1、ブラック先輩!
バッドエンドプリキュア達が、ダークドラゴンとの出会いと別れを体験してから三日後、なぎさは暇を持て余し、アカネとひかりの店、TAKO CAFEへと向かって行った・・・
「折角夏休みになったって言うのに、ほのかやゆりは夏休みも大学に行ってるとは・・・こんな事なら、何かサークルにでも入っておけば良かったかなぁ?うちの大学、女子ラクロス部もあって、誘われては居るんだけど・・・」
ぼやいては居るものの、なぎさがサークルに入らないのは、バッドエンド王国の事を気にしている事もあった。バッドエンドプリキュアを産み出し、再び動き出したバッドエンド王国、みゆき達を始めとした後輩プリキュア達だけを戦わせる事に躊躇いを感じていたなぎさ、ほのか、ゆりは、大学生になってもプリキュアとして戦い続ける事を決めた。
「出来れば、戦わずに済むのが一番何だけどねぇ・・・」
そう思いながら、TAKO CAFEのある公園にやって来たなぎさは、TAKO CAFEの前で困惑しているひかりを見て、小首を傾げ話し掛けると、
「ひかり、どうかしたの!?顔色が悪いわよ?」
「なぎささん、いらっしゃい!実は・・・・」
なぎさを見て顔を綻ばせたひかりだったが、直ぐに視線をテーブル席に向け、なぎさも釣られるようにテーブル席を見た。テーブル席を見たなぎさは、思わず目を点にし、
「あ、あんた達は・・・バッドエンドプリキュア!?な、何であんた達がTAKO CAFEに居るのよ?」
テーブル席に座っていたのはバッドエンドプリキュアの五人、五人はテーブル席に座り、たこ焼きを食べながら雑談に興じて居るようだったが、なぎさの声が聞こえ、ようやく五人もなぎさに気付き、
「アッ!?足の臭い・・・」
「人聞きの悪い事言うなぁぁぁ!それより、何であんた達が此処に居るのよ?」
バッドエンドハッピーに指を指されて足の臭いと言われ、なぎさは顔を真っ赤にしながら慌ててバッドエンドハッピーの言葉を遮り、何故五人がTAKO CAFEに居るのか、再び問い詰めた。
「何でって、ウチらたこ焼き食べに来たんやけど?」
「別にあたし達の勝手だろう?」
「私達、ちゃんとお金も払ったよ・・・ねぇ?」
「払ったのは私でしょう!買ったたこ焼きを私達が此処で食べても、何の問題も無い筈よ!」
「いや、まあ、それはそう何だけどさぁ・・・」
バッドエンドサニー、マーチ、ピース、ビューティに言いくるめられ、反論出来ないなぎさが戸惑って居ると、ワゴン車から出てきたアカネが近付き、
「何、何、この子達、なぎさの知り合いなの?」
「いやぁ、知り合いと言うか、何と言うか・・・」
「何かこの子達って、変わった格好してるなぁと思ったけど、今若い子の間で流行ってるの?」
「いやぁ、流行っているのは、この子達の間だけと言うか何と言うか・・・」
なぎさがしどろもどろに曖昧な返事をして、思わずアカネは不思議そうに小首を傾げるも、
「それにしてもこの子達って、前に来たあかねちゃん達に似てるよねぇ?食べっぷりも良いし!ねぇねぇあんた達、なぎさやひかりの知り合いのようだし、サービスするよ!どれか好きなの、一つだけおまけして上げるけど?」
「「「本当!?」」」
「ホンマ!?」
アカネの言葉を聞いたバッドエンドハッピー、ピース、マーチ、サニーは目を輝かせ、バッドエンドビューティは、さして感触無さ気にオレンジジュースのグラスを手に取り、中の氷をカラカラ鳴らした。
「アカネさん、この子達には・・・な、何よ?」
なぎさはアカネに、この子達にはサービスしなくても良いよと言おうとするも、なぎさの右腕にバッドエンドハッピーが、左腕にバッドエンドピースがしがみつき、二人で目をウルウルさせながら、なぎさに目で合図を送り、更にバッドエンドサニーとマーチも加わり、アカネに聞こえ無いように小声でなぎさに話し掛け、
「いやぁ・・・流石はブラック先輩の知り合いや!」
「ブ、ブラック先輩!?」
「そうそう、ブラック先輩だけは、他のプリキュア達とは違うと思ってたよ!」
「な、何調子良い事言ってんの?」
バッドエンドサニーとマーチにブラック先輩と呼ばれ、思わずなぎさの背筋がゾッとする。
「大体、何で私が、あんた達に先輩って呼ばれなきゃいけないのよ?」
「エェ!?だってぇ、私達と同じように黒い衣装だし・・・」
「私達やダークプリキュア5達、闇のプリキュアの元祖だもん!」
「「ねぇ!」」
バッドエンドハッピーとピースに、黒い衣装を着ていて、闇のプリキュアの元祖と言われ、思わず動揺したなぎさは、慌てて否定しようとして、
「違う!私は、光の使者・・・・・」
そう言いかけて、思わずなぎさは言葉に詰まった。記憶の彼方に、光と闇の使者と名乗った事があるような気がした。それは、時の狭間で出会った別の世界のブラックの記憶なのだが、なぎさの記憶とシンクロし、なぎさは微妙な表情を浮かべると、
「そう言われると・・・」
「でしょう?でしょう?」
「ワ~イ!ブラック先輩バンザイ!!」
「ブラック先輩!?」
「あっ、いや、私、一部ではブラックってあだ名で呼ばれてて・・・アハハハ」
なぎさの反応を見て、バッドエンドハッピーとピースが大声出して嬉しがるも、なぎさの事をブラック先輩と呼んでいるのがアカネに聞こえ、アカネは不思議そうに小首を傾げ、なぎさは慌てて誤魔化した。なぎさは、バッドエンドハッピーをジィと見つめると、
「アッ!でも、バッドエンドハッピーには、さっき足が臭い何て言われたしなぁ・・・バッドエンドハッピーには、サービスしなくても良いかなぁ?」
「ウワァァン!ゴメンなさぁぁい!!もう、二度と言わないよぉぉ!!」
「アハハ、冗談冗談!」
バッドエンドハッピーは、半泣きしながらなぎさに泣きつくと、その仕草がみゆきに似て居て、思わずなぎさは、冗談だとバッドエンドハッピーに笑みを浮かべた。
(な、なぎささん・・・どうしてバッドエンドプリキュアと仲良くして居るんだろう?)
ひかりの心の中に、思わず不安が芽生えた・・・
2、バッドエンドブラック!?
こうして話をしてみれば、みゆき達のようなバッドエンドプリキュアの五人を、なぎさは徐々に受け入れていった・・・
「まあ、悪さしないって言うなら、私もあんた達に何か奢って上げるけど?」
「「「「しない!しない!ブラック先輩の前で、そんな事しません!!」」」」
ヨイショを続ける四人を、バッドエンドビューティは呆れたように見つめるも、そんなやり取りを見て居たバッドエンドビューティは、思わずクスリと笑った。
「何だか良く分からないけど、仲良いねぇ・・・何にするか決ったら知らせてねぇ!」
「「「「ハ~イ!!」」」」
「分かりました!」
そうバッドエンドプリキュア達に言い残し、アカネは再びワゴン車に戻った。バッドエンドプリキュア達に誘われ、同じテーブルに座ったなぎさを見て、見る見るひかりの表情は曇り、
(ど、どうしよう!?このままじゃ、なぎささんが、なぎささんが・・・バッドエンドプリキュアになっちゃう!!)
ひかりは慌てて少し離れ、携帯を手に取ると、何処かに電話を掛けた・・・
T大・・・
ほのかは、ゆりと待ち合わせて、T大近くの喫茶店で一休みをしていると、徐に携帯が鳴り、着信者を見るとそれはひかりからで、直ぐに電話に出ると、電話口のひかりは酷く慌てて居た。
「ほのかさん、大変です!なぎささんが、なぎささんが・・・」
「ひかりさん!?どうしたの?なぎさに何かあったの?」
ほのかの電話のやり取りを聞いていたゆりも、なぎさに何かあったと聞き、思わず飲んでいたコーヒーカップを置き、ほのかをジィと見つめた。
「なぎささんが、なぎささんが・・・バッドエンドプリキュアになっちゃう!」
「ハァ!?」
思わずほのかは目を点にした。なぎさがバッドエンドプリキュアになっちゃうという、ひかりの言葉の意味が分からなかった。ほのかは小首を傾げながら、
「ひかりさん、落ち着いて!なぎさがバッドエンドプリキュアになっちゃうって、一体どう言う意味かしら!?」
「ほのかさん!直ぐ、直ぐ来て下さい!!」
「エッ!?何だか良く分からないけど・・・分かったわ!」
このまま電話でのやり取りを続けて居ても、混乱しているひかりから、詳しい事情を聞くのは無理だと判断したほのか、困惑顔で携帯を切るとゆりがほのかに話し掛け、
「ほのか、どう言う事?」
「さぁ!?私にも良く分からないんだけど、ひかりさんも混乱してるみたい・・・ねぇ、ゆり!悪いんだけど、一緒にTAKO CAFEに行ってくれないかしら?もしなぎさに何か遭ったら、私達はプリキュアになれないし・・・」
「そうね!数日前に、つぼみ達の下にもバッドエンドビューティがやって来たって言うし、少し気になるわね・・・大体の事は終わったし、良いわよ!私も行くわ!!」
「ありがとう、ゆり!」
二人は会計を済ませると、急ぎ足で駅へと向かった・・・
ひょんな事でバッドエンドプリキュア達に懐かれたなぎさは、バッドエンドプリキュア達に誘われ、同じテーブルに座り雑談に参加していた・・・
「ダークドラゴン!?本当に竜って居たんだ?」
「ウン!私も魔界に行って初めて知ったんだけど・・・竜ちゃん、可愛かったよ!」
バッドエンドピースが、親しげに竜ちゃんと呼んでいるのを聞き、思わずなぎさは目を点にしながら、
「竜ちゃん!?竜ってそんな可愛らしいの?」
「いやぁ、ようピースが見取るアニメや漫画に出とるような、ゴッツイ奴やったなぁ?」
「うん、大きかったよねぇ!でも、ピースを送り届けてくれたし、優しかったよね?」
少し苦笑しながら、バッドエンドサニーが竜の姿はゴッツイと言うと、バッドエンドハッピーも同意しながら、優しい竜だった事をなぎさに教えた。バッドエンドピースは、悲しげな表情を浮かべ、
「でも、消滅しちゃったけど・・・」
バッドエンドピースが呟くと、バッドエンドプリキュアの五人は思わず俯いた。なぎさは、そんなしおらしい姿を見せるバッドエンドプリキュア達に驚き、
「消滅!?死んじゃったって事?」
「ええ・・・でも、消滅する寸前、魂は私達バッドエンドプリキュアと共にあると、ダークドラゴンは言っていたわ!」
「でも、どう言う意味だかあたし達には良く分からなくて・・・」
バッドエンドビューティとマーチが、困惑しながらなぎさに呟くと、バッドエンドハッピーはなぎさを見つめ、
「ブラック先輩は何だか分かる?」
「いやぁ、私に聞かれてもさぁ・・・ウチのハッピー達スマイルプリキュアを例えるなら、ペガサスに力を借りると、プリンセスキャンドルが現われてハッピー達に力を貸してくれるようだし、あんた達の竜も、あんた達が気持ちを一つにして祈れば、何か力を貸してくれるとか?」
「成る程・・・それも一つの案だし、試して見る価値はありそうね!」
「流石ブラック先輩!」
バッドエンドビューティは、なぎさの言葉を聞くとハッとし、その可能性は大いに有り得ると何度も頷いた。それを見たバッドエンドハッピーは目を輝かせ、なぎさを尊敬の眼差しで見つめた。
「いやぁ、本当かどうか分からないけどね!」
なぎさは、髪をポリポリ掻きながら照れ隠しをするも、バッドエンドプリキュア達は、なぎさの言った事を後で試して見ると笑みを浮かべた。なぎさは話を誤魔化すかのように、
「ところで、さっき魔界って言ってたよね?魔界が有るって言うのは、以前戦った魔界の戦士が居たから知ってたけど・・・どんな所よ?」
「ウ~ン、私はアベルって言うのにやられちゃって、助けてくれた竜ちゃんの背中で眠っちゃったから良く分かんない!」
「魔界に居るアベルとか言う奴・・・何れウチらがしばいたる!」
「うん!ピースに酷い事したもんねぇ!!」
「このままじゃ・・・絶対に済まさない!!」
「私達バッドエンドプリキュアが・・・必ず報いを与えるわ!!」
「みんなぁぁぁ!!」
バッドエンドピースの口から、アベルの名が出た途端、四人のバッドエンドプリキュアの表情は見る見る険しくなり、バッドエンドサニー、ハッピー、マーチ、ビューティが、ピースに酷い事をしたアベルに、自分達バッドエンドプリキュアが借りを返すと誓うと、バッドエンドピースは、目をウルウルさせて四人を見つめた。そんなバッドエンドプリキュア達を見たなぎさの脳裏に、思わずダークプリキュア5の事が過ぎった。
(やっぱり、この子達もダークプリキュア5達と一緒だなぁ!出来る事なら・・・)
更になぎさの脳裏に、有る人物が浮かび上がった・・・
ドツクゾーンに生まれ、闇の戦士としてこの世界にやって来たものの、なぎさやほのかを始めとしたこの世界の人々に触れ、光の世界の素晴らしさを知った少年の事を・・・
なぎさは意を決すると、バッドエンドプリキュア達に話し掛け、
「ねえ、あんた達・・・こっちの世界で暮らしてみない?」
「「「「「エッ!?」」」」」
「バッドエンド王国何かより、絶対こっちで暮らす方が楽しいって!」
「なぎささん!」
なぎさの予想外の発言に、困惑気味のひかりがなぎさの名を呼ぶも、なぎさはそのまま話を続け、
「あんた達が住む所は、私達が捜すからさ・・・どう?」
なぎさの発言を聞き、思わず顔を見合わせたバッドエンドプリキュア達は、困惑気味になぎさを見つめ、
「こっちの世界は、楽しいとは思うけど・・・」
「ウチらは、バッドエナジーを集めな、消滅するっちゅう話やし・・・」
「だったらさぁ・・・ブラック先輩がバッドエンド王国にお出でよ!」
「そうそう、ブラック先輩ならあたし達も歓迎するよ!」
(な、なぎささん!?)
バッドエンドハッピーとサニーにはやんわり拒否をされ、逆にバッドエンドピースとマーチからは、バッドエンド王国に来て欲しいとなぎさが誘われ、思わずひかりはドキッとして、なぎさの反応を見た。なぎさは一体どう返答するのか、ひかりは不安そうになぎさを見つめるも、なぎさはかなり動揺したようで、
「な、何で私が逆に誘われるのよ?」
「では、この話は聞かなかった事にするわ!」
バッドエンドビューティから、この話は聞かなかった事にすると言われると、なぎさは心底残念そうな表情を浮かべ、
「いやぁ・・・出来れば、心の何処かには残して置いて欲しいんだけどなぁ?」
「「「「「・・・・・・・」」」」」
なぎさは、ほのかと共に救えなかったキリヤの事を思いだし、バッドエンドプリキュア達を、ダークプリキュア5達のように、闇の世界から自分達の世界へと手を差し伸べたかった。だが、行き成りすぎたかと反省したなぎさは、誤魔化し笑いを浮かべ、
「ア、アハハハ、行き成りすぎたかなぁ?じゃあ、そろそろアカネさんの所に行っておまけの品でも貰って来ようか?」
「ワァァイ!」
「しもた!話に夢中ですっかり忘れとった!」
「私は何にしようかなぁ?」
「ブラック先輩も奢ってくれるんだよね!?だったら、あたしはボリューム有るやつにしようかなぁ?」
「私は何でも良いわ・・・そうね、飲み物でも頂こうかしら?」
なぎさの言葉にバッドエンドプリキュア達は素直に従い、席を立った六人は、アカネの待つワゴン車へと歩いて行った。
3、約束
早足でTAKO CAFEにやって来たほのかとゆり、二人を見たひかりは、今にも泣き出しそうな表情で慌てて近づき、
「ほのかさん!ゆりさんも来てくれたんですか!」
「ひかりさん、なぎさは!?」
「ひかり、表情が優れないけど?」
「なぎささんは・・・・・」
ひかりの視線がテーブル席に注がれると、釣られるようにほのかとゆりもそちらに視線を向けた。視線の先には、バッドエンドプリキュアの五人と楽しげに談笑するなぎさの姿があり、思わずほのかとゆりは呆然とした。
「た、確かにあんな姿を見れば、ひかりさんが慌てるのも無理ないかも?」
「全く・・・なぎさは何を考えてるのかしら?」
「「ハァ」」
なぎさが、バッドエンドプリキュア達と楽しげに談笑する姿を見て、思わず顔を見合わせたほのかとゆりは、溜息を付いた。少し表情を険しくしたほのかは、
「なぎさ!」
「エッ!?ほのか!ゆり!二人も来てたんだ?」
「来てたんだじゃ無いわよ!ちょっと!!」
ほのかは、なぎさを手招きして呼ぶも、ほのかとゆりも来た事にバッドエンドプリキュア達も気付き、バッドエンドプリキュア達からは、なぎさに見せて居た人懐っこさは影を潜め、ほのかとゆりを見る姿には警戒心が沸き上がっていた。バッドエンドビューティがジィとゆりを凝視すると、口元に笑みを浮かべたゆりも見つめ返し、
「私の居ない時に、つぼみ達にチョッカイを掛けてくれたそうね?」
「元々は、あなたと戦う為に希望ヶ花に出向いたのだけれど、代わりにキュアサンシャインにお相手願ったわ!」
「そう・・・だったら、今此処で相手をしましょうか?」
ゆりとバッドエンドビューティの間に緊張感が走る。表情を変えたなぎさが、バッドエンドビューティを見つめると、他の四人は思わずハッとし、さっきのなぎさの言葉を思い出した。バッドエンドサニーとマーチは、慌てて爪楊枝を手に取り、たこ焼きを刺すと、
「ほらほら、ビューティ、アァァンや!」
「あ、あなた達、何のまね!?」
「いいから!いいから!」
そう言うと、弁当箱におかずを無理矢理詰め込むかのように、バッドエンドビューティの口の中に、交互にたこ焼きを詰め込んでいった。
「ひゃめ・・・てぇ!」
次々口の中に運ばれてくるたこ焼きに、何時ものクールさも消え失せ、バッドエンドビューティは、変顔浮かべながら苦しげな表情を浮かべた。
「ちょ、ちょっとあんた達、詰め込み過ぎだってば!大丈夫!?ほら、これでも飲んで!!」
なぎさは慌ててオレンジジュースをバッドエンドビューティに差し出すと、バッドエンドビューティは、それを受け取り、流し込むようにたこ焼きを何とか口内から飲み込み、少しゴホゴホ咽せた。
「サニー!マーチ!何のまねよ?」
少し怒ったバッドエンドビューティの周囲に冷気が沸き起るも、他のバッドエンドプリキュアの四人は、バッドエンドビューティに抱き付き、
「ビューティ、落ち着いて!」
「さっき、ブラック先輩と約束したやんか?」
「ブラック先輩の前ではおとなしくしてるって!」
「ビューティ、堪えて!」
バッドエンドハッピー、サニー、ピース、マーチに諭され、バッドエンドビューティもハッとした表情を浮かべるも、
「あれは、あなた達がしただけで・・・ハァ、分かったわ!」
冷静さを取り戻し、バッドエンドビューティが溜息を付きながら気持ちを落ち着かせると、ホッとしたなぎさはほのかとゆりに近づき、
「ゆりも、あの子達を刺激しないで!あの子達は、おとなしくTAKO CAFEに食べに来ただけ何だから」
「私も事を荒立たせる気は無いけれど、でもブラック先輩って!?なぎさ、どういう事?」
「私達に分かるように説明して!」
「いやぁ、話せば少し長くなるんだけどさぁ・・・・・」
なぎさは、ひょんな事でバッドエンドプリキュア達に懐かれた事を、ほのかとゆり、そして、ひかりに話した。バッドエンドプリキュア達は、根は悪い子達じゃない事も三人に話した・・・
「大体の事情は分かったけど・・・なぎさ、ひかりさんが心配してたよ!」
「なぎさがバッドエンドプリキュアになっちゃうってね」
「嫌だなぁ、そんな事無いって!でも、心配してくれてありがとう、ひかり!!」
「い、いいえ!」
なぎさは苦笑混じりに否定した時、ひかりは心の底からホッと安堵した。静観していたバッドエンドプリキュア達が席から立ち上がると、
「ブラック先輩!私達帰るねぇ!!」
「何やお邪魔虫も来たようやし」
「エヘヘ!たこ焼き美味しかったよ!」
「ほんとうは、まだまだ食べられるけど・・・」
「マーチ、あなたは食べ過ぎよ!」
「アッ!ちょ、ちょっと待って!!」
なぎさは慌ててアカネに何やら話し掛け、二袋をアカネから受け取ると、バッドエンドプリキュア達の下に歩み寄り、
「はい!さっき約束したでしょう!今日は私も奢って上げるって・・・これは、お土産!!」
「「「「ウワァァァ!」」」」
「良いの?」
バッドエンドハッピー、サニー、ピース、マーチはお土産を大いに喜び、バッドエンドビューティは、仲間達の前で、敵である自分達にお土産などを渡して良いのか尋ねると、なぎさは苦笑を浮かべながら、
「あんた達は、ちゃんと約束守ってくれたからね!」
「そう言う事なら、遠慮なく受け取るわ!」
なぎさが、バッドエンドビューティにたこ焼きの入ったお土産を手渡すと、人懐っこい笑みを浮かべたバッドエンドハッピーが抱き付き、
「ブラック先輩!ありがとう!!またねぇぇぇ!!」
「うん!さっき言った事、考えておいてよ!!」
「ブラック先輩も、バッドエンド王国に来たくなったら何時でもお出でよ!」
互いに手を振りながら別れたなぎさとバッドエンドプリキュア達を見て、ほのかとゆりは心底呆れたように、
「なぎさ・・・あんまりこういうのって、良く無いと思うよ!」
「真琴やアン王女が知ったら、あの二人はどう思うか・・・」
ジョーカーによってトランプ王国から盗まれた秘宝を取返す為、こっちの世界にやって来て居る真琴が知ったら、バッドエンドプリキュアと仲良くしているなぎさを見てどう思うか、ほのかとゆりにそう言われると、なぎさも困惑する表情を浮かべた。確かに真琴やアン王女からすれば、バッドエンドプリキュアはジョーカーの仲間であるのだから、だが、ジョーカーに半ば無理矢理産み出されたバッドエンドプリキュア達は、被害者だと考えたなぎさは、
「でも、トランプ王国の秘宝を盗み出したのは、ジョーカーじゃない!私は、あの子達も被害者だと思う・・・直ぐには無理かも知れないけど、真琴やアン王女も分かってくれるって私は思ってるんだよねぇ・・・」
なぎさはそう言うと、さっきまでバッドエンドプリキュア達が座っていたテーブル席を見つめた・・・
バッドエンド王国・・・
戻って来たバッドエンドプリキュア達は、たこ焼きを中に置くと、再び外へと出てきた。
「じゃあ、ブラック先輩が言ってた方法試して見よう!」
「待ってハッピー!気持ちを合わせるなら、声を出した方が良くないかしら?」
「せやなぁ・・・その方が上手く行きそうや!」
「ウン!テレビとかでも前にそんなのやってたよ!」
「ピースはテレビの見過ぎだろう?まあ、良いけど・・・じゃあ、始めよう!」
バッドエンドハッピー、ビューティ、サニー、ピース、マーチは、右手を合わせると、
「「「「「ドラゴンよ!私達に力を!!」」」」」
バッドエンドプリキュア五人の思いが一つになった時、五人の身体から黒いオ-ラが沸き上がり、見る見る何かの姿へと変化していった。
「あれは・・・竜ちゃん!」
バッドエンドピースが嬉しそうに指さすと、黒いオーラはダークドラゴンへと変化を遂げ、その姿を、バッドエンドプリキュア達は嬉しそうに見つめていた・・・
第九十二話:美墨なぎさとバッドエンドプリキュア!
完
第九十二話投稿致します!