気がついたらオリキャラ(女)になって原始時代にいたけどメス堕ちはしない主人公君 ※   作:キサラギ職員

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ストックなくなりゅううう


28.春待ち

 秋も過ぎ、冬が近づくと焼畑の季節である。今年も農地を拡張して、人口増加に備えていくのだ。作物の種類も段々増えてきて、食事のレパートリーも豊かになってきた。肉、魚、エビ、カエル、山菜、ドングリ、エノコログサ、ベリー、イモ、麻の実等々。最初この場所に来たときと比べると雲泥の差である。

 

『グアグアグアグア!』

 

 カモも増えた。5羽だったのが20羽にまで増えた。清潔さを保つため、カモ専用の竪穴住居を作った。世話をするのは俺だ。毎日中を掃除している。畑のほうに行かないように、出すときは誰か見張りをつけるようにしている。

 そろそろ屠殺を考えないといけないけど………。

 

「うーん温かい」

 

 俺の足とか、股座とか、肩とかに身を寄せ合ってグアグア鳴いているカモ達。もふもふとしていて、顔を埋めたくなる。大人になったら俺についてこなくなるかと思ったけどそんなことなかったぜ。ついてくるんだなこれが。

 いつかは殺さないといけないんだろうけどなぁ………卵を食べて終わりにしたいという気持ちも強い。数が増えすぎると管理が出来なくなるし、不衛生になってしまうし。何より懐きまくっているので愛玩動物という感じがしてしまって殺しにくい。

 

「さてと………こ、これは!」

 

 俺は、パンの様子を見ていた。今使っているベリー酵母のパンは膨らみ方が悪く、ふかふかのパンにはならない。なのでこの世界のブドウの酵母を使ってみたのだが………ぷっくりと膨れたパンになっているではないか。

 

「今度からブドウ酵母で焼いてみよう」

 

 カモがパンを食いそうになったので手で払うと土製の窯の中にねじ込んでおく。ふかふかのパンを作れるようになったらアキラスも喜んでくれることだろう。

 さて、冬である。冬は寒いので必要なこと以外では村の外に出ないように指示している。俺も不老不死とは言え寒いものは寒いので、外には出歩かないようにしている。村の中で完結できて出来る仕事と言うと次世代の建材作りである。そう、煉瓦の開発に着手したのだ。

 煉瓦とは、簡単に言ってしまえばブロック型の土器である。泥や砂を乾燥させたものを焼いて固めたもので、メソポタミア文明から使われ始めたらしい。まずは日干し煉瓦を作る。日干し煉瓦で窯を作って、焼成煉瓦を作る。今の竪穴式住居は作るのが比較的簡単で、半分地下に埋まっているので気温の変化に強い。とはいえ煉瓦の家と比べると風通しが良すぎるので、徐々に煉瓦の家に移行していきたいところだ。

 俺は早速、煉瓦を作っているアキセイカ君の所に行った。アキセイカ君は土器の作り方も巧みなので、煉瓦も任してみたのだ。

 

「首尾はどう?」

 

 アキセイカ君と数人の子供達は木の型に泥をねじ込んでいる真っ最中だった。地面には無数に煉瓦が置かれている。

 

「土器と比べたらずっと簡単だよ。泥入れて置くだけだし」

「おお、綺麗にできてるね。煉瓦が出来たらもっと土器を薄く強くできるようになるから頑張ってね」

 

 現在の野焼きではどうしても温度に限界があるが、煉瓦の窯を作ることが出来たら、もっと高温で処理することができる。土器をもっと薄く強くすることも夢ではないだろう。縄文式土器から弥生式土器にランクアップだ。

 次に俺はエアセナ一族の家が並ぶ地域に行くことにした。カンカンとやかましい音が鳴っている。持ってきた隕石は片っ端道具に加工するようにお願いしてある。各家庭に配っていた火打ち石がなくなってしまうのは必要な犠牲として我慢して貰うことにした。

 

「おう、ソーマ! 仕事は順調だぞ!」

 

 汗をかきながら鉄を打っていたエアセナ君が振り返った。手には鉄製のハンマーが握られている。

 

「ソーマ、渡しておくぞ。エアセナ様特性のナイフだ!」

 

 エアセナ君が言いつつナイフを渡してきた。そう、一本ナイフが欲しくて作成を依頼しておいたのだ。ナイフは外科手術をするなら必須とも言えるしね。

 受け取ってみると、ほとんど経験が無いはずなのに、ちゃんとナイフの形状をしていた。片刃のサバイバルナイフといったところか。刃は若干歪んでいるし、持ち手は皮を蔓でグルグル巻きにしただけだけど、原始時代のものであることを考慮するとエクスカリバーですよこれは。

 俺はナイフを傾けたりして品質を確かめると、腰に仕舞った。

 

「いいね。この調子で隕石はある分全部道具にしちゃって欲しい。指定した道具以外にも思いついたものがあったら作って構わないよ」

 

 依頼しているのは、鏃、穂先、ハンマー、ナイフ、鑿などである。贅沢を言うならノコギリが欲しいが、それはまだ技術的に不可能だ。どれだけ頑張っても炉の温度が1500度にはならないので、溶かして型に流し込むなんて夢のまた夢なのだ。せめて銅と錫があればいいんだが。

 技術力を上げるためにも、創意工夫を凝らすのは大切なことだ。俺が思いつきもしない道具を思いつくかもしれないと考え、そのようにお願いをしたのだ。

 

「ししし………俺様に任せるがいい! 野郎共、鞴を力いっぱい動かせ!」

 

 生き生きとしているな。いいことだ。鍛冶を任せて正解だったな。

 俺は自宅へと帰ることにした。

 自宅に帰ると、俺が作った地図をアキラスが眺めて腕を組んでいた。俺が家に入ると振り返る。

 

「帰ったぞ~。どしたの?」

「ああ、隕石を使い切ったあとは、どうするつもりなのかと思ってな」

「それな」

 

 そうなのだ。持って帰ってこられた隕石の個数は決して多いとは言えず、この調子で行くと本格的な冬を前に加工し終わってしまいそうなのだ。そもそも本当に隕石があるかわからなかったので、少人数で登山をした。持ち帰れた個数もそれに準じているのだ。

 俺は隣に腰掛けると、地図の上に置かれた粘土細工を指で突いた。

 

「二箇所ある。一箇所は、俺の登った隕石の落ちてる場所。まだ回収仕切れてない隕石が探せば見つかるはずだ。もう一つはゾイじいさんが言っていた黒い砂の溜まった海岸かな。砂鉄って言う、鉄が砂みたいになったものがある、はずなんだよねぇ……」

 

 山は比較的近く、半日以内に行って帰ってこられる位置にあるが――。

 砂鉄はゾイじいさんが数日歩き続けたところにある川と海が交わる地点にある。遠いのだ。

 

「遠いんだよね。行きに一日帰りに一日でも二日かかるわけで。相応の準備を整えないといかんでしょ」

「ううん………」

「この近辺をうろついているらしいマンモスも気がかりなんだよなぁ。遭遇しないとも限らないでしょうし……あとはサーベルタイガーとか、狼とかいそうじゃん」

「さーべるたいがー?」

 

 今が氷河期かどうかは知らないが、いてもおかしくないということで言ってみた。案の定首を傾げられたが。

 俺は地面に雑な猫を描いた。

 

「でかい猫みたいな」

「猫?」

「犬みたいなやつ。凶暴なやつね」

「犬?」

「狼みたいな」

 

 そうかイエネコもイヌもいないのか、と妙な納得をしたりして。

 俺がマンモスに遭遇したところは、俺が思っている北の方角にある。そしてゾイ老人がやってきたのも同じ方角である。マンモスがうろついているかもしれないエリアを横切ることになっているはずなのだ。何故かは知らないがあのマンモス、人間を敵と思っているらしく殺しにくるのでエンカウントしようものなら悲惨だ。俺は運が良かっただけだ。

 

「鉄製の武器を揃えて護衛を付けて砂鉄を運ばせるしかないんじゃないか」

「それか向こうで製鉄するか………だけど向こうに燃料とか粘土があるとも限らないしねぇ」

 

 鉄を作るにはたくさんの燃料が必要なのだ。砂鉄の海岸に燃料があるかは不明だし、あっても都合よく炉を作るための粘土を確保できるかも謎だ。

 

「春だな。春に決行しよう。隕石拾いは明日にでもやろう」

「そうだねぇ」

 

 冬に決行して雪が降りましたなんてことを避けるためには、春を待つしかない。

 俺は頷いたのだった。

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