気がついたらオリキャラ(女)になって原始時代にいたけどメス堕ちはしない主人公君 ※   作:キサラギ職員

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原始時代のアプローチにデートをするとかはないです


22.最強嫁計画

 

「お前、俺の嫁になれ!」

「えっやだ」

 

 どうしてこうなった?

 俺は村から離れた位置にあるキャンプにいた。

 ある日のことである。俺が薬草を取りに出かけたところ、大勢の男たちに囲まれて力ずくで連れてこられたのだ。で、長らしい黒髪のガキに開幕一番で嫁になれ宣言をされている。きらきら光る青い瞳が憎たらしい。

 人数は大体20人弱くらいだろうか。粗末な毛皮の服を着込んだ男と女の集団である。

 そうだった。というのもこの時代、気に入った女がいたら誘拐してきて結婚するというのも珍しくなかったのだ。俺が狼煙をあげたことで村が目に留まり、たまたま俺のことを気に入ったこのガキが指示に、取り巻きが事に及んだということだろう。

 参ったな。俺はその日たまたま採取に出かけていた。夕方にまでは戻ると言ってあるけど、逆を返せば夕方まで誘拐に気がつかないわけで。幸い方角はわかっている。狼煙が上がっているからだ。

 こんなことやってる場合じゃないぞ。念願の新米(米じゃないが)の脱穀が待ってるんだ!

 

「なんで俺なのん……?」

 

 見た目か。見た目なのか。超絶美人にしてもらったけどさあ、この時代でも美人とは限らないぞ。というにも美人というのは文化が決めることであって、いついかなる時代場所においても美人という人間は存在しないのだ。美人の基準のうち、もっとも古いと思われる基準は『健康』である。健康であれば、子供をたくさん産めるからだ。

 その黒髪のガキは堂々と胸を張っていった。

 

「お前よりでかい胸に肉付きのいい健康的な体の女を見たことがないからだ!」

「あっ、そういう」

 

 肉付きがいいほうが健康的で豊かな印であるという考えは、実は珍しくなかったりする。だけど本人を前にしてでかい胸の女扱いはねーだろ。尻もでかいぞ。

 

「嫁になれ!」

「やだ」

「なんでならないのだ! このエアセナ様が求婚しているのだぞ!」

「ちなみにエアが名前?」

「エアだ! セナ族の長である!」

 

 あっ、この部族もファミリーネームという概念はあるのね。

 じゃなくて。

 いきなりの嫁になれ宣言は俺も流石にねぇ。アキラスも待ってるし…………いやアキラスの嫁になるのは確定じゃねぇよ!?

 

「エアセナ君よお、ちとお訊ねしたいんですがね、俺を誘拐しておいて嫁になれってどうなのよ」

「不満か?」

 

 溢れ出るお坊ちゃま臭。群れの連中がまた始まったよみたいな顔をしているので察するね。ボンボンなのかな。

 

「ならば弟と結婚しろ!」

 

 言われてとことこ歩いてきた弟の、幼いこと。十歳もいってない。この世界基準だと結婚できるのかもしれんが、俺の基準だと学校に通ってる子供である。

 

「えぇぇぇ…………エアセナ君さぁ、提案があるんだけどさあ、うちの集落に来ない?」

「シュウラク? ふふん。シュウラクが何かは知らないが、どうせ火も使えない連中の集まりなのだろう! 俺はなんと、火を生み出す術を編み出した一族の長なのだ!!」

「へー、木に木を押し付けてこすり付ける方法でしょ」

「な、なぜ知っている!」

 

 仰天するエアセナ君。表情がころころと変わって面白い。

 というか、アキラスたちの群れも知ってたんだよなぁ。方法はまったく同じだったけどな。今は隕石の火打ち石でつけてるけど。

 木に木をこすり付ける往復摩擦法は体力のあるものじゃないとつかない。俺が今からやろうとしている方法は比較的簡単に火が付く。回転させる棒に穴の空いた円盤状の石をつけると、もっと簡単だ。慣性力を使えるからな。

 

「もっと簡単につける方法があるよ」

「ふん。どうせ、力強くやるとかだろう!」

 

 俺が言うとエアセナ君が拗ねてしまった。自力で発火法を編み出した一族出身というのは凄いと思うけど、だからと言ってエアセナ君が凄いわけじゃない。

 俺はまず、弓なりになっている枝を探した。程なくして見つかったそれの両端に蔓を巻き付けていく。

 

「お、サンキュー」

「オイ! 俺の家来だぞ!」

「あ、家来って概念があるのか……」

 

 群れの一人にお願いして凹みのある石と、真っ直ぐで頑丈な棒を持ってきて貰ったのだ。エアセナ君が涙目になっておられる。

 弦に棒を一回絡ませて、棒の上は石で、下は木で。木の板はツルツルしているものではなくて、ざらざらしていて柔らかい方がいい。

 

「んで、この弓の―――棒から伸ばした蔓に棒を絡ませて、棒の上を石で押さえる!  そして動かしていくと」

 

 さて、上手くいくといいんだが。失敗しちゃうと俺が痛い女になるのでな。

 擦る! 擦る! 擦る! 擦る!

 

「も、もう煙が出ているだと………!」

 

 早速煙が出てきた。

 

「火口よろしく」

「ぐぬぬううううううう!」

 

 エアセナ君が悔しそうに両足を交互に地面に打ち付けていたが、俺が急かすと肩を落として走っていった。数分後、鳥の巣を持ってきた。わかってるじゃないか。

 

「こうして、こうして、手で風を送って」

 

 火種が出来たので、慎重に鳥の巣を被せて、風を送る。空を仰ぐように持つと、息を吐きかける。

 

「できた!!」

 

 急に手が熱くなった。鳥の巣がメラメラと燃えている。

 俺は火を群れの連中が用意してくれた枯れ枝の間に差し込むと、後は任せることにした。

 

「………こんな道具、俺は知らないぞ!」

「ということだ」

 

 めちゃくちゃ悔しそうなエアセナ君。面白いなぁ、からかいたくなるなあ。

 

「ようは摩擦で熱を発生させられればいいので、あっ、断熱圧縮を使ってもいいか。ファイアピストンも作りたいよねぇ」

 

 ファイアピストンとは、空気が圧縮されると熱を発生させる原理を利用した発火装置だ。火打ち石よりお手軽に火口に着火できるので、作ってみたいところだね。問題はシリンダーとシリンダーの空気漏れを埋めるものを見つけないといけないことだ。

 

「??????????」

「んふふふ…………とまぁ、こんな感じだね」

「お、おもしれぇ女なのだ! 嫁になれ!」

「やだ」

「と゛う゛し゛て゛な゛の゛た゛!!」

 

 地団駄を踏むエアセナ君。これがあれか、セナ足ってやつか(違います)。

 面白い女認定を受けたところで、なんとかエアセナ君を村に引き込めないかを考えてみる。本人の技術や能力は知らないが、20人くらいの人数を纏め上げる胆力があるならば、是非欲しい。本人がうんとは言わなさそうなところが問題なのだが。

 

「アライさんうちの村こない?」

「アライさんじゃないのだ! エアセナだぁぁぁぁっ!」

 

「エアセナぁぁぁあぁぁっ! 大変だ!!」

 

 俺がエアセナ君をからかっていると、どたばたと男が走ってきた。肩で息をしている辺り、相当急いでいたと見える。

 

「メルセナが川で溺れて息をしてないんだ!!」

「なんだって!?」

 

 エアセナが全力で走り始めた。俺も後から続く。

 川辺につい今しがた弟と紹介されたメルセナ君が寝そべっており、傍らの男が頬を叩いていた。

 

「そんな! そんなことがあってたまるか!!」

 

 エアセナ君がメルセナにしがみ付くとわんわんと泣き始めた。

 

「こんなところで死ぬなんて!! 起きろよぉおおおっ!!」

 

 俺は傍らで黙っている男に声をかけた。

 

「ついさっき、助け出したんだな? まだ時間が経ってないんだな?」

「そうだが………」

 

 やってみますか。やってみる価値はある。

 俺はエアセナ君の肩に手をかけた。

 

「俺に任せてくれ」

 




子作りしましょ(直球)
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