートの三人だったが、ハミィは変顔を浮かべると・・・

 

「みんなぁ、忘れてきたニャ!・・・ゴメンニャ!!」

 

「「「エェェェ!?」」」

 

 頭をポリポリ掻きながら、三人に謝るハミィを見て困惑し、変顔を浮かべたメロディ、リズム、ビートの三人、だが、此処に無い物を頼る訳にいかず、メロディはミラクルベルティエを、リズムはファンタスティクベルティエを、ビートはラブギターロッドを取りだし、

 

「「翔けめぐれ、トーンのリング!プリキュア!ミュージックロンド!!」」

 

 メロディとリズム、二人は呼吸を計ったかのように、互いにミュージックロンドを放ち、

 

「翔け巡れ、トーンのリング!プリキュア!ハートフルビート・ロック!!」

 

 それに合わせるようにビートの技が放たれた。三人の技が、三重奏を奏でるかのように、三つのリングがベガを捕らえるも、ベガは渾身の力を込め、雄叫びを上げると、辛うじてリングを打ち破り、空中へと逃れた。

 

「クッ・・・覚えてやがれ!!」

 

 ベガも姿を消し、八人のプリキュアは、互いの無事な姿を見て微笑み合い、ハッピーは七人のプリキュア一人一人に抱きつき、感謝の言葉を述べるのだった・・・

 

 

 変身を解いた少女達は、目の前から二人の舞妓さんが歩いてくるのを見付けて目を輝かせると、舞妓さんにお願いし、記念写真を撮らせて貰うのだった・・・

 

「みゆき・・・前にせつなから聞いたけど、占いってね、常に運勢が変わるんですって!」

 

 エレンは、前にせつなから聞いていた占い講座を思い出し、みゆきに語って聞かせると、

 

「エッ!?じゃあ・・・私の大凶は!?」

 

「そんなん、決まってるやん!」

 

 嬉しそうに目を輝かすみゆきに、あかねが微笑み掛け、響、奏、エレンも加わった他のメンバーも笑みを浮かべながら、

 

「「「「「「「今は、みんなウルトラハッピーの大吉だよ!!」」」」」」」

 

「うん!!」

 

 みゆきは、満面の笑みで仲間達に微笑み返すのだった・・・

 

 

 

(ど、どういう事!?プリキュア達が脇道に消えて直ぐ、青木さん達が現われた何て・・・まさか!?)

 

 木の陰から隠れて見ていた佐々木先生の脳裏に、みゆき達に対し、ある疑惑が浮かび上がるのだった・・・

 

             第五十一話:修学旅行(中編)

                   完

 

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