1、集結
世界絵本博覧会会場・・・
梅雨間近の貴重な晴れの下、四人の少女達が興味深げに会場内に入場して行った・・・
その四人は、桃園ラブ、蒼乃美希、山吹祈里、東せつな、そして、祈里が抱いているシフォン、ラブの隣をフェレットの振りをして歩くタルト、自分達が住む四つ葉町から、さほど遠く無い所に、世界絵本博覧会の会場はあった。
四人は、会場の案内板の前で立ち止まり、次々入場して来ては、はしゃぐ子供達を見て、四人は自然に笑みが浮かんできた。自分達も童心に返ったような気分になるも、ラビリンスから来ているせつなに取っては、このような日常も新鮮に映った事だろう・・・
「此処が世界絵本博覧会の会場・・・中々賑わってるのね?」
周りを見渡したせつなは、色々な絵本の物語に扮した格好をしているキャストと、それを見てはしゃぐ子供達を見て目を細めた。この会場の何処かで、なぎさ、ほのか、ゆりも参加していると思うと、三人がどんな格好をしているのか楽しみだった。美希は、確かに賑わっているとは思ったものの、
「そうね・・・でも、時期が悪かったんじゃないのかしら!?ほら、世界最大のクローバータワーが、最近になって開業したばかりでしょう?」
「でも、世界絵本博覧会も、クローバータワーも、同じ会社が運営してるんでしょう?」
「うん!確か四葉財閥とか言ってたよ・・・健人くんの御子柴グループや、五星財閥などと同じ、日本五大財閥の一つとかって話よね?」
美希、ラブ、祈里の会話を聞いていたせつなは小首を傾げた。せつなは、かれんの家も財閥に含まれるのではと思っていたようで、
「かれんさんの所は違うの?」
「さすがに財閥じゃないでしょう・・・お金持ちなのは完璧に間違いないけど」
「でも、何か親近感覚えるよね!四葉財閥かぁ・・・」
美希、せつな、祈里、ラブが語った世界最大の電波塔、クローバータワーを私的に作り上げた四葉財閥とは、日本の五大財閥の中でも、特に色々な事業に乗り出す事でも知られ、最近オープンしたクローバータワー、そして、この世界絵本博覧会をも主催し、更に驚くのは、この世界絵本博覧会の企画をしたのは、まだ中学生の跡取り娘だという噂が広まっていた。
ラブ達は、自分達が住む四つ葉町と同じ、四葉の名が付く四葉財閥、クローバーの名を付けているクローバータワーに、親近感を覚えて居た。
「此処からも、クローバータワーは見えるのね・・・」
巨大に聳え立つクローバータワーを見上げたせつなが、何処かラビリンスを管理したメビウスの居たメビウスタワーを思いだし、感触深げにポツリと呟いた。美希とラブも再びクローバータワーを見上げ、
「ええ、何せ世界最大の999メートルの塔だもの!」
「本当・・・良く作ったよねぇ?」
「ピーチはん!ベリーはん!パインはん!パッションはん!・・・他のみんなを捜さなくてもエエんかぁ?」
タルトに助言され、思わず目的を思い出し、変顔を浮かべた四人、ラブは頭を掻きながら、
「って、そうだぁ!それよりみんなを捜さなきゃ!!みんな、もう来てるかなぁ?」
「取り敢えず、案内板の前に居るってみんなにメールしておくね」
祈里は他の一同に、入場口近くの案内板の前に居るとメールを送信した。
「まあ、なぎささん、ほのかさん、ゆりさんは間違いなく居るでしょうけど・・・三人がどんな格好をしているのか、興味があるわねぇ」
「確か、絵本のキャラに扮してるのよねぇ?」
美希とラブは、三人がどんな絵本のキャラクターに扮しているのだろうか気になり、思わず顔が綻んだ。
そんな四人の耳に聞き慣れた声が聞こえてきた・・・
「皆さん、おはようございます!」
「ラブ!美希!祈里!せつな!おはよう!!」
「美希姉ぇ!みんな、おはようっしゅ!!」
やって来たのは、ひかりと弟のひかる、日向咲、美翔舞、霧生満、霧生薫、コミューン姿のフラッピ、チョッピ、ムープ、フープ、咲の妹みのり、会場前で咲達と合流した花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつき、三人の頭の上で縫いぐるみの振りをするシプレ、コフレ、ポプリ、そして、つぼみが押すベビーカーに乗った花咲ふたば、ふたばはひかるとみのりに可愛がられ、大はしゃぎでベビーカーの中でキャッキャと騒いで一同を和ませる。ラブはひかる、みのり、ふたばを見て目を細めながら、
「みんな、おはよう!ひかるちゃんも、みのりちゃんも、おはよう!ふたばちゃん、大きくなったねぇ・・・」
「はい!ふたばももうすぐ一歳ですし、目を離すと直ぐ這い這いして何処かに行こうとして、お母さんも大変そうでしたので、今日は私が連れて来ました!!」
「もうすぐ一歳って言う事は、離乳食の真っ最中よねぇ?大変じゃないの!?」
美希に聞かれたつぼみは、少しドヤ顔になると、
「最近は、レトルトや瓶詰の離乳食も出てるんですよ!」
そう言うと、持ってきた瓶詰の離乳食を一同に見せるつぼみ、えりかとみのりが同じような表情で驚き、それを見たせつなは苦笑しながら、
「さすが現役のお姉さん、詳しいわね!」
「エッヘン!伊達にお姉さんはしていません!!」
再びドヤ顔で胸を張るつぼみを見て、一同が笑みを浮かべた。えりかは、そんなつぼみをからかうように、右手をつぼみの前に差し出すと、
「お姉ちゃん、1000円頂戴!」
「もう、えりかぁ!私はえりかのお姉さんじゃありませんよぉ!!」
「エへへへ、冗談!じゃあ代わりに、美希姉ぇ1000円・・・」
「ハァ?えりかに上げるぐらいなら・・・喜んで賽銭箱に1000円入れるわ!」
「何でよぉぉぉ!!」
えりかの言葉が終わる前に、呆気なく美希が拒絶し、変顔になったえりかが美希に抗議する。その様子を見てみのりが大笑いすると、みのりはえりかの真似をするように、咲の顔をジッと見つめ、みのりの魂胆に気付いた咲が、みのりを一睨みする。
「ブゥー・・・みのり、まだ、何も言ってないのにぃぃ!」
不満気に頬を膨らまして、咲に文句を言うみのりだったが、咲は溜息を付きながらみのり、そしてえりかを見つめ、
「みのりの考えはお見通し!もう、えりか!みのりが真似するから止めてよねぇ!!」
「みのりちゃん!えりかの真似何かしても、みのりちゃんに良く無いから、決して真似しないようにね」
「薫お姉ちゃんがそう言うなら・・・分かった!」
しゃがみ込んだ薫は、みのりの頭を撫でながら、えりかの真似をしないように忠告すると、その後ろで満もウンウン頷き、みのりが二人に分かったと頷き、思わず舞が苦笑を浮かべる。変顔を浮かべたえりかは、
「ちょっとぉ!何気にあたしの事否定してない?」
「ハァ・・・えりか!否定されるような真似、あんたがするからでしょうが」
美希も、それはえりかが悪いと言い、えりかはベビーカーのふたばに抱きつき、
「エェェン!ふたばちゃん・・・みんなが虐めるっしゅ」
えりかが嘘泣きをすると、思わず真に受けたひかりはオロオロするも、冷めた表情のラブとせつなは、ひかりに対して、えりかの事を心配するだけ無駄よと伝え、ふたばがキャッキャッとはしゃいで、えりかの頭を何度も叩いた。いつきは苦笑を浮かべながら、
「えりか、どうやらふたばちゃんにも、嘘泣きだってバレてるようだよ!」
「もう、いつきまでぇ・・・」
拗ねたように口を尖らせるえりかを見て、一同が笑い合った・・・
会場前で合流したのぞみ達とあかね達・・・
のぞみ達は佐々木先生が居る事に驚いたものの、互いにこの間の出来事の謝辞を述べ合った。なおの弟と妹を紹介されたのぞみ達、りんは、やっぱり弟と妹も連れて来て上げれば良かったかも知れない、そう後悔するのだった。
のぞみは周りを見渡しながら、
「いやぁ、この辺って中々隠れる場所無くて焦ったよね」
苦笑したのぞみは、人に見つからないように、降りられる場所を捜すのに苦労したと告げると、呆れ顔のあかねは、
「あないな大きな鳥見ただけでも、普通騒ぎになるやろねぇ・・・」
「世界絵本博覧会も開催してるし、上手く誤魔化せましたね!」
あの鳥もイベント関係だろうと思われた節もあり、うららは上手く誤魔化せたとホッと安堵する。
「だから嫌だって言ったロプ」
うららのバックの中に居たシロップは、独り言を呟き溜息を付いた。その時、のぞみとあゆみの携帯が鳴り、携帯に出た二人は、のぞみにはラブが、あゆみにはせつなが連絡してきて、入り口近くの案内板の前で、ひかり達、咲達、つぼみ達と居る事を知らせると、自分達も今会場前に着いた事を知らせた。
「ラブちゃん達、もう会場の中に居るって!」
「そう・・・じゃあ、私達も入りましょう!!」
のぞみの報告を聞き、佐々木先生が一同を促し会場内に入ろうと伝えると、なおは弟達と妹達を集め、
「みんな、勝手に動いちゃ駄目だよ!何処か行きたい時は、必ず私か、けいた、はる、他のお姉さん達に言ってから行く事・・・分かった?」
「なおは、あたしよりお姉さんらしいわ」
なおに釘を刺され、ひな、ゆうた、こうたが頷き、なおのお姉さん振りに、りんは自分より良く面倒見ていると感心していた。
会場内に入り、ラブ達と合流したのぞみ達とみゆき達は、互いに再会を喜び合った。
「つぼみちゃん!えりかちゃん!いつきちゃん!この赤ちゃんが、噂のつぼみちゃんの妹さんのふたばちゃん?」
「うららさん!はい、この子が私の妹のふたば何ですよ・・・ふたば、お姉ちゃんのお友達ですよ!!」
ふたばを抱き上げ、のぞみ達とみゆき達に見せると、ふたばはキャッキャとハシャギ、一同は皆可愛いと喜び目を細めた。
「うらら、つぼみ達と仲良くやってるようで良かったわ・・・」
「ええ、同じ年だし・・・すっかり打ち解けてるわね」
「あの四人でチームと言われても驚かないわね」
うららがつぼみ達三人と親しげに会話する姿に、りん、かれん、こまちは顔を見合わせ微笑んだ。
ひかり、咲、つぼみ、なおは、互いの弟や妹達を紹介しあうと、こういう時、やはり女の子の方が積極的なのか、みのり、はる、ひなが中心になって、ひかる、けいた、ゆうた、こうたと親睦を深め、こうたは、自分より小さいふたばの頭を、良い子良い子と撫で可愛がった。和やかな光景に一同が目を細めていると、
「お姉ちゃん、向こうにお猿さんが居るよ!」
ゆうたが指さす先に、確かに猿のような格好をし、棒を持った人物、お坊さんが着るような法衣を身に纏った人物、何処か河童を連想させる衣装を身に纏った人物が、子供達に愛想良く手を振りながら、こちら側に近づいて来た。ジッとその姿を見ていたせつなは、
「あれ、なぎささん、ほのかさん、ゆりさんだわ!」
「エッ!?って事は・・・なぎささんが孫悟空で、ほのかさんが三蔵法師、ゆりさんが沙悟浄って事?」
せつなの言葉を聞いた咲が、改めてジッと見つめると、他の一同も三人に視線を向けた。
そんな一同の会話が聞こえたかのように、孫悟空の格好をしたなぎさは、この姿を見られるのが恥ずかしいのか、踵を返して逃げようとするのを、三蔵法師に扮したほのかに尻尾を掴まれ、その場に倒れ込み、それを見て沙悟浄姿のゆりが頭を抱える。それを見たかれんはクスリと笑いながら、
「間違いなくなぎささん、ほのかさん、ゆりさんだわ・・・」
「なぎささん!ほのかさん!ゆりさん!スッゴクお似合いですよぉぉ!!」
みゆきが三人に大声で呼び掛け手を振ると、三人は顔を見合わせ合い、複雑そうに苦笑を浮かべた。
「皆さん、ようこそ!世界絵本博覧会へ!!」
「皆さんを歓迎致します!!」
「ほのか、ゆり、この娘達にはお決まりのセリフ・・・言わなくても良いんじゃない?」
プリキュアの仲間達に、一般客と同じような口上しなくても良いんじゃない?と言うなぎさに、ほのかとゆりは、
「なぎさ、親しき仲にも礼儀ありと言うでしょう?」
「彼女達も大切なお客様よ!」
「ハァァイ・・・」
それもそうかと納得したなぎさ、三人は、ひかる、みのり、なおの弟や妹、ふたばをあやした。そんななぎさ、ほのか、ゆりに、佐々木先生は小さな声で話し掛け、
「みんなには言ったけど・・・三人共、この前は星空さん達を無事に連れ戻してくれてありがとう!」
「いえ、みゆき達には私達の方こそ助けられたくらいです」
「あの子達、随分成長したよねぇ?」
「ええ」
ゆり、なぎさ、ほのかはそう言うと、楽しげにしているみゆき達六人を見つめた。あかねは、三人の周辺を見渡すと首を傾げ、
「猪八戒は居らんの?」
「私達三人友人同士って事で、スタッフの人が気を効かせてくれてさぁ・・・私達三人でチームを組んだから、猪八戒役は居ないんだぁ」
「そう何や・・・やよい、出番やでぇ!!」
「あかねちゃん・・・それはどういう意味!?」
「何でもあらへん・・・シシシシシ」
やよいをからかい、笑うあかねに、やよいは何の事か分からず小首を傾げた。なぎさは一同を見渡し、響達の姿が見えない事に気付くと、
「アレェ!?響、奏、エレン、アコちゃんの姿が見えないけど・・・みんなと一緒じゃ無いんだ?」
「さっき電話してみたんですけど・・・繋がらなかったんですよねぇ」
「エレンからのメールで、こっちに向っているのは間違いないんですけど・・・」
「全く、響達は何やってるんだか・・・」
ラブとせつなが、困惑気味に一同に話し、くるみは少しイライラした表情を浮かべていると、入場口から、何処かで聞いた事のある二人の言い争う声が聞こえてきた・・・
「響!みんなもう着いてるじゃない!だからあれ程前もって準備しておきなさいよって言ったのに・・・」
「そう思ってるなら、奏が早めに起こして手伝ってくれれば良いジャン!私も色々忙しかったの!!」
「どうだか・・・」
恒例の口喧嘩を始める響と奏、その前方を、ピーちゃんを抱いたアコ、奏の弟奏太が呆れ顔で歩き、ハミィを抱いたエレンが、苦笑しながら一同に気付き手を振った。
「やれやれ、響と奏も相変わらずだねぇ・・・」
「でもあれを見ないと・・・あの二人らしくなかったりしてぇ」
そんな二人を見て、なぎさとラブが口元に笑みを浮かべた。アコと奏太、エレンとハミィも一同と合流し、口喧嘩しながらこちらに向ってくる響と奏を、一同が苦笑混じりに見ていると、
「ストォォォォップ!!」
突然二人の間に二本の腕が割り込み、響と奏を引き離し、何事かと呆気に取られた響と奏の間に、赤い髪の頭頂部にピンクのリボン、ピンクの服を着た少女が割って入ると、響と奏の顔を交互に見比べ、
「何が原因かは分からないけど、喧嘩は駄目だよ!それに、ここは世界絵本博覧会・・・子供達も大勢見てるんだよ!仲良くしなきゃ!!」
「「ゴ、ゴメンなさい・・・」」
少女の迫力の前に、響と奏は面目なさげに少女に謝ると、少女は微笑みながら二人の手を取り握手をさせ
「はい、仲直りの握手!何があったか私に話してみて!!」
「「エェッ!?」」
見た感じ、明らかに自分達より年下の少女に注意され、同じような表情で、再び顔を見合わせて困惑する響と奏、それを見たなぎさ、咲、りん、くるみ、ラブ、美希、えりか、あかねは、笑いを堪えるのに必死だった・・・
「ちょ、ちょっとマナ!」
「ウフフ!マナちゃんらしいですわ」
少女の背後から大慌ての藍色の長い髪の少女と、茶髪で左右に二段重ねのお団子頭をした少女が、後ろに背の高いタキシードを着た身なりの良い、口ひげを蓄えた白髪の紳士を連れ近付いて来ると、
「六花(りっか)!ありす!あのね、この人達ね・・・」
「もう、マナはいつも首を突っ込みすぎ!幸せの王子をやるのも良いけど、大概にしなさい!!」
マナと呼ばれた少女は、こんな行動を良くやるのか、六花と呼ばれた少女が少し呆れ気味にマナを注意した。六花は、響と奏に軽く会釈し、まだ響と奏に何か言いたげなマナの背を押し、ありすと呼ばれた少女の下へと、マナを強引に連れ戻した。響と奏は、ポカンとした表情でそんな二人を見つめた。
「六花さん!?」
「ありす!?それに、後ろのあの紳士何処かで・・・」
マナに名前を呼ばれた、六花とありすの名を聞いたれいかとかれんは、思わずハッとした表情を浮かべると、
「れいか、どうかしたの?」
「かれんさん、れいかちゃん、あの子達知ってるの?」
なおとのぞみが、首を捻りながられいかとかれんに問い掛けると、二人も確信は持て無かったが、
「いえ、直接には・・・中学生の全国模試で名を見たので、珍しい名前なので覚えて居たのですが、もしかしたらあの方が・・・」
「私は、あのありすって子の後ろの人と面識があるの・・・爺やと同じ執事仲間で、確か・・・」
かれんの視線が、ありすの背後に居る紳士に向けられると、紳士もかれんを見るやその場で一礼し、かれんに近寄って来ると、
「これは水無月様!お久しぶりでございます!!本日はお一人で?」
「いえ、友人達と世界絵本博覧会を見学に・・・」
「さようでございましたか・・・この催しは、私共四葉財閥で主催しており、ありすお嬢様がプロデュースもされております。よろしければ、後程ご感想などお聞かせ頂ければ幸いですが?」
「ええ、では、後程そちらに伺いますわ!」
「私共は、メイン会場に居りますので、係の者に伝えていただければ、お迎えに参ります!それでは、お待ちしております!!」
紳士は深々とかれんに一礼し、主であるありすの下に戻り、何かを告げると、ありすもその場でかれんに一礼し、かれんも礼を返した。なぎさは驚いた表情でかれんに話し掛け、
「あの子がここの主催者!?つまり・・・私達の雇い人?」
「そういう事になりますね!」
かれんがなぎさの言葉に頷くと、なぎさ、ほのか、ゆりは顔を見合わせ合い、
「まさか、中学生だった何て・・・驚いたわ!」
「確か、あの娘が四葉財閥の跡取り娘で、ついこの間中学生になったばかりの筈・・・中々の遣り手のようね」
「跡取り娘!?確か四葉財閥には、私達ぐらいの跡取り息子が居た気がしたけど?」
ほのかの言葉に、確か自分達ぐらいの男性が居た筈だがとゆりは首を捻り、四葉財閥と知り合いのかれんに真偽を問うと、
「ええ、確かにご子息が居られる筈です!私も詳しい事は知らないのですが、現当主とそりが合わず、家を出たとか何とか・・・それで、彼女が跡取り候補に浮上して、英才教育を受けているそうですよ!!まだ、中学一年生だとか・・・」
「エッ!?って言う事は、私達より年下何ですか?」
ほのか、ゆり、かれんの会話を聞き、あゆみは自分より年下なのにしっかりしていそうな三人組を見て驚いた。
「ウ~ン、やっぱりあの二人が気になるなぁ・・・」
マナはもう一度背後を振り返り、響と奏を見つめると、響と奏は、思わずギクッとした表情を浮かべ、ジィと二人を観察していたマナは、再び響と奏の下に舞い戻り、
「アァ!?また喧嘩しようとしてたでしょう?」
「「してない!してない!」」
響と奏は、同じような仕草でブルブル首を振り、再びなぎさ達が笑いを堪えていると、茶髪のショートヘアーで、山吹色のオーバーオールを着ている少女が、ニコニコしながら三人に近付き、徐に膝に付いているハート形のポケットから何かを取り出すと、
「こんな素敵な場所で、言い合い何か止めましょう・・・はい!おおもりご飯特製、ハニーキャンディ!召し上がれ!!」
「「「エッ!?」」」
響、奏、マナの三人は、突然飴を差し出した少女に呆然としながらも、反射的に飴を受け取った。三人は、少女に言われるまま、飴の包み紙を外し、キャンディを口の中に放り込むと、
「「「お、美味しいぃぃぃ!!!」」」
思わず同じような表情で喜びを表現する三人、
「ああなったマナを止める何て・・・あの子、やるわね?」
「そうですわね・・・」
その様子を見て居た六花とありすは、マナを瞬時に手玉に取った少女に驚愕した。そんな二人の脇を、赤い髪をポニーテイルで纏め、学校で着ているような緑色のジャージ姿の少女が通り過ぎると、
「アッ、居た居た!ゆうゆう!誠司達見付けたよ!!」
「めぐみちゃん!分かった、じゃあ、私行くね!!」
三人は飴を舐めながら、去って行く二人の後ろ姿を呆然と見つめた。マナは思い出したのか、
「エェと、誰かは知らないけど、飴をありがとう!すっごく美味しかったよぉぉ!!」
「「ご、御馳走様ぁぁ!」」
大声を出して、ゆうゆうと呼ばれた少女に礼を言ったマナに釣られたように、響と奏も慌てて少女にお礼を言うと、少女は、ニコニコしながら手を振りながら去って行った。そんなマナに、六花とありすが近付いて来ると、
「マナ、いい加減に私達も行くわよ!」
「マナちゃん、私、お客様をお待たせして居ますので、先に行ってしまいますわよ?」
「エェェ!?六花、ありす、置いていかないでよぉ!じゃあ、あたしも行くね・・・喧嘩はダメだからね?」
「「は、はい!!」」
反射的に響と奏がはいと返事をし、マナは満足そうにウンウン頷くと、側に居た一同に軽く会釈し、マナ達もその場を去っていった・・・
「奏・・・あの子達、何だったの?」
「私に聞かないでよ!」
去って行った少女達を見つめ、呆然としていた響と奏に、
「響!奏!あんた達、何注意されてんのよぉ?」
響と奏に近付いたえりかは、二人をからかうように、肘で二人を突っつきニヤニヤしていると、困惑気味の響と奏は、
「いやぁ、喧嘩してたつもりじゃなかったんだけど・・・」
「あの子から見たら、私達、喧嘩してるように見えたのね・・・」
再び顔を見合わせ合うと、二人はトホホ顔を浮かべた。
全員揃った少女達・・・
その姿を、木の上から見つめる視線があるのに、気付いた者は居無かった・・・
2、動き始めた影
「めぐみ!ゆうこ!二人共、何所行ってたのよ?」
「全く・・・お前達がはぐれてたら、世話ねぇだろう?」
「まあまあ、いおなも、誠司君も、無事に二人と再会出来たんだから良いじゃない!」
「いおなちゃん!誠司!まりあさんも、真央ちゃんもゴメン!!」
「ゴメンね!」
先程響達にキャンディを上げたゆうこ、そしてめぐみが、一緒にやって来た仲間達と合流したのは、イベント会場近辺だった。いおなと呼ばれた少女と、誠司と呼ばれた少年には注意されたが、まりあと呼ばれた美少女は、優しげな微笑を浮かべながらそんな二人を諭し、右手で白い麦わら帽子を被った誠司の妹、真央と呼ばれた少女の手を握っていた。めぐみとゆうこは、髪を触りながら苦笑気味に一同に謝った。
みんなが揃った事で、真央はまりあから手を放すと、大はしゃぎでイベント会場を走り、一同が目を細めた。
「みんな、今日はサンキューな!母ちゃんが仕事で留守がちだし、真央がどうしても世界絵本博覧会を見たいって言ってたからさ・・・母ちゃんは、中学生になったばかりの俺だけじゃ、真央を連れて会場に行くのはダメだって言うから困ってたけど・・・めぐみや大森、氷川にまりあさん迄来て貰えて助かりました!」
そう言うと、誠司はめぐみ達一同を見渡し、頭を下げた。一同は笑みを浮かべながら、
「家のお母さんは、身体が弱いからあまり外に出れないし・・・」
「私の家は、お父さんもお母さんも、お姉ちゃんも、お店があるから来れないし、お姉ちゃんが知り合いに頼んでみるって言ってたのが、まりあさんだとは思わなかったなぁ・・・」
「ゆうこちゃんのお姉さん、あいさんに頼まれたら断れないわ!」
「お姉ちゃん、あいさんの後輩で、お世話になってたもんね?」
そんな会話をしながら、はしゃぐ真央を見つめていた一同だった。そんな中、真央は何か小さな生き物が動く姿を見付け、そっと後を付けてみると、物陰に隠れながら辺りを見渡す、水色髪をした白いワンピース姿の一人の少女を見付けて小首を傾げた。何であのお姉ちゃんは、こっちに来ないで、物陰に隠れながら見て居るのだろうかと疑問を持った。
真央が、そっと様子を伺っていると、
「どう、リボン!?」
「どうと言われましても、わたくしが堂々と会場中を動き回る訳にもいかないですし・・・それよりヒメ!そろそろ待ち合わせ場所に戻りませんと、遅れてしまいますわよ?」
「ウゥゥ・・・やっぱりお母様に一緒に来て貰えば良かったよぉぉ」
「今更泣き言言ってもダメですわ!」
心細くなったのか、母親の事を思って涙目になるヒメと呼ばれた少女に、頭部に大きなピンク色のリボンを付け、てんとう虫のような甲羅を背負ったリボンと呼ばれた妖精のような生き物が、呆れながらヒメを注意した。
「ワァ!?お姉ちゃんが縫いぐるみに怒られてる?」
「「ギクッ!!」」
恐る恐る声のした方を二人で振り向くと、ジィと真央が見つめているのに気付き、変顔浮かべながら、顔中から冷や汗が垂れるヒメは、リボンを素早く抱き寄せると、無言のまま脱兎の如く逃げ出した。その逃げ足の早さに、真央は呆気に取られていた・・・
合流したなぎさ達が、仲良く談笑する姿を見た木の上に居る黒い蝙蝠のような物体は、まるで影のように無数に蠢き、世界絵本博覧会会場へと散っていた・・・
(さあ、ニコの笑顔を奪ったみゆきに・・・思い知らせてやるカゲェ)
散っていた影は、展示してある様々な本に憑依すると、憑依された本から次々と絵本や童話の悪役達が飛び出てくる。
鬼、魔女、動物、妖怪・・・
皆その瞳は赤く輝き、両肩から黒い翼のような物を生やし、まるで何かに操られて居るように口々に言葉を発していた。
「ニコを悲しませたみゆきを・・・倒せ!!」
絵本から飛び出した悪役達は、世界絵本博覧会会場を暴れ回ろうとしていた・・・
「これは一体何事ですの!?セバスチャン!!」
「ハッ!直ぐに確認に向います!!」
「それと、ブルースカイ王国のヒメルダ様の身辺の方も・・・」
「ハッ!直ぐにヒメルダ様を保護次第、安全な場所へ誘導致します!!」
「頼みましたわ!!」
関係者以外立ち入り禁止の応接室に居た相田マナ、菱川六花、四葉ありす、ありすの執事セバスチャンにも、会場内に仕掛けられた防犯カメラで、この騒ぎは伝わっていた。ありすは、素早くセバスチャンに指示を出し、事態の確認に向わせた。
「あたし達も行ってみよう!」
「エェ!?待ってよ、マナ!!」
「マナちゃん、まだ何が起こっているか・・・」
六花とありすが止める間も無く、マナは外へと飛び出し、思わず顔を見合わせた六花とありすも、直ぐにマナの後を追った。
一方、なぎさ達一同にも、会場の異変は感じていた。スタッフの一員でもあるなぎさ、ほのか、ゆりは、パニクる人々を誘導し避難させる。
「これもアトラクションなのかなぁ?」
「どう考えても違うでしょう!」
これもアトラクションなのかと小首を傾げたみゆきを、りんが即座に否定する。
「みんな!・・・あれって、絵本の世界の悪役達みたいな格好してませんか?」
「確かに・・・私達は何度か敵の策略で、絵本や童話の世界に連れ込まれた事があるから分かるけど、何処かで見たような気はするわね」
指を指して一同に異変を知らせたいつきに、嘗て、エターナルのシビレッタによって、童話の世界へ何度か連れ込まれた事があるくるみ達一同が、そんな気がすると一同に注意を促す。満と薫は、そんな現状を分析するかのように、ジッと悪役達を見つめた。
会場のあちらこちらから、人々の逃げ惑う声が聞こえてきた為、一同は顔を見合わせると頷き合い、代表するようになおが佐々木先生を見つめ、
「佐々木先生、申し訳無いですけど・・・」
「ええ、分かったわ!弟さんや妹さんは、私が責任を持って預かるから!!」
佐々木先生も、一同は何が起こったか分散して調べに行く事を理解し、承諾する。弟、妹を連れて来ているメンバーは、それぞれ自分の弟や妹に声を掛け始め、
「けいた、はる、佐々木先生の言う事聞いて、ひな、ゆうた、こうたを見て上げて!」
「みのり、あんたもこの中じゃお姉さん何だから、年下の子達の面倒見て上げるんだよ!」
「ひかる、あなたも佐々木先生の言う事を聞いてね」
「ふたば、お姉ちゃんちょっとこの騒ぎを調べてきますから・・・他のお兄さんやお姉さんの言う事を聞いて、良い子で居るんですよ!」
なお、咲、ひかり、つぼみが、弟と妹に言葉を掛け、不安がる一同を和ませる。ふたばだけは何か分からず、キャッキャとはしゃぎ、こうたに、良い子、良い子と頭を撫でられていた。奏も弟奏太に声を掛けると、
「奏太、ちゃんと先生の言う事聞きなさいよ!」
「分かったよ・・・でも、何でアコまで一緒に行くんだよ?だったら俺も・・・」
「いいから、言われた通りにしなさい!!」
「チェッ・・・ヒス姉ちゃん!」
「何ですってぇぇ!?」
「「まあまあ・・・」」
不服そうな顔をする奏太に悪口を言われ、顔を真っ赤にした奏を宥めるように、響とエレンが、アコを伴い連れて行った。
「みんな、頼んだわよ!」
「私達も誘導を終えたら向うから・・・」
「それまで持ち堪えて!!」
なぎさ、ほのか、ゆりは、素早く行動を開始した後輩達を、頼もしげに見つめた・・・
世界絵本博覧会会場は、大きく分けて五つあり、世界中の絵本や童話を展示しているブース、世界の絵本や童話を映像化した作品を上映するブース、絵本や童話をイメージしたアトラクションブース、イベント会場、自分で絵本を作れる体験ブースなどがあった。
アトラクションブースに向かった咲、舞、満、薫の四人の前に立ち塞がるのは・・・三匹の子豚に出ていた少し緑色の狼と、赤ずきんちゃんの藍色の狼、
「ニコを悲しませたみゆきを・・・倒せ!!」
無表情のままそう叫びながら暴れる狼達に、咲達は困惑する。彼らが発しているみゆきとは、自分達の仲間、星空みゆきの事なのだろうか?だが、このまま暴れさせる訳にはいかない。フラッピ達妖精がコミューン姿に変化すると、
「「「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」」」
「花ひらけ、大地に!!」
「はばたけ、空に!!」
「未来を照らし!」
「勇気を運べ!」
「輝く金の花!キュアブルーム!!」
「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「天空に満ちる月!キュアブライト!!」
「大地に薫る風!キュアウィンディ!!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「「聖なる泉を汚す者よ!」」
「「あこぎなマネは、おやめなさい!!」」
変身を終えたブルーム、イーグレット、ブライト、ウィンディ、何処か精気を感じさせない狼に戸惑うものの、先ずブルームとイーグレットが二匹の狼に突っ込み肉弾戦を仕掛けようとするも、二匹の狼は素早い動きで距離を取り、遠吠えをして威嚇すると、更に次々と狼が現われる。
「お、狼が出る絵本や童話って・・・こんなにあったけ?」
ブルームは思わず変顔になり、狼の群れを指差しながら、イーグレット、ブライト、ウィンディに聞いてみると、少し考えたイーグレットは、
「私が知ってるだけでも・・・三匹のこぶた、赤ずきん、オオカミと七匹のこやぎ、オオカミ少年、ポリーとはらぺこオオカミ、他に羊飼いと狼のお話だけでも何作かあったような?」
「ゲゲェ・・・そ、そんなにあるの?」
イーグレットの話で、かなりの狼作品があると知ったブルームは、再び変顔になって仰け反る。冷静に狼の群れを見つめたブライトとウィンディは、
「元々狼は、群れをなして行動すると言うし、驚く事じゃないわ!」
「問題は、彼らが何者かに操られて居る可能性があるって事ね」
二人の言葉を聞いたブルームは、今一度狼の群れをジッと見つめ、ブライトとウィンディに再び問い掛け、
「じゃあ、迂闊に攻撃出来ないって事?」
「ええ、迂闊に攻撃して、仮に私達が彼らを倒してしまったら・・・その物語の内容が変わり兼ねないって事ね」
「戦うにしても、手加減しながらって事になるわね・・・もっとも、ブラック達、ピーチ達、ブロッサム達、メロディ達、ハッピー達のように、敵を浄化する事が出来る技を持つなら別だけど・・・」
ブライトとウィンディの分析では、絵本や童話からこの世界に現われた者達は、何者かに操られて居るだけで、彼らを誤って倒せば、彼らの居た絵本や童話に、どんな影響が現われるかも分からず、迂闊な攻撃は出来ないだろうと考えて居た。
「じゃあ、他のみんなにも伝えないと不味いわ!」
イーグレットは不安げに、他の仲間達にも急いで知らせなければと困惑の表情を浮かべるも、見つめ合ったブライトとウィンディは口元に笑みを浮かべ、
「その事については、さっきみんなと分かれる前に、ひかり、かれん、せつな、いつき、エレン、れいか、あゆみには伝えて置いたから大丈夫」
「おそらくみんなの所にも、このような童話の世界の敵が現われている筈!エコーを通じて、みんなには伝わる筈よ・・・私達の下には、ひかりと一緒になぎさとほのかが来てくれる筈だから、それまでは守りに専念しましょう」
「そういう事なら・・・」
ブルーム、イーグレットは正面の狼の群れを、ブライト、ウィンディは背後の狼の群れに対して身構えた。狼達は、邪魔する者は容赦しないとばかり、がむしゃらに攻撃するのを、四人はバリアを張って防ぎ続けた。
嘗て戦ったアカオーニのように、棍棒振り回し暴れる赤、青、黄の鬼達、のぞみ達は、逃げ遅れた人達を避難させ身構えると、
「もう、お父さんの晴れ舞台を・・・許せない!みんな、行くよ!!」
「「「「「YES」」」」」
父、勉が行う筈だったイベント会場を滅茶滅茶にされ、のぞみは大きく頬を膨らませると、一同を促し、
「「「「「プリキュア!メタモルフォーゼ!!」」」」」
「スカイローズ!トランスレイト!!」
「大いなる、希望の力!キュアドリーム!!」
「情熱の、赤い炎!キュアルージュ!!」
「弾けるレモンの香り!キュアレモネード!!」
「安らぎの、緑の大地!キュアミント!!」
「知性の青き泉!キュアアクア!!」
「「「「「希望の力と未来の光、華麗に羽ばたく5つの心!Yes! プリキュア5!!」」」」」
「青いバラは秘密のしるし!ミルキィローズ!!」
変身を終えたドリーム達が名乗りを終えポーズを決めた・・・
「みんな、絵本から出てきた彼らを倒す事は、その物語に影響を与えかねない・・・」
「つぼみさん、えりかさん、いつきさん、力を貸して!!」
アクアが一同に忠告し、ミントが遅れてやって来たつぼみ、えりか、いつきにも協力を要請すると、
「分かりました・・・えりか!いつき!」
つぼみはえりかといつきに合図を送ると、二人が無言で頷き、シプレ、コフレ、ポプリがプリキュアの種を三人の手に送った。
「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」
「大地に咲く一輪の花・キュアブロッサム!」
「海風に揺れる一輪の花・キュアマリン!」
「陽の光浴びる一輪の花・キュアサンシャイン!」
「「「ハートキャッチプリキュア!!」」」
ブロッサム、マリン、サンシャインも加わり、9人のプリキュアが、雄叫び上げた鬼達と睨み合いになった・・・
「めぐみお姉ちゃん!あれって・・・プリキュアじゃない?」
避難しながら誠司とめぐみに両手を握られていた真央は、ドリーム達やブロッサム達に気付き、一同に知らせると、
「エッ!?・・・ほ、本当だ!」
「プリキュアって・・・あの横浜のか?」
めぐみや誠司も、プリキュアの事はニュースで見た事があり知っていた。特にめぐみは、真央と一緒にプリキュアごっこで遊ぶくらい、彼女達に憧れていた。目をキラキラさせながらプリキュアを見つめるめぐみと真央、めぐみと誠司、真央が立ち止まったのを見たまりあは、
「三人共、今はこの場から離れる事を優先して!いおな!ゆうこちゃんも分かった?」
「「はい!!」」
まりあに促され、再び走り始めた一同、まりあはチラリと背後を振り向くと、
(確かに、前にニュースで映ってたプリキュアに似て居る・・・でも、何故彼女達が世界絵本博覧会に居るのかしら?)
まりあは不思議そうに首を傾げるも、その場を離れて行った。
外に飛び出してきたマナ、六花、ありすの目の前で、非現実的な出来事が繰り広げられていた・・・
魔法のランプから現われたかのような巨人が咆哮し、観客達を追い回す姿を呆然として見つめていた。
「あ、ありす・・・念の為聞いておくけど、あれってアトラクションじゃないのね?」
「残念ながら、あのようなアトラクションは用意しておりませんわ」
共に顔を見上げ、呆然としながら巨人を見つめる六花とありす、二人が顔を戻した時、側に居た筈のマナの姿が、忽然と消え失せていた。
「エッ!?マナ!マナ、何処?」
「六花ちゃん、マナちゃんがあそこに!」
ありすが指さす先を見た六花の表情が、見る見る凍り付いていく・・・
あろう事か、マナは巨人の足下付近に駆け寄ると、巨人に対して何かを叫び続けて居たのだから・・・
「巨人さん!みんな楽しんでるのに、大きなあなたがそこで走ったら、他のみんなが楽しめないよ!!ねっ、楽しいのは分かるけど、自分だけ楽しむだけじゃなく、みんなと一緒に楽しもう!!」
「マナァァァ!!何考えてるのよぉぉぉ!?」
「マナちゃんらしいですわ・・・ですが」
巨人に説教を始めたマナを見て、六花とありすの額から冷や汗が滴り落ちた・・・
そのマナの行動を見ていたのは、六花とありすだけでは無かった・・・
驚愕の表情を浮かべながら、マナを見つめるラブ、美希、祈里、せつな、そして、タルトとシフォンもその側に居た。
「あの子達は、さっきの・・・」
「ちょっと、あの子何考えてるのよ?」
「助けなきゃ・・・」
「ええ、ラブ、美希、ブッキー、変身よ!」
せつながリンクルンを手に取り、ラブ、美希、祈里を促すと、三人も頷き返しリンクルンを手に取り、
「「「「チェインジ・プリキュア!ビートアップ!!」」」」
「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ、キュアピーチ!!」
「ブルーのハートは希望のしるし!つみたてフレッシュ、キュアベリー!!」
「イエローハートは祈りのしるし!とれたてフレッシュ、キュアパイン!!」
「真っ赤なハートは幸せの証!熟れたてフレッシュ、キュアパッション!!」
「「「「レッツ!プリキュア!!」」」」
変身を終えたピーチ達が、巨人目掛け駆け出した・・・
「ウ~ン、言葉が通じないのかなぁ・・・巨人さん、あたしの言う事分かるかなぁ?」
身振り手振りで巨人にジェスチャーを交え、コミュニケーションを図るマナだったが、巨人は無表情さを変えず、
「ニコを悲しませた・・・みゆきを倒せ!!」
「エッ!?みゆきさんって?」
戸惑ったマナは、足を上げた巨人の反応に遅れた。見る見るマナの頭上に巨人の足が振り下ろされてくる。六花が、ありすが悲鳴を上げ、マナが腕で顔をガードしたその時、四つの影がマナの視線に飛び込んでくると、巨人の足目掛け、ハイジャンプしながらベリー、パイン、パッションが蹴りを放ち、蹌踉めいた巨人が尻餅を付いた。その隙にピーチがマナを抱き抱え、六花、ありすの下へとマナを連れて来た。マナは、レモン色のツインテールの髪を靡かせたピーチを、呆然としながら見つめた。
(ひょっとして、この人達は・・・プリキュア!?)
マナ、六花、ありすの三人も、嘗てニュースで話題になった事がある、プリキュアの事は知っていた。そのプリキュアが目の前に現われ、自分を救ってくれたのだろうか?ピーチはマナに微笑み掛けながらも、
「大丈夫?無茶するなぁ・・・」
「ひょっとして、あなた達は・・・プリキュア?」
「通りすがりのプリキュア・・・キュアピーチ!危ないからあなた達は少し離れてて、あの巨人は、私達が必ず元に戻して見せるから!!」
ピーチは、マナ、六花、ありすの三人に少し離れているように伝えると、ベリー、パイン、パッションに合流し、巨人に身構えた。巨人は大きく息を吸い込み、プップップと小刻みに唾を吐き出すと、それは巨人そっくりな四つの人間ほどの大きさとなり、ピーチ、ベリー、パイン、パッションに攻撃を開始する。巧みに躱し続けるピーチ達、マナはその姿を、まるで観察するかのようにジッと見つめ続けた・・・
体験ブースにやって来た、響、奏、エレン、アコの前に、魔女達が立ち塞がっていた・・・
「ニコを悲しませたみゆきを・・・倒せ!!」
魔女達は、虚ろな目をしながら会場に魔法を掛け、物の怪が出てきそうなおぞましき姿へと変えていく。
「今・・・みゆきって言ってたわ」
「これは偶然かしら!?それとも・・・」
自分達の知り合い、星空みゆきの事が真っ先に頭に浮かんだエレンと奏の顔付きが変わる。響も表情を引き締めると、
「奏、エレン、アコ、ともかく変身しよう!」
「エエ・・・ピーちゃん、ハミィと一緒に少し離れてて!!」
アコは、抱いていたピーちゃんを手放すと、ピーちゃんは羽ばたき、ハミィと共に少し離れた場所で四人を見つめる。
「みんなが楽しみにしている、世界絵本博覧会を滅茶滅茶にしようだなんて・・・」
「「「「絶対に許せない!!」」」」
「「「「レッツプレイ!プリキュア!モジュレーション!!」」」」
「爪弾くは、荒ぶる調べ!キュアメロディ!!」
「爪弾くは、たおやかな調べ!キュアリズム!!」
「爪弾くは、魂の調べ!キュアビート!!」
「爪弾くは、女神の調べ!キュアミューズ!!」
「「「「届け!四人の組曲!!スイートプリキュア!!!」」」」
メロディ、リズム、ビート、ミューズ、四人のプリキュアが、魔女達に対してポーズを決めた!魔女達は、そんな四人に怯むことなく無表情のまま、辺りに魔法を掛け続けた。
「「止めなさい!!」」
同時にふくよかな魔女に向かったメロディとリズムであったが、魔女の魔法を受け、メロディの左半身とリズムの右半身がくっつき、互いに離れようとしても、離れられない状態になっていた。
「エェェ!?何で身体が離れないのぉぉ?」
「ちょっとメロディ、こっちに体重掛けないでぇぇ!!」
バランスを崩し、その場に倒れ込み二人が藻搔いている姿を見て、ビートとミューズが頭を抱えた。
「二人共、何やってるの?」
「全く・・・」
メロディとリズムを呆れ顔で見たビートとミューズは、顔を見合わせ合うと、左右に別れた。二人一緒に魔女達を浄化しに向かっても、逆に相手の魔法を受け、メロディとリズムのようにされかねないと判断した二人は、左右に散り、先ずメロディとリズムに魔法を掛けた魔女を浄化し、二人を元に戻そうと行動を開始した・・・
世界の絵本や童話を、映像化した作品を上映するブースへとやって来たみゆき、あかね、やよい、なお、れいか、あゆみの六人とキャンディだったが、他のブースと違い、この場所は平穏だった・・・
「今の所、何ともないみたいだね・・・」
みゆきは辺りをキョロキョロしながら、何事も無さそうでホッと安堵したものの、大きなテントの中から少女らしき悲鳴が聞こえ、咄嗟に顔色を変えて駆け出した。
慌てて中に入ると、それは上映されていた映像で、一同はホッと胸を撫で下ろすのだった。映像の中では、何かの本を持った黒い衣装を着た少女が、三人の悪者に追われている場面であった。
「あれぇ!?この映像何かおかしいよ?」
みゆきは何かに気付き小首を傾げると、他のメンバーも改めて映像を良く見てみると、確かにみゆきが言うように何かが違っていた・・・
「ホンマや!あそこに居るのは・・・」
「金角、銀角、そして・・・牛魔王!この三人は、西遊記に出てくる筈・・・それがどうして?」
「あのような少女は・・・西遊記には出てきませんねぇ」
あかね、なお、そして、れいかも画面に映る人物達を見て眉根を寄せた。大きな瓢箪を首からぶら下げてた金角と銀角、大きな扇のような物を手に持った牛魔王、その三人が、西遊記には登場しない筈の少女を、必死に追いかけて居たのだから・・・
やよいもジッと見ていたものの、
「気にし過ぎじゃないのかなぁ?子供達に分かりやすいように、アレンジしてるのかも知れないよ?」
「確かに、その可能性もあるけど・・・」
あゆみも、やよいの言う事も一理有るとは思ったものの、何かが引っ掛かっていた。そうする内にも、少女は岩場に追い込まれ、三人に囲まれた。キャンディは身を乗り出し、少女がどうなるか画面を食い入るように見つめていると、少女は画面の中から、まるで一同に話し掛けるように、
「お願い・・・力を貸して!!」
少女の言葉が終わると、映像が一瞬暗くなり、今度は映像の中から目映い光が溢れ出し、その眩しさにみゆき達が目を背けた。再び画面を見つめた時、一同は度肝を抜かれた・・・
「イタァァイ!」
さっきまで映像の中に居た少女が画面から飛び出し、みゆきと激突し二人が床に倒れ込んだ。
「エッ!?」
「が、画面から・・・飛び出してきた?」
あゆみとなおが、目の前で起こった出来事に思わず声を出した。映像の中に居た筈の少女が、突然映像の中から飛び出して来たのだから・・・
更に少女を追うように、金角、銀角、牛魔王もまた画面から飛び出して来て、更に驚きの声を上げる。
「「「「「エェェェェ!?」」」」」
「最近の3Dというものは、凄いのですねぇ?」
「何でやねん!ちゃうわ!!」
只一人、そんな場面を見ても、心から感心したようにれいかがポツリと呟くと、あかねがれいかに突っ込みを入れ、苦笑を浮かべながらも、慌ててれいかの右手を掴んだなおは、れいかを促しながら、
「れいか!3Dじゃないし、本物だから・・・」
みゆきは少女の手を掴み、慌ててテントの外に避難し、その後を他のメンバーが続いた。
「待て!逃がさんぞ!!」
鼻息荒く牛魔王が、金角、銀角に何か指示を出し、牛魔王がみゆき達の後を追って来る。みゆきは少女に微笑むと、
「大丈夫!あなたは私達が必ず守るから・・・みんな!!」
みゆきの合図を受け、あかね、やよい、なお、れいか、あゆみが頷き返すと、
「「「「「プリキュア!スマイルチャージ!!」」」」」
「プリキュア!スィンクチャージ!!」
みゆき達六人の少女が、パフを身体に付けプリキュアへと変化していった・・・
「キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!!」
「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー!!」
「ピカピカぴかりん!じゃんけん・・・ポン!キュアピース!!」
「勇気リンリン、直球勝負!キュアマーチ!!」
「しんしんと降り積もる、清き心!キュアビューティ!!」
「「「「「5つの光が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!!」」」」」
「思いよ、届け!キュアエコー!!」
六人のプリキュアが、少女を守るように牛魔王に名乗りを上げた!!
保護された少女は、一同が変身した姿を見て驚いていたが、その表情は何処か寂しげだった・・・
「何なのコレェェェ!?」
色々な動物達に追われ、脱兎の如く逃げ続けるのは、ありすが待ち合わせていた相手、ブルースカイ王国の姫君ヒメルダと、世話役のリボン・・・
世界絵本博覧会に興味を持った彼女は、両親に頼み込み、四葉財閥に働きかけ招待されていた。当初は王妃も共に来るつもりだったが、人見知りが激しい娘の成長を願い、世話役のリボンのみを共にして、ヒメルダを日本へと送った。
「もうヤダァァァ!」
泣きながら逃げ続けるヒメルダの前に、大きな鏡が姿を現わすと、鏡の中から水色髪の青年が手を差し伸べ、
「ヒメ!リボン!急いでこっちに!!」
「神様!」
「ブルー様!!」
ヒメルダとリボンの目が輝き、二人はブルーと呼ばれた青年の手を掴み、鏡の中に消え去ると、鏡は忽然と姿を消し、ヒメルダを見失った動物達が途方に暮れた。
会場内に起こった異変を調べるありすの執事セバスチャン、目の前で起こる非現実的な出来事にも動じず、自らスタッフの先頭に立ち、観客達を安全な場所まで誘導していた・・・
(フム・・・あの三人は、適切な誘導をしている)
セバスチャンの視線の先には、なぎさ、ほのか、ゆりが、観客達を手際よく誘導して行く姿が映った。セバスチャンは満足げに何度も頷き、素早く携帯を手に取ると、何処かに電話を掛けた。
「私だ!二つ程頼み事をしたい・・・先ず、ブルースカイ王国姫君の安全の確保、それと、西遊記の仮装をした三人組、このスタッフの事を調べて私に連絡して欲しい!!・・・ウム、今会場内で起こっている事は、こちらでも承知して居る。何か分かったら、それも合わせて知らせてくれ!!」
携帯を切ったセバスチャンだったが、直ぐに携帯の着信が鳴り携帯に出ると、監視カメラに、嘗て横浜の地を救ったプリキュアらしき少女達が現われ、会場内を暴れ回る者達と交戦中だと連絡を受けた。
「プリキュア!?あの、プリキュアだと言うのか?・・・分かった!私も直ぐそちらに向かう!!」
再び携帯を切ったセバスチャン、先程視線の先に居たなぎさ、ほのか、ゆりも無事に誘導を終えたようで、その姿は消え失せていた。
「そういえば、あの三人は水無月家のご令嬢と一緒だったな・・・後で聞いてみるとしよう!」
踵を返したセバスチャンは、会場内に現われたプリキュア達の情報を得る為、メイン会場内へと戻って行った。
「なぎささん!ほのかさん!ゆりさん!」
三人の下に駆けつけたひかりは、先程満達と話した事を伝えるべく、なぎさ、ほのか、ゆりの下に訪れると、手短に状況を説明した。
「そう・・・やはり絵本の中から現われた何て」
ひかりの報告を聞き、少し考え込むほのか、なぎさとゆりも顔色を変えた。辺りを見渡すと、避難し終わったのか幸い人影も無く、四人は顔を見合わせると頷き合い、
「「デュアルオーロラウェーブ!!」」
「ルミナス、シャイニングストリーム!!」
「プリキュア!オープンマイハート!!」
「光の使者・キュアブラック!」
「光の使者・キュアホワイト!」
「「ふたりはプリキュア!!」」
「輝く生命、シャイニールミナス!光の心と光の意志、全てをひとつにするために!」
「月光に冴える一輪の花・キュアム~~ンライト!!」
他の一同も戦闘に突入していると察知したなぎさ、ほのか、ゆりは、ひかりを促しプリキュアへと変身した。
「ブラック、ホワイト、ドリーム達の下には、ブロッサム達が向かったようだし、私はメロディ達の援護に向かうわ!!」
「分かった!私達は、ブルーム達の下に向かうよ・・・行こう!ホワイト、ルミナス」
互いに軽く手を上げ、ブラック達はブルーム達の下に、ムーンライトはメロディ達の下へと向かった・・・
世界絵本博覧会の会場内で、プリキュアオールスターズと絵本の悪役達が対峙する中、この騒動を引き起こした黒い影は・・・
(まさか、あのような者達が現われるとは計算外だったカゲェ・・・でも、ニコは上手くみゆきと会えたカゲェ!)
会場内を飛び回り、一通り状況を把握した影は、ハッピー達と合流した少女を見て、口元にニヤリと笑みを浮かべた。眼下では、ハッピー達六人と、牛魔王、金角、銀角の戦いが、今正に始まろうとしていた・・・
第六十六話:世界絵本博覧会!
完