プリキュアオールスターズif   作:鳳凰009

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 バッドエンドプリキュア達が、七色ヶ丘中学校に通い始め、みゆき達六人は困惑していた。時を同じくして、魔界では、カインが魔神達に招集を掛けていた。魔界に迷い込んだバッドエンドピースの行為を利用し、プリキュアは魔界に攻め入ったと一同に告げ、プリキュア討伐の指令を出したのだが・・・

 第十一章スタートです!
 魔界組も本格参戦して、オリジナルの新キャラ達が多数登場し、第十一章は長くなりますが、お付き合い下さいませ・・・
 本当は数話分書いてから投稿するつもりでしたが、最近パソコンの調子が悪く、書いてる途中でもよくフリーズするし、データー消えたらお手上げなので投稿しておきます。何の知らせもなく二ヶ月以上投稿がない時は、パソコンが壊れたとでも思って下さい・・・


第十一章:プリキュアと魔界の戦士達
第九十五話:魔界からの訪問者!


                 プロローグ

 

 美墨なぎさは、眠そうな目をしながら、自分の部屋で机に座って考え事をしていた。メップルは、そんななぎさを珍しいとからかうものの、なぎさは心此処にあらずといった状態で、思わずメップルは小首を傾げた。

 

「なぎさ!な・ぎ・さぁぁぁ!!」

 

「だぁぁぁ!な、何!?」

 

 驚いたなぎさがバランスを崩し、慌ててキョロキョロすると、メップルは溜息を付き、

 

「なぎさ、珍しく勉強してるかと思えば・・・」

 

「うるさいわねぇ!私だって考え事する時はあるの!!」

 

 そう言うと、なぎさはメップルに舌を出し、再び考え事を始めた。

 

(またカオスの夢を見たのは良いけど、何か悲しそうだったなぁ・・・)

 

 なぎさが頻繁に見る夢は、闇の中に浮かぶ長い黒髪をした少女カオス・・・

 

 時が経つにつれ、どんどん夢が鮮明になっていく気がしたなぎさは、カオスは自分に何か訴えたいのでは無いかと思い、それは何だろうかとボンヤリ考えて居た。そんななぎさに、メップルはお腹が減ったと騒ぎ、なぎさはやれやれといった表情で、メップルとミップルの料理番である、オムプのカードを取りだした。メップルが美味しそうにハンバーグを食べる姿を見て、なぎさもグゥゥとお腹を減らし、

 

「まっ、いっか!後でほのかにも聞いてみようっと」

 

 目の前の空腹に勝てず、なぎさは外へと出掛けて行った・・・

 

 

1、魔神達の集い

 

 魔界・・・

 

 日の光届かぬ、不気味な曇天の空に覆われし空、森が蠢き、大地は荒廃し、漆黒の海が、川が、湖があり、異形なる多種多様な生物が住む不気味な世界、その中心部に、十二の魔宮に守られ、中央に佇む、天に轟く不気味な黒い塔が有った。その内部に、十二の宮を預かりし者達が集っていた!

 

 バッドエンド王国でのプリキュアとの戦いで、倒されたバルガンが着ていたような白い軍服を着て、髪の色以外瓜二つの容姿を持つ、双児宮を守るのは、最強の二神金髪のカインと銀髪のアベル・・・

 

 頭部の左右から二本の大きな角を生やし、下半身は茶色い毛に覆われた屈強な体軀をした古の魔獣・・・磨羯宮を守護するのは、魔界の勇者アモン!

 

 水色の柔らかそうな腰まで伸びる長い髪を靡かせ、白い裸身を包み込む黒いワンピースを着て、右手にハープを持ち、切れ長な目をしたスレンダーな美しき女性・・・天秤宮を守護するのは、美神シーレイン!

 

 四神と呼ばれる四人の者達、さらに四人の前に控える者達が居た・・・

 

 全身をモコモコした白い毛皮で覆われ、顔が何所にあるかも分からない魔神、白羊宮を守護するのは、顔無しのオロン!

 

 魔界でその名を知らぬ者は居らずと言われ、頭部から牛のような二本の猛々しい角を生やし、巨大な斧を所持して、金牛宮を守護するのは、荒ぶる牛神ミノタウロス!

 

 アモン、ミノタウロスと並び、全身を禍々しい鎧で包み、その鋭い眼光で睨まれた者は、恐れ震え上がると言われる、獅子宮を守護するのは、荒ぶる獅子バルバス!

 

 シーレインにも勝とも劣らないと言われる美貌を持ち、その黒き下着のような肢体を見れば、忽ち虜になり、妖艶な瞳で見つめられれば、男も女も魅了して精気を奪う、処女宮を守護するのは、サキュバスのリリス!

 

 嘗て、魔界の勇者と呼ばれ、その肉体を失い、骨となっても魔王に忠義を尽くす、仁なるアンデット、天羯宮を守護するのは、スケルトンのベレル!

 

 その速さは、魔界で並ぶ者は無いと噂された半獣神、上半身は筋肉隆々とした人の容姿をし、下半身には毛並み鮮やかな馬の身体を持つ、その神速から放たれる矢を、躱せる者は居らずと言われる、人馬宮を守護するのは、ケンタウロスのアロン

 

 バルガン亡き後、カインとアベルによって新たに選ばれし魔神、紫色の短髪で、右目にのみ赤い水晶を埋め込み、その赤く輝く瞳が輝く時、狡猾な策略が閃く、宝瓶宮を守護するのは、狡猾なる魔神シャックス

 

 シーレイン、リリスと並ぶ女性の魔神、黄緑色した長い髪をし、上半身は白い貝殻ビキニを着け、下半身は魚のような鰭を持つ人魚、水の中だけではなく、空中をも自在に泳ぐ姿を見た者は、その美しさに目を奪われるという、普段は魔界の魔神とは思われない程温厚ながら、一度怒れば、その美しき髪は真紅に染まり、怒らせた相手は血の海に沈むと言われる、双魚宮を守護するのは、マーメイドのニクス

 

 巨蟹宮だけは無人なのか、この場所に姿を見せる魔神は居なかった・・・

 

 それら魔界の魔神達が、カインとアベルに、魔王の勅命として呼びだされ、黒き塔の内部に勢揃いしていた。シーレインは、カインとアベルに疑心に満ちた眼差しで見つめていた。何故魔王ルーシェスは、警戒していたカインとアベルにのみ、自らの指示を出そうとするのか、何故姿を現わそうとはしないのか、様々な疑惑がシーレインの心の中に浮かんで居た。シーレインは、カインとアベルの出方を探るかのように、

 

「カイン、アベル、私達全員を呼ぶとは・・・本当に魔王様の許可は取っているのでしょうねぇ?」

 

「無論だ!さて、一同に集まってもらったのには訳がある・・・実はアベルが、魔界にプリキュアが侵略してきたのを目撃してなぁ・・・」

 

「プリキュアと言えば、バルガンを倒したという・・・アベル、それは本当なの!?」

 

 カインの言葉を聞き一同がざわめいた。これには真偽を問おうとしていたシーレインも驚き、思わずアベルに問い掛けた。魔界には結界が張ってあり、おいそれと乗り込んでくる事など不可能な筈だった。アベルは、少し口元に笑みを浮かべながら、

 

「ああ、本当だ!無論返り討ちにしてやったがなぁ・・・だが、まんまと逃げられた!」

 

 アベル程の者が逃げられたと聞き、首を傾げたリリスは、

 

「何人で乗り込んで来たのです?」

 

「たった一人だ・・・我らも舐められたものだ!その事実を知った魔王様は、大変お怒りだ!!先のバルガンの件もあるしな」

 

 アベルが一人だと答えた事で、更に一同がざわついた。アベルの実力を持ってすれば、たった一人の侵入者を、殺す事も捕らえる事も出来ないとは思えなかった。カインは、思わず沈黙する一同に、檄を飛ばすかのように、

 

「魔王様の命はこうだ・・・魔界に仇なすプリキュアを・・・倒せとな!そして、見せしめに何人か魔界に拉致して、我が生贄に捧げよとのお達しだ!!」

 

 魔王ルーシェスの命が下った事で、魔神達の目の色は変わり、

 

「オォォォ!魔王様が・・・」

 

「ならばその役目拙者が!」

 

「いや、俺に行かせろ!最近暴れたり無くてウズウズしていた!!」

 

 アロンが、ベレルが、バルバスが、プリキュア討伐への名乗りを上げる中、突然室内にハープの調べが鳴り響き、一同が金縛り状態に陥った。不意を突かれたカインは、キッとシーレインを見つめ、

 

「何の真似だ!?シーレイン!!」

 

 シーレインは、目を閉じながら、何かを思案するようにハープを弾いた。ゆっくり目を開いたシーレインは、一同を見渡し、

 

「その役目・・・このシーレインが参りましょう!ただし、私なりのやり方でやらせて貰うわ!!」

 

「どういう意味だ?」

 

 シーレインの真意が読めず、眉を顰めたカインがシーレインに問うと、シーレインは、ハープの弦を一本ずつ弾き、

 

「プリキュアが、本当に我らと戦うつもりで乗り込んで来たのか、それとも、たまたま迷い込んだのか・・・やって来たのが一人だと言う事が、私には些か合点が行かない・・・この眼で確かめさせて貰うわ!」

 

 カインとアベルは、思わず口元に笑みを浮かべた。自分達を警戒しているシーレインが、自ら志願して、プリキュアの住む人間界に行くという事は、何らかの成果を出さない限り、シーレインを、魔王の命を装って処罰するのは容易いのだから・・・

 

「良いだろう!お前の好きにするが良い!!」

 

 口元に笑みを浮かべたカインが、シーレインの申し出を受け入れた。ニクスはシーレインの顔をジッと見つめると、

 

「シーレイン様、よろしければ私も一緒に参りましょうか?」

 

「ありがとう、ニクス!でも、これは私が自分で決めた事だから・・・アモン、留守を頼みます!!」

 

「分かった!お前程の者が遅れを取る事はあるまいが、気を付けるがいい!!」

 

「ええ・・・」

 

 アモンの労いの言葉に、シーレインが軽く頷くと、アモンの心の中にテレバシーを送った。シーレインに取って、心を許せる魔神は、アモンとニクスの二人のみだった。忠義に熱いべレルの事も信頼をしていたものの、ベレルは、カインとアベルに何ら疑惑を感じて居らず、自分達の本意を伝える事は出来なかった。

 

(アモン、私の留守を良い事に、カインとアベルは何らかの行動を起こす筈!注意していて!)

 

(ああ、分かって居る・・・だが、お前が自ら囮になる事もあるまい?)

 

(そうでもしなければ、あの用心深いカインを欺けないでしょう・・・)

 

 シーレインは、自分が魔界を留守にすれば、カインとアベルはきっと野心を表に出すと考え、人間界へと向かう決意をした。例えそれが、自らを窮地に陥らす事になったとしても、魔王ルーシェスの安否、カインとアベルの本当の目的を暴く為には、こうするよりないと考えて居た。

 

 アイコンタクトした二人は頷き合い、シーレインは、プリキュアが住む人間界へと向かった・・・

 

 

2、悔しいです!

 

 バッドエンドプリキュア達が、七色ヶ丘中学校に転入してきた知らせは、二時間目が終わった休み時間に、真琴の耳にも入っていた。

 

 バッドエンドプリキュア達は、それぞれ星崎みさき、日川あおい、黄野やおい、緑山なみ、青田れいなと名乗り、二年一組の生徒となった。みゆき達が、バッドエンドプリキュア達の事をどうするか、教室で相談している三時間目が終わった休み時間、真琴は表情を険しくしながら、バッドエンドプリキュア達が転入した、二年一組の様子を伺った。その時、突然真琴は肩をトントン叩かれ、反射的に真琴が右側から背後を振り向くと、真琴の右頬を、バッドエンドピースの人差し指が突き刺し、真琴の可愛らしいホッペがへこんだ。

 

「何やってるのかなぁ?」

 

「あ、あなた!?どういうつもり?何で私達の中学校に・・・」

 

「別に、私達の勝手でしょう?」

 

「何を企んでるか知らないけど・・・」

 

 真琴が表情を強張らせながら、バッドエンドピース事やおいに抗議していると、

 

「やおいちゃん、どうかしたの?」

 

 突然やおいの背後から声が掛かった。その声は同じ一組のクラスメートで、一人は眼鏡を掛けたお下げ髪の少女、もう一人はショートカットの少女、最後の一人は、ヘアバンドをしていておでこを出した少女だった。同じクラスメートだと気付いたやおいは、思わずドキッとした表情を浮かべると、瞬時に表情を変え背後を振り返った。やおいの目はウルウル揺らぎ、今にも泣き出しそうな表情を浮かべていて、同じクラスの三人組の少女達は、皆驚いたような表情を浮かべ、眼鏡の子とヘアバンドの子が、やおいに優しく話し掛け、

 

「や、やおいちゃん、どうしたの?」

 

「何かあの子に言われたの?」

 

「エェェ!?」

 

 真琴は、自分を見つめる一組の先輩達の鋭い視線を受け、思わず仰け反り、首をブルブル横に振って違うと合図するも、やおいは鼻を啜りながら、

 

「うん・・・私はまだ学校に慣れてないから、ちょっとモタモタしてたら・・・邪魔だって・・・」

 

 やおいはそう言うと、もう一度鼻を啜った。見る見る三人の少女たちの表情は強張り、

 

「酷い!」

 

「ちょっと、あなた確か・・・一年の剣崎さんって言ったわよね?」

 

「そうそう、佐々木先生の親戚だって聞いたわ!先輩に対して、そういう態度は無いんじゃない?」

 

 目の色変えた眼鏡の子、ショートカットの子、ヘアバンドの子、三人に抗議された真琴は、思わず困惑し仰け反りながら、違うと必死に弁明しようとする。三人の背後に居たやおいは、思わずニヤリとすると、三人組の前に行き、

 

「庇ってくれてありがとう!でも良いの、私がモタモタして、彼女の迷惑になったのは事実だし・・・」

 

 そう言うとやおいは、真琴を振り返り、ゲスイ表情を浮かべながら真琴に小声で話し掛け、

 

「へぇ、学校って所は、先輩の方が偉いんだねぇ・・・ねぇねぇ、ソード!私、お腹減ってきたなぁ・・・購買でパンでも買って来て!そうしたら、この場を治めて上げる!!」

 

「だ、誰が・・・」

 

 そう強がろうとした真琴だったが、背後に居る三人組の鋭い視線に気付き困惑すると、

 

「ウッ・・・ウワァァァン!」

 

 この場に居るのが居たたまれなくなったのか、真琴は、右腕で両目を隠しながら駈け出した。やおいは思わずクスクス笑うものの、背後の三人に気付き慌てて嘘泣きを始めると、三人はやおいを慰めた。教室に戻ってきたやおいを見たみさき、あおい、なみ、れいなは、やれやれと言った表情でやおいを見つめ、

 

「あぁあ、ソード泣き出しちゃったね?」

 

「相変わらず性格悪いやっちゃなぁ・・・」

 

「まあ、ピースらしいっちゃ、ピースらしいけどさ」

 

「でも、下手にボロを出されたら、私達にも影響が出るわ!」

 

 そんな会話をしながら、やおいを見つめていると、気付いたやおいは舌をペロっと出しながら四人に近付き、

 

「エヘヘ、面白かった!」

 

「ピース、からかうのも良いけど、程々にしておきなさい!」

 

「ハァァイ!」

 

 れいなに窘められ、再びやおいは舌をペロっと出した・・・

 

 

 放課後・・・

 

 ふしぎ図書館にある星デコルで作ったハウスに集まった、みゆき、あかね、やよい、なお、れいか、キャンディ、更に、みゆき達から連絡を受けたあゆみとグレル、エンエン、佐々木先生の家で、真琴同様居候の身になっていたアン王女にも連絡が行き、一同は、テーブルに覆い被さるように泣きじゃくり、ダビィに慰められている真琴に困惑していた。

 

「ウワァァァァン・・・わ、私、悔しいです!」

 

 真琴はそう言うと、テーブルをバンバン右手で叩き泣き喚いた。泣きじゃくる真琴の姿に、困惑気味にみゆき達を見たアン王女とあゆみは、

 

「ソードに何かあったのですか?」

 

「さっきから悔しい悔しいって言ってるけど・・・真琴ちゃん、どうしたの?」

 

 聞かれたみゆき達も困惑気味に、

 

「私達も、その場に居た訳じゃ無いから、詳しい事は良く分からないんだけど・・・」

 

「何でも、バッドエンドピースに嵌められたとか・・・」

 

「真琴ちゃん、詳しい事を話してみて?」

 

「それは、ダビィから話すビィ!」

 

 みゆきとれいかが、そうアン王女とあゆみに話し、やよいは、自分達に何があったか話して欲しいと、優しく真琴に話し掛けた。真琴は顔を上げるも、嫌々をしながらバンバンテーブルを叩き、代わりにダビィが、一同にバッドエンドピースとのやり取りを、ジェスチャーを交えて語って聞かせた・・・

 

 話し終わると、ダビィも興奮しながら、ソードを虐めたバッドエンドピースの事は許せないと怒り、キャンディとグレル、エンエンに宥められた。再び真琴はテーブルを右手でバンバン叩きながら悔しがり、見る見る一同は困惑した。あかねは髪をポリポリ掻きながら、

 

「で、結局パンを買うて来たんか?」

 

 少し呆れ気味にあかねが真琴に問うと、真琴は思わずピクリと反応し、ゆっくり顔を上げると、少し不服そうな表情を浮かべた。真琴は少し頬を膨らませながら、

 

「だってぇぇぇぇ」

 

 不満そうな表情を浮かべる真琴に、なおは苦笑混じりに話し掛け、

 

「真琴ちゃん、いくら先輩だからって、理不尽な事は聞かなくて良いんだよ?」

 

 自分の事を庇ってくれると思いきや、あまり一同の反応は芳しく無く、これもバッドエンドピースのせいだと思うと、真琴はバッドエンドピースの顔を思い浮かべると、段々イライラしてきて、

 

「ウゥゥゥ、私、他の四人は兎も角、バッドエンドピースだけは嫌!もう、ピースって名前聞くだけで・・・ムカムカしてきます!」

 

(エッ!?)

 

 そう言うと、真琴は再び頬を大きく膨らませ、自分もプリキュアになった名前が、ピースなやよいは困惑した。もしかしたら、真琴は自分の事を嫌っているのではと思うと、思わずやよいは身を乗り出し、恐る恐る真琴に話し掛け、

 

「ま、まこちゃん・・・ひょっとして、私の事も嫌ってる?」

 

「やよいさんの事を、私が嫌う訳無いじゃありませんか!嫌いなのは・・・ピースです!!」

 

(私もピース何だけど・・・)

 

 そう真琴に断言され、今度はやよいが落ち込み、力なく倚子に腰掛け、みゆきとれいかにフォローされた。アン王女は、そんな真琴を見ると何かを思案し、自ら納得したかのようにコクリと頷くと、

 

「分かりました!わたくしに考えがあります!!しばらくお待ちを・・・」

 

 アン王女はそう言うと、扉を開けて徐に不思議図書館から何処かへとワープして行った。

 

 アン王女が何所に行ったのか気になっては居たものの、残ったメンバーが、真琴とやよいを慰めながら雑談していると、ハウスの入り口が開いた。思わず一同が視線を向けると、入ってきたアン王女を見て一同は呆然とし、れいかは、飲んでいたお茶を思わず吹き出し、ゲホゲホ咽せた。

 

「ア、アン王女、その姿は!?」

 

 変顔浮かべながらアン王女を指さしたみゆき、一同が驚くのも無理はなく、アン王女は、みゆき達の学校、七色ヶ丘中学校の制服を着ていたのだから・・・

 

 更にその背後から、微妙な表情を浮かべた美希が現われ、一同に軽く会釈した。美希がアン王女と共に現われた事で、更に一同は混乱し、あゆみは美希に話し掛け、

 

「美希さん、どうしたんですか?」

 

「あたしが聞きたいくらいよ!行きなりアン王女がやって来て、みゆきちゃん達の制服を着せて欲しいと頼まれた時は・・・あたしも驚いたわ!!」

 

 美希はそう言うと、困惑気味にアン王女を見つめ、その時を思い出していた。学校を終え、この日は仕事がオフだった美希は、自分の部屋で美希の趣味でもある香水を自分の好みにアレンジしていると、突然本棚からアン王女が現われ、思わず美希は悲鳴を上げて驚いた。更に、みゆき達が通う七色ヶ丘中学校の制服を着せて欲しいと頼まれ、美希は思わず自分の耳を疑った程だった。

 

「一体何があったの?」

 

「実は・・・」

 

 美希にも理由を聞かれ、みゆきは困惑気味に今までの経緯を説明した・・・

 

 美希も状況を理解したものの、みゆき達の学校の制服を着て、アン王女は何をしようとしているのか想像すると、思わず美希は変顔になり、アン王女を見つめた。

 

(まさか・・・まさかね!?)

 

 美希の脳裏に、アン王女は真琴を心配して、年を誤魔化してみゆき達の中学校に通おうとしていたのではないか?そう考えた美希は、改めてアン王女の制服を着たその姿を見ると、思わず変顔を浮かべた。美希と同じような事を、みゆき達一同は頭の中に過ぎった。そんな一同の視線に気付かず、アン王女は呆然としていた真琴を励ますように、

 

「ソード、いつまでもクヨクヨするのはお止めなさい!」

 

「ですが・・・」

 

「安心しなさい!明日から、わたくしも佐々木先生に頼んで、あなたと同じクラスに通えるように手配して貰います!!」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「「「「「「「エェェェェェ!?それはちょっとぉぉぉぉ?」」」」」」」

 

 アン王女の言葉を聞き、真琴は瞳を輝かせながら喜色笑み、みゆき達六人と美希は、目を点にしながら驚愕し、慌ててアン王女に待ったを掛けた。アン王女は首を傾げ、

 

「何か問題でも?」

 

「大有りよ!」

 

「いやいや、真琴は中一やで・・・」

 

「それじゃあアン王女は、私達より年下になっちゃうし・・・」

 

 美希が真っ先に異論を唱え、あかねとみゆきが、遠回しにアン王女に考え直すように伝えようとするも、アン王女はそんな彼女達の思惑を理解せず、

 

「そうですか・・・では、みゆきさん達と同じクラスにすれば良いのですか?」

 

「「「「「「「それもちょっとぉぉぉぉ!」」」」」」」

 

 再び真琴以外の一同が待ったを掛け、アン王女は怪訝そうに、

 

「それもダメなのですか?」

 

「エェイ、仕方無い・・・アン王女、これでも見て!」

 

 美希は、持って居たコンパクトを取り出して、アン王女の姿を映した。アン王女は、鏡に映る自分の制服姿をジィと見つめると、見る見る顔を赤くし、恥ずかしそうに腕で制服を隠した。アン王女自身が見ても、その姿は、良い歳をして制服のコスプレをしている、痛い人のように映り、自らの行為を反省した。

 

「わ、わたくしが間違ってました!」

 

「分かってくれて良かったわ!」

 

「流石美希さん!」

 

 アン王女が自らの行為を反省し、真琴以外の一同はホッと安堵し、美希に感謝の言葉を発するのだった・・・

 

「ハァァァ」

 

 ただ一人、真琴は心から残念そうに溜息を付くと、徐に鞄の中から一枚の写真を撮りだした。写真を見ると、真琴の表情が見る見る和らぎ、

 

「こんな時、マヤちゃんが居てくれたらなぁ・・・」

 

「マヤちゃん!?」

 

 聞き慣れない名前を聞き、みゆきが思わず聞き返すと、アン王女の表情も寂しげに変わった。真琴は写真を一同に見せると、その中には10代後半に見えるアン王女が、幼い真琴ともう一人の少女の肩に手を置き、三人で微笑んでいる姿が写っていた。真琴がマヤと呼んだ少女は、肩まで伸びた黒いセミロングの髪をしていて、真琴と仲が良いのを現わすかのように、真琴の右手と、マヤの左手はしっかり握られていた。

 

「ウワァァ、まこちゃん、可愛いい!」

 

「で、この子がマヤちゃん?」

 

「はい!トランプ王国で、私が一番仲が良かった女の子です!!」

 

 真琴は当時を思い出したかのように、目を瞑ると穏やかな表情を浮かべながら、昔語りを一同に始めた・・・

 

 真琴は、孤児になってトランプ王国のお城に引き取られた。国王は、子供は国の宝だという方針をしていて、城に引き取った子供達を、城内に作った孤児院で手厚く保護し、孤児達は健やかに育っていった。真琴もその一人で、当初は男の子達と共に、ボール遊びなどをしたりしていた。真琴が引き取られて半年ぐらい経って、孤児院にやって来たのがマヤだった。真琴とマヤは直ぐに仲良くなり、またアン王女も何かに付けて孤児院を訪れ、孤児達の遊び相手になったり、習い事などを教えてあげていた。真琴とマヤも、大きくなったらアン王女のようになりたいなどと、二人で語ったりしていた。

 

「へぇ、まこちゃんの親友何だねぇ・・・マヤちゃんって子も、まこちゃんがキュアソードになった事を、喜んでくれたんじゃないの?」

 

 みゆきに聞かれた真琴は、アン王女と顔を見合わせると微妙な表情になり、みゆきは何か不味い事でも聞いたのだろうかと謝ると、真琴は慌てて首を振り、

 

「マヤちゃんは・・・5年前に突然居なくなっちゃったんです!」

 

「エッ!?居なくなった?」

 

「それって、家出って事?」

 

 みゆきとなおが、思わず驚いて真琴に問うと、真琴は困惑した表情を浮かべた。真琴にもマヤが突然失踪した理由など思い浮かばなかったのだから、真琴は首を振り、

 

「私にも分かりません・・・あのお祭りの日、マヤちゃんは、大勢の子供達が、ご両親と一緒に楽しそうにしているのを見ていたら、突然パパやママに会いたいって言って駈け出しちゃって・・・」

 

 真琴の言葉を引き取って、アン王女がその頃の様子を思い出しながら、ゆっくり一同に語り出し、

 

「ソードから聞いたわたくしは、直ぐに王国の兵達にも知らせ、マヤを捜索に向かったのですが、忽然とその姿を消してしまったんです・・・」

 

「まるで神隠しね?」

 

 美希は、良く話しに聞く神隠しの事を例えると、トランプ王国にも似たような言葉があるらしく、アン王女はコクリと頷き、

 

「ええ、誰かに浚われた事も危惧したお父様は、国境の警備を強化し、わたくしは、最も信頼する兵を国境の警備に添え、もしマヤの手掛かりがあれば、直ぐに城に知らせるようにしては居るのですが、あれから5年、何の手掛かりも未だに・・・」

 

 そう言うと、アン王女は言葉に詰まり、一同もそれ以上追求する事を止めた。真琴は、もう一度写真の中に写るマヤを見ると、心の中で、きっと何処かで無事に居るよねと話し掛けた・・・

 

 

3、シーレイン現る!

 

 シーレインは、バルガンが最初に訪れた、横浜の港が見える丘公園に降り立った・・・

 

 辺りを見渡せば、夏休みも直ぐ目の前で迫っている事も有り、多くの若いカップルや、子供連れで賑わっていた。

 

(此処が人間界・・・この澄み渡るような青空、何所までも続いているような海、穏やかな気持ちになれる所ね)

 

 シーレインは、空いていたベンチに腰掛けると、人間界と魔界の違いを実感し、軽くショックを受けていた。こんな世界に住むプリキュアが、態々血生臭い争いが跋扈(ばっこ)する魔界になど、攻めて来る事など有り得るのだろうか?やはり自分の想像通り、カインとアベルが何かの計画の為に、プリキュアの事を利用しようとしているのでは無いだろうか?シーレインがそんな事を考えて居ると、チャライ格好をした二人組の男に声を掛けられた。

 

「ねぇねぇねぇ、彼女、一人?」

 

「こんな所に一人で居ても寂しいっしょ?俺らと何処かに遊びに行かない?」

 

 シーレインは、声を掛けてきた二人組をジィと見つめると、二人はシーレインの美しさにドキリとし、何とかナンパを成功させようと必死だった。一人は茶髪のロン毛、もう一人は金髪頭の短髪、シーレインはクスリと笑うと、

 

「そうね・・・私の質問に答えてくれたら、あなた達と一緒に行っても良くってよ!」

 

「ほ、本当!?」

 

「何でも言って!」

 

 こんな美人をゲット出来るチャンスだとばかり、二人が身を乗り出すと、シーレインは再びクスリと笑った。魔界で自分に対して、こんなに馴れ馴れしい言葉を掛けてくる者など居なかった。シーレインの機嫌を損ねれば、それは直ちに死に繋がると恐れているのだから、だが、シーレインは争いを好きでは無かった。魔王ルーシェスが魔界を支配してから、無法地帯だった魔界に秩序が生まれた。魔界に秩序をもたらしたルーシェスの事を、シーレインは心から尊敬し、ルーシェスの下に仕えたい一身で、シーレインはハープを利用した多種多様な力で、魔界にその名を轟かせた。そんな過去を少し思い出したシーレインだったが、ハッと我に返り、本題であるプリキュアについて、男達に聞いてみようと思い立った。

 

「私があなた達に聞きたい事は・・・・・プリキュアは、何所に居るのかしら?」

 

「「プリキュア!?」」

 

 二人組のチャラ男達は、こんなモデルのような美人の口から、プリキュアの話題が出るとは思わず、シーレインに聞き返した。シーレインはコクリと頷き、

 

「ええ、プリキュア!あなた達は知っているのかしら?」

 

 チャラ男達は顔を見合わせると、コクリとアイコンタクトし、上手く丸め込めば、シーレインを物に出来ると感じた茶髪のロン毛が、

 

「はいはい、あのプリキュアねぇ・・・数ヶ月前、この横浜に現われた怪物を倒した、コスプレした少女の集団の事だよねぇ?」

 

「プリキュアが、この地に?」

 

 バルガンがこの横浜の地に降り立った事は、カインからの報告でシーレインも聞いていたが、まさかプリキュア達も此処に居たとは思わず、シーレインは少し興奮気味に身を乗り出した。

 

「確か、色々都市伝説にもなってたなぁ・・・ちょっと待ってね!」

 

 金髪男はそう言うと、携帯を取りだしてネットに繋ぎ、プリキュアの文字を入力して検索すると、色々な情報が現われた。

 

「プリキュアを見たって情報は・・・ここの横浜の他に、四つ葉町、希望ヶ花、加音町、七色ヶ丘って所で見たって噂になってるね?」

 

「本当!?私にも見せてくれるかしら?」

 

「どうぞ、どうぞ!」

 

 金髪が携帯をシーレインに手渡すと、金髪はさり気なくシーレインの右肩に右腕を回し、シーレインの様子を伺うと、シーレインは携帯に夢中なようで、特に嫌がる素振りも見せなかった。金髪は、茶髪にニヤリとすると、携帯の操作の仕方をシーレインに教えた。

 

「四つ葉町が危機に陥ると、どこからともなく四人組のプリキュアが現われ、悪者を倒すと何処かに去った。世界が砂漠化した時、希望ヶ花に現われた巨大な化け物の群れを、大勢のプリキュアが倒してくれた。音楽の街加音町で、悲しみに暮れる人々を救うプリキュア達が居た。七色ヶ丘中学校の校庭で見たような気がする・・・成る程、これは良い情報をくれたわ!!」

 

「役に立った?じゃあ、俺らと一緒に遊びに行ってくれるよね?」

 

「ええ、良いわよ!その前に、教えてくれたお礼をしなきゃね?」

 

「「お礼?」」

 

 顔を見合わせたチャラ男達に、シーレインは、何所からか取り出したハープを奏で始めた。シーレインの目が妖しく赤く輝くと、見る見るチャラ男達の目は、眠そうにトロンとし、催眠術に掛かったかのような状態に陥った。シーレインは、先程見た携帯画面を思い返し、

 

「四つ葉町、希望ヶ花、加音町、七色ヶ丘かぁ・・・そうね、音楽の街っていうのが気になるわね!ねぇ、私を加音町まで連れて行ってくれるかしら?」

 

「「はい!仰せのままに・・・」」

 

 チャラ男達は、シーレインに命じられるまま、港の見える丘公園前に路上駐車してあった、赤い日産のフェアレディZにシーレインを乗せると、加音町目掛け爆音立てながら走り出した・・・

 

 その事を、響、奏、エレン、アコが、知る由も無かった・・・

 

             第九十五話:魔界からの訪問者!

                    完

 

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