プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第七十三話:キュアハッピー・・・絵本の世界に死す!?

1、復活!ウルフルン、アカオーニ、マジョリーナ

 

 魔王城近くを、鳥のように羽ばたきながら一冊の本が近づいて来た。絵本の中からヒョイと顔を出したのは、ウルルン、オニニン、マジョリンの三人、三人は辺りを見渡すと、

 

「見るウル!あそこで、ハッピーが戦ってるウル!!」

 

「大分押されてるオニ・・・」

 

「向こうの海賊船じゃ、キャンディ達が襲われてるマジョ・・・ウルルン!オニニン!今こそ赤いキャンディを舐める時マジョ!ウルルンとオニニンは、ハッピーを助けるマジョ!私はキャンディ達を助けるマジョ!!」

 

 そう言うと、マジョリンは絵本から飛び出し、キャンディ達の前に降り立った。顔を見合わせたウルルンとオニニンは、マジョリンに言われる通り、赤いキャンディを手に持ち、ハッピーの側へと降りていった。

 

 突然現われたマジョリンの姿に、キャンディは驚いた様子で、

 

「マジョリン!?どうして絵本の世界に居るクル?」

 

「キャンディ、話は後マジョ!今は・・・」

 

 そう言うと、マジョリンは赤いキャンディを口の中に放り込んだ・・・

 

 

「ウルルン!オニニン!どうして此処に!?二人共、離れてて!私の巻き添えを受けちゃう!!」

 

 心配そうにウルルンとオニニンを庇おうとするハッピー、ウルルンとオニニンは同時に首を振り、

 

「ハッピーを助けに来たのに・・・助けられる訳にはいかないウル!」

 

「早速マジョリンに貰った飴を舐めてみるオニ!」

 

 二人が赤い飴を口の中に放り込んだ・・・

 

 赤い飴を舐め始めた三人の身体から、見る見る白煙が立ち上り、三人の姿が見えなくなると、ハッピーも、キャンディも、心配そうに三人に声を掛けた。だが、白煙が収まった時、その中から現われた姿を見て驚愕した。

 

「エッ!?ウ、ウルルン、オニニン、その姿は一体?・・・どうしてウルフルン、アカオーニの姿に!?」

 

「いやぁ、俺様にも良く分らねぇが・・・」

 

「マジョリンに貰った飴を舐めたら・・・この姿になったオニ!何だか力が漲るオニィィィ!!」

 

 そう言いながら、自慢気にポーズを取るウルフルンとアカオーニ、そんな二人を無視するように、ハッピーに再び攻撃を加えるシンデレラの前にウルフルンが、金太郎の前にアカオーニが立ち塞がった。

 

「オッと・・・お前らの相手は俺様達だ!」

 

「ハッピー、此処は俺様達に任せるオニ!キャンディ達の下には、マジョリンが向かったオニ!!」

 

「マジョリンが!?もしかして・・・」

 

 ハッピーの瞳が輝き、背後の海賊船を振り返った・・・

 

 

 その海賊船の中では、猪八戒に襲われた妖精達を救う為、若マジョリーナが猪八戒の前に現われた。猪八戒は、マジョリーナの容姿を見るや、忽ち涎をジュルルと啜りながら、

 

「な、何だか分らねぇが、こりゃあ、良い女だ・・・俺様の夜伽にしてやる!!」

 

「ハァ!?寝言は寝てから言うんだねぇ・・・キャンディ、そこにあるのはプリキュア達の?」

 

「そうクル!みんなの変身アイテムクル!!」

 

「って事は、今みんなはプリキュアになれないって事かい!?・・・不味いねぇ、ポップが他のプリキュア達を連れて来ると言ってたけど、これじゃ期待は持てそうもないねぇ・・・」

 

「お兄ちゃんも来てるクル?」

 

「ああ、あたし達と一緒に来てるよ!キャンディ、あんた達は、プリキュア達にその変身アイテムを届けておやり!!みんな、白雪姫の城を目指して集まってる筈だよ!!」

 

 そう言うと、マジョリーナは猪八戒に対し攻撃を開始した・・・

 

 

 ハッピーの加勢に来たウルフルン、アカオーニ、マジョリーナを見て、魔王は目を吊り上げた。何故次々に邪魔者が現われるのか、魔王は苛々したように、

 

「全く・・・どうしてこうも邪魔者が現われるカゲェ!?こうなったら・・・」

 

 魔王は、思いっ切り息を吸い込み、フゥゥゥと息を空間に吹き付けると、空間が歪み始めた。魔王は、桃太郎一行、浦島太郎、アラジン、白いワンピースを着た人魚姫を見つめるや、

 

「お前達は・・・ここに来ていないみゆきの仲間達を倒してくるカゲェ!」

 

「ハッ、お任せを!!」

 

 一同がそう返事を返すと、次々に歪んだ空間へと身を投じ、魔王が作り出した空間が消え失せた・・・

 

「桃太郎達は一体何処に!?」

 

「みゆきの仲間達って言ってやがったなぁ・・・とすると、白雪姫の城に集まってる、プリキュア達の事か!?」

 

「不味いオニ、変身出来ないあいつらじゃ・・・」

 

「そんなぁ・・・」

 

 一同がプリキュアになる為の変身アイテムは、まだこの場にある。今桃太郎達に襲われれば、プリキュアの仲間達に打つ手は無いと知り、ハッピーは不安そうに呟いた。

 

 更に、魔王の発破を受けた主人公達の攻撃力があがり、孫悟空一行と戦っていた牛魔王、金角、銀角、シンデレラと戦って居たウルフルン、金太郎と戦って居たアカオーニが押され始める。ウルフルンは忌々しそうに、

 

「チッ・・・これでも喰らいやがれぇぇ!プッ!!」

 

 舐めていた飴玉を、シンデレラの顔面に吐き出すと、唾液混じりの飴玉がシンデレラの顔に掛かり、ワナワナ震えだしたシンデレラは、

 

「キャァァ!な、何て下品な・・・もう許さなぁぁぁい!!エッ!?」

 

 顔色を変え、目を吊り上げたシンデレラがウルフルンを睨み付けるも、今まで目の前に居たウルフルンの姿が忽然と消えていた・・・

 

 

「このままじゃ不味いオニ・・・本気を出すオニィィ!ゴックン!!」

 

 気合いを入れた拍子に、飴玉をゴクリと飲み込んだアカオーニ、忽ちその巨体は見る見る縮み始め、戦って居た金太郎が呆然とした。

 

 再びウルルン、オニニンの姿へと戻ってしまった二人は、身体を触り確かめ困惑すると、

 

「マ、マジョリーナ!一体どうなってるオニ?」

 

「また元の姿に戻っちゃったウル・・・」

 

 海賊船で猪八戒と戦いながら、二人が元の姿に戻ってしまったのを見たマジョリーナは、

 

「何やってるんだい!あの姿で居られるのは、飴を舐めている間だけ何だよ!!もう予備は無いってぇのに・・・」

 

「そんな事言われても・・・」

 

「知らなかったオニ・・・」

 

 途方に暮れる二人の背後に、口元を吊り上げたシンデレラと金太郎が立つと、ウルルン、オニニンの首を掴み持ち上げる。放せと言いながらジタバタするウルルンとオニニンだったが、シンデレラと金太郎は意地悪そうな視線を二人に向けながら、

 

「ウフフフ!悪戯が過ぎたようねぇ?」

 

「さあ、このまま地の果てまで吹き飛ばしてやる!!」

 

「止めてぇぇぇ!!」

 

 二人に攻撃されそうだったウルルンとオニニンを、ハッピーがすんでの所で抱き止め、そのまま地面に倒れ込んだ。そんなハッピーを、不気味な笑みでジッと見つめたピーターパンは、レイピアを抜くと、

 

「お前だろう!?僕の偽物は?・・・」

 

 レイピアをハッピーの喉元に当てると、ニタリと何処かジョーカーを思わせる表情で微笑んだ。ハッピーは険しい表情を浮かべながら、止めるように説得を試みるも、ピーターパンは笑みを浮かべたままだった。そんな異変を海賊船から見て居た子供達は、

 

「ピーターパン!その偽物は・・・僕達をフック船長から助けてくれたんだよ!!」

 

「その子を虐めないで!!」

 

「みんな・・・」

 

 子供達は、自分達をフック船長から助けてくれたハッピーは、悪者ではないとピーターパンに必死に叫び続ける。

 

 子供達には分かって居た・・・

 

 ピーターパンの偽物、そう認識していても、ハッピーは悪い人では無い事を・・・

 

 ハッピーは、自分の事を必死に弁明してくれる子供達の姿に、目をウルウルさせていた。だが、ピーターパンはそんな子供達の言葉を鼻で笑い、

 

「フン・・・さようなら!偽物!!」

 

 子供達の言葉を無視し、今まさにハッピーの喉を突き刺そうとしたその時、

 

「キュアキュア・・・プリップ~~!!」

 

 海賊船の中からこの様子を見て居たシフォンは、耳を動かし、ハッピー、ウルルン、オニニンを、自分達の下へと瞬間移動させた。何とか無事にハッピー達を救えた事でホッと安堵する妖精達とマジョリーナ、だが、シンデレラ、金太郎、ピーターパンが、忌々しそうに海賊船目掛け、一歩一歩、歩を進めていた。ハッピーと合流したマジョリーナが、ハッピーに手を差しだし助け起こすと、

 

「ハッピー、大丈夫かい?このままじゃ不味いねぇ・・・」

 

「うん・・・変身出来ないみんなの事も心配だし・・・」

 

 妖精達を庇いながら戦う事にも限度があった。更に、変身出来ない一同の下にも、魔王に操られた桃太郎達が向かっている。早く届けなければ、ハッピーに焦りが浮かんだ。

 

 だが、その不安を打ち消す見知った声が、上空から響き渡った!!

 

「みゆきぃぃ!キャンディ!無事何かぁぁ?」

 

「今の声・・・あかねちゃん!」

 

 ハッピーは目を輝かせながら上空を見上げると、巨大な鷲に変化したポップの姿が見る見る近づいて来た。キャンディも兄ポップの姿を目にすると喜び、嬉しそうにポップの名前を呼び続けた。更にポップの背には数人の人影が見え、

 

「コラァァ、猪八戒!あれだけ言ったのに、またこんな事してぇぇ!!」

 

「ゲゲェ!?あいつは兄貴の偽物の・・・ま、不味い!あ、兄貴ぃぃ、助けてぇぇぇ!!」

 

 猪八戒は、急降下してくる鷲の背になぎさがいるのを見付けるや、大慌てで海賊船から飛び降り、牛魔王、金角、銀角の三人をKOした孫悟空の下へと逃げ去った。孫悟空は猪八戒をチラリと見ると、

 

「何だ!?お前生きてたのか?・・・俺様の偽物がどうしたって?」

 

「あ、あいつらが兄貴やお師匠様の名前を語って・・・」

 

 そう言うと、海賊船を指さす猪八戒、兄弟子である本物の孫悟空ならば、きっと偽物を成敗してくれるはず、そのお零れを貰おうと猪八戒は悪巧みを考える。孫悟空は、そんな猪八戒の腹を殴りつけ、苦悶に歪む猪八戒にフンと蔑む視線を向けると、

 

「弱い奴に用はねぇなぁ・・・お前も、この俺様に殺されたくなければ一緒に来い!さて、本物の孫悟空様の実力を見せてやるか・・・觔斗雲!!」

 

 孫悟空は觔斗雲を呼び寄せると、ヒラリと飛び乗り、沙悟浄、猪八戒にも付いて来いと命じ、二人が觔斗雲に乗り込んだ。

 

「ハッピ~~!無事何かぁ?」

 

「あかねちゃん、やよいちゃん、なおちゃん、れいかちゃん、あゆみちゃん、なぎささんにほのかさん、ひかりさん、それに・・・ポップまで!」

 

 海賊船に降り立ったポップとなぎさ達、一同が現われた事で、ハッピーは目を潤ませながら駆け寄り、何とか無事ハッピーに合流出来た事で、なぎさ達はホッと安堵する。なぎさはハッピーを労るように抱きしめ、

 

「ハッピー、何処も怪我してない?シロップ、シフォン、ハミィ、キャンディ、フェアリートーン達も平気?ピーちゃん、ウルルン、オニニン、マジョ・・・エッ?エェェ!?」

 

「な、何で、マジョリンがマジョリーナに!?」

 

 なぎさ、なおは、マジョリンの姿がマジョリーナになっている事に驚くも、マジョリーナは、口元に笑みを浮かべるのみで、代わるように苦笑混じりのハッピーが一同に説明を始め、

 

「さっき、ウルルンとオニニンも、ウルフルンとアカオーニの姿になって、私を助けてくれたんだよ!」

 

「でも結局・・・」

 

「ハッピーに助けられたオニ・・・」

 

「ううん、ウルルン、オニニン、さっきは危ないところを助けてくれてありがとう!」

 

 満面の笑みを浮かべながら二人に礼を述べたハッピーを見て、顔を見合わせたウルルンとオニニンは、自分達も少しは役立てたようだとホッと安堵するのだった。

 

「お兄ちゃぁぁぁん!!」

 

「キャンディ!ゴフゥゥゥゥゥ・・・」

 

 大喜びで飛びついたキャンディの体当たりをまともに受け、ポップが吹き飛びゴロゴロ床に転がった。それを見たあかね達は苦笑を浮かべ、

 

「何や、お約束になってきたなぁ・・・」

 

「でも、キャンディ達も無事でホッと致しました」

 

「ピーちゃんのお陰ニャ!」

 

「ピーちゃん、ありがとう!エレンさん達も心配してたよ!!」

 

「ピィィィ!!」

 

 あかねが、れいかが、そしてあゆみが、妖精達の無事な姿に目を細めた。

 

「なぎさ、ほのか、何だか嫌な気配がさっきから漂ってるメポ!」

 

「二人共、用心してミポ!」

 

 ほのかも、目を細めていたが、コミューン姿のメップル、ミップルの忠告を聞くや表情を曇らせ、海賊船に近付いて来る、悪しきオ-ラを纏いし絵本の主人公達に気付くと、

 

「何とか間に合ったようね!でも・・・」

 

 なぎさもほのかの険しい表情に気付き、孫悟空やピーターパン達が、海賊船に着いたなぎさ達に向かって来るのに気付くと、

 

「ほのか、ヤバイ!本物の孫悟空が来てる!!」

 

「ええ・・・確か本物の孫悟空は、不老不死の筈・・・なぎさ!」

 

「「デュアルオーロラウェーブ!!」」

 

 なぎさとほのかの身体が光に包まれた・・・

 

 

2、反撃の狼煙

 

 その光景を、絵本の主人公達も、ネバーランドの子供達も、そして、魔王も何事かと顔色を変えた。虹の輝きが収まった時、黒と白の衣装を着た二人組が、向かってくる孫悟空達をキッと見つめると、

 

「光の使者・キュアブラック!」

 

「光の使者・キュアホワイト!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「闇の力のしもべ達よ!」

 

「とっととお家に帰りなさい!!!」

 

「ケッ!この孫悟空様に喧嘩を吹っかけるとは・・・良い度胸だぜ!!」

 

 ブラックとホワイト、二人に指を指された孫悟空は、口元をニヤリと吊り上げるや、如意棒をグルグル回し、二人に対して臨戦態勢に入った。

 

 ホワイトは、背後を振り返りひかりを見つめると、

 

「ひかりさん、あかねさん達やハミィ達をお願いね!」

 

「待って!私も行きます!!」

 

「済まないねぇ・・・そろそろあたしは、飴玉の効果が・・・・・切れたマジョ」

 

「ううん、ありがとう!マジョリン!!」

 

 孫悟空に向かって行ったブラックとホワイトに続くように、ハッピーも再び海賊船から飛び降り、ピーターパン、シンデレラ、金太郎に向かった。効果が切れ、マジョリーナから再びマジョリンの姿に戻ったマジョリンは、申し訳無さそうに三人の後ろ姿を見送った。

 

「ポルン、ルルン!・・・ルミナス、シャイニングストリーム!!」

 

 ホワイトにあかね達五人を託されたひかりは、ポルンとルルンを呼び、二人もまたコミューン姿に変化すると、ひかりはルミナスへと変身した。

 

「輝く生命、シャイニールミナス!光の心と光の意志、全てをひとつにするために!」

 

 変身したルミナスは、辺りを警戒しながらあかね達五人、妖精達のガードに回ろうとするも、あかねは少し離れた床にスマイルパクトらしい物体を見付け、

 

「ン!?アァァ!キャンディ、それはひょっとして、ウチらのスマイルパクトじゃ?」

 

「アッ・・・忘れてたクル!そうクル!ここにみんなの変身アイテムがあるクル!!」

 

「みんなも早く変身するニャ!」

 

 キャンディとハミィは、床に並べられたキュアモ、ミルキィパレット、リンクルン、ココロパフューム、ココロポット、キュアモジューレ、そして、スマイルパクトとスィンクパクトを指差し答えた。見る見るあかね、やよい、なお、れいか、あゆみの目は輝き、

 

「ヨッシャァァァ!!」

 

「それはありがたいねぇ!!」

 

「うん、ハッピー達の足手纏いにならないで済むもんね!!」

 

「この衣装では動きづらいですし・・・皆さん!」

 

「うん!私達も、ハッピーの応援に行こう!!」

 

 あかね、なお、やよい、れいか、あゆみは、自分のスマイルパクトとスィンクパクトを手に持つと、

 

「「「「プリキュア!スマイルチャージ!!」」」」

 

「プリキュア!スィンクチャージ!!」

 

 五人の少女達が光に包まれ、プリキュアへと変化を遂げていく・・・

 

「太陽サンサン、熱血パワー!キュアサニー!!」

 

「ピカピカぴかりん!じゃんけん・・・ポン!キュアピース!!」

 

「勇気リンリン、直球勝負!キュアマーチ!!」

 

「しんしんと降り積もる、清き心!キュアビューティ!!」

 

「思いよ、届け!キュアエコー!!」

 

 名乗りを終えた一同はルミナスを見つめると、

 

「ルミナス、私達はもう大丈夫ですので、キャンディ達をお願いします!」

 

「分りました!」

 

 ビューティの言葉に頷き、ルミナスは妖精達、そして、シロップの側に居た子供達に、自分の側から離れないように伝えた。

 

「ハッピー!今行くでぇぇ!!」

 

「サニー、みんなぁぁ・・・でも、待って!魔王に操られた桃太郎達が、他のプリキュアのみんなの所に向かったの・・・変身出来ないみんなが心配だよ!行ってあげて!!」

 

 ハッピーの加勢に向かうべく、勢いよく海賊船から飛び降りたサニー、ピース、マーチ、ビューティ、エコーであったが、ハッピーは自分の加勢に来るより、変身出来ないみんなの助けに向かって欲しいと告げた。他のみんなの下にも、操られた絵本の主人公達が向かっていると知り、サニー達も驚愕した。

 

「何だって!?」

 

「確かに、他のみんなは変身出来ないもんね」

 

 マーチも、ピースも、確かに変身出来ない他の仲間達の身を案じたものの、ビューティは、向こうにはプリキュアになれる咲達が残って居る事を思い出し、

 

「ですが、向こうには咲さん、舞さん、満さん、薫さんもいらっしゃいますし・・・」

 

「咲さん達は、プリキュアになれるもんね!」

 

「ハッピー、大丈夫や!向こうにはプリキュアになれる、咲さん達が付いとる!!」

 

 ビューティの言葉を受け、咲達四人が残って居るのなら、何とかしてくれる筈だとエコー、サニーも、ハッピーに安心するように伝える。ビューティは、海賊船を振り返ると、

 

「ですが、念には念を入れておいた方が良いでしょうね・・・ポップ!皆さんの変身アイテムを、届けて上げて頂けませんか?」

 

「合点承知でござる!!」

 

「ハミィも行くニャ!」

 

「プリィ!」

 

 ポップは、再び巨大な鷲の姿に変化すると、ハミィとシフォン、フェアリートーン達を背に乗せ、白雪姫の城周辺に居るゆり達の下へと、再び羽ばたいて行った。

 

 ブラックとホワイト、ルミナス、そしてサニー達、次々に増えていく邪魔者に、魔王の苛々は益々膨れ上がった・・・

 

 

 

 一方、白雪姫の城周辺で待機していたゆり達だったが、突然フラッピ達が騒ぎ始め、嫌な予感がするから、一同にも注意するように忠告をしていた・・・

 

 空間が歪み始めると、中から桃太郎、犬、猿、雉、浦島太郎、人魚姫、アラジン達が突然現われ、驚愕する一同に笑みを浮かべた。ゆりは険しい表情を浮かべ、現われた桃太郎達を見つめながら、

 

「なぎさとほのかの予感が当たったようね・・・変身出来ない私達にも、刺客が送られて来たようだわ!」

 

「みんな、後ろに下がって!舞、満、薫、みんなを守るよ!!」

 

「「「分ったわ!!」」」

 

 変身出来ない一同を庇うように、咲、舞、満、薫は前に出ると、険しい表情を浮かべながら、

 

「「「「デュアル・スピリチュアル・パワーッ!!」」」」

 

「花ひらけ、大地に!!」

 

「はばたけ、空に!!」

 

「未来を照らし!」

 

「勇気を運べ!」

 

「輝く金の花!キュアブルーム!!」

 

「きらめく銀の翼!キュアイーグレット!!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「天空に満ちる月!キュアブライト!!」

 

「大地に薫る風!キュアウィンディ!!」

 

「「ふたりはプリキュア!!」」

 

「「聖なる泉を汚す者よ!」」

 

「「あこぎなマネは、おやめなさい!!」」

 

 四人のプリキュアが、桃太郎達に名乗りを上げた!!

 

 だが、桃太郎の視線に映るのは、日本一の幟を背負った祈里の姿が、浦島太郎はせつなを、人魚姫はラブを、険しい表情で睨み付けた。美希は、桃太郎、浦島太郎、人魚姫の険しい表情がラブ達に向けられていると知ると、

 

「な、何か・・・桃太郎達、ラブ達を目の敵にしてない?」

 

「多分・・・私達を自分達の偽物だと判断したようね!」

 

「桃太郎さん!私達の話を聞いて!!私達、好きであなた達の姿になったんじゃないの!!」

 

「本当に本当なの!ちゃんと、衣装も変えたし・・・って、何か全く聞いていないような?」

 

 美希の言葉に、せつなは自分達を偽物と判断し、目の敵にしたようだと語ると、祈里とラブは困惑の表情を浮かべながら必死に弁明するも、桃太郎達は聞く耳を持たなかった。ブライトはそんな四人を諭し、

 

「無駄よ!よく肩を見て見なさい・・・世界絵本博覧会に現われた絵本の者達のように、肩に黒い翼が付いて居るわ!!」

 

「本当だわ・・・と言う事は、この人達もあの時同様操られて居るって事ね?」

 

「ええ・・・でもこれじゃ、あの時と一緒だわ!」

 

 ブライトの言う通りだと分った美希の表情が険しさを増す。ブライトの脳裏に、世界絵本博覧会での戦いが思い起こされた。下手に攻撃を加えて、もしも、桃太郎達を倒してしまったら、物語は滅茶苦茶になってしまうだろうだと・・・

 

「ブルーム、イーグレット、あなた達は、絵本のキャラクター達がみんなに攻撃を加える事の無いように、防御に徹して!ウィンディは、私と一緒になるべく時間を稼ぐように、風を上手く利用して足止めしてみて・・・私は光を利用し足止めしてみる!!」

 

 ブライトの指示を受け、ブルームとイーグレットは、みんなを守るように手を握り合い半球系のバリアを張り、ブライトとウィンディは左右に別れ、光と風を巧みに使い分け、桃太郎達の足止めに徹した。

 

「ブルーム、イーグレット、ブライト、ウィンディ、ゴメンね!私達が変身出来ないばかりに・・・」

 

 のぞみは、必死に桃太郎達から自分達を庇い続ける四人の姿に、思わずポツリと呟いた。自分達もプリキュアにさえなれれば、四人の足を引っ張らずに済むのにと、みゆきの救援には、なぎさ達が向かってくれたものの、その事ものぞみには気掛かりだった。

 

 こんな所でモタモタしていられない・・・

 

 それは、のぞみだけではなく、この場に居る一同誰しもが思って居た事だった・・・

 

「何だ!?受け身に回ってるだけか?そんな事じゃ、俺達には適わないぜ!!」

 

 アラジンは、魔法のランプを擦り始めると、煙と共に巨大な大男が姿を現わした。その姿を見たラブ、美希、祈里、せつなは、自分達が世界絵本博覧会で戦った巨大な魔神だと一同に伝えた。

 

「みんな、気をつけて!あの巨大な魔神は、自分の分身を作り出す事が出来るの!!」

 

「ランプの魔神!こいつらにお前の力を見せてやれ!!」

 

「畏まりました・・・パパラパ~!!」

 

 アラジンの命を受けたランプの魔神が呪文を唱えると、ブルームとイーグレットが張っていたバリアが、跡形もなく消え去った。

 

「そ、そんな!?」

 

「これは一体!?」

 

 思わず動揺するブルームとイーグレット、その隙を逃さず、抜刀した桃太郎が突入し、祈里目掛け切り込むも、すんでの所で我に返ったイーグレットが割って入り、祈里を救助した。助けられた祈里はイーグレットに感謝しながらも、もう桃太郎と戦う以外無いのだろうか?悲しげな表情を浮かべた。桃太郎が攻撃を開始したのを見た犬、猿、雉の三匹も、それぞれ桃太郎に続くように一同目掛け動き出すと、

 

「キィィィィ!!」

 

 猿は爪を研ぎ澄まし、一同を威嚇し始めた。響は、そんな猿を睨み付けるや、

 

「ウッホ!ウッホ!ウッホッホ!!」

 

 自分の胸を両手で叩き、ゴリラの真似をして猿を威嚇すると、驚愕した猿はウキィィと叫びながら飛び退き、響を睨みながら上下左右に身体を動かし、逆に響を威嚇した。

 

「ひ、響・・・今の何!?」

 

 目を点にしたりんが響を指さすと、エレンは、嘗て響が加音町の子供達の前で、ゴリラの物真似をしていたのを思い出したのかクスリと笑い、

 

「フフフ、響の十八番!ゴリラの真似よ!!」

 

「ちょっとエレン、ドサクサに紛れてみんなに変な事教えないで!大体・・・十八番じゃないよぉ!!」

 

「でも・・・確かに似てたわよねぇ?」

 

「奏までぇぇ!ほら、奏もあの時みたいに手伝って!!」

 

「エェェ!?何で私まで?」

 

 再びゴリラの真似を始めた響に誘われるも、奏はブルブル首を振り嫌がった。ラブに険しい視線を浴びせる人魚姫に気付いたラブ、ラブは何かを思案すると、美希に問い掛けるように、

 

「エェと、人魚姫なら・・・一応魚だよね?」

 

「まあ、そうね・・・でも、今の人魚姫は、人間になった時のようだし・・・」

 

 そうラブに聞かれた美希は、人魚姫の容姿を改めて見つめると、確かに魚系ではあるが、今は人間の状態だと苦笑気味に答えた。ラブはウンウン頷くと、

 

「だったら私も・・・・・ニャァァァゴ!!」

 

 ラブは中腰の体勢になると、何かのスイッチが入ったかのように、招き猫のような構えを取り、猫の鳴き真似を始めた。人魚姫は忌々しそうな視線でラブを睨み付ける。美希とりんは呆れたように、

 

「ちょっと、ちょっと、ラブまで何やってるのよ?」

 

「あんた達・・・こんな状況で物真似してる場合じゃないでしょう?」

 

「「いやぁぁ、少しはブルーム達の手助けになればと・・・・」」

 

 同じように右手で頭をポリポリ掻いて、誤魔化し笑いをうかべるラブと響に、一同は苦笑する。そんなラブと響を見たいつきは、

 

「僕も負けてられないね!」

 

 いつきは腰を落とすと、明堂院流の構えを取った。上空から急降下してきた雉の突進を華麗に捌き、雉は思わず地面に激突しそうになり蹌踉めくのを、笑みを浮かべながら抱き止め、空に放してやった。困惑した雉は、上空をクルクル飛び回った。今では病気も治った兄さつきに師範の座を譲ったものの、その実力は健在だった。そのいつきに並んだのは銀のえりか、

 

「流石はいつき殿・・・さあ、今度はこの来海えりかがお相手仕る!コォォォォォ!!」

 

 息を吸い込み、コォォと吐き出すと、何かの拳法の構えを取るや、変顔浮かべた銀のえりかを見た犬は、思わずその不気味さに後退る。元祖えりかは、そんな銀のえりかを見るや、

 

「ちょっとぉぉぉ、銀のあたし!変な顔しないでよ!!」

 

「まあ、違う意味でえりからしいですが・・・」

 

「ムキィィィィィ!あたしはあんな変な顔しないってば!!」

 

 口を尖らせた元祖えりかが、銀のえりかを注意すると、つぼみがえりかをからかい、思わず一同からクスリと声が漏れた。時折笑みすら浮かべる一同に、桃太郎達の表情は険しさを増し、

 

「随分余裕じゃねぇか?・・・だったら、こっちも本気で行くぜ!!」

 

「後悔させてあげるわ!!」

 

 桃太郎が、人魚姫が、浦島太郎が、アラジンが、更に目を吊り上げ、悪しきオーラを周囲に撒き散らし始めた。

 

「ブルーム、みんな、気をつけるラピ!さっきとは桁外れな邪悪な気配を感じるラピ!!」

 

「確かに・・・みんな、用心してぇぇ!!」

 

 フラッピの忠告を聞き、ゆりの表情が一層険しさを増し、一同に用心するよう叫んだ。

 

「今更気付いても遅い!ハァァァァ!!」

 

 桃太郎が刀を横一線に振ると、凄まじい衝撃波が一同を吹き飛ばす。ウィンディは、咄嗟にそよ風を一同に向け放ち、体勢を整えさせる。

 

「みんな、大丈夫?」

 

「ありがとう!でも、このままじゃ・・・・・」

 

 のぞみの額から冷や汗が垂れたその時、上空から巨大な鷲が急降下してくると、

 

「皆の衆!!無事でござるかぁぁ?」

 

「セイレーン!響、奏、アコ、みんなぁぁ!!」

 

「プリィィィィ!!」

 

「ハミィ!フェアリートーン達も・・・無事で良かった!!」

 

「シフォンやぁぁ!!」

 

「良かった!シフォン!!」

 

 エレン達が、ラブ達が、ポップの背に乗り手を振るハミィやシフォンを見て目を輝かせた。ハミィはのぞみ達を見ると、

 

「シロップも無事ニャ!ピーちゃんとハッピーのお陰でみんな助かったニャ!!」

 

「エッ!?良かったぁ・・・シロップも、ハッピーも無事なのね?」

 

 シロップも、ハッピーも無事だと聞き、のぞみ達から思わず笑みが溢れた。ポップは元の妖精姿に戻ると、

 

「皆の衆、これを受け取るでござる!シフォン殿!!」

 

 ポップはシフォンに頼むと、シフォンはプリィと頷き、超能力で一同の下へと変身アイテムを移動させた。一同の目は輝き、

 

「これは、私達の・・・」

 

「これであたし達も戦えるわね!」

 

「ハミィ、シフォン、ポップ、ありがとう!!」

 

 ゆりが、美希が、アコが、ポップ達に礼を述べる。のぞみはキュアモを手にすると、一同を振り返り、

 

「みんな、行くよ!!」

 

 のぞみの言葉に一同が頷くと、キュアモを、リンクルンを、ココロパフュームを、ココロポットを、そして、キュアモジューレを手に取り構えた。

 

「「「「「プリキュア!メタモルフォーゼ!!」」」」」

 

「スカイローズ!トランスレイト!!」

 

「「「「チェインジ・プリキュア!ビートアップ!!」」」」

 

「「「プリキュア!オープンマイハート!!」」」

 

「「「「レッツプレイ!プリキュア!モジュレーション!!」」」」

 

 のぞみ達、ラブ達、ゆり達、響達の身体が光に包まれプリキュアへと変身した。変身が終わったブロッサムとサンシャインは、変顔を浮かべながら、

 

「え、えりか!?何で変身しないんですかぁ?」

 

「もうみんな変身を終えたよ!」

 

 呆れたように変身していないえりかに声を掛けた二人だが、三人のえりかは、ココロパフュームの取り合いをしていて、

 

「だってぇぇ、金と銀のあたしがぁぁ・・・・・」

 

「ここは私に任せて頂きますわ!!」

 

「いや、私が行こう!二人はここで見学していれば良い!!」

 

「何言ってるのよ!あたしのココロパフューム何だから、返してよぉぉ!!」

 

 三人でココロパフュームを取り合うえりかに、パートナーのコフレはあたふたしながら、

 

「な、何やってるですかぁ!早くプリキュアになるですっ!!」

 

「こうなったら・・・コフレ、あんたが誰をマリンにするか選んでよ!だったら、文句ないよね?」

 

「それでよろしいですわ!コフレちゃんなら、必ず私を選んでくれますわ!!」

 

「私も異論は無い!誰がキュアマリンに相応しいか・・・コフレなら承知しているだろう!!」

 

「エェェ!?」

 

 三人のえりかから詰め寄られ、コフレが困惑気味に三人の顔を見比べる。えりかが三人も居る事自体非常識だが、更にこの中からマリンになる人物を選べと言われ、コフレは縋るような目をブロッサム達に向けるも、

 

「まあ、三人のえりかもああ言ってますし・・・コフレ、選んであげて下さい!」

 

 ブロッサムにも選ぶように頼まれたコフレは益々困惑し、金、銀、元祖、三人のえりかの顔をジッと見つめると、三人のえりかも身を乗り出し、ジッとコフレの顔を見つめ返した。コフレは決心したように、

 

「僕のパートナーは・・・プリキュアの種、いくですっ!」

 

 コフレから発せられたプリキュアの種が、元祖えりかの手に渡ると、

 

「ヨッシャァ!流石コフレ!!」

 

「コフレちゃん・・・信じて居たのに」

 

「コフレ・・・見損なったぞ!!」

 

 元祖えりかはニンマリし、金と銀のえりかは、恨めしそうにコフレを見つめた。コフレはそんな二人の視線にショックを受け、

 

「暫く・・・何処かに旅に出たいですっ・・・」

 

「コフレ、元気だすですぅ!」

 

 落ち込むコフレの背を、シプレがポンポン叩きコフレを励ました。元祖えりかは、金と銀のえりかを見つめると、

 

「じゃあ、約束だからねぇ・・・プリキュア!オープンマイハート!!」

 

 遅ればせながらも、えりかもキュアマリンに変身し、ブロッサムの隣に並び立った。ブルーム達四人にドリーム達も加わった事で、圧倒的プリキュアが有利になった。

 

「チッ・・・それで勝ったと思うなよ!!」

 

 桃太郎は忌々しげに舌打ちした。この人数差では、少々手を焼くかも知れないが、このままオメオメ逃げ帰るわけには行かない。桃太郎は、仲間達を見つめるや、

 

「このまま遅れを取っては・・・魔王様に申し訳が立たない!みんな、気合い入れていくぞ!!」

 

(魔王ですって!?)

 

 ムーンライトは、魔王と言う言葉に引っ掛かっていた・・・

 

 みゆきが魔王城に向かった事は、ポップの絵本で理解していたが、絵本の主人公達を操っているのが魔王だとすると、絵本に出てくる魔王では無く、魔界の関係者なのではと警戒心が沸き起った。

 

 まさか、この騒動を引き起こしたのは魔界の者なのだろうか?

 

 そうだとすれば、かなりの用心が必要ではないか?

 

 迷うムーンライトだったが、他の仲間達は、魔神が作り出した分身体と戦闘を開始しており、ハッと我に返ったムーンライトも、一同に遅れながら後に続いた。

 

 

 

 魔王は目を閉じ精神を集中させると、魔王の脳裏に絵本の主人公達とプリキュアの戦う姿が映ってくる。魔王はこの現状を理解すると、忌々しそうに目を吊り上げ、

 

「全く、次から次へと・・・もういいカゲェェ!この世界事、邪魔者達を排除するカゲェェ!!」

 

 苛々が頂点に達した魔王は、何かを念じると、魔王の身体から飛び出した影が、絵本の世界を暗く染めていった。住民達は、何事かと不安に駆られる者、恐怖に怯える者、そんな一同のネガティブな感情を吸い取っていくと、魔王の身体がドンドン巨大化していった・・・

 

「な、何や!?あの小っこいのが・・・」

 

「どんどん大きくなってるよ!」

 

 サニーが、ピースが、魔王を見て顔色を変えた。更に巨大になっていく魔王の姿が、怪鳥のような容姿に変わった・・・

 

 魔王城の窓から、この様子を見つめていたニコも驚愕する。ニコは窓から身を乗り出すと、

 

「魔王!どうしちゃったの?」

 

「ニコ、安心しろ!ニコを悲しませたみゆきを・・・この魔王自ら消し去ってくれるぅぅぅ!!!」

 

「エッ!?魔王、何を言って・・・」

 

 魔王はそう叫び、奇声を発すると、思わずブラック達、味方で有るはずのピーターパン達さへ、耳を塞いだ。徐々に歪む空間から、ムーンライト達一同も強制的にブラック達の下へと引き寄せられた・・・

 

(魔王、みゆきを消し去るって・・・違う!私はそんな事望んでない!!魔王を止めなきゃ!!)

 

 ニコは、魔王を止めようと窓から辺りを伺うと、地上から伸びた巨大な蔦が、窓の側に伸びているのに気付き、必死に手を伸ばすと、蔦に何とか飛び移り、魔王を止めるべく行動を開始するのだった・・・

 

 

 

3、ハッピーの危機

 

 魔王の力によって、強制的に魔王城へと引き寄せられたムーンライト達は、何が起こったのか理解出来ずに居た。辺りをキョロキョロ見回すと、驚いたような表情をしているブラックとホワイトに近付き、

 

「ブラック、ホワイト、あなた達が居ると言う事は・・・」

 

「みんな、無事で良かった!うん、此処がハッピーが乗り込んだ・・・魔王城!!」

 

「あの大きな変なのが、魔王何だって!元々はボーリングの玉ぐらいの大きさだったんだけどね」

 

 ホワイト、ブラックが、現われたムーンライト達に説明をするも、状況が飲み込めないメンバーは目の前でどんどん巨大化していく魔王を呆然と見つめた。ブラックは、変身していない金と銀のえりかを見付けるや、

 

「二人共、シプレ達と一緒に、あそこにある海賊船に避難してて!あそこには、シロップ達妖精のみんなも居るから・・・」

 

「そうですわね・・・プリキュアになっていない私達では、役に立てそうも無いですし・・・」

 

「不本意ながら承知しました!マリン、私達の分まで精進するように!!」

 

「分ってるって・・・金と銀のあたし、コフレ達を頼むね!」

 

 金と銀のえりかはマリンに頷くと、再びポップが変化した鷲の上に飛び乗り、シフォン、タルト、シプレ、コフレ、ポプリ、ハミィを伴い、海賊船へと避難して行った。

 

 ブロッサムと合流したマリンは、上を見上げると、

 

「ねぇねぇ、このままあいつを大きくさせたら・・・不味いんじゃないの?」

 

「そうですね・・・何だか、嫌な予感がしますねぇ」

 

「せやなぁ・・・よっしゃ~!みんな、ここはウチらに任せて貰いますかぁ?ハッピー、ピース、マーチ、ビューティ、ここはペガサスの力を借りて、一気にいてもうたろうやんかぁ!!」

 

 マリンやブロッサムの言葉も尤もだと理解したサニーは、ハッピー達仲間を誘い、嘗てペガサスの力を借りたレインボーバーストで、一気に決着を付けようと話を持ちかけた。ハッピーは、魔王が言っていた、みゆきがニコを悲しませたという言葉にまだ引っ掛かっていたが、確かにこのまま魔王を放置しておくのは、後々更なる危険を招きそうだと自分の気持ちを抑え、サニーの案に同意した。

 

 プリンセスキャンドルの柄に、プリンセスキュアデコルを嵌め込むと、

 

「「「「「ペガサスよ、私達に力を!!」」」」」

 

 五人がキャンドルを合わせ、ペガサスに力を貸して欲しいと願うと、五人の姿が、バッドエンド王国でピエーロと戦った時の姿へと変化を遂げていく・・・

 

「プリンセスハッピー!」

 

「プリンセスサニー!」

 

「プリンセスピース!」

 

「プリンセスマーチ!」

 

「プリンセスビューティ!」

 

「「「「「プリキュア!プリンセスフォーム!!」」」」」

 

 魔王を見つめた五人は、キャンドルのトリガーを引いてキャンドルを着火させ、五色のペガサスのオーラに五人が騎乗し飛翔する・・・

 

「届け!希望の光!」

 

「「「「羽ばたけ、未来へ!」」」」

 

 五色のペガサスは、上空で宙返りすると、

 

「「「「「プリキュア!レインボー・バ~~スト!!」」」」」

 

 五色のペガサスが合わさり、巨大な光のペガサスの口から、一度はピエーロすら退けた五色のエネルギー波が魔王目掛け放たれた!

 

「その程度の攻撃で・・・この魔王を倒せると思ったか?」

 

 魔王は口を大きく開けると、ピエーロのバッドエナジー砲を彷彿させる、黒い負のエネルギー波を放った。空間で激突する光と闇の力、だが、魔王の攻撃はレインボーバーストを遥かに凌駕し、五人を飲み込んだ。

 

「「「「「キャァァァァァァァ」」」」」

 

「ハッピー!サニー!ピース!マーチ!ビューティ!」

 

 直撃を受けた五人は、脆くも地上に激突し、プリンセスモードが解けノーマル姿に戻って蠢いた。心配そうにエコーが駆け寄り、ハッピー達五人を介抱するも、攻撃を仕掛けたハッピー達も、見届けていた他のプリキュア達も、信じられないといった表情をしていた・・・

 

「そ、そんなぁ・・・一度はピエーロさへ退けた、ハッピー達の攻撃を!?」

 

「それだけ、あの魔王の力は凄いと言う事ね・・・」

 

 メロディが呟き、拳をギュッと強く握りしめたムーンライトが、魔王を険しい表情で睨み付ける。

 

「流石は魔王様・・・さあ、お前達も魔王様の偉大さを思い知った所で・・・倒れるがいい!!」

 

 魔王の凄まじき力を目の辺りにし、桃太郎を始めとした絵本の主人公達が再び活気づいた。迎え撃つプリキュア達・・・

 

 ブラックとホワイトは、再び孫悟空一行と戦い始め、ブルーム達はピーターパンと、ドリーム達はシンデレラと、人魚姫と浦島太郎と戦うのはピーチ達、桃太郎一行と戦うのはブロッサム達、アラジンとアラジンが呼び出したランプの魔神と戦うのはメロディ達、ハッピー達を狙う金太郎を、加勢に駆け付けたルミナスがバリアを張ってガードする。

 

 だが、魔王の視線の先には、ハッピーの姿だけが映っていた。

 

 ニコを悲しませる全ての元凶みゆき・・・

 

 魔王は手を伸ばすと、まるでゴムのように魔王の手が伸び、ハッピーを掴むや自分の下へと引き寄せた。

 

「キャァァァ!」

 

「「「「「「ハッピ~~~!!」」」」」」

 

 魔王に隙を付かれたサニー達とルミナスの声が響き渡り、他のプリキュア達にも、ハッピーが魔王の手に落ちた事を悟る。だが、絵本の主人公達が一同の行く手を遮り、魔王の下へと近づけさせないようにしていた。

 

「魔王!もう、止めてぇぇぇ!!」

 

 蔦を飛び降りたニコが、魔王にそう叫びながら近付くも、魔王の耳には届かない。

 

「お前にも思い知らせてやる・・・ニコの悲しみの全てを!!」

 

「魔王・・・何を!?」

 

 魔王に問い掛けようとしたハッピーであったが、魔王の巨大な尾が、先端が鋭利に尖り、細長く七つに別れ、ハッピーの前に現われると、

 

 ハッピーの両腕を・・・

 

 ハッピーの両足を・・・

 

 ハッピーの腹部を・・・

 

 ハッピーの額を・・・

 

 そして、ハッピーの心臓を・・・

 

 ハッピーの肉体の七カ所を、嬲るように貫いた!!

 

 ハッピーは、自分の身に何が起こったのか分らない内に、次第に意識が遠のいていった・・・

 

「アッ・・・アァァ・・・」

 

「嘘!?」

 

 サニーが、マーチが、その無残なハッピーの姿を見て、目を見開き驚愕の表情を浮かべた。魔王が七本の尾を次々引き抜き手を放すと、ハッピーは全ての力を失ったかのようにダラリと手が垂れ、みゆきの姿に戻った。絵本の世界での衣装、ピーターパンの衣装を着たみゆきは、そのままグッタリ力なく地上へと落下して行った・・・・・

 

 その姿を、時が止まったように、ブラック達が、ブルーム達が、ドリーム達が、ピーチ達が、ブロッサム達が、メロディ達が、そしてサニー達が、驚愕の表情を浮かべ目を見開くと、

 

「みゆきぃぃぃぃぃ!!」

 

「みゆきさぁぁぁぁん!!」

 

「みゆきちゃぁぁぁん!!」

 

 涙ながらに絶叫する者、金切り声で叫ぶ者、怒鳴るような声で叫ぶ者、プリキュア達が、皆一斉にみゆきの名を絶叫するも、みゆきは答えない・・・

 

「「「「みゆきぃぃぃぃ!!」」」」

 

「みゆき殿ぉぉぉぉぉ!!」

 

 今にも海賊船から飛び出そうとするキャンディ、ウルルン、オニニン、マジョリン、そしてポップだったが、

 

「みんな、堪えて!今のあなた達が行っても・・・」

 

「みんな、耐えて!きっとマリンを始め、プリキュアのみんなが・・・みゆきを救ってくれる!!」

 

 今の自分達がみゆきの側に駆け付けても、返ってプリキュア達の迷惑になると判断した金と銀のえりかは、涙ながらに妖精達を必死に押さえつけた・・・

 

「ウッ・・・ま、不味いぞ」

 

 孫悟空一行の攻撃を受けて倒れていた牛魔王は、ヨロヨロ起き上がり、蹌踉めきながら必死に芭蕉扇を軽く振ると、芭蕉扇から発せられた緩やかな風が、みゆきの身体を優しく地上へと導いた。

 

 だが、みゆきの身体はピクリとも動く事は無かった・・・

 

「みゆきぃぃぃぃ!!」

 

 顔面蒼白でこの光景を目撃したニコは、涙を拭おうともせず、みゆきの下へと駆け寄って行った・・・

 

        第七十三話:キュアハッピー・・・絵本の世界に死す!?

                    完

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