プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第六十九話:少女達の冒険!(中編)

1、シンデレラと金の斧と銀の斧

 

 昔、昔、ある国に、とても美しくて、とても心優しい娘が居ったそうな・・・

 

 でも悲しい事に、娘の母親は早くに亡くなってしまったんやなぁ・・・

 

 そこで、娘のお父さんは再婚し、娘には継母と、二人の姉が出来たそうや・・・

 

 でも、新しい母親と、二人の姉は、大層意地悪だったそうや・・・

 

 そう言うタルトの視線の先には、困惑している四人の少女達の姿があった。かれん、美希、奏、あゆみ、四人が飛ばされたのはシンデレラの世界・・・

 

 見窄らしい服を着ているのはあゆみ、かれん、美希、奏は綺麗な服を着ては居たものの、何処か表情は冴えなかった。

 

「あたし達の格好からして・・・ここはシンデレラのお話って事ですよねぇ?」

 

「此処がそう何ですか?」

 

「エエ、私は前にも来た事があるから間違いないわ!」

 

 困惑気味の美希、あゆみに聞かれたかれんは、嘗てシビレッタに送られたシンデレラの世界と似たような光景に、間違いなくシンデレラの世界だと告げた。

 

「って事は、あゆみちゃんがシンデレラで・・・」

 

 自分達の格好とあゆみの格好のギャップを見た奏は、複雑な表情を浮かべた。タルトは、少し意地悪そうな視線で四人を見つめると、

 

「せや!エコーはんがシンデレラで、アクアはんが意地悪な継母、ベリーはんとリズムはんが、意地悪な姉・・・三人共、ピッタリやでぇぇ!!」

 

 タルトはかれん、美希、奏を指さすと、後ろを向き、口を押さえ、クククと笑っていると、あゆみの側に居たかれん、美希、奏の空気が変わり、あゆみは思わずビビリ、

 

「タ、タルト・・・」

 

 タルトにそれ以上言わない方がと苦言を言うも、タルトは気付かず、

 

「タルト・・・今のはどういう意味かしら!?」

 

「聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど?」

 

 腕組みしたかれんと奏が、口元を轢き付かせながらタルトに話し掛け、タルトはしまったと恐る恐る背後を振り返ると、タルトは、凄い視線で睨む美希と目と目が合い腰を抜かし、

 

「タルトォォ!この間の七色ヶ丘での件といい、キッチリ話し合いましょうか?」

 

「ベリーはん、そう興奮せずに・・・アクアはんも、リズムはんも・・・エコーはん!助けてぇぇな!!」

 

「エェェ!?」

 

 突然助けを求められ、あゆみは困惑しながらかれん、美希、奏を見るも、自分には止められないと首を振り、

 

「・・・無理!・・・」

 

「そんなぁ、殺生やでぇぇぇぇ!!」

 

 美希、かれん、奏に躙り寄られたタルトは、手を前に出し、

 

「まっ、待ったぁぁぁ!話し合おう!!プリキュアと妖精達は大切な関係・・・言わば家族同然や!!せやろう?」

 

「その大切な関係に、罅(ひび)を入れようとするのは・・・何処の誰かしらねぇ?」

 

「タルトォォ!それがあなたの本心なのかしら?」

 

「タルトォォ、怒らないから言ってみなさい!!」

 

 美希、かれん、奏の手が、怯えるタルトに伸びる・・・

 

 嘗て、ラブとせつなが楽しみに取って置いたアイスを全て平らげ、ラブとせつなにとっちめられた時のように・・・

 

「ワイら、家族・・・アワワワ、オワァァァァ」

 

 目から涙を流しながら嫌々をするタルト、六本の手がタルトに迫るのを見たあゆみは、

 

「あ、あのぅ・・・私達、浚われたみんなや、はぐれたみんなと早く合流した方が良いんじゃ?・・・」

 

 恐る恐る三人に告げたあゆみだったが、あゆみの言葉を聞いた三人の手は、ピタリと止まると、あゆみを振り返り、

 

「それもそうね!」

 

「はやく響達と合流して、浚われたハミィ達を助けなきゃ」

 

(エコーはん・・・ナイスフォローやでぇぇ!!)

 

 かれんと奏もあゆみの言葉に同意し、ホッと安堵したタルトであったが、

 

「そうね・・・でも、それはそれ、これはこれ・・・」

 

 美希の言葉を表すように、再びタルトに視線を向けた三人の目は据わっていた・・・

 

「か、堪忍やぁぁ!!」

 

 タルトの悲鳴がその場に木霊した・・・

 

 

 

 

 森の中を彷徨うのは、うらら、つぼみ、えりか、いつきの四人、気がついた時、四人は木こりのような格好で湖の側に居た・・・

 

「シプレ、コフレ、ポプリともはぐれてしまったようですねぇ?」

 

「うん、三人共無事だと良いんだけど・・・」

 

 不安そうに呟くつぼみといつき、うららも不安そうに、

 

「のぞみさん達、他のみんなの姿も見えないし、何処かでキュアモを落としてしまったのか、見当たらないし、困りました・・・」

 

「まあ、しゃあないっしょ!それより・・・何であたし達こんな格好してるのよ!」

 

 えりかは木こりの格好が気に入らないようで、不満そうに頬を膨らませる。

 

「私達、絵本の世界に来たという事は・・・何かのお話なのでしょうか?」

 

「その可能性はあるね!」

 

「はい!私も以前、何度か絵本の世界で戦った事がありますが、その時も絵本の世界の住人になってました」

 

 木こりが出るお話に迷いこんだと知り、どんな話だろうか想像する。

 

「取り敢えず、木こりのようですし、試しに斧で木を切ってみましょうか?」

 

「そうだね、何か反応があるかも知れないね」

 

 うららの提案にいつきも同意し、取り敢えず斧を持ってるし、みんなで木を切ってみようと話し合い、二人一組でペアを組み、斧で木を切り出した。うららといつき、つぼみとえりかで組み、木を切っていると、

 

「思ったより、斧は随分重いんですねぇ・・・アッ!?」

 

 つぼみの手から斧がすっぽ抜け、湖の中にポチャリと落ちてしまった。一同は湖面を覗き込み、

 

「ひょっとして・・・このお話は、金の斧と銀の斧じゃ?」

 

「言われてみれば・・・そんな気がします!」

 

 つぼみの言葉に、うららもそんな気がすると同意する。二人の言葉を表すように、ブクブク水の中から泡が出ると、湖の中から美しい女神が姿を現わし、

 

「あなたが落としたのは・・・この斧ですか?」

 

「いいえ、私が落としたのは、そんなに立派な斧ではありません」

 

 金の斧を持った女神の問いに、つぼみはブルブル首を振って違うと答えた。次に女神は銀の斧を取りだし、

 

「では、この斧ですか?」

 

「いいえ、そんなに綺麗な斧でもありません」

 

 つぼみは再び首をブルブル振り違うと答えると、女神は三つ目につぼみが使っていた使い古しの斧を取りだし、

 

「では、この斧ですか?」

 

「はい!わざわざ拾って頂き、ありがとうございました!」

 

 つぼみの言葉を聞いた女神は、微笑みながら何度も頷くと、

 

「あなたは正直者ですねぇ・・・さあ、この金の斧と銀の斧も持って行きなさい!」

 

 女神はそう言い残し、湖の中へと消えて行った・・・

 

「どうしましょう・・・本当に金の斧と銀の斧を頂いてしまう何て」

 

 困惑するつぼみに、えりかは両手を後ろ首に回しながら、

 

「良いじゃん!くれるって言うんだから貰っておけば・・・まあ、どうせなら、もっと役立つものが欲しかったよねぇ」

 

「えりか、欲張りは駄目だよ!」

 

「そうです!女神様に酷い目にされますよ」

 

 いつきとうららにダメ出しされ、えりかは口を尖らせ、不満そうにしながら湖の側に行くと、

 

「あたしだったら、ボロボロの服でも入れて、金の服と銀の服を貰いたいよねぇ」

 

「もう、えりかったら・・・」

 

 つぼみはマイペースなえりかを見て苦笑を浮かべていると、切り株に躓(つまず)いたえりかが、そのまま体勢を崩し、頭からドボンと湖の中へ落っこちた。

 

「「えりかぁぁ!」」

 

「えりかちゃぁぁん!」

 

 湖に落ちたえりかを心配し、つぼみ、いつき、うららは、顔面蒼白になりながら湖の側に近付いた・・・

 

 

2、浦島太郎と一寸法師

 

 せつなは、薄汚れた男物の服を着て海岸を歩いていた・・・

 

 右手には釣り竿、腰に魚籠(びく)をぶら下げながら歩いて居るせつなの頭には、ぬいぐるみの振りをしたポプリの姿があった。当初はいつきが居らず泣きわめいたものの、そこは見知った顔同士、すぐにせつなに懐くポプリだった。

 

「他のみんなの姿が見当たらないわね?」

 

「みんな・・・何処行ったでしゅか?」

 

「アカルンが居れば、直ぐにみんなに合流出来ると思うけど、絵本の世界に来た拍子に、リンクルンが何処かに飛ばされてしまったようだし・・・」

 

 困惑するせつなは、アカルンが居れば、直ぐにみんなを見付けられるのにと、悔しげに俯いた。ポプリは何かに気付くと、

 

「せちゅなぁ!あそこに何か居るでしゅ!」

 

「エッ!?」

 

 ポプリに言われ、前方をジッと凝視したせつなは、三人の子供達が何かを棒で突っついている事に気付き、

 

「子供達が居るわ!何かを虐めているみたい・・・」

 

 少し険しい表情を浮かべたせつなが、子供達に近付いて見ると、そこには三人の子供達が、海岸の上で海亀を棒で突っつきはしゃいで居た。

 

「やめなさい!無闇に弱い者を虐めるものじゃないわ!!放して上げて!!」

 

 そうは言っても、自分も嘗てラビリンスのイースとして、弱者をいたぶった事を思い出したかのように、悲しげな視線を向けた。

 

「何だよ!この亀はおいら達が先に見付けたんだぞぉぉ!!」

 

「そうだそうだ!」

 

(可愛げの無い子供達ね・・・)

 

 一瞬せつなの目付きが、ラビリンス時代のイースのように鋭さを増すと、子供達は後退り、

 

「じゃ、じゃあ、代わりに頭の上の変なの、おいら達に頂戴!」

 

「そうしたら、亀を逃がしてやるよ!!」

 

 ポプリに気付いた子供達が、せつなに対し、代わりにポプリをくれと言い始め、ポプリはガタガタ震え出すと、せつなはポプリを安心させるように頭を撫で、

 

「駄目よ!この子は私の大事な友達だもの・・・そうね、代わりにこの魚を全部あげるわ!!これでどう?」

 

 せつなは魚籠に入っていた魚を子供達に見せると、まだ活きの良い魚達が、魚籠の中でピチピチ騒いでいた。子供達は顔を見合わせ合うと、

 

「分かった!それで良いよ!!」

 

「じゃあね、お兄さん!」

 

(お姉さん何だけど・・・)

 

 子供達は、魚籠事せつなから譲り受け、再びはしゃぎながら去っていた。せつなはそれを見送ると亀の前でしゃがみ込み、

 

「さあ、もう大丈夫よ!お行きなさい!!」

 

 せつなは優しく亀に微笑み、もう大丈夫だから行きなさいと伝えると、亀はペコペコ頭を下げ、

 

「危ないところを助けて頂き、ありがとうございました!実はわたくし、こう見えて・・・・・亀何です!!」

 

「・・・・・見れば分かるわ!」

 

「でしゅ!」

 

 亀のボケに、目を点にしたせつなとポプリが、亀を指差し、見れば分かると告げると、亀は手を振りながら、

 

「いえいえ、只の亀じゃない亀何です!そうだ、少しの間此処で待っていては貰えませんか?」

 

「エッ!?出来れば私達急いで・・・」

 

「お手間はお掛け致しません!30分程時間を頂ければ、直ぐに戻って参りますので・・・」

 

「30分で良いのね?それぐらいなら良いわ!」

 

 亀は嬉しそうに、何度もせつなとポプリに頭を下げ、海へと消えて行った・・・

 

 せつなは、ポプリを抱き抱え、二人で束の間の親睦を深めて行った・・・

 

 それから約30分後、約束通り亀が海から戻ってくると、

 

「お待たせしました!それでは・・・エェと、そう言えばお名前をまだ・・・」

 

「東せつなよ!」

 

「ポプリでしゅ!」

 

「では、せつな様、ポプリ様、お二人を竜宮城までお連れ致します!」

 

「竜宮城!?」

 

 せつなも浦島太郎の話は聞いた事があったが、まさか自分が浦島太郎になるとは、思いもよらなかった。困惑するせつなに、亀は早く背中の甲羅に乗って下さいと急かす。ポプリは、

 

「せちゅなぁ!ポプリは竜宮城に行ってみたいでしゅ!!」

 

「エッ!?でも、私達は他のみんなを捜して・・・」

 

「行きたいでしゅ!行きたいでしゅ!行きたいでしゅ!」

 

 頬を大きく膨らませたポプリが、駄々を捏ね始め、せつなが困惑していると、

 

「せつなさん、ポプリさんの言う通りですよ!今は、異国から人魚姫が遊びにいらっしゃってますし、こんな機会は滅多にありませんよ?」

 

(浦島太郎に、人魚何か出てきたかしら?)

 

 小首を傾げたせつなだったが、少しの間ならと、竜宮城に行く事を同意し、ポプリと共に亀の背に跨がり、竜宮城へと出発するのだった・・・

 

 

 

 

 小さな川を、ドンブラコ、ドンブラコとお椀が流れていた・・・

 

 そのお椀の動きに合せるかのように、一匹の燕が飛んでいた・・・

 

「ねぇ、そんなお椀に乗ってないで、こっちに移ったら?」

 

「せやかて、ウチは一寸法師みたいやさかい、お椀に乗って行かな、話が進まないんやないかと思うて・・・」

 

 お椀を懸命に漕ぐのは、一寸法師となったあかね、燕の背に乗っているのは、親指姫となったアコ・・・

 

 アコは、カエルに浚われるも、魚達の協力もあり何とか逃げ出す事に成功する。あてもなく彷徨っていたアコは、ねずみに助けられたものの、ねずみと親交のあったモグラに求婚され困惑していた。そこでアコは瀕死の燕と出会い、ピーちゃんを思い出したアコは、必死に燕を介抱し、そのかいあって、燕は自ら飛べる程回復し、アコを自由の身にしてくれていた。

 

 一方のあかね、自分が一寸法師になり困惑していたが、元に戻るには、打ち出の小槌が必要だったと思い出し、都へ向かって川下りをしている途中、燕に乗ったアコと出会ったのだった・・・

 

「本当に私達、その打ち出の小槌があれば、元の大きさに戻れるの?」

 

「いやぁ・・・一寸法師の話じゃそうってだけで、確証はあらへん」

 

「まあ確かに・・・絵本の世界に来た事無いわよね・・・」

 

 そんな会話をしていた二人の耳に、何か口論しているような声を聞き、顔を見合わせた二人は、頷き合い、あかねは燕に飛び乗ると、燕は声のする方に飛んでいった・・・

 

「こ、この鬼め・・・姫様はこれから大事な用があるのだ!!指一本触れさせんぞ!!」

 

 駕籠に乗った姫の護衛をしていた侍達は、二匹の鬼に向かって行くも、呆気なく刀を折られ、這々の体で逃げ去っていった。

 

「あ奴ら、あれだけの大口を叩いて何と情けない・・・誰か、誰か、姫を守って下さる者は居らぬか?」

 

 老翁は必死に周りに声を掛けるも、鬼を恐れた人々は、恐れおののき近付こうとはしなかった・・・

 

「ガハハハハ!では、姫を貰って行くとするか!!」

 

 一匹の鬼が、駕籠の中に居る姫に触れた瞬間、

 

「曲者(くせもの)!!」

 

 凜とした一喝が駕籠の中から響き渡り、鬼の身体が宙を飛んだ・・・

 

「な、何だぁ!?何が起こった?」

 

 突然身体が宙に浮き、鬼が呆気に取られていると、

 

「例えプリキュアになれなくても・・・この青木れいか!非道な行ないは許しません!!」

 

 駕籠から降りてきたのは、十二単を着た美しいお姫様の格好をしたれいかだった。れいかは、母静子から習った青木流合気道の構えを取り、二匹の鬼に身構えた。

 

「生意気な・・・」

 

「覚悟しろ!!」

 

 ジリジリとれいかに近寄って行く鬼達だったが、れいかは身構えたまま一歩も引かず、鬼を凝視する。

 

「待て待て待てぇ!待ちやぁぁ!!」

 

 突然急降下してきた燕が、二匹の鬼を牽制し、針のような刀を持ったあかねが燕から飛び降り、緑色の肌をした鬼の鼻に一太刀いれた。

 

「イ、イテェ!?な、何だ、この虫みたいな奴?」

 

「虫や無い!ウチは・・・日野あかね!今は・・・一寸法師やぁ!!」

 

「エッ!?あかねさん?」

 

 小さな物体が、あかねだと名乗り、れいかが驚愕の表情を浮かべる。

 

「私も居るわよ!燕さん、お願い!!」

 

 燕に頼んだアコは、青い鬼の顔付近をグルグル飛び回り、鬼はグルグル目を回し地面に倒れ込んだ。

 

「その声・・・アコさん!?二人共、そのお姿は一体!?」

 

「話せば長うなるさかい・・・その前に」

 

「鬼達を・・・」

 

「そうですね!退治しませんと!!ヤァァァ!!」

 

 あかね、アコの言葉を受け入れたれいかは、気合いを込めた言葉を発し、二匹の鬼に身構えると、鬼達は慌てふためきながらこの場から逃げ去っていった・・・

 

「まさか、姫があのように強いとは思わなんだ・・・ン!?」

 

 老翁は、鬼達が落としていた小槌を見ると、

 

「鬼の落とし物とは珍しい・・・帝への土産と居たそう!さあ、姫や、駕籠にお戻り!!」

 

 れいかは、翁にバレないようにあかねとアコを袖に隠し駕籠に乗り込むと、二人は此処まで送ってくれた燕に何度も手を振り、燕も別れを惜しむように何度もグルグル回ると、南の空に飛び去って行った・・・

 

「でも驚きました!お二方が小さくなられていたとは・・・」

 

「ウチかて、最初は驚いたわ!でもアカン、打ち出の小槌を取られてもうた・・あれが無いと、ウチら元に戻らへんかも知れん」

 

「お願い、れいか!何とか打ち出の小槌を手に入れて!!」

 

 れいかに哀願するあかねとアコ、れいかは真顔になると頷き、

 

「分かりました!帝の手に渡る前に、何とか渡して貰えるように頼んでみます!!」

 

 そんな三人の思いを知らず、れいかを乗せた駕籠は、帝の住む御所へと向かって行った・・・

 

 

3、やよい、猪八戒になる!?

 

 一方、上空から觔斗雲に乗って町の様子をグルグル調べていたなぎさ、ほのか、ゆり、どうやら町に変わった様子は見られず、觔斗雲から飛び降り、町に入った三人、なぎさは真っ先に美味しそうな匂いに釣られ、

 

「ほのか、ゆり、早速腹ごしらえでもしようよ?」

 

「エェ!?もう、なぎさったら・・・」

 

「なぎさ、私達この町に遊びに来た訳じゃないのよ?」

 

 二人にダメ出しされたなぎさは頬を膨らまし、お昼も食べないで絵本の世界に来たし、他のみんなを捜すにしても、体力つけなきゃと二人を説得する。

 

「でも、私達お金何か持ってないよ?」

 

「エッ!?絵本の世界だから・・・タダじゃないの?」

 

 タダで食べる気満々だったなぎさを見たゆりは、ハァと溜息を付くと、

 

「違うと思うわ!」

 

「アハハ!ま、まあ、試しに入るだけ入ってみようよ!!」

 

 ギィィと扉を開け店内に入った三人、キョロキョロ中の様子を見てみると、客足はほとんど無かったのだが、ある人物を見て驚愕する。

 

「ね、ねぇ・・・あの髪形、やよいに似てない?」

 

「た、確かに似てるとは思うけど・・・」

 

「やよい、あんな体型じゃ無かったと思うわよ?」

 

 変顔を浮かべたなぎさとほのか、眼鏡を曇らせ動揺するゆりの視線の先には、確かにやよいに似た髪型の人物の後ろ姿があった。だが、三人が知っているやよいの体型には似て居らず、くびれのないドラム缶のような体つきをして、美味しそうにガツガツ食べ物を両手で掴んで食べ続けていた。意を決したなぎさが、背後から声を掛けてみると、

 

「もしかして・・・や、やよい!?」

 

「ブヒィ!?」

 

 振り返った人物を見たなぎさ、ほのか、ゆりは、一瞬沈黙し、

 

「「「エェェェェ!?」」」

 

 振り返った人物を見て、思わず驚愕の声を上げた。振り返った人物は・・・黄色い髪のオカッパ頭にカチューシャを付け、髪形を見れば確かにやよいであったが、その容姿は・・・・・豚だった!

 

「や、やよいぃぃ!?何があったの?まさか、やよいが猪八戒になってる何て思わなかったよぉぉ!!」

 

「ちょ、ちょっとなぎさ?」

 

「確かに髪形はやよいだけど・・・明らかに違うでしょう?」

 

 ほのかとゆりは、同じような仕草で首を左右に振り、いくら何でも別人でしょうとなぎさを諭すも、なぎさは、やよいに違い無いと信じ込み、

 

「ウウン、私には分かる・・・だってぇ、ここは絵本の世界何だよ!私達だってこんな姿だったんだもん・・・やよいが猪八戒にされても、全然驚きません!!」

 

「それは・・・そうだけど」

 

「どう見ても、違うとしか・・・」

 

 困惑するほのかとゆり、やよいらしき人物は、そんな事にお構いなく食事を続ける。奥から揉み手をしながら、口髭を蓄えた店の主人らしき小男が姿を現わすと、

 

「この豚・・・いえ、このお方は、あなた様方のお知り合いで?見るからにあなた方もお強そうだ・・・どうでしょう!?最近この辺りに現われた、動物使いを退治して頂けないでしょうか?」

 

「「「動物使い!?」」」

 

 店の主人に動物使いを退治して欲しいと頼まれた三人、店の主人は更に言葉を続け、

 

「はい!最近になって、虎と変な生き物を従えた動物使いがこの先の山に現われ、恐れをなして最近旅人が減ってしまい、客足も減って困っていた所何です・・・もし退治して頂けるなら、こちらの方同様、手間賃代わりに食事の方を、無償で提供させて頂きますが?」

 

「タダ!?やるやる!ねぇ、ほのか!ゆり!」

 

「「エェェ!?」」

 

 お腹いっぱい食べられると聞き、なぎさは安請け合いをして動物使いを退治すると告げ、ほのかとゆりを困惑させた・・・

 

 

 

 

 その頃、本物のやよいは・・・

 

「イヤァァァ!こっちに来ないでぇぇぇ!」

 

「ガウゥゥゥゥ」

 

 持って居た鉞(まさかり)を早々に放り投げ、やよいは熊から逃げ続けていた・・・

 

 やよいが居たのは金太郎の世界・・・

 

 真っ赤な腹掛けには、金という大きな文字が書かれていた。本来の金太郎は、怪力の持ち主で、動物達と遊び回り、熊すら手懐けている程だったが、やよいは熊と相撲なんて取れないと、山道を逃げ続ける。

 

「エェェン!何で私が金太郎なのぉぉ!?」

 

「ガァァァ!」

 

 涙目になりながら、熊から逃げ続けていたやよいだったが、徐々に熊に崖まで追い込まれて居た・・・

 

「熊さん・・・私何か食べても美味しくないよ?」

 

「グアァァ」

 

「ヒィィィィ!」

 

 熊が上体を持ち上げると、2メートル近い巨体でやよいを威嚇する。やよいは涙目になりながら、その場にへたり込んだその時、

 

「待ってぇぇ!!」

 

 茂みの中から飛び出した人物、背中には日本一の幟(のぼり)が掲げられ、額には桃の絵が描かれた鉢巻きをし、煌びやかな衣装を身に着けた人物が、虎に跨がり現われた。

 

「熊さん、その人を食べないで!代わりにこのきびだんごを上げるから・・・ねっ?」

 

「その声・・・祈里さん!?きびだんごって、祈里さんが・・・桃太郎?」

 

「うん!どうやらそうみたい・・・」

 

 苦笑を浮かべた祈里は、どうやら自分が桃太郎になったようだとやよいに告げた。祈里は、腰に付けたきびだんごを熊に投げると、熊は美味しそうにゴクリと飲み込んだ。

 

「じゃあ熊さんもこれで、虎さん同様私のお友達ね!」

 

「ガウゥゥ!!」

 

 熊はその場で座り込むと、おとなしくなっていた・・・

 

「す、凄い!熊を手懐ける何て・・・」

 

「流石は祈里ラピ」

 

「祈里は、動物とお友達になるのが得意チョピ」

 

「ううん、虎さんと仲良くなれたのは、フラッピちゃんとチョッピちゃんが手伝ってくれたからだよ」

 

 祈里はニッコリ微笑み、フラッピとチョッピを見つめると、二人も微笑み返した。フラッピとチョッピも祈里と共に居た事に驚いたやよいは、

 

「フラッピとチョッピも一緒って事は、咲さんと舞さんも一緒何ですか?」

 

「ううん、二人も咲さんと舞さんとはぐれちゃった見たいなの」

 

「フラッピ達も、咲達を捜してたラピ」

 

「その途中で祈里と出会ったチョピ」

 

 やよいは納得し、改めて虎と熊を見つめると、

 

「でも、凄いですよねぇ・・・桃太郎の本来のお供は、犬、猿、雉!それが、虎、熊何だもん、本家より強そう!!」

 

 やよいは創作意欲が湧いたのか、目をキラキラ輝かせて居た。雉の替わりは何だろうかと、ワクワクして祈里に聞いてみると、祈里は苦笑しながらやよいの背後を指差し、

 

「さっきからやよいさんの後ろで・・・」

 

「エッ!?」

 

 振り返ったやよいの顔を、何かがペロリと大きな舌で舐めた。そこに居たのは巨大な龍、やよいは引き攣りながらその場で失神した・・・

 

 

4、繋がり始めた物語

 

 ひかりは、帝への謁見の為、渋々老翁と共に帝の御殿にやって来た。駕籠の中に居た為、ひかりにはどれほどの規模の建物なのか分からなかったが、案内された紫宸殿の立派さを見ても、相当な規模の建物なのは理解した。室内に入ると、既に先客が居たようで、老翁は軽く会釈し、案内された場所で、帝のお出ましを待っていた。

 

(何とかしないと・・・)

 

 戸惑うひかりは、視線を感じ顔を上げると、先に付いて居た姫様を見たひかりは、思わずアッと声を出しそうになって、慌てて口を押さえた。

 

(あれは・・・れいかさん!れいかさんもこのお話の世界に飛ばされてたのね・・・)

 

 れいかも見知った顔を見てホッと安堵したのか、着物の裾からひかりに手を振っていた。

 

(何とかれいかさんと話が出来れば良いんだけど・・・)

 

 考え込んでいたひかりの袖を、何かが引っ張り、ひかりがそちらを見て見ると、そこには小さなあかねがニンマリしていて、思わずひかりは目が点になった。慌ててひかりはあかねを掌に乗せると、あかねは、れいかからの言伝をひかりに伝えるのだった・・・

 

 れいかは、このまま帝がこの場に来たら、二人の内どちらかを花嫁にと言う事になるから、双方の翁の事を思えば、帝が現われる前に、何とかこの場を逃げるしか無いと、しかしそれには、あかねとアコを元に戻す事が出来る、打ち出の小槌を手に入れる事が最優先だと・・・

 

(確かに、この場に帝と呼ばれる人が現われたら・・・逃げるに逃げられなくなるかも知れない!あかねさんやアコちゃんもこのままには出来ないし・・・)

 

 ひかりは、れいかを見て頷くと、何とかこの場を乗り切る為、メップルとミップルに何やら頼み込むのだった・・・

 

 

 

 

 助けた亀の案内で、竜宮城に到達したせつなとポプリ、海底の中に本当にこんな御殿があるのかと驚愕していると、

 

「では、私はそろそろ戻りますので、竜宮城での一時、お楽しみにして下さい!」

 

 亀はそう言い残し、竜宮城を後にした。話は亀から伝わっていたようで、せつなとポプリは、蛸といかの門番に、直ぐに中へと案内された。鯛やヒラメなどの魚の群れが、せつなとポプリを物珍しげに見つめていた。

 

「不思議よねぇ・・・海の中なのに、地上に居るのと全く変わらないわ!」

 

「ウワァ!綺麗でしゅねぇぇ!!」

 

 宮殿内を物珍しげに見て居たせつなとポプリの前に、何処かの王朝の貴婦人のように、煌びやかな衣装を着た美しき女性が、大勢の腰元を連れ、せつなとポプリを出迎えにやって来た。

 

「話は亀から聞いております・・・私共の亀を助けて頂き、誠にありがとうございました!大したお持てなしは出来ませんが、ごゆるりとお過ごし下さいませ!!さあ、こちらに・・・」

 

 せつなとポプリは、案内してくれる乙姫の後に追いて歩き出す。瑪瑙(めのう)の天井に、珊瑚の柱、廊下には瑠璃がしきつめてあった。せつなはその上を歩いて行くと、何処からか美味しそうな良い匂いが漂って来ていた。

 

「本日は、遙々異国の人魚姫も遊びに来ていらっしゃいますが、お気になさらずおくつろぎ下さい!!さあ、こちらのお部屋です!!」

 

 乙姫に促され、腰元達がギィィィと扉を開けると、宴会の真っ最中だったようで、鯛やヒラメが舞い踊り、鰹や河豚、海老達が料理を運んでいた。

 

「随分賑やかねぇ・・・・・エッ!?」

 

 せつなは、鯛やヒラメ達と楽しそうに踊る人魚を見て、目が点になった・・・

 

「ラブ!何やってるのよぉぉ!?」

 

「ムープとフープも居るでしゅ!」

 

 呆れ顔のせつなが、上下白い貝殻ビキニ姿で、人魚姫の格好をしているのがラブだと気付き声を掛け、ポプリも、ラブと一緒に楽しそうに踊っているムープとフープを見て変顔になる。名前を呼ばれたラブ、ムープ、フープも、せつなとポプリに気付き、近付いて来ると、

 

「せつなぁぁ!ポプリも!二人も竜宮城に来てたんだねぇ・・・私達も、気付いたらここに来ててさぁ・・・」

 

「何よ、その格好?」

 

「イヤァ!恥ずかしいんだけど、気付いたらこんな格好しててさぁ・・・って、せつなだって、何その格好?」

 

「私も・・・気付いたらこんな格好してただけよ!」

 

 互いに自分の衣装を見て照れるも、直ぐに真顔になると、ラブとせつなは、それぞれが知り得る情報を話し出し、ポプリは、ムープとフープとの再会を喜び合った。

 

「やっぱり本物の竜宮城だったんだぁ・・・せつなと会えて良かった!此処からどう抜け出すか、ムープやフープとも話してたんだけど、思い浮かばなくて・・・」

 

「その割には・・・楽しそうに踊っていたみたいだけど?」

 

「まあ、何と言うか、成り行きで・・・アハハハハ!」

 

 ラブは右手を頭に乗せ、誤魔化し笑いを浮かべるも、直ぐに表情を引き締め、

 

「せつなとも会ったし・・・そろそろ他のみんなと合流しなきゃね」

 

「ええ、こんな事している間にも、シフォン達がどうしているか心配だし、美希やブッキー、他のプリキュアのみんなもどうなったか、気になるわね?」

 

「一番の気掛かりは・・・此処が竜宮城だって事!戻ったは良いけど、数十年後でしたとかなってたら・・・」

 

 少し心配そうにするラブに、せつなは少し思案すると、

 

「それは大丈夫なような気がする!現に、浦島太郎の話に、人魚姫が加わってる時点で、浦島太郎の物語は成立しない!!」

 

「と、決れば・・・すいませぇぇん!」

 

 ラブは、乙姫を呼ぶと、急用が出来たので、そろそろ失礼したい事を伝えると、乙姫はまだ良いじゃないですかと五人を引き留めた。ラブとせつなは、ムープ、フープ、ポプリに一芝居頼み、

 

「嫌でしゅ、嫌でしゅ、嫌でしゅ!ポプリはお家帰るでしゅ!!」

 

「ムープも帰りたいムプ!」

 

「フープも帰るププ!」

 

 竜宮城中に響き渡るような大声で泣きわめくポプリ、帰りたいと大声で騒ぐムープとフープに、さしもの乙姫も根負けし、

 

「分かりました・・・ですが、このまま手ぶらで帰らせる訳には・・・そうだわ!」

 

 乙姫は手をパンパンと叩くと、腰元に命じ、ラブ、せつな、ムープ、フープ、ポプリに玉手箱を手渡し、

 

「これはささやかなお土産です!では、お気を付けて!!」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

「乙姫様も、竜宮城の皆様もお元気で!!」

 

「「さようならぁぁ!!」」

 

「またみんなで来るムプ」

 

「それまでバイバイププ」

 

「バイバイでしゅ!」

 

 こうして、ラブとせつな、ムープ、フープ、ポプリは、竜宮城を後にするのだった・・・

 

 

 

 

 メルヘンランド・・・

 

 バッドエンド王国との戦いを一先ず終え、行方不明だったウルルン、オニニン、マジョリンも戻って来たメルヘンランドは、住民達も徐々にではあるが、元の生活を取り戻し始めて居た。

 

「プリキュア達が、ピエーロに大ダメージを与えた今の内に、一刻も早くロイヤルクイーン様を復活させる手段を見付けねば・・・」

 

 メルヘンランドに戻ってからのポップは、メルヘンランドの女王、ロイヤルクイーンを復活させる手段を求め、王宮図書館で調べ物に勤しむ日々を送っていた・・・

 

「ポップ!大変ウル!!」

 

 そんなポップの元に、顔色を変えたウルルン、オニニン、マジョリンの三人が現われた。三人の手には何かの絵本が握られており、ポップは小首を傾げながら、

 

「三人共、顔色変えてどうしたでござる!?」

 

「これを見るオニ!」

 

「絵本の内容が・・・替わってるマジョ」

 

「何でござると!?」

 

 慌てて三人が持って居る絵本、孫悟空、シンデレラ、浦島太郎の中身を確認するポップは、目が点になると、

 

「こ、これは一体!?この中に居るのは・・・プリキュアの皆の衆ではござらんか?一体どうなっているでござる???」

 

 困惑するポップ、ウルルン、オニニン、マジョリンの四人、ポップは神妙な面持ちになると、

 

「これは何とかせぬと・・・世界中の絵本が滅茶滅茶になるかも知れないでござる!ウルルン、オニニン、マジョリン、拙者に力を貸して欲しいでござる!!」

 

 三人は頷くと、ポップは再び内容が替わった絵本を見て、何かを決意した・・・

 

 

 

 

 みゆきは、牛魔王、金角、銀角と共に、浚われたキャンディやニコ達、はぐれた仲間達を求め、とある国にやって来ていた・・・

 

 みゆきは、一目見てその国が自分の大好きな作品の舞台だと気付いた。

 

 子供だけの国、それは、みゆきの大好きな絵本、ピーターパンの世界・・・

 

 だがみゆきは、目の前のネバーランドを見て呆然としていた・・・

 

「何だ!?この町は誰も居ねぇのか?」

 

「ここは、ピーターパンのお話の世界、ネバーランド!・・・の筈何だけど?」

 

 牛魔王に聞かれたみゆきが答えると、突然、みゆき達の周りを小さな妖精が飛び回り、

 

「ピーター!やっと帰って来たのね!!」

 

 妖精の名前は、ティンカー・ベル・・・

 

 蝶のような透明な羽を背中から生やし、服装はピーターパンのように緑を主体にした可愛い妖精・・・

 

「ピーター、此処はあなたの国なのに、あなたが突然いなくなって、子供達がどんなに不安がって居たか・・・」

 

「エェェ!?私は星空みゆき!ピーターパンじゃ無いよぉぉ!!」

 

 嘗て、修学旅行であかね、やよい、なお、れいかと共に好きな人の話をした時、みゆきが告げた名前が、ピーターパンだった。そんなピーターパンが自分の筈は無い・・・

 

 そうは言ったものの、みゆきの格好は、服とズボンの色が緑色で、緑色の帽子を被り、帽子には、赤と白のツートンカラーの羽が付いて居て、確かにその出で立ちはピーターパンだった・・・

 

「ピーター、あなた突然居なくなったかと思えば、妙な格好の者達を連れて来たわねぇ・・・」

 

 ティンカー・ベルは、牛魔王、金角、銀角を訝しげに見つめた。みゆきは苦笑を浮かべながらも、

 

「それより、ネバーランドに子供達の姿が見えないけど?」

 

「ええ、ピーターが居ない間に・・・またフック船長が襲ってきたの!!私はピーターを探しに行ったから無事だったんだけど、子供達は・・・」

 

 ティンカー・ベルは、悲しそうにポツリと呟いた。みゆきは、牛魔王、金角、銀角を真剣な眼差しで見つめると、

 

「みんな、少し寄り道しても良いかなぁ?」

 

「海賊か・・・面白ぇぇ!!」

 

「俺達も一緒に行ってやる!」

 

「今度こそ、この銀角様の実力をちゃんと見せてやる!」

 

 牛魔王、金角、銀角は、みゆきが子供達を救出に向かおうとしている事に気付き、暴れられると知るや、みゆきに加勢すると息巻いた。スマイルパクトを無くし、プリキュアになれない今の自分に取って、牛魔王達三人の存在は頼もしかった。さっきまで戦い合った仲なのが信じられないくらいに・・・

 

「ねぇ、ティンカー・ベル・・・今、フック船長は何処に居るの?」

 

「それが妙なの・・・今まで、フック船長の船が空を飛んだ事なんて無かったのに、海賊船は空から襲撃してきたわ!おまけに・・・何処かの国からも浚ってきたらしく、プリキュア、助けてぇぇとか声が聞こえたわ」

 

 ティンカー・ベルの報告を聞いたみゆきは思わず驚き、

 

「エッ!?」

 

「おい!それじゃ、あの時の海賊船が・・・」

 

 牛魔王も、その海賊船こそ、さっき絵本博覧会に現われた海賊船だと感づき、みゆきの顔を見た。とある所で、キャンディ達救出の手掛かりを得たみゆき達、ティンカー・ベルは更に言葉を続け、

 

「最近・・・薄気味悪い城が姿を現わしたんだけど、フック船長の船は、そこに停泊している筈よ!ピーター、気をつけて!!」

 

「よし、そうと決れば・・・」

 

 牛魔王は、術を唱えるや、觔斗雲のような黒雲を呼び、黒雲に飛び乗った。金角、銀角も術を唱え、雲を呼び寄せ、雲の上に飛び乗った。みゆきも、ティンカー・ベルの粉を身体に塗りつけると、大空に舞った。

 

「牛魔王、金角、銀角、行こう!みんなの所に!!」

 

「「「オオ!!」」」

 

 浚われた仲間を救う為、滅茶苦茶になった絵本の世界を元に戻す為、四人がフック船長の下へと飛び去って行った・・・

 

 

 

 

 不気味な城の前で、沢山の獲物を得たフック船長はご機嫌だった・・・

 

 フック船長・・・

 

 黄色のラインの付いた赤いコートに、薄いピンクの服、首元にスカーフ、袖にフリルのついた白いブラウス、紫っぽいズボンと羽根帽子、白の長い靴下、黒靴を着用する海賊達の船長・・・

 

 嘗て、ピーターパンとの戦いの最中に海に落ち、ワニに右手を食べられてしまった。それ以降、右手にはフックを付けるも、ワニが最大の弱点となった。ワニを見ただけでおそれおののき、時計の音を聞くだけで取り乱してしまう。残酷な性格で、手下達からも恐れられているが、身だしなみには敏感で綺麗好きという一面も持って居た・・・

 

 そんなフック船長の肩には、何者かに操られて居るかのように、黒い翼が生えていた・・・

 

(あいつは、完全に操りきれなかったカゲェェ・・・でも、このアイテムさへ奪っておけば、あいつらはニコの邪魔は出来ないカゲェ!この魔王の邪魔はさせないカゲェェ!!)

 

 マストの上から、額から二本の角のような物を生やし、丸い蝙蝠のような物体が、自らを魔王と称し、口元に笑みを浮かべながら、フック船長達が手に入れた戦利品の数々を見つめていた。その中には、のぞみ達のキュアモ、くるみのミルキィーパレット、ラブ達のリンクルン、つぼみ達のココロパフュームとゆりのココロポット、響達のキュアモジューレ、みゆき達のスマイルパクト、あゆみのスィンクパクトが転がっていた・・・

 

 魔王の結界は、自らの邪魔をしそうな存在、プリキュア達を排除し、本来の持ち主達から変身アイテムを遠ざけた・・・

 

 メップル達、フラッピ達が、なぎさ達や咲達と離れ離れになったのもその為だった・・・

 

 戦利品の側には、ネバーランドから連れ浚われた子供達が、そして、キャンディ、ハミィ、シフォン、シロップ、フェアリートーン達が縛られていた。

 

(さあ、ニコの下に戻るカゲェ!)

 

 魔王はバサバサ羽ばたくと、自らが作り上げた不気味な城へと消えて行った・・・

 

 だが、魔王は気付かなかった・・・

 

 物陰に隠れ、ジッと状況を見つめるピーちゃんの存在を・・・

 

          第六十九話:少女達の冒険!(中編)

                   完 

 

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