1、闇のプリキュア
プリキュア達の危機に駆け付けたダークプリキュア5の五人、黒水晶玉の中に捕らわれていたプリキュア達からは、歓声が沸き起っていた・・・
「あの子達ったら、前回もそうだけど、良いタイミングで現われてくれるよねぇ?」
「うん!勝利を確信していたジョーカーも、戸惑っていると思う」
「実はあの娘達・・・裏でスタンバってたりして?」
「ウフフ、まさかぁ!」
嘗て加音町で、大量のゴーレムと、ハウリングの配下トランクィッロに苦戦するブラックとホワイトの下へ、ダークプリキュア5が駆け付けてくれた時を思い出した二人、ブラックの言葉にホワイトは苦笑した。頼もしき仲間達の帰還に、一同の口元には自然と笑みすら浮かんでいた。
「ダークプリキュア5って、前にみんなが言ってた?」
ダークプリキュア5の名を聞き、ハッピーは、嘗て一同からダークプリキュア5の事を聞いていた事を思いだしていた。だがソードは、名前すら聞いた事が無く困惑するものの、ビートがソードの背をポンポン叩き、
「ソード、彼女達なら、この劣勢を覆すチャンスをくれる筈よ!」
「信用してるんですね?」
ダークプリキュア5の事を信頼しているビートを見て、ソードがポツリと呟くと、アクアはそんなソードを見て笑みを浮かべながら、
「そう・・・宇宙に旅立っていた私達の大切な仲間!彼女達なら、この状況を覆す事が出来る・・・私はそう信じてるわ!!」
アクアの言葉に同意するように、レモネードも微笑み、
「帰って来てくれたんですね!」
「ええ、彼女達を信じましょう!」
宙を見上げたミントに釣られたように、一同が宙を見上げた・・・
ダークプリキュア5と名乗った、五人の黒き衣装を身に纏った少女達を見て、ジョーカーは慌ててトランプカードを取りだし、一冊の漆黒の本を取り出すと速読を始めた。
「ダークプリキュア5・・・・・確かに記述がありますねぇ!ですが、あなた方はバッドエンドプリキュアと同じように、闇の力を得て生まれたプリキュアの筈・・・それがどうして彼女達に協力を!?」
ジョーカーは本を閉じ、トランプカードの中に本を仕舞い込むと、ダークプリキュア5に問い掛けた。闇に生まれた者が、光の者と共に戦う事が不思議だった。そんな戸惑うジョーカーを見たダークプリキュア5は、
「確かに私達は、プリキュア5を倒す為に生まれた、闇のプリキュア・・・」
「一度はプリキュア5と戦い、消滅した・・・」
「でもその戦いで、あたし達は光の温かさを知った!」
「我らのマスターによって、再びこの世界に生を受けた私達は、彼女達と再会し、この世界は守るべきものだと悟ったわ!」
「だから私達は・・・プリキュアのみんなと共に歩む!」
ダークアクア、ダークレモネード、ダークルージュ、ダークミント、そして、ダークドリームが、嘗ての記憶を呼び覚ますように目を閉じ、ジョーカーに語って聞かせた。ジョーカーは、やれやれといったジェスチャーを見せると、
「つまり、あなた方は私達の敵って事ですよねぇ?でしたら、最早ゲ-ムなど不要・・・バッドエンドプリキュアの皆さん!」
ジョーカーの言葉を聞いたバッドエンドプリキュアの五人が、ゆっくり歩を進め、ダ―クプリキュア5達の目の前に移動してくると、見つめ合う両チーム達・・・
二組のチームは、改めて互いに自分達に似ている事を実感した・・・
ダークドリームは、バッドエンドプリキュアの五人を順に見つめると、
「あなた達は、何故その人と行動するの?」
「エッ!?だってぇ、バッドエナジーを定期的に回収しないと、私達消滅しちゃうし・・・」
ジョーカーと一緒に行動する意味を問われ、バッドエンドハッピーは、少し動揺気味に答えた。自分達だって、本当は自由に行動したい、でもバッドエナジーを定期的に回収しなければ、自分達が消滅するかも知れない恐怖・・・
そんな彼女の気持ちに気付いたのか、ダークミントは、少し愁いを帯びた瞳で話し掛け、
「本当にそうかしら!?」
「どういう事!?」
再びバッドエンドハッピーが、怪訝な表情でダークミントの言葉に反応した。ダークルージュも同意し、
「あの男に、あんた達が利用されてる可能性もあるんじゃない?」
ジョーカーに利用されている・・・
それはバッドエンドプリキュアの五人も、全く考えて居なかった訳では無かった・・・
「フッ、そうね・・・でも本当だったら、私達は消滅する!」
その言葉を聞いた時、バッドエンドビューティの口元に笑みが浮かんだ。ダークプリキュア5の言いたい事は理解出来た。だが、目的を見いだせないよりは、取り敢えずの目標である、バッドエナジーを回収していれば、消滅する事は無い。そうバッドエンドプリキュア達は思って居た。消滅という言葉を聞き、バッドエンドピースは心底嫌そうな表情で首を振り、
「そんなのヤダもん!」
「あんた達こそ、何であたし達にそんな事言うのさ?」
「せや!ウチらとあんたらは敵同士やで?」
敵である自分達の身の上を、ダークプリキュア5達は心配しているような素振りを見せ、バッドエンドマーチも、バッドエンドサニーも戸惑っていた。ダークドリームは、ジィとバッドエンドプリキュアの五人を見つめ、
「そうねぇ・・・あなた達が、昔の私達に似ているから・・・って事じゃ理由にならないかしら?」
「どういう事!?」
自分達バッドエンドプリキュアと、昔のダークプリキュア5が似て居る。そう聞いたバッドエンドハッピーは、困惑気味にダークドリームにその真意を問うと、
「さっき言った通りよ!私達は元々、ドリーム達プリキュア5を倒す為に作られた存在・・・言わば彼女達のクローン!そう思ってた・・・」
「だから私達は、私達を生み出した存在の命に従い、プリキュア5と戦った・・・あなた達を見て居ると、まるであの頃の私達を見ているよう・・・」
ダークアクアもダークドリームの言葉に同意し、バッドエンドプリキュアの五人を改めて見つめた。ピクリと反応したバッドエンドビューティは、
「だから、私達バッドエンドプリキュアに忠告している・・・そう言う事かしら?」
闇のプリキュア同士、何処か惹かれ合うのか、互いに興味を持った10人の少女達、そんな少女達を見たジョーカーは、少しイライラし始め、
「バッドエンドプリキュアの皆さん!そんな世迷い事に、耳を貸す必要は有りませんよ!!」
バッドエンドビューティは、口元に笑みを浮かべながら、
「安心なさい!暇つぶしに、彼女達の話を聞いていただけよ!」
やはり言葉だけで、彼女達を納得させる事は無理だと分かり、少し憂いの表情を浮かべたダークドリームは、
「そう・・・今はそれでも構わない!でも、心の何処かには留めておいて・・・」
命令される事が嫌いなバッドエンドマーチは、眉根を顰め、
「余計なお世話だよ!」
「ほな、ボチボチ始めよか?」
バッドエンドサニーの言葉を合図にしたかのように、重心を落とし身構えたバッドエンドプリキュアの五人、それを見て瞬時に後方にジャンプし、距離を取ったダークプリキュア5も身構えた。
今、闇VS闇のプリキュアの戦いが始まろうとしていた・・・
2、ジョーカーVS魔王&ピーちゃん
遂に火花を切ったバッドエンドプリキュアとダークプリキュア5の戦い・・・
ダークドリームはバッドエンドハッピーと戦い、ダークルージュはバッドエンドサニーと、ダークレモネードはバッドエンドピースと、ダークミントはバッドエンドマーチと、そして、ダークアクアはバッドエンドビューティと対峙していた・・・
互いに手の内を探るように、肉弾戦を続ける10人の闇のプリキュア達、その戦いに、アン王女と妖精達が気を取られて居た。
(ウフフフ、精々バッドエンドプリキュアと戦って居なさい!今の内に私は・・・)
ジョーカーは、黒水晶玉を見てニヤリとすると、巨大なトランプカードを出現させ、バッドエンド王国に戻ろうと試みた。だが、ジョーカーの行く手を黒い影が遮り、ジョーカーの視線の先を、高速に何かが飛び回り牽制した。ジョーカーは軽く舌打ちすると、
「誰かと思えば・・・妖精風情が、出しゃばらない方が身の為ですよ?」
「余計なお世話カゲェ!さっさとみゆき達を返すカゲ!!」
「ギャァァス!」
ジョーカーの行く手を阻むべく、空中で羽ばたきながら居並ぶ魔王とピーちゃんの二人、アン王女もようやく気付いて宙を見つめると、
「わたくしも加勢に向かいたいのですが、空中では・・・」
戸惑うアン王女に気付いたシロップは、巨大化するとアン王女と妖精達を促し、
「みんな、シロップに乗るロプ!」
「まぁ、あなたはこんな姿にも?ありがとう!お願い致します!!」
キッと表情を引き締め、アン王女と妖精達はシロップの背に飛び乗ると、シロップは夜空に飛び上がった。
魔王、ピーちゃんと対峙したジョーカーに、焦りが生まれていた。二人から発せられる威圧感が、ジョーカーに息苦しさを与えてくる。
(な、何というプレッシャー!?先程までとはまるで別人・・・まるで、ピエーロ様に匹敵するかのような強大なプレッシャー・・・あの者達は、ただの妖精では無さそうですねぇ?)
ジョーカーには見えていた・・・
魔王とピーちゃんの背後から立ち上る巨大なオーラを・・・
一方、戦い続けるバッドエンドプリキュアとダークプリキュア5だったが、徐々にダークプリキュア5が押され出していた・・・
「アハハハ、どうしたの!?これはどうかなぁ?バッドエンド・・・シャワー!!」
バッドエンドハッピーは、指をハート形の形にするや、まるでハッピーシャワーのような光弾を発射した。躱すダークドリームだったが、バッドエンドハッピーは、連続してバッドエンドシャワーを放ち、
「クッ!?このぉ!」
ダークドリームは、咄嗟に手からエネルギー弾を放ち相殺したものの、爆風を受け吹き飛んだ。バッドエンドハッピーは、再び指をハート形にして、その中に吹き飛ばされているダークドリームの姿を映すと、
「バイバイ!バッドエンド・・・シャワー!!」
再び放たれたバッドエンドシャワー、ダークドリームに直撃したかに思われたが、忽然とダークドリームの姿が消え失せて居て、バッドエンドハッピーは困惑する。辺りをキョロキョロしながら、
「エッ!?何所行ったの?」
「ここよ!プリキュア!ダークネス・スター!!」
「キャァァァ!」
ダークドリームは、間一髪ドリームのシューティングスターに似た必殺技、黒き流星と化すダークネススターを放って攻撃を回避し、その勢いのままバッドエンドハッピーに体当たりした。吹き飛ばされたバッドエンドハッピーだったが、体勢を整え宙に止まると、
「へぇ・・・中々やるね?」
「あなたもね!」
互いに口元に笑みを浮かべ、再び二人が激突した・・・
「ほらほら、何所見取るんやぁ?」
「クッ、速い!?」
バッドエンドサニーは、足のブーツから炎を噴射し、そのスピードでダークルージュを翻弄した。ダークルージュは、その瞬発力の前に防戦一方だった。
「ほな行くでぇぇぇ!バッドエンド・・・ファイヤー!!」
炎を全身に纏ったかのように、バッドエンドサニーは、弾丸のようにダークルージュ目掛け突進した。
「クッ!?」
ダークルージュは、咄嗟に手を楕円形に描き、炎を目の前に出現させるも、バッドエンドファイヤーの直撃を受け吹き飛ばされた。
「キャァァァァ!」
「どないや!・・・・何やと!?」
ドヤ顔を浮かべたバッドエンドサニーだったが、ダークルージュは、吹き飛ばされながらもダークネスシュートの体勢を取り、
「お返しだよ!プリキュア!ダークネス・シュート!!」
ルージュのファイヤーストライクに似た、まるで黒き炎のボールが、バッドエンドサニー目掛け放たれた。バッドエンドサニーは両手で何とか弾き返し、再び両者が睨み合った。
「私、みんなから頭を叩かれて・・・怒ってるんだからぁ!」
「それが私と何の関係があるの?」
「あなたも私と同じ目に合わせて・・・あ・げ・る!!」
「遠慮しとくわ!」
呆れ顔を浮かべたダークレモネードだったが、バッドエンドピースの周囲に雷が巻き起こり、顔色変えて瞬時にダークレモネードは距離を取った。近距離では、バッドエンドピースの雷攻撃の的にされると判断した。
「エヘヘ!距離を取れば大丈夫だと思ったぁ?残念!」
バッドエンドピースは、ダークレモネードに軽くウインクすると、それを合図にしたかのように、雷がダークレモネードを直撃した。
「キャァァァァ」
「バイバイ!・・・・エッ!?エェェェ?」
悲鳴を上げながら地上に落下していくダークレモネード、バッドエンドピースは右手を振りながらバイバイするも、ダークレモネードが放ったダークネスウィップが身体に巻き付き、共に地上へと落下していた・・・
「ダークネスプラズマ!」
ダークミントから放たれた黒き閃光が、バッドエンドマーチ目掛けて放たれた。だが、バッドエンドマーチは、その閃光を見切っているかのように、躱し続けながらダークミント目掛け距離を詰めてきた。その口元には、笑みすら浮かんでいた・・・
(な、何てスピード!?)
動揺したダークミントが、もう一度ダークネスプラズマを放つも、黒き閃光を、黒き疾風に当てる事は出来なかった。
「どうした!?それで精一杯かい?そんなスピードじゃ、あたしに掠り傷一つ付けられやしないよ!!」
距離を一気に詰めたバッドエンドマーチが、右足でダークミントの腹部に蹴りを入れ、堪らずダークミントは吹き飛んだ。
「キャァァァ!」
「フフフフ、弱者にも遠慮はしないよ!バッドエンド・・・シュート!!」
漆黒色をした球体エネルギーが、徐々にアドバルン程に大きくなるや、バッドエンドマーチは、ダークミント目掛け球体を蹴り上げた。うねりを上げながらダークミント目掛け突き進んだバッドエンドシュートが、ダークミントを飲み込み、バッドエンドマーチの口元に笑みが浮かんだ。だが、巨大な球体から徐々に緑色の光が漏れ始め、
「ハァァァァァァ!」
「な、何ぃ!?」
ダークミントの雄叫びと共に、バッドエンドシュートは内側から一気に崩壊した。戸惑うバッドエンドマーチの視界の中に、中から荒い呼吸をしたダークミントが姿を現わした。
「へぇ、あの攻撃に耐えたのか・・・上等!」
「戦いは、攻撃だけが全てじゃない!」
再び身構えた両雄が、再度激突した!!
ダークアクアは、その都度距離を変えながら、バッドエンドビューティと戦い続けていた。アクアのサファイアアローに似た黒き水の矢、ダークアローを放ち牽制しながら、バッドエンドビューティの実力を探ろうと試みていた。だが、矢はバッドエンドビューティに届く前に、全て凍り付き失速し、バッドエンドビューティは、悠然と距離を詰めてきた。
「醜い・・・あなたの攻撃には、美しさが足りないわ!私が手本を見せて上げるわ・・・バッドエンド・・・ブリザード!!」
バッドエンドビューティの周辺に、黒い結晶が空中に複数浮かび上がり、ダークアクア目掛け放たれた。無数の黒き氷がダークアクアに襲い掛かる。
「クッ!?」
ダークアクアは、黒き水を剣に変え、黒き吹雪の攻撃を防ぎきった。バッドエンドビューティは、口元に笑みを浮かべながら、
「あれを耐えたとは・・・良いでしょう!」
バッドエンドビューティも氷を剣へと変化させ手に持つと、水の剣と氷の剣が激突した。
(ここまでのプレッシャー・・・ですがぁ!)
ジョーカーは、魔王とピーちゃんから放たれるオーラに押されていたものの、自らの心の中に浮かんだ恐れを断ち切るように、二人にトランプカードを投げつけた。二人は咄嗟に躱すも、二人から発せられた強大なオーラは消え去り、ジョーカーの口元がニヤリとした。
「思った通りですねぇ・・・そのプレッシャーは、何時でも出せると言う訳では無さそうですねぇ!」
魔王とピーちゃん、二人がかなりの実力者だという事はジョーカーも理解した。だが、何時でも出せる訳では無いと知るや、反撃に転じた。そんな二人を援護すべく、シロップの背に乗ったアン王女が近付き、
「お二人共、わたくしも援護します!」
「ピギャァァァ!」
だが、そんなアン王女の言葉にピーちゃんは首を振ると、魔王がピーちゃんの言葉をアン王女に通訳し、
「ピー助は、何か考えがあるみたいカゲ・・・アンは少し下の方で離れてるカゲ!」
「エッ!?考えが?・・・・分かりました!」
少し戸惑ったアン王女だったが、二人の言うように、シロップに下側で状況を見守りましょうと伝えた。シロップが下降していくと、ピーちゃんはチラリと魔王を見つめ、
「ピィピィ、ピッギャァ!」
「何!?俺に囮になれってピー助は言うのか?」
「ギャア、ギャァァス!」
「分かったカゲ!」
頷き合った魔王とピーちゃん、魔王はジョーカー目掛け高速移動をすると、ジョーカーは目障りとばかり、トランプカードを投げつけた。その様子をジィと見て居たピーちゃんは、再びジョーカーがトランプカードを手に持ち、投げようとした瞬間、ピーちゃんは怪しく目を輝かせた。
「なっ、何!?私の身体が?」
「ギャァァス!」
「任せるカゲェ!」
まるで金縛りにでもあったかのように、ジョーカーは身体を動かす事が出来なかった。ピーちゃんによって動きを止められたジョーカー、ピーちゃんの合図と共に、魔王は、ジョーカー目掛け影を伸ばすや、右手に抱えていた黒水晶玉を叩き落とした。
「しまった!?」
慌てるジョーカーを嘲笑うかのように、黒水晶玉は、下で戦って居るバッドエンドプリキュアとダークプリキュア5の方へと落下して行った。
黒水晶玉の中に捕らわれて居るプリキュア達は、突然天地が目まぐるしく回転しだし、パニクって居た・・・
「な、何が起こってるの?」
「みんなぁ、何かに捕まって!」
困惑顔のメロディが思わずポツリと呟き、表情を険しくしたムーンライトは、一同に指示を出した、一同は、ムーンライトに言われた通り、近場にある物体にしがみついていた・・・
3、黒水晶玉を奪え
「お前達、その黒水晶玉の中に、みゆき達プリキュアが捕らわれてるカゲェ!それを奪うカゲェェ!!」
「あの中にドリーム達が?・・・分かったわ!みんなぁぁ!!」
「「「「分かった!」」」」
魔王の言葉にダークドリームは頷き、仲間達にも同意を求めた。戦って居たバッドエンドプリキュアから距離を取ったダークプリキュア5が、黒水晶玉の確保に向かった。見て居たアン王女はシロップに話し掛け、
「わたくし達も参りましょう!」
アン王女に促され、シロップも黒水晶玉目掛け飛びだした。
ジョーカーは珍しく動揺していた・・・
折角捕らえたプリキュア達を、このままむざむざ取返させる事だけは避けたかった。
「バッドエンドプリキュアの皆さん、黒水晶玉を渡すのだけは阻止して下さい!最悪、破壊しても構いませんよ!!」
「エェェ!?面倒だなぁ・・・みんな、どうする?」
ジョーカーに頼まれたバッドエンドプリキュアの五人、バッドエンドハッピーは、面倒くさそうに他の仲間達にどうするか問い掛けると、
「しゃぁないなぁ・・・」
バッドエンドサニーは嫌々ながら同意し、
「エへへへ、破壊しても良いんだよねぇ?」
バッドエンドピースは、破壊出来るのを楽しそうに喜び、呆れ顔のバッドエンドマーチとビューティは、
「待て待て、最悪って言ってただろう?」
「取り返せなかった場合、破壊しても構わないって事よ、お馬鹿さん!」
「馬鹿じゃないもん!」
バッドエンドビューティに馬鹿呼ばわりされ、バッドエンドピースは頬を大きく膨らませた。
「しょうがない・・・オーライオーライ!」
バッドエンドハッピーは、黒水晶玉目掛け宙に飛んだ。その視界に、黒水晶玉が落下してくるのが見えたバッドエンドハッピーは、両腕をグルグル回し、自分が取るとアピールするも、魔王がそうはさせないと影を伸ばして黒水晶玉を叩き、落下スピードが速くなった。簡単に捕れると思って居たバッドエンドハッピーは、目測を誤り、
「オーライ・・・・キャッ!?」
バッドエンドハッピーの顔面に当たって黒水晶玉は跳ね返り、方向を変えて更に落下を始めた。バッドエンドハッピーはグルグル目を回し、地上に落下して行った。
「何やってるんやぁ!」
ブーツの足底から炎を噴射し、超加速で黒水晶玉を奪いに向かったバッドエンドサニーだったが、黒き閃光がその行く手に降り注ぎ、バッドエンドサニーは避けきれず直撃を喰らった。
「そう簡単には行かせないわ!」
バッドエンドサニーの前に立ち塞がったダークミントは、ダークネスプラズマを巧みに利用し、結界を張るようにバッドエンドサニーの動きを制限した。
「チッ・・・だったらあたしが!」
バッドエンドマーチが、そのスピードで黒水晶玉を奪いに向かうも、黒き流星が追いつき、バッドエンドマーチの行く手を遮り、
「あなたの相手は私よ!」
「貴様、何時の間に!?」
「瞬発力なら・・・あなたに負けないわ!」
バッドエンドマーチの行く手に、ダークドリームが立ち塞がった。
「だらしのない・・・私が奪いに行くわ!」
掛かってくるなら何所からでも来なさいとでもいうように、自信に満ちた表情を浮かべたバッドエンドビューティ、その前に立ち塞がったダークレモネードは、
「本当は、あの頃の技は使いたくは無いんだけど・・・ダークネス・フラッシュ!」
ダークレモネードは、その場で足に力を込めた。ダークレモネードの足が光輝き、三日月のような形をした光弾が、バッドエンドビューティ目掛けて飛ぶ。こんな攻撃避けるまでもないと言いたげに、
「何をするかと思えば、この程度の攻撃・・・・エッ!?」
バッドエンドビューティは、ダークネスフラッシュを冷気を宿した光弾で相殺したものの、相殺した時に起こった閃光で一瞬目が眩んだ。その隙を付き、ダークルージュがダークネスシュートを放ち、虚を突かれたバッドエンドビューティに命中した。
「アララ・・・みんな失敗しちゃったみたいだねぇ?」
みんなが失敗した事を、少し小馬鹿にしたような表情を浮かべたバッドエンドピース、口元をニヤリとさせると、落下してくる黒水晶玉に狙いを付け、今にも雷を落とそうと試みる。だが、黒き水の矢が上空から降り注ぎ、バッドエンドピースは慌てて躱し続けるも、
「水晶玉を破壊させないわ!プリキュア!ダークアロー!!」
再びダークアクアがダークアローを放つも、黒き矢はバッドエンドピースの頭上で衝突し、水となってバッドエンドピースに降り注いだ。
「何所狙ってるのぉぉ!?エヘヘ、狙いはこうやって付けるんだよ・・・バッドエンド・サンダー!!」
バッドエンドピースは、黒水晶玉目掛けてバッドエンドサンダーを放った。だが、雷は黒水晶玉を破壊する事無く、バッドエンドピースの体内で激しく発光する。
「キャァァァ!?な、何でぇぇ?」
「水は、一般的に電気を通す物質と位置付けられて居る!でも本当は、不純物をまったく含まない純水は、絶縁体となり電気は流れない。けれど、純水に塩が混ざることで、イオンが電離し、プラスとマイナスに分かれ電流が流れるように・・・」
「アァァン!そんな難しい事分かんないよぉぉぉ!もっと分かるように言ってぇぇぇ!!」
ダークアクアの語り出した説明が、バッドエンドピースにはチンプンカンプンで、何で雷が自分に降り注ぐのか、再度ダークアクアに聞いてみると、
「簡単に言えば、私が放ったダークアローは、純水ではない!つまり、今のあなたの身体は、電気を良く通す導体状態にあるって事・・・」
そう説明している間にも、バッドエンドピースは自分が放った雷で感電し、悲鳴を上げた。
その間にも見る見る黒水晶玉が地上へと迫る・・・
急降下したシロップは、何とか黒水晶玉に追いつき、必死に手を伸ばしたアン王女は、何とか黒水晶玉を手に入れる事に成功した。
4、チームワーク
ダークプリキュア5の協力もあって、黒水晶玉を手に入れたアン王女、妖精達から歓声が沸き起り、ダークプリキュア5もホッと安堵した。だが、まだ戦いが終わった訳では無かった・・・
「クッ!?黒水晶玉を・・・」
「カゲカゲカゲ、いい気味カゲェェ!」
「ギャァァス!」
「おのれぇ、妖精風情がぁぁ!!」
ジョーカーは歯軋りし、魔王とピーちゃんを睨み付けるも、二人もジョーカーを睨み返した。
「みんな、今まで彼女達バッドエンドプリキュアと戦って居て、気付いた事がある!個々の力は、彼女達は私達よりも上かも知れない・・・でも、彼女達には欠けているものがある!!」
ダークアクアは、仲間達を見て何かの策を授けた・・・
ダークドリームはコクリと頷き、
「分かったわ!みんな、アクアの考えで行きましょう!!」
ダークドリームの合図と共に、再び散り散りになった五人、何度も邪魔されたバッドエンドプリキュアの五人が、その後を追う。ダークドリームを追うのはバッドエンドマーチ、ダークルージュを追うのはバッドエンドビューティ、ダークレモネードを追うのはバッドエンドハッピー、ダークミントを追うのはバッドエンドサニー、そして、ダークアクアを追うのはバッドエンドピース、何度も小競り合いをしながら距離を取ると、ダークプリキュア5は、一斉に仲間達の方に距離を詰め疾走する。
「何の真似!?逃がさないんだからぁ!」
バッドエンドハッピーが、サニーが、ピースが、マーチがその後を追う。バッドエンドビューティは少し顔を顰め、
(これは何かの罠!?それとも?)
「ビューティ、逃げられちゃうよぉぉ!」
「エッ!?わ、分かったわ!」
少し思案していたバッドエンドビューティは、バッドエンドハッピーの言葉で我に返り、仲間達同様ダークプリキュア5の後を追った。どんどん距離を詰めてくるバッドエンドプリキュア、ダークプリキュア5の五人は、互いの顔を識別出来る距離まで接近すると、アイコンタクトをして宙に飛んだ。
「ダークネス・プラズマ!」
「キャァ!」
すかさず上空からダークミントが、黒き稲妻ダークネスプラズマを放ち、バッドエンドプリキュアの動きを制限し、
「ダークネス・ウィップ!」
ダークレモネードが、戸惑って居たバッドエンドプリキュアの五人を、ダークネスウィップで捕らえた。
一方、捕らわれたプリキュア達の下にも変化が訪れていた・・・
黒水晶玉の中は、空一面真っ暗だったのが、ある一点から光が差し込んで居た。ブラックは、困惑気味に光を見つめ、
「あれは一体!?」
「もしかしたら・・・みんな、あの光の下まで行ってみましょう!」
「パッション、どういう事?」
「行けば分かるわ!」
パッションは、ピーチの問いに答えず、一同に光の下まで移動しようと持ちかけた。パッションに何か策があると感じた一同は、パッションに言われるまま、光の下に辿り着くと、パッションは目を輝かし、
「やはり此処からなら・・・みんな、集まって!此処から脱出するわよ!!」
「エッ!?出来るの?」
「本当ですか?」
ブルームとブロッサムに聞かれたパッションは、自信に満ちた表情で頷き、
「ええ、この光を通れば・・・・じゃあ、行くわよ!元の世界へ!!」
パッションの言葉と共に、一同の身体は赤く輝き、その姿を消した・・・
手に持っていた黒水晶玉から亀裂が起こり、思わずアン王女は驚愕し、
「そんな、黒水晶玉に亀裂が!?」
「ロプ!?じゃあ、間に合わなかったロプ?」
「それは、わたくしにも・・・・」
何が起こっているのか、自分にも分からないと告げようとしたアン王女だったが、黒水晶玉が粉々に砕け散った代わりに、目の前に一斉にプリキュア達が現われ目を輝かせた。
「み、皆さん・・・よくぞご無事で!」
「王女様!」
「ソード・・・この娘は心配させて」
「ゴメンなさい!」
ソードは、アン王女を見ると嬉し涙を浮かべながら抱き付き、アン王女もソードを抱きしめ返した。戻って来たプリキュア達は、皆嬉しそうに妖精達やアン王女を見つめ、ブラックが、ハッピーが話し掛け、
「みんな、心配させてゴメンね!」
「キャンディ、ただいまぁぁ!」
「ハッピー、みんなぁぁぁ!!」
キャンディは、嬉しそうにハッピーに抱き付いた。光の戦士の子孫であるアン王女が触れた事で、邪悪な水晶玉の一部に、光の加護が現われ脱出出来たとは、この時の一同には分からなかった。
「お、お前達・・・・重いロプ」
シロップに、突然現われた32人のプリキュアの重さが加わり、どんどん下降して行った。妖精達の歓声が沸き起り、ダークプリキュア5の五人にも、プリキュア達が無事に脱出出来た事が分かり、五人は顔を見合わせホッと安堵した。
「ダークドリーム!みんなぁ!ありがとう!!」
ドリームは、両手をブンブン振りながら、自分達の無事な姿をダークプリキュア5に知らせた。
「おのれぇぇぇ!後一歩と言うところでぇぇぇ!!」
プリキュア達が、黒水晶玉から脱出したのを見たジョーカーは、激昂しながら不気味に赤く目を輝かせた。そんなジョーカーを一斉に睨み返すプリキュア達、
「クッ、此処は任せましたよ!」
形勢不利とみたジョーカーは、後時をバッドエンドプリキュアに託し、早々とバッドエンド王国へと帰った。捕らわれたバッドエンドプリキュアの五人は、プリキュア達が脱出し、ジョーカーは帰ったのを見て戸惑いながら、
「なっ!?プリキュア達出てきちゃった?ジョーカーは帰っちゃったし・・・」
「チッ、こんなん、直ぐ解いたるわ!」
「イタァァイ!力入れないでぇぇ!!」
「我慢しろよ、このくらい!」
「むざむざ敵の計略に嵌り、見す見すプリキュア達を取返されるとは・・・」
バッドエンドハッピー、サニー、ピース、マーチ、ビューティの五人が、懸命にダークネスウィップを解こうと藻搔き、ダークドリームは憂いの表情を浮かべながら、
「このままこの場を去り、あの男と行動を共にしないと誓ってくれれば、あなた達を見逃して上げても良いけど・・・」
「余計なお世話だよ!」
ダークドリームの提案を、バッドエンドマーチは拒絶した。プライド高い彼女は、この屈辱を受け憮然として居た。ダークドリームは、残念そうな表情を浮かべながら、
「そう・・・残念だけど、みんな!!」
ダークドリームの合図に頷いた四人、ダークプリキュア5は、目を閉じ、精神を集中させた。
「「「「「我らがマスター!ダーククイーン・・・私達に力をお貸し下さい!!」」」」」
そんなダークプリキュア5の心に、気高き声が聞こえてくる。
(親愛なるダークプリキュア5!例え離れていようと、あなた方の声は私に聞こえています!!さあ、あなた方に力を授けましょう・・・)
ダークプリキュア5の頭上が輝くと、五人の手に黒いフルーレが装着される。五人は軽くフルーレを振ると、
「5つの闇に!」
「「「「希望を乗せて!」」」」
「「「「「プリキュア!ダーク・ローズ・エクスプロージョン!!」」」」」
五人のフルーレの先端に、黒い薔薇が姿を現わし、思わずバッドエンドプリキュアの五人が目を見張った。ダークプリキュア5は、呼吸を合わせるように、
「「「「「ハッ!!!」」」」」
五人がフルーレを前に突き出すと、フルーレから放たれた黒い薔薇が合わさり、巨大な黒薔薇となって、バッドエンドプリキュアに向かって飛んで行く。何とか拘束されていたダークネスウィップを解いた五人だったが、今目の前に現われた巨大な黒薔薇に、飲み込まれようとして居た。
「クッ!?こ、こんなもの!」
バッドエンドビューティは、一歩前に出ると、前方に冷気を集中させ両手を突き出し、氷のバリアを作り上げた。
「ビューティ、凄い!」
「やるやないかぁ!」
バッドエンドハッピーが、サニーが、バッドエンドビューティを称えるも、バッドエンドビューティの顔からは、何時もの冷静さが消え、冷汗すら流れて居た。その様子を見たバッドエンドマーチとピースは、心配そうに声を掛け、
「ビュ、ビューティ!?」
「だ、大丈夫?」
「クッ・・・いいから、さっさと逃げなさい!」
(あの娘・・・・・)
ダークローズエクスプロージョンを放ちながら、バッドエンドビューティの行為を見たダークドリームは、少し口元に笑みを浮かべて居た。
(クッ、氷に罅が!?な、何て威力なの?)
バッドエンドビューティが作り上げた氷のバリアは、衝撃で所々罅が入り、今にもバッドエンドビューティを飲み込もうとするかのように勢いを増す。
(この私が・・・負ける!?)
ミシミシ亀裂が一層走り、バッドエンドビューティが呆然としたその時、バッドエンドビューティの両手を四つの手が掴み、バッドエンドビューティはハッと我に返った。
「あ、あなた達!?」
「私達も力を貸すよ!」
「せや、あないな攻撃、ウチらが力を合わせれば、どうって事あらへん!」
「エヘヘ、私達五人でバッドエンドプリキュアだしね!」
「そういう事!」
バッドエンドハッピーが、サニーが、ピースが、マーチが、バッドエンドビューティにウインクし、ハァと溜息を付きながらも、何処か嬉しそうな表情をしたバッドエンドビューティは、
「礼は言わないわよ!」
「「「「「ハァァァァァ!!!!!」」」」」
バッドエンドプリキュア五人の気持ちが一つになった時、バッドエンドビューティが作り上げた氷のバリアは、より一層強固な氷のバリアと化し、ダークローズエクスプロージョンは、彼女達を飲み込む事無く消滅した・・・
「そんな、ダークプリキュア5のあの技を防いだの?」
「でも見て!何かあの娘達嬉しそうだよ?」
「本当だ!でも、どうして?」
アクアが、ダークプリキュア5の技を防いだバッドエンドプリキュアに驚愕し、ブラックとピーチは、技を防がれたのに、何処か嬉しそうな表情をしているダークプリキュア5に戸惑った。
プリキュア達は知らなかった・・・
ダークプリキュア5は、嘗ての自分達同様、仲間の大切さを知ったバッドエンドプリキュアを見て、心の底から喜んで居る事に・・・
5、アン王女の決意
ダークプリキュア5が放った、ダークローズエクスプロージョンを何とか堪えたバッドエンドプリキュアの五人だったが、技を防いだ事で体力が尽きようとしていた。荒い呼吸を続ける五人を、ダークプリキュア5はジッと見つめるのみだった。
(今なら私だけでも!)
キッと表情を険しくしたキュアソードは、バッドエンドプリキュア目掛け駈け出し、
「ソード、お止めなさい!」
「止めないで下さい!今なら私でも・・・閃け!ホーリーソ~ド!!」
アン王女が止めるのも聞かず、ソードは駈け出しながら大きくジャンプし、右手から無数の剣形のエネルギー弾を、バッドエンドプリキュアの五人目掛け放った。体力を失っていた五人は、険しい表情でただ見つめるのみだったが、
「ダークネス・プラズマ!」
ホーリーソードを、黒き閃光が全て消滅させた。思わず目を見張ったソードは、ならば接近戦を仕掛けようとすると、チラリとソードを見たダークドリームは、
「プリキュア!ダークネススター!!」
「キャッ!?ど、どうして?」
黒き流星がソードの行く手に立ち塞がり、ソードは戸惑った。まるでバッドエンドプリキュアの五人を庇うように、キュアソードに立ち塞がったダークプリキュア5は、
「あなた、何なの?」
「あの子達に攻撃しようと言うなら・・・」
「代わりにあたし達が相手になるよ!」
「弱ってるあの子達を狙う何て・・・最低!」
「あなた、本当にプリキュアかしら?」
「ま、待って!あの子達は、バッドエンドプリキュアと言って・・・」
ソードを険しい表情で見つめるダークドリーム、ダークミント、ダークルージュ、ダークレモネード、ダークアクアの五人、庇われたバッドエンドプリキュアの五人も、呆然としながら成り行きを見て居た。五人から凄まれ、思わず身を仰け反らせたソードだが、必死に弁明しようとするも、ダークプリキュア5は険しい表情を止めなかった。慌ててプリキュア5の五人が両者の間に入り、
「まっ、待って、みんなぁ!ソードも落ち着いて!!」
「彼女はキュアソードって言って、あたし達の仲間なの!」
「味方通しで攻撃しあう何て止めようよ!」
「冷静になりましょう!」
「あなた達、ひょっとしてバッドエンドプリキュアに、昔の自分達を重ねたんじゃない?」
ドリームが、ルージュが、レモネードが、ミントが、両者を宥めに掛かり、アクアは、ダークプリキュア5達は、バッドエンドプリキュアが昔の自分達に似ている事で、何とか彼女達を助けられないか思案しているのではないかと見抜いた。それを聞いたバッドエンドハッピーは、少し顔を赤らめながら、
「べ、別に私達、助けて何て一言も言ってないからね?」
「分かってるわ!でも、あなた達にも友情の素晴らしさが、少しは理解出来た筈よ!!違う?」
バッドエンドプリキュアの五人を見ながら、ダークドリームが諭すように話し掛けると、バッドエンドプリキュア達は、先程の戦いが頭を過ぎった。特に頭の回転の速いバッドエンドビューティは理解し、
「それは認めざるを得ないわね・・・でも、次に会った時、私達は、この日の借りを必ず返す!それだけは覚えておきなさい!」
「そう!?私は、あなた達五人とは、何時か並んで共に戦う時が来る!そう信じてるわ!!」
「「「「「・・・・・・・・・・」」」」」
何時か自分達バッドエンドプリキュアが、ダークプリキュア5達と並んで共に戦う日が来る・・・
ダークドリームの言葉が、バッドエンドプリキュアの心に響いた。思わず無言になった五人だったが、バッドエンドビューティは我に返り、
「そのような戯れ言で、私達を動揺させようとするのは無駄よ!ダークプリキュア5、そして、スマイルプリキュア!他のプリキュア達、また会いましょう!!」
「次は今回のようには行かない!」
「ねぇ、ねぇ、私達も合体技考えようよ?」
「良いねぇ!やろう、やろう!」
「やれやれ・・・てな事や!次は負けへんでぇぇ!」
バッドエンドマーチは、目付きを鋭くして一同を見渡すも、バッドエンドピースは五人の合体技を考えようと誘い、バッドエンドハッピーは同意した。バッドエンドサニーはやれやれといった表情を浮かべるも、キッとプリキュア達を見つめ、次は負けないと告げた。
バッドエンド王国に戻って行った五人を、ダークプリキュア5は、名残惜しそうに見送った・・・
ダークプリキュア5とキュアソード、両者の間にプリキュア5の五人が入った事で、ダークプリキュア5も冷静にソードの言いたかった事に耳を傾けた。ダークプリキュア5の五人も、ソードの気持ちを少しは理解する事が出来た。だが、キュアソードを見つめるアン王女の視線は険しかった・・・
帰って来たダークプリキュア5達と、楽しそうに談笑していたプリキュア達や妖精達だったが、ソードに近付いたアン王女は、
「ソード・・・」
「はい・・・・アッ!?」
アン王女は、右手でソードの左頬を平手で叩き、叩かれたソードは、目に涙を浮かべ、談笑していたプリキュア達も、思わずシーンと黙り込み、呆然とアン王女とソードのやり取りを見つめていた・・・
「ア、アン王女・・・どうして!?」
「わたくしは言った筈です!軽はずみな行動は控えなさいと・・・ですが、あなたはそれを聞き入れなかった!!あなたの軽率な行いが、他のプリキュアの方々をも、危険な目に遭わせたのですよ!!この方々が加勢に来てくれたから良かったものの・・・分かっているのですか?」
「も、申し訳ありません・・・でした」
零れる涙を拭おうともせず、ソードは、俯きながらアン王女の言葉に聞き入っていた。アン王女の言うように、ダークプリキュア5が来てくれなければ、自分達はどうなっていただろうかと思うと、背筋がゾッとした。見かねたドリームとピーチが、ソードに助け船を出し、
「アン王女!ソードも反省してるし、その辺で・・・」
「そうだよ!折角ダ―クプリキュア5も帰って来たしさぁ!!」
「いいんです!アン王女の仰る事は当然ですから・・・」
落ち込みながらも、アン王女の言葉を肯定するソード、ドリームとピーチが、微妙な表情で顔を見合わせたその時、ソードのパートナーである、ラブリーコミューン状態のダビィが騒ぎ出し、
「アン王女、国王様から連絡が入ってるビィ!」
「エッ!?お父様から?」
アン王女はその場で身を屈め、ダビィを手に持ち、トランプ王国に居る国王と通信を始めた。
「お父様、何かあったのですか?」
「ウム・・・アン、直ちにトランプ王国に戻ってくるのだ!実は・・・プリキュアの妖精が、三人も同時に誕生したのだ!!」
「エッ!?プリキュアの妖精が?」
「ウム、これは何かの前触れなのか、はたまた偶然なのか・・・」
「わ、分かりました!直ちにトランプ王国に戻ります!!」
通信を切ったアン王女に近付いた一同、ソードも不安げな表情を浮かべ、
「お、王女様?」
だがアン王女は、ソードを無視し、クルリとソードに背を向けると、他の一同に話し掛け、
「皆様、折角お近づきになれたばかりですが、わたくしは、急用でトランプ王国に戻らねばなりません!」
「プリキュアの妖精が生まれたって言ってたよね?」
ブラックに聞かれたアン王女は、コクリと頷くと、
「はい・・・それが何を意味するのかは、わたくしにも分かりませんが、ダビィのように、妖精達に、プリキュアの妖精としての使命を伝えねば・・・」
「ロプ!それならいっその事、その生まれた妖精を、妖精学校に入れたら良いロプ!!」
アン王女が、プリキュアの使命を、生まれたばかりの妖精達に伝える使命があると話すと、シロップが話に加わり、妖精学校の事を一同に教えた。妖精学校の事は一同も初耳だったようで、
「妖精学校!?」
「そのようなものがあるのですか?」
プリキュア達が、アン王女が、思わずシロップに聞き返した。シロップはコクリと頷くと、
「そうロプ!ココやナッツ、四大国王、他の妖精の国のみんなが中心となって、妖精達の学校を作ったロプ!!」
「そんな事が・・・それでココ達は、あんまりこっちの世界に来れないんだね?」
以前、のぞみの家に魔王が泊まりに来る日が近いと知ったココは、のぞみを心配してこっちの世界に来た事があったが、魔王がラブ達の下に行くと、ココは、シロップに乗って直ぐにパルミエ王国に帰った事を、ドリームは思い出した。ベリーはタルトをチラリと見ると、
「タルト、あなたも知ってたの?」
「いやぁ、ワイの耳には・・・何せワイは、王子言うても、スウィーツ王国の105番目の王子やさかいなぁ」
「それって・・・あんまり自慢にならないよね?」
タルトが、スウィーツ王国の105番目の王子だと知り、微妙な表情を浮かべたブルームが、タルトに話し掛ける。シロップはアン王女を再び見つめ、
「良かったら、シロップがココとナッツに話すから、トランプ王国に迎えに行くロプ!」
「それは助かります・・・分かりました!トランプ王国に戻り次第、父に話しておきます!!」
アン王女は、シロップの案に同意し、新しく生まれた三人の妖精達を、妖精学校に預ける事を決めた。
「では、わたくしはトランプ王国に戻ります!こんな事を皆様にお頼みするのは心苦しいのですが・・・ソードの事、よろしくお願い致します!!」
「エッ!?ま、待って下さい!私も一緒に・・・」
「なりません!キュアソード、わたくしが許可するまで・・・トランプ王国に戻って来る事は禁じます!!」
「エッ!?・・・そ、そんなぁぁ・・・嫌、嫌ですぅぅぅぅ」
他のプリキュア達に、ソードの事を頼んだアン王女、ソードが一緒に帰りたいと伝えても、アン王女は冷たくソードを突き放した。アン王女は、トランプ王国までシロップに送って貰えるか頼むと、シロップは送る事を快諾したものの、
「本当にソードを置いていくロプ?」
「はい!良いですね、ソード!!」
「待って・・・私も、私も・・・」
だが、アン王女はソードを無視し、シロップの背に乗り込むと、ソードから顔を背けた。それを見たソードの感情は爆発し、まるで赤子のように泣き喚いた・・・
「ウワァァァァァン・・・」
泣きじゃくるソードを心配し、ブロッサムとハッピーが側に近寄り慰めるも、ソードは泣きじゃくり続ける。
「いくら何でも酷いよ!」
「そうだよ!私、アン王女に抗議してくる!!」
「私も行く!!」
「お止めなさい!!」
泣きじゃくるソードの事を見かねて、ドリームとピーチが、アン王女に抗議しに行こうとするのを、ムーンライトが右手を広げながら止めた。二人はどうして止めるの?と言った表情でムーンライトを見つめると、
「ムーンライトの言う通りよ!良くアン王女の事を見て見なさい!!」
ダークアクアが、シロップに乗ったアン王女を指差し、釣られるように一同が視線を向けると、アン王女の肩も揺れていた。それは、アン王女も涙を流している事を、一同に理解させた。
「ゆり達の言う通りカゲ!アンだって、ソードを一人残すのは辛いカゲ・・・でも、自分が側に居ると、ソードは、心の何処かでアンを頼ってしまう!アンは、自分が側に居る事が、ソードの成長を妨げているのではと思ったようだカゲェ・・・ソード、自分でも薄々分かってるカゲ?」
会話に加わった魔王が、アン王女の真意を一同に語ると、ソードはハッとした。確かに、孤児となった自分を育ててくれたアン王女の事を、ソードは母とも姉とも思い慕って居た。プリキュアになっても、心の中でアン王女に甘えていた事が、思い返されてくる。ソードはゴシゴシ涙を腕で拭うと、大きく息を吸い込み、
「アン王女ぉぉ!私、強くなりますから!プリキュアのみんなと一緒に過ごし、心も体も・・・強くなりますからぁぁ!!今度アン王女と会う時は、胸を張って会えるように、成長しますからぁぁぁ!!!」
ソードの告白を聞き、堪らず振り向いたアン王女の瞳からも、大粒の涙が落ち、
「ソード・・・わたくしも楽しみにしていますよ!皆さん・・・ソードを、ソードをよろしくお願いします!!」
プリキュア達にソードの事を託し、アン王女は、シロップに乗ってトランプ王国へと帰って行った・・・
その姿を、一同は手を振り続けた・・・
第八十三話:バッドエンドプリキュアVSダークプリキュア5
完
遅くなりましたが、第八十三話投稿致します