気がついたらオリキャラ(女)になって原始時代にいたけどメス堕ちはしない主人公君 ※ 作:キサラギ職員
一番最初にキノコを食べた人はわかる。人が死んだのを知ってるのに食べたやつはもっとわからない
酷い目にあった。だが一つわかったことがある。幻覚作用を持つキノコもあるということだ。
トリップしてアキラスにしがみついて、それからのことは思い出したくない。ちょっとしょっぱかったです。
どうしよう。確か幻覚キノコは鬱病の治療に使えるとか聞いたことあるけど、現状鬱をわずらっているようなメンバーはいないわけで。毒矢にできるかな。でも毒矢を食らった動物を食った本人が幻覚見ちゃうよな……肉を抉ればいいのかな………古代のシャーマンはこうした幻覚物質を使って神と交信していたそうだけど、神と交信は結局できなかった。夢のような感覚は味わえたけどさぁ。
とりあえずこの『幻覚キノコ』は壷に封印しておくとして、他のキノコを試そう。今度は丸々食わないで微量を口にしてだな……。
「あむ」
………………ステータス開いて……あ、消化器障害………。
不老不死のお陰なのかほんの少し食べてるだけなお陰か、一時間もあれば全回復する。このキノコは駄目だ。
「これは?」
一口。
ステータス『循環器系障害』
………。
「これなら………」
『皮膚炎』
「こっちは……」
『副交感神経麻痺』
「毒キノコばっかじゃねぇかよ!」
俺は苛立ちで床を叩いた。
食うキノコ食うキノコどれも毒キノコばかりである。いやあるいは加熱すればいけるのかもしれない。シイタケだって生で食うと皮膚炎になる。しかし物によっては、過熱してもダメな場合も十分考えられる。中には触れただけで手がかゆくなり始めたのもあった。
だめだ。食えそうなキノコが見つからん。しかし、どんな毒でも薄めて使えば薬にもなりうる。いずれにしても、実験が必要だ。
ううむ、食えるものを探してキノコを食ってみたわけだが、食えるキノコを栽培するなど夢のまた夢であったなあ。人類が食べるものを探すにあたって、毒だったために死んでしまったというケースは山のように転がっているというのが実感できた。その辺にシイタケとかシメジとかエリンギ生えてないかなぁ。
というかカロリーベースで考えるなら、キノコはカロリーが低すぎて投じる労力に対するコストパフォーマンスが低すぎる気がしてきた。余裕が出来てきたら食用を考える、程度の優先度の低さでいいだろう。
「…………畜産」
そのとき俺に電流走る。
考えてみるものだ。現代では当たり前過ぎて発想として浮かんでこなかったことだ。動物を飼い、食べ物を得るというのはどうだ? ぱっと思い浮かぶのが牛、鶏、豚、蜂である。
「牛……………」
牛は、この世界で見たことがある。やたら長い角の生えた茶色の毛をした種で、俺の知ってる白い牛なんかとは見た目が異なる。角で突かれたら死ぬんじゃないかな? どうやって懐かせるんだ?
鶏。これは未発見だが、どこかには鶏になりうる鳥がいるはずだ。卵をパクって来て孵化させて刷り込みで懐かせれば卵を産ませられるのではないかと思う。
豚。これはイノシシが近いと言えるだろう。性格は神経質にして凶暴で、家畜化できる気がしない。馬力がすごいので、大人でも跳ね飛ばされることもしばしばだ。
蜂。これが現状家畜化できそうな生き物ではないかと思う。しかし、今は冬。積極的に巣作りする季節ではないので却下だ。
結局、どの案もすぐには実現できないものばかりだった。第一に、動物を見つけないといけない。第二に、慣らさないといけない。第三はいらないのかもしれないが、家畜を囲うためのフェンスと家畜舎を作らないといけない。ないない尽くしだな。一歩一歩やっていくしかないんだけどね、千里の道も一歩からだ。
この冬はとにかく、倹約に励むほかになさそうだ。異邦人たちが回復してきたら木の実拾いとか、貝拾いを教えて、自分の食べる分は稼げるようになってもらわないとな。この時代にタダ飯が食える人間はいないのだ。俺も含めて。
「ということで―――君たちにも働いて貰う」
「しかし、私たちは狩りも木登りも出来ないから追い出されたのだが……」
俺は異邦人組を全員集めて、岩の上に立っていた。朝礼台みたいな扱いになってきたな。
「言っておくけど私だって狩りはヘタクソだし木登りも上手にはできないよ。君たちにはおもに木の実拾いと、貝拾いと、薪拾いをしてもらうからね」
どれだけ狩りがへたくそでも、木登りができなくても、木の実と貝と薪を拾うことくらいは出来るはずだ。
「と言っても冬だから、あまり長い時間外で働くことは出来ないけどね。雪なんか降ってきたら、絶対に外にはいかせないし」
まだギリギリ降ってないが、そのうち降りだすだろうなと思っている。
「どうしてそこまでしてくれるんだ………?」
「俺のためだよ、そりゃね。でも、俺の指示に従ってくれれば、今までよりももっといい暮らしができるようになるよ!」
俺は胸を張ってそう宣言した。たとえ自信がなくても、たとえ計画がなくても、言い切らないといけないんだ。指導者ってのはね。
「わかった。あんたに従ってみるよ」
先頭の一人がそういうと、みんなが一斉に跪く。
俺はふふんと胸を張って見せたのだった。
「じゃあ早速だけど、家を作ってもらうから」
「家っていうのは、あの大きい木の覆いのことか!? どうやって作ったんだ!?」
その前に、やることがあった。今は異邦人たちを四つの家に分散して住まわしているけど、これからは異邦人用の家が必要になってくるだろう。
俺が言うと、一人が素っ頓狂な声をあげた。移動しながら採取と狩猟が基本のこの時代において、定住することを目的とした木製の家なんてオーパーツにも程があるからな。
「大丈夫。しかるべき道具と、材料さえあれば君たちにも作れるよ!」
ということで俺たちは、異邦人たちにあれこれと教えながら、家を作り上げたのだった。
「し、知らない技術だ……!」
石器を見たことすらなかったのか、見せただけで感動されたり、
「木と木を組み合わせて囲いを作るのか………同じような形のものは作ったことがあるがこのオノという道具があれば、こんなにも大きくできるなんて」
とやはり感動されたり。最近は慣れてきたけど、未知のものに触れる人間の反応ってこそばゆいよな。
後日、魚を取るための罠を調べたところ、魚は余りとれていなかったが、エビがわんさかととれたとか。