気がついたらオリキャラ(女)になって原始時代にいたけどメス堕ちはしない主人公君 ※ 作:キサラギ職員
「うわぁぁぁぁぁぁっ! マンモス! マンモスだぁぁぁぁぁ!!」
どうしてこんなことになったのか。
俺は全力疾走していた。
正直舐めていた。マンモスなんて象みたいにのろまで簡単に撒けるんだろうと思っていたわけだが、これがまあ速い。俺の全速力に余裕でついてくるのだ。というかデカい。動物園で見たことのある象の二回りはでかい。確かマンモス自体は俺の知る象と大差ない大きさだったはずだが、明らかにでかいのだ。
俺がかろうじてマンモス?の追跡を逃れられている理由は、森だからだ。木々が障害物になっていて、ちょこまかと走り回る俺のことを踏み潰せないからだ。もしなかったらぺしゃんこにされている。
「!!!!!!」
怒ったゾウ!
なんちて。
「ぶべぇっ!?」
コケた。濡れた葉っぱを踏んだのか思い切りこけて岩場に転がり落ちた。
「川か!?」
川だった。清らかな水が激しく流れている。岩場に入ったことでマンモスの速度が落ちた。マンモスの足で岩場を越えるのは難しいのだろう。
「!!!!!!」
鼻を振り回して激しく威嚇しながらえっちらおっちらやってくる。もたもたしてはいられない。
俺はあえて危険な道を行くことにした。すなわち川の上流、滝のようになっているその真っ只中を進んでいくことだ。
確か遭難したときは川を遡ってはならないというのが鉄則らしいが、そんなことはどうでもいい。あのデカブツから逃げなければ今度こそお陀仏である。
岩に手をかけて、登る! 水が盛大に打ち付けて着ていた服がズブ濡れになるが構うものか。登る登る!
そして滝の上までたどり着くと、見下ろしてみた。マンモスが俺のことを恨めしげな眼で睨んでいるのが見える。
「ざまあ! またな!」
俺は中指を立ててあらん限りの笑顔でマンモスを煽ると、その場を後にした。
気がついたのだが、どうやら荷物を何も持っていないらしい。携帯電話もなければ、財布も無い。家の鍵すらない。あるとすれば―――。
「女ものかよ………というか」
女物のワンピースらしき服。
服はいい。体が問題なのだ。足元がみえねぇなと思ったらおっぱいがついてなさるのだ。
「うわっ………えぇ…………」
髪の毛も腰まで伸びてるし、声も女のそれだ。鏡がないから顔まではわからないが、顔も女だろう。
そして、俺の手は下半身に伸びて、空中を切った。
「Oh...」
ないのだ。
なんということでしょう。愛用の剣が無くなっているではないか。
「お゛んなにな゛って゛る゛ぅぅぅぅぅぅ!!」
「寒いよぉ、おなかすいたよぉ」
一通り驚いた俺は持ち前の能天気さを発揮してとにかく歩いてみることにした。
寝て起きたらこれとかどんなバツゲームなのだろう。人里に戻りたい。
遭難したときはとにかく山を登れという話があったので、山の頂上を目指そうとしているところだ。ところが木々が分厚すぎて山頂がどっちなのかわからないのだ。やってはならないという川を遡るという方法に頼らざるを得ない。
いやそもそも、ここは日本なのか? いつの間にかロシアの奥地にやってきたという可能性は? だってマンモスだぜ。絶滅したはずじゃないか。ロシアには絶滅した生き物がいるという謎の確信があるので。
「煙が見えるな……」
日が沈んできてしまった。気温が下がってくる。薄手のワンピースが濡れてとにかく寒い。
煙の出ている地点まで歩いていってみると、何やら焚き火をしているではないか。焚き火の傍には棒に刺さった肉がかけられている。
この日本で、焚き火? 肉を直火で……? ワイルドなキャンパーがいたもんだなぁ……。
緊急事態ということで、ここは頂きますか。
肉を掴んでむしゃり! ……………塩が効いてないな………。すじも多いし……。
とはいえ肉である。すきっ腹に染み渡る!
「はふはふっ! はふっ!」
俺が夢中で肉を貪っていると、草むらがガサガサと音を立てたではないか。
慌てて肉を全て口の中に収めて飲み込むと、隠れる場所を探す。見当たらない。わたわたしているうちに、その人物がにゅっと姿を見せた。
「誰だ?」
男だった。下半身を獣の皮で覆っただけの金髪青目の白人系。顔立ちはよく整っていて、男の俺(体は女になってるけどな!)からしてもイケメンである。
「…………」
「…………」
暫し見詰め合う俺たち。
状況からしてこの肉は彼のものだろうな。
俺が何を言うべきか考えていると、相手のほうが口を開いた。
「神様、我々をお救いください!」
「え? え?」
俺が困惑していると、草むらからがやがやと人が出てくる。まあ予想はしてたけど下半身だけ隠して上半身はマッパだったよ! おっぱいとか丸出しだよ! なお子供は下半身も丸出しである。生まれたままの姿というやつだな!
どの人もみな、疲れていた。仕留めてきたのであろう猪を担いでいるものもいるし、木の実を持っているものもいる。
「なんと………あの夢は本当だったんだ!」
「白い毛皮を着ている! 確かに!」
「神様! どうか!」
「お願いします!」
日本語じゃ無かったよ………なんというか、母国語のように意味が理解できる。何か大いなる存在が手を回しているのを感じるけど、言葉が通じるのはありがたい。
これで確信したね。異世界なのかどうかは知らんが、ここは……原始時代なんだろう。槍すら持っていないので、旧石器時代の更に前である可能性が高い。
人類の最初期は、木から下りることで始まった。二足歩行をして、獲物を追いかけて、採取をする。アフリカで生まれた矮小な哺乳類にすぎなかった人類は、地球の支配者として君臨するまでになった。俺は、どうやらその最初期の段階にいるらしい。
俺はなにやら神様扱いしてくる面々を前にどうするべきか腕を組んだ。
すると、いっせいに一段と跪いた。子供はぽかんとしていたけれど。
「え。えええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!??」