プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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第七十八話:魔王と少女達(前編)

1、魔王と花鳥風月

 

 ジョーカーのトランプ王国襲撃・・・

 

 そんな事がトランプ王国で起こっていたとは、なぎさ達一同が知る由は無かった・・・

 

 この日、なぎさ、ほのか、ひかりの三人に呼ばれた一同は、集合場所の一つであるナッツハウスに集結した。少女達は、魔王を今後どうするか話し合っていた・・・

 

 

 なぎさ、ほのか、ひかりの話を聞きながらも、テーブルの上でニタニタしている魔王を見て、表情を曇らせているのは・・・

 

 咲、舞、満、薫

 

 のぞみ、りん、うらら、こまち、かれん、くるみ

 

 ラブ、美希、祈里、せつな

 

 つぼみ、えりか、いつき、ゆり

 

 響、奏、エレン、アコ

 

 そして、みゆき、あかね、やよい、なお、れいか、あゆみ

 

 なぎさも、魔王の気持ちを少しは汲み取りつつも、自分達が魔王に受けた仕打ちも正直に話し、何とか魔王の願いを叶えてやろうとはしていたのだが・・・

 

「って訳で、最初に私の家に現われた魔王は、結局三日間も居座り、次にほのかの家に行ったんだけど・・・」

 

「どこで調べたのか、海外に居るお母さんの所に迄出没して・・・」

 

「俺は魔王だからなぁ!お前達の身内の気配など・・・直ぐに分かるカゲェ!!」

 

 自信満々で踏ん反り返る魔王を、頬を膨らませたなぎさとほのかが見つめる。ひかりは苦笑を浮かべながら、

 

「家に来た時は、最初こそ騒いでましたけど、ポルンやルルンの遊び相手にもなってくれて、私も助かったんですよ!」

 

「ひかりは、なぎさとほのかと違い、俺と一緒に、お風呂に入ってくれたからなぁ・・・それくらいお安いご用カゲェ!!」

 

 その時を思い出したのか、魔王の表情がニヤニヤし、ひかりは恥ずかしそうに俯くと、

 

「このエロ魔王!ひかりに何してんのよぉぉ!!」

 

 今初めて聞いたようで、魔王を見てムッとしたなぎさは、ゴツンと魔王の頭に拳骨を炸裂させ、ほのかも怪訝な表情で、ジィと魔王を無言で見つめる。魔王はそんな二人に思わずビビリ、ひかりの後ろに慌てて隠れた。あゆみは不思議そうに首を傾げ、

 

「魔王・・・やけになぎささんとほのかさんに怯えてますよねぇ?」

 

「まあ、散々頭を殴ったから・・・かな!?折角私達がフォローしてあげてるのに・・・この分じゃ、記憶喪失って話も、どこまで信じて良いのやら・・・」

 

「言っておくけど、私は殴って無いわよ!でも、なぎさの言う通り、記憶喪失の話は・・・」

 

「それは本当の事カゲェェ!」

 

「「ジィィィ」」

 

 記憶喪失は本当だと訴える魔王に、なぎさとほのかは、同じような表情で疑惑の視線を浴びせた。魔王はパタパタ羽を羽ばたかせながら、宙に浮かび上がると、本当だと一同に訴え続けた。そんな魔王に、一同の冷めた視線が突き刺さった。なぎさはコホンと咳払いをすると、一同に話し掛け、

 

「で、みんなにナッツハウスに集まってもらったのは、魔王の事何だけど・・・」

 

「魔王曰く、私達一人一人の家に、一度泊まりたいんですって」

 

 ほのかも苦笑を浮かべながら、なぎさの言葉を引き継ぎ、一同に魔王の願望を伝えた。当然一同からは響めきが沸き起り、

 

「エェェェェ!?」

 

「よろしくカゲェ!」

 

 魔王は、愛想よく一同に媚びを見せるも、一同に思わず悪寒が走った。美希は、変顔を浮かべながらブルブル首を振り、

 

「嫌よ!ニコちゃんの所に帰れば良いじゃない!!」

 

 美希の言葉も尤もだと思いながらも、苦笑を浮かべたなぎさとひかりは、

 

「それ何だけどさぁ・・・魔王は元々、絵本の世界の住人じゃ無いんだってさ!」

 

「私達と一緒に居れば、記憶の手掛かりが得られるんじゃないかって思って、こちらの世界に来たそうです」

 

「記憶!?」

 

「そう言えば、さっきも言ってたけど・・・魔王って記憶喪失なの?」

 

「・・・・とてもそうは見えないけど?」

 

 二人の言葉を受け、美希、くるみ、満の疑惑の視線が魔王に浴びせられる。他の一同も、まだ何処か半信半疑の様子で、ジィと魔王を観察するように見つめた。だが、みゆきだけは魔王の言葉を信用しているようで、苦笑を浮かべながらも、

 

「でも、魔王は嘘を言ってないと思うなぁ・・・」

 

「せやかて、こないな危険人物、家に連れて行けへんわ!」

 

 あかねが魔王を指差し、変顔を浮かべながら否定すると、再びなぎさは苦笑を浮かべ、

 

「あぁ、魔王を庇う訳じゃ無いけど、それは大丈夫!最初に脅しておけば・・・」

 

「脅すの!?」

 

 魔王を脅しておけばと聞き、思わずえりかは目を点にして聞き返し、満と薫も少し驚いた表情を浮かべながら、

 

「でも、なぎさやほのかのお母さんにも、魔王はチョッカイ出したんでしょう?」

 

「ひかりの所は平気だったの?」

 

 薫に問われたひかりも苦笑を浮かべると、

 

「アカネさんにもチョッカイ出そうとしたので、それは止めてって頼んだら、私が一緒にお風呂に入れば、大人しくしてるって魔王は約束してくれましたよ!」

 

 ひかりの言葉を受け、一同の顔色は険しくなり、

 

「「最低!」」

 

 思わずハモリながら、のぞみとラブが・・・

 

「変態!」

 

 表情を険しくした響が・・・

 

「ほとんど脅迫じゃないのよ!」

 

 頬を膨らませた咲が・・・

 

「いつき・・・魔王の性根を、叩き直して上げた方が良いんじゃない?」

 

「そうだね、魔王!・・・・・メッ!!」

 

 えりかに頼まれたいつきは、ポプリを叱る時の要領で魔王を叱るも、言われた魔王も、見て居た一同も目を点にし、りんは苦笑を浮かべながら、

 

「ハハハ・・・何だ、そりゃ!?」

 

「エッ!?ポプリに注意する時に・・・」

 

 呆れたように突っ込みを入れるりんに、いつきは驚いた表情を浮かべ、ポプリを叱った時と同じようにした事を伝えると、ゆりも困惑気味に、

 

「それじゃあ、魔王の場合・・・まるで効果は無いと思うわよ?」

 

 れいかも頷きながら魔王を見つめると、

 

「魔王!それは人として道に反して・・・・・そういえば、魔王を人と捉えてもよろしいのでしょうか?」

 

 魔王を人と呼ぶべきか、少し困惑しているれいかに、なおは苦笑しながら、

 

「れいか・・・今はどうでも良いんじゃないかなぁ?」

 

 どうも、自分に対して一同が冷たいと感じた魔王は、少し寂しげな表情を浮かべると、

 

「お前達・・・もうちょっと俺を労(いたわ)って欲しいカゲ・・・」

 

「するかぁぁぁぁ!!」

 

 一同からの大ブーイングを受け、魔王の顔から汗が滴り落ちた・・・

 

 

 

 結局、魔王をこのまま放置する訳にもいかず、この日は咲達が魔王を連れ帰る事となった・・・

 

「魔王、最初に言っとくけど・・・あたし達や家族に、変な事しないでよねぇ?」

 

 変顔浮かべながら、咲は、舞が抱っこしている魔王に忠告を与えると、満と薫もウンウン頷きながら、

 

「まぁ、何かしたらしたで・・・」

 

「私達が、あなたを消滅させて上げても良いんだけど?」

 

 そう言うと、口元に笑みを浮かべながら魔王を見つめた。舞は苦笑を浮かべながら、

 

「満さん、薫さん、確かになぎささんは、最初に脅しておけばとは言ってたけど・・・ちょっと脅しすぎるのも、魔王が可哀想何じゃ?」

 

「ウゥゥ、舞!!」

 

「エッ!?キャァ!」

 

 魔王はオイオイ泣きながら、舞の胸に顔を埋めると、舞は思わず悲鳴を上げ、頬を染めた。忠告している側からの魔王の行いに、咲、満、薫は、表情を険しくすると、咲は魔王を舞から無理矢理引き離し、

 

「舞・・・舞ももっと怒らないと駄目だよ!」

 

「甘やかせたら・・・図に乗るわよ?」

 

「厳しく接するのも、魔王の為よ!」

 

「エェ!?そう言われても、今のは悪意があるとは思えないし・・・」

 

「舞は優しいカゲェェ・・・決めた!今日は舞の家に泊めて貰うカゲェェ!!」

 

「「「勝手に決めるなぁぁ!!!」」」

 

 ご機嫌で今日泊まる家を、勝手に舞の家に決めた魔王に、咲、満、薫が駄目出しをする。この状況で舞の家に泊まったら、魔王は何をしでかすか分からないと三人は判断した。

 

「今日は私達が泊めるわ!」

 

「変な真似をしたら・・・問答無用で消滅させるから!!」

 

「ウゥゥ・・・舞の家が良かったカゲェェ」

 

 こうして、魔王はこの日、満と薫の下で過ごした・・・

 

 

 翌日・・・

 

 満と薫、フープとムープ達と一緒に、疲れ気味の魔王がPANPAKAパンに現われた・・・

 

 テラス席に腰を下ろした満と薫、少し遅れて咲が来て同じテーブルに座ると、

 

「満、薫、おはよう!昨夜は二人共大丈夫だった?」

 

 咲がヒソヒソ声で二人に話し掛けると、満と薫は顔を見合わせクスリと笑むと、

 

「ええ、大丈夫よ!」

 

「フープとムープが、遊び相手が出来たと喜んで、一晩中遊んでたようだし」

 

 そういうと、二人は魔王をチラリと見た。魔王はテーブルの上で、時折コクリ、コクリと居眠りするも、ムープとフープに纏わり付かれて起こされ、迷惑そうにしていた。咲はそれを見るとニンマリし、

 

「じゃあ今日は、フラッピが一晩中魔王と遊んでて!」

 

 そう咲に言われたフラッピは、妖精姿になってテーブルの上に現われると、

 

「冗談じゃ無いラピ!」

 

 フラッピは、頬を膨らませて嫌だと拒絶した。腕組みしたフラッピは、

 

「大体、咲の裸何て・・・魔王も興味無いラピ」

 

「何ぉぉぉぉぉ!?」

 

 フラッピにからかわれ、咲は変顔を浮かべながら怒る中、魔王は咲をジィと見ると、

 

「・・・・・・まあ、大丈夫カゲ」

 

「その間は何よ!?その間はぁぁ?」

 

 頬を大きく膨らました咲を見て、フラッピと魔王が逃げ出し、咲が二人を追いかけ廻した。満と薫は、そんな咲達を見ると、クスリと笑っていた・・・

 

 

 その夜・・・

 

 魔王は魘されていた・・・

 

 巨大な何かに追われ、踏みつぶされた所で目が覚めると、目を開けた時、魔王の身体の上には、咲の左足が乗っかっていた・・・

 

「ど、どうりで重いと思ったら・・・ね、寝相が悪いカゲェ・・・」

 

「これでも大分マシになったラピ!前はもっと酷かったラピ」

 

 思わず顔を見合わせると、フラッピと魔王は溜息を付いた。そんな二人に気付かず、咲は気持ち良さそうに眠り続けた。

 

(こ、こんな事なら・・・内緒で咲ママと寝れば良かったカゲ・・・)

 

 魔王は深い溜息を付いて後悔していた・・・

 

 

 翌日・・・

 

 魔王を迎えに来た舞を見て、 魔王はご機嫌だった!

 

 この日は、自分に優しく接してくれた、舞の家に泊まれるのだから・・・

 

(舞なら、ひかりみたいに、きっと一緒に風呂に入れてくれるカゲェ!)

 

 嬉しそうにはしゃぐ魔王を、咲、満、薫がジィと見つめると、ヒソヒソ話を始め、

 

「ねぇ、このまま魔王を舞の家に泊めて大丈夫かなぁ?」

 

「いささか不安ね?」

 

「ええ、きっと良からぬ事を考えていそうね?」

 

 そんな三人を見た舞は、苦笑を浮かべながら、

 

「そうかしら!?大丈夫じゃ・・・」

 

「舞、考えが甘いよ!」

 

「そうよ!ひかりが受けた仕打ちを、考えてごらんなさい!!」

 

「きっと舞のお母さんを出しに、一緒に入らないと、舞のお母さんと入るとか言い出すわよ?」

 

「そ、そうかしら!?」

 

 そうは言うものの、確かにひかりは、魔王に脅迫紛いな選択を迫られ、魔王と一緒に風呂に入っていたのは事実だと考え、困惑した表情を浮かべた。満は、嬉しそうにはしゃぐ魔王を見つめながら、

 

「何か手を打った方が良いわね?」

 

 そんな少女達のヒソヒソ話に、魔王が気付く事は無かった・・・

 

 

 魔王を連れ帰った舞は、家の中を見渡すも、両親も、兄もまだ帰っては居ないようでホッと安堵した。自分の部屋に入ると、魔王をベッドの上に乗せ、

 

「魔王!約束して欲しいの・・・お母さんに変な事はしない事!後は、家族に見つからないようにして欲しいの・・・」

 

「それを守れば、舞は一緒に風呂に入ってくれるカゲェ?」

 

「エッ!?出来れば遠慮したいけど・・・・・」

 

「じゃあ、嫌カゲェ!」

 

 ふて腐れたようにソッポを向いた魔王に、舞が困惑していると、フワフワ浮かびながらフープとムープが現われ、魔王を見付けるや、二人は魔王に群がり、遊ぼうと魔王の周りを飛び回った。魔王は困惑気味に、

 

「な、何でお前達が、舞の家に居るカゲェ!?」

 

「満と薫に頼まれたムプ」

 

「魔王が一杯遊んでくれるからって言ってたププ」

 

「そんな事言ってないカゲェェェ!?」

 

 否定する魔王を無視し、二人は迷惑そうな表情を浮かべる魔王に纏わり付いた。舞は思わずクスリとすると、

 

(咲達、私の事を思って二人に頼んでくれたのね)

 

「魔王!ムープとフープが満足するまで遊んでくれるなら、後でみんなと一緒にお風呂に入りましょう!!」

 

「本当カゲェェ!?」

 

「舞、そんな約束して良いチョピ?」

 

「フフフ、大丈夫よ、チョッピ」

 

 魔王は目を輝かし、舞と一緒にお風呂に入れると大喜びをしていた。チョッピは不安そうに舞に話し掛けるも、舞は何故か笑みを浮かべて大丈夫と答えるのだった・・・

 

 ムープとフープが満足するまで遊んであげれば、舞とお風呂に入れる・・・

 

 魔王は、ムープとフープを相手に鬼ごっこなどをして相手をして上げるも、二人は中々満足する事はせず、魔王はバテていった・・・

 

「お、お前達、もう一杯遊んだカゲ」

 

「ププ~!次は何して遊ぶププ?」

 

「今度はかくれんぼムプ!」

 

「魔王が鬼ププ!」

 

「隠れるムプ!」

 

 そう言うと、二人は舞の家の中を、フワフワ浮かびながら何処かに隠れに向かった。

 

「カゲェェ!?」

 

 こうして、魔王はクタクタになるまで、ムープとフープの遊び相手を勤めた・・・

 

 疲れ切った魔王は、舞のベッドの上で羽を折り畳んで眠っていて、その側では、コミューン姿のムープとフープが眠りに付いていた。

 

「フフフフ、三人共疲れちゃったのね・・・魔王、お疲れ様!!」

 

 舞はクスリと笑うと、魔王達を起こさないようにベッドに入ると、眠りに付いた・・・

 

 

 

2、魔王の思いやり

 

 困惑気味にナッツハウスに集結したのぞみ、りん、うらら、こまち、かれん、くるみは一同にジュースを差し出しながら、

 

「遂に私達の番が来ちゃったわねぇ?」

 

「ハハ・・・出来れば連れて帰りたくは無いけど、なぎささん達も、咲達も預かってたし、あたし達も預からない訳にはいかないよね?」

 

 乾いた失笑をしながら、テーブルの上に座る魔王を見てりんが答える。

 

「どういう順番にしますか?」

 

「そうねぇ・・・此処は公平にジャンケンで勝った人から選びましょう!」

 

「「「「「異議無し!」」」」」

 

 うららに聞かれた一同、こまちの提案に一同も同意し、

 

「「「「「「ジャンケン・・・ポン!!」」」」」」

 

 六人の少女達が、ジャンケンで魔王を預かる順番を決めた!

 

 初日はうらら、後は順にくるみ、こまち、りん、のぞみ、最後にかれんという順番に決った・・・

 

「まあ、家はお父さんとお爺ちゃんと私の三人暮らしですから、家族に付いての心配は無いと思いますけど・・・」

 

「その分、うららの身が危険な気もするわねぇ?」

 

「そうだねぇ・・・うらら、大丈夫?」

 

「エェェ!?りんさん、のぞみさん、脅かさないで下さいよぉ?」

 

 りんとのぞみに脅され、不安がるうららではあったが、魔王を連れて家に帰った・・・

 

 

「此処が私の部屋よ!私、今日は夕飯を作るから支度しに行くけど、魔王は部屋でおとなしくしてて!!」

 

「夕飯の支度!?うららのママはしてくれないカゲェ?」

 

「私のお母さんは・・・私が小さい頃に亡くなったから・・・」

 

「・・・・・・ゴメンカゲェ!」

 

「ウウン・・・魔王にも、後でうらら特製カレーでも食べさせてあげるね!」

 

 うららは、笑みを浮かべると、台所にカレーを作りに向かった。魔王はうららのベッドにゴロンと横になると、

 

(うららに悪い事聞いたカゲェ・・・)

 

 魔王も、この世界でプリキュア達と生活を共にする事で、色々な事を学んでいた・・・

 

 なぎさ達と出会った頃の魔王なら、このような自己嫌悪に陥る事も無かったであろう・・・

 

 魔王はうららの部屋を見渡すと、一つの写真立てが目に止まった。その写真の中には、綺麗な女性が、綺麗な衣装を纏い、何か歌っているような表情をしていた。

 

(ひょっとして、この写真がうららの・・・)

 

 写真に写る美女を見た魔王だが、珍しく欲情する事も無かった・・・

 

 ただ、写真の中の女性をジィと見つめるのみだった・・・

 

 

 うららの手作りカレーを御馳走して貰った魔王、一応うららに一緒に風呂に入ってくれるか許可を求めた所、うららに苦笑を浮かべながら断られたものの、魔王はあっさり引き下がり、うららの部屋でおとなしくしていた。

 

 その夜、眠りに付いたうららの寝顔を見つめた魔王は、うららの母まりあの写真に影を伸ばし、更に祖父平蔵、父ミッシェルにも影を伸ばし、二人からまりあの記憶を得ると、寝ているうららの頭にも影を潜り込ませた。

 

「夢の世界の・・・あいつの力を借りるカゲ!」

 

 魔王は精神統一すると、深い眠りに付いた・・・

 

 

 スヤスヤ眠っていたうららは、誰かに呼ばれたような気がして目を覚ました。

 

「魔王!?でも、女性の声だったような!?」

 

「うらら!うらら!!」

 

 確かに女性が自分の名前を呼びながら近付いて来る。困惑するうららだったが、背後を振り返った時、うららは思わず目を見開き呆然とした。

 

 そこには、うららが物心付く前に亡くなり、写真や映像でしか見た事のない母親の姿があったのだから・・・

 

「うらら・・・大きくなったわねぇ?」

 

「お母さん!?これは・・・夢?」

 

 ニッコリ微笑みながらうららを抱きしめたまりあ、うららの目からポロポロ涙が零れた。夢でも良い、心の奥底で母に抱きしめて貰える事を、何度願った事か・・・

 

 そんなうららを見た魔王は、

 

「うらら、これは俺からのプレゼントカゲェ・・・」

 

 魔王は幸せそうなうららを見て居ると、自分の事のように自然と笑みが浮かべながら夢の世界から去っていった。

 

「全く、魔王も酔狂な所があるわねぇ・・・」

 

 魔王が去った後、長い耳と額に月のマークをした桃色の身体をした妖精が姿を現わした。その背後から、水色の小柄な体をし、同じように額に月のマークをした水色の小さな身体をした妖精がチラチラ顔を覗かせていた。桃色の妖精がエプロンをしている姿は、水色の妖精の母親なのだろう・・・

 

 二人は宙を見上げ、うららとまりあの再会を、目を細めながら見守った・・・

 

 

 翌日・・・

 

 うららの家からナッツハウスにやって来た魔王を、ミルクが渋い表情で出迎えた。魔王もミルクを見て不満そうに、

 

「何でお前は、人間の姿になってないカゲェ!?」

 

「魔王と一日一緒に居るのに、なる訳無いミル!」

 

 魔王が何度おねだりしても、ミルクがくるみの姿になる事は無かった・・・

 

(ミルクの奴・・・俺の頼みを拒否するとは・・・)

 

 魔王は目に炎を点した・・・

 

 その夜魔王は、うららと違い、ミルクには怖い夢を見せ、ミルクは一晩中魘(うな)されていた・・・

 

 

 翌日、魔王を迎えに来たこまちは、疲れ切っているミルクを見て小首を傾げ、

 

「ミルクさん・・・何かあったの!?大分お疲れのようだけど?」

 

「ミ、ミル!悪い夢を見て・・・こまち、早く魔王を連れて行ってミル!!」

 

「分かったわ!魔王さん、今日一日よろしくね!!」

 

「こちらこそヨロシクカゲェ!」

 

 魔王はミルクに舌を出すと、ミルクも負けじと舌を出した。こまちはそんな二人を見ると、思わずクスリと微笑んだ。

 

 こまちの家に泊まった魔王であったが、こまちの姉まどかを見てご機嫌だったものの、男勝りな性格のまどかは、ぬいぐるみの振りをして抱いて貰おうとする魔王に全く興味を示さず、頼みのこまちも一緒にお風呂に入ってくれず、魔王は渋々、

 

「じゃあ、せめて・・・一緒に寝るカゲェ!」

 

「ゴメンなさい!私、小説の構想を考えながら寝たいの!!」

 

「カゲェェ!?」

 

 なぎさ、ほのか、ひかり、咲達四人でさえ、一緒に添い寝はしてくれたのに、ミルクは兎も角、こまちは添い寝もしてくれないのかと、魔王は見る見る不機嫌になり、こまちはお詫びの羊羹で誤魔化すのだった・・・

 

(仕方無いカゲェ・・・りんの家では・・・)

 

 次のりんの家に期待を込めた魔王だった・・・

 

 だが、魔王は知らなかった・・・

 

 りんの家には、恐れを知らぬりんの弟と妹が居る事を・・・

 

 

 翌日、りんの家に来た魔王であったが、りんの母和代を見るや、

 

「美人カゲェ・・・」

 

「ちょっとぉ!あたしのお母さんを、変な目で見ないでくれる?」

 

 やっぱり連れて来なきゃ良かったと後悔したりんであったが、連れて来たものはしょうがないと、自分の部屋に連れて行き、

 

「魔王、あたしの部屋から出ないでよ!部屋から出て弟や妹に見つかっても、

 あたし知らないからね!!」

 

 りんに釘をさされた魔王だったが、りんが店の手伝いに出ている隙に、和代の姿をもっと見て見たいとそっと抜け出すと、

 

「アァァ!?変なのが居るぅ?」

 

「本当だぁ・・・」

 

「し、しまったカゲェ!?」

 

 迂闊にもりんの弟ゆう、妹あいにみつかり、魔王は動揺した。二人は顔を見合わせニヤリとし、魔王を捕まえると、魔王の身体を思いっ切り引っ張り、遊び始めた。魔王は必死に逃れようと試みるも、ゆうとあいはしっかり魔王を捕まえて居て、

 

「スゲェ!こいつ、どこまでも伸びるぞ?」

 

「本当だぁ・・・面白い!!」

 

「や、止めるカゲェ~~」

 

「アレェ!?こいつ喋ったぞ?」

 

「面白~~い!もっと伸ばそう!!」

 

 まるでおもちゃのように散々弄り回され、魔王は困惑し、

 

「り、りん!助けてカゲェェェ!!」

 

 だが、りんは家の花屋の手伝いで忙しく、りんの家族に危害を加える訳にもいかず、魔王は何とか二人から逃れると、慌てて逃げ出し、店に出ていたりんと和代は、慌てふためきながら飛び出して来た魔王を見て目を点にし、

 

「魔王!ちょっとぉ、勝手にどこ行くのよ?」

 

「りん・・・何、あれ!?」

 

「エッ!?エェェとぉ・・・・」

 

 母和代にどう言い逃れしようかと困惑するりんであった・・・・

 

 

 夢原家・・・

 

 ベッドに寝っ転がり、お菓子を食べながら雑誌を読んでいたのぞみだったが、何やら外から声が聞こえ、不思議そうに窓を開けると、

 

「カゲェェェェ」

 

「ウワァァァァ!?」

 

 のぞみは、何者かの体当たりを受けそのまま後ろに倒れ込んだ。イタタタと起き上がったのぞみは、飛び込んで来たのが魔王だと分かって驚き、

 

「ま、魔王!?何で家に!?今日は、りんちゃんの家に泊まる日でしょう?」

 

 魔王はそんなのぞみの言葉にブルブル頭を振り、

 

「りんの家は、もう懲り懲りカゲェ!これ以上居たら・・・あの二人にどんな目に遭わされるか分からないカゲェ!!のぞみ、今日は泊めて欲しいカゲェ!!!」

 

「あの二人!?・・・ああ、ゆうちゃんとあいちゃんの事?成る程ねぇ・・・」

 

 ウルウルした瞳で哀願され、のぞみは困惑するも、ゆうとあいに追い回された魔王を思うと少し同情し、

 

「ウ~ン、そういう事情なら仕方ないか・・・分かった、良いよ!りんちゃんには、私から連絡しておくから、ちょっと部屋で待ってて!!」

 

 のぞみはそう言い残し、部屋から出て行った。魔王はホッと安堵し、

 

「た、助かったカゲェェ・・・」

 

 魔王は落ち着きを取り戻すと、のぞみの部屋を見回した。机に飾られたプリキュアの仲間達や、深い絆で結ばれたのぞみ、りん、うらら、こまち、かれん、くるみ、そして、人間姿のココ、ナッツ、シロップ、シロップに抱かれたメルポの集合写真が飾ってあった。

 

「こいつら・・・何者カゲ!?」

 

 魔王は、シロップの事は世界絵本博覧会の会場で見て知っていたが、ココとナッツには会って居なかった。

 

「何か妙に馴れ馴れしい奴カゲ!」

 

 まるでのぞみ達は自分のものだとでも言いたげに、不機嫌そうにする魔王だったが、

 

(そういえば、前にニコと一緒に此処に来て、みゆきの様子を見に来た時、のぞみには美人のママが居た気が・・・)

 

 そっと窓から外に抜け出すと、のぞみの母恵美の様子を覗きに向かった・・・

 

「魔王、りんちゃんに連絡しておいたよ!・・・魔王!?」

 

 戻って来たのぞみだったが、部屋の中に魔王の姿が見つからず困惑するも、

 

「ひょっとして・・・お母さんの所!?お母さん、今からお風呂入るって言ってたよね・・・ヤバイ!!」

 

 のぞみは激しく動揺しながら部屋を飛び出すと、浴室に向かった。着替えを置いて、さあ服を脱ごうとしていた恵美を、のぞみは慌てて止めると、浴室の電気を付けて、辺りに魔王が居ないか目で捜して見るも、魔王の姿は無さそうでホッと安堵した。

 

「のぞみ、なぁに!?何かお風呂入った時に居たの?」

 

「う、ううん、何となく気になって・・・アハハハハ」

 

「変なのぞみ!?」

 

 恵美は小首を傾げ、再び服を脱ごうとすると、再びのぞみが浴室を開けてキョロキョロ辺りを伺うも、魔王の姿は無かった。恵美は目を点にしながら、

 

「何なの!?さっきから?」

 

「アハハハハ!お母さん、気にしないで!!」

 

 のぞみは苦笑を浮かべながら浴室を立ち去り、恵美はそんなのぞみを見て小首を傾げた。

 

「魔王、何所に行ったんだろう?」

 

 ウ~ンと考えながら自分の部屋のドアを開けたのぞみは、思わず中に居た人物を見て目を輝かせると、

 

「コ、ココ!何時こっちに来たの?」

 

「やあ、ついさっきシロップに送って貰ってね!それより・・・窓からのぞみの家を覗いていた変な奴を捕まえたんだが・・・ひょっとして、彼がミルクが言ってた魔王かい?」

 

 人間姿のココが、ヒョイと持ち上げると、離せと言いながらジタバタしている魔王が居て、のぞみは目を点にする。

 

「魔王!何所に行ってたのよぉ?勝手に出歩いちゃ駄目でしょうがぁ!!」

 

「俺の勝手カゲェ!」

 

 ソッポを向く魔王に、のぞみはみるみる頬を膨らまし、

 

「何よ!りんちゃんの所から逃げて来たから、可哀想だなぁと思って泊めてあげようと思ったのに・・・」

 

「エッ!?魔王は今日のぞみの家に泊まるのかい?・・・そうか、ミルクから聞いて、何か嫌な予感がしたから、ナッツにパルミエ王国の事を頼み、一日早くシロップに迎えに来て貰い、こっちに来て正解だったようだ!」

 

「エッ!?ひょっとして・・・ココは私を心配して!?」

 

「アッ!?いや、そのぉ・・・」

 

「もう、ココったらぁ・・・」

 

 見つめ合い、自分達の世界に浸るのぞみとココを見た魔王は、不機嫌そうにココに体当たりすると、ココは堪らず妖精姿になって後ろに倒れ、

 

「コ、ココォ!?」

 

「ココ、大丈夫?・・・魔王!!!」

 

「ウッ・・・のぞみが依怙贔屓するから悪いカゲェ」

 

「もう、魔王がいけないんでしょう!」

 

「もう、いいカゲェェェ!」

 

「アッ!?魔王!待って、魔王!!」

 

 のぞみの呼び止める声も聞かず、魔王は暗闇の中を去って行った・・・

 

「少し言い過ぎたかなぁ・・・」

 

 去っていた魔王の身を案じるのぞみであった・・・

 

 

 去って行った魔王はと言えば・・・かれんの家にやって来ていた。突然現われた魔王に驚いたかれんであったが、かれんは魔王を自分の部屋に入れ、魔王の愚痴を苦笑混じりに聞いていた・・・

 

「全く・・・みんな酷いカゲェェ!」

 

「フフフフ、でも、勝手に出てきては駄目よ!のぞみには、私から連絡を入れておくわ!!」

 

 そう言うと、かれんは携帯を手に取り、のぞみにメールをし、魔王は家に来ているから安心して欲しい事を伝えた。魔王に取って幸いなのは、かれんの家には、かれんの他には執事の坂本が住み込んでいるだけだった。

 

「魔王、私の家には、私と爺やしか居ないから、爺やに見つからないようにしてくれれば、好きなように過ごしてくれて良いわ!」

 

「ほ、本当カゲェ!?じゃ、じゃあ、お風呂も?」

 

「別に入っても良いわよ・・・一人でならね?」

 

 かれんはそう言うと、魔王にウインクし、魔王は不満気な表情を浮かべた。かれんは、勉強があるからと、自室に籠もり受験の為の勉強を始め、魔王は邪魔にならないようにかれんの家を探索しだした。

 

(随分広い家カゲェ!?)

 

 魔王は外に出て夜空の中、水無月家を見るも、空から見渡しても、かれんの家の広大さが分かった。

 

(こんな所に、かれんは召使いと二人で暮らして寂しく無いカゲェ?)

 

 パタパタ宙に浮かびながら、そんな事を考えて居た魔王、家の中に戻り、大きな大広間に出ると、高価そうな家具類の上に、写真立てが飾られていた。写真には、かれんに似た女性が、バイオリンを弾いている姿が写っていた。

 

(これがかれんママカゲェェ・・・かれんに似て綺麗カゲェ!でも、子供を放っておくのは、ダメカゲェ・・・)

 

 魔王はジィと写真を凝視すると、何処かへと姿を消した・・・

 

 

 黙々と受験勉強をしていたかれんの部屋のドアがノックされ、

 

「お嬢様、お食事の用意が出来ましたが・・・こちらでお召し上がりになられますか?」

 

「いえ、ダイニングで頂くわ!ありがとう、爺や!!」

 

 かれんは、受験勉強を中断し、広々としたダイニングにある大きなテーブルに並ぶ豪華な料理の数々の前に座るも、何処かに出掛けたきり戻ってこない魔王に気付き、些か表情を曇らせた。

 

(魔王・・・何所に行ったのかしら?)

 

 困惑していたかれんだったが、ナイフとフォークを手に取り食事を始めた。今日の食事は、かれんの大好きな伊勢海老を使ったテルミドール、ベーコンとレンズ豆を使ったタルティーヌ、鴨フィレ肉のカシスソースヴァルサミコビネガー風味など、フランス料理の数々だった。このような料理を家庭で作れる、執事の坂本の腕前は並々ならぬ物があった。

 

 かれんは、ゆっくり味わうように食事をしていく・・・

 

 かれんは、のぞみ、りん、うららのように、食べるペースは早くはないが、量は食べるので、坂本も、かれんの為に料理の腕を振るうのは楽しみの一つでもあった・・・

 

「爺や、ありがとう!御馳走様!!」

 

 ナプキンで口元を拭くかれん、あれだけの量を一人で完食し、坂本は嬉しそうな表情を浮かべた。かれんはちょっと恥ずかしそうにしながら坂本に話し掛け、

 

「爺や、少しで良いから、まだお料理の方残って居たら、小皿にでも小分けして貰えないかしら?」

 

「はい、まだ残っておりますので・・・お夜食にでも致しましょうか?」

 

「ええ・・・いえ、このまま貰って行くわ!」

 

(魔王が何時戻ってくるか分からないし・・・)

 

「畏まりました!少しお待ち下さいませ!!」

 

 坂本が大きなキッチンに向かうと、かれんはリビングで腰掛け休息をしようとした。その時、水無月家に電話が鳴り響き、かれんが電話に出ると、それはかれんの母からだった。思わずパッと表情を明るくするかれんは、

 

「お母様!ご無沙汰しております!!」

 

 かれんが最後に母に会ったのは、ノイズとの戦いを終え、バッドエンド王国が現われるまでの仮初めの平和の中の正月だった。

 

 あれから数ヶ月・・・

 

 世界的音楽家であるかれんの両親は忙しく、中々娘かれんに連絡をする事も出来なかった。寂しく無いと言えば嘘になるが、かれんもその事は重々承知をしていて、両親と電話でコミュニケーション出来る事を楽しみにしていた。

 

「かれん、身体の調子はどうかしら?遅くにゴメンなさい!今日突然電話をしたのには、ちょっと訳があって・・・さっきウトウト眠っていたら、夢の中に角の生えた丸っこい蝙蝠みたいな生き物が現われて・・・」

 

「エッ!?」

 

 母の報告を聞いたかれんの表情が、見る見る青ざめた。母は確かに角の生えた丸っこい蝙蝠みたいな生き物と言っていた。かれんの脳裏に真っ先に浮かぶ人物、それは魔王!

 

(ま、まさか!?)

 

 かれんの顔から冷や汗が流れた。一体魔王は、母に何をしでかしたのだろうか?そう思うと気が気では無かった。だが、母の口からは予想外の言葉が飛び出した。

 

「その生き物は、かれんは寂しがってるから、頻繁に連絡を入れなきゃ駄目だって怒られて・・・確かに、最近かれんに連絡を入れる暇も無かったから、私も気になって電話をしてみたの」

 

「そ、そうですか・・・」

 

 そう言葉を返しながら、かれんは動揺した。なぎさ達から聞いていた魔王の印象では、母の下に出向いた魔王は、母に何かイヤらしい事でもしたのでは無いかと気が気では無かった。だが母の話を聞く限り、魔王が母の下に訪れたのは、自分の事を思ってくれたからだと知り、かれんは自分の思い込みを反省した。

 

(魔王・・・私の事を思って・・・)

 

 母との会話を終えたかれんは、魔王の帰りを待っていると、魔王は少し疲れた表情で帰ってきた。

 

「魔王・・・何所に行ってたのかしら?」

 

「カ、カゲ・・・ちょ、ちょっと散歩カゲ」

 

「そう・・・まぁ、随分汚れたわねぇ?」

 

 かれんは、埃まみれになった魔王の身体を拭いて上げると、

 

「いらっしゃい!身体を洗ってあげるから!!」

 

「カゲ!?・・・まさか、一緒に?」

 

「さあ!?魔王がおとなしくしてたら考えるわ!フフフ」

 

 思わずクスリと笑い、かれんは魔王を抱き上げると浴室へと向かっていた・・・

 

(今日は散々な日だと思ったら・・・最後に良い思いが出来たカゲェェ!何か、明日からのラブ達の町での暮らしも・・・楽しめそうカゲェェ!!)

 

 魔王はご機嫌で鼻歌を歌い、かれんを苦笑させた・・・

 

 

 その四つ葉町では・・・・

 

「「「「クション!!」」」」

 

 ラブ、美希、祈里、せつなの四人は、それぞれ自分の部屋で同時にクシャミをして、背筋に悪寒が走った・・・

 

(何だろう・・・凄く嫌な予感がする!?)

 

 ラブは思わずブルブル身体を震わせると、早めに休もうとベッドに潜り込むのだった・・・

 

 

3、魔王の前尻尾

 

 かれんからの連絡を受け、ラブ、美希、祈里、せつなが、アカルンの力を借りてナッツハウスへとやって来た。魔王を迎えに来た筈の四人だったが、その表情は何処か冴えなかった・・・

 

 出迎えたのぞみ、りん、うらら、こまち、かれん、くるみ、そして、ココとシロップは苦笑気味に、テーブルの上にフワフワ浮いている魔王を見て居た。

 

「ねぇ、あたし達の所に魔王が来るのって・・・早すぎない?」

 

「私も・・・まだ数日あると思ってたよ」

 

 美希とラブが、テーブルの上でご機嫌な表情を浮かべる魔王を見て、困惑していると、のぞみとりんは申し訳なさそうに、

 

「ゴメンねぇ・・・私の家とりんちゃんのお家から、魔王は出て行っちゃったから、私達の家には泊めてないの!」

 

「あたしも魔王をもう一度泊めようとしたんだけど、魔王が嫌がっちゃって・・・」

 

「当たり前カゲ!りんの家に行ったら・・・またあの二人にどんな目に遭わされるか分からないカゲェ」

 

「アハハハハ・・・・だから、あたしの部屋から出るなって言ったのに」

 

 魔王に愚痴を言われたりんが、苦笑気味に答える。チラリとのぞみを見た魔王は、

 

「のぞみの家じゃ、ココって奴と目の前でイチャイチャされるだけカゲ!」

 

「イヤだなぁ!もう、魔王ったら・・・イチャイチャだ何てぇ・・・ねぇ、ココォォ?」

 

「エッ!?ああ・・・そうだね・・・」

 

((((甘酢っぱぁぁい!!))))

 

 魔王の言葉に、満更でも無さそうにするのぞみとココを見て、ラブ達は思わず心の中でウエスターのようにツッコミを入れた。

 

「魔王さん・・・随分ご機嫌ね?」

 

「フフフン!フフフン!昨日は、かれんと一緒にお風呂に入って身体を洗って貰ったカゲェ!!」

 

「「「「「「「「「「エェェェェェ!?」」」」」」」」」」

 

 祈里の問い掛けに、鼻歌交じりの魔王が答え、かれんを除いた一同が同時に驚愕の声を発した。かれんは苦笑を浮かべながら、

 

「フフフ、みんな、騒ぎ過ぎよ!魔王はちゃんとおとなしく良い子にしてたわよ・・・ねえ、魔王?」

 

「フフフン!フフフン!」

 

(魔王が大人しくしてた!?・・・どうも信じられないんだけどなぁ?)

 

 魔王は、昨夜の鼻歌を再び歌い出し、その姿を見たラブ達四人は背筋が寒くなった・・・

 

 

「まあ、理由は大体分かったわ・・・魔王、いらっしゃい!四つ葉町に行くわよ!!」

 

「よろしくカゲェ!」

 

 せつなに呼ばれた魔王は、フワフワ浮かびながら、ラブ達の側に来ると、

 

「じゃあ、のぞみちゃん達、またねぇ!」

 

「うん!悪いけど、魔王をお願いね!!」

 

 のぞみ達は手を振りながらラブ達を見送り、ラブ達は、四つ葉町へと帰って行った・・・

 

 

 一先ず公園にあるカオルちゃんのドーナツ屋にやって来た一同が、順番をどうするか話し合っていた・・・

 

 魔王はカオルちゃんから、お近づきの印にと貰ったドーナツを食べて、益々上機嫌だった。そんな魔王を、四人は微妙な表情で見つめると、美希は溜息混じりに、

 

「ハァ・・・ねぇ、あたし、嫌な事はさっさと済ませたいから・・・あたしが最初に魔王を泊めるわ!」

 

「じゃあ、私が美希ちゃんの次に泊めるね!」

 

「分かった!じゃあ、私とせつなが最後に泊めるって事で・・・良い、せつな?」

 

「分かったわ!ゆりさん達の所には、私が連れて行くわ!!」

 

 こうして、魔王は美希と共に美希の家へと向かった・・・

 

 

 美容室をやっている美希の母レミ、ちょうどお客さんの接客中だったようで、美希は素早く魔王を抱くと、お客さんに会釈しながら奥に入っていった。チラリとレミを見た魔王は、案の定欲情し、美希は慌てて魔王を自分の部屋へと連れて行った。ご機嫌で美希の部屋の中ではしゃぐ魔王を見て、美希は溜息を付くと、

 

(ハァ・・・最初に泊めるとは言ったものの、ママに魔王の事何て言おうかしら?)

 

 ラブ、美希、祈里の家族達は、自分達がプリキュアだと知っているので、魔王の事をちゃんと話しても信じて貰えるだろうが、やはり、魔王を家に連れて帰るのは気が引けていた。特に美希の家は、美希と母レミの二人暮らしなのだから・・・

 

(和希を呼んで、あたしとママがお風呂に入っている間だけでも見て貰うとか・・・・・でも、それじゃ和希に悪いか・・・)

 

 妙に真剣な顔で思案している美希を見た魔王は、不思議そうに小首を傾げ、

 

「美希・・・悩み事なら相談に乗るカゲ?」

 

「ありがとう・・・・・って、あなたの事で悩んでるのよぉぉ!」

 

「カゲェ!?」

 

 何故自分の事で美希が悩んでいるのか理解出来ず、魔王は再び小首を傾げた。

 

「ハァ、悩んでても仕方無いか・・・兎も角、魔王!あたしの部屋から勝手に出ないでよね?」

 

「おとなしくしてたら、美希は・・・・」

 

「嫌よ!」

 

「ま、まだ話は終わってないカゲ!」

 

「聞かなくても分かるわよ!どうせ、おとなしくしてたら、一緒に風呂に入ってくれるのかって言おうとしてたんでしょう?」

 

「ウッ!?」

 

「ほら見なさい!だから嫌だって言ったの!!」

 

 美希に呆気なく拒絶され、魔王は不機嫌そうにしているも、更に美希は、魔王の考えはお見通しとばかりに畳み掛け、

 

「言っておくけど、あたしに拒否されたからって、ママに変な真似してごらんなさい・・・直ぐに家から追い出すわよ!」

 

「ウゥゥゥ・・・何で美希は俺を嫌うカゲ?」

 

「ハァ!?魔王、あたし達の服を隠した事・・・忘れて無いわよねぇ?あんな恥ずかしい真似されて、嫌わない訳無いでしょう!!」

 

「それは・・・ショーに協力したから許してくれた筈カゲ!」

 

「分かってるわよ!だから渋々あなたを泊めて上げてるでしょう・・・」

 

 美希に凄まれ、少しションボリした魔王を見て、美希も少し言い過ぎたかと反省し、

 

「魔王、お腹減ってない?何か食べたい物があるなら言ってごらんなさい」

 

「と言われても、こっちの世界の食べ物はまだよく分からないカゲェ・・・美希が作るのなら何でもいいカゲ」

 

「それもそうね・・・じゃあ、夕飯のおかず作ってくるから、魔王は部屋に居て!おとなしくしてなさいよ?」

 

 美希はそう言い残し、夕飯を作りに台所へと向かった。魔王はキョロキョロと部屋の中を見渡してみると、美希はモデルをしているだけあって、ファッション雑誌が多く置いてあった。積み上げてあった雑誌を、魔王は影を伸ばして取ろうと試みるも、変な取り方をした為に、積まれていった雑誌が倒れ、魔王が顔色を変えた。

 

(ま、拙いカゲェ・・・また美希に嫌われるカゲ!)

 

 動揺した魔王は、伸ばした影を手の代わりにして一冊一冊積み上げていると、

 

「何の音かしら!?美希は台所に居たし・・・」

 

 お客が帰り、下で休憩していたレミは物音を不審がり、美希の部屋をノックし、ドアを開けると、雑誌を持ったまま困惑している魔王と目と目が合った。だがレミは、魔王を見てもさして驚かず、

 

「あら、美希のお友達かしら!?」

 

「ま、魔王カゲェ!よ、よろしくカゲェ!!」

 

 見つかってしまったものはしょうがないと、魔王が破れかぶれでレミに挨拶すると、レミはニコニコしながら、部屋の中に入って魔王の側に座り込んだ。レミの黒いミニスカートが少し捲れ上がり、レミの熟れた太股が見えて、魔王は思わずゴクリと生唾を飲み込んだ。

 

「まぁ、魔王ちゃんって言うの?初めまして、美希のママのレミでぇす!魔王ちゃんは、タルトちゃんやシフォンちゃんのお友達かしら?」

 

 レミに聞かれた魔王は、タルトとシフォンの事を思いだし、

 

「まだそんなには親しくないカゲ!最も、記憶が戻ってないから昔がどうだったかは分からないけど・・・」

 

「まぁ!?魔王ちゃん、記憶喪失なの?可哀想に・・・タルトちゃんも、シフォンちゃんも、とっても良い子達だから、魔王ちゃんも直ぐに仲良くなれるわ!」

 

「・・・どうせなら、美希ママと仲良くなりたいカゲ!」

 

「あらまぁ!魔王ちゃんたら、正直何だからぁ・・・」

 

 そう言うと、魔王を抱き上げ抱きしめると、魔王はレミの心地良い感触に目を細めた。

 

 そんな会話で盛り上がって居る魔王とレミ、台所に居た美希は、二階が騒がしい事に気付き、慌てて自分の部屋に舞い戻ると、

 

「魔王!ドタバタ何を・・・・って、ママ!?な、何してるの?」

 

 美希は、部屋の中で楽しげに談笑している魔王とレミを見て目を点にし、レミは目頭を押さえながら、

 

「聞いて、美希ちゃん!魔王ちゃんったら、可哀想に記憶喪失何ですって!!」

 

「そ、それは知ってるけど・・・」

 

「まぁ、美希!そんな可哀想な魔王ちゃんを一人にする何て・・・ママは、ママは、美希をそんな薄情な子に育てた覚えは無いわ!!」

 

「エッ!?薄情って・・・あたしは別に・・・」

 

 何やら魔王と仲良くなっているレミを見て、美希は困惑する。レミは何かを思い付いたのか手を叩き、

 

「そうだわ!魔王ちゃんの歓迎会をしましょう・・・あゆみさん達や、尚子さん達にも声を掛けてみようかしら!!」

 

「まっ、待ってよ、ママ!歓迎会って、もう料理の下ごしらえはしちゃったし・・・」

 

「いいから!いいから!魔王ちゃん、ちょっと待っててねぇ!!」

 

 そう言うと、レミは慌ただしく階段を下りて行った・・・

 

 美希はハァと溜息を付くと、喜んで居る魔王を見つめた・・・

 

 レミからの連絡を受けたあゆみ、尚子の二人も、レミの提案を受け入れ、あゆみは、夫圭太郎がまだ帰って居なかった為、ラブとせつな、タルトとシフォンを、尚子は、夫正と祈里を連れて来ると連絡が入り、蒼乃家は料理の準備に追われていた。最初にあゆみが現われ、次に尚子と正が現われたものの、玄関先から顔を出したラブ、祈里、せつなは、困惑顔で美希を手招きして呼ぶと、美希は三人に駆け寄り、

 

「ラブ、ブッキー、せつな・・・家のママが迷惑掛けて、ゴメン!!」

 

 美希は拝むような仕草で三人に詫びると、顔を見合わせた三人は、

 

「美希たん・・・一体どうなってるの?」

 

「いきなり美希ちゃんの家に行くってお母さんに言われたから・・・私、驚いちゃった!」

 

「本当、予想外の展開ね!」

 

 大人達は、居間で主役の魔王を囲み、盛り上がって居るようで、タルトとシフォンもそのとばっちりを受けたのか、魔王と仲良くするように頼まれ困惑していた。

 

「美希!」

 

「ラブ!せっちゃん!」

 

「祈里!」

 

 突然母親達に呼ばれた四人は、足取り重く居間にやって来ると、

 

「お料理は私達で用意するから・・・」

 

「あなた達は、魔王ちゃんをお風呂に入れて上げて!」

 

「じゃあ、頼んだわね!」

 

 あゆみ、レミ、尚子に、魔王をお風呂に入れて上げてと頼まれた四人は困惑しながら、

 

「「「「エェェェェ!?」」」」

 

「美希ママ!ラブママ!祈里ママ!こ、こんなに優しくされたのは・・・こっちの世界に来て・・・初めてカゲェェェ!!」

 

 目をウルウルした魔王は感激し、三人の母親達に何度も感謝の言葉を述べた。それとは逆に、四人の目は死んだ魚のように見る見る輝きを失い、

 

「エェと・・・私、宿題まだやって無かったなぁ」

 

「私も、明日の予習を・・・」

 

 ラブと祈里は、家に帰って勉強しなきゃと言うと、美希は慌てて、

 

「ふ、二人共狡ぅい!あ、あたしも・・・」

 

「そう言えば私も、ウエスターとサウラーに用が・・・・・・ってラブ、美希、ブッキー・・・お母さん達が、物凄い表情で睨んでるわよ?」

 

 せつなは、困惑気味にあゆみ、レミ、尚子が睨んでると知らせると、

 

「ラブ!せっちゃん!」

 

「美希!!」

 

「祈里!!」

 

 あゆみ、レミ、尚子は、娘達の名前を怒気を込めて呼ぶと、呼ばれたラブ達四人は半泣き顔を浮かべながら、

 

「「「「だってぇぇぇぇ!!」」」」

 

「だってもへちまもありません!」

 

「魔王ちゃんが可哀想でしょう!」

 

「もし、言う事聞けないなら・・・」

 

「「「来月のお小遣い抜きよ!!」」」

 

「「「エェェ!?」」」

 

「ラブ、美希、ブッキー・・・もう諦めたら?」

 

 せつなは、母親達に怒られ諦めたのか、魔王を抱っこし、ラブ、美希、祈里にも、諦めて母親達の言う通りにしたらと伝えた。

 

「フフフン、フフフン、お・風・呂ぉぉ!!」

 

 せつなに抱かれた魔王は、ご機嫌で鼻歌を歌い出し、ラブ、美希、祈里の三人は、それを見て惚けたように呆然としていた・・・

 

 

 魔王を先に浴室に入れ、四人は渋々服と下着を脱ぎ、白いバスタオルを身体に巻き付ける。加音町のスーパー銭湯で、プリキュアのみんなと一緒に入った事はあったが、ラブ達四人の身体は、更なる色気を増し、バスタオルを巻いた身体からも、胸の谷間がはっきり目立っていた。美希は溜息混じりに、

 

「ハァ・・・家のお風呂、そんなに広くないのに、ママったら何考えてるのかしら?」

 

「取り敢えず、言われた通りにしないと・・・」

 

 ラブが先陣をきり浴室のドアを開けると、魔王は湯船にプカプカ浮かびながら、スケベ顔でラブ達四人を見つめた。

 

「ラブ、美希、祈里、せつな、待ち兼ねたカゲ!」

 

「どこのおっさんよぉぉ!?」

 

「ちょっとぉ!あんまりジロジロ見ないでくれる?」

 

「そんなにジッと見られると・・・恥ずかしいんだけど」

 

「魔王!全く・・・」

 

 ラブ、美希、祈里、せつなの、バスタオル一枚纏っただけの姿を見た魔王はご機嫌だったが、四人は、罰ゲ-ムをさせられているようで不満そうだった。取り敢えず、身体を洗ってあげるからと、せつなが浴槽から魔王を抱き上げると、せつなは不思議そうに小首を傾げ、

 

「ね、ねぇ・・・魔王って、前にも尻尾生えてたっけ?」

 

 せつなが見つめた視線の先には、確かに魔王の身体から、尻尾のような突起物がそそり立つように飛び出ていた。

 

「エッ!?有ったような、無かったような?」

 

「あたしが覚えて居る限り、生えてなかったような!?」

 

「尻尾にしては固いような気もするけど・・・」

 

 せつなに聞かれたラブ、美希、祈里も小首を傾げ考え込むと、ご機嫌だった魔王はつい言葉を滑らし、

 

「普段は生えてないカゲ!ひかりやかれんとお風呂に入った時も生えてきたけど、どうやら、興奮すると前からニョキニョキ生えてくるようカゲ!」

 

「それって・・・もしかして!?」

 

 見る見る変顔を浮かべた祈里が、ラブ、美希、せつなと目を合わせると、四人は思わず魔王の前尻尾を改めて見た。

 

「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」

 

 まるで時が止まったかのように沈黙した四人、見る見る四人の頬は赤く染まり、美希はお風呂場の窓を開け、祈里は洗面器を手に取ってラブに手渡し、せつなはゆっくりラブに向けて魔王を放り投げると、

 

「カゲ!?」

 

 困惑の表情を浮かべる魔王目掛け、ラブは洗面器を思いっ切り叩き付けると、

 

「出てけぇぇぇぇ!!」

 

「カゲェェェェェェェェ!?」

 

 何が起こったのか分からない内に、魔王はお風呂場から叩き出された。まるで示し合わせたかのように、抜群のチームワークで魔王を追い出した四人、ムッとした表情を浮かべた美希が、ピシャンと再び窓を閉め、鍵を掛けると、

 

「し、信じられない!?」

 

「ブッキー、あれって尻尾じゃなくて・・・」

 

 洗面器を下に置いたラブも、困惑気味に祈里に話し掛け、祈里は少し頬を染めながら、

 

「うん!魔王さんの前尻尾じゃなくて・・・オチンチンだったみたい」

 

「最低!本当、最低だわ!!」

 

 せつなは険しい表情を浮かべていると、直ぐに舞い戻った魔王が風呂場の窓を叩き、

 

「お、お前達、酷いカゲェェ!」

 

「うるさい!私達に何てもの見せるのよぉぉ!!」

 

「外で反省してなさい!!」

 

「ゴメンねぇ・・・」

 

「ブッキー、謝る必要何て無いわ!」

 

 ラブが、美希が、祈里が、せつなが、魔王に反省を促していると、しばらくは入れろと喚いていた魔王の声が遠ざかった。少し経ってお風呂場に向けてドタドタ足音が響いたかと思うと、ガラッとお風呂場のドアを開けたあゆみ、レミ、尚子の三人は、

 

「ラブ!せっちゃん!魔王ちゃんを虐めてぇ・・・」

 

「「べ、別に虐めた訳じゃ・・・」」

 

「祈里!どうしてこんな酷い事したの?」

 

「それは、そのぉ・・・・・」

 

「美希!ママは、ママは悲しいわ!!」

 

「ま、待って、ママ!あたし達の言い分も・・・」

 

 次々に母親達に怒られたラブ、せつな、祈里、美希、そんな四人を見て、レミに抱かれた魔王が舌を出し、

 

「ベェェェェ!」

 

「このぉぉぉぉ!!」

 

 顔を真っ赤にしたラブが、魔王に文句を言おうとすると、三人の母親達が一喝する。

 

「「「お黙りなさい!!!」」」

 

「黙らないよ!」

 

「ママ・・・娘と魔王と、どっちの身が大事なのよ?」

 

「お母さん、私達魔王さんを虐めてた訳じゃ無いの!」

 

「いくらお母さん達でも・・・こればかりは聞けないわ!」

 

 ラブ、美希、祈里、せつなも、母親達に言い返し、言い合いを始める母と娘・・・

 

 居間で茶碗やお皿を並べていた正、タルトとシフォンは、顔を見合わせると、

 

「こりゃ、晩ご飯は遅くなりそうだなぁ?」

 

「ハァ・・・ワイ、お腹ペコペコなんやけど」

 

「プリィ・・・」

 

「「ハァァ・・・」」

 

「キュア」

 

 お風呂場から聞こえて来る言い争う声に、三人は溜息を付いた・・・

 

 その夜、蒼乃家は夜遅くまで賑やかだった・・・・・

 

             第七十八話:魔王と少女達(前編)

                    完

 




Go!プリンセスプリキュア始まりましたねぇ・・・
個人的には楽しめた第一話でした!

七十九話はまだ書き始めな為、投稿出来るのは少し先になります!
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