気がついたらオリキャラ(女)になって原始時代にいたけどメス堕ちはしない主人公君 ※ 作:キサラギ職員
「行くか」
数日後。俺はエアセナ一族の、夜の班の帰りを待っていた。夜の班は他の肉食動物の遭遇も考えハラスメントに終始するようにしている。本格的に攻撃を加えるのは、俺たち朝の班だ。この出撃で二回目になる。一回目は、マンモスに逃げられてしまった。
俺は毛皮ではなく麻の服を着ていた。あちこちに葉っぱと蔓が付けられている。それから顔を隠すために泥を塗りたくっている。これもオーパーツかね。ドーランって言うんだけど。いや白粉じゃなくて泥だから………泥ーランか?
「ふふふふ………ソーマよ、後は任せたぞ」
草臥れた表情のエアセナが槍を担いで戻ってきた。群れを引き連れている。
「どうだった?」
俺が問いかけると、エアセナ君はふんと鼻を鳴らした。
「相当お怒りのようなのだ。一睡も出来ずに朝を迎えて頭に来てるはずだ。止めを刺すならば今ではないかと思うぞ」
「行ってくる。みんな行くぞ!」
俺は言うと、エアセナ一族を引き連れて森へと踏み込んだのだった。
手筈では、マンモスを見かけた辺りで狼煙を上げることになっている。狼煙を追いかければ、マンモスがいるであろう近辺に辿り着くことができるのだ。
俺は弓を掲げると、大声を張り上げた。村人達が俺の出撃を見ようと、家から出てきている。
「絶対に勝つぞ!」
数時間後。
狼煙の位置に到着した俺たちは、油断無く武器を構えて草むらに潜伏していた。みんな体臭を隠すために風呂に入り、真新しい麻の服をまとい、偽装を被り、泥を塗りたくっての出撃である。
「まるで特殊部隊だな」
これで銃があれば完璧なんだなと思いつつ、周囲を警戒する。
今日は、あらかじめ掘っておいた落とし穴に誘い込めるかを試すのだ。連日の嫌がらせ攻撃のため、マンモスは相当とさかに来ていることに違いなく、誘導は比較的楽にやれるはずだ。
「一斉に発射してこっちに気がつかせて誘導しよう。気がつかなければ、もう一回だ」
第一目標は落とし穴に嵌めること。第二は、矢をしこたまブチ込んで体力を削ぐことだ。
「いくぞ」
そして俺たちは静かに、マンモスの捜索に入った。捜索に入ってすぐにマンモスのものと思しき大量の排泄物を発見した。
「まだ温かいな」
俺は排泄物を触って確かめた。
布団じゃないんだからさ。いや、でも本当に温かいんだ。草食だけあって臭いがきつくなく、水気の多い腐葉土のようだ。象の排泄物もまた資源になる。紙の原料に向いているし、メタンガスを取ることもできる。
いかんいかん。マンモスの飼育とか寝言は寝て言えってんだ。
「ソーマ、見つけた」
男の一人が遠くを指差している。いた。のしのしと歩き回る巨大な影が。体のところどころに矢が刺さっていている。足取りもフラフラとしていて、落ち着きが無い。
俺は手で合図をすると自分も弓を握り、矢を番えた。
そして無言で一発射掛けた。仲間も一斉に矢を放つ。
「!!!!!!」
七割が命中と言ったところ。マンモスが鼻を高く掲げて振り返った。
俺たちは一斉に落とし穴の方へと走り始めた。数日間に及ぶ攻撃にも関わらず、マンモスの動きは俊敏だった。毒が効いてない気がする。量が少ないのか、マンモスには効かないのか。
俺たちは落とし穴を迂回しつつ距離を取り、待った。
「………」
あろうことかマンモスは落とし穴前で止まった。そしてこれ見よがしに岩を掴むと、落とし穴を作動させてみせた。俺たちの目論見は外れた。
「……………!? 散れ!!」
作戦失敗である。やはりこのマンモス、以前人間相手に相当酷くやられた経験があるのだろう。生きているということは、人間から逃げ延びたのか、逆に狩ったのか……。
俺の言葉に従い、一名を除き全員が四方八方に蜘蛛の子を散らすように逃げていく。
「ソーマ! 逃げるぞ!」
「ああ!」
まるで
なぜかマンモスは俺のことをロックオンしているらしく、逃げた面々には目もくれずに直進してくる。口から唾液を流し、鼻を振り乱しながら突進してくる様は、見ていて腰が抜けそうになる。
「くっそ速いっ!! 木に登ろう!」
落とし穴にかかるものとばかり思っていたので、木に登る事態に発展することは想像していなかった。いやだって落とし穴だよ? どうやって見抜いたんだ?
……そうか、俺たちが不自然に左右に避けて通ったからか! 人間と戦った経験があるらしい固体だ。落とし穴にもかかったことがあるのかもしれない。
木登りと簡単に言うが、登りやすい木と登りにくい木というものがある。見渡してみても針葉樹が生い茂っていて、枝が果てしなく上に生えている。
背に腹は変えられぬ。俺は木にしがみつくと、尺取虫のように全身を使って登り始めた。
「ちいっ!?」
アキラスが間に合わずに鼻に捕まった。そのまま地面に放り投げられる。
「アキラス!!」
アキラスは不死身じゃない。俺は木から飛び降りると、鉄製の穂先を持つ槍を構え突進した。
「!!!!!!」
マンモスが鼻を振り回す。俺のことを捕まえようと言う魂胆らしい。
俺は身をかがめて鼻を掻い潜ると、まずは浅く、足に槍を突き刺した。
「ぐああっ!?」
連続攻撃だと思ったんだけどね。次の瞬間には宙を舞っていたよね。二回転してから木に叩きつけられる。
呼吸が出来ない。槍を地面に突き刺しながら姿勢を起こす。
「食らえ!」
俺目掛けて突進してくるマンモスに対し、アキラスが驚異の動きを見せる。槍を口に咥えたかと思えば、マンモスの体毛をよじ登って脳天に一発くれてやったのだ。
そういえば君も原始人だねって、いや原始人のバイタリティどうかしてるよホント。
「何っ!?」
脳みそに刺さってれば決まったんだろうな。頭蓋骨が分厚すぎて鉄製の槍が刺さらずに横にずるりと流れなければ。
「アキラス!」
アキラスが振り落とされる。俺はここぞとばかりにダッシュすると、足と足の間に滑り込んで腹に槍をブッ刺した。
「おっ、おおおおおおっ!?」
鼻で掴まれて地面に打ち付けられる。鼻から血が吹き出るのがわかる。
あ、やばい。意識が……。
打ち付けられる。
打ち付けられる。
打ち付け…………。
「!!!!!」
マンモスが吼える。鬨の声が聞こえた。
ようやく俺が意識を取り戻したとき、散開したはずの仲間たちが戻ってきて矢を射掛けている場面が見えた。とにかく逃げろと言っていたはずなのに。
「神様を置いて逃げられるわけがないでしょうに!」
男の一人が言ってくる。ばかだなぁ。俺不死身なのにな。
俺はアキラスに腕を回しながら立ち上がった。
「…………」
マンモスがぐったりと倒れこんでいた。連日に及ぶハラスメントと攻撃。出血もしているだろうし、毒も回っている。
止めを刺すならば今だろう。
俺は槍を受け取ると、ゆっくりと近づいていく。槍をマンモスの眼球目掛けて狙いを定めると、力いっぱい突き刺した。
「……」
マンモスがびくんびくんと痙攣していたが、やがて力が抜けて静かになった。ヘビのようにのたうっていた鼻も脱力して地面に垂れた。
俺は槍を引き抜くと、血でべたべたの鼻を手の甲で拭って拳を突き上げた。
「やったぞーッ!!」
『おおおーっ!!』
俺の声に合わせ皆が声を張り上げて拳を突き上げた。
俺はアキラスの方を見た。
「アキラスさあ」
「ああ」
「子供作ろうか」
「ああ」
ストックがなくなったので毎日更新は無理ダナ