薄暮の中の竜たち   作:来星馬玲

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 これは自分がかつてバトスピ広場の隅に連載していた、放浪者ロロがいた頃の赤の世界を題材とした小説です。

 白の世界の物語とは違い、こちらは3章分までしか書いていなかったので、更新は遅くなると思います。

 内容は恐竜姫ジュラを主人公(ヒロイン)とした物語であり、虚無の軍勢の一員でもある戦斧のアポロディノスが準主人公格として登場し、両者の交流も大きなテーマとなっています。

 龍帝・竜騎や虚神・神将などの虚無の軍勢に関しても自分なりの解釈で書いていますので、ご注意を。


一 アポロとの出会い

 ここは想いが形になる世界。

 だから生物は母から生まれることなくしてこの世界に出現する。

 わたしが名付けた通り、彼らはスピリットなのだ。

 この世界を征服しようと到来する人間たちは、肉体を捨て、

 魂だけが降臨し、そしてこの世界でスピリットとなる。たとえば竜人。

 

 

 

 夕闇の大地を渇いた空気が駆け抜けた。舞い上げられた砂埃は風に弄ばれ、中空を当ても無くさ迷う。入り込んできた砂が、汗ばんだ肌に粘りついた。

 

 乾いた風に乗って、腐った肉の臭いが鼻孔を刺激する。ジュラは微かに顔をしかめた。戦場の臭いというものには、どうしても馴染めない。恐竜同士が取っ組み合い、血を流しながらも喧嘩をするというものは、何度見ても飽きないし、囃し立てて煽り、自分も一緒になって、棍を振りまわしたりして楽しんだものである。

 

 しかし、相手の生命を奪う為に牙を突きたて、自分の命が尽きることへの怯えを黙殺し、倒錯した本能の赴くままに繰り返される血なまぐさい行業は、嫌悪していた。ジュラは、喧嘩は好きだが、戦争は嫌いだった。

 

 輿を担いでいる先頭のディノハウンドが低く唸った。気配を感じ、あからさまな闘争本能をむき出しにしている。他の恐竜たちも色めき立った。

 

 恐竜たちは、ジュラが乗っているにも関わらず、輿を大きく揺さぶりながら荒々しく足踏みをした。ジュラに叱咤され、すぐに静まったが、溢れ出る闘争心は行き場を求めて、外敵の気配を探った。

 

「ぐっぐっぐっ」

 

 近くに集まってきた竜人の声がした。獲物を見とめ、狩猟本能を顕わにしている時の声である。それに応えるかのように、輿を担ぐ恐竜や、護衛のロクケラトプスたちが彼らを威嚇した。

 

 きゅろろ。きゅろ。

 

 ジュラの膝の上にいた一匹のヨロイリザドンが、悲しそうな鳴き声を漏らした。ジュラはそのヨロイリザドンを安心させようと、労る様に優しく頭部を撫でた。

 

「ダーナ。大丈夫、大丈夫だから」

 

 竜人たちは存在を知られていることに疾うに気づいているらしく、気配を隠す事も無くわらわらと這いでてきて、輿と輿を守っているロクケラトプスを取り囲んだ。その多くが発達した四本の腕を持つドラグノ一族の一小隊らしい。先の敗戦によるショックの為か、その眼は何れも正気を失いかけ、ぎらぎらと夕闇の中で輝いていた。

 

 これが、戦いの喜びに猛る恐竜たちの中でのことなら、ジュラももっと気高く振る舞えたであろう。だが、乱戦のさなか、友軍と逸れてしまい、急いで陣地に戻っているこの傷付いた少数の戦力では、希望は薄い。内心、恐怖に怯えていたが、ジュラはあくまで虚勢を張り、眼の前のドラグノ一族を睨み据えた。

 

「くあっ」

 

 隊長格らしい竜人が咆哮を上げると共に、ドラグノ達が得物を構えて襲いかかってきた。応戦しようとしたロクケラトプスの一体が、あっけなく頭を断ち割られて地に伏した。

 

 たちまち周囲は血と喧騒の修羅場と化した。ジュラは、愛用している恐竜の骨を固めて作った鈍器を手にして、輿から舞い降りた。輿の上に一匹だけ残されたヨロイリザドンのダーナが心配そうにジュラを見つめ、寂しそうに鳴いた。

 

 ジュラの鈍器がドラグノの固い胸を突き倒す。ドラグノは悔しそうに咆哮を上げながら倒れた。骨を砕かれて地をのたうつ竜人を見て、ジュラは陶然となった。ジュラの鈍器は、強靭な竜人や恐竜に対して、殺傷力は低いが、戦意を挫くには十分な物であったと言える。

 

 自ら戦う姫君の姿を見て、恐竜たちの指揮も否応なく高まった。勇猛果敢なことで知られるディノハウンドの一体が、青い獣毛を逆立てながら竜人に喰らいかかった。断末魔を上げながらその竜人は倒れた。

 

 勝機を見出したかの如く、力を振るう地竜たちであったが、竜人たちの連れだした奇妙で無機的な体を持った竜による突然の猛攻で、一気に士気を挫かれた。

 

 鋼の装甲を備えた機竜メタルバーン。恐竜の自慢の爪や牙を物ともせず、無感情に恐竜たちを次々と鋼の刃で切り裂き、打ち倒していった。

 

 六匹いたロクケラトプスは全滅し、ジュラの周りの恐竜も、一体のディノハウンドを残すのみとなった。

 

 ディノハウンドは己の最期を悟り、捨て身の覚悟でメタルバーンに飛びかかっていった。メタルバーンの放った、強力な熱量の閃光で胸部を貫かれながらも、ディノハウンドは相手の首を引き千切り、両者は相打ちとなった。

 

 討ち死にを覚悟し、なおも戦おうとするジュラであったが、背後から竜人に羽交締めにされ、手にしていた鈍器を取り上げられた。ジュラが「返せ」と叫びながら腕をばたつかせたが、竜人は無視して乾いた草の生えた地面に放り出した。

 

 口を大にしてジュラは竜人を何度も罵ったが、瞬く間に両手足を固紐で縛られてしまった。地面に投げ出されたジュラの様子を見て、ドラグノ一族の小隊員は勝利の喜びを分かち合った。

 

「ぐぐ。愚かな恐竜たちの姫は、薄汚い道化と聞いていたが、まさか本当のことだったとはな。全く持って汚らわしい小娘だ。確かに恐竜どもにはぴったりだな」

 

 竜人の多くは道化のことを毛嫌いし、一部では憎悪さえしていた。自然の摂理に逆らい、子を宿す汚らわしい存在。多くは中立を装いながらも他者を小馬鹿にした態度をとり、見世物をしたりしながらこの世界で飢えをしのぐ。まさに、道化が道化と呼ばれる所以であった。

 

「おのれ、儂を愚弄するか」

 

 ジュラが吐き捨てると、竜人たちは小娘の虚勢と高笑いし、その内の一人がジュラの顔を覗き込みながら罵った。

 

 ジュラがその竜人の顔にぺっと唾を吐きつけ、怒った竜人は思わず重く太い剣を振り上げ、ジュラを叩き斬ろうとした。隊長格の竜人が押し止め、その竜人は名残惜しそうにその手を止めた。

 

「この小娘をさっさと斬り捨てて、爬獣どもの餌にしてやりたいところだが、まだこいつには利用価値がある。恐竜の奴らがあれほど大切にしている姫さんだ。我らの手中にあれば、今回の敗戦の元を取れるかも知れぬぞ」

 

 それはジュラにとっては耐えがたい屈辱であった。自分に止めをさせと喚いたが、聞き入れてもらえず、震えながらも己の舌を噛み切ろうかと逡巡していたが、たちまち猿轡を噛まされ、声を上げることすら出来なくなった。

 

 竜人の一人が、輿の上にいる、ジュラを拘束する竜人たちに向かって唸っていたダーナを掴み上げた。

 

「あまり見かけない奴だな。どうやらこいつのペットらしい」

 

「ふん、生き物をペットにするなんて道化らしいな。おれが都で見た、ナイフ投げを見世物にしている女は、恐竜の奴らをペットにしていたぜ」

 

「かか。恐竜どもはこの姫さんのペットか。道理で間抜けなわけだ」

 

 同胞を侮辱され、ジュラは激しい怒りを覚えた。彼らは誇り高い種族。自分はそんな彼らに守られて生きてきたのだ。

 

「それにしても、この爬獣はどうする。得体の知れない奴を下っ端に喰わして、腹をこわされでもしたら困るしな」

 

 そこまで言っていた竜人の指を、ダーナが強く噛んだ。悲鳴を上げた竜人は慌てて、ダーナを輿の上に叩きつけた。

 

「こいつめ。細切れに裂いてやる」

 

 刃を構える竜人。ジュラは眼を見開き、声を出せず、喉を唸らせながら訴えた。もはやその瞳には竜人に対する哀願の情すら顕わになっていた。

 

 構わずに振り下ろされた刃を、横から一人の竜人が掴んだ。先ほどまでは見かけなかった丸腰の竜人。異質な薄い青みがかった肌。この場にいるドラグノ一族とは別の種族らしい。

 

「なにすんだ、アポロ。ろくに戦えもしない荷物持ちの分際で、でしゃばった真似をするんじゃねえ。誰が宿なしのお前を雇ってやったと思っているんだ」

 

 アポロと言われた竜人は、その竜人に頭を下げ、ダーナを抱え上げた。

 

「こいつはおれにくれ。珍しい奴だしな」

 

「なんだと。おれはこいつを引き裂いてやらないと気が済まないんだ」

 

 様子を眺めていた隊長格の竜人がおもむろに口を開いた。

 

「いい、そいつは荷物持ちにくれてやれ。まったく、見っとも無いぞ」

 

 隊長格に窘められ、その竜人は渋々ながらも従った。

 

「アポロ。その代り、お前はこの小娘を背負って付いて来い。どうも道化の臭いというやつは、臭くて敵わんからな」

 

「分かりました」

 

 アポロはそう言うと、ダーナを懐の革袋に押し込み、四本の腕で嫌がるジュラの体を軽々と持ち上げ、その身に背負った。この竜人は結果としてダーナの命を救ったが、結局はドラグノたちの手先にすぎない。ジュラは心の中で、この異形の竜人を口汚く罵った。

 

 アポロは時々、ジュラの方を振り返り、怒りに燃える彼女の真紅の瞳を覗いた。アポロのどことなく親しみの持てる、落ち着いた面影を目の当たりにしたジュラは、僅かながらも親近感のようなものを感じた。

 

 それでも、相手を軽蔑する意思も込めて、怒りを表した顔つきで、彼を睨んだ。その度に、アポロはジュラにそんな態度を取らせている自分が申し訳ないとでも言うような面持ちとなった。

 

 夕闇は深まり、紅い光が薄らいでいき、薄暮の時も終わろうとしていた。敗戦の後とはいえ、思わぬ収穫を得たドラグノ一族の一小隊は、勝利の凱旋のような賑やかさで夜道を進んで行った。夜風に吹かれながらも熱気は立ちこもり、ジュラは慣れない竜人たちの臭いの中で、鼻をつまみたいほどであった。両手足を縛られている為にそれもできない。

 

 地上は、夜の闇に満たされてきた。一行は過去に同胞の竜人が残した陣地を見つけ、そこで夜営をすることになった。夜になると、誰にも使役されていない夜行性の翼竜や空牙が飛び交い、迂闊に動いては危険だったからである。

 

 ジュラは隊長格の指示で柱に括りつけられ、数人の見張りが交代で番をした。せっかくの恐竜との戦争の切り札が、野生の翼竜や空牙、あるいは爬獣などに喰われるのを警戒しているためである。

 

 この頃は、かつての地上の支配者であった皇獣まで凶暴になっているというから、なおさら油断はできない。陣の中を交代で巡回する者もいた。

 

 ジュラは身動きできないまま傍らの竜人を睨んでいた。いつも手にしている大事な骨の武器もなく、ダーナは取り上げられた。ジュラは落ち着かず、猿轡を噛まされたまま意味もなく度々唸っていたが、竜人たちは相手にしなかった。

 

 闇夜となり、見張りを残して竜人たちは寝静まった。ジュラの近くの竜人も時折眠たそうに、立ったまま鼾をかきかけたが、隣のもう一人の竜人に小突かれ、慌てて眼を開いた。これだけ静かで獣の気配すらないと、自然と注意が散漫になる者もいるらしい。

 

 ジュラの怒りと屈辱はやがて、悲哀の情へと移り行き、今日の戦いで散っていった仲間の地竜たちのことが脳裏に浮かんだ。それに続いて、無力な自分の現状を思い、頬を涙がつたう。今まで守られてきた自分が、仲間たちを危機に追いやるための道具として使われる。

 

 ジュラは、仲間たちが自分のことを見捨ててくれることを願った。しかし、ジュラを常に大切に扱う地竜たちが、そうしてくれないこともまた、分かっていた。

 

 微かな物音がした。眠そうにしていた片方の竜人は気づかなかったが、もう一人の竜人がその竜人をまた小突き、注意を促した。

 

 一つの影がさっと飛び、次の瞬間には見張りをしていた二人の竜人が、声も上げずに倒れていた。二人の竜人は後頭部を殴られ、気絶していた。ジュラが何事か見極められないでいるうちに、その影はジュラの前に立ち、小声で呟いた。

 

「逃がしてやる。声を出すなよ」

 

 あのアポロと呼ばれている、青白い肌の竜人であった。アポロは四本の腕で手際よくジュラを拘束していた固紐を解き、猿轡を外した。ジュラは唖然としたままアポロを見つめていた。

 

 アポロが革袋の中から一匹のヨロイリザドンを取り出し、ジュラの両手に掴ませた。

 

「ダーナ……。良かった……」

 

 アポロが初めて聞いた、ジュラの喜びの声であった。ジュラはダーナを抱きしめ、頬ずりをした。

 

「早く逃げるんだ。他の連中に見つからないうちに」

 

 ジュラは、突然自分を助けたこの異形の竜人を真正面から睨み、言った。

 

「何故、儂を助けた」

 

「声を出すなと言ったろ。急いで逃げろ。見つかったら、おれの手には負えん」

 

 アポロはそう言うと、身を翻し、ジュラを招いた。ジュラは黙って彼の後について行く。見張りの竜人たちの側を抜け、敵陣の外へ向かった。

 

 ジュラは、先ほど気絶させられた竜人たちがすぐに起き上り、後を追ってくるのではないかと心配でならなかった。ジュラの心配通りにはならず、アポロは予め用意していたかのような手際の良さで、ジュラを連れて竜人たちの陣を出た。

 

 夜空に月が昇っていた。太陽が熱を失い、冷たく凍りついたかのような青白い月。ジュラは、月を度々見やった。あの月が、息絶えた地竜たちの生気のない瞳と重なって見え、どうしても気になったのである。

 

 二人は夜の荒野を駆けて行き、竜人たちの陣地が見えなくなり、大分離れたところまで来た。アポロは、息切れがしているジュラを見やり、一息つくことを勧め、二人はその場に腰を下ろした。乾燥した地面の土が僅かに押しのけられた。ジュラの腕の中にいたダーナが嬉しそうに鳴き、ぴたりとジュラの肌にその身を寄せた。

 

「お前は何故、竜人たちを裏切った。何が目当てじゃ」

 

 

 ジュラの言葉を聞き、アポロは若干の苦笑を見せた。

 

「おれは別にあいつらの仲間というわけでもないのさ。まあ、雑用とはいえ雇ってもらった恩義はあるがね。とりあえず、あいつらの血を流さずには済んだから、良しとしとておくか」

 

「やはり、お前は竜人どもの間でも異端の種族なのか」

 

「まあ、そう思ってくれて結構。こんな姿の竜人、君も見たことないだろう。余所者なんだよ、おれは」

 

 そう言うと、アポロは己の青白い肌を見せびらかしながら、笑った。

 

「まだ、お前は儂の質問に答えておらぬぞ。恩義があるなら、なにゆえその竜人どもを裏切って儂を助けたりしたのじゃ」

 

 一瞬、アポロは考え込む様な仕草を見せたが、すぐにジュラを見やりながら答えた。

 

「何となく、気に入らなかったんだ、あいつらが。まあ、だからと言って君の仲間の、恐竜さんが好きだと言うわけでもないけどな。ただ、おれは自分のやりたいようにやりたかった。それだけだよ。だから君を助けた」

 

「ふん、個人の考えで恩義ある者を裏切り、後先考えずに人助けか。低俗な奴じゃの。ただ、儂は命を救われた身。褒美は取らしてやっても良いぞ」

 

 それを聞いたアポロは腹を抱えて笑いだした。ジュラはその様子を呆れて眺めていた。やがて、アポロは背中に固い物が当たっていることに気がつき、背中に紐で括りつけていたそれを取り外し、ジュラの前に差し出した。

 

「忘れるところだった。これ、大事な物なんだろ。扱いは乱暴だけどな。竜人の眼を盗んで拾っておいてやった」

 

 ジュラは思わず、ひったくるようにしてそれを取った。固く頑丈な、恐竜の骨を固めて造られた鈍器。竜人に捕まった時、捨てられた筈の物であった。ジュラはアポロを尻目に、それを愛おしそうに抱いた。ダーナの時と同じくらいの喜びようであった。

 

 ジュラはあきれ顔で自分を見ているアポロに気がつき、慌てて、その鈍器を身から離した。

 

「……ありがとう」

 

 ジュラがぽつりと呟いた。

 

「それ、やっぱり大切な物なのか」

 

「……父様の形見」

 

「そうか」

 

 

 アポロは、ジュラから眼を逸らし、夜空を見上げた。気温は高かったが、夜空に浮かぶ昼間の太陽と比べて安らかな月が、空気を冷やかなものにしている気がした。

 

 その夜空を翼持つ影が幾つか過った。途端にアポロは厳しい表情になり、ジュラの腕を掴んだ。ジュラが驚き、捕まっていたダーナが滑り落ちそうになって、思わずジュラの薄い衣装に爪を引っ掛けた。

 

 

「どうかしたのか」

 

「野生の翼竜だ。厄介な奴らに眼を付けられてしまったよ。……走れるか」

 

「……ああ」

 

「よし、ならなるべく早い方がいい。囲まれたら危険だ」

 

 二人は一緒に立ち上がり、アポロの言葉に従って、ジュラはダーナを強く抱きしめたまま立ち上がった。ダーナは哀しそうに鳴いたが、ジュラが安心させるようにあやすと、すぐに静かになった。

 

「こっちの方角に森がある。奴らは狭いところまで追ってはこれない。一気に駆け抜けるぞ」

 

 ジュラが頷くと、アポロはジュラの手を強く掴んだ。ジュラはアポロの手を強く握り返した。二人に気づかれたことに感づいたのか、上空の翼竜たちが奇声を上げた。続々と集まってきた翼持つ者たち。

 

「走れ」

 

 アポロの叫びと共に、二人は走った。上空の翼竜の動きが慌ただしくなる。

 

 一つ目の竜、アイバーン。夜空を舞う彼らにとって、恐竜も竜人も等しい獲物であった。

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