プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第五十八話:エコー!

1、戦意喪失

 

 最後のキュアデコルを手に入れたのも束の間、ジョーカーによってデコルデコールと、キャンディを奪われたみゆき達は、キャンディとデコルデコールを取り戻すべく、ポップから聞いたバッドエンド王国に向かえる唯一の手段、メルヘンランドへと向かった・・・

 

 

 

 バッドエンド王国・・・

 

 捕らわれたキャンディは、二本の巨大な柱に挟まれた祭壇の上に縛られていた・・・

 

「あなたに聞きたい事があります・・・ミラクルジュエルは何処ですか?」

 

 ジョーカーは、キャンディの目の前まで顔を近づけ、ミラクルジュエルの在処を尋ねるも、キャンディは泣きそうな表情を浮かべながら、

 

「そんなの知らないクルゥ!キャンディを離すクルゥゥ!!」

 

「本当に知らないんですかぁ?本当にぃぃ!?」

 

「知らないクルゥゥ!みゆきぃぃ!みんなぁ!お兄ちゃぁぁん!助けてクルゥゥゥ!!」

 

(どうやら、本当に知らないようですねぇ・・・)

 

 涙目になりながら、みゆき達の名を叫び続けるキャンディ、ジョーカーは再び顔を近づけると、

 

「確かに、あなたを助けにメルヘンランドに向かっているようですよ!」

 

 ジョーカーの言葉に、キャンディはみんなが助けに向かっていると聞き、表情が輝くも、ジョーカーは意味深な笑みを浮かべると、

 

「態々向こうの方から来て頂けたんですからねぇ・・・折角ですし、ピエーロ様復活への最後のバッドエナジーは・・・あなたが期待しているプリキュア達から頂く事に致しましょう!あなたには感謝していますよ!!何せ、あなたを助けに来て、キュアハッピー達五人は・・・」

 

 またもキャンディにヌゥっと顔を近づけたジョーカーは、

 

「全滅するんですからぁぁ!!」

 

「クルゥゥ・・・」

 

 自分の所為でみゆき達が全滅すると聞かされ、キャンディの瞳から涙が零れる。

 

「み、みんななら・・・必ずキャンディを助けに来てくれるクルゥゥ!!」

 

「いいえ、来ませんよ!何故なら、キュアハッピー達は・・・メルヘンランドで絶望し、あなたの存在など・・・どうでもよくなるんですから!!」

 

 ジョーカーはそう言い残し、キャンディの前から姿を消した・・・

 

 ハッピー達が、キャンディの事などどうでもよくなる・・・

 

「そんなの、そんなの嘘クルゥゥゥ!!」

 

 キャンディは、大粒の涙を零しながら泣き叫んだ・・・

 

 

 

 メルヘンランドに着いた一行は、絵本から抜け出し、辺りを見回した。空中に浮いた小島、家や王宮なども建ち、沢山の風船も浮かんでいて、その名の通りメルヘンを想像させはするものの、この国に住む住人もそうなのかと見回しても、人の姿が一人も見当たらなかった。絵本の世界と聞いていたが、此処には人の気配が感じられない、まるでゴーストタウンのような感覚を覚えた。

 

「ここが、ポップとキャンディの国、メルヘンランド・・・」

 

「さよう・・・此処が拙者達の国メルヘンランド!女王様が、ピエーロとの戦い以後眠りに付いてしまわれ、みんなは嘆き悲しみ、メルヘンランドの民は・・・外出する事をほとんど止めてしまったのでござる!!」

 

 俯いたポップがギュッと拳を握った・・・

 

 ロイヤルクイーンさへ復活すれば、元通りのメルヘンランドを取り戻せるのにと・・・

 

 そんなポップの心情が伝わったかのように、みゆき達一同も悲しげな表情を浮かべたその時、

 

「ウフフフ、その表情最高ですよぉぉ!!」

 

「「「「「「ジョーカー!?」」」」」」

 

 トランプの舞いが降り注ぎ、一同の前に姿を現わしたジョーカー、まさかメルヘンランドに現われるとは、誰も想像していなかった。ジョーカーの奇襲に戸惑いながらも、ポップにあゆみの事を託した一同は、スマイルパクトを手に持ち構えると、

 

「「「「「プリキュア!スマイルチャージ!!」」」」」

 

 五人の少女が、パクトのパフを塗っていき、プリキュアへと変身していく・・・

 

「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!!」

 

「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー!!」

 

「ピカピカぴかりん!じゃんけん・・・ポン!キュアピース!!」

 

「勇気リンリン、直球勝負!キュアマーチ!!」

 

「しんしんと降り積もる、清き心!キュアビューティ!!」

 

「「「「「5つの光が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!!」」」」」

 

 五人のプリキュアが、ジョーカーに対してポーズを決めた!

 

「ジョーカー!キャンディは何処?キャンディを、デコルデコールを・・・返してぇぇ!!」

 

「ならば、この私を倒してご覧なさい!!」

 

 険しい表情を浮かべたハッピーが、ジョーカーに問いただすも、ジョーカーは手に持ったトランプを捌き始め、口元に笑みを浮かべながらハッピー達を挑発する。

 

「上等やないかぁぁ!取って置きのおみまいしたるぅ・・・プリキュア!サニ~~ファイヤー!!」

 

 全身から溢れ出すような炎を集めたサニーは、それを凝縮し炎のボールにすると、ジョーカー目掛けサニーファイヤーを放った。ジョーカーは、トランプを前に出すと、

 

「その程度の攻撃・・・無駄ですよ!」

 

 サニーファイヤーは、トランプに吸い寄せられるように消えて行った・・・

 

 呆然とするサニーと入れ替わるように、

 

「だったら、今度はあたしの技を受けてみな!プリキュア!マーチ・・・シュ~~トォォ!!」

 

 マーチシュートが轟音響かせジョーカー目掛け飛んで行くも、再びトランプカードの中へと吸い込まれ、ジョーカーは涼しげな表情で、

 

「分かりませんか?無駄ですよ!!」

 

「だったら・・・ハッピー、ピース、同時に仕掛けましょう!」

 

「分かった!」

 

「うん!!」

 

「プリキュア!ハッピ~~・シャワ~~!!」

 

「プリキュア!ピース・・・サンダー!!」

 

「プリキュア!ビューティ・・・ブリザ~~ド!!」

 

 個人の技が効かないならば、力を合わせれば良い!!

 

 ハッピーシャワーが、ピースサンダーが、ビューティブリザードが、ジョーカー目掛け飛んでいく!!だが・・・三人が力を合わせた技をも、トランプカードは吸収した・・・

 

「そんなぁ・・・」

 

「ウチらの技が効かん何て・・・どうすればエエんや!?」

 

 ハッピーが、サニーが、一同が呆然とする・・・

 

「無駄です!あなた方如きの力が・・・私に効くとでも思っていたのですかぁ?さあ、自分達の攻撃でも・・・受けてみなさい!!」

 

 五人の技を吸収したトランプカードから、ドス黒いエネルギー体が発射された。嘗て、技を放ったブライトの攻撃を、バッドエナジーを加えてブライト目掛け打ち返した時のように・・・

 

 ドス黒いエネルギー体は、ハッピー達五人を直撃した・・・

 

「「「「「キャァァァァァ!!」」」」」

 

「ハッピー!サニー!ピース!マーチ!ビューティ!」

 

「みんなぁぁぁ!!」

 

 吹き飛ばされた五人が、闇に覆われ、闇の中で弾け飛んだ。ポップが、あゆみが、それを見て絶叫する。ジョーカーはゆっくり闇の中に入って行くと、倒れ込むプリキュア達を見て、口をニタァと吊り上げた・・・

 

 

 ジョーカーは、横たわるサニーの前に姿を現わし、起き上がろうとするサニーの目の前に顔を近づけると、

 

「あなたは勘違いしているようですねぇ・・・」

 

「な、何がや!?」

 

「私がその気になれば、何時だってあなたなど葬りさせられるんですよ!このようにね!!」

 

 サニーの目の前の闇の中に、父大悟、母正子、弟げんきの姿が映し出された。三人の瞳に輝きは無く、まるで全てに絶望しているような表情でサニーを見つめていた・・・

 

「父ちゃん!母ちゃん!げんき!どないしたんや!?」

 

「あかね・・・もう駄目だ!家のお好み焼きを食べたお客が・・・仰山死んだ!!」

 

(エッ!?)

 

「もう、アカン!ウチらはお仕舞いや!!あかね・・・一緒に死のう!!」

 

(な、何言うてんのぉ!?)

 

「姉ちゃんも・・・」

 

「「「さあ、死のう!!」」」

 

 大悟の、正子の、げんきの手がサニーに伸びる・・・

 

「ウワァァァァ!!ハァ、ハァ、ハァ」

 

 思わず仰け反り、荒い呼吸をするサニーの耳元にジョーカーが囁く、

 

「分かりました?私がその気になれば・・・あなたなど、家族事葬り去る事も容易いのですよ!!私がほんのちょっと、火を付ければ、後はあなたが守ってきた町の人々が、あなた達家族を追いつめ・・・抹殺してくれるんですよぉぉ!!!」

 

 ジョーカーの言う通りの出来事が、闇の中で浮かび上がる・・・

 

 町内会長が、常連客達が、あかねの店に石を投げつけ、父が、母が、弟が、身を寄せ合い震える姿が現われる・・・

 

「や、止め・・・ヒィィィィィ」

 

 包丁を手にした大悟が、正子を、げんきを、刺そうとする場面で、闇の中で真っ赤な血飛沫が飛び散り、サニーは恐怖で身を屈め震えだした・・・

 

「あなたの家族は・・・あなたがプリキュアだった為に殺されたんですよ!!あなたの所為でねぇぇ!!」

 

(ウチの所為!?ウチがプリキュア何かになったから・・・)

 

 もう、サニーの精神は限界を向かえていた・・・

 

 幻覚なのか、現実なのか、今のサニーには分からない・・・

 

 戦う気力を失ったサニーのスマイルパクトは石化し、あかねの姿に戻りその場で気を失った・・・

 

 

 

 次のジョーカーの獲物はピース・・・

 

 ピースの耳元に囁きだしたジョーカーは、

 

「あなた、子供の頃にお父様を亡くされてるんでしょう?お母様があなたを女手一つで育て上げてきた・・・」

 

「そ、それがどうしたの!?」

 

 ジョーカーは、口元に笑みを浮かべながら、指をパチリと鳴らすと、目の前の闇の中に母千春が浮かび上がった。

 

「あなたが死んだら、悲しむでしょうねぇ・・・いや、そうでも無いでしょうか?」

 

「な、何を!?」

 

 闇の中に浮かび上がった千春に、大勢の男達が笑顔で話し掛けていた。

 

「キレイな方ですねぇ・・・言い寄る男性も多いんじゃないでしょうか?」

 

 ジョーカーの言葉を表すように、男達が千春に言い寄るも、千春は娘が居ますからと躱して笑顔を浮かべ立ち去る。

 

「でも、本心ではどう思ってるんでしょうね?」

 

「ど、どういう事!?」

 

「つまり、あなたのお母様は・・・あなたが居るから幸せにはなれない!!きっとお母様もそう思っている事でしょう!キュアピース・・・あなたの存在自体が、お母様を苦しめて居るんですよ!!」

 

「ち、違う!ママはそんな事・・・」

 

 だが、再び闇の中に浮かび上がった千春は、男達に悩ましげな視線を浮かべ、

 

「やよいさえ居なければ・・・あなた達の誰かと付き合えたんだけど?」

 

「「「「「ほ、本当!?」」」」」

 

「ええ、やよいさえ居なければ・・・ね?」

 

(ママ・・・何を!?)

 

 千春の発言を聞き、ピースの顔が曇る。千春は一体何を言い出すのかと、だが、千春の言葉を鵜呑みにした男達の言葉が、闇の中、木霊のようにピースの耳に聞こえてくる・・・

 

 娘さへ居なければ、千春さんは自分の道を歩き、幸せになれるのだと・・・

 

「そう!やよいさえ居なければ・・・私は幸せになれたのに!!」

 

(嘘!?私の存在が・・・ママを苦しめてるの?・・・私が・・・)

 

 ピースの瞳から涙が零れる・・・

 

 千春は、まるでピースを見捨てたかのように、男達と共に、闇の彼方に消え去ろうとしていた。ピースは必死に手を伸ばし、

 

「イヤァァァァ!ママ!!置いていかないで!私を・・・置いていかないでぇぇぇぇ!!」

 

 ピースの絶叫も聞こえ無いかのように、千春の姿は闇の中へと消え去った。ピースの瞳から止め処なく涙が零れてくる。ピースの目の前に再び姿を現わしたジョーカーは、手品のように真っ赤な一輪のバラを取り出すと、

 

「そう!あなたの存在が、あなたのお母様を枯らして行くんですよぉ!このようにねぇ!!」

 

 ピースにヌゥと顔を近づけたジョーカーが、手に持っていた一輪のバラにバッドエナジーを加えると、バラは急激に枯れ果て消滅した・・・

 

「ヒィィィィ」

 

 ピースは、鼻水が垂れるのも気付かないかのように無様に怯え、そのまま失神した・・・

 

(ママァァ!私を捨てないでぇぇ!もう・・・戦い何てイヤァァァァ!!)

 

 薄れゆく意識の中、戦意の無くなったピースのスマイルパクトも石化し、やよいの姿に戻った・・・

 

 

 

 更なる獲物を求めたジョーカーの狙いはマーチ・・・

 

「キュアマーチ・・・あなた、随分ご家族が多いそうですねぇ!」

 

「そ、それが何!?あんたに関係無いでしょう?」

 

「大有りですよぉぉ!!」

 

 ジョーカーがパチリと指を鳴らすと、マーチの目の前の闇の中に、大切な家族が浮かび上がった。一家の大黒柱、父源次、肝っ玉母さんとも子、大切な弟妹、けいた、はる、ひな、ゆうた、こうた、皆笑顔を浮かべていた・・・

 

「ですが、この中心的支えが無くなれば・・・どうなるでしょうねぇ?」

 

「あ、あんた、何を言って!?」

 

「簡単な事です!私がその気になれば・・・あなたを絶望させるのは造作も無いという事です!このようにねぇ!!」

 

 ジョーカーのトランプカードが、父源次と母とも子を貫くと、闇の中に浮かんでいた二人の姿が消え失せた・・・

 

「お父ちゃん!お母ちゃん!ジョーカ~~!!」

 

 険しい表情でジョーカーを睨み付けるマーチだったが、闇の中で弟妹達の泣き声が響き渡る。マーチは必死に声を掛けるも、弟と妹には聞こえ無い。

 

「おい、お前の方で何人か面倒見ろよ!」

 

「そっちこそ!家は家族を養うだけで精一杯何だよ!!」

 

 親戚同士が、厄介者を抱え込みたくないと言い争う声が聞こえてくる。

 

 一人、また一人、弟が、妹が、嫌そうな顔をした違う親戚達に引き取られて消えて行く・・・

 

「イヤァァ!けいた、はる、ひな、ゆうた、こうたぁぁ!!」

 

 必死に手を伸ばすも、弟達も、妹達も、闇の中へと消えて行った・・・

 

 ガックリ項垂れ泣き崩れるマーチの耳元に、ヌゥっと顔を近づけたジョーカーは、

 

「可哀想に・・・これもあなたが、プリキュアとして我々に楯突いた結果です。キュアマーチ!これはすべてあなたが招いた・・・出来事何ですよぉぉ!!」

 

「アッ・・・アァァァ・・・」

 

 弟が、妹が、恨めしそうな視線でマーチを見つめる。マーチはその視線に耐えきれず、怯えたように身を縮み込んで謝り続ける・・・

 

 戦意を失ったマーチのスマイルパクトも石化し、なおの姿に戻っても、なおは怯え、震え続けた・・・

 

 

 

 次にジョーカーが選んだのはハッピー・・・

 

 何とか起き上がろうとする、ハッピーの顔を覗き込んだジョーカーは、

 

「何故立ち上がるのです!?もう、勝負は付きましたよ?」

 

「ま、まだ、私達はキャンディを救い!ピエーロを倒してメルヘンランドを救うんだから・・・」

 

「救う!?あなたが?アハハハハ!これは傑作!!私に適わないのに・・・ピエーロ様に何て、勝てる筈が無いじゃありませんか!!」

 

「そんな事・・・」

 

「それに・・・」

 

 ジョーカーが指をパチリと鳴らすと、そこには父博司、母育代が映し出された。幸せそうな笑みは消え去り、二人は絶望に沈み、時折言い争う声さへ聞こえてきた。ハッピーは、普段喧嘩した事など見た事が無い二人の姿に動揺する。

 

「お父さん!お母さん!どうしたの!?」

 

「それはそうでしょう!大切な一人娘が・・・家出をして行方不明!!互いのせいだと罵りたくもなるでしょう」

 

「どういう・・・事!?」

 

 自分が家出!?そんな事思った事など一度も無い、何故そんな事を父と母が思うのか、ハッピーには理解出来なかった・・・

 

「オヤァ!?これはおかしな事を仰いますねぇ?あなた、ご両親にプリキュアだって教えてらっしゃるんですか?バッドエンド王国に行って来ますなどと・・・言い残して来たんですかぁ?」

 

「それは・・・違うけど」

 

「でしょう!そのあなたが遊びに行ったまま戻らない!!立派な家出じゃないですか?尤も、私がちょっと細工しちゃたんですけどねぇ・・・捜さないで下さいって置き手紙を置いてねぇ」

 

「な、何て事を!?」

 

「感謝して欲しいですねぇ!あなたは二度と戻れない!!」

 

「違う!戻ってみせるよぉぉ!!」

 

「いえいえ、戻れませんよ!ほら、ご覧なさい!!」

 

 闇の中の育代が、荷物を纏め、家を飛び出して行った・・・

 

 普段、酒などほとんど飲まない博司が、酒に手を出し、部屋の中で暴れた・・・

 

「ご覧なさい!あなたがプリキュアなどになったせいで、ご両親は不仲になられた。仮にあなたが帰ったとしても・・・元の生活には、二度と戻れない!!」

 

(私がプリキュアになったから!?私のせいでお父さんが・・・お母さんが・・・)

 

 呆然とするハッピーの顔に、自分の顔をヌゥと近づけたジョーカーに、ハッピーは思わず悲鳴を上げ、後ろに仰け反った。

 

「そう!あなたのせいです!!」

 

「アッ・・・アァァ」

 

 ハッピーもまたジョーカーの術中に嵌り、戦意を喪失する・・・

 

 自分がプリキュアになったから、大切な家族にまで危害が及んだと、自責の念に駆られた・・・

 

 ハッピーのスマイルパクトも石化し、みゆきの姿へと戻った・・・

 

 みゆきの瞳から光は消え去り、呆然と闇の虚空を眺め続けていた・・・

 

 

 

(このチームの頭脳・・・キュアビューティ!あなたにも思い知らせて上げますよ!!)

 

 ジョーカーは口元に笑みを浮かべながら、ビューティへと近付いて行った。ビューティは、ジョーカーを見て険しい表情を浮かべると、

 

「キャンディを返しなさい!!」

 

「しつこいですねぇ・・・取り戻したかったら、私を倒して見なさいと言ったでしょう?」

 

「倒して見せます!皆さん!!」

 

 ビューティが闇の中で一同に声を掛けるも、誰一人返事を返す者は居なかった・・・

 

 思わずビューティの心に不安が沸き起る。何故仲間達の声が聞こえないのか?みんなはどうしたのか?

 

「ウフフフフ!皆さんは・・・プリキュアになった事を後悔しているそうですよ?」

 

「な、何をバカげた事を・・・」

 

 ビューティは、不愉快そうに鋭い視線をジョーカーに向けた。ジョーカーは意外そうな表情を浮かべると、

 

「おやぁ!?あなただってそう思ってるんでしょう!?現にあなたは、一度はプリキュアになる事を・・・拒否してるじゃありませんか?」

 

「あれは・・・」

 

「違うとでも!?ああ、そうですねぇ!あなたはプリキュアで居れば、キュアマーチを始めとした仲間達と共に居られる。あなた、プリキュアになる前は・・・孤独でしたものねぇ?」

 

「なっ、何を!?」

 

「あなたの考えに賛同する者など・・・皆無でしたものねぇ?」

 

 ジョーカーが指をパチリと鳴らすと、目の前でれいかの日々の行動が映し出される。生徒会に入ったのも、クラス委員長に立候補したのも、みんなが喜べるような学校にしたいからだった。

 

「あなた、自分が常に正しいと考えてませんか?でもねぇ・・・他人から見れば、あなたの行動は・・・押しつけがましい行為何ですよ!!」

 

「そ、そんな!?」

 

 動揺するビューティを嘲笑うかのように、再びジョーカーが指を鳴らすと、クラスの人々が、先生達が、れいかの陰口を叩いていた・・・

 

(皆さん、誤解です!私はそんなつもりでは・・・)

 

 激しく動揺するビューティに、ジョーカーは笑みを浮かべながら、

 

「現実を受け入れなさい!あなたがプリキュアになったのは・・・正義の為でも何でもない・・・ただの自己満足何ですよ!!」

 

(自己・・・満足!?そう・・なの?分からない、私には分からない!!)

 

「なお!みゆきさん!あかねさん!やよいさん!・・・どうして、どうして誰も答えてくれないの・・・」

 

 ビューティの瞳から涙が零れる・・・

 

「お爺様!お母様!お父様!お兄様!」

 

 一人になる恐怖・・・

 

 ガックリ膝から崩れ落ちたビューティの戦意は消え去り、スマイルパクトは石化し、れいかの姿へと戻った・・・

 

 ジョーカーの精神攻撃は、現実と幻の区別を無くし、五人の少女達の心を、ズタズタに踏みにじっていた・・・

 

 

2、覚醒

 

 ジョーカーが再び闇から出てくると、闇は消え去り、瞳から輝きが消えたみゆき、あかね、やよい、なお、れいかの五人が呆然と座り込み、その前には石化したスマイルパクトが放置されていた。

 

「スマイルパクトが石に!?これは・・・皆の衆、一体どうしたでござる?」

 

「みゆきちゃん!あかねちゃん!やよいちゃん!なおちゃん!れいかちゃん!みんな、一体何があったの?」

 

 ポップが、あゆみが、まるでぬけ殻のように放心している五人に声を掛けるも、五人は答えない。

 

「ウフフフフ!無駄ですよ!!彼女達の精神は、闇に飲み込まれ・・・崩壊寸前!皆、絶望に沈み、戦う事に恐怖を感じているのですよ!!さあ、では頂きましょうかねぇ・・・ピエーロ様復活の最後のバッドエナジーを・・・プリキュアから!!」

 

 メルヘンランドの上空を闇が覆い、みゆき達五人からバッドエナジーが放出されていく・・・

 

「私・・・何で戦ってるんだろう?」

 

「ウチが戦わなくても・・・プリキュアは仰山居る」

 

「もう、怖い思い何かしたくない」

 

「あたしは、一人・・・弟や妹も、もう・・・」

 

「私の力など、誰からも必要とされていない」

 

 みゆきが、あかねが、やよいが、なおが、れいかが、皆瞳から光を消し、虚空を見つめながら呟いた・・・

 

「皆の衆!しっかりするでござるぅぅ!!」

 

「みゆきちゃん!みんなぁ!!」

 

 必死に五人に声を掛けるポップとあゆみ、だが、みゆき達五人には届かない・・・

 

「無駄ですよ!最早此処に居るのは・・・生きる事に絶望した、五人の哀れな少女達!それとも、まだこの私と・・・戦おうと言うのですかぁ?」

 

「「「「「ヒィィィィィ!」」」」」

 

 ジョーカーは、口元に笑みを浮かべながらみゆき達を威嚇すると、五人は恐れおののき、身を寄せ合って震え続ける。

 

「皆の衆・・・」

 

「可哀想ですねぇ!?何の関係も無いメルヘンランド何かの為に・・・彼女達をこんな姿にしたのは・・・あなた達何ですよぉ!!」

 

 経った数分前にジョーカーに向かっていた五人の勇姿は消え去り、まるで別人のように震え続けるみゆき達を見て、ポップは拳を振るわせた。ジョーカーの言う通り、彼女達をこんな危険な目に合わせたのは、メルヘンランドの住人である自分の責任であるとポップは自責の念に駆られていた。ポップは、みゆき達五人を労るように、目に涙を溜めながら頭を下げると、

 

「皆の衆・・・今まで忝ない!後は、拙者一人で何とかするでござる!!」

 

「ポップ、駄目!諦めちゃ駄目!!他のプリキュアのみんなが・・・きっと助けに来てくれる!!」

 

 あゆみは、ポップが責任を感じ、自分達を逃がす時間を稼ぐ為に、ジョーカーと戦おうとしていると感じ、必ず他のプリキュアが助けに来てくれると止めようとする。

 

「ウフフフフ!残念でしたぁ!他のプリキュア達は来ませんよ!!今頃、ウルフルンさん、マジョリーナさん、サディスさん、ディクレさん、ベガさんと戦って居る最中ですからねぇ?」

 

「そ、そんなぁ!?」

 

 あゆみはジョーカーの言葉に呆然とするも、その目から希望は消えては居なかった・・・

 

「さて、バッドエナジーも全て集まり、後はピエーロ様復活を待つばかり・・・もう彼女達にも用は無くなりました!さようなら!元プリキュアの皆さん!!」

 

 ジョーカーは、五色のトランプカードを取り出すと、怯え続けるみゆき達目掛け投げつけた。

 

「させんでござるぅぅ!みゆき殿達は・・・拙者の命に代えても、元の世界に帰すでござるぅぅ!!」

 

 ポップは巨大な盾に変化し、ジョーカーの攻撃を受け続けるも、限界を迎え、吹き飛ばされゴロゴロ地面を転がった。

 

「ポップ!」

 

 思わず顔を覆ったあゆみだが、ポップの名を叫びながら近づき介抱するも、ポップは、

 

「拙者は大丈夫でござる!あゆみ殿、みゆき殿達と一緒に・・・乗ってきた絵本に入り、元の世界に帰るでござる!!」

 

「そんな事、出来る訳無い!私達は、キャンディを救う為に此処まで来たんだよ!!」

 

「でも・・でも・・・もうみゆき殿達は・・・」

 

(((((キャンディ!?・・・)))))

 

 あゆみとポップの会話の言葉は、みゆき達には届かない・・・

 

 だが、キャンディという言葉を聞いた時、心の中に何かを感じた・・・

 

「無様ですねぇ!さあ、止め・・・ン!?あなた、何の真似です?」

 

 ジョーカーが一同に止めを刺そうとしたその時、みゆき達を、ポップを庇うように、あゆみが両手を広げながら、ジョーカーの前に立ち塞がった。

 

「みんなをこれ以上苦しめないでぇぇ!今度は私が、みんなを・・・守って見せる!!」

 

「ハァ!?プリキュアでも無いあなたが・・・何の冗談ですか?そこを退いた方が身の為ですよ!!」

 

 ジョーカーは、何の力も持たないあゆみに何が出来るかと鼻で笑い、忠告を与えるも、あゆみは微動だにせず、ジョーカーを睨み付けた。

 

「そうですか・・・ならば共に死になさい!!」

 

 ジョーカーがトランプカードを手に持ち身構える・・・

 

 ポップは必死に身体を動かそうとするも、先程のダメージで起き上がるのがやっとの状態だった。あゆみは背後のみゆき達を振り返ると、優しく微笑み、

 

「みゆきちゃん達は、まだ出会って間もない私の為に、必死になってくれた!私の事を守ってくれた!!友達の居ない私に、手を差し伸べてくれた!!私の大切な友達を、これ以上・・・苦しめないでぇぇぇ!!」

 

 あゆみの心の中で、何かが弾けた・・・

 

 それを待ち望んでいたように、白い光の柱があゆみの身体を包み込むと、みゆき達は、目の前の光景を見て、自分達がプリキュアになった光に似ていると呆然と見つめた。

 

 アンデとルセンの形見ともいえる光の球体が輝くと、

 

(あゆみ・・・あゆみの思いが、奇跡を起こしたセセ)

 

(今なら、おいら達の声が聞こえる筈!)

 

((あゆみに力を!!))

 

 アンデとルセンの声があゆみには聞こえた。

 

「アンデ!?ルセン!?ど、何処?」

 

 幻聴だったのかあゆみにも分からない・・・

 

 だが、二人の残した光の球体は覚醒し、スマイルパクトに似たスィンクパクトと、白いリボンデコルへと変化を遂げ、あゆみの目の前に現われた・・・

 

(あゆみ、スィンクパクトにデコルをセットして・・・プリキュア!スィンクチャージって叫ぶデデ)

 

(きっとあゆみの力になってくれるセセ)

 

((あゆみ、キャンディを!みんなを!その力で助けて上げて))

 

「アンデ・・・ルセン・・・私、やってみる!!プリキュア!スィンクチャージ!!」

 

 あゆみがスィンクパクトにリボンデコルをセットし、みゆき達のように白い光のパフを塗っていくと、塗られた箇所に白い衣装が身に着けられていく・・・

 

 髪は茶色からクリーム色へと変化し、両脇をリボンで止めている三つ編みの髪が、足下まで伸び、胸とお腹辺りに大きなリボンを付けていた。

 

 変身を終えたその姿は・・・正にプリキュアそのものだった!!

 

「思いよ、届け!キュアエコー!!」

 

 今、新たなるプリキュア!キュアエコーが誕生した瞬間だった・・・

 

 

 

3、いざ!バッドエンド王国へ!!

 

 ジョーカーは、エコーを見て驚愕の表情を浮かべた・・・

 

 メルヘンランドが誇るプリキュアとは、五つの光に導かれたハッピー、サニー、ピース、マーチ、ビューティの五人の事では無かったのかと・・・

 

「これは一体どういう事です!?何故あの娘がプリキュアに?」

 

 戸惑うジョーカーに、鋭い視線を向けたエコーだったが、みゆき達に近づくと、

 

「みゆきちゃん、あの時悪い人になった私に、必死に呼び掛けてくれたよね?みゆきちゃんの思いが、私の悪い心を洗い流してくれたんだよ!あかねちゃん、やよいちゃん、なおちゃん、れいかちゃんもそう・・・みゆきちゃんの友達なら、自分達の友達も同然だと、私の事を必死に守ってくれた!だから、今度は私がみんなを元に戻して見せる!!みゆきちゃん達五人なら・・・きっと立ち直ってくれる!!」

 

 エコーの思いが五人の少女に伝わる・・・

 

「「「あゆみちゃん・・・」」」

 

「あゆみ・・・」

 

「あゆみさん・・・」

 

 五人の瞳から涙が零れていく・・・

 

 五人の心は、まだ完全に闇に覆われてはいない。そう確信したエコーは目を閉じ、まるで何か祈るように両手を組むと、

 

「プリキュアのみんなぁ!私に力を貸してぇぇ!!」

 

 エコーの思いが、戦い続けるプリキュア達に響き渡った・・・

 

 

 

「今の声・・・あゆみさん!?」

 

「ひかり、どうしたメポ?」

 

 TAKO CAFEでテーブルを拭いていたひかりだったが、突然誰かに呼ばれた気がして思わずその手を止めた。ひかりは目を閉じ、感覚を研ぎ澄ませると、自分の心に話し掛けたのは、あゆみだと気付き困惑していた。

 

「確かに、あゆみさんの声だった!でも、私のイメージに浮かんだのは、見た事が無いプリキュアのような少女!!でも、見覚えがある・・・あの子は間違いなくあゆみさん!!」

 

 突然呆然としたひかりに驚き、メップルが話し掛けるも、ひかりは更に感覚を研ぎ澄ませると、

 

「分かりました!直ぐには応援には行けませんけど・・・必ずみんなで向かいます!!」

 

「メップル、ミップル、ポルン、ルルン、あなた達も力を貸して!!」

 

 ひかりは凜とした表情を浮かべると、アカネに早めに上がれるように頼み込むと、アカネは快諾してくれた。ひかりはメップル達に、バッドエンド王国との決戦が近づいて居る事を伝えるのだった・・・

 

 

 ウルフルンと戦って居たブルームは、心の中に声を聞いた気がしていた・・・

 

「今・・・あゆみちゃんの声が聞こえたような!?」

 

「ブルームも!?私にも聞こえたわ!!」

 

「どうやら、事態は急をようしているようね・・・」

 

「ええ、さっさと狼男を倒して、みゆき達の応援に行かなきゃね!!」

 

「俺様はウルフルンだ!!」

 

 ブルーム、イーグレット、ブライト、ウィンディ、四人は逃げ回りながら戦うウルフルンを、キッと睨み付けた・・・

 

 

「みんなも聞こえたよね?」

 

「エエ!あゆみの声が聞こえた!!」

 

「私達の力を求めてましたねぇ?」

 

「みゆきさん達に、何かあったのかしら?」

 

「その可能性が高いわね・・・」

 

「そうと決れば・・・あなた!逃げ回ってないで、私達と勝負しなさい!!それとも、私達が怖いのかしら?」

 

 エコーの声は、プリキュア5とローズの下にも届いていた・・・

 

 ドリーム!ルージュ!レモネード!ミント!アクア!そして、ローズ!声を聞いた一同の気持ちは一つ、此処でモタモタしている時間は無い!!

 

 ローズは、時間を稼ぐように逃げながら戦うサディスを挑発すると、サディスの顔付きが変わるも、

 

「オッと、その手には乗らないよ!こっちもジョーカーの奴に、役立つ所を見せなきゃならないんでねぇ・・・」

 

 プリキュア5とローズ、サディスの戦いは続く・・・

 

 

 マジョリーナと戦って居たピーチ達は、マジョリーナが開発した新アイテム、チイサクナールを使ったマジョリーナを見つけ出せず困惑していた・・・

 

「ベリー、パイン、パッション、見つかった?」

 

「こんな事なら、虫眼鏡でも持ってくれば良かったわ・・・」

 

「動物さんになら聞けるけど、昆虫さんとはキルンでも話せないし・・・」

 

 しゃがみながら探し続けるピーチ、ベリー、パインの三人、パッションも捜していたのだが、心の中にあゆみの声が聞こえた気がして、思わずハッとすると、

 

「待って!今・・・あゆみの声が聞こえた気がする」

 

「エッ!?・・・・・ほ、本当だ!私にも聞こえるよ!!」

 

 パッションの言葉で、ハッとした三人も心を落ち着かせると、あゆみの声が確かに聞こえていた・・・

 

 四人は顔を見合わせ頷くと、ベリーは一芝居打ち、

 

「見つからないんじゃ、しょうが無いわねぇ・・・みゆきちゃん達の所にでも行きましょうか?」

 

「そうだね!」

 

「うん!!」

 

「じゃあ、アカルンを呼び出すわね!!」

 

 ベリーの芝居に、ピーチ、パイン、パッションも加わり、マジョリーナの事は放って置いて、みゆき達の下に向かおうと話していると、

 

「ま、待つだわさぁぁぁ!!」

 

 小槌を持ったマジョリーナが大きくなり、慌ててピーチ達を引き留めようとすると、四人はクスリと笑い、

 

「「「「見付けた!!」」」」

 

「アッ!?しまっただわさぁぁ!!」

 

 ピーチ、ベリー、パイン、パッションに囲まれ困惑するマジョリーナであった・・・

 

 

「今の声・・・あゆみちゃん!?」

 

「何か、尋常じゃ無い必死さが伝わって来ましたね・・・」

 

「エエ・・・みゆき達に何かあったのかも知れないわねぇ?」

 

 ブロッサム、サンシャイン、ムーンライト、皆が心に呼び掛けてくるあゆみの尋常じゃ無い様子に表情を曇らせる。マリンも動揺していたが、複雑な表情を浮かべると、

 

「応援に行くのは構わないけどさぁ・・・でも、もうロボットにされるのは勘弁だよぉぉ!!」

 

 以前助けに向かった先で、ロボットにされていたマリンは、変顔を浮かべながら困惑する。ブロッサムはマリンの頭を撫でながら、

 

「はいはい、今度は私がなって上げましょう!」

 

「出たぁ!ブロッサムの上から目線!!」

 

 相変わらずのブロッサムとマリンの行動に、ハァと溜息を付くムーンライトとサンシャインだったが、四人は目配せすると、四方に散りディクレを追い詰めていく。

 

「ムッ!?動きが変わったか・・・もしや、我らの魂胆に気付いたか?」

 

 まだ、ジョーカーからの撤退命令は出ていない今、まだまだ四人を引き留めるべく、ディクレは四人から距離を取った・・・

 

 

 ベガのダークネスボンバーを、ビートバリアで阻むビート、その背後に居たメロディ、リズム、ミューズは、心の中に聞こえてくるあゆみの声に驚くも、

 

「あゆみちゃんが・・・私達を呼んでる!?」

 

「何かあったのかしら?」

 

「その可能性が高いわね!」

 

 メロディ、リズム、ミューズが三人で話し合っていると、ビートバリアに罅が入り、

 

「みんな、話は後!散って!!」

 

 バリアが砕かれたのと同時に、四人が四方に散る。ビートは上空からビートソニックを放ち、ベガを牽制すると、

 

「私にも聞こえたわ!きっと他のプリキュアのみんなにも届いている筈!!」

 

「そうだね・・・みんなと集合するまでに、ケリを付けなきゃね!!」

 

 再び集結した四人が、ベガを鋭い視線で睨み付けた・・・

 

 

 

(思いが届いた!みんな、ありがとう!!)

 

 エコーに導かれたかのように、鳥のような六つの物体が、羽ばたきながら一同の下に向かってくると、ポップも、ジョーカーも思わず驚きの声を上げた・・・

 

「な、何です!?あれは?」

 

「あれは・・・本!?まさか、プリキュアの絵本でござるかぁ?何故此処に!?」

 

 伝説の戦士プリキュアの絵本・・・

 

 光の園、泉の郷、パルミエ王国、スウィーツ王国、こころの大樹、メイジャーランド・・・

 

 六冊のプリキュアの本は、みゆき達を囲むように舞い降りると、両手を広げたエコーに導かれるように、パラパラページが捲られていった。ポップはエコーを見て驚愕し、

 

「な、何と!?あの本を導いたのは・・・あゆみ殿、いや、キュアエコーでござるかぁ?」

 

「みゆきちゃん、あかねちゃん、やよいちゃん、なおちゃん、れいかちゃん、みんなの思いを受け取ってぇぇ・・・世界に響け!みんなの想い!!プリキュア!ハートフル・エコ~~!!」

 

 エコーの胸のブローチから発射された光が、みゆき達の頭上で徐々に広がりを見せた。みゆき達の心に巣くった闇を浄化し、更に六冊のプリキュアの本から発せられた光が、みゆき、あかね、やよい、なお、れいかを照らし続ける。

 

 

「あれは・・・なぎささんとほのかさん?」

 

 みゆき達の脳裏に浮かんで来るイメージ・・・

 

 なぎさとほのかを始めとしたプリキュア達が、プリキュアになってからの挫折、苦悩、絶望をしている場面が浮かんでくる。

 

 ブラックとホワイトに、持って居たプリズムストーンを託し、闇に消えたキリヤを救えず号泣するほのか・・・

 

 ホワイトを浚われ、戦意を失うも、必死にホワイトを救いに目指すブラック・・・

 

 自分の存在意義に悩むひかり・・・

 

 満と薫に救われ、二人の事を救えなかったと嘆き悲しむ咲と舞・・・

 

 消滅するかも知れない恐怖に怯える満と薫・・・

 

 仲違いが発展し、絶望の仮面を付けられ絶望するドリーム達・・・

 

 せつながイースだったと知り、苦悩するラブ・・・

 

 自分のしてきた数々の行ないに苦悩するせつなとエレン・・・

 

 インフィニティとなったシフォンを浚われ、苦悩するラブ達・・・

 

 最愛のパートナー、コロンを失い、プリキュアの力を失ったゆり・・・

 

 世界が砂漠化し、今までの戦いが無駄に終わったと嘆いたつぼみ達・・・

 

 トーン記号を奪われ、キュアモジューレが石化した事を嘆く響達・・・

 

 そして、それを乗り越え立ち向かう一同の姿が、走馬燈のように一同の脳裏に浮かんでくる・・・

 

 絶望に沈んだみゆき達一同に、まるで本の中の彼女達は、希望を失いそうになる事もある、戦う事に恐怖を覚える事もある。大切なのは、今あなた達はどうしたいのか?と、問い掛けるかのようだった・・・

 

 五人の意識が活性化されていく・・・

 

 自分達は、何故プリキュアになる事を選んだのか?改めて思い出したかのように・・・

 

「みんなも・・・こんな思いを乗り越えて居たの?」

 

「ウチらが、今したい事・・・」

 

「私達が此処に来た理由・・・」

 

「奪われたキュアデコルを取り戻し・・・」

 

「浚われたキャンディを救う為・・・」

 

 みゆき、あかね、やよい、なお、れいかの瞳が、徐々に光を宿していった・・・

 

 プリキュアの本は再び輝きを放つ・・・

 

 例え離れていても、心は常にあなた達と共にあると語るかのように・・・

 

「私達は・・・あんな絶望をみんなが味合わないように、戦ってきた!」

 

「せや!ウチ恥ずかしいわ・・・あないな幻覚に惑わされるや何て」

 

「うん!ママがあんな事思う事、絶対無いもん!!」

 

「あたしの家族には、あたしが指一本触れさせない!!」

 

「私は、自分の為にプリキュアになったのではありません!私は、大切な仲間達と共に、平和への道を突き進む!!」

 

 五人の気迫と共に、スマイルパクトは再び輝きを取り戻し、一同がスマイルパクトを手に取ると、

 

「「「「「絶望に何か負けない!プリキュア!スマイルチャージ!!」」」」」

 

 光が収まった時、そこにはエコーと共に並ぶハッピー、サニー、ピース、マーチ、ビューティの姿があった。

 

「あゆみちゃん!ううん、エコー!!あなたの声、確かに私達の心に届いたよ!!」

 

「エコー、感謝するでぇ!」

 

「ううん、みんななら、必ず絶望何かはね除けるって、私信じてた!!」

 

 ハッピーが、サニーが、一同がエコーに微笑むと、微笑み返すエコー、ジョーカーは、信じられないと言った表情で呆然とし、

 

「バ、バカな!?絶望から抜け出すだ何て・・・あなた方、もう一度この私と戦うと言うのですか?」

 

 再びジョーカーの目が妖しく光も、一同はそんな事に動じず、エコーにポップの事を託すと、ジョーカー目掛け攻撃を開始した。

 

 サニーが炎を交えたパンチを繰り出せば、マーチが風を纏った蹴りを放つ、ジョーカーは巧みに攻撃を躱すも、直ぐにピース、ビューティが連係攻撃を繰り出し、ハッピーシャワーがジョーカー目掛け炸裂する。

 

(クッ、先程とは動きが違う!?)

 

 トランプカードで咄嗟にハッピーシャワーを吸収するも、間髪入れず、サニーファイヤーが、ピースサンダーが、マーチシュートが、ビューティブリザードが、ジョーカー目掛け飛んでいく。

 

「愚かですねぇ?無駄だと・・・・・バ、バカなぁぁ!?」

 

 トランプカードは、五人のプリキュアの攻撃を吸収仕切れず消滅し、その勢いのままジョーカー目掛け突き進む。咄嗟に空中に逃れたジョーカーの目が、赤く輝いた。

 

「やってくれましたねぇ・・・良いでしょう!あなた方をバッドエンド王国に招待してさしあげましょう!!自分達の愚かさを思い知りなさい!!!」

 

「望むところやぁ!!」

 

「私達は・・・必ずキャンディを救いだして見せます!!」

 

 サニーが、ビューティが、ジョーカーに対し啖呵をきると、ジョーカーは益々イライラしたように、

 

「その言葉、覚えておきましょう!こちらも全戦力をぶつけて差し上げますよ!!」

 

 トランプの舞いと共にジョーカーは消え失せた・・・

 

「み、皆の衆・・・よくぞ、よくぞ!!」

 

 立ち直ったハッピー達五人を見て思わず涙ぐむポップ、ハッピーも涙ぐみながら、

 

「ポップ!心配掛けてゴメンね!」

 

「心配掛けた分・・・暴れたるでぇ!!」

 

「もう大丈夫だよ!!」

 

「行こう!バッドエンド王国に!!」

 

「はい、キュアデコルと」

 

「「「「「「キャンディを取り戻す為に!!」」」」」」

 

 メルヘンランドと、ハッピー達の世界では時間の流れが違うのか、決意を述べた一同が、空に浮かぶ満月を見つめた・・・

 

                  第五十八話:エコー!

                      完

 

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