気がついたらオリキャラ(女)になって原始時代にいたけどメス堕ちはしない主人公君 ※   作:キサラギ職員

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ツクシおいしいですよね。ほろ苦くて。


15.雑草という草は無い

「よいしょっ! よいしょっ!」

 

 翌日。村の男衆を集めて俺はドングリの木が集まっている場所へとやってきていた。やっていることと言えば、ドングリの木の周囲に生えている別の木を切り倒すことだ。理屈から言えば競争相手がいなくなれば栄養が行き渡るようになってたくさん実をつけるようになるはずだ。

 俺も木を切り倒すの参加したいところだったけど、この体、馬力があるわけじゃないので役立たずである。男に任せておいたほうがいい。

 

「よーし雑草取りをしよう」

 

 俺は早速雑草を毟り始めたが、それに気がついた。

 

「これは………ツクシか?」

 

 ツクシとしかおもえない独特な形状の草がわさわさと群生している。

 

「ということは、そこまで緯度が高くない場所にいるのかな?」

 

 ツクシは繁殖の為に『土筆』とも漢字で表現される独特な形状の茎を生やす。緯度が高過ぎる北国には生えない。ということは、俺たちのいる場所は、一年中寒い場所ではないということになる。なんてことは体感で分かると言えば分かるがな。

 

「食いすぎると毒なんだっけ。スープに入れてみるか。ビタミンは豊富だろうな」

 

 当然といえば当然だが、この世界、この時代、『栄養』なんて概念はない。腹を満たせればそれでいいという考えが主流なので、なんとか欠乏症という概念が理解できないらしい。

 なので俺は、予防の観点から栄養が偏らないように肉ばかり食べることは禁止して、ベリーを食べさせたり、食事に貝殻の粉を混ぜたりをしている。各種薬剤はあるとは言え、風邪薬レベルだ。病気をさせない予防を重視するしかないだろう。

 

「またお前か……」

 

 俺はキノコを見つけた。食って酷い目にあったキノコとよく似ていた。もう二度とごめんなので、触らないでおく。

 幻覚キノコの使い道としては、例えば、戦いに使える可能性はある。幻覚作用を伴った煙幕を貼れたら強かろう。

 

「戦いたくねぇなぁ……」

 

 古代は平和な時代であったというのは誤りで、人を殺めた痕跡が発掘されていることからも、明らかだ。槍と弓を発明できているので優位性はあるが、やはりもっといい武器が欲しくもある。戦いがあるならば、という仮定の話だが。

 

「おっタンポポだ」

 

 雑草という草はない。どれも名前があって、使いようがあるものだ。

 俺はタンポポが群生しているのを見つけた。タンポポがあれば、タンポポコーヒーが作れる。味わいはコーヒーに近く、利尿作用があるのも一緒。カフェインが入っていないのが大きく異なる。

 

「こんなもんかねぇ」

 

 ということで、つくしやらたんぽぽやらを取りまくったので、家に帰ることにする。

 

「かみさまーべりーたくさんとってきたよー」

「おーありがと」

 

 帰って早々に、俺はベリーをたんまりと毟ってきた子供たちの歓迎を受けた。

 蜂蜜酒はアキラスとほとんど飲んでしまったので、次はベリー酒を作ろうと思ったのだ。例の如く水を入れて潰して放置である。

 壷一杯に入ったベリーを、家の隅っこに置いておく。それから、エノコログサの実の入った壷を手元に引き寄せる。

 

「さてと、やってみるかね」

 

 塩水選ではじいた実を、すり鉢―――凹型の岩―――に入れて、石ですりつぶして粉にしていく。

 とにかくゴリゴリと潰しては粉にする。粉にする。粉にする。

 

「………」

 

 疲れる。

 全部終わるのに二時間はかかったと思う。

 次に水を入れてこねてと言いたいところだが、次のステップに進むためには例のベリー酒がある程度発酵してくれるのを待とうと思う。イースト菌がないので天然酵母でやるしかなく、現状ベリーの天然酵母が活性化するのを待つしかないのだった。

 暇になったので次はタンポポの根っこを石器ナイフで刻んでいく。すっかり刻み終わったら、石板の上に並べて、外に出して天日干しにする。乾燥したら炒ってエキスを取るだけである。

 タンポポは葉っぱも食えるので、こちらは塩を入れた鍋の中に入れる。しんなりしてきたら鍋から出して、器によそう。ほうれんそうみたいだ。

 つくしは、ジビエ肉の干物と昆布と一緒に煮込んでみる。村人達が作ってくれた塩が役に立つ。小皿で味を見てみると、まろやかな昆布だしと、お肉の旨みが塩味で引き立てられていて、つくしがいいアクセントになっている。

 あとは、取れたてのエビである。こちらは生で頂く。

 圧倒的な炭水化物不足を感じるが、エノコログサの粉を練り物にしちゃうのは味気なさ過ぎるから却下だ。

 

「帰ったぞ」

「おかえり。ご飯できてるぞ~」

 

 俺はくたびれて帰ってきたアキラスを笑顔で迎えた。

 ……………いやさ、うん。わかってるんだよ。結婚とかしたつもりとかないんだけどいつの間にか奥さんみたいになってるなんてことは。

 

「これで農業は一通り済んだ。あとは、確か……雑草を抜いたり、水が足りなければ水を撒いたりするんだったか………次はどうするつもりなんだ?」

「周辺の探索に乗り出すべきだと思ってる」

 

 俺はずるずるとスープを啜りながら言った。

 欲しい資源はいくらでもあるからな。

 

「今植えてるエノコログサ以外にも、麦とか……ブドウ欲しいよなぁ……根菜類のできればテンサイがあれば砂糖作れるし豆も欲しいし米もあれば欲しいし麻も欲しいしハーブも欲しいな虫除けになるし……鉄も作りたいよな、まずは銅からかなと思うけど」

「わかったわかった、ワッと一気に言わないで欲しい」

「すまんすまん。とにかく探索をしてみたいね。人数も増えたし、いくつかの班に分けて四方を調べてみたいね」

「フムン」

 

 アキラスも料理を口にし始める。自信作だぞ、自信作。

 

「気になっていたんだが、あの山はどうする?」

「ああ……」

 

 周辺と言えば、山である。俺はアキラスが顎でしゃくった方角に鎮座している山のことを考えた。中腹が抉れた独特な形状をした山が村の近くにあるのだ。あの抉れたところ、俺の予想が正しければ……。

 

「もちろん調べたいところだ…………はぐれものも集めたいし……」

 

 俺はたんぽぽの葉っぱを口に運んだ。少し苦いが、なかなかいける。

 人口が多ければ多いほどやれることが増えていく。消費される資源の量も増えていくけどな。だからこそ農業を始めたというのもある。

 

「受け入れるのか………とことんお人よしだな」

「んー、人が増えれば増えるほど豊かな生活ができるようになるぞ。豊かな生活がしたいんだよ、俺は」

 

 導いてくれと言われたから導いているわけなんだが、結局はそこに尽きる。元の世界でも豊かな生活がしたくて仕事をしていたわけで。こっちにきても豊かな生活がしたいと思うのはそんなにおかしいことじゃないだろう? まあ、豊かどころかゼロからのスタートだったわけだが。

 ゼロから始める原始時代ゲフンゲフン。それ以上いけない。

 

「で、俺は豊かな生活がしたいんだけど、アキラスはどうなの」

「俺も同じだが強いていうなら子供が欲しい」

 

 ………。

 

「ふんっ」

 

 俺はそっぽを向いてやったのだった。

 

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