プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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 横浜の地で、時空震に巻き込まれたブラックとホワイト、時の狭間に飛ばされた二人は、そこで不思議な体験をする・・・

 過去の世界に飛ばされたブラックとホワイトを書いた外伝です
 外伝ですが、色々な伏線を交えた、ちょっと特殊な話になってます・・・

 昨日ようやく親父が退院したので、書き下ろしのこの外伝と、8章はまた投稿していきたいと思います。症状が良くなって退院した訳では無いので、中々小説を書く時間は無い現状ですので、9章以降はまだ未定です


第六十三話:外伝!時の旅人!!

1、時の流れの中で

 

 横浜の地で、ハッピー達の窮地を救ったブラックとホワイト、二人は、三人の魔人、ディクレ、サディス、ベガの攻撃を、バリアで押し返したものの、二人は、その反動で出来た時空震に巻き込まれた・・・

 

 ブラックとホワイトは、手と手を握り合ったまま、不可解にねじ曲がった闇の空間を、まるで宇宙空間を漂うように彷徨っていた。二人の周りを、走馬燈のように、何かのビジョンが過ぎ去って行く。

 

 一体ここは何処なのか?

 

 不安な心が二人に沸き起るも、側に信頼するパートナーが居る事で、何とか理性を保っていた・・・

 

 

「ねぇ、ホワイト・・・メップル達やハッピー達、無事かなぁ?」

 

「ルミナスも側に居るし、ムーンライト達も、きっと直ぐに駆け付けてくれるわ!」

 

「そうだね・・・じゃあ、今は私の事だけ考えようか?」

 

「そうね・・・一体此処は何所何だろう?」

 

 メップルとミップル、ハッピー達の身を案じつつも、今は自分達の置かれている状況を考えてみようと結論付け、ブラックとホワイトは、今一度周りに映るビジョンを見つめた・・・

 

 ビジョンは、二人の前を流れるように通り過ぎていく・・・

 

 そのビジョンには、ノイズやバロム、砂漠の使徒と戦って居た自分達の姿が映った気がして、思わず二人は驚き、

 

「ホワイト、今の!?」

 

「エエ・・・見て、ブラック!ピーチ達や、ドリーム達、ブルーム達が戦ってる姿が・・・」

 

 さらにビジョンは変わり、ピーチ達がラビリンスと戦い、ドリーム達がエターナルとナイトメアと戦い、ブルーム達がダークフォールと戦う姿が映し出された。

 

「これは一体・・・」

 

「今度はムーンライトの姿が・・・」

 

 更にビジョンは変わり、ムーンライトが砂漠の使徒と戦う姿が、そして、自分達がドツクゾーンと戦う姿が映し出されていく。これは一体何を意味するのか、ブラックにもホワイトにも分からない。

 

「何なの、これ?」

 

 困惑気な表情を浮かべるブラック、更に画面は流れて行き、ホワイトは注意深く観察し、ある事に気付き、慌ててブラックを呼ぶと、

 

「見て、ブラック!あれって・・・キュアフラワ-じゃない?」

 

「エッ!?」

 

 ホワイトに言われ、ブラックもホワイトが指さす先を、ジィと目を凝らして見つめると、確かにフラワーらしき人物が、巨大な巨人と戦って居る姿が過ぎ去っていた。二人は、フラワーが戦って居た巨人は、砂漠の王デューンだったのではと想像した。更に次々とプリキュアらしき人物達が過ぎ去って行ったのだが、ホワイトは妙な違和感を感じていた。

 

「ねぇ、今のプリキュアらしき人は、まるで時代劇に出てくる、くノ一のような姿をしてなかった?」

 

「うん、さっきの人も、何か時代劇に出てくるような衣装着てたよねぇ?」

 

 二人は顔を見合わせ、再びビジョンを見続けた・・・

 

 ホワイトは、嘗てゆりや薫子に聞いた事を思い出していた。約400年前、ココロの大樹に選ばれた最初のプリキュア、キュアアンジュを始めとしたプリキュア達が、砂漠の使徒と戦って居た事を・・・

 

 困惑気味な表情を浮かべたホワイトは、ある出来事が頭を過ぎった。科学者を目指しているホワイトにとっては、あまり認めたくない出来事ではあったが、この状況を総合すると、ホワイトの脳裏には、ある一つの結論が出来ていた。

 

「ねぇ、ブラック・・・笑わないで聞いてくれる?」

 

「エッ!?笑わない!笑わない!・・・何?」

 

 ブラックはブルブル首を振りながら、笑わないから教えてとホワイトに伝えると、ホワイトは頭の中で整理を終え、ゆっくり語り出した。

 

「信じられないかも知れないけど・・・私達、どんどん過去の世界に飛ばされている気がするんだけど?」

 

「エッ!?過去?」

 

 ホワイトの言葉を聞き、慌てて流れ過ぎていくビジョンを見つめると、何処かムーンライトを思わせる、天使の化身と呼べるような少女が、甲冑のような衣装に身を包み、巨大な黒龍と戦って居る姿が過ぎ去って行った。

 

「今の・・・前にゆりが言ってた?」

 

「エエ、最初に砂漠の使徒と戦ったと言われている・・・キュアアンジュ!」

 

「って事は・・・今私達は、400年前を更に遡ってるって事?」

 

「って事になるわね・・・」

 

 困惑気味に顔を見合わせるブラックとホワイト、どうすれば元の場所に帰れるのか、二人にも分からなかった・・・

 

 更に加速は進み、二人は、赤っぽい髪をし、上は黒いベスト、下は上側が白、下は赤っぽい二段のスカートを着ているプリキュアが、巨人と戦って居る姿を見た。

 

「地球が背景に映っているって事は・・・彼女が戦って居る場所は、月だとでも言うの?」

 

「エェェ!?月?あの娘、月で戦ってる訳?」

 

 ホワイトが思わず呟き、ブラックは変顔浮かべながら、赤っぽい髪のプリキュアの戦いを凝視した。巨人の攻撃を受け、何度も立ち上がる少女の視線は、時折水色の髪をした青年を見つめる。青年は頷き、二人で何かのアイテムを発動させると、巨人は呻きながら消滅したようにブラックとホワイトには見えた。だが、少女が突然苦しみだした所で、ビジョンは二人の視界から遠ざかっていった・・・

 

「今の娘もプリキュアだよね?」

 

「ええ、そうだと思う・・・」

 

 更に加速され見た映像には、三人のプリキュアが映し出されていた。邪馬台国時代に着ていたと言われるような衣装を身に付け、鏡のような物を手に持った緑髪のプリキュアと、王冠を額に付けた水色髪のプリキュア、もう一人は、甲冑のような衣装を着て、赤髪で槍を身構えたプリキュアが、巨大な龍のような者と共に、悪魔のような容姿をした者と戦って居る姿が過ぎ去って行った。

 

「私達が見た映像って・・・みんな過去に居たプリキュアだって事?」

 

「私に聞かれても困るけど・・・見た限りではそのようね!」

 

 ブラックの問いに、困惑気味のホワイトが答える。確かに、いきなりこんな場所に飛ばされて、状況を直ぐに理解するのは、流石のホワイトでも厳しいだろう・・・

 

 何者かの意思が、まるでブラックとホワイト、二人にプリキュアの歴史を知らせるかのように・・・

 

「ホワイト・・・気付いてた?あの映像を見て居たら、長い黒髪の少女が必ず映って居た事」

 

「エッ!?私は気付かなかったけど・・・」

 

「気のせいなのかなぁ・・・」

 

 ブラックは小首を傾げ、再び周りが真っ暗になった時、二人の背後が物凄い光を放っていた。二人は驚いたものの、この状況を改善する為にも、思い切って光の中に入って見ようと結論付けた。

 

「じゃあ、行くよ!」

 

「うん!」

 

「「せぇぇのぉぉ!!」」

 

 ブラックとホワイトは、覚悟を決めるや光の中へと飛び込んで行った!!

 

 

2、光の園とドツクゾーン

 

 光の中へと飛び込んだ二人、そこは闇に覆われ、不気味さを漂わせていた・・・

 

 だが、二人はその場所に見覚えがあった!

 

 何度か訪れた事がある、二人に取っては大切な場所・・・

 

 光の園に酷似していたのだから・・・

 

「ホワイト!此処って・・・」

 

「ええ、間違いない!光の園だわ!!」

 

 辺りを見回した二人は驚愕した!

 

 何故なら、光の園を治めるクイーンの居城の直ぐ側で、クイーンと睨み合っている巨大なジャアクキングが居たのだから・・・

 

「な、何でジャアクキングが!?」

 

「そう言えば・・・以前にも光の園は、ドツクゾーンの襲撃を受けた事があるって言ってたよね?」

 

「じゃあ、それが・・・今って事?」

 

 見る見る表情が険しくなっていく二人、自分達が過去の世界に介入する事は、歴史を変える事になるかも知れないとホワイトが語るも、このまま見逃す事など、二人に出来る筈は無かった。頷き合った二人は、クイーンとジャアクキングの居る方角へと駈けて行った。

 

 まるでジャアクキングを守護するように、無数のザケンナーの群れが襲いかかるも、二人は怯む事無く、ザケンナーの群れを駆逐しながら前へと進んで行った。

 

 

「クイーン!喜べ、光は私に吸収され、一つになるのだ!!」

 

「ジャアクキング・・・何を愚かな事を言うのです!光と闇は・・・共存してこそ意味を為すのです!!」

 

「黙れ!」

 

「これ程言っても分からないのですか?」

 

 平行線を辿った両者の主張・・・

 

 クイーンとジャアクキングが、ガップリ四つで組合い、その衝撃で光の園が崩壊し始める。拮抗する両者の力、だが、その拮抗を覆す二つの光が駆け寄ると、

 

「クイーン!私達も力を貸します!!」

 

「この光の園を・・・あなたの好きにはさせない!!」

 

 突如現われた二つの人影に、クイーンも、ジャアクキングも驚愕していた。クイーンは、二つの力が自分と同じ、光の化身とでも呼べるような力を発揮している事に気付き、

 

「あなた達のその力・・・いえ、今は問いません!力を貸して下さい!!」

 

「「はい!!」」

 

 力強く頷いた二人は、ジャアクキングをキッと睨み付けると、

 

「光の使者・キュアブラック!」

 

「光の使者・キュアホワイト!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「闇の力のしもべ達よ!」

 

「とっととお家に帰りなさい!!!」

 

 ホワイトとブラックが名乗りを上げ、ジャアクキングを指さした!ジャアクキングは一層目を見開きながら、

 

「プリキュアだとぉ!?何者だ、貴様ら?」

 

「だから、プリキュアだって言ってるでしょう?」

 

 今プリキュアだとジャアクキングに名乗ったのに、相手には伝わっていないようで、ブラックが変顔浮かべながらムッとするも、ホワイトは周りの被害が更に拡大している事に気付き、このまま長引かせるのは不味いと判断し、

 

「ブラック!」

 

 ホワイトに呼ばれたブラックも、ホワイトの合図に頷き、二人は一気に勝負に出た!二人は、クイーンの居城の上に陣取ると、

 

「ブラック、サンダー!」

 

「ホワイトサンダー!」

 

「プリキュアの、美しき魂が!」

 

「邪悪な心を打ち砕く!」

 

「「プリキュア!マーブルスクリュー!」」

 

 ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて、大きくジャンプしながら、一旦引いた手を前に突き出すと、

 

「「マックス~~!!」」

 

 黒と白の稲妻が合わさり、ジャアクキング目掛け飛んでいく!

 

 クイーンとガップリ四つに組んでいるジャアクキングは、二人の攻撃をまともに浴びるも、

 

「そんな攻撃で・・・・・な、何ぃ!?」

 

 ジャアクキングは驚愕した・・・

 

 二人が握り合った手に力を込めると、その威力はどんどん上がっていき、ジャアクキングの身体が地中にめり込んでいく。

 

「「ヤァァァァァァ!!」」

 

 二人の雄叫びに反応したかのように、光の園のプリズムストーンが目映い輝きを放った。ジャアクキングは、プリズムストーンをチラリと見ると、

 

「そ、そうか!あの力が貴様達に力を・・・おのれ、クイーン!おのれ、プリキュア!!このままでは絶対すまさんぞぉぉぉ!!!」

 

 ジャアクキングの足下は崩れ、ジャアクキングは、まるで天国から地獄に落下していくように、その巨体を暗黒の闇の中に消して行った・・・

 

 クイーンは、ポッカリ空いた巨大な穴を見つめながら、

 

(ジャアクキング、愚かな事を・・・・・ダーククイーンさへ目覚めれば、光と闇のバランスは保たれるのに・・・このままでは)

 

 少し悲しげな表情を浮かべたクイーンであったが、援護してくれたブラックとホワイトを見つめると、

 

「プリキュアと仰いましたね?あなた達のその力からは、私と同等!いえ、それ以上かも知れない光の力を感じます・・・あなた方の力を、光より生まれし者達に、分け与えてはくれませんか?」

 

「私達に協力出来る事があればしますけど・・・ねぇ?」

 

「ええ・・・でも、私達の力を分け与えるって一体!?」

 

 顔を見合わせて、クイーンの申し出を受諾したブラックとホワイトだったが、力を分け与えるにはどうすればいいのか、それは二人にも分からなかった。クイーンは、自身の画が描かれたカードを十数枚取りだし、ブラックとホワイトに授けると、

 

「そのカードに、あなた達の思いを乗せて下さい・・・光に生きる者達に、プリキュアの加護を・・・と!」

 

 クイーンに言われるまま、ブラックとホワイトがカードに念を込めると、クイーンのカードは凄まじい輝きを放ちながら上空に浮かび上がると、一気に光の園から飛び去っていった。

 

「これで、光の者達に厄が訪れる時、あなた方の力を受け継いだ伝説の戦士、プリキュアが目覚める筈です!」

 

「「エェェ!?」」

 

 クイーンの発した言葉に、目を点にして驚いたブラックとホワイト、二人はヒソヒソ話を始めると、

 

「ど、どうしよう!?私達・・・ひょっとして過去を変えちゃったんじゃない?」

 

「うん・・・・・そうかも知れない!でも、私達じゃどうする事も出来ないし・・・」

 

 困惑するブラックとホワイト、その時、クイーンの表情が曇り、

 

「この気配は!?・・・キュアブラック!キュアホワイト!あなた方に頼みたい事があるのですが、聞き入れては貰えないでしょうか?」

 

  真剣な表情を浮かべたクイーンから、頼みたい事があると言われ、ブラックとホワイトは困惑した。これ以上過去を変える事になったら、どうなってしまうのか、二人にも分からない。だが、見つめ合った二人は頷き合い、クイーンの申し出を受け入れた。自分達が過去を変えた事で、どんな代償が起こるかは分からないが、彼女達は、この世界の為に、プリキュアとしてやるべき事をしようと誓った・・・

 

「では、お願いします!あなた達の力が込められたこのカードを・・・」

 

「はい、確かに届けてきます!」

 

「では、行ってきます!!」

 

「アッ!お待ちなさい・・・これを持って行くと良いでしょう!!」

 

 クイーンはそう言うと、自らの髪の毛を抜き二人に渡した。

 

「私の髪を持って居れば、例え時の狭間に迷うとも、この光の園に導いてくれる筈です!!」

 

「「ありがとうございます!!」」

 

 ブラックとホワイトは、クイーンに頭を下げると、クイーンの光の道標を頼りに、光の園を旅立って行った・・・

 

 

3、メルヘンランドを救え!

 

 絵本の世界の住人達が暮らすメルヘンランド・・・

 

 光の園のクイーンには及ばないものの、巨大な姿をした女王ロイヤルクイーンが治めて居た。頭部には黄金の冠を被り、左右には二枚の翼のような物が付属し、金色の長い髪は、足下まで伸びていた。全身を、白い衣装に身を包んだ姿は、高貴な印象を見る者に与えた。

 

 その女王が治めるこの国は今、魔界からやって来た皆褐色の肌をした三人の魔人、一人は坊主頭で、ヒョロっとした2メートルはありそうな大男ベガ、もう一人は、紫色のボンテージ風の衣装を着て、黒いマントを羽織ったスタイルの良い赤い短髪の女サディス、もう一人は、見た目小学生のような身長ながら、白髪塗れで顔は老人のような男ディクレによって、住民達は三人の意のままに動く魔物、クライナーに変えられた。

 

 その姿を見たロイヤルクイーンは嘆き、この国の民を救うべく、三人の魔人に立ち向かった。当初はロイヤルクイーンの巨大さに驚愕していた三人だったが、クライナーを利用し、戦いを有意に進めようとしていた・・・

 

「この国の民に何をしたのです?皆を元に戻しなさい!!」

 

 ロイヤルクイーンの忠告を聞くや、笑い出す三人の魔人、

 

「元に戻す!?アハハハハ!こりゃあ傑作・・・何であたし達が、あんたの言う事を聞かなきゃならないんだい?」

 

「フッ、笑止!この国は、我らが滅ぼしてくれる!!」

 

 サディスが、ベガが、ロイヤルクイーンを嘲笑い、腕組みしたディクレは、

 

「元に戻したければ・・・我らを倒す事だな!最も・・・」

 

 ディクレの言葉の途中で、クライナーの群れが三人の魔人を守るように集結し、奇声を発しながらロイヤルクイーンを威嚇する。ディクレの口元がニヤリとし、

 

「我らが魔物に変えたクライナーが、先ず貴様の相手をしてくれるだろうがなぁ!」

 

「な、何と卑劣な・・・みんな、正気を取り戻すのです!!」

 

「キュィィィン」

 

 クライナーは、まるで悲しんでいるかのような奇声を発し、元はメルヘンランドの民を攻撃する事など出来る筈も無く、ロイヤルクイーンの表情が一層険しさを増した・・・

 

 その時!!

 

 メルヘンランドの上空から光が舞い降りると、その光の中から、黒と白の衣装を身に纏った二人の少女が舞い降りた。まるで天女の化身のような少女達、ブラックとホワイトの出現に、ロイヤルクイーンも、三人の魔人も、何事が起こったのかと呆然としていると、ディクレ、サディス、ベガに気付いたブラックは、三人の魔人を指差し、

 

「アァ!?何であんた達が此処に居るのよ?」

 

「何の事だ!?貴様らなど、我らは知らん!」

 

 ブラックに問われ、困惑気味にディクレが二人など見た事が無いと答えると、ホワイトは、肘でブラックを突っつきながら小声で話し掛け、

 

「ブラック、あの人達が私達の事を知らなくても当然よ!だって、此処は過去の世界何だし・・・」

 

「そ、そっかぁ・・・何だかやりにくいねぇ?」

 

 ホワイトに忠告され、困惑するブラック、呆気に取られていたロイヤルクイーンは我に返り、

 

「あなた方は一体!?」

 

「「私達は・・・」」

 

「光の使者・キュアブラック!」

 

「光の使者・キュアホワイト!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「闇の力のしもべ達よ!」

 

「とっととお家に帰りなさい!!!」

 

 ディクレ、ベガ、サディスを指差し啖呵を切ったブラックとホワイトに、三人の魔人が思わず呻いた。

 

「ヌゥゥ、プリキュアだと!?」

 

「生意気な小娘達だねぇ・・・」

 

「フン!我らの前に立ちはだかるなら・・・蹴散らす迄だ!!」

 

 ディクレ、サディス、ベガが、ブラックとホワイトを威嚇するように、鋭い視線を向けた。ブラックとホワイトは、そんな三人を無視するように、ロイヤルクイーンに説明を始めた・・・

 

 自分達はプリキュアと言って、光の園のクイーンに頼まれ、悪しき闇に蝕まれそうなこの国に、光の加護を届けて上げて欲しいと頼まれ、こうして駆けつけて来た事を語って聞かせた。

 

 説明を終えたブラックとホワイトが、三人の魔人、そしてクライナーの群れに身構えると、ロイヤルクイーンは悲しげな表情を浮かべながら、

 

「待って下さい!その者達は、元々はこのメルヘンランドの住民達、その三人の者達に、そのような姿に変えられてしまっただけなのです!!」

 

「って事は・・・ホワイト!」

 

「うん、横浜の時と同じね・・・ブラック、みんなを助けて上げましょう!!」

 

「エッ!?あなた方は、皆を元に戻せる事が・・・」

 

 ブラックとホワイトは、ロイヤルクイーンを見て力強く頷くと、ロイヤルクイーンの表情が輝いた。横浜の地で、ハッピー達がアンデとルセンを元に戻せたのなら、自分達にも必ず出来る筈だと二人は考えて居た。ブラックとホワイト、二人は頷き合うと、

 

「ブラック、パルサー!!」

 

「ホワイト、パルサー!!」

 

「闇の呪縛に囚われし者たちよ!」

 

 とホワイトが叫べば、

 

「今、その鎖を断ち切らん!!」

 

 とブラックが応える、

 

「「プリキュア!レインボー・セラピー!!」」

 

 ブラックとホワイトから、半球形の虹のオーラが放たれると、光に中和され心の闇を打ち消していく。闇に蝕まれて居たクライナーの群れから、闇の力が完全に抜けた・・・

 

 次々と正気を取り戻していくメルヘンランドの住民達は、ロイヤルクイーンを見付けるや、我先に群がって行った。そんな一同を、ロイヤルクイーンは慈愛に満ちた目で見つめた。

 

「バ、バカな!?」

 

「クライナーを・・・元に戻しただと?」

 

「サディス、ベガ、油断するな!そ奴ら二人から放たれる光の力・・・侮れん!!」

 

 メルヘンランドの住民達を、元に戻したブラックとホワイトを見た三人の魔人の顔付きが変わった。ブラックとホワイトも、キッと三人に鋭い視線を浴びせながらも、

 

「さあ、今の内にロイヤルクイーンは、その子達を避難させて上げて!」

 

「後は私達が引き受けました!!」

 

「キュアブラック!キュアホワイト!ありがとう!!わたくしも、この子達を避難させた後、必ず再び駆け付けます!!」

 

 ロイヤルクイーンは二人に深々と頭を下げると、一同を王宮へと誘導し、避難していった。それを見届けたブラックとホワイトは、

 

「さてと・・・横浜での借り、返さなきゃね!」

 

 重心を落とし身構えたブラックが、先ず先陣をきり三人の魔人に攻撃を仕掛けた。ブラックの瞬発力に出鼻を挫かれた三人の魔人は、ブラックの怒濤の連打を喰らって後退って行った。

 

「ダダダダダダダ・・・・ダァァァ!!」

 

 パンチが、キックが、サディス、ベガ目掛け、雨霰のように浴びせられていく、加勢に向かったディクレの前に、ホワイトが立ち塞がると、構わず突進してくるディクレの攻撃を回転しながら捌き、ディクレを投げ飛ばした。

 

「クッ・・・こ奴ら、戦い慣れて居る!?サディス、ベガ、距離を取れ!体勢を整えろ!!」

 

 ディクレは、想像以上の力を持って居るブラックとホワイトを警戒し、サディスとベガに距離を取れと命じ、自身は、両目を金色に輝かせると、

 

「こちらもそれ相当の力で対抗せねばなぁ・・・ヌゥゥゥゥゥン!!」

 

 ディクレが雄叫びを上げると、負のオーラがディクレを包み込んだ・・・

 

 獣のような唸り声と共に、ディクレの身体は、まるで獣人とも呼べるマントヒヒのような風貌に変化した。この時のブラックとホワイトは、ディクレの真の姿を知らなかった。ディクレの変化した姿に戸惑いを見せた二人の隙を付き、ディクレが俊敏な動きでブラックとホワイトを威嚇すると、

 

「さあ、今度はこちらの番だ!!」

 

 ディクレは自分の体毛を抜き取り、フゥと息を吹きかけると、毛は見る見る小人のディクレと化し、ブラックとホワイトに襲い掛かった。

 

「ゲッ!?何これ?」

 

「キャッ!・・・ブ、ブラック、こちらも体勢を整えましょう!」

 

 頷き合ったブラックとホワイトが距離を取るも、

 

「逃がさんぞ!ダークネス・・・ボンバー!!」

 

 後方に下がったブラック目掛け、ベガは右肩に負の力を蓄え、ショルダータックルのようにブラック目掛け体当たりした。何とか両腕でガードしたブラックだったが、後方に吹き飛ばされた。

 

「ブラック!」

 

「おっと、余所見をしてる暇は無いさ!ダークネス・・・シャボン!!」

 

 ブラックに注意を向けたホワイトに、サディスのダークネスシャボンが炸裂する。劣勢になったブラックとホワイトだったが、光の壁がベガとサディスの前に立ち塞がり、ブラックとホワイトを守ると、

 

「キュアブラック!キュアホワイト!わたくしも加勢致します!!」

 

「「ロイヤルクイーン!!」」

 

 巨大な高貴なる女王、ロイヤルクイーンが再び現われ、ブラックとホワイトに加勢した。援護された二人は体勢を整えると、

 

「ブラック、サンダー!」

 

「ホワイトサンダー!」

 

「プリキュアの、美しき魂が!」

 

「邪悪な心を打ち砕く!」

 

「「プリキュア!マーブルスクリュー!」」

 

 ブラックが右手に、ホワイトが左手に力を込めて、一旦引いた手を前に突き出すと、

 

「「マックス~~!!」」

 

 黒と白の稲妻が合わさり、ディクレの分身を打ち消しながら、三人の魔人目掛け飛んでいく、三人は力を合わせ、マーブルスクリューを受け止めるも、その威力に徐々に押され出し、

 

「グゥゥオォォォ!な、何て威力だ!?」

 

「ヤ、ヤバイよ!」

 

 ベガとサディスの顔から血の気が引いた・・・

 

 ディクレの表情も一層険しさを増し、

 

「こ、このままでは・・・こうなれば、バ、バルガン殿にお借りした奴を・・・」

 

「ディ、ディクレ!あいつはあたし達の言う事何て・・・」

 

「奴の側に居れば、俺達の身もヤバイぞ?」

 

 何かを召喚しようとするディクレに対し、サディスとベガの顔色が変わった。二人は、ディクレが召喚しようとする何かに、少し怯えているようにも見えた。

 

「だが、背に腹は代えられん・・・出でよ!大蛇!!」

 

 ディクレの叫びが聞こえたかのように、メルヘンランドの上空に罅が入ると、二十メートルはあろう、巨大な大蛇が上空からゆっくり下降してきた。大蛇は口から何かの液体を、敵味方関係無く浴びせると、マーブルスクリューを撃っていたブラックとホワイト、ロイヤルクイーン、ディクレ、ベガ、サディスが慌てて飛び退き避けた。一同が避けた大地は、ジュゥゥゥゥと溶け始め、ブラックとホワイトが戦慄する。

 

「だ、大地が溶けた!?」

 

「ブラック、気を付けて!あの攻撃をまともに受ければ、私達も・・・」

 

「メルヘンランドに何という事を・・・お止めなさい!!」

 

 険しい表情を浮かべたロイヤルクイーンが、両手を広げ大蛇を止めようとするも、大蛇はジロリとロイヤルクイーンを見つめ、

 

「キシャァァァ!?」

 

 邪魔をするなとばかり、口を大きく開き、ロイヤルクイーン目掛け毒液を飛ばすも、

 

「「危ない!!」」

 

 ブラックとホワイトが割って入り、手と手を握り合ってバリアを張り、大蛇の攻撃を防いだ。縦横無尽に暴れ回る大蛇を見た三人の魔人、ディクレは人間体の姿に戻り、荒い呼吸を整えると、

 

「このままでは、我らにも被害が及ぶやも知れん・・・少し離れるぞ!ベガ、サディス!!」

 

「「ああ、分かった!」」

 

 ディクレの申し出を受け入れた二人、三人は森の中に後退し、成り行きを見守った。縦横無尽に空を飛び回りながら、暴れ回る大蛇、ブラックは変顔を浮かべながら大蛇を見つめ、

 

「勘弁してよぉぉ・・・ニョロニョロ系は苦手なのにぃぃ!」

 

「とはいえ、このままにしておけないわね・・・ブラック、私が突っ込むから援護して!」

 

「わ、分かった!」

 

 表情を引き締めたホワイトが、大蛇目掛け駆け出すと、ブラックは大蛇の注意を自分に引きつけるべく行動した。大蛇の標的になるかのように、態と目立つ行動を取るブラック目掛け、大蛇は上空から獲物を狙うように急降下してくると、大蛇の視界の死角から、ホワイトが現われるや、大蛇の頭部に強烈なかかと落としを決め、堪らず大蛇が地面に叩き付けられた。

 

「ギィィィシャァァァ!」

 

 だが、大蛇の目は妖しく輝き、上空から落下してくるホワイトに狙いを定め、大きな口を開けると、ホワイトの表情が青ざめた。

 

「ブ、ブラック!」

 

 信頼するパートナーの名を叫ぶと、ブラックも心得たとばかりジャンプし、今正に大きく口を開け、ホワイト目掛け毒液を放とうとした大蛇の頭に着地すると、そのまま勢いよく地団駄踏んで、大蛇の頭部を踏みまくった。

 

「ダダダダダダダダダダダ!もう一丁・・・ダァァァ!!」

 

 最後に思いっ切りジャンプし大蛇を踏みつけると、大蛇は堪らず口を閉じ、舌でも噛んだのか、大蛇の目から涙が零れた。更にホワイトもブラックの隣に来ると、再び二人で大蛇の頭部を踏みまくった。

 

「キシャァァァァ!」

 

 堪らず地面でのたうち回る大蛇から、悲鳴にも似た声が漏れた。尚も二人は大蛇の頭部の上で、まるでトランポリンをしているように飛び跳ね続けた。

 

「シャァ・・・シャァ」

 

 大蛇は涙を流しながら、舌をチロチロ出し、まるでロイヤルクイーンに哀願するような目を向けた。敵ではあるが、ロイヤルクイーンに哀れみの心が湧いてくる。大蛇は何とかブラックとホワイトを振り解くと、ロイヤルクイーン目掛け這いずり、

 

「ロイヤルクイーン!」

 

「危ない!!」

 

 ブラックとホワイトが叫ぶも、大蛇はロイヤルクイーンを襲うどころか、ロイヤルクイーンの後ろに隠れるように背後に回り、ブラックとホワイトをチラチラ見た。だが、その巨体が全て隠れる筈も無く、思わず目を点にするブラックとホワイトに、ロイヤルクイーンは少し苦笑を浮かべながら、

 

「ブラック!ホワイト!もうその辺で、大蛇を許して上げて頂けませんか?」

 

「「エッ!?」」

 

 予想外のロイヤルクイーンの言葉を受け、顔を見合わせ困惑する二人、まるで自分達の方が、悪者のような扱いを受けている気までしてくる。

 

「ロイヤルクイーンがそう言うなら・・・」

 

「私達は構いませんけど・・・」

 

 困惑しながらも大蛇を許す事に同意した二人、大蛇は涙を流しながら、ロイヤルクイーンの周りを這い回ると、感謝の気持ちを表したのか、ペコペコ頭を下げながら、上空に浮かび上がった。だが・・・

 

 上空に浮かぶ亀裂の中に戻ると見せかけた大蛇は、踵を返すと、ブラックとホワイト目掛け、毒液を浴びせようとした。だが、大蛇は目を見開いて驚愕した。

 

 不意打ちをした筈だった・・・

 

 だが、ブラックとホワイトはその上を行き、既にマーブルスクリューを何時でも発射出来る体勢を取っており、大蛇を見て口元に笑みさえ浮かべていた。

 

「どうもおかしいと思ってたのよねぇ」

 

「私達を油断させようと考えていたんでしょうけど・・・残念だったわね!」

 

 ブラックとホワイトは頷き合うと、

 

「「マックス~~!!」」

 

 黒と白の稲妻が、大蛇目掛け放たれた。大蛇は慌てふためき逃げようとするも、マーブルスクリューの直撃を受け吹き飛ばされた。深手を負うも、大蛇はかろうじてマーブルスクリューの攻撃を耐えきり、力を振り絞って魔界へと逃げ帰った。

 

 大蛇は思った・・・

 

 もう二度とあの二人には会いたくないと・・・

 

 だが遥か未来で、再びブラック、そしてホワイトと、バッドエンド王国で再会する事になるとは、この時の大蛇には知る由もなかった・・・

 

 

 

 三人の魔人、ディクレ、サディス、ベガは驚愕していた・・・

 

 三人の魔人すら畏怖する大蛇を、ロイヤルクイーンは手懐け、プリキュアと名乗るブラックとホワイトは、大蛇を魔界に追い返したのだから・・・

 

「し、信じられん!?魔界が誇る巨大なる魔獣大蛇を・・・」

 

「ディクレ、どうするんだい?」

 

「一先ず魔界に戻るか?」

 

「ムゥゥゥ・・・」

 

 サディスとベガがディクレに問うと、ディクレは低い呻き声を発しながら思案した。このまま撤退するのは容易いが、このまま魔界に戻れば、大蛇を自分に借てくれたバルガンに、面目が立たないと考えたディクレは、

 

「このまま手ぶらで魔界に戻る訳にはいかん!せめて、プリキュアとロイヤルクイーンに一矢報わねば・・・」

 

「ああ、あたしもそう思う・・・あの小娘共に、このまま良いようにされたままじゃ、腹の虫が収まらないねぇ!」

 

「そうだな・・・」

 

 ディクレの申し出を、サディスもベガも受け入れた。三人の目が金色に輝くと、大蛇を追い返したブラックとホワイト、手懐けたロイヤルクイーンに対し、雄叫びを上げながら襲い掛かった。気付いたブラックとホワイトが迎え撃ち、激しい肉弾戦を始めた。

 

 その戦いを見つめるロイヤルクイーンは、険しい表情を浮かべながら、

 

(このままでは、ブラックとホワイトの二人と、あの三人の者達との戦いで、メルヘンランドに更なる被害が生まれてしまうかも知れません・・・)

 

 ロイヤルクイーンは何かを思案し、一冊の本を取り出した。その表紙には何も描かれてはなく、中身も真っ白なままだった。ロイヤルクイーンは、ブラックとホワイトの心に語り掛け、

 

(ブラック、ホワイト、あの三人をこちらに誘き寄せては頂けませんか?わたくしに考えがあります!!)

 

 ロイヤルクイーンの話を聞いた時、ブラックとホワイトは、ロイヤルクイーンが何をしようとしているのか瞬時に理解した。二人は、三人の魔人がメルヘンランドに封印されて居た事は、妖精会議に出席していたメップルとミップル、ラブ達から聞いていたのだから・・・

 

「ホワイト、どうしよう!?このままここで封印しても、あの三人は私達が居た世界では・・・」

 

「うん・・・復活しちゃうもんね!」

 

 ブラックとホワイトは、一旦距離を取りロイヤルクイーンの下にやって来ると、

 

「ロイヤルクイーン、信じられないかも知れないけど・・・私達二人は未来から来たの!」

 

「私達の居た時代に、あの三人の封印が解け、再びメルヘンランドや私達の世界で、悪さをするの!」

 

「「お願い!私達にあの三人と、此処で決着を付けさせて!!」」

 

 自分達の居た世界で、封印が解けたあの三人は、アンデとルセンをクライナーに変え、さらにはその尊い命を奪った。未来が変わるかも知れないが、二人は此処で決着を付けたいと考えて居た。だが、ゆっくりロイヤルクイーンは頭を振り、

 

「キュアブラック!キュアホワイト!あなた方二人がそう仰るなら、それは事実なのでしょう・・・ですが、現状を見て下さい!このままあなた方とあの三人が戦い続ければ、メルヘンランドは深刻な状況に陥ってしまいます!!どうか、わたくしの願いを聞き入れて下さい!!!」

 

 ブラックとホワイトは、ロイヤルクイーンの忠告を受けハッとした。辺りを見回せば、確かに自分達と三人の魔人、更に先程の大蛇との戦闘で、夢の世界のようなメルヘンランドは、荒れ果てようとしていた・・・

 

 ブラックとホワイトは、今の現状をよく見ていなかったのだと反省をした。未来の自分達の現状を知っているが為に、冷静さを失っていた。今自分達が優先させる事は、この世界に住む者達の平和こそ、最優先させなければならない重要な事ではと・・・

 

「そうだね・・・ロイヤルクイーン!」

 

「私達は、あなたの言葉に従います!」

 

 ブラックとホワイトが同意してくれた事で、ロイヤルクイーンの表情が和らいだ。

 

「ブラック!ホワイト!ありがとう!!」

 

 ブラックとホワイトは、ロイヤルクイーンに手を上げて合図を送り、ホワイトはブラックに何か囁くと、二人は再びディクレ、サディス、ベガへと向かって行った。

 

「何を企んで居るかは知らんが・・・調子にのるなよ!」

 

 ディクレの合図と共に、サディス、ベガが、ブラックとホワイトに肉弾戦を仕掛けた。当初は互角の戦いをしていたものの、次第にブラックとホワイトが押され出し、ブラックとホワイトが後方に大きくジャンプし、体勢を整えようとしていると、チャンスとばかり三人の魔人が突撃した。

 

「掛かった!」

 

「ロイヤルクイーン!今よ!!」

 

 ブラックとホワイト、二人は態と劣勢を装い、三人の魔人を油断させ、こちらに誘き寄せる事に成功した。ロイヤルクイーンは両手を大きく広げ、目の前に開いたまま置かれた本に、光のエネルギーを送り込むと、

 

「悪しき者達よ・・・光の本の中で反省なさい!」

 

 ゆっくり両腕を閉じ始めたロイヤルクイーン、それに合わせたかのように、三人の魔人は、何かに吸い込まれるように身体を持って行かれた。

 

「な、何事だ!?」

 

「か、身体が動かん!」

 

「畜生!あたし達に一体何を!?」

 

「「「ウワァァァァァ」」」

 

 まるで掃除器の中に吸い込まれるかのように、三人の魔人は光に包まれ、その身体を光の本の中に吸い込まれた。

 

「おのれロイヤルクイーン!おのれプリキュア!!」

 

「この恨み・・・絶対忘れないよ!!」

 

「必ず、必ず貴様らに復讐してやるぅぅぅ!!」

 

 本の中からは、ディクレ、サディス、ベガの、憎しみの籠もった声が聞こえてくるも、ロイヤルクイーンが両手を合せると、光の本は、開かれていたページを閉じた。本が閉じられると、本は光の輝きを止め、本の表紙に文字が浮かび上がった。タイトルには、絵本の中の悪魔と書かれていた。ロイヤルクイーンは、三人を封印した本を手に持つと、

 

「この本は、この地に祠を立てその中に封印し、この森を、何人も立ち入ってはならない、封印の森と定めましょう!一先ず、あなた方を宮殿にご案内致します!!どうぞこちらに・・・」

 

 ブラックとホワイトは、ロイヤルクイーンの後を複雑な心境で付いて行った・・・

 

 

 宮殿に招待されたブラックとホワイトは、ロイヤルクイーンに宮殿内を案内され、その大きさに目を奪われた。

 

「光の園の宮殿も凄かったけど、メルヘンランドも凄いよねぇ?」

 

「うん・・・見て、ブラック!あそこには本が一杯あるわ!!」

 

 話には聞いていたが、メルヘンランドはやはり絵本の世界である事を改めて実感したブラックとホワイトだった。女王の間に来た一同は、

 

「キュアブラック!キュアホワイト!改めてお礼を言わせて下さい・・・お二人共、メルヘンランドを救って頂き、ありがとうございます!!」

 

 そう言うと、巨大な身体を窮屈そうにしながら、ロイヤルクイーンが二人に頭を下げた。ブラックとホワイトは、笑みを浮かべながら、自分達が役に立てた事を喜んだ。心が通じた三人は打ち解け、世間話を始める程親密になっていった・・・

 

「私達の本当の名前は・・・私が美墨なぎさ!」

 

「私は雪城ほのかです!」

 

「なぎささんに、ほのかさん・・・何故、元の姿にならないのですか?」

 

 ロイヤルクイーンは、不思議そうに小首を傾げると、顔を見合わせたブラックとホワイトは苦笑を浮かべながら、

 

「私達、プリキュアになるにはパートナーの妖精達の力が必要何ですけど」

 

「訳あって、今は離れ離れ何です!だから、一旦元の姿に戻っちゃうと、プリキュアになる事は出来ないんです!!」

 

「成る程・・・それでプリキュアのままで居るのですね?」

 

「「はい!!」」

 

 二人の説明を聞き、ロイヤルクイーンは何度も頷いて見せた。王宮からメルヘンランドを見渡すと、妖精達の声が聞こえ、平和を取り戻した事を実感したブラックとホワイトだった・・・

 

 光の園のクイーンに頼まれた通り、カードをロイヤルクイーンに手渡したブラックとホワイトが、光の園にそろそろ戻ると告げると、ロイヤルクイーンは名残惜しそうに二人を見つめ、

 

「あなた方二人は、わたくしの大切な友人・・・あなた達が、無事に元の世界に戻れる事を、このメルヘンランドより祈っております!」

 

「「ありがとうございます!」」

 

「ブラック、ホワイト、お気を付けて!」

 

 ロイヤルクイーンは、自ら宮殿の外まで二人を送り、手を振ると、ブラックとホワイトの身体が光に包まれ、

 

「私達も、未来でロイヤルクイーンと再会出来る日を、楽しみにしています!」

 

「じゃあ、お元気で!」

 

 光は上空高く舞い上がり、ロイヤルクイーンは、その光が完全に消え去るまで手を振り続けて居た・・・

 

 

4、二人を呼ぶ声

 

 光の園に戻ったブラックとホワイト・・・

 

 無事にメルヘンランドの平和を取り戻したとクイーンに報告したものの、二人の表情は冴えず、クイーンは玉座に座しながら二人の様子を気に掛け、

 

「キュアブラック、キュアホワイト、どうしました!?二人共表情が冴えませんが?」

 

 ブラックとホワイトは、顔を見合わせた。横浜の地から過去の世界に飛ばされ、正確な時間は分からないが、あれから数時間は経っているだろうと思うと、ブラックもホワイトも、横浜に残る仲間達の事を思うと表情が険しくなる。

 

 あれからハッピー達はどうなったのか?

 

 みんなはどうしているだろうか?

 

 ジャアクキングや三人の魔人と戦って居る時は、そんな余裕も無く戦いに集中出来たが、いざ平和を取り戻すと、早く元の世界に帰りたい思いが募ってくる。ホワイトはクイーンを見つめると、

 

「クイーン・・・先程も少し話したように、私達二人は、未来の世界から過去の光の園にやって来てしまったんです!クイーンのお力で、私達を元の世界に帰せる事は出来ませんか?」

 

 ホワイトの話を真剣な表情で聞いていたクイーンだったが、少し考えると、

 

「キュアホワイト・・・残念ながら、私にはあなた達を元の時代に帰してあげられる力はありません!」

 

「そ、そんなぁ・・・」

 

 クイーンの言葉を聞き、思わずブラックが呟き、ホワイトも悲しげな表情を浮かべた。

 

 その時だった・・・

 

 二人の心に何者かの声が響いた・・・

 

(プリキュアのみんなぁ!私に力を貸してぇぇ!!)

 

 確かに声はそう言っていた・・・

 

 だが、ブラックもホワイトも、誰の声かまでは思い出せないが、何処かで聞いた事のある声に思えた。顔を見合わせた二人は、

 

「ホワイト、今の声聞こえた?」

 

「うん!みんなの身に何かあったんじゃ?」

 

 仲間が自分達の力を求めている・・・

 

 帰らなきゃ!!

 

 ブラックとホワイトの思いは一つ、決断した二人は、凛々しい表情でクイーンを見つめると、

 

「私達・・・元の世界に帰ります!」

 

「きっと何か方法がある筈です!」

 

 二人はクイーンに頭を下げると、踵を返して駆け出した。クイーンは慌てて二人を呼び止め、

 

「待ちなさい!ブラック、ホワイト、光の園は通常の世界とは時間の流れが違います!!無闇に外に飛び出せば・・・」

 

「「分かってます!でも、仲間が呼んでるんです!!」」

 

 二人の表情を見たクイーンは、もう止めても無駄だと悟り、再び自分の髪を抜き、二人に手渡すと、

 

「私ももう止めません・・・もし、時空の狭間で迷うようなら、光の園に戻って来るんですよ?」

 

「「はい!!」」

 

 ブラックとホワイトは駆け出した・・・

 

 仲間達が待つ元の世界目掛け・・・

 

 

 再び時の狭間に飛び込んだブラックとホワイトだったが、来た時とは違うビジョンが流れて居た・・・

 

 悪魔のような容姿の魔の足下に、ピクリともせず、横たわる三人のプリキュアの姿が見えた。魔は雄叫びを上げ、三人のプリキュアを踏みつぶし、血飛沫が辺りに飛び散った。

 

「な、何!?」

 

 ブラックは思わず顔を背けた・・・

 

 更に次のビジョンには、赤っぽい髪をしたプリキュアの表情がまるで何かに取り憑かれたかのように醜く歪み、パートナーである筈の水色髪の青年を、ロッドのような物で貫き、高笑いを浮かべていた。

 

「さっき見たのと違うわ!」

 

 ホワイトが絶叫し、ブラックも同意する。更にビジョンは変わっていくが、どれもプリキュア達が敗北する姿が映し出されていく・・・

 

 フラワーが、ムーンライトが、砂漠の使徒に敗北し殺された・・・

 

 ブルームとイーグレットが、満と薫に殺される姿が映った・・・

 

 ドリーム達が絶望の闇に沈み、ナイトメアの下僕となる姿があった・・・

 

 ウエスター、サウラー、そして、イースに捕らわれ、無残な姿にされているピーチ達の姿が映った・・・

 

 ブロッサム達、メロディ達、ハッピー達もそれぞれ敗北し、無残な最期を遂げた姿が映った・・・

 

「アッ・・・アァァ・・・な、何よこれ!?訳分かんないよ?」

 

「何故プリキュアのみんなが・・・」

 

 ブラックとホワイトが困惑していると、二人の側に二つの光が近付いた。目を凝らせば、光の中には人らしき姿があるような気が二人にはした。光の中にビジョンが現われると、それには驚くべき光景が映った。

 

 背中から金色に輝く、12枚の天使の羽を生やしたブラックとホワイトが、今二人が見たそれぞれの世界を、終焉に導く姿があった・・・

 

 二人は呆然とした・・・

 

「これは私達・・・なの?」

 

「そう・・・これは私達の記憶!」

 

「「エッ!?」」

 

 ブラックの問いに答えた声を聞いた瞬間、二人は驚き絶句した。二人に語り掛けた声は、確かにブラックの声そのものだったのだから・・・

 

「誰!?あんた誰よ?」

 

「私達にこんな場面を見せて・・・何が目的なの?」

 

 だが、光はその質問に答えず沈黙する。ブラックがまだ何か言おうとしたその時、周囲に不気味な声が響き渡った。

 

「プリキュアァァァァ!」

 

 地の底から這い上がってくるかのようなおぞましき声が、こちらに近付いて来る気がして、ブラックとホワイトの表情が凍り付く、度重なる連戦で、ブラックとホワイトの疲労もピークを向かえていた。

 

「な、何、今の声!?」

 

「こっちに向かってくるわ!」

 

 近付いて来る何者かに、表情を険しくしたブラックとホワイトが身構えると、再び光が言葉を発した。

 

「あなた達は、あの敵と此処で戦ってはいけない!」

 

「あの敵は、伝説を継ぐ者、キュアソード達の敵よ!」

 

「伝説を継ぐ者?」

 

「キュアソードって一体!?」

 

 光からの声は、ブラックとホワイトにそっくりで、光からの声の意味を考えながら、ブラックとホワイトが呆然としていると、光は二人の身体を包み込み、

 

「悪いけど、あんた達の身体・・・借りるよ!」

 

「あなた達を戦わせる訳には行かないの!!」

 

 遠のいていく意識の中で、ブラックとホワイトは、そんな声を聞いた気がした。二人が意識を失うと、光は目映い輝きを放ち、ブラックとホワイトは、巨大な光の翼を背から生やし、その光の翼は片側6枚ずつ、12枚の天使の翼へと変化した。

 

「プリキュアァァ!この恨み・・・・・キュアブラック!?キュアホワイトだと?バ、バカな、お前達は向こうの世界に・・・な、何故此処に居るぅぅ?」

 

 姿を現わしたのは、巨大な黒い塊のような物体・・・

 

 不気味に蠢き、収縮を続け、よく見れば、何体ものおぞましい生き物の集合体のようにも見えてくる。顔にはバッテンマークが付き、過去の世界に向かっているようだった。魔は、ブラックとホワイトを見た瞬間、まるで金縛りにあったかのように、その動きを止めた・・・

 

「何だ・・・お前達から溢れるその力は一体!?キュアブラックとキュアホワイトでは無いのか?」

 

「私達は・・・・光と闇の使者、キュアブラック!」

 

「光と闇の使者、キュアホワイト!」

 

「「ふたりはプリキュア!」」

 

「光と闇の調和を乱す者よ!」

 

「とっととお家に帰りなさい!!」

 

 光と闇の使者と名乗った二人が、キッと魔を睨むと、魔は思わず息を飲んだ。圧倒的恐怖が魔の心を覆い尽くす。魔は、恐怖を払拭するように雄叫びを上げると、ブラックとホワイトに向かって来ようとする。だが、二人は顔色一つ変えず、ブラックは右手を、ホワイトは左手を前に振り上げた。

 

 ただそれだけだった・・・

 

 だが魔は、凄まじい突風でも浴びたかのように、やって来た方角に吹き飛ばされ、

 

「プリキュアァァァ!貴様、俺に何をぉぉぉ!?」

 

 魔は、何をされたのかも分からず、恨み事を二人に言い残し、クルクル縦方向に高速回転しながら、二人の視界から完全に消え去った。

 

「これであいつに、キュアソード達は追いつくね?」

 

「うん・・・・・ブラック、どうやら私達の気配に気付いて、彼女が来たようね!」

 

 二人の目前の時空が歪み、長い黒髪の少女が姿を現わした。ブラックもホワイトも、微動だにせず少女を見つめると、

 

「あなたは、この世界のブラックとホワイトをも取込もうと言うの?」

 

「私達を取込んだだけでは、物足りないとでも言うのかしら?」

 

 ブラックとホワイトが問い掛けるも、少女は答えない。ただジッと悲しげな表情で二人を見続ける。

 

「あなたが、この世界を再び終焉に飲み込もうとする時は・・・」

 

「私達二人は、再びあなたと対峙する事になる!」

 

「「それだけは覚えておいて!!」」

 

 ブラックとホワイトの言葉を聞くと、少女はただ悲しげな表情を浮かべ、何処かへと消え去った・・・

 

「さあ、彼女も帰ったし、この身体をこの世界の二人に返しましょう!悪いけど、あなた達の記憶を、少し封印させて貰うわね!!」

 

「これ以上、未来を変える訳には行かないからね!」

 

 ホワイトの言葉にブラックも同意し、二つの光がブラックとホワイトの身体から抜け出すと、背中に生えた12枚の羽は消え去り、何時ものブラックとホワイトへと戻った。ハッと我に返ったブラックとホワイトは、

 

「アレェ!?今私達、何してたっけ?」

 

「エェと・・・光の園を飛び出したまでは覚えてるんだけど?」

 

 二人で小首を傾げたブラックとホワイトだったが、連戦が続いた筈の二人の気力は、先程と違い満ち溢れていた。力が漲ってくるのが、手に手を取るように分かった。

 

「何だか・・・力が漲ってくる気がする!」

 

「うん・・・急にどうしたんだろうね?」

 

 困惑していたブラックとホワイトの耳に、再び声が聞こえてきた。

 

「プリキュラァァ!!キャンディを助けてポポォォォ!!!」

 

 二人に取っては聞き慣れた声が、涙混じりに絶叫していた。ハッとして顔を見合わせたブラックとホワイトは、

 

「今の声・・・ポルン!」

 

「キャンディを助けてって言ってたわね?」

 

 瞬時に表情を険しくした二人、その側を二つの光が、まるでブラックとホワイトに仲間達の下への道標を示すように、二人に知らせているようだった。二人は頷き合うと、

 

「行こう!ホワイト!!」

 

「うん!待ってて、ポルン!今行くから!!」

 

 二人は手を握り合うと、光の示す先へと進む・・・

 

 この時の二人は知らなかった!

 

 この光の道標は、もう一人の自分達が示してくれた事に・・・

 

 ブラックとホワイトは進む・・・

 

 仲間達の待つ決戦の地、バッドエンド王国目指して!!

 

 

               第六十三話:外伝!時の旅人!!

                      完

 

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