1、姉妹のような二人
みゆきが楽しみにしていた世界絵本博覧会が開幕した・・・
梅雨入りも不安視されていたものの、まだ梅雨入りの発表もなく、この日は時折晴れ間もあり、家族連れも多く、初日はまずまず順当な滑り出しを向かえていた・・・
みゆきはこの日、夢原のぞみの家に泊まりがけで遊びに来て居た。
以前、のぞみから一緒に世界絵本博覧会に行かないか誘われた一同は同意し、のぞみはみゆきに、前日に泊まりに来ないか誘っていた。誘われたみゆきはOKしたものの、ある問題に気付き困惑する。
それはキャンディの事で、キャンディも当然みゆきと一緒に行きたがったのだが、のぞみの家族に見つかるリスクを考え、渋るキャンディをみゆき達が説得し、キャンディは、やよいの家に一日泊まる事になった。みゆきは、あかね達と会場前で落ち合う事を決め、のぞみ達と一緒に向かう事を知らせていた・・・
夢原家の今日の晩ご飯はハンバーグ、そして、のぞみとみゆきで作った卵焼き・・・
悪戦苦闘しながら、楽しげに料理する二人の姿を見ていたのぞみの母恵美と、父勉は、のぞみの妹のようなみゆきを見て目を細めた。
四人で食卓を囲み、食事を始めると、ちょうどテレビではこの日開幕した世界絵本博覧会の話題もやっていた。みゆきはそれを見るや目を輝かせ、興奮気味に話し、画面に釘付けになっていた。
「話しを聞いていると、みゆきちゃんは、本当に絵本が好きなのが分かるなぁ・・・」
のぞみの父勉は、みゆきの絵本や童話の知識を聞いて、心から感心していた。みゆきは少し照れながら、
「私、小さい頃は恥ずかしがりやで、お友達も出来なかったんです。そんな私を見かねたお婆ちゃんが・・・アッ!私が小さい時、少しの間お婆ちゃんの家に預けられてた事があって、お婆ちゃんが絵本を買ってくれたんです。何度も何度も読み返し、私、自分が絵本の世界の住人になってるような姿を想像したりして、絵本を読むのが大好きになったんです!!」
「そうなの?そんな風に見えないけど・・・そう言えば、つぼみちゃんも小さい時は引っ込み思案で友達が出来ず、花に話し掛けるのが楽しかったとか言ってったっけぇ・・・」
みゆきの話しを聞いていたのぞみは、前につぼみもそんな事を話していたのを思い出していた。のぞみをチラリと見た恵美は、
「のぞみは、物心付いた時にはりんちゃんと一緒だったし、人見知りしない子だったわねぇ・・・」
「知らない子にも話し掛けて、直ぐ仲良くなっていたなぁ・・・」
「エッ!?そうだっけ?覚えて無いよ・・・」
のぞみは考え込むような表情を浮かべるも、そんな小さい時の記憶が残っている事もなく、苦笑しながら頭を掻いた。勉はジッとみゆきの顔を見ると、
「そう言えばみゆきちゃん、僕にリクエストがあるってのぞみから聞いたけど?」
「アッ、そ、そう何です!私、狼さんや、鬼さん、魔女さん達とも楽しく過ごせるような絵本を読んで見たいなぁと思って・・・」
「お父さん、そんなお話書いて見ない?」
みゆきとのぞみに頼まれた勉は、腕組みしながら少し思案すると、
「どうだろう・・・みゆきちゃんの頭の中には、そんな場面が浮かんでいるんじゃないのかい?」
「エッ!?確かにそうですけど・・・」
勉に聞かれたみゆきは、メルヘンランドでウルルン達と楽しく遊んだ場面を思い浮かべていた。あんな楽しい絵本を読んでみたいと、心の底から思った事を思い出していた。勉は、そんなみゆきの表情を見逃さず、
「だったらそのお話は、みゆきちゃんが、自分自身で書いた方が良いと僕は思う!」
「わ、私がですか!?」
勉に自分で書いた方が良いと言われたみゆきが困惑していると、勉は優しげな笑みを浮かべながら、
「僕だって、童話を書く切掛けはそうだからね・・・こういう絵本や童話を読んでみたい!でも、中々そういう話には巡り会えない。だったら、自分で書いてしまえってね!!」
勉の話を聞いていたみゆきは、朧気ながらある絵本の事を思い浮かべて居た・・・
笑顔の大切さをみゆきに教えてくれた絵本の事を・・・
笑顔の素晴らしさを知る切っ掛けになった絵本の事を・・・
「そう言えば・・・小さい時に一度だけ、絵本の続きを書いてみようと思った事があったような・・・でも、何の本だったのか?」
首を捻りながら考え込むみゆきに、恵美はクスリと笑みを向けながら、
「みゆきちゃん、ご飯冷めちゃうわよ!」
「アッ!つい思い出すのに夢中になっちゃってぇ・・・」
ペロっと舌を出したみゆきに、のぞみ、恵美、勉が笑みを浮かべ、楽しい時間は過ぎて行った・・・
風呂から出たのぞみとみゆきは、のぞみのベッドに共に寝転んだ。互いにニコニコしながら顔を見合わせた二人は、
「みゆきちゃん、明日出掛ける前にナッツハウスに案内するね!ココとナッツは、パルミエ王国に一先ず戻っちゃったけど、くるみとシロップは居るから!」
「はい!噂に聞いていたナッツハウスに行くのも、凄く楽しみです!!」
のぞみ達の集合場所、ナッツハウス・・・
近年は、なぎさ達、咲達、ラブ達、つぼみ達、響達も訪れるプリキュア達の集合場所、まだ行った事のないみゆきは、どんな所だろうか考えると楽しくてしょうがなかった。
「早く明日にな~れぇ!!」
のぞみとみゆきは、お喋りをしながら何時しか深い眠りに付いた・・・
眠りに付くのぞみとみゆき、のぞみの部屋の外窓の前に、一冊の本が佇むと、
「みゆき!私とした約束、覚えて無いのね・・・」
「所詮、人間なんて薄情カゲェ!ニコもこれで良く分かったカゲェ!!」
(やっと見付けたのに・・・みゆきの、バカ!!)
何処か鳥の翼を想像させる髪形をしたニコと呼ばれた表紙の少女、笑顔は消え去り、悲しげな表情が浮かんだ。その脇には、頭部に二本の角を生やした丸い蝙蝠のような物体が載っていた。
本は赤い光を発しながら、羽ばたきながら何処かへ飛び去っていった・・・
翌朝・・・
恵美は仕事に行く前に、のぞみとみゆきを起こそうと、のぞみの部屋を訪れた。のぞみと同じような姿で寝ているみゆきを見た恵美は、まるでのぞみの妹にように見えてきて、
(後一人ぐらい・・・子供を作れば良かったかしら?)
そう思うと自分でも可笑しくなって、恵美は思わずクスリと笑い、のぞみとみゆきを起こすのだった。恵美に起こされ、寝ぼけ眼の表情で居間に現われたのぞみとみゆきに、既に着替え終わった勉は苦笑しながら、
「のぞみ、みゆきちゃん、僕はこれから打ち合わせがあるから先に行くよ、じゃあ、また後で!」
「じゃあ、私もそろそろお店に行くから・・・みゆきちゃん、また何時でも遊びにいらっしゃいね!」
「ハイ!お世話になりました・・・いってらっしゃい!!」
「うん!お母さん、いってらっしゃい!お父さん、後でね!!」
「「行って来ます!!」」
のぞみとみゆきに見送られ、勉と恵美は二人に手を振りながら出かけって行った・・・
恵美の用意した朝食、ハムエッグとパンを食べながら、世界絵本博覧会の話題で盛り上がるのぞみとみゆき、その時家のインターホンが鳴り、玄関を開けたのぞみは、迎えに来た夏木りんを見て目を細めた。
「りんちゃん!おはよう!!」
「のぞみ、おはよう!てっきり寝坊してるだろうと思って迎えに来たら、おばさん、ちゃんと起こしてくれたんだね!」
のぞみは、りんが一人で来た事を、不思議そうに思い小首を傾げると、
「あれぇ!?ゆうちゃんとあいちゃんは一緒じゃ無いの?」
当初りんは、弟のゆうと、妹のあいも連れて来ると言っていた。のぞみは、二人が居ない事を不思議に思いりんに訪ねると、りんは困惑気味に、
「ゆうとあいねぇ・・・二人共、絵本みたいな子供じみた場所何か、行きたくないってさ・・・どうせなら、ディズニーランドに連れてけぇって言いだして、頭きたから置いてきた!」
勝ち気なあの二人なら、そんな事を言い出すのも想像出来、のぞみは苦笑を浮かべた。りんの声が聞こえ、みゆきがチョコンと顔を出すと、りんは笑みを浮かべながら右手を軽く挙げると、
「みゆき、おはよう!昨夜はちゃんと寝れた?」
「りんさん、おはようございます!!グッスリ眠れましたから大丈夫です!!」
気合いが入った表情を見せるみゆきに、りんは苦笑を浮かべた。
りんも加えた三人、のぞみとみゆきは食事を終えると、慌てて着替え、その間にりんは、春日野うらら、秋元こまち、水無月かれん、美々野くるみに連絡を入れると、かれんとこまちは既にナッツハウスに来ており、うららも今向かっている最中だと連絡を受けた。
「のぞみ!みゆき!かれんさんとこまちさん、もうナッツハウスに着いてるってさ・・・うららももうすぐ着くそうだから、あたしもそろそろ出掛けるわよ!!」
「アァァン!りんちゃん、置いてかないでぇぇ!!」
「もうすぐ終りまぁぁす!!」
のぞみの部屋の中から、慌ただしくドタバタ着替えているのぞみとみゆきの姿を想像し、りんは思わず吹き出した。
2、思案
一方あゆみは、みゆき達から行き方を教わった不思議図書館へとやって来ていた。なおの弟や妹も一緒に来る事で、集合場所を不思議図書館にする訳にも行かず、集合場所を七色ヶ丘商店街の噴水前と決め、不思議図書館にはやよいとキャンディが向かえに来てくれる筈であったが、やよいとキャンディの姿はまだ無かった・・・
「どうしたんだろう・・・やよいちゃんとキャンディは!?もうそろそろ向かえに来てくれないと・・・」
困惑気味にソワソワしていたあゆみは、やよいの下へ行ってみようと決意し、みゆき達に習った通り、
(やよいちゃんとキャンディの居る場所に・・・)
あゆみは、そう心の中で念じながら本の扉を潜って行った・・・
「いけぇぇ!ロボッター!!」
「パンチクルゥゥ!!」
あゆみを迎えに行くべき筈の二人は、出掛ける前に見始めたロボッターのDVDに夢中になっていた。ゴトゴト音がし、音の方を振り返った二人は、本棚から現われたあゆみを見て驚愕する。
「あ、あゆみちゃん!?ど、どうしたの?」
思わず一時停止のボタンを押し、突然現われたあゆみに話し掛けたやよいに、あゆみは慌てて靴を脱ぐも、テレビに映ってるロボッターを見て溜息を付き、
「もう!どうしたのって・・・やよいちゃんとキャンディが、時間になっても迎えに来てくれないから、こうして様子を見に来たんだよ・・・」
少し呆れ気味にやよいに抗議すると、やよいとキャンディは顔を見合わせ、慌てて時計を見て顔面蒼白になり、
「あ、あゆみちゃん、ゴメンね!まだ時間大丈夫だと思ってて・・・」
あゆみを拝むように手を合わせ、涙目になりながら謝るやよいとキャンディ、あゆみはクスリと笑い、
「やよいちゃんらしいね・・・やよいちゃんも支度して、そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ!」
「う、うん・・・キャンディ隊長!」
「任せるクルゥ!」
やよいは慌てて部屋に戻り着替え始め、キャンディはDVDとテレビのスイッチを消した。クスリとしながら待っていたあゆみだが、何かに気付くと、
「や、やよいちゃん・・・突然押しかけて大丈夫だった!?やよいちゃんのお母さん、まだ家の中に居るんじゃ?」
「大丈夫!ママはもう仕事に出掛けてるから・・・お待たせ!!」
やよいも着替え終り、二人とキャンディは、大慌てで本棚から不思議図書館へと向った・・・
その集合場所では・・・
「やよいの奴、遅いなぁ?」
「あゆみさんを迎えに行っている筈ですが・・・」
「中々来ないね・・・アッ!こうた、勝手に離れちゃ駄目!!」
七色ヶ丘商店街の噴水前で、やよいとあゆみを待つのは、あかね、れいか、なお、そしてなおの弟けいた、ゆうた、こうたと、妹はる、ひなである。小学校高学年のけいたは、当初は行く事を渋っていたものの、妹はるはともかく、他の妹弟達をなおだけに面倒見させる訳にもいかず、こうして一緒に来ていた。
「こうた!なお姉にあんまり迷惑掛けると・・・連れて行かないからな!」
「ウフフフフ・・・けいたちゃんも、すっかりお兄さんしてるのね・・・」
「うん!けいたやはるは、あたしが居ない時はちゃんとゆうた、ひな、こうたを面倒見てくれてるから助かってるよ!」
なおが初めてお姉さんになった時、生まれたばかりのけいたを見ていたれいかは、けいたの成長振りに目を細めるのだった。そんなれいかに褒められ、れいかに憧れているけいたは、少し照れながら、弟や妹達の面倒を見続ける。あかねは、そんなけいたを見て笑みを浮かべるも、
「それにしても、やよいの奴遅いなぁ・・・何してるんやぁ?」
少し焦れったそうにしたあかねだったが、目の前の本屋から飛び出てきたやよい、あゆみ、キャンディを見て、思わず呆気に取られた。
「みんな、ゴメンねぇ!」
「遅くなってゴメンなさい!!」
やよいとあゆみが一同に頭を下げると、三人は苦笑混じりに、
「やよい・・・なおの弟や妹が居るんやから、不思議図書館使うのは止めた方がエエで!」
「気付かれなかったから良かったものの、あまり感心出来ませんね・・・面倒でも、あゆみさんを迎えに行ったら、やよいさんのお家から来た方が良かったのでは?」
あかねとれいかに窘められ、やよいとあゆみはシュンと少し落ち込むも、なおはそんな二人を励ましながら、
「まあまあ、れいかもあかねも良いじゃない・・・じゃあ、みんな揃ったし、そろそろ出掛けよう」
なおは弟と妹を集め、出掛けるから絶対に自分達から離れないように忠告する。そんな一同を、暖かな視線で見つめた一人の女性が近付いて来ると、
「青木さん、緑川さん、日野さん、黄瀬さん、坂上さん、おはよう!今日は星空さんが一緒じゃ無いのねぇ?代わりに、随分可愛らしい子達と一緒なのね・・・みんな、おはよう!」
近づいて来たのは佐々木先生で、なおの弟と妹達に気付き近付くと、その場にしゃがんで、ひな、ゆうた、こうたの頭を優しく撫でると、三人は嬉しそうに頬を染め、ゆうたとこうたは甘えるように佐々木先生に抱きついた。
「アッ!ゆうた、こうた、駄目でしょう!」
慌ててなおとはるが、ゆうたとこうたを引き離し、佐々木先生に謝るも、佐々木先生は笑顔のまま、二人を優しい視線で見つめた。あかねは、先程聞かれた質問に答えるように、
「みゆきは、のぞみさんの家に泊まってて、会場で落ち合う予定何ですわ」
「のぞみさん!?・・・アァ、例のお仲間の・・・みんなで何処か行くの?」
「はい、私達は今日みんなで、世界絵本博覧会に行くんです!なぎささん、ほのかさん、ゆりさんも、現地でアルバイトしていますし・・・」
れいかの説明を聞いた佐々木先生は、なぎさ、ほのか、ゆりが会場でアルバイトしていると聞き、
「エッ!?月影さん達、会場でアルバイトしているの?・・・そう」
少し驚いたものの、佐々木先生は頭の中で思案し始めた。以前、バッドエンド王国に乗り込んだみゆき達の後を追って、ゆり達一同がバッドエンド王国に乗り込み、約束通り無事みゆき達を連れ戻してくれた事に、佐々木先生は心から感謝していた。
(みんな会場に来るのなら、私からもこの間のお礼をした方が良さそうね・・・)
本当は、ベイスタ-ズのセパ交流戦、横浜対西武の試合を西武ドームに見に行くつもりだったのだが、心の中でベイスタ-ズに詫びた佐々木先生は、
「みんなも来るなら・・・私も一緒に行くわ!この間のお礼も言いたいし・・・」
「「ワァァイ!!」」
佐々木先生も一緒に行くと伝えると、ゆうたとこうたが喜び、再び佐々木先生に抱きついた。れいかは目を細めその姿を見つめながら、
「ゆうたちゃんとこうたちゃん・・・佐々木先生に懐いてますねぇ?」
「うん!前に先生が家に家庭訪問に来た時、弟や妹達と遊んでくれた事があったから、ゆうたもこうたも先生に懐いてるんだと思う」
「成る程なぁ・・・」
なおの言葉にあかねも納得し、佐々木先生を加えた一同が、世界絵本博覧会が行われている会場へと出掛けて行った。
佐々木先生が一緒に来てくれた事が、後にひかり、咲、つぼみ、奏、なおの手助けになる事を、この時の一同はまだ知らない・・・
ナッツハウス・・・
のぞみ、りん、みゆきも合流し、一同は初めてナッツハウスに訪れたみゆきを歓迎していた・・・
「みゆき、どうかしら!?ナッツハウスに初めて来た感想は?」
興味深げにナッツハウスの中を探索したみゆきに、かれんは笑み混じりにナッツハウスの感想を聞くと、改めて室内を見回したみゆきは嬉しそうに目を輝かせると、
「はい!目の前に池もあって静かだし、部屋の中もオシャレで、良い所だなぁと思いましたぁ!!」
「それは良かったです!今度はあかねちゃん達も連れて来て下さいね!」
みゆきの感想を聞き、のぞみ達一同がニコニコし、うららは、次はあかね達も連れて来るように言うと、みゆきは満面の笑顔を浮かべながら頷き、「はい!」と答えた。
キッチンに居たくるみが戻って来ると、テーブルの上にバスケットを置き、
「折角みんなで出掛けるから、おにぎり作ったわ!会場でみんなと一緒に食べましょう!!咲はパンを、ラブ達はドーナツ、奏はカップケーキを持ってくるとか言ってたわよ」
「本当!?向こうで一杯美味しい物食べれるね!!」
のぞみとうららの目がキラキラ輝き、目の前のおにぎりを見つめていると、かれんがテーブルの上に小箱を置き、
「私も、セレブ堂のシュークリームを持って来たわ!」
「私も、家の大福と羊羹を持ってきたの!」
「羊羹は毎日持ってそうですけどねぇ?」
りんに突っ込まれたこまちだったが、羊羹を常に持ち歩いているのは、週五日程度だと告げ、一同を笑わせた。和やかなガールズトークに付いていけない人間姿のシロップは、
「オイ!そろそろ出掛ける時間じゃないのか?言っておくけど、俺は会場まで送ったりしないからな!!」
脳裏に嫌な予感が漂い、前もって釘を刺すシロップ、図星を指されたのぞみの表情が強張り、
「エェェ!?せっかくみゆきちゃんも来てるのにぃ・・・みゆきちゃんもシロップに乗ってみたいよねぇ?」
「乗れるんでしたら・・・是非!」
「ほら、みゆきちゃんもお願いしてるんだしぃ・・・シロップゥゥ!」
のぞみとみゆき、うららも加わり、シロップにお強請り視線を浴びせ、目をウルウルさせて訴えると、シロップは頭を掻きながら、
「たく、しょうがねぇな・・・」
ブツブツ文句を言いながらも、ナッツハウスの外に出たシロップは、巨大な妖精姿に変化すると、
「早く乗るロプ!!」
のぞみ達一同を急かすと、一同が荷物を抱え、笑みを浮かべながらシロップの背に乗り込んだ。一同を乗せたシロップが大空に舞うと、みゆきは目を輝かせながら、空から眺める景色を楽しむのだった・・・
第六十五話:のぞみとみゆき!
完