気がついたらオリキャラ(女)になって原始時代にいたけどメス堕ちはしない主人公君 ※ 作:キサラギ職員
焚き火前にて。
「………つまり要約すると、病が流行って群れがほとんど死んだ。生き残りを引き連れて移動してきたと……」
「そうなる」
俺は面々を率いていた『長』であるアキラスという美男子と話をしていた。
曰く、病が流行って群れの大勢が死んだ。
曰く、生き残った三家族と自分だけが移動することができた。
曰く、夢で白い毛皮を纏った女が自分たちを救ってくれる場面を見た。
「なるほどね~~~」
あーそーゆーことね。完全に理解したわ。
どこの誰だかは知らないけど、俺を女の姿にしてこの世界だか時代に送り込んだアホがいるらしいな?
冷静になって自分の姿を確認したんだけど、俺が作ってたゲームの女主人公の姿にソックリなのよね。設定としては魔族と人間のハーフで、不老不死。以外の設定が特に無いけど強いて言うならおっぱいとお尻は盛れるだけ盛っておきましたって感じだ。ムチムチ体型のダウナーな顔立ちをした長身女ってところか。髪の毛は黒。目の色も黒。目つきはあれだ、何か企んでいそうな怪しい目の設定にしておいたんだ。まあ過去設定がないので何も企んでないけど。
「どうか我々の群れを救ってほしい」
「ん~~~~~………わかった」
俺は隣に座っているアキラスに頷いて見せた。
というよりも選択肢が無いのだ。見知らぬ土地になんの道具も無く放り出されて生きていけるほど俺は、卓越したサバイバリストではないのだ。不老不死の設定があるなら死にはしないだろうが飢えと寒さに震えながらマンモスやらサーベルタイガー(もいるのかな?)と戦い続けるなんて真っ平ごめんである。
俺は焚き火を前に、あぐらをかいて座っていた。火を熾す技術があるなら、案外何とかなるかもなんて思いつつ。
「ふあああ……アキラス。少し寝るわ」
「その前に名前を聞いていいか?」
「ふぇ? あぁ………ううん………」
名前ね。ファミリーネームなんて概念存在しないだろうし、ここは下の名前を呼びやすくしてっと。
「ソーマ。ソーマって呼んでくれ」
翌日。
俺は野営地の状況を確認していた。
三家族合計15人。この時代にしてはやけに子供の数が少なく、10人しかいなかった。と一人。持ち物は火熾しの道具と、大人の人数分の毛皮。仕留めてきたイノシシ一頭と、木の実。棍棒という名前の木の棒。あとは人数分の簡易的な差し掛け式(三角形型から片側を取っ払ったような)のシェルター。以上である!
なんとかしてくれって言われてもこれはつれーわ。というかよくぞこの装備で移動してきたなと思う。
さてと………。
「アキラス。普段狩りの時ってどうやってるんだ?」
「大勢で獲物に石を投げたり、殴ってる」
「そうか……」
簡潔な答えである。ウホウホ言いながら獲物を追いかける現代人のイメージする原始人そのものである。
人数も限られている。たったの十六人……俺も入れて十七人である。誰に何を任せるのか。何をしないのかの選択もしないといけないのだ。
俺は決断した。
「よし、まずは周辺の探索をしよう。川の場所とか、木の実がどこにあるかとかを、調べるんだ」
「別にしなくてもよくないか。獲物を探して移動すればいいわけだし」
なるほどね。定住ということをしない狩猟と採取の時代の考え方らしい疑問をアキラスが投げかけてくる。
俺の想定しているのは定住生活である。移動しながらの生活ほど難しいものはない。獲物が見つからなかった段階で詰んでしまう。定住して腰を落ち着けるべきだ。そのためには、ここが定住に適しているかを知らなくてはならない。
俺は現状の家である差し掛け式シェルターに潜り込むと、シェルター横の地面のゴミをどかし始めた。
「それは?」
「地図を作る」
「チズ? というのは?」
「つまり、ここが今俺達がいる場所で」
俺は言いながら、小石を砂の上に置いた。そして、ここから見える山の方角に、三角の簡単な山を描き出す。
「これが山。何があったのかを描いていけば、一目瞭然だろ?」
「なるほど…………これは便利だ……」
ふむん、アキラス君は頭の回転が早いらしいな。まあ群れを率いているんだから、頭の回転が遅かったらやってられないよな。
「みんな来てくれ!」
アキラスが声を張り上げると、どやどやと人が集まってきた。全員いるな。
「これを見て欲しい。神様が作ってくれた地図だ。この真ん中の石が俺たちが今いる場所。これが山だ。辺りを探索してわかったものがあったら地図に描き込んで行って欲しい! じゃあ解散! 日が沈む前までに戻ってきてくれ!」
「おう」
「神様はここにいて」
「あ、はい」
なんか俺は行かなくてもいいらしい。参ったな……暇に……なってねぇよ!
食料はイノシシと木の実(たぶんドングリ)があるのでしばらくは何とかなるので、まずは家をなんとかせねばなるまい。とはいっても本格的な竪穴住居を作るには、道具が不足している。まさか素手で木材を加工するとか無理難題だしな。
ということで俺は、野営地に転がっていた石を拾うと打製石器の作成に取り掛かったのだった。
「ねえ、神様。それはなにをしているの?」
さっそく女性の一人がやってきた。
「名前を教えてくれるか?」
「アパソスよ」
「アパソスね。俺はソーマ。これは、石器を作ろうとしてるんだ」
「セッキ?」
アパソスが首をひねった。
まあ言葉だけじゃわからんよなぁ……。とはいえ俺も石器を作るのは久しぶりである。中学生のときの実習で石器を作ったことがあるので完全なる素人というわけではない。
石器は大まかに分けて打製と磨製がある。どちらが優れているというわけでもない。一番いいのは自然に石器として使える石があることであるが―――ううん、見渡してもいいものはおちていない。お、台座に使えそうな平らな岩がある。俺はそれをシェルターの前まで持ってきた。
欲しいのは、斧である。住居を立派なものにするには木を切り倒したり、加工する必要がある。石を台座にかけて、別の岩で叩く! 叩く! 叩く! とにかく叩いて、刃を形成していく。
「叩くたびに形が変わるのね」
「うん! んで、大きいオノを作ろうとね! してるの!」
「オノ?」
「木を切り倒すのに使えるぞ! ふぅー硬い硬い」
俺は一度手を止めると、別の石をアパソスに渡した。
「この石を別の石で叩いてみて」
「えいっ! 割れた!」
アパソスが石に石を叩き付けると、破片がぽろりと落ちた。
剥片石器ってやつだな!! これを木に埋め込めばナイフが作れるゾ!
「そういやいままでどうやって肉とかを捌いていたの?」
俺は疑問をぶつけてみた。石器なしにどうやってと。
「丸焼きにしてみんなで千切って食べたり……」
「ああ、そっかぁ………これからは石器で肉を細かくしたりできるようになるぞ」
「さすが神様………」
キラキラした目で見つめられて非常にくすぐったいです。
叩きつける! 叩きつける! ふむ、刃が見えてきたな。
「そうそう、そうやって、お、うまいうまい。丁度肉の解体に使えそうなナイフができたな」
アパソスだが、案外器用なもんだ。やり始めてすぐにコツを掴んだのかカツカツと欠片を量産している。俺も頑張らなくちゃな。
しかし、簡単にできると思われた斧だが、時間がかかるな………。
「んー……あとは……ぺっぺっ!」
大体の形ができてきたので、続いて刃を研いでいく。台座に唾を吐きかけてオイル代わりにして、擦りつけながら研いでいく。
力仕事だ。何もかもが無いこの時代。ありとあらゆることに時間がかかるし、力も要るのだ。大自然の中から文明を立ち上げてきた先人たちを尊敬するぜ。
「じゃアパソス。頑丈な蔓と、これくらいの頑丈な枝を持ってきてくれるか?」
俺は斧を作る一方で、枝と蔓を要求した。
最初の製作物は斧で決まりだ。刃を枝にくくりつけて完成させよう。
結局斧を作るのに半日かかってしまった。慣れてないというのもあるし、素材が適切ではなかったというのもあるだろうけれどな。刃を鋭くするのにエラく時間がかかったんだよ。許してくれ。
戻ってきた面々からの情報を基に、地図を細かく描き込んでいく。
「…………いいところだな」
決めた。ここに住もう。俺は決断した。