気がついたらオリキャラ(女)になって原始時代にいたけどメス堕ちはしない主人公君 ※ 作:キサラギ職員
A.書き溜めと鉄の作り方に関して調べていたので
“ソーマディア”村を発った俺達探索隊は、“フジ”山に向かっていた。
名前をつけることにしたのだ。あの山だとか、あそこ、ここ、ではコミュニケーション上の齟齬が発生する可能性がある。山に関してはそうだよ、俺の発案だよ。フジヤママウンテンだよ。そんなに高くないけどな。1000mくらいじゃないか? 周囲に高い山が無いので、それでも十分高いけどな。
『俺のいた一族では、~ディアというのは場所とか土地を示す意味だった』
という発言をした男がおり、その案を聞いた村人達がソーマディアという名を考案してくれたのだ。俺達の村じゃしまりが悪いので、これからはソーマディアと呼ぼう、と決まった。
それからは凄かった。というのも、当然過ぎて見落としていたんだが、地名をつけるという概念がなかったらしい。そらそうだ。移動して生活してるんだから、地名をつける意味が見出せないのだろう。遊牧民みたいにまた同じ場所に戻ってくるならまだしも、同じ場所に戻ることすら稀だったらしいからな。
今回は、アキラスやエアセナはついてこない。アキラスはマンモスの肉を加工して保存食にしたり骨を取り出して素材にする作業があるし、エアセナ一族は砂鉄の運搬と鉄作りをやらねばならんからな。
と思ってたんだけど、俺が男をかき集めている時にメルセナ君がやってきたのだ。
「いく」
「えっ?」
メルセナ君は無口な子で、喋っても一言二言という非常に難しい子である。狩りが得意なセナ一族の中でも罠作りが得意だったと聞いている。今は鉄作りをやっていたはずだ。
そんなメルセナ君が言うのだ。付いていくと。
「なんで?」
「子供」
「??????」
だめだ、わからん! せめてもうちょい説明して欲しいんだけどなぁ!
ま、まぁええやろ。頂上目指す帰りに隕石を持ち帰る予定なので、人ではいくらあってもいい。ついでもついでに、フジ山の洞窟も探索する予定である。二日か、三日の計画だ。
「産んで」
「はい?」
「子供」
「はー……」
精通もまだな子に求婚されてるんですけどぉ……。
俺はため息を吐くと、頭をなでなでしてやった。
「立派な大人になったらね」
「うん」
こくんと頷くメルセナ君。わかってるのかなぁ。
さて、二度目になる登山である。楽なルートは前回木や岩にマーキングをしてきたので、今回は痕跡を辿るだけでいい。
「半島だったのかぁ」
俺は山の頂上に生えている木によじ登って絶景を拝んでいた。俺が暫定的に決めた『南』側は海で、ぐるっと回ってきて『北』側は大陸が続いている。俺達がいるのは半島の隅っこらしい。
大陸の向こう側に目を凝らしてみてみるが、唐突に富士山級の山が聳えていましたというわけでもなく、小高い山がいくつか見える他は森と草原が散らばっていると言ったところだった。
「なるほどね、うーん」
俺は早速粘土板にナイフで地図を削り始めた。粘土板の正しい使い方としては水分を含んで柔らかい時に形を刻むんだが、何せ旅先なのでそうも言ってられない。
「もうちょい霞が晴れてくれたらよかったんだがなあ」
霞がかかってしまっていて、遠くまで見通すことができない。有視界30kmくらいかな。富士山から伊豆までがそれくらいだったかな。
まあ、優先度はそこまで高くない作業だ。この半島ですら探索し切れてないのに、大陸のことなんて手が回るわけがないのだ。
「よーしみんなー、隕石拾いにいくぞー」
次である。隕石の落下地点に下っていった俺達は、早速隕石拾いを始めたのだった。
「これ」
メルセナ君が隕石(本体)をぺしぺしと叩いている。
「うん?」
「持ち帰る」
「いやぁ、重すぎて無理でしょこれ………」
この、名付けるならばフジ山隕石は鉄の成分が多く、とにかく重い。俺の予想になるので正確な数字ではないが、3トンはあると思う。このブツを村まで持ち帰れるかと言うと……。
「残念」
「欠片を持ち帰ろうね」
鉄を作るものとしては、やはり巨大な隕石はロマンを感じるのだろう。
俺はしょんぼりしてしまったメルセナ君を撫で撫ですると、隕石の捜索に入ったのだった。
次である。三日目のことだ。思ったより隕石捜索に時間をとられてしまった。想像したよりも隕石の破片は少なく、もう殆ど取り尽してしまったらしい。地面を掘ってみたりしてかろうじていくつかを見つけることに成功した。これ以上隕石に頼れないということだな。
俺達は、洞窟へ侵入していた。松明を持ち、口を麻の布で覆ってである。ヘルメットもあればよかったんだけど、そんなものない。
「うわぁぁっ!? か、神様ァ! この黒い鳥はなんなんですかい!?」
「これは蝙蝠だね! こう見えて鳥じゃないんだぜ!」
元気の良い悲鳴を上げる男。洞窟はがっつり蝙蝠の巣窟となっていた。夜行性なのに飛んでいるのは、俺達が侵入してきて驚いたからだろう。
「うへぇ……」
洞窟内部、蝙蝠が大量に群れているところは、きついアンモニア臭のする糞が文字通り山のように積み重なっている。しかもゴキブリ?が糞の上を這い回っており、ゴキブリに対して嫌悪感のない原始人の感性を持ってしても嫌なものらしく、皆が顔をしかめている。
「臭い」
「そうね。まあ、それはしゃーないね……でもこれがあるのがわかっただけよかったよ」
メルセナ君が正直な感想を述べてくれる。
俺は聳え立つ糞の山(比喩にあらず)から外れた壁面が白くなっているのを発見した。バット・グアノだ。数千年単位で糞が積み重なった結果、成分が化石化したものだ。リンを含むため、肥料にはうってつけと言える。化石化していない糞でも、発酵して肥料化しているものもあるだろうから、農業に使えるだろう。
「ちょおおおおおい! ダメだ! それはダメ!」
「え? なんで?」
一人がおもむろに蝙蝠を捕まえ始めたので俺は慌ててやめさせた。まあその辺にたくさんいるので石を投げつければ簡単に捕まえられるけどさあ。
「蝙蝠を食うのは絶対にダメ! だめったらだめ!!」
「わかった……」
蝙蝠だけはだめだ。吸血蝙蝠だったら、どんな動物のどんな病気を貰ってるかわからん。哺乳類版の蚊みたいなもんだぞこいつら。伝染病を持ち込ませるわけにはいかんのだ。
「神様、この、この……糞をどうするんですかね?」
男が言いにくそうに言う。こんなに大量の糞をみたことがないのだろうね。俺もだよ。
「肥料にするんだ」
「ヒリョウ?」
「そう。植物も人間と同じように、土から栄養分を吸い取って生きてるんだけど、蝙蝠の糞はリンを多く含んでるんだよね。持ち帰れるだけ持ち帰ろう。生の糞じゃなくて、こっちの固まってる方ね」
そういうと俺は早速化石化したグアノを籠に放り込み始めたのだった。