気がついたらオリキャラ(女)になって原始時代にいたけどメス堕ちはしない主人公君 ※   作:キサラギ職員

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Q.魔術とかないんすか
A.魔術以前にまじないとか体系化された宗教がない


10.これから毎シーズン森を焼こうぜ?

 事実上の村のリーダーである俺は、もちろん人員配置も担当している。

 村の中でも才能がある面々は、それぞれ独自の仕事を割り振っている。

 まずアキラス。アキラスはとにかく力が強く、建築から水運びまでなんでもござれである。俺の御付みたいになってるけどな!

 セイカ一族の長男、アキセイカ君。身長が小さくて、髪の毛がボサボサ。女の子みたいな顔をした土器作りの匠である。

 レイ家の長男、アスレイ君。ひょろひょろとした体つきの長髪君。木工に才能があるらしくて、スプーンとかフォークなんかを作らせているところだ。

 ザン家の大黒柱、父ザンソスさん。筋骨隆々の長身で、短髪。狩りの名手であり、建築をやらせたらなかなかどうしてうまかった。

 これくらいかな。まだ才能があるなしの判断ができていないので、わかり次第、適切な仕事を割り振ろうと思っている。

 

「森を焼こうと思う」

『えええええええっ!?』

 

 何度目かな、この反応。

 俺は村中の面々を集めて、今日やる作業について説明していた。隣に控えているのはアキラス君である。なんか俺の横が定位置になりつつあるな。

 俺は地面に四角形を描いて見せた。

 

「森の一定区画を焼く。外に燃え広がらないように、この線に当たる部位の木と草を完全に取り除くんだ。すると、火はそれ以上燃え広がらないから、この中だけ焼き尽くして自然に燃え尽きる」

『……………』

 

 一同が沈黙してしまった。森を積極的に焼こうなんて考えもしなかっただろうからな。

 

「神さんの言うことだから間違いはねぇんだろうが………森を焼くなんてことは、恐ろしくて考えもつかなかったことだ。森を焼いてなにをしようってんだい?」

「農業を始めたいと思う。次の春がきたらね」

『農業?』

 

 実はアキラス以外にはまだ説明してなかったんだよね。

 俺はよっこいしょと言いながら岩の上に登った。もうこの村の中央にあるでかい岩、村のシンボルということでいいんじゃないかな。

 

「自然に生えている植物は、種を木の実なんかに入れて、それを他の動物に食べて貰うことで移動する。まぁ、ようは糞だね。それを、人の手で土に撒いてあげれば……木の実を収穫できる。理論上はね。毎年、毎年、あるいは一定期間ごとに、食べ物が得られるようになるよ!」

『………』

 

 みんなが顔を見合わせてしまった。信じてくれるといいんだけど。

 俺がどうだと言わんばかりに胸を張ると、みんなの表情が明るくなっていくのがわかった。

 

「信じられない気持ちはある。自然を操るなんてことは、神の領域だが………ほかならぬ神様がそういうなら、やってみせる。なあ、みんな」

 

 おう、そうだそうだ、と肯定の言葉が返ってきた。

 

「よし、やろう!」

 

 俺は腕を天に突き出した。

 

 

 

 野焼き―――焼畑であるが、知識にはあっても実際にやるのは初めてである。本格的に冬になって雪でも降ってきてしまうと焼畑どころじゃないからね。空気も乾燥している今こそやりどきではないかと思う。

 まず、どれくらいの区画を焼くのかを検討する。広すぎると管理できなくなるし、小さすぎると村を養えなくなる。

 次に、線を引いていく。線に沿って木を切り倒して、草を取り除いていき、燃え移らないようにする。

 最後に燃やす。何しろはじめてのことなので、壷に水を入れて延焼が認められたらすぐに消火にとりかかる。

 

「凄まじい熱だ」

 

 俺とアキラスは、森が焼けていくのを眺めていた。

 神様が森焼いていいんですかって? 科学の発展に犠牲はつきものでーす。

 

「農業、うまくいくといいな」

「いくさ。神様がついてるからね」

 

 俺はそう返事をしたが、自信なんてなかった。

 

「農業をやるというのはいいんだが、あのへんな草だけを育てるのか?」

「お、察しがいいね。実はそれ以外にも考えていて、ベリーも育ててみようかと思ってる」

 

 ベリーは、俺がメインの穀物として選定しているエノコログサと並ぶとは言わないが、繁殖力が高い植物だ。大量に収穫できるようになればベリーのお酒が作れるようになるかもしれない。

 もう一つが、ドングリの収穫なんだが―――実がとれるようになるまで下手すれば何十年はかかる。ちゃんと成長してくれるとも限らない。選択肢からは外すべきだろうと思う。

 

「あとはドングリかな。一から育てるんじゃなくて、自然に生えているドングリの木の周りの木を取り除いて、たくさんドングリを作れるようにしてあげるんだ」

 

 だが、何もしないとは言ってない。ようは今ある木が全力でドングリを作れるようにしてあげればいいのだ。肥料に関しては色々試す必要があるとしても、周りの木を取り除けばそれだけ栄養の奪い合う相手がいなくなってたくさんドングリを作れるようになるはずだ。多分縄文時代のドングリ栽培も似たようなもんだったと思う。

 アキラスが俺の顔を見てぽつりと呟く。

 

「………ソーマはなんでも知ってるんだな……」

「なんでも知ってるわけじゃなくて、君たちより進んでるだけで知ってることしか知らないぞ」

 

 神様ですらないしね。単純に幾億万の人類が築き上げてきた知識の、ほんの一握りを知ってるだけの人間だ。不老不死ではあるけど……。というかアキラスは薄々ながら気がついてるんじゃないかなと思う。

 

「そろそろかな」

 

 森の一定区画に放った火が徐々に消えつつあった。燃えるものがなくなってきたのだろう。

 俺はみんなを引き連れて火の消えた森に入ることにした。こんがり焼けた木はもちろん伐採していく。木材としては使えないだろうが、焚き火に突っ込めばまだ燃やせるだろう。いい感じに乾燥していて、冬に使えそうだ。

 

「使えそうなものは回収していくぞー!!」

 

 俺が号令をかけると、村人たちが散開してものを運び出していく。といっても倒木やらなんだけどな。

 

「えっさ、ほいさ! えっさ、ほいさ!」

 

 俺も倒木運びに手を貸していく。村まで運ぶぞ!

 倒木を運び終わったら、続いて木を切り倒していく。こんがり焼けた木は石斧でも十分切り倒せる。で切り倒したら木の根っこも抜いて、石と雑草を取り除いてって、やることが多い!

 

「これは………終わらんな」

「仕方ないね……」

 

 結局夕方になっても終わらず、俺とアキラスは灰塗れで地べたに座り込むことになった。

 

「一日で終わるもんじゃないと覚悟はしていたからね、道具も準備できてなかったわけで」

 

 スコップとか用意したかったんだけど上手く作れないのだよ。石器の彫刻刀みたいなものはあってもノコギリがないので。

 

「地道にやるしかないね」

 

 俺はそういうと、みんなを集めて村に戻ることにした。

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